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区議会質問
 
2019年第3回定例会
儀武さとる議員の一般質問
2019年9月25日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して「区民に寄り添った区政に転換せよ」と題し、  一般質問を行います。
第一に、2018年度決算と財政運営について
第二に、区民サービスの向上と働き方改革について
第三に、公契約条例についてです。
区長の明快な答弁をお願い致します。
 最初に、台風15号による被災された皆さんに、心からお見舞いを申し上げます。
 わが党は、「台風15号災害対策本部」を設置し、「経済産業省と・東京電力に対し、「住民の命と健康を守ることを最優先にし、停電の一刻も早く復旧に向けて体制を抜本的に強化してほしい」と要請しました。被害の全容をつかみ、被災者に寄り添い、支援・復旧に全力を挙げるべきです。それでは、質問に入ります。

第一に、2018年度決算と財政運営についてです。
 まず、2018年度決算についてです。
2018年度一般会計歳入決算額は1,316億29百万円、歳出決算額は1,285億93百万円と、いずれも過去3番目の規模となりました。ふるさと納税など「不合理な税制改革等」によって、46億円の減収が見込まれています。投資的経費は前年度対比18.8%、27億円の増となる171億円となりました。財政構造の弾力性を示す経常収支率は81.2%と、6年ぶりに80%台となりました。区は、一般会計決算の特徴を1.堅調な歳入増が続く一方で、深刻化する「不合理な税制改正等」、2.増加傾向にある経常的経費、3.未来へ大きく飛躍する準備を整えた決算と特徴づけました。歳入、歳出決算額が、いずれも過去3番目の規模になったと言いますが、こうした規模が、いったい区民のくらしや福祉の増進にどれだけつながったのでしょうか。

 安倍政権誕生してから、7年目になりますが、アベノミクスで潤ったのは一部の大企業や大株主などの富裕層だけで、庶民には全く実感がありません。それどころか、アベノミクスで格差と貧困が拡大し、区民のくらしは、いっそう困窮が増しています。
 先日、共働き世代からは「今は、共働きで、マンションのローン返済ができるが、病気などで働けなくなると、返済ができなくなる」、ある高齢者は「夫が介護を受けている。いまは夫婦二人の年金があるから、何とかやっていける。でも、どちらかが欠けたらどうやって暮らせばいいのか、とても不安」と訴えられました。80代の単身高齢者からは「老後の蓄えも使い果たし、年金だけでは暮らしていけない」と相談をうけました。働く世代も高齢者も生活が厳しくなり、将来に対する不安感が募っています。
 それは、区の一連の数字にも表れています。2018年の生活保護受給者は6,242世帯の高止まり、単身高齢者の利用が増えています。2018年12月末の特別養護老人ホームの待機者は578人、Aランク272人で2年以上待たないと入れません。就学援助は、小学校の認定者1181人(14.5%)中学校の認定者695人(27.4%)です。都営・区営住宅は応募倍率が高くて入居できません。最近は、区内の都営住宅の空きがなく募集すらもない状況です。高齢者の住宅問題は本当に深刻です。
 2018年度予算審議の際、わが党の総括質問に対して区長は、「現実的には非常に格差も広がっているということも私自身も認識をしている」と述べました。
格差が広がる中で、くらしに困っている区民、すなわち生活弱者といわれる低所得の区民が安心して暮らせる区政、豊かさが実感でき負担が軽くなったといえる区政とするように努めることが区長の責務です。

 そこで3点質問します。
 これまで述べてきたように、貧困と格差を認識している、真に困窮している区民に対応すると区長は言ってきました。しかし、区民のくらしはよい方向に改善されていないではありませんか。まさに区のお金の使い方の方向性が、区民生活の向上に繋がっていない決算ということになります。格差の解消、区民生活の向上が区政運営の中心というなら生活保護世帯は減り、保育園同様特養ホームの待機者の減少、就学援助世帯の大幅減少、希望する公営住宅にすぐ入居できる、廃業する商店も大幅に減るなど、数字の面から見て改善されてこそ、初めて区民生活が向上したと言えるのではありませんか。区長の見解を伺います。

2点目は、区民の負担の軽減についてです。
 国保料や介護保険料の負担の軽減、医療費の負担軽減、義務教育の負担軽減、区有施設の使用料金減額など区民の負担が減り、助かりましたという声や実感が生まれてこそ、区民の願いに応えた決算といえるのではないでしょうか。答弁を求めます。

3点目は国保料の引き下げです。
 特に国保料の値上げは、きわめて異常な状況にあります。毎年値上げされ、今年度の一人当たり保険料は125,174円と昨年度より3,186円の値上げとなりました。年収400万円の40代夫婦の子ども二人世帯の場合の年間保険料は501,659円、実に収入の12.5%にもなります。子育て支援にも逆行するものではありませんか。国保料があまりにも高すぎるので滞納者が増えています。区の国保料滞納者は22,329人、滞納率27.1%、保険料滞納者に発行する短期証は、5275世帯(23区で4位)、1年以上滞納者に発行する資格証2142世帯(23区で5位)で、2019年1月末の差し押さえは712世帯、これでは必要な医療をうけることができません。第2回定例会で、わが党の渡辺議員が、あらためて区政に臨む基本姿勢を質した際に、区長は「区政の基本は『子育て』『福祉』『教育』『防災』といった区民生活の充実である」と答弁しました。『子育て』『福祉』が区政の基本というのであれば、ここにこそ光を当て、国民健康保険料の引き下げを図り、区民に寄り添う区政へ転換すべきです。
 答弁を求めます。

次に、今後の財政運営について伺います。
 決算で示された異常とも言える投資的経費は、今年度の東アジア文化都市記念事業費の総額をみると249億円です。主な事業は、芸術文化劇場84億円、としま区民センター61億円、池袋西口公園リニューアル26億円、造幣局地区防災公園36億円です。今年度当初予算の投資的経費は、総額が前年より232億円増の403億円と膨れました。まさに、大型開発・来街者優先の街づくりがすすめられています。これらのほとんどが区民生活と密接にかかわる投資ではありません。区長のトップダウンによるハレザ池袋、電気バスなど区民生活とはかけ離れたものです。わが党はこれまで一貫して、区民のためにならず、賑わいをもたらすと言って多額の税金投入することに批判してきました。
 また、今後の財政運営上、わが党が危惧することは、歳入であります。区も歳入については、決算に特徴付けているように深刻化する「不合理な税制改革等」による減収を憂いています。さらに景気が悪化することになれば歳入は、一層、不透明になります。
 一方、増え続ける扶助費や経常的経費などに加え、区長のトップダウンによる来街者のための異常な投資によるつけが、歳出増を招くことは明らかです。
 こうした財政状況を見たとき、貯金が借金を上回るような基金の積み立てを増やすことは、歳入が落ち込んだら、区民サービスを削ることになりかねないではないか。区民にとってどうしてもやらなくてはならない投資事業――すなわち学校の改築・改修、特養ホームの増設、老朽化した施設の建替えなどが後回しにされないのか、不安は増すばかりであります。
 そこで質問です。
 第2回定例会で、わが党は、今後の財政運営において、「貯金が借金を上回るようにするとなれば、区民サービスを削ることを示唆している」との危惧した質問に対し、区長は、そのご指摘は「私の区政運営方針から申し上げると、まさに本末転倒と言わざるを得ません」と答弁しました。わが党の指摘を「本末転倒」と言うなら、今後の「財政運営において、区民サービスは削ることは絶対にしない」と明言していただきたい。
そして区長は、今後の歳入の影響に関わらず、区民需要に根ざしたくらしや福祉の拡充、必要な改修計画など区民サービスをいかに向上させる財政運営していくのか、合わせて答弁を求めます。

次に第二の質問、区民サービスの向上と働き方改革についてです。
 一つ目に会計年度任用職員制度についてです。
 2017年第193回通常国会で、地方公務員法・地方自治法の改正法が成立しました。地方自治体で働く臨時・非常勤職員の多くは2020年4月から「会計年度任用職員」という制度に一本化されます。
 改正法は、日本共産党以外の賛成多数で可決・成立しました。日本共産党は、今回の「改正」について、期末手当の支給など一部改善点があるものの、@臨時・非常勤の正規化や正規職員の定員拡大など根本的な改善策が示されていない、A任用の条件が限定されない「会計年度任用職員」の創設で、臨時・非常勤の職を「人員の調整弁」として利用している現状が合法化され、「無期限任用の原則」を掘り崩すことになりかねない、B特別職非常勤の会計年度任用職員への移行で、地方公務員法が全面適用され、労働基本権の制限や条件付き採用期間(1カ月)が生じるとして、反対しました。
 そもそも、地方公務員法は、行政サービスの安定性と質を確保するため「公務は任期の定めのない常勤職員が中心となって担う」という「無期限任用の原則」をもっています。改正前の地方公務員法には、有期任用を可能とする明文の規定は、特別職非常勤と臨時的任用の二つしかなく、それぞれ任用の要件が厳格に定められていました。しかし、実際には、多くの地方自治体で、一般職の常勤と同じ仕事をする特別職非常勤職員や臨時的任用を、空白期間を挟んで繰り返すなど、脱法的な任用が増加し続けていたのです。
 そこで質問します。
 今定例会に「会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例」が提案されています。2019年4月現在、豊島区では、臨時職員は約1200人、特別職非常勤職員は約900人、合わせて約2100人です。正規職員は1980人です。臨時・非常勤職員が過半数になっています。
 安定した公共サービスを継続的に提供するためには、処遇改善がどうしても必要です。区長は、この条例とその運用で「官製ワーキングプア」と呼ばれる劣悪な処遇が改善されると、お考えですか、また、深刻になっている人手不足に対し、いい人材を確保できるものとお考えですか。答弁を求めます。
 現行の非常勤職員の「5年雇止め」は、これまで繰り返し改善を求めてきましたが、区は拒否してきました。会計年度任用職員に移行するにあたって、経験と実績を生かすためにも撤廃すべきです。さらに、会計年度任用職員に移行しても長年働いても、昇給がなく新人と同じではモチベーションが上がりません。希望する人には正規職員としての道を開くべきです。合わせて答弁を求めます。

二つ目に、子どもスキップの職員体制についてです。
 わが党は、一般質問や予決算で子どもスキップの職員体制について取り上げてきました。区は「『子どもスキップ』は学校施設を活用して、小学生を対象とする育成事業と学童クラブを総合的に展開する事業」と規定し、現在22の小学校すべてに設置され、今年4月1日現在5校が登録者100人を超えています。職員体制は所長が1名のみ正規職員で、他は非常勤と臨時職員です。安全管理や職員管理を含め現場では大きな混乱を抱えてきました。
 このような経過で100人を超えるスキップについては正規職員2名となり、スクール・スキップサポーターも配置されてきました。それでもまだ職員体制の基本は非正規と臨時職員のままで、非正規では雇用が不安定で「将来に希望が持てない」など、公募しても応募者が少ない、また採用しても定着しないという状態が続き、現場からの体制の拡充が強く求められてきました。このような経過で区は正規職員2名体制をすべてのスキップで実施することを決定し、年間に3名の正規職員の配置を進め、現在11スキップに配置されています。
 そこで質問します。
 現在の年間3名の正規職員の配置では全スキップへの正規職員複数体制の実施には、今後4年間もかかります。今年9月現在、正規職員34人、非常勤113人で欠員22人です。子どもたちの安全と豊かな放課後生活を保障するためには正規職員の配置は待った無です。直ちに正規職員の複数化を実施することを求めます。答弁を求めます。 

三つ目に、学校教職員の働き方についてです。
「学校がブラック職場になっている」――いま、教職員の長時間労働が社会問題になっています。朝日新聞の記事では、「教員志望が減り、都道府県教育委員会が採用に苦慮し、2019年の新潟県小学校では1.2倍になった、と報道されました。教職員の長時間労働の是正は、労働条件の改善として緊急であり、子どもの教育条件として極めて大切な、国民的課題です。
 日本共産党は、これまでも、教員を増員・正規化して「教師の多忙化」を解消し、「30人以下学級」を進めるよう求めてまいりました。直近では、2018年11月に、「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を―学校をよりよい教育の場に―」の提案を行いました。その内容は、現在の学校現場の深刻な実態を指摘し、教職員を10年間で9万人増やすことなど抜本的な解決の道を提案しています。もともと教員1人あたりの授業負担は「1日4コマ、週24コマ」とされ、それを満たすことを目標に定数配置が行われてきました。しかし国は、学校週5日制を教員増なしで実施し、週あたりの受け持ち時間も変更をせずに教員に負担を押し付けました。さらに、学習指導要領で定める標準時数以上の授業を確保することを求め、際限のない授業増が起きています。 
 教職員の長時間労働が社会問題になっている中で、文部科学省は、2017年12月に「学校における働き方改革に関する緊急対策」を発表し、2019年1月に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を発表しました。豊島区教育委員会は、「豊島区学校における働き方改革推進プラン」を策定しました。その教員の勤務実態調査によると、小学校一般教員で1週間あたりの在校時間は、平日の平均が11時間5分、中学校で10時間46分です。1週間当たりの在校時間が60時間を超える割合は、小学校で41.7%、中学校で42.9%です。豊島区でも、まさに教員の長時間労働は限界に達しています。
 ところが、国や都は人件費を増やさないで、すべてのことを資質の向上という名のもとに研修などで対応するよう求めてきます。これでは解決できるはずがありません。今の教育に求められているのは、子どもたちにしっかり手をかけ、教育することができる人員の確保です。
 そこで質問します。
 週60時間を超えて働いている教員、つまり国が過労死ラインとしている月80時間を超えて長時間労働している教員の割合は、中学校42.9%、小学校41.7%となっています。教育長はこの調査結果をどう受け止めていますか。お答えください。
 また、根本的な解決をするためには、教員を増やすしかありません。国は、授業時数がふえているのに教員をふやそうとしません。残業させても手当を出さない制度も変えようとしていません。これでは、教員の長時間労働は解消されません。
まず、教員一人当たり持ち時間数の上限を定め、そのための定数改善計画をおこなうことを国や東京都に求めるべきです。答弁を求めます。
 さらに、日本は、教育に対する公財政の支出が、OECD諸国の中で最下位です。OECD諸国平均並みの予算にすれば、幼稚園から大学までの教育無償化、給付制奨学金の拡充、すべての学校で30人学級実現、正規の教職員を増やすことが可能となります。国に対して教育予算の大幅増額を求めるべきです。合わせて答弁を求めます。

 「豊島区学校における働き方改革推進プラン」では、勤務実態調査を踏まえて、教員の長時間労働の改善に向けて、4つの柱、1.業務改善・有用性と効率化の推進、2.チーム学校体制の構築とサポートスタッフの充実、3.勤務時間・働き方改革への意識改革、4.家庭・地域の理解促進及び国・東京都との連携があげられています。この4つの柱に基づき33項目の取り組みを行うものです。ICカードによる勤務時間の把握、会計業務を教員から外すこと、研修報告書の簡素化などの改善策が具体的にしめされているものの根本的な解決策である教員の人員増はありません。
 そこで質問します。
 小学校1・2年、中学校1年は中1ギャップの解消を目的とした35人学級がおこなわれています。しかし、せっかくの35人学級が小学校3年生や中学校2年生になるときに、急に40人学級に戻されます。その結果、子どもたちや教師の窮屈感や負担感がかなり増します。杉並区では、区独自予算で採用教員を配置しています。中央区でも区採用の非常勤教員を区の独自予算で配置しています。1人あたりの子どもの数を減らすことは、ゆきとどいた教育のためにも重要であり、本区でも直ちに実施すべきと考えますが、いかがですか。
また、東京都の予算で一日も早く全学年を35人学級にするよう強く要望すべきです。
答弁を求めます。

次に第三の質問、公契約条例についてです。
 わが党は、公契約条例の制定について、一般質問や予決算で繰り返し求めてきました。3年前に、労務単価が現場労働者の賃金にどのように反映しているのか、実態調査を求める「請願」が全会派一致で採択されました。しかし、区は昨年の6月まで調査をしていませんでした。昨年の6月11日の区長申し入れの際、要望項目として「区内業者の育成、公務公共労働者の処遇改善のために公契約条例について、早急に検討を始めること」を求めました。区は「公契約条例について、効果があるのか、ほかの自治体にヒアリングをおこない、まとめたい」「最優先課題」と答弁しました。その結果、やっと、調査結果をまとめ、今年3月の総務委員会で報告を行いました。
 報告によると、他区の公契約条例では、賃金下限額を設定しているものの、実際の適正な賃金が支払われているかについての調査を行っていないこと。二つ目に豊島区は平成26年度から社会保険労務士による労働条件等調査を行い、不備があれば改善を求めることで、賃金の支払いだけでなく、適正な労働時間管理や社会保険加入等も確保していること。3つ目に今後も労働条件等調査を適切に行うことで、労働関係法令の違反があれば、労働者に改善を求めていく、という内容でした。
 私が、報告の「まとめ」は、公契約条例に踏み出すのか、どうか、再度確認すると、区は、踏み出す、出さないとも答えず、あいまいな答弁を繰り返し、来年度も対象を広げて調査すると答弁しました。
 公契約条例とは、区が発注する契約で働く労働者の、適正な労働環境の確保や事業者の人材確保を図る内容です。新宿区は、今年の6月議会で、全会派一致で可決されました。23区では、世田谷、渋谷、千代田、足立、目黒など6区と国分寺市、多摩市、日野市の3市に同条例があり、制定を目指す動きは新たに4区1市で見られます。
 そこで質問します。
 区は、検討、検討と言いますが、いったい、いつまで検討するのか、お答えください。
また、新宿区の条例では、条例の対象を2千万円以上の工事請負契約と1千万円以上の委託契約としたことや、区長の諮問機関として労働者報酬等審議会を設置するとしています。制定趣旨として、消費税増税や東京五輪後の景気悪化に適切に対処するとしています。本区でも、ただちに公契約条例に踏み出すべきです。答弁を求めます。
 以上で、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。