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区議会報告
尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書(案)についての反対討論(儀武さとる議員)

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました議員提出議案第14号尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書(案)に反対の立場から討論を行います。
 尖閣諸島をめぐる紛争問題を解決するために、何よりも重要なことは、日本政府が、尖閣諸島の領有の歴史上、国際法上の正当性について、国際社会および中国政府にたいして、理を尽くして主張することです。この点で、歴代の日本政府の態度には、1972年の日中国交正常化以来、本腰を入れて日本の領有の正当性を主張してこなかったという弱点がありました。領土画定を明確にするよい機会であった1978年の日中平和友好条約締結の際に、中国のケ小平副首相が尖閣諸島の領有問題の「一時棚上げ」を唱えましたが、日本側は、日本の領有権を明確な形では主張しませんでした。それは、尖閣諸島の領有権が日本にあることについて中国側に確認を申しでることは、「全く要らざることである」と、当時の福田首相の衆院外務委員会答弁でも明らかでした。
 
 1992年に中国が「領海および接続水域法」を採択し、尖閣諸島を自国領と明記した際には、外務省が口頭で抗議しただけで、政府としての本腰を入れた政治的・外交的対応はありませんでした。中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件でも、民主党政権は「国内法、司法で対処する」というだけで、肝心の外交的主張を怠ってきました。
 このように長期にわたって積極的主張を回避してきたことについて、わが党の国会議員の質問に対して、閣僚から「中国や国際社会に対して日本の立場を発信してきたかどうかについては、大いに反省するところがある」と衆院予算委員会での答弁がなされました。 
 
 わが党は、日本政府に、歴史的事実、国際法の道理にそくして、尖閣諸島の領有の正当性を、国際社会と中国政府に堂々と主張する外交努力を強めることを求めると同時に、中国政府に対しても、今回のような問題が起こった場合、事態をエスカレートさせたり、緊張を高める対応を避け、冷静な言動や対応をおこなうことを求めてきました。日本と中国との間で、あれこれの問題で意見の違いや行き違いが起こっても、問題をすぐに政治問題にすることを戒め、実務的な解決のルールにのせる努力が大切であり、話し合いで平和的に解決することが何よりも重要であります。
 
 日中両国政府は、2008年5月の共同声明の中で「ともに努力して東シナ海を平和・協力・友好の海とする」と合意しています。今後さらに、その分野をはじめ日中の「戦略的互恵関係」を発展させ、東アジアの平和と安定に貢献するよう求めているのであります。
 
 これに対して、本意見書(案)は、「尖閣諸島購入を実現し、実効支配を早急に強化し『尖閣を守る』国家の意思を明確に示す必要がある」などとして、「法的整備」を求めています。この間、自民党は中国漁船の衝突事件の時にも領域警備を強化するために「法的整備」を強調し、灯台の設置や自衛隊の配備体制の強化をかかげ、強行的手段の実行を迫ってきました。これでは逆に相手を刺激し、問題の解決を一層困難にしてしまい問題です。また、石原都知事のように、政府の取り組みに弱点があるからといって、地方自治体が尖閣諸島を購入しても、問題の解決にはなりません。自治体が国家間の領土紛争に介入することは、適切ではありません。
  よって、議員提出議案第14号尖閣諸島の実効支配を推進するための法整備を求める意見書(案)に反対します。
 以上で討論を終わります。ご清聴有難うございました。