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区議会質問
 
2018年第3回定例会
垣内信行議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「来街者のための街づくりより、区民の命と暮らし守る区政を」と題し、大きく次の四点について質問します。
第一に、2017年度決算について
第二に、不要不急の開発と財政運営について
第三に、長崎地域の街づくりについて
第四に、その他として、生活保護基準の引き下げの撤回と救済についてです。区長の区民の立場にたった答弁を期待し早速質問に入ります。

 まず、2017年度決算についてであります。
 今定例会では、2017年度の決算について審査することになります。
 区は、一般会計決算の特徴について、1健全で堅実な財政運営 2伸び続ける社会保障関連経費 3未来にチャレンジし続ける自治体の三点をあげています。またその中で、2017年度予算についてふれ、新規拡充事業227事業81億円を計上したが、このうち117事業、55億円を持続発展都市実現に向けて重点的に編成した。その結果、待機児童ゼロの2年連続達成をはじめ、「東アジア文化都市」国内候補都市決定、4つの公園と劇場空間の整備推進など、「子育て」「福祉」「教育」「防災」など、区民生活の基盤に軸足を置きながらも、将来の街づくりに向けて、着実に準備をすすめた決算となったと述べています。
 区民生活の基盤に軸足を置いたといいますが、果たして区民生活が向上し、豊かさが感じられるようになってきているでしょうか。
 わが党区議団は、ほぼ毎年、全区民を対象にしたアンケートを実施しています。各新聞折りこみ、全戸配布、駅頭配布などで用紙と返信用封筒を合わせて配布しました。今年は6月中旬から行いましたが、昨年おこなったアンケートを200通以上上回り、9月19日現在2393名から回答が寄せられました。
 区民生活にかかわる質問は、比較検討するうえで必要ですので、昨年とあえて同じ設問にしました。あなたの暮らしについての設問に、「苦しくなった」との回答を寄せた方が、50%と前回よりも3ポイント増加しています。良くなったと回答している区民は、わずか4%です。
 税金や健康保険、介護保険料について「負担が重くなった」との回答は、66%となりこれは、前回より7ポイント増加しています。また、こうした税や社会保障にかかる今後の負担増について、これ以上の負担に耐えられないという回答は、前回の75%を超え2ポイント増加し、77%、実に4分の3以上に及んでいます。
 区から提出された資料では、豊島区民29万人のうち納税義務者は、15万4700人です。そのうち住民税所得階層別数200万円以下が8万6千人と56%を占めます。非課税者とあわせると22万1860人となります。
 就学援助を受けている世帯数は、小学校で14、5%、中学校では、27、2%と4人に1人を超えています。国民健康保険料滞納者数は29%となっています。
 区の示した資料からも、わが党区議団の実施したアンケートの回答がほぼ区民生活の実態と区民感情を表していることが伺えます。
 そこで質問です。区民の生活実態や感情は、区長の認識とはかけ離れているではありませんか。「子育て」「福祉」「教育」「防災」など区民生活の基盤を軸足においたならどうして生活が苦しくなったという人が増え、これ以上の負担に耐えられないという区民が増えていくのでしょうか。
 区長の見解をお答えください。また、これ以上の税負担や社会保障負担に耐えられないという区民が77%にも及んでいることについて、少しでも軽減させる必要性の認識があるのか、あるなら具体的にどう打開するのかお答えください。

 次に具体的に区民要望にこたえる施策について質問します。
 わが党区議団の実施したアンケートでは、「あなたが最も区政でやっていただきたいことは何か」を尋ねる項目をつくり、複数選択してもらうことで区民要望についてまとめました。
 その結果、一番数多く寄せられた要望は、避難場所の確保でした。第二位が、国保料、医療費負担引き下げ、三位は、介護保険料・利用料引き下げ、四位が、特養ホーム等の増設、五番目が、備蓄物資の充実でした。前回は、三位に保育園待機児童の解消があげられましたが、今回は八位でした。待機児童ゼロになったといいますが依然と高い要望となっています。
 いずれも区民生活に密接に関係する、まさに命と暮らしにかかわる要望が上位を占めていることに変わりありません。

 まず、第一に上げられている避難場所の確保についてです。
 東日本大震災以降、いざ災害が起きた時に必要な避難場所について見直しがさらにすすみ、公共施設では学校や公園や広場などを中心に避難場所の確保について拡充や改善についての方向が示されてきました。最近の異常気象による災害や大規模地震による被害の甚大さを目の当たりにしますと、災害における備えは万全かつ早期に整えなくてはなりません。本区は日本一の高密都市であり、かつ一人当たり公園面積は、もっとも狭小だけに公園などの広場については、その拡充のために格段の努力と目標を据えて取り組まなければなりません。
 しかし、今区長がすすめる公園は、避難場所を確保する観点で拡げようとしているでしょうか。池袋を中心とした四つの公園は、いかに来街者を集めるかの視点で整備され、飲食店の整備、蚊取り線香のようなデザインの巨大リングを設け、精査したといっても24億6千万円もかける池袋西口公園、それを回遊する真っ赤な電気バスと、公園を来街者のための投資事業としてすすめています。
 一方、住民に身近な地域の児童遊園や公園はどうでしょうか。先の定例会では、住民合意もないままに駒込では妙義児童遊園を廃止することをわが党のみの反対で決めてしまいました。
 私の地域では、花咲公園用地にトキワ荘を復元しようとしています。椎名町区民ひろば改築のために裏の児童遊園は廃止する方向です。トキワ荘や区民ひろばの拡充は地元住民の要望でありますが、公園を縮小することについては異論が上がっています。代替地を確保し、面積の減る分については確保しなければ本区の一人当たりの公園面積はますます少なくなり、避難場所の役割となるスペースが減ることになるのではありませんか。
 そこで質問です。
 区長の掲げる未来へのチャレンジというのは、来街者から注目され、賑わいをつくるための施策であり、いざ災害の際の避難場所や広場を確保するという面からみてもあべこべになっているのではありませんか。
 区民要望の高い避難場所について、その大きな役割を果たす公園・児童遊園は来街者のための整備より、災害の際のひろばいう観点で、身近な公園・児童遊園については、計画的に目標を立て大幅にふやすべきです。答弁を願います。

 区民要望実現の二つ目は、国民健康保険の引き下げについてであります。
 社会保障制度の根幹であり、区民の命と健康を守るうえで国保制度を守り、制度の拡充は、区民の願いです。
 区民要望の高い国保料の引き下げは、今や待ったなしであり、区長の責任は重大であります。毎年上がり続ける国保料は、いまや限界に達しているといっても過言ではありません。先ほども例を挙げたように払いたくとも払えない区民を増大させています。いくら収納対策に力を入れても29%の区民が滞納世帯となっており、外国人は、約半数が滞納世帯としてカウントされています。国際アートカルチャー都市の実現をうたい、文化や芸術をいくら強調しても外国人の社会保障は置き去りになっています。
 魅力ある街づくりを強調する一方で、足元を見れば現実は、病院にかかることを敬遠する事態をつくっているのです。
 私は、今年で議員生活28年目となりましたが、国保料については毎年毎年値上げされ続けています。区民から徴収するものの中で、これほど異常な値上げを続けているものはありません。
 今年度は、一人当たり保険料は、12万1988円となり、前年度比3547円もの値上げとなりました。前定例会で、儀武議員が法定外繰り入れ解消についての区長の認識と合わせ、都の支援の拡充、ひとり親世帯、多子世帯の区独自の軽減策について質問しましたが、いずれも喫緊の課題であることは認めながら実施する気はないという答弁を繰り返しています。
 区長は、福祉は基本。区民生活の基軸に据えているといいますが、言っていることとやっていることはこの分野でも逆立ちしているではありませんか。
 区民の願いは社会保険料の軽減です。多くの区民が望んでいることは先ほど来数字でも示しているとおりです。他の自治体でやっているところもあるのですから、区長が、本気になってやろうと思えばできるのです。
 国保料軽減策を本区でも踏み切るべきです。いかがでしょうか。

 区民要望にかかる質問の最後に、区民の命と暮らしを守る立場からエアコンの設置について伺います。
 今年の夏は、猛暑というか酷暑が続き、ここにきてやっと落ち着き朝晩は涼しくなりました。この夏、熱中症による症状から病院に搬送される方が多くみられました。炎天下の中での激しい運動による、青少年の熱中症が多く報道されましたが、高齢者の熱中症による死亡事故が多発したことで、その対策は急がれるところであります。こうした中、区民の命と健康を守る観点から、エアコン設置のために助成に踏み出した自治体もあります。
 わが党の申し入れを受け、荒川区では「熱中症対策緊急対策」として、エアコンのない一人暮らし高齢者、高齢者のみ世帯、障害者世帯、要介護4以上世帯、就学前の子どものいる世帯について、エアコン、冷風機などの設置について上限5万円の補助を実施することを行いました。
 本区においては、「豊島区生活と健康を守る会」が、「荒川区のようにエアコンの設置費用の助成や電気代の補助をしてほしい」と副区長と直々に申し入れを行ったが、「個人財産への公金の投入はいかがなものか」と冷たく拒否されたと聞きました。申し入れに参加した人は、今年の夏の暑さは、「災害」とまで言われているのに生活弱者に対する本区の対応は冷たいと私に語りました。
 そこで質問です。来街者のための街づくりには、何億もかけるのに、暑さの中、死と背中合わせで暮らす区民のためのわずかな予算も出せないのか。
 これが区民の声ではありませんか。生活弱者といわれる人の切実な願いに応えることこそ勇気あるトップの決断と私は思います。
 区長いかがでしょうか。
 次に、学校体育館のエアコン全校設置についてです。
 区立小中学校の体育館のエアコン設置について本区は、学校改築の際、児童生徒の教育をはじめ、式典行事や地域活動の拠点として保護者や地域など学校関係者からの要望も強く、現在小学校3校、中学校3校の計6校で設置されています。全校への早期設置は、わが党区議団の予算要望のひとつでもあります。
 都内で、もっとも進んでいる区は、台東区で、中学校での全校設置、それから2016年からは、4年間で13小学校に設置する計画をたて、現在では、小中あわせ26校中24校で設置されております。来年度には、全ての小中学校の体育館で設置されると伺っています。
 台東区教育委員会は、学校体育館は、授業や部活動、地域活動のほか、災害時の避難所機能を有しているとし、近年の猛暑による熱中症対策は重要課題となっており、体育館エアコンの必要性は高まっている。体育館機能の充実を図るとともに、児童・生徒の体調管理を行う観点から、体育館エアコンを計画的に整備するとしています。
 わが党都議団、区議団の調査によると、台東区の場合、エアコンの大きさにもよるが、一校当たり1600万円から2500万円の費用負担で、耐用年数は15年程度。ランニングコストは、年間約30万円と5万円の保守点検。工事期間は、40日から60日くらいとなっています。国庫補助については、学校施設環境改善交付金が採択されたところもあり、1600万円の事業費に対し7分の2の補助で約300万円の交付を受けたところもあるとのことでした。
 わが党都議団は、こうした調査も踏まえて東京都も設置に向けての予算化を求めており、今定例会では議案提案も行うこととしています。
 そこで質問ですが、本区においても全校の体育館エアコン設置にむけ、直ちに予算化する方向ですすめるべきです。台東区教育委員会の方針はまさに本区にとっても必要な観点です。
 児童・生徒の体調管理はもちろん災害時の避難所機能を有する学校体育館のエアコンは今や不可欠と考えます。いかがでしょうか。

 次に大きく第二の質問、不要不急の開発と財政運営について質問します。
 わが党区議団は、毎回の議会で、区長のすすめる文化、魅力ある街づくりを口実にした池袋を中心とする異常な大規模開発について批判し、事業の中止や見直しとあわせ区財政に対する影響について質してまいりました。
 先の第2回定例会で、儀武議員は、一定での森議員にたいする区長答弁を引用しながら、異常な投資をすすめていくことが、不安定な財政運営をせざるをえなくなっていることを区長自ら語っていること。そして大型開発をすすめるなら結局、区民の暮らし、福祉を削らざるを得なくなってしまうことについて質しました。
 これに対する区長答弁は、我々の危惧している財政運営について明快かつ正確に答えたものになっていません。
 区長答弁を繰り返すことはしませんが、区長の主張は、「就任当時の財政危機を打開するためにあらゆる改革に取り組んできた」「行政課題にも取り組み、財政を立て直しながら新しい都市像を明確にして未来を切り開くために全力をつくしてきた」「待機児童もゼロを達成。住みたいまち、訪れたいまちとして多くの人々の支持をいただき、人口も税収も増えている」「極めて理想的な循環を生み出している状況に本区はある」――-端的に言えばこういうもので、わが党区議団の指摘は当たらないというのが区長の言い分です。
 はたしてそうでしょうか。
 「財政を立て直した」といいますが、基金と区債とのバランス、経常収支比率の数字をあげて財政健全化といってもその内容・道筋が肝心なのです。
 確かに本区の区財政の逼迫は、尋常ではなく、私もそのことは28年の議員生活を省みますと、現在に至る経過を十分認識しております。
 バブル期の右肩上がりの時代には、次々に土地を買い、区有施設を拡充してきました。条例審査といえばほとんど毎回といっていいくらい、公園、児童遊園、住宅、福祉施設、自転車駐輪場、区民集会室、スポーツ施設などなど増設に伴う設置条例案を審査してきたことを思い出します。
 財政難になると、区民サービスを削り、施設は見直しが行われ、区民の反対を押し切り保育園4園が廃園されたりしましたが、それでも区民のために公園を増やしたり、特養ホームを建てたり、区立住宅を建てたりした区民需要に応えた財産は残りました。
 ところが高野区長になってからも、行財政改革の名で、より一層、財政難を口実にしたリストラが徹底され、職員を減らし、区民サービスをさらに削り、待機者が増えても特養ホームは作らない、保育園は減らす、住宅対策からは撤退、施設使用料の値上げなど区民に犠牲するやり方をすすめてきたのです。
 そしてやるべきことをやらずに借金返済を優先させる財政運営をすすめてきました。
 わが党区議団は、財政難を克服するにあたり、生活を守り、区民サービスを削ることのないように、借金返済を優先することや不要不急の開発は慎むように提言してきたのであります。
 ところが区長は、区財政が改善傾向になると、区民の暮らし・福祉向上よりも池袋を中心とした賑わいを創る街づくりに力を入れてきました。新庁舎建設を起爆剤として次から次へと新しい奇抜な人を呼ぶための投資を打ち出しているのです。
 大規模開発による様々な街づくりは、住んでいる人を追い出し、区民の財産である土地・施設は手放し民間大企業にさしだしています。お金がかからないとか借金をしないやり方といっても実際には、学校用地や旧庁舎・公会堂をなどの一等地財産を処分して財源を生み出しているのです。
 そこで質問です。
 まず今やるべきことは、区民の命とくらしを守ることを最優先にする施策を拡充し、推進することであります。具体的には、われわれ日本共産党区議団が、一般質問や予算、決算の質疑でも繰り返し、提案している課題の実現です。
 住民要望に基づく国保・介護保険料の引き下げ、保育所・特養増設、学校改修、区立住宅の増設、避難広場の確保、医療費の軽減、法外援護拡充、教育私費負担軽減などなどです。
 区長のすすめる未来への投資を優先させることは、こうした区民要望に応えるための予算は、後回しとなり、いつまでたっても真の区民要望は実現できなくなってしまうと我々はいっているのです。区長の答弁を求めます。

 財政運営の二点目は、投資的経費についてであります。
 財政入門「としまのお財布」では、今後5年間の財政見通しについて、新ホール・新区民センターの建設や学校の改築、市街地再開発事業など、多くの施設建設事業が進むことから投資的経費が高い水準で推移するとしています。
 投資的経費の増大には、区の貯金である「基金」と事業実施のためにお金を借り入れる「起債」を積極的かつ計画的に活用していくとあります。
 30年度の当初予算から5か年の財源投入を決めている事業だけでも1097億円という途轍もない額の投資を見込んでいます。加えてこれに算入されてない事業が、西部障害支援センター改修工事、旧第十中跡地活用事業、区民ひろば椎名町、旧朝日中跡地整備、私立保育所誘致、東池袋一丁目地区再開発、西池袋一丁目再開発、池袋駅西口地区再開発があげられます。
 今後の区の財政状況を取り巻く状況を考えたとき、区長のすすめる不要不急の池袋中心の来街者のための投資を推進する余地はないということを言っているのです。開発事業は一度進めてしまうと後戻りできません。
 区長のいう「安定した財政運営をする」というのは、歳入と歳出のバランスとか、基金と区債のバランスですから、未来のための投資事業に歳出をあてれば、結局はくらし、福祉に直結する事業は削らざるを得ないこと危惧しているのです。過去の区長の財政運営を顧みると、その不安は増すばかりです。
 改めて区民の暮らし・福祉を守り、今後拡充させるというならどういう財政運営をしようとしているのか具体的数字と裏付けをしめした区長の見解をお答えください。

 次に第三の質問、長崎地域の街づくりについて質問します。
 特定整備路線補助172号線の道路拡張計画に伴い、最近は、土地や家屋の測量が終わり、道路用地収用に同意したところが増え、沿道は、都による財産管理すなわち「道路予定地」の囲いが目立つようになってきました。
 沿道住民には、所有している土地や家屋、営業店舗、借地・借家・賃貸住宅など住み方は様々ですが、都の強引な決定に不服をもち、所有している土地や家屋などの消滅・削減による生業や生活再建が困難な状況に追い込まれている方がいまだ多数になっています。中には、不安で病気になる人もいると聞きます。
 その不安の背景にあるのは、都の説明が納得できるものでないからであります。「道路用地にかかる土地・家屋については収用保障の対象とするが、残地については基本的に買わない」「都が示した土地・家屋の移転補償費は、公示価格の基準で計算されるが、その金額では、現状規模の再建は、この長崎地域では難しく、また土地や家屋が見つけられない」というものです。
 また都の相談窓口に行っても地元の不動産屋を紹介されるだけのです。
 商売されている方は、どうでしょう。
 示された移転補償では、とても現状の規模で店を再建できるものでなく、「持ち出しとなることを考えると、この地で商売するのは難しくなっている」「別の場所で店を出すことになれば、長く贔屓にしてくれたお客さんは来なくなってしまい一から出直し」と嘆いています。
 多くの方が、長い間住み慣れ、また商売している地元での再建が一番と思っています。
 こうした住民の生活と権利を守り、悩みを受け止めてもらうためには、区がもっと支援してほしいと、沿道の有志で立ち上げた「特定整備路線172号線道路問題を考える会」は、沿道住民を中心に集めた210名の署名を添えて、さる7月26日、総勢15名で高野区長に直接、陳情を行い、私もこれに同席いたしました。
 陳情は、一、豊島区が生業・生活再建できるための土地や住居、店舗などについて情報をもち、責任をもって代替地を斡旋できるようにしてください。
 二、そのために区で対応する専門の係、窓口職員を配置し、相談、斡旋、交渉などのできる体制をつくってください。という2点であります。
 この陳情には、高野区長はじめ、呉副区長、野島地域まちづくり担当部長、小澤沿道まちづくり担当課長の各理事者が応対されました。
 このなかで区長は、「皆さんの要求の趣旨はわかりました。都と連携を密にし、居住環境総合整備事業として『残地』を購入する努力をしていきたい。副区長に今後、総責任者となってもらいます。区の担当者を増やし、現場に出て地域の声を聴くように指導している」との前向きな回答がありました。
 区が、残地を取得する方向を示したことは、これまで、自己責任で売却しなければならなかった住民にとっては、喜ばしいことであります。
 長崎地域は、都市計画道路沿道のみならず、1丁目から5丁目地域全体に居住環境総合整備事業の地域として指定されました。この制度は、長崎地域を含めすでに区内6か所の地区で指定を受け事業を推進しています。
 また、この地区では、ほぼ同じ地域で都が指定する防災都市計画づくり推進計画・重点地域(不燃化特区)の指定を受けており、区は、街づくりや道路造成の用地として取得を推進しているところです。
 さらに池袋本町・上池袋地区不燃化特区内では、昨年11月に豊島区とUR都市機構で不燃化推進に関する業務協定を締結し、UR都市機構がこの地区で不燃化を促進することを目的に土地を買い取ることとなりました。
 そこで質問です。
 区長陳情の際に回答でふれた区の残地買い取りの方向ですが、さまざま条件の土地所有者が存在するなか、具体的にどういう方向で残地を取得していくつもりなのか。その方策と区の考えを明確にお答えください。
 また、沿道住民はどういう手続きをとれば、望むような再建が可能となるのか事例をあげて、具体的にお示しください。
 加えて、区の果たす役割を明確に示すことであります。事業推進のために対応する専門の係、窓口職員の配置、相談、斡旋、交渉などのできる体制についても住民に寄り添い万全策を尽くすべきと考えますが、区長の見解を伺います。

 最後にその他として、生活保護基準引き下げに反対し、撤回を求めることについて質問します。
 安倍政権がこの10月から2020年までに段階的に生活保護基準を最大5%引き下げることを決定したことは、きわめて重大であり遺憾であります。
 削減総額は、年間210億円(国費分は160億円)で、削減対象は生活保護利用世帯の7割近くに及びます。
 ひとり親家庭の母子加算や児童養育加算など、加算の多くが引き下げられ、子どもが多い世帯ほど削減幅は大きくなるものです。
 母子加算は、自公政権が、2009年4月に全廃しましたが、市民と世論の力で自公政権を打ち破り同年12月に復活したものですが、またもや安倍自公政権は削減しようというのですからひどいものです。
 いま豊島区は、「女性に優しい街づくり」の推進、「共働き子育てしやすい街ランキング」で全国1位になったと区長は招集挨拶でも触れました。
 生活保護世帯のうち母子世帯といえば、もつとも手を差し伸べるべき人たちです。
 また本区のような都心区では、住宅扶助基準額内で、居室を探すことはなかなか困難であり、保護費基準そのものは引き上げこそあれ、引き下げとは許せないことです。
 そこで質問です。
 まず安倍政権の生活保護費削減には、反対を表明し、撤回を求めるべきです。また、段階的削減について区内生保受給者への影響はどうなるのか。生活費削減は命を脅かす問題ととらえ、区独自の救済策と住宅扶助を含めた法外援護の大幅な拡充を求めますがいかがでしょうか。区長の見解をお答えください。

 質問は以上ですが、今回は、区民から寄せられる率直な声や実施したアンケート結果をもとに、来街者や都市間競争による不要な投資開発や街づくりよりも優先すべきことは山積していると質してきました。
 区民の生活に正面から向き合い、命と暮らしを守る区政に転換することを区長に重ねて求め、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。