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区議会質問
 
2017年第4回定例会
渡辺くみ子議員の一般質問
2017年11月22日

 私は日本共産党豊島区議団を代表して「区民の暮らしが第一、社会保障優先の区政を進めよ」と題して、
  第一に国民健康保険制度について
  第二に介護保険と選択的介護について
  第三に生活保護制度の拡充について
一般質問します。地方自治の第一の柱は、「住民福祉の増進を図る」ことです。この立場に立った区長の答弁を求めます。

 さて、安倍政権は、この5年間で社会保障予算の「自然増」を1兆4600億円削減し、社会保障を劣悪にしています。安倍政権の「自然増削減」は、医療費の負担増、介護の利用料値上げ、生活保護費の切り下げなど、社会保障制度の基盤を切り崩し、国民生活に深刻な打撃を与えています。「自然増削減」以外にも、「すでに決まっていた」と、年金額の1兆7000億円の削減や年金保険料の値上げをも冷酷にすすめてきました。これらをあわせた国民の負担増と給付減は、6兆5000億円にものぼります。
 さらに「地域共生社会」構想を打ち出しました。これは「地域」を社会保障の担い手とするというもので、「地域での支えあい」を否定するものではありませんが、社会保障の公的責任を「地域」に転嫁するものであります。
 この間わが党は、このような安倍政権の社会保障改悪の中で、区政こそ区民の暮らしの実態をきちんと受け止め、制度改悪をやめ、拡充を進めるべきであるとの立場から国保、介護、生活保護制度を毎回取り上げてきました。しかし区長の答弁はあまりにも冷たい内容に終始しています。

 では、第一の質問、国民健康保険制度について伺います。

 国保の広域化すなわち都道府県単位化が、来年度から実施となります。
 今回の都道府県単位化では都が財政運営の責任主体となり、国保事業に必要な費用を区に納付金として割り当て、区は資格管理や保険給付、保険料率の決定、賦課・徴収、保険事業等を行い、集めた保険料で都に納付金を支払う、また都は医療水準を反映した医療給付金を交付金として区に拠出するという仕組みです。では、保険料がいくらになるのか、これが最大の問題であります。

 そこでまず最初に伺います。
 9月20日に開催された第1回東京都国民健康保険運営協議会では「東京都国民健康保険運営方針(素案)」(以下運営方針素案)が報告されました。ところがこれには国保制度の定義づけとして「相扶共済の精神に則り」と記載されています。しかしこの考え方は間違っています。
 1938年に施行された、戦前の国保法の第一条では「相扶共済の精神」と記されていました。しかし戦後、1958年の国保法の全面改正で「相扶共済」は文言から削除され、国保の目的は「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」と記されました。国保制度は、憲法25条の生存権に則り、社会保障であり、そのために国が財政責任を果たすという趣旨で国庫負が導入されているのです。なぜ今、「相扶共済」」が強調されているのか、運営方針素案に記すのか。これは国保制度は社会保障ではなく「互助」いう都の考え方が表れているのです。国保法から見ても大問題であります。
 そこで質問します。
 このような都の動きに対し、区長の認識を伺います。答弁ください。
 また都のこのような動きは絶対に認めるべきではないと考えます。直ちに都に撤回を求めるべきです。答弁を求めます。

 次に区民の命と健康を守るために区長が全力で取り組むべき課題について2点質問します。

 第1は高すぎる保険料を引き下げることであります。
 先程も述べましたが、9月20日の都国民健康保険運営協議会で出された運営素案で「納付金及び標準保険料率の基本的な考え方」が示されました。
 それによると、「納付金の算定には医療水準を反映させ、標準保険料率算定には、区の実態を踏まえた収納率を反映させる」として、都が示した保険料の試算では、2017年度ベースで法定外繰入前の保険料は143,182円となり、法定外繰入後では109,115円で、法定外繰入をしない場合34,067円もの大幅な値上げになります。さらに2015年度の法定外繰入を行った保険料114,196円と比べた場合、なんと伸び率は125,38%にもなっています。
 わが党はこの間、機会あるごとに、国保の都道府県単位化で保険料はどうなるのか、区民が安心して医療を受けられる状況が作られるのか等を質してきました。しかし心配していた通り、保険料が大幅な引き上げとなる方向性が明らかになったのであります。
 昨日の11月21日には2回目の都の国民健康保険運営協議会が開催されましたが、都への納付金と標準保険料率を決定するための算定方法等を盛り込んだ内容が諮問され、運営協議会では即日答申したとのことです。昨日の開会ですから標準保険料率の内容はわかりませんが、少なくとも法定外繰入をやめた場合、今でも高い保険料が大幅に上がるという事で、これでは区民の命と健康を守ることはできません。
 区は三定でのわが党儀武議員の一般質問に、法定外繰入をやめた場合「大変厳しい結果と受け止めている」「国や東京都に財政措置などを求めていくことが重要であると再認識している」とし、また法定外繰入について、「一般財源の投入については総合的に判断してまいります」と答弁しています。
 そこで質問します。
 区独自で法定外繰入を行い保険料を下げるべきであります。答弁ください。
 また現在、都区財調制度で職員費や基盤安定繰入金等の法定内繰入金と保険料軽減のための法定外繰入金が一般財源に財調が算入されており、今後23区統一保険料方式の在り方が課題となってくるとは思いますが、体制にかかわらず、財調算入を求めるべきです。さらに国の調整交付金の拡充も必要です。
 この間、都道府県単位化の実施に向けての都のスケジュールが出されました。それによると12月1日から始まる都議会第4回定例会で国民健康保険条例の制定が付託され、同時に都は12月に国保運営方針を策定、来年1月末には納付金、標準保険料率の確定、通知、3月末には4月からの保険料率の改定のため、区の国保条例の改定を行うとしています。都への働きかけは待ったなしです。
 区長は、区長会などあらゆる手段を講じて都に強く求めるべきです。答弁を求めます。

 2つ目の課題は保険料の収納率向上に関する都の方針への対応です。
 運営方針素案には目標収納率を各区で設定するとし、都は全国平均収納率91,45%を目指すとする目標収納率を示しています。それによると、本区が該当する被保険者数5万人〜10万人未満の地域では2018年度は88%、19年度は89%、20年度は90%としています。
 この間の本区の平均収納率83%からみると大変な数字です。しかも都は収納率が上がらず、収納不足が生じた場合、滞納処分や執行停止等の区独自の対策と合わせて、都の示す対策を行うとしています。
 現在でも本区の差し押さえは805件と他区に見られない滞納処分を行っています。本区の被保険者の所得水準は8割が年収200万円未満です。年齢構成は65歳から74歳の老年人口が23%を占めており医療給付が増えるのは当然であります。「所得が低く、老年人口が多い」まさに国保制度の特徴であり、高い保険料を賦課しても払えないのは当然のことであります。このような状況に対して、取り立て強化が行われたら、保険証がないために病気になっても医療が受けられない、まさに区民の命を奪う行為であります。
 そこで質問します。
 この様なやり方は絶対に認められません。やめるべきであります。答弁を求めます。
 また東京都に対し、このような収納率向上の導入は撤回を求めるべきです。答弁を求めます。


 大きな第二の質問は介護保険制度についてです。
 1997年介護保険法が成立して20年、法が施行されて17年がたちました。「介護の社会化」が大きなうたい文句でしたが、「介護殺人」「介護難民」「老々介護」等の言葉が生まれ、介護離職者は年間10万人を超えると言われています。
 また介護の職場では「派遣でも人が集まらない」「夜勤明けでも休めない」等職員からは今も深刻な声が寄せられています。
 「必要な介護が受けられない」「人手が無く十分な介護が提供できない」これが介護保険導入17年目の実態ではないでしょうか。

 では1つ目の質問、総合事業についてです。
 80代のAさんと70代後半のBさん兄弟の世帯では、弟のBさんが要支援2となり、家事援助の申し込みをしました。ところが兄のAさんは自立しているので「家事代行は可能。Bさんの世話はできる」と総合事業の対象から外されました。Aさんは「やれることはやるが、弟の面倒までは見られない。なんのために保険料をかけているのか」と訴えています。
 また、ある事業者から「総合事業の取り扱いは中止しました」との案内がケアマネージャーさんに送付されました。わが党は先の決算委員会でも指摘しましたが、事業所では、利用件数は増加しても収入は大幅に減っている状態が続いている中で、総合事業をやめる事業者が増加しています。また今年度から始まった「訪問型サービスB」の利用も4件のみとなっています。結果、介護予防を含め在宅で頑張っている高齢者から介護を奪っているという事です。
 総合事業が始まった時点で、事業者から「総合事業には参入しない」との声も寄せられました。また現在はケアマネージャーさんからも「事業所に依頼しても総合事業はなかなか受けてもらえない」との声が上がっています。しかし、この間のわが党の「事業者の実態」に対する質問に、区は「人材不足が原因で必要なサービスが提供できないようなことがおきないよう注視しており」「事業者のご努力もあり、そのようなことはおきていない」と答弁しています。しかし実際にはいま述べたようなことが発生しているのです。区の認識は間違っているのです。
 そこで質問します。
 総合事業の実質単価が引き下げとなり、事業者が総合事業から撤退すれば、一番の被害者は利用者です。まず実態をきちんと把握すべきで、そのために事業者の実態調査を行うべきです。そして結果を明らかにし、区の総合事業に反映すべきと考えます。答弁ください。

 介護保険の2つ目の質問は介護報酬の改定についてです。
 介護保険事業計画策定にあわせ、3年に1回介護報酬が原則見直されてきました。この間は、報酬の引き下げでサービス切り捨てが行われ、利用者だけでなく事業者の経営も直撃しています。2015年度の改定では、「要支援」が保険給付から外され、先にも述べた通り、必要な支援が受けられない利用者が生まれています。
 2015年の報酬改定では、介護職員の処遇改善加算が付けられましたが、それを除けば実質4,48%もの大幅引き下げでした。
 その結果、商工リサーチの調査では2016年の介護事業所の倒産は過去最多で、また2017年1月〜9月の「老人福祉・介護事業」の倒産は71件あり、2年連続で年間100件を超える可能性があるとしています。
 福祉の現場はまさにマンパワーが中心であります。だからこそ、いかに人を確保するかが最大の課題になっているのです。
 この様な介護労働者や施設等介護現場の危機を打開するため2018年度介護報酬のプラス改定は必要です。しかし同時に報酬の増額が国民負担増に直結しないよう、保険料、窓口負担・利用料負担の軽減と合わせた報酬アップが求められています。
 ところが、財務省は、訪問介護での生活援助サービスの報酬引き下げや、通所介護事業所の規模に応じた報酬格差の導入を提案し、そのうえ、利用者の多数を占める「要介護1,2」の介護保険外しまでも検討しています。
 これでは、介護現場では労働条件は改善しないどころかさらに運営が厳しい状態に置かれ、同時に介護保険利用者から介護を奪うものとなります。
 そこで質問します。
 先の一般質問で国への報酬引き上げの働きかけを求めた儀武議員の質問に、区は「必要な改正が行われるものと考えている」「国に申し入れをする考えはない」と答弁しています。では、この報酬改定が必要な改定というのでしょうか。これでは介護の事業所を守るどころか更なる経営困難を生み出す可能性もあります。国に、窓口負担・利用料負担の軽減と合わせた報酬アップを求めるべきであります。答弁ください。

 介護保険の最後の質問は選択的介護です。
 低所得の人への対応についてです。
 担当理事者は区民厚生委員会で、わが党委員の「低所得の人への配慮とは」との質問に、「選択的介護とは介護保険に上乗せするサービスで、(希望する方の)ライフスタイルに合わせたサービス提供を可能にするもの。基本は介護保険制度で保たれており、それを堅持したもので、すべての方に一律に受けていただくものではない」また「保険給付に影響を出してしまうようなことはあってはならない。低所得の方に影響がないような形でサービスを充実させるもの」との趣旨の答弁があり、基本的には低所得の方を対象には考えられていないという事です。
 今でも介護保険の利用にあたっては、費用負担ができずにサービスを受けるのを控えている人が多くいます。区民が求めているのは「差額」を払って利用できるサービスではなく、必要な介護が保険できちんと提供される制度の確立です。このことが区として一番求められるべきものです。
 そこで質問します。
 改めて伺います。「低所得の人への配慮」とはどのように行われるのでしょうか。答弁ください。
 所得でサービスから排除されるような制度はあってはなりません。この立場からすると選択的介護の検討はやめるべきと考えます。合わせて答弁ください。

 大きな第三の質問は生活保護制度についてです。
 来年度にまたもや生活保護基準の切り下が行われることになりました、
 現在、全国の区市町村は6等級に分類されており、生活保護費のうち、生活費を分類して個々の基準額を決めています。この等級の見直しが提起されています。その他にも、有子世帯の扶助、冬季加算、医療扶助の見直しなど、新たな基準の見直しが行われる方向です。
 11月3日の毎日新聞は、「等級見直しの背景には、国・地方合わせて約3,8兆円に上る生活保護費を抑制する狙いがある」「新たな切り下げは生活保護制度の『最後の安全網』としての機能を損ないかねない」と指摘しています。
 2007年には老齢加算や母子加算が廃止され、2013年から15年に大幅な受給額引き下げが行われました。
 生活保護制度は社会保障の根幹に位置するもので、すべての福祉制度に影響します。
 また、この間の基準額の大幅な引き下げが行われた中でも、生活保護受給者は拡大しています。いかに「区民の置かれている状況が厳しい」かという事です。安倍政権の福祉切り捨て政策の下で、今こそ区民に寄り添った区政が求められます。
 そこで質問します。
 生活保護の基準切り下げにつながる制度改定は撤回するよう国に強く申し入れるべきと考えます。答弁を求めます。

 次に制度の拡充について2点質問します。
 1つ目は区独自の住宅費の加算制度の創設についてです。
 2013年からの3年間の基準額引き下げで大きな影響を受けたのは住宅扶助の引き下げです。単身の場合の住宅扶助費は53,700円まで下げられました。一等地で単身とは言え、53,700円の住居を探すことは本当に困難です。
 区の資料では単身世帯の受給者のうち約600件が限度額を超えています。結果的には生活扶助費から補填しているという事です。さらに一人当たりの最低居住水準は25uですが、15uの所への居住者は800人を超えています。
 転居相談も多く寄せられており、「区は物件はある」と繰り返しますが、なかなか見つけるのは困難な状況です。
 そこで質問します。
 住宅扶助へ区独自の加算制度を作るべきです。また区は高額所得者しか入居できない再開発による超高層マンションづくりに躍起になって取り組んでいますが、所得の低い人が安心して入居できる公営住宅の建設にこそ取り組むべきです。合わせて答弁ください。

 2つ目は入浴券の60枚の復活についてです。
 先の決算委員会でも取り上げましたが、今も述べた通り、劣悪な居住環境では入浴券は本当に必要です。この間、復活を求める私の質問に区長は「生活扶助に含まれている」と繰り返しています。しかし入浴券の支給は都区財調の基準財政需要額にきちんと位置付けられており、都から財源が出ているのです。同時に法外援護として社会的に認められているという事です。区長はいつも、「一番力を入れているのはくらし・福祉、教育」と強調していますが、そうであれば、なぜ他区並みに実施できないのでしょうか。改めて直ちに復活すること強く求めます。答弁ください。

 以上で一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。