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区議会質問
 
豊島区立自転車等駐車場、公園、体育館の指定管理者について反対する討論(渡辺くみ子議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表いたしまして、ただいま議題とされました第43号議案豊島区立自転車等駐車場の指定管理者の指定について、第44号議案 豊島区立公園の指定管理者の指定について、反対の立場から討論します。
 尚、このあと議題とされます 第45号議案 豊島区体育施設の指定管理者の指定についても、合わせて討論します。
 
 これら3つの議案は、現在、旧長崎中学校跡地に建設中の南長崎中央公園、南長崎自転車駐車場および南長崎中央公園スポーツセンターを一括して、地方自治法に基づき、東京ドームグループを来年1月15日から2018年3月31日の約5年間、指定管理者として指定するものであります。
 
 指定管理者制度については、従来、地方自治体が直接行ってきた公の施設の管理運営が民間に委託されることに伴い、@行政と直接結びつかない施設及び職員の切り捨てとなる危険が生じていることや、アルバイト、パート職員のみが移行採用され、大量の正社員が解雇されるといった労働法上の問題点があること。A採算の合わない施設では、公募しても適切な指定管理者が見当たらず、やむを得ず従来から管理委託してきた外郭団体にゆだねる事例がみられること。Bさらに指定管理者として指定された業者の管理、運営方法に不適切かつ問題が起きていること。すなわち本来必要なはずの設備修繕を怠るとか、日常管理を派遣社員、アルバイトなどのみで対応させるといった手抜き管理を行うなど、安全管理上の問題点が生じていることなど、さまざまな問題が指摘されています。
 わが党はこのような中で、指定管理者の指定については、慎重な対応がなされるべきと強く質してきました。特に体育関連施設の指定管理者の指定については、これまでも問題点が多数でており、今回の指定について以下の理由から反対するものです。
 
 第一の問題は、指定管理者の選定が、本当に一番ふさわしい団体なのかが不透明なところにあります。
 今回、議案となっている指定管理者の指定にあたって区は、公園、自転車駐車場、体育施設を備えた複合施設であることから一体的に維持管理をして運営できる同一の指定管理者を公募してきました。第一次の審査では、9団体が応募し、第二次審査で4団体に絞られ、指定管理者審査委員会では、11の審査項目をもとに100点満点で、69,6点と審査得点の高かった東京ドームグループを指定団体として選びました。
 しかし東京ドームグループは、総合では一位となっていますが、11の審査項目のうち「安全快適な施設の維持管理」の項目では、A法人のほうが点数が高く、同様に「危機管理体制等の整備」の項目では、A法人、B法人のほうが高いなど、項目によっては、選定されなかった法人のほうが高い評価を受けています。なぜこのような評価となっているのか、それらの判断材料が一切示されませんでした。このことを質すと区は「大まかな基準はある」「5段階評価で平均は3」と言い、選定委員の個人的な評価となっていると答弁しました。結局、絶対評価ではなく、選定委員の個人的な評価に左右されるものということが明らかになりました。区は「公正かつ厳正な審査」と言いますが、その根拠はどこにもありません。
 東京ドームグループは現在、巣鴨体育館を指定管理者として管理運営しているのですが、同じ審査にも拘わらず、以前の審査では、76,3点という評価で指定管理者になったのですが、今回はそれよりも6,7ポイントも低くなっています。区は審査の基準が幾分厳しくなったといいますが、東京ドームグループがよいかどうかわかりません。
 また、先程も言いましたが、判定の基準である、審査項目に基づく各法人の計画内容等は一切示されず、要は議会では可否の判断もできない仕組みということです。結局その施設が指定管理者として本当に一番ふさわしい団体なのかが全く不透明ということです。
 
 第二に東京ドームグループに対しての評価についてであります。
 審査の総評では、サービス等の提案内容に高い評価をし、管理運営方法の構築や一体的かつ効率的管理への期待、利用者からの要望、需要予測などの運営計画の期待などが述べられているほか、同種施設の運営の実績が優れていると言います。
 本区では、巣鴨体育館において、NAS・クリタス共同事業体に代わって2010年度(平成22年度)から東京ドームグループが指定管理者になりました。同年度の収支状況は、自主事業のは3,625万円の計画に対し、実績は1,965万円で225,000円のマイナスで、前年度まで管理していたNAS・クリタス共同事業体よりも収入は上がりませんでした。しかし2011年度は利用人員が増加、自主事業収入も増額となり、収支実績は880万円のプラスとなりました。これは自主事業が増員した結果ですが、自主事業が拡大すれば、区民にとっては一般開放が少なくなり、またレッスン料の負担が付いたりします。
 区民の施設でこのような利用の仕方は言語道断です。区は今回の選定評価で東京ドームの施設運営を高く評価していますが、区立の施設で、区民にしわ寄せがいく事業運営を評価することは間違っています。
 
 第三に本当に区民に利用される施設になりえるのかどうかについてであります。
 指定管理者は、その施設を管理運営するために、当然のことながら採算が合わなければやっていけません。もともと指定管理制度の収入は、指定管理料と利用料金、そして事業収入とで賄うわけですが、採算を考慮すれば、自主事業を含めた利用料金の増加を図るか、施設の維持管理や人件費などのコスト削減をすすめることになります。
 今回の南長崎中央公園の施設は、新設ですから、老朽化した施設とは違い、維持管理、修繕にはさほどの経費はかからないにしても、公園、自転車駐車場、体育施設の複合施設においてどこで採算をとるのかを考えると、かつて目白の森・池袋の森公園は指定管理者からはずしたように、公園は利益を上げる自主事業の対象とはならず、また自転車駐輪場も同様で、結局、多目的広場と体育施設の使用料、自主事業が収益の対象となります。今回の計画では多目的広場と体育施設の使用について、5分の3を団体開放、5分の1を自主事業、残りの5分の1を無料の一般開放としています。
 多目的広場については、少年サッカーの正式な試合ができる唯一の施設となるので、土日や放課後については団体使用が中心になる可能性が高いとしています。少年サッカーに関連すれば、今、学校の統廃合等で子どもたちが運動や遊びのできる空間が次々と無くなっています。当該施設はもともと中学校の跡地ということもあり、子どもたちが安心して運動ができる施設となることは大いに結構なことです。しかしこの間、指摘してきましたが利用料が高すぎます。そもそも中学校の校庭は無料でした。子どもたちに運動の場を提供する、少年サッカーを大いに成長させていくというなら、子どもたちから利用料などとるべきではありません。そして、さらに問題なのは、区民への無料の一般開放がたったの5分の1、わずか月6日間ということです。一体誰のための施設というのでしょうか。豊島区は空地は少なく、また公園ではボール遊びはできません。今回の多目的広場は区民にとって貴重な空間です。施設です。
 また体育施設の自主事業では、水泳教室や、体育施設での管理者による団体の貸切、スポーツごとの目的別教室などで、区の条例による施設使用料のほかに管理者にレッスン料を払って利用することになります。
 こうした事業が増えることは、一方で、豊島区民の施設なのに、使用が限定され、いつでも気軽に利用できない事態が懸念されます。区は、これから指定管理者との話し合いで「詰める」と言いますが、その担保はどこにもありません。
 指定管理者を導入するということは、ただでさえ高い利用料が、自主事業でさらに上がり、そのうえ使用が制限されるなど、区民の利用が大幅に減らされるということです。
 せっかく多額の税金を使って作った区の施設なのに区民が利用できない施設になってはなりません。また区民の働く条件を悪化させることは認められません。

 第四に豊島区シルバー人材センターの人件費についてです。
 区は駐車場関連業務について、豊島区シルバー人材センターに委託するとしています。
 豊島区シルバー人材センターの現在の受注単価は公共としての区からの直接委託が平日の日中は1時間1023円。夜間休日等は1125円で、民間からの受注単価は1時間895円です。今回、シルバー人材センターは、民間受注と公共受注の中間の単価として日中は960円、夜間等は1020円で設定する方向で東京ドームと検討しているとしています。
 同種の業務であり、しかも区の施設で働くにも関わらず、区からの受注より単価を下げるなどとはもってのほかです。
 この間、私は一貫して指摘してきましたが、豊島区シルバー人材センターは高齢者の雇用を守る大きな役割を担っています。特に社会保障の切り捨て政策で年金だけでは生活できないという深刻な中でシルバー人材センターは貴重な制度です。
 委員会審査で私は「区として公共の受注ですすめるべき」と質しましたが、「区はシルバーが提案している」「シルバーと東京ドームが検討している。区がかかわるものではない」と介入を拒否しました。
 区の施設であり、本来は区が直接「公共の単価」で発注すべきです。営利を目的とする株式会社の指定管理者導入は、このような結果を示すということです。
 
 以上四点の問題点を指摘し、第43号議案 豊島区立自転車等駐車場の指定管理者の指定について、第44号議案 豊島区立公園の指定管理者の指定について、第45号議案 豊島区体育施設の指定管理者の指定について 可決に反対し討論を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。