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2019年第4回定例会
清水 みちこ議員の一般質問
2019年11月27日

 私は日本共産党豊島区議団を代表して「子どもから高齢者まで、一人ひとりに寄り添う区政に転換を」と題して、次の3点について一般質問いたします。
1.子育て支援について
2.住宅対策について
3.羽田空港新ルートについてです。区長の前向きで明快な答弁を求めます。

◎まず第一の質問、子育て支援について、4点、質問します。
 ひとつめは子どもの貧困対策についてです。
 いま、子どもを取り巻く環境の急速な変化に加えて、「子どもの貧困」が大きな社会問題となり、深刻化しています。2017年の厚生労働省の調査では、日本の子どもの貧困率は13.9%、約7人に1人の子どもが「貧困ライン」を下回っています。
 貧困は、一人ひとりの子どもの成長の可能性を阻むだけでなく、貧困が次の世代に引き継がれる危険をつくりだしているという点でも、日本の未来にとって重大な問題となっています。豊島区においても「子どもの貧困対策」に特化した指針が必要と考えます。
 現在、豊島区ではさまざまな子ども・子育て支援施策の指針としての「豊島区子どもプラン」、「豊島区子ども・若者計画」があります。来年度の改定にあたり二つの計画を統合するとともに、「豊島区子どもの権利条例」「子ども・子育て支援法」「子どもの貧困対策支援法」に基づくそれぞれの計画と合わせて、総合的な子ども・若者のための計画となるのが「(仮称)豊島区子ども・若者総合計画」です。計画期間は5年間で、区長招集挨拶で触れられています。
 計画案を見てみますとこれまでの「子どもプラン」「子ども・若者計画」の「施策の体系」の中にあった「貧困対策」という言葉がなくなっています。
 そこで質問です。「子どもの貧困対策計画」を含んでいながら、あえて「貧困対策」という言葉をなくしてしまったのはなぜですか。言葉をなくすことで計画案の中での「貧困対策計画」としての位置づけ、取組みが弱まってしまうことがあってはならないと考えますが、いかがですか。
 また計画案の中には、目標ごとにいくつかの指標の現状値と目標値が示されていますが、目標値に具体的な数値設定がありません。数値目標のない計画に実効性はあるのでしょうか。特に子どもの貧困対策については、現在の子どもの貧困率と今後の数値目標を計画にいれるべきです。さらに個別の計画事業についても現状値と目標値の数値を明示し、進捗状況を確認していくことが重要と考えますが、いかがですか。あわせて答弁ください。
 そもそも「子どもの貧困」の大元となる、深刻な「貧困と格差の拡大」を生み出し、広げたのは、自己責任論をふりまき、働くルールを壊し、低賃金で働く非正規の労働者を増やし、軍事費を増大させる一方で社会保障を削減してきた政府の施策にあります。
 憲法25条で、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すること、国は社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めなければならないとうたっています。今年で採択30年を迎える国連子どもの権利条約は、「子どもの最善の利益」を基本とし,子どもの生存権・発達の権利を保障したうえで,子どもの身体的・精神的・道徳的・社会的な発達のために相当な生活水準についての権利を規定しています。豊島区では「国連子どもの権利条約」を基とする「豊島区子どもの権利に関する条例」が2006年に制定されています。
 そこで質問です。区は「豊島区子どもの権利に関する条例」の観点から、「子どもの貧困」についてどのようにとらえているのですか。また今後、「子どもの貧困対策」をより具体的に進めるために条例をどのように生かしていくことを考えているのですか。答弁ください。

◎子育て支援の2つ目は、学校給食費の無償化についてです。
 第2回定例会の私の一般質問で、義務教育は無償が原則であることと、10月からの消費増税による子育て世代の経済的負担増、食材費への影響等から無償化を求めました。しかし教育長は「学校給食法第11条及び学校給食法施行令で示されている負担の原則どおり(中略)保護者に負担をお願いするもの」と相変わらずの冷たい答弁をしました。
 続く第3回定例会でわが党は、特に負担の重い多子世帯の第3子以降の給食費を補助する条例を提案。事業費は約5千万円です。しかし自民党、公明党、都民ファーストの会・民主、しきしま会の反対で否決されてしまいました。一方、賛成したのはわが党だけでなく、立憲としま、無所属の会、無所属元気の会、生活者ネット、あたらしい豊島の会と共同が広がりました。
 いま自治体独自の無償化はさらに広がり、全国では兵庫県明石市、山梨県富士吉田市などが、23区では世田谷区が今年10月から全額補助対象を拡大。お隣の北区は来年10月から所得制限無しに第2子を半額、第3子以降を無償化するとしています。まさに区の本当のやる気、姿勢が問われているのです。
 10月の決算特別委員会でわが党、小林議員の「5千万円かけて給食費の負担をへらすつもりはないのか」と質問したのに対し、教育委員会は「物価の動向、値上がりする傾向にある。保護者の負担を増やさずに、食育の観点から公費投入を考えている」と答弁しました。
 私は2015年第2回定例会、初めての一般質問で、「豊島区食育推進プラン」の「給食は食育という学校教育の一環」という食育の観点から給食費無償化を求めましたが、教育長はこの時も「負担の原則どおり」と拒否。時間はかかりましたが、「食育の観点からの公費投入」は一歩前進と言えます。しかし「保護者の負担を増やさずに」という姿勢では、結局は現状維持、いつまでたっても保護者の負担は減らないと言うことではありませんか。
 そこで質問です。現在の就学援助認定基準は生活保護基準額の1.2倍です。1.3倍にするには約500万円、1.4倍だと約800万円あればできるのです。まず全額無償化に向けて、就学援助の認定基準を引き上げるべきです。いかがですか。
 また就学援助を利用していない家庭への補助も必要です。23区では千代田区が小学校1人1食10円、中学校1人1食15円を補助、葛飾区が第3子以降の給食費補助とともに、食材費補助として小学校1人1食19.25円、中学校1人1食当たり11.83円補助しています。豊島区でも、すべての児童生徒への補助も必要と考えます。いかがですか。いずれも全面無償化への第一歩として、来年度予算に盛込むべきです。答弁を求めます。

◎子育て支援の3つ目は「修学旅行費」についてです。
 これまで、わが党は修学旅行費の無償化を求めてきました。また財政難を理由に2001年から廃止してしまった修学旅行の交通費補助、一人当たり一律7,500円の復活を求めても「公費負担を行っているのは2区のみ」「復活は考えていない」と繰り返すばかりです。
 しかし保護者負担は年々増えています。2018年度は平均で68,390円、全額保護者負担です。保護者からは「学校に払い込む以外に、旅行鞄や新しい下着などを揃えたり、小遣いを持たせたりすると10万円近い出費となる」「きょうだいの移動教室などが重なると本当に大変」「なんでこんなに高いのか」と言った声が寄せられています。10月からの消費税増税で、すでに来年の修学旅行費の値上げがされた事例もあり、保護者負担はさらに増えていくのです。
 そこで質問です。区長は修学旅行費の全額負担が保護者にとって重いと認識はあるのですか。そして負担軽減のための補助の必要性は感じていないのですか。答弁を求めます。
 また区長は常に、行政の基本は「教育と福祉」と言い、「財政を立て直した」「財政健全化」したと胸を張っているではありませんか。であるならば、まず率先して削減した修学旅行の交通費補助を復活すべきではありませんか。いかがですか。
 さらに検討中の就学援助の修学旅行費等の前倒し支給の実施、クラブ活動費、卒業アルバム代なども実態に合わせて増額すべきです。答弁を求めます。

◎子育て支援の4つ目は、18歳までの医療費の無償化についてです。私は第2回定例会一般質問でも求めましたが、「ひとり親家庭を対象とした区独自の医療費助成制度を設けている」「待機児童対策や保育の質の向上、さらに子育て支援施策のレベルアップに財源を振り向けたい」とまたもや拒否しました。しかし10月から消費税増税が強行され、子育て世代には更なる負担がのしかかっているのです。
 私の元に都立高校生の保護者から声が寄せられました。「先日、高校1年の子どもの保護者会で、来年度の積立徴収金が増えると言われた。入学当初、2年時の積立徴収金は80,300円と聞いていたのが98,600円になる。理由は修学旅行費の値上げで、消費税増税とホテルが混んでいて取りづらく上げざるを得ないとのことだが、いきなり2万円近い値上げはひどい。負担は増えるばかりだ、何とかしてほしい」と言うものです。
 私はこれまで義務教育を終えた高校生以降の公的支援が少なくなることを指摘し、区もその認識はあるとしています。区が2018年に策定した「子ども・若者未来応援あり方検討会報告書」では医療受診抑制の理由が16−17歳、生活困窮層では「自己負担金が払えず」が最も多く33.2%に上っています。親は子どもにお金の心配をさせたくないと考え、逆に子どもは親に負担をかけたくないと受診を躊躇することもあります。また歯科、婦人科、精神科などを受診するのは抵抗がある上に、医療費がいくらかかるか分からなければ受診はさらに遠のきます。しかしこの時期にきちんと医療を受けることが、成人後の健康管理、予防、早期発見、早期治療につながっていくのです。
 そこで質問です。子どもの医療費を18歳まで無償化するのに約1億7千万円あればできるのです。子どもたちがお金の心配なく安心して医療が受けられるよう、18歳まで医療費無償にすべきです。いかがですか。

◎つぎに大きく分けて第2の質問、住宅対策について、3点質問します。
 その一つ目は公営住宅の増設です。区民が求めているのは低廉な家賃の良質な公営住宅です。10月の決算特別委員会でわが党は、国が進める住宅確保要配慮者のための住宅、セーフティネット住宅について取り上げました。豊島区での登録はありますが家賃が高く低廉ではありません。区が独自に実施した単身用の住宅確保要配慮者用住宅も問合せはあっても実績はあがっていません。区は「公営住宅だと思って問合せしてくる方が多い」と答弁しましたが、これこそ区民が公営住宅を求めていると言う確かな裏づけではありませんか。区民が公営住宅を望むのは低廉な家賃であることはもちろんですが、立退き、退去を求められることなく、安心して長く住み続けられること、人間らしい居住水準の提供など、つまり良質な住宅ということです。
 そこで質問です。区長は区民の住まいの実態、公営住宅の必要性に対して、どのような認識を持っているのですか。明確にお答えください。

◎住宅対策の二つ目は、高齢者など住宅困窮者の住まいの確保についてです。
 現在、民間賃貸住宅の利活用の一つとして行われている、住宅の取り壊しによる立ち退きや、緊急を要する高齢者等に提供する安心住まい提供事業があります。これまでわが党の要求で未修繕物件の改修予算が確保され、一部要件が緩和され立ち退きだけでなく収入が激減した高齢者も適用となりました。しかし対象の中に高齢者がいるのに、一階の物件が少ない、物件が地域的に偏在している、ファミリー世帯用物件がないなど、住み慣れた地域に暮らし続けることができません。
 そこで質問です。区は要配慮者のニーズに応じて、借上げ戸数、区内にバランスよく増やすこと、さらに高齢者のための1階の物件、ファミリー世帯向け物件を増やすことが必要と考えますが、いかがですか。
 また第2回定例会の私の一般質問で、安心すまい借上げ住宅を公営住宅として、住宅困窮者救済と位置づけるよう求めたのに対し、区は「高齢社会への総合的な対策に取組んでいる」「単身高齢者が民間賃貸住宅へ円滑に入居できる仕組みについて検討している」と公営住宅の新規供給を拒否しました。
 その取組み、検討結果として、11月の住宅対策審議会で示されたのは、民間の居住支援サービスです。その第1弾として見守り、家財・残置物整理、葬儀代行などのサービスをパッケージ化した居住支援法人と協定を12月中旬に結ぶと言うもので、登録料は16,500円、月1,980円の利用料負担があります。
 そこで質問です。登録料と毎月の利用料は年金など収入の限られた高齢者や要配慮者にとって、大変負担が重いものです。区が民間と協定を結び、実施する居住支援と言うならば区として登録料、利用料の助成をすべきですが、いかがですか。

◎住宅対策の三つ目は、家賃補助制度の拡充・創設です。現在、区の家賃助成制度はファミリー世帯家賃助成、高齢者住替え家賃制度のみです。若年層や単身者など幅広い世代が使える家賃助成制度が必要です。
 最近、地域の高校生と話しをしたとき「新しくなった西口公園を見ました。自分は以前ののんびりした西口公園が好きだった。あんなド派手なものを造って豊島区は何をするつもりですか。あれを見て豊島区に遊びに来たいかもしれないけど、住みたいとは思わない、テーマパークと同じですね」と言われました。豊島区で生まれ育った高校生の素直な意見だと思います。
 そこで質問です。豊島区に住み続けられる施策として若年層や単身者への家賃補助制度の創設は不可欠です。月1万円を千人に補助しても1億2千万円で実現できるのです。民間賃貸住宅の利活用、空き家対策を進めるうえでも、若年層や単身者への家賃助成制度の拡充は不可欠です。いかがですか。

◎第3の質問、羽田空港新ルートについてです。
 私は第2回定例会の一般質問で、新ルートについて、区民の理解が得られていない、区民の命、財産を守るため国に白紙撤回を求めるよう区長に求めました。さらに7月には、「区は国に対して教室型説明会の更なる開催と、スケジュールありきで強行に進めることのないよう強く求めるよう」区議団は区に申入れを行ないました。
 ところが、今年8月、国は都心上空を低空飛行する羽田空港新ルートを来年3月末から運用を開始することを決定。小池ゆり子都知事は、これに同意し感謝するコメントを発表しました。
 この決定は、「地元の理解を得てから新ルートを決める」という国土交通大臣の国会での答弁、つまりは「約束」も反故にしたものといわざるを得ません。
 さらに国は8月末から小型機による検査飛行を開始し、来年1月末からは実際の旅客便で試験飛行を実施と、運用開始に向けどんどん計画を進めようとしています。
 国や都は、羽田新ルートは、増便で経済を成長させるため、国際競争力を高めるためなどと強調しますが、命や健康よりも「経済成長」を優先させることは、本末転倒といわざるを得ません。
 これまで区内でオープンハウス型説明会、情報発信ブースなどが開催され、5月と6月には、教室型説明会が2回開催されました。
 参加者からは落下物、事故、騒音などへの不安、地域の資産価値が下がる、人命無視、白紙撤回すべきなどの意見が次々と出されました。
 しかしそれに対する国からの具体的な回答はほとんどなく、参加者から「質問に答えていない」と怒りの声が何度もあがる一方で、国は「オリ・パラ、2020年3月を目途に実現を」と期日だけは明確に答えていたのです。
 区長は、前回の私の質問に対し、「羽田空港の機能強化については、オリンピック・パラリンピック、その先の日本の成長を見据え、急増する外国人観光客、ビジネスパーソンを円滑に受け入れるために必要であると認識」と答弁しています。「ただし、その羽田空港機能強化が区民の皆さんの安全をないがしろにするものであってはならない」とも述べています。
 そこで質問です。国土交通大臣は、「地元の理解を得てから新ルートを決める」と国会で約束し、地元とは「地方公共団体、議会、住民」を指すとしています。にもかかわらず来年3月末からの運用開始というのは、あまりにもひどい、裏切りではありませんか。区長は、これで「区民の理解が得られている」という認識でしょうか。羽田空港の機能強化、新ルートの賛否以前の問題として、約束を反故にした決定について区長の見解を伺います。
 また、区長は、今後も教室型説明会を含め、丁寧な説明を続けるよう強く要望すると答弁しています。3月末の運用開始まで本区での説明会は、オープンハウス型の説明会を3回開くという計画が示されていますが、区長はこれをもって強行してもよいとのお考えですか。
 少なくとも区長も参加した教室型説明会を開催し、区民合意が得られたと判断するまでは強行させないことこそ、区民の安心安全を守る区長の果たすべき役割ではないでしょうか。その立場に立ち、来年3月末からの運用開始の撤回を求めるべきです。見解を問うものであります。
 以上で私の一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。