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区議会質問
 
2018年第1回定例会
森とおる議員の一般質問
2018年2月14日

 私は日本共産党区議団を代表して、「池袋周辺に集中した開発優先の予算から、区民の命と暮らしを守る予算に再編成を」と題し、次の3点について一般質問を行います。
 第1に、2018年度予算について
   (1.区民の深刻な暮らしの実態について)
   (2.基金と起債について)
   (3.過去最大規模になった予算の中身について)
 第2に、民泊について
 第3に、羽田空港の増便に伴う都心飛行ルート計画についてです。
 区長の明快な答弁を求めます。

◆第1の質問、2018年度予算についてです。
 2018年度当初予算規模は、一般会計が1,246億4,900万円、対前年度比79億4,800万円の増で、過去最大規模の予算。特別会計を含めた総財政規模は1,833億8,000万円、対前年度比18億7,200万円の増で、過去2番目の規模が示されました。その主な要因としては投資的経費が対前年度より73億円多い、212億円という高い金額になったからです。
 歳入では、人口の増加により納税義務者数が大幅に増加することが見込めるとして、特別区税が対前年度比8億4,100万円の増、319億7,200万円と過去最大となり、特別区財政調整交付金も、法人住民税や固定資産税が増加するとして、対前年度比16億円増、307億円を見込んでいます。ふるさと納税制度による区民税の流出増加、法人住民税の一部国税化や消費税交付金の清算基準見直しについては、39億円もの減収になり、東京を狙い撃ちにした不合理な税制改正としているものの、財政調整基金を取り崩すことなく予算編成したとしています。しかしながら、公共施設再構築基金21億円、義務教育施設整備基金12億円をはじめとした特定目的基金は合計65億円もの取り崩しが予定されており、決算剰余金20億円全額を財調基金に積むが、基金合計では31億円減額、374億円を見込んでいるのです。

●まず、区民の深刻な暮らしの実態について区長の認識を質問します。
 私は当初予算案の資料に目を通して一番感じたことは、区民の深刻な暮らしの実態について、全くと言っていいほど触れられていないということです。歳入が増加したことは、第2次安倍政権の5年で、大企業の当期純利益は2.5倍となり、内部留保は80兆円積み増しされて400兆円を突破したことが影響しています。しかしながらその一方で、わが党区議団が調査したアンケート結果においても、多くの区民は景気回復の実感どころか、暮らしが厳しくなったことを切実に訴えているのです。ところが区長は、昨年の第3回定例会、第4回定例会の一般質問で、わが党区議団のデータは対象や数が異なるとして、区民一人当たり所得、池袋ハローワークにおける求人倍率が、公的なデータだと取り上げ、「横ばいもしくは緩やかな改善傾向にある」「区民の生活にゆとりと潤いが生まれ、生活の質が向上・改善してきた」と、答弁したのであります。
☆そこで最初の質問です。
 公的データということですからその角度で改めて取り上げます。区民一人当たりの課税額の推移をみると10年前の2008年度は177,650円、2015年度は175,421円、2016年度は174,109円と下がってきています。また、ハローワークに行ったが年齢条件が合わないとか、希望は正社員だが無くて賃金が安いのでどうにもならないという社会問題が深刻になっていますが、これらの状況において、なぜ横ばいもしくは緩やかな改善傾向で、区民の生活にゆとりと潤いが生まれたなどと言えるのでしょうか。区長の認識は、ずれているのではありませんか。
 豊島区では、課税標準額200万円以下の層においては、2014年度の79,420人から2016年度の83,621人へとわずか2年間で4,000人以上も増えています。年金老齢給付受給権者数については2012年度末89,475人から2016年度末94,620人へと5,000人以上も増加しています。年金受給者を含めた非課税者に対する見解が抜け落ちています。生活保護受給者が2008年度1,068人から2016年度6,237人に激増しています。昨年の決算特別委員会において、わが党の質疑で、理事者から「二極化が進んでいる」とありましたが、その通りです。区長は、認識の誤りを是正すべきではありませんか。
 全国では、第2次安倍政権発足前に比べて、労働者の実質賃金は年収換算で15万円も低下し、実質消費支出は20万円減りました。金融資産を持たない世帯が400万世帯も増加し、全世帯の35%になりました。これこそアベノミクスによって格差と貧困が拡大し、区民の暮らしが厳しくなった証です。改めて公的データに基づく認識をお答えください。

●次に基金と起債、すなわち貯金と借金について伺います。
 2018年度の特別区債発行額は対前年度比10億円増加の60億円となり起債依存度は上がります。残高は32億円の増加で310億円と2015年以降3年連続で右肩上がりです。また財調基金は5年連続で取り崩さずに予算編成することができたとしていますが、今年度においては補正予算で27億円を取り崩しており、一般財源収入と合わせて、東アジア文化都市や池袋西口公園整備の文化振興基金、義務教育施設整備基金、公共施設再構築基金等に24億円を積み、2018年度に一気に65億円を取り崩すものです。
☆そこで質問します。
 財調基金を取り崩さないと言いますが、今定例会の補正予算で財調基金を取り崩し、文化振興基金に6億円を積んでいます。予算案で取り崩してもよかったのではありませんか。なぜ補正予算でやる必要があったのか、同じことではありませんか。お答えください。
 しかも、池袋西口公園を文化振興基金に積まなければならないのでしょうか。答弁を求めます。
 今後、学校改築などの社会基盤施設が更新期を迎え、ハレザ池袋やオリンピック開催を見据えた都市基盤再整備の投資を加速させることから起債の上昇傾向と、基金の取り崩しは続くことが想定されます。区はこれまで、その年度の経常的な歳入で経常的な歳出を賄うこと、いわゆる「身の丈」にあった財政運営こそが健全財政の基本と言い続けてきました。
 2015年度決算を振り返ると、旧庁舎跡地一括前払い地代収入191億円を原資にして、財調基金に157億円、公共施設再構築基金に26億円を積み立てました。その結果、貯金が借金を146億円上回ったとしていました。それが2018年度予算では、上回った額が64億円に減少しているのです。現時点において、旧庁舎跡地76年分の一括前払い地代収入から新庁舎整備費用を差し引いた額は、いくらで、どのようになったのでしょうか。その金額を差し引くと、上回ったと言っている64億円は、いくらになっているのでしょうか。お答えください。
 しかも、2019年度はマイナス136億円、2020年度はマイナス133億円の債務超過が予定されています。さらに2021年度以降について、貯金と借金のバランスはどうなっていくのでしょうか。お答えください。今後の区財政に多大な影響が及ぶことになりますが、どのように考えているのでしょうか。
 区は、財政の健全性を維持・両立するために「基本計画」「未来戦略推進プラン」において3つの財政規律を立てましたが、今回オルタナティブルールというものを持ち出しました。これはなぜ必要なのか、どういう意味があるのか、答弁を求めます。

●次に、過去最大規模になった予算の中身について伺います。
 新規・拡充事業や、重点事業の資料でも分かる通り、国際アート・カルチャー都市の推進、賑わい事業が満載です。子ども、高齢者、女性のための施策は確かにあることはありますが、特に金額では比べようがないほど、膨大な差があることは間違いありません。
 一般会計が対前年度比79億円の増加となった要因は、先ほども述べたように投資的経費が対前年度比73億4,400万円の増となったことに他なりません。総額212億600万円は過去3番目に高い水準としていますが、これはハレザ池袋関連15億円、4公園整備事業27億円、市街地再開発事業24億円、池袋駅東西デッキ等、すなわち国際アート・カルチャー都市の推進、賑わい事業であります。しかもこれらは、2019年度以降に金額がいっそう膨らむものばかりです。
 それでは、いくつか具体的に事業を取り上げて質問します。

 まず、池袋周辺4公園の整備のうち【池袋西口公園整備】についてです。
 老朽化した施設整備を行うことを否定するものではありませんが、概算工事費26億8,000万円です。これまで行ってきた公園整備工事費と比較すると、面積が倍以上の南池袋公園3億9,446万円、南長崎スポーツ公園3億6,768万円、新宿区の大久保公園シアターパークは西口公園と同程度の面積で1億4,683万円。これまで区民からデザインが奇抜であること、さらに事業費があまりにも巨額であること、特に単なるリング状のモニュメントに8億7,000万円もかけることについて理解できないと疑問の声が上がっています。
☆そこで質問します。
 当初から事業費も財源も決めないまま設計を進めた手法に誤りがあった典型的なパターンです。先月の副都心開発調査特別委員会で、高野区長自らが私に対し、「大変巨額な投入だと思っている。つめられるだけつめてもらいたい、そんな検討もしていく」と発言がありましたが、何をどう検討したのでしょうか。私は、モニュメントをやめることこそが費用削減の第一歩だと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、【中池袋公園整備】についてです。
 昨年の決算委員会で事業費が増えていることを質問しましたが、区は説明に立つことさえしませんでした。改めて1月の副都心開発調査特別委員会で質疑をして驚きました。
 計画・設計を含めた概算工事費は4億900万円です。区の整備する理由は新ホール棟など旧庁舎跡地整備ハレザ池袋の前庭空間なのでデザインを統一するためというものであり、老朽化したわけでもなく、利用者から使いにくいという声もありません。しかも基本計画から設計を公園では前例のない随意契約で、鹿島建設に4,072万円も支払っているのです。しかも、周辺道路基本設計についても鹿島道路に793万円の随意契約をしていたのです。
☆ そこで質問します。
 随意契約という前例のない手法を2年前から進めていながら、なぜ基本計画の段階から説明をしてこなかったのでしょうか。
 随意契約は、競争の働いていない契約金額および地元企業に対する受注機会の損失ですが、どのように考えていますか。
 こうした手法は議会軽視です。今でも十分利用価値が高い公園を新たにリニューアルする必要性はどこにもありません。事業は白紙撤回すべきです。答弁を求めます。

 次に、【造幣局跡地公園整備】についてです。
 造幣局跡地を防災公園にすることについては、わが党区議団も長年求めてきたことであり異論はありません。しかしながら設計から工事、管理運営を一体的に進める事業者コンソーシアムという、これまで行ってこなかった手法で、今回パーク・PFIといった公民連携制度を用いて最大20年もの長期に渡り設置許可しようとしている点に問題があると考えます。
☆そこで質問します。
 これも、パーク・PFIという公民連携制度の具体的な中身を説明せずに進めてきたことは問題です。説明責任を果たし議会の意見を聞くべきです。一方的に事業者を決定したことは問題だと考えますが、いかがでしょうか。
 区内の公園の中で、なぜここだけパーク・PFIにしなければならないのか。契約期間中に事業採算性や経営状態が悪化するなど、長期契約であればあるほど不安材料が考えられます。期待通りの運営ができなくなった際に契約を解除するなどあらゆる手立ては尽くされているのでしょうか。防災公園としての位置付けを揺るがせることなく改めて明確にすることが大事です。パーク・PFIという手法は改めるべきです。答弁を求めます。

 次に、【池袋副都心移動システム推進事業、電気バス】についてです。
 区も説明している通り、国内外からの来街者のための観光バスであり、区民の日常の公共交通コミュニティバスではありません。これまで私は、最高速度19kmに対する保安基準しか備わっていないことによる安全性、窓にガラスが無い快適性等に問題があると指摘してきました。
☆そこで質問します。
 昨年、決まってもいない車両を再三にわたり広報に掲載し、試乗会にマスコミを呼ぶなどしましたが、区民から決定事項かという問い合わせがありました。こうしたやり方は問題だと考えますがいかがでしょうか。
 1台2,000万円程度の車両に対し、トータルデザイン料という名目で有名デザイナーと3,000万円を随意契約で決めたことは問題です。しかもデザイナーの言い値だということを区は認めました。税金を預かる自治体のあり方を逸脱しています。区長と親交があり知り合いだったということで勝手に決めてしまっていいはずがありません。3億円もかけて自治体が行う事業ではありません。区政の私物化です。改めるべきです。答弁を求めます。

 次に、【池袋PRアニメを株式会社アニメイトと共同制作】することについてです。
 区は、アニメイトと池袋PRアニメの共同制作を決定しました。これは世界中の女性アニメファンをターゲットにするとして、2020年に向けて世界に発信することで国内外から豊島区が注目され、人々が訪れるきっかけにする事業とのことです。ことの発端はアニメイトが30周年記念事業としてCM制作を企画し、豊島区に共同事業にしないかと持ちかけてきたことがきっかけで始まったと伺っております。区は今年度補正予算でメインキャラクター公募費430万円を計上し、アニメ制作費3,000万円についてはアニメイトと折半しようとしています。
☆そこで質問します。
 株式会社アニメイトは大企業だという認識はありますか。まずお答えください。
 本事業はアニメイトが自らの費用で独自にやるべきです。なぜ区が毅然とした態度で、そういうことはできないと、きっぱり断らないのでしょうか。これは公民連携を逸脱した行為です。自治体の本分を見失ってはならないのであります。答弁を求めます。

 次に、【池袋周辺地域まちづくり】についてです。
 都市開発、再開発事業が目白押しです。アベノミクス区政を公言してはばからない高野区政の下で行われている安倍政権と一体となった計画で、大規模な開発投資先の確保が目的です。全国的に高齢化、人口が減少しているにも関わらず、都市間競争をあおりながら、豊島区は人口が増えるというシナリオをつくり、国家戦略特区を用いて手続きを簡略化し一気にスケジュール短縮を進め、特定都市再生緊急整備地域で大幅な規制緩和を行うことで、再開発に関わる大企業は大きな収益を得ることができます。大手建設業、不動産業、製鉄業、デベロッパーなどの収益を保障し奉仕しようというアベノミクス開発行為は、住民犠牲、住民無視の強圧的なやり方が、いっそう露骨になってきています。それに対し、住民の不安や憤りは日増しに強まり、至るところで事業の問題点が浮上しつつあります。川崎市や武蔵小杉駅周辺の再開発では住民が激しく反発し、東京駅前の八重洲再開発事業では、地権者が「八重洲の街並みを守る会」をつくり賛同者は7割に満たない状況であることが報じられました。本区においても、庁舎の上のマンション等に本当に住んでいるのか。投機目的で売買されバブルが弾けたらどうなるのか。南池袋二丁目C地区、造幣局南地区まちづくりにおいても反対の声が上がっています。いずれも「生まれ育った土地です。今のままの生活環境を変えないでほしい」「これからの生活の保障が不透明」「マンション管理費、固定資産税が払えない」など、今のまま住み続けたい、追い出さないでという声が上がっているのです。
☆そこで質問します。
 こうした住民の声をまず聞くべきです。答弁ください。
 予算ではすでに、南池袋二丁目C地区市街地再開発事業は、都市計画決定もしていない、反対者が多数いる状況にもかかわらず、3億2千万円も計上しています。まさに住民無視です。やめるべきです。
 そもそも、まちづくりとは住民合意で進めるものです。法律では3分の2の合意で再開発事業が進められるとしていますが、100%の合意がなければやらないという自治体もあります。これこそ住民本位のまちづくりではありませんか。考えをお示しください。
 区は、特定都市再生緊急整備地域で、現在6カ所の再開発事業を進めるとしています。この間、進めてきた再開発事業では6割前後の住民が転出しています。
 昨年、第2回定例会一般質問で私が人口減少して行く中で、超高層ビル・マンションの乱立は、負の遺産になるがと質問したところ、「他の地区と比べても過剰な供給とは考えていない」と答弁がありましたが、私は負の遺産にならない根拠を示すように質問しているのです。改めてお答えください。
 再開発事業は、多額の税金がかかります。区は、国庫補助や財調がくると言って、区財政の負担にならないといいますが、区民負担に絶対ならないという保証がどこにあるのでしょうか。答弁を求めます。

 ここまで2018年度予算について取り上げてきましたが、高野区長が進めるハレザ池袋を始めとした国際アート・カルチャー都市の推進、賑わい事業の多くが、過去最大の予算として重くのしかかり、次年度以降の区財政にも多大な影響を及ぼすことは間違いありません。
 保育所増設等による待機児童対策を進めてきたことは承知しています。わが党の要望がいくつか入っています。福祉費や社会保障費の問題は明日、小林ひろみ議員が一般質問で取り上げますが、いくつか取り上げます。
☆そこで質問します。
 アベノミクスによる税・保険料の値上げ、社会保障の切り捨て、給与、年金収入の削減が相次ぎ、区民の暮らしはますます深刻です。わが党区議団が切実な区民要求に応えるため、再三にわたり提案してきました。70歳から74歳の医療費自己負担2割を1割に減額するのに1億8千万円。子どもの医療費助成制度を18歳まで拡充するのに1億4千万円。生活保護世帯の風呂券60枚支給復活に約2千万円。学校給食を第3子以降無料にするのにわずか440万円です。支援が必要な区民に光を当て救済することが今こそ大事です。なぜやらないのでしょうか。お答えください。

◆民泊について質問します。
 昨年6月、政府は住宅宿泊事業法を成立しました。これは戸建住宅や、マンション、アパート等の住宅を活用し、有料で宿泊サービスを提供する「民泊」を解禁するものです。この新法は、国内外からの観光客の宿泊需要に対応し、経済の発展に寄与するためなどとして、現行の旅館業法で違法とされている民泊を合法化し、従前は宿泊業を営むには、消防設備や衛生基準など最低限の基準を満たすなど、許可が必要でしたが、これらの基準を満たさない住宅でも届出だけで認められるなどの問題を抱えながら、本年6月15日に施行されます。
 民泊は、全国の大都市、観光地で急増しています。これは、インターネットを通じて、貸したい人と旅行者をマッチングする民泊仲介サイトビジネスが世界各国で展開されたことによるものです。民泊仲介業者のエアビーアンドビー社はニューヨークで発祥した世界最大手です。昨年10月、公正取引委員会が不公正な取引方法の疑いで立ち入り調査したと報道されました。またエアビー社等の仲介業者が展開してきた民泊の多くは違法民泊です。
 こうした中、各国の流れは民泊規制です。ニューヨークでは、知事が民泊禁止法に署名したと伝えられています。ベルリン市でも規制条例が制定され、パリでも対応するなど、住民への被害が顕著になっていることから規制に乗り出しているのです。わが党は、これまで違法だった民泊にお墨付きを与えてはならず、住民の生活環境を悪化させないために、旅館業法に即したルールの適用が必要と考えます。
 豊島区の調査では、寄せられた苦情・相談が、昨年度74件、今年度は10月末時点で59件、池袋駅周辺のみならず全区的に広がっています。私にも地域から多数の心配や不安、憤りの意見が寄せられます。「夜中に騒がしく注意しようにも言葉が通じず、時に警察を呼ぶが入れ替わり立ち替わりでどうしようもない」とか、「管理人不在だし、火事になったら消防車は入れない狭い路地。どうなるのか」とか、「外国人の家族がポストに入っている鍵を取り出せずに困っていたので出してあげた。ところが部屋に入ると別の外国人客が入っていたので仕方なく別のホテルを探しに行った。セキュリティもどうかと思うが、せっかく家族旅行で日本に来たのに嫌な思いをしたと思うとやりきれない」など様々です。
 新法は、周辺の悪化を防ぐ目的であれば条例を定めて制限することを認めています。他の自治体はそれぞれ独自ルールを条例に盛り込み、学校などがある地域では認めないであるとか、住居専用地域では禁止、あるいは月曜から金曜までは禁止するなどの準備を進めています。6月15日の法施行を前に、豊島区独自ルールを作成し区民生活、宿泊客を守るために規制するのは当然です。それと同時にヤミ民泊、違法民泊を根絶する手立ての構築が不可欠です。ところが高野区長は今定例会の招集あいさつ・所信表明で、豊島区を訪れる方々の宿泊場所確保が必要と発言しましたが、区民は生活を守る条例を求めているのです。
☆そこで民泊について認識を伺います。
 区長は民泊について、他都市や観光地における問題点や、区内における状況等、どのような認識を持っているのでしょうか。
 また住宅宿泊事業法について、施行の時期や、これまでの経緯等に、どのような評価、見解をお持ちでしょうか。

☆順次、いくつか具体的に質問します。
 1つめは、民泊の営業規制についてです。
 条例案では、現行の旅館業法によって、ホテル・旅館を開設することのできない区内面積の45.6%を占める住居専用地域において営業規制はありません。また学校や保育所等周辺での営業規制もありません。法第18条には明確に区域や期間を指定できるとあります。これに則り、住居専用地域においては全面禁止区域にすることが求められています。住居専用地域以外においても営業する曜日を制限するなど、一定の日数制限が必要だと考えます。特に学校や保育所等周辺では禁止区域の設定が必要ですが、いかがでしょうか。
 また、ホテル、旅館同様に宿泊客と近隣住民の安全のために常時管理者の配備は当然必要です。こうした豊島区ルールづくりが必要不可欠ですがいかがでしょうか。答弁を求めます。

 2つめは、分譲マンションにおける対応策についてです。
 昨年末、国土交通省からマンション管理組合宛に、新法の施行前に管理規約の改正が必要というお知らせが届いています。3月15日から届出の受付が開始されることになりますが、現場は大変混乱し、「各所有者に連絡が行き届かない」とか、「急に総会は開けない」など、規約改正はとても間に合わないという声が多数上がっています。最悪なのは通知が宛先不明で戻っているケースで、お知らせを見てさえもいない管理組合もあるのです。国は慌ててガイドラインで、管理規約改正ができなかったとしても、禁止であることが総会および理事会の議事録で確認されればいいなどとしていますが、南大塚にあるマンション管理組合の理事は、「これでは十分な対応策とは言えない。民泊を営む側から権利侵害を主張されるなどして係争事案に持ち込まれたらどうするのか」と憔悴しています。このように国の対策は不十分です。
 区は、こうした状況についてどのように考えているのでしょうか。
 これならば絶対に大丈夫といった万全の対策を講じるとともに、国に対しても強く改善を求めるべきですが、いかがでしょうか。

 3つめは、職員体制の強化についてです。
 今でも不足している実態調査の実施や相談窓口開設、何よりも違法民泊を根絶するためにも通報を受けて迅速に対応できる職員体制の強化は欠かせません。国や都に対し、必要な財源を求め、職員を大幅に増やすべきです。
 また、事業を開始した民泊の所在地等の情報については、警察、消防、関係機関と共有し、違法が判明した場合は即時是正できる体制が必要ですがいかがでしょうか。答弁を求めます。

◆羽田空港の増便に伴う都心飛行ルート計画についてです。
 私がこの問題について取り上げるのは3回目となります。改めて申し上げますが、羽田空港の現在の発着処理は、海から入って海から出る、すなわち東京湾上空での経路設定で、一定の生活環境を守ることが前提です。航空機事故の発生は、離陸後3分、着陸前8分の「魔の11分」と呼ばれる離着陸時に集中しているとされます。南風時の到着便では高度を下げながら豊島区西部上空を通過することになります。1時間に30機、2分に1機が着陸するとしており、このルートの運用は15時から19時までの4時間とされますが、あくまで「当面の航空需要に対応するもの」とされ、将来的に拡大しないと約束されたものではありません。こうした政府の計画は、これまでの生活環境を守るといった約束を反故にし、国際競争力に名を借りた経済利益最優先で、住民に犠牲を強いるものであり、住民合意なく強行する姿勢は断じて許されません。昨年、わが党区議団が行ったアンケート調査でも賛成者133名わずか6%に対し、反対者は1,488名71%と圧倒的多数です。
 国土交通省によれば、全国で確認されている部品脱落は2009年度からの8年間で451件にのぼります。ただしこの数は報告義務のある国内の航空会社に限ったもので、外国の航空会社を合わせれば、さらに増える上、把握もされていません。
 ここへきて航空機からの落下事故が後を絶ちません。昨年9月、関西空港を離陸したKLMオランダ航空機から約4.3kgのパネルが落下し、大阪市内を走っていた乗用車を直撃し屋根や窓を破損しました。同じく成田空港に向かっていた全日空機から約3kgのパネルが2日続けて同一箇所から脱落し、1度目のパネルが茨城県の工場内で発見されました。今年1月にも定期整備を終えたばかりの政府専用機が、羽田空港から新千歳空港に飛行した際、500gのパネルが落下した事件がありました。
 国は、「東京湾上空は大変混雑しています」として、都心上空ルートの必要性を主張し続けているわけですが、すでに混雑した状況を都心上空に広げるなどしたら、住民の危険と負担は計り知れないことになるのです。
 昨年の私の一般質問に対して、区の答弁は、「国に対し情報開示、安全対策、騒音対策、それぞれの徹底を強く要請する」「区が直接受けたご意見や、区議会への請願・陳情、さらには一般質問などを通じてのご意見、ご要望などについても、国に対し、しっかり伝えていく」とありました。
☆そこで質問します。
 区は、これまでに国に対し、どのような要請や働きかけ等の対応を行ってきたのでしょうか。また、その対応については、区民に対し、どのように報告してきたのでしょうか。
 区民は教室型説明会開催を強く求めています。早急に実施すべきですが、いかがでしょうか。
 国土交通省は、3月末までに落下物防止対策基準案を策定すると言いますが、実効性を担保する裏付けはありません。落下物の事故が多発している中で、多くの便が豊島区上空を飛行することに対し、区はどのように考え、どのように対策を取るつもりでしょうか。
 区民の合意・理解なしに進めるなどあってはなりません。反対の声は高まっています。区は区民の合意・理解についてはどのように考えているのでしょうか。
 増便ありきで進める都心飛行ルート計画は、住民を犠牲にして大企業の利益拡大に奉仕するものです。改めて伺いますが、区として明確に反対の態度を表明すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。