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区議会質問
 
2019年第3回定例会
小林ひろみ議員の一般質問
2019年9月26日

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、「子どもから高齢者まで、区民のくらしと人権を守る豊島区を」と題して

1 高齢社会対策について
2 子どもの最善の利益のために
3 その他、として、公衆浴場、銭湯の確保について
質問します。

 先の参議院選挙では、年金だけでは老後資金が2000万円不足するなどとした金融庁の審議会報告書を契機に、年金不安が高まり、大きな争点となりました。日本共産党は、消費税に頼らない社会保障充実を提案、さらに年金についても財源を示してマクロ経済スライドを廃止し「減らない年金」をと、提案をしたところです。
 ところが、安倍政権は「2025年、さらには2040年に高齢者が多くなり大変だ」「社会保障も大変」「労働力不足も大変」と国民を不安に陥れ、介護保険や医療の大改悪と負担増を狙っています。

 第一に高齢社会対策について、うかがいます。
 まず、高齢社会にむけた「としま総合戦略」について伺います。
 2019年度予算で目玉プロジェクトとして提案されたものです。
 区長の招集挨拶では、去る7月12日第1回目の「総合高齢社会対策推進協議会」が開催され、現状と課題、今後の方向性について、そして「社会的孤立ゼロ」を掲げ、民生委員・児童委員の欠員ゼロ、75歳以上の高齢者の孤立死ゼロに取り組んでいくことが、上げられました。
 この間豊島区は国の言いなりで福祉を削り、公民連携といって民間まかせ、民営化を進めてきました。高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)は民間委託、直営の基幹型地域包括も専門家については社会福祉法人からの職員派遣にたよっています。障害者分野でも民営化は進み、福祉作業所・生活実習所の指定管理を導入、また東西の障害福祉センターは民間委託し設置条例を廃止してしまいました。昨年第2回定例会で私は高齢者の困難ケースの対応として、基幹型包括の保健師や医師、ヘルパーの増員を求めましたが、区は、高齢者福祉課内と社協のCSWやサポートとしまと連携しているとして、拒否したのであります。

 そこで伺います。
 この間豊島区は、福祉分野でも民間にまかせればうまくいく、公民連携といって民間をまきこみ、さまざまな施策を進めてきたのであります。今直面している問題は、これまでの路線を進めることでは解決できないものです。
 まず、「高齢社会にむけた『としま総合戦略』」というからには、高齢者のことだけではなく、障がい者、若者、子どもも含め、全区民を対象にしたものであるはずです。その認識を伺います。
 そして、民間が果たす役割でなく、豊島区が行政として一体何をするのかを明確にすべきです。答弁ください。

 高齢社会対策の2つ目に、高齢者や障がい者の人権、権利を守るという点で、成年後見制度について質問します。
 成年後見制度は、2000年介護保険制度と同時に施行されました。認知症、知的障害、精神障害、自閉症、など判断能力の不十分な方に対し、後見人を選任するなどして、本人の権利や財産が侵害されることのないよう法律面や生活面で社会がサポートする仕組みです。しかし、利用が進んでいませんでした。私は、40代の精神障害の娘と暮らす80代のお母さんから「娘の将来が気に係る。しかし、成年後見制度はお金がかかる。手続きも複雑。将来のことを今から決めることもできない。やる気はない」と、いわれたことがあります。
 2016年から成年後見利用促進法が施行されました。わが党は国会で、この法律に反対しました。それは「成年後見制度」の利用で、本人の意思に反して(1)後見人等により財産を処分される、(2)地域での生活で築いてきた人間関係を壊される、(3)欠格事由で仕事を失うなどの問題が起きてきていることから根本的な制度の改善が必要であるからです。特に被後見人の意思決定が支援体制の不備や具体的な指針がないために「理念として語られても実践されていない」からです。その後,政府は、意思決定支援に関する取組として、障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドラインや認知症の人の日常生活、社会生活における意思決定支援のガイドラインが策定し、少しずつ改善がはかられつつあります。 
 さて、埼玉県志木市では、成年後見利用促進法に基づき2017年4月から「志木市成年後見制度の利用を促進するための条例」を制定、志木市「促進計画」に基づき直営で中核機関を担うとともに、組織を見直し、中核機関の一部として後見ネットワークセンターを庁舎内に設置しました。直営で行うことにより、地域包括支援センターや障害者等相談支援事業所といった一次相談窓口と後見ネットワークセンターがつながり、個人情報保護を前提に本人の個人情報を一覧することができます。支援が必要な人に対しては、福祉的支援関係者と一次相談機関の連携をし、法的な解決が必要な場合には、センターに相談・協議をすることになっています。これまでは社会福祉協議会が行っていた市民後見人についても、市が募集・育成をする、ことになっています。
 改めて、伺います。
 区民が困っていることに向き合い、現場で起きている問題を解決するためにどう施策を作っていくのか考えるのが、行政の仕事です。そのためには、職員自身が窓口や現場を担当し経験を積むことが必要なのです。
 豊島区として、福祉施設の建設や職員確保や養成など基盤整備を含め、区が責任をもって施策を実施し進めていくことが基本で、そこにさらに民間やボランティアが2重3重に上乗せして支えていくことが必要です。まず成年後見制度について、「中核機関」を直営で設置し、区が責任をもって制度を進める体制を作るべきですが、いかがか答弁ください。

 高齢社会対策の3つ目に介護保険について伺います。
 高齢社会を支えるため、介護の社会化をうたって介護保険が始まって20年がたとうとしていますが、「高い保険料を年金から天引きされているのに、いざというときには使えない」事態がひどくなっています。さらに改悪が検討されています。
 安倍政権は、昨年末に閣議決定した「改革工程表」で、2020年の通常国会に法案を提出するとしています。厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は8月29日、来年の介護保険法改定へ向けた議論を開始しました。給付と負担の見直しの検討項目として、@現在40歳からの2号被保険者の年齢引き下げ、A施設入所者の居住費・食費の自己負担の引上げ、B現在自己負担なしの施設入所者の室料有料化、Cケアプランの作成費用などの自己負担化、D要介護1、2の生活援助サービスの総合事業へ移行、E高額介護サービス費の自己負担限度額の上限引き上げ、F利用料が2割、3割となる「現役並み所得者」の対象拡大、G介護サービスの現金給付、という8項目を盛り込みました。審議会委員である「認知症の人と家族の会」の花俣ふみ代常任理事は、「どの論点も利用者にはかなり厳しい議論が予想される」と指摘。2015年の一定所得以上の人の利用料2割負担への引き上げでも、サービス抑制と介護する家族への深刻な影響がでていると述べ「(これ以上の負担増・給付抑制では)私たちの生活と介護はたちゆかなくなる。絶対に認められない」と強調しました。
 また、今回の検討項目には利用者への負担増・給付抑制のほかに、交付金をつかって自治体同士を競わせる保険者インセンティブの強化なども盛り込みました。
 そこで質問します。
 豊島区において、このような改悪が行われた場合、影響を受ける区民は何人になるのか。これを行うと、豊島区や豊島区民にどのような影響があると考えているのか、答弁ください。
 そして、このような改悪にきっぱり反対すべきです。いかがですか。

 高齢社会についての質問の最後に、介護タクシーについて質問します。
 Aさんは長年夫の介護をつづけてきて、ようやく夫が特養ホームに入れました。これで介護から解放される、と思っていました。しかし月一度の通院が必要で、施設のデイサービス用の自動車が使えるときは良いが、使えないと付き添って介護タクシーで通院している、Aさんは、一回5〜6千円もかかる、と悲鳴を上げています。
 介護タクシーの利用料助成制度を実施すべきです。いかがですか。

第二に、子どもの最善の利益のためについて、うかがいます。
 今回は、児童相談所にかかわる問題について5点質問します。
 豊島区の児童相談所は2022年度の開設にむけて準備が進んでいます。一方、9月10日、新宿区長は、2021年4月を目指していた児童相談所の開所を最低3年程度延期すると発表、専門性を持つ人材、特に児童心理司の確保が困難なためときいています。この間、豊島区は人材確保に取り組み、準備をすすめてきたことは承知をしておりますが、改めて質問します。
 まず、最初に児童相談所の設置について、豊島区では子どもの権利の観点をどう位置付けているのでしょうか。区の認識をうかがいます。
 二つ目に、一時保護所での子どもの権利の保障についてです。アドボカシー(意見表明権)、教育を受ける権利の保障、個室化についての考え方をお聞かせ下さい。
 三つ目に、親に対する支援プログラムについてです。目黒の虐待死の裁判についてマスコミでも報道され、たとえば児童虐待の背景にはDVの問題もあることが、改めて浮き彫りになっています。また、一時保護などで子どもと隔離される親にとっては、心理的な負担は大きく、その不当性を主張する相談を私もうけたことがあります。豊島区ではこれまで、ノーバディーパーフェクト、ゆりかごとしまなど親に対する支援もやってきていますが、困難をかかえる家庭に対する支援など含め、親への支援プログラムを進めるべきですが、いかがか。
 四つ目に、職員の問題です。今年7月の豊島区議会子ども文教委員会の報告では、4月から児童福祉司の配置基準が見直され、法定人員に変更が生じたこと、並びに一時保護所の体制を図るとして、児童福祉司と児童指導員(保育士)を増員する、とのことで、正規職員を+5人、非常勤も含めると計86人の職員を確保する計画が示されました。その確保の見通しについて答弁ください。
 児童相談所の質問の最後に、定員管理計画について伺います。
 開設にむけて、児童相談所の中で働く職員の確保だけでなく、児童相談所開設に伴い東京都から移管を受ける事務があり、さらには婦人相談員や障がい者、高齢者、低所得者への施策の知識や経験のある職員も必要です。また、児童相談所関係の職員が充実されることはよいのですが、だからと言って、他の施策、保育園や高齢者・障害者・低所得者などの分野が置き去りになることは許されません。
 昨日、わが党の儀武議員は会計年度任用職員についての質問で、各子どもスキップに正規2名以上の配置と非常勤職員の正規化への提案をしたところであります。また、9月18日本会議初日の議員協議会で、総合窓口課の窓口業務委託についての報告がありましたが、ここでも委託縮小に伴い、今年4月から正規職員の増員配置が行われたことがわかりました。少しずつ改善されていることはあるとは感じています。

 そこで質問します。
 この間、定員管理計画については「削減ありきではない」との答弁をいただいています。あらためて、「1800人にむけて」の定員管理計画はただちに見直しをすべきです。区長が「子育て」「福祉」「教育」「防災」が基本というなら、その分野の職員をどう採用し、育成していくのか、答弁ください。

 わが党は、児童相談所の設置について、豊島区が行う意義は大きいと認識をしていますが、「設置」がゴールではありません。設置に向けて、また、設置後も、子どもの権利が保障され、だれもがその人らしく暮らせる、そんな豊島区を作るのが目的ということを述べて、この項目を終わります。

第三にその他として、公衆浴場、銭湯の確保について質問します。
豊島区内の銭湯は、とうとう20箇所になり、そのうち1件は休業中とのことです。
私の住む高松もゼロ、千川、長崎もゼロ、南長崎の1か所は休業中、そして、千早2丁目と要町1丁目にそれぞれ1か所、つまり山手通り以北は、二ヶ所のみとなってしまいました。千早四丁目の方から「せっかく、『おたっしゃカード』があっても使えない。是非、隣接区の銭湯でも使えるようにしてほしい」と要望されました。
また、池袋本町では特定整備路線補助73号、82号の計画があり、3つ銭湯のうち2つが計画線にかかりました。私は、これまで住民追い出しの道路計画の強行に反対してまいりました。町は建て替えが進み、古いアパートが減っています。銭湯は既に1か所が休業し、さらに今年5月には道路計画に直接かかっていない銭湯が廃業し、残りは道路計画にかかっている銭湯一つになってしまいました。近くにある上池袋コミュニティセンターの風呂はシャンプーが使えません。そのため、古い持ち家で風呂がない世帯や、風呂があっても安全を考えて銭湯を利用してきた高齢者から悲鳴が上がっています。後継者不足や利用者の減少などが主な理由ですが、このままでは池袋本町でも銭湯はなくなってしまいます。
近所に銭湯がないことは、区民の公衆衛生ということだけでなく文化が失われていくということです。

 そこで質問します。
このまま、放置しておけば銭湯のない地域はますます増えるばかりです。豊島区として銭湯の抜本的な対策をとり、銭湯を守るべきと考えますいかがですか。また、直ちにできる対策として、区民が気軽に銭湯を利用できる機会を増やすために入浴券発行の拡充、各入浴イベントデーの助成拡充、施設整備の助成のほか、区民の利便性を図る上でも、おたっしゃカードについては、東京都とも協力しながら近隣区の利用が可能となるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。