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区議会質問
 
「豊島区特別区税条例の一部を改正する条例」(復興増税)についての反対討論(森とおる議員)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第34号議案「豊島区特別区税条例の一部を改正する条例」について可決に反対の立場から討論を行います。

 本議案は、昨年12月に公布された「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律」、同じく「地方税法の一部を改正する法律」、本年3月に公布された「地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律」に基づき提案されたものです。その改正内容は次の4点です。
 1点目の「区民税の申告」は、公的年金等に係る所得以外の所得を有しなかった者が寡婦(寡夫)控除を受けようとする場合の申告書の提出を不要とするもの。
 2点目の「東日本大震災に係る被災居住用の敷地に係る譲渡期限の延長の特例」は、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例等について、東日本大震災により居住用家屋が滅失した場合には、譲渡期限を現行の3年から7年に延長するもの。
 3点目の「東日本大震災に係る住宅借入金等特別税額控除の特例」は、東日本大震災により居住用家屋が滅失した納税義務者が、住宅の再取得または増改築をした場合において、住宅ローン控除の借入限度額および控除率の優遇措置を受けるもの。
 4点目の「区民税の税率の特例等」は、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源を確保するため、2014年度から2023年度までの10年間、区民税の均等割の税率を年額500円引き上げ、年額3500円とするものです。
 3点目までは当然であり、反対するものではありません。問題は4点目の「区民税の税率の特例等」です。これは、約14万人の区民税納税者の均等割りに500円を上乗せし、合計で年間7000万円、10年で7億円の増税を課すものです。東日本大震災からの復興に関しとされますが、実は被災地に行くのではなく、すべてが本区の一般会計に入れられるもので、到底区民が納得できるものではありません。
 以下、この増税の反対理由を述べます。

 反対理由の1つめは、収入の低い人ほど負担が重くなる不公平税制であり、区民にさらなる負担増を強いるからであります。
 収入がわずかな人も、何千万、何億といった高収入の人も、区民税納税者は一律500円の負担増です。区は「より多く、広く薄く負担を」と説明しましたが、これほどひどい逆進性の強い不公平な増税は、消費税増税と同様であります。
 区民は収入が減り続けている中で、今年は国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の値上げ、東京電力の一方的な値上げ通知など、様々な負担増が区民にのしかかっているのです。そこへきて先週は、消費税増税法案が衆議院で可決されましたが、民主、自民、公明の3党合意で決められるという、議会制民主主義に照らしても許されない暴挙です。しかも社会保障の大幅削減とともに可決されたのですから、区民の暮らしと経済は奈落の底に突き落とされようとしているのです。今、多くの区民は500円どころか1円も無駄にせず大切にしていかねばならないのです。

 反対理由の2つめは、東日本大震災被災地の復興ではなく、防災対策でもなく、実際は区民をだまし討ちにする増税だからであります。
 昨年11月、政府は東日本大震災復興に必要な費用を当初5年間で、少なくとも約19兆円かかると見積もりました。このうち約10兆円を増税でまかなうとし、臨時増税を決めました。これが復興増税と呼ばれています。ところが先ほど述べたように、復興に使われるのかと思いきや、被災地には1円も届けられることはありません。この増税分は何と、全てが本区における防災対策のためだというのですから、まさに区民を欺いたやり方なのです。防災対策のためといっても、お金に色がついているわけではありません。増税する10年間の防災対策の全容も決まっていない、当然収支も決まらない。このことを私が委員会で問いただしても「防災対策には多額の費用がかかる。これからまとめたい」などと、区は無責任極まりない態度です。にもかかわらず、増税などとんでもないことです。区民にとって消費税増税などと同様、負担増の一つに過ぎないのであります。

 さて、委員会審査で賛成した委員は、それぞれ「目的を明確にして納得いただける説明を」「負担は多いが防災は大事」、なかには、「誤解を与えるから首都直下とか具体名でやってほしい」などと発言がありましたが、そういう問題でかたづけられるものではありません。
 復興増税は他にもあり、区民税同様、東京都による10年間の都民税500円増税です。すでに都議会において日本共産党以外の賛成多数で可決しております。
 さらに国の所得税増税。これは納税額に2.1%を上乗せするものです。来年1月から25年もの長期にわたるもので、国民からは「将来的に本当に復興費用に使われるのか」という疑問が渦巻いています。これでは臨時増税などとは言えず、こちらも区民税と同様に使途が不明瞭である上に、事実上の恒久的増税です。
 今、日本中が民主党政権による社会保障の切り捨て、消費税増税、原発再稼働など、期待を裏切られ、怒り心頭に達しています。それと同時に、被災地の復旧・復興を願う気持ちも強く持っているのです。そのような状況で、被災地の復興のため、防災対策のためと言うこと自体、被災地に思いをはせる区民感情や、首都直下地震への危機感に乗じた行為です。このようなやり方は、どうあっても認められないのであります。しかも委員会で区民への周知について問いただすと、区は「議案が可決されてから実施する」と答弁しました。全く周知さえもしていないのです。
 増税の開始は2年後とされています。その点からしても、今、条例にしなければならないという必要性・根拠はどこにもありません。しかも、国が法案を決めたからと言って区民の合意なく従うことはありません。なぜならば、実行するしないは自治体の裁量で判断できるようになっているからです。今回の増税はまさに、区民へのだまし討ちのようなものです。あいつぐ負担増に苦しみながら、爪に火をともすように生活している区民に、冷や水をあびせるようなさらなる負担増には到底同意することはできません。

 よって、第34号議案「豊島区特別区税条例の一部を改正する条例」について可決に反対します。
 以上、討論を終わります。