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区議会質問
 
2017年第2回定例会
森とおる議員の一般質問
2017年6月14日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「アベノミクス推進、大型開発優先より、区民の命と暮らし、安全を守る区政を」と題し、次の4点について一般質問を行います。
 第1に、国政、都政に関する区長の政治的見解について
   (@安倍政権による9条改憲について)
   (A築地市場の豊洲移転問題について)
 第2に、区民の命と暮らしを守る諸課題について
   (@国民健康保険制度について)
   (A介護保険制度について)
   (B子育て支援策について)
 第3に、安全・安心のまちづくりについて
   (@池袋駅周辺の大型開発について)
   (Aコミュニティバスの実現について)
   (B羽田空港の増便に伴う都心飛行ルート計画について)
 第4に、マイナンバー制度についてです。
 区長の明快な答弁を求めます。

◆それでは第1の質問、国政、都政に関する区長の政治的見解についてです。
 ●1つ目は、安倍政権による9条改憲についてです。
 日本国憲法が、1947年5月3日に施行されてから、70年を迎えました。安倍首相は、その憲法記念日に、「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と明言し、自衛隊の存在を9条に書き込むことを表明し、その後の衆参予算委員会では、「9条改憲を優先させる」として、憲法99条の憲法尊重擁護の義務を投げ捨てました。
 安倍首相は、憲法9条の戦争放棄した1項と、戦力不保持、交戦権否認の2項は、そのままで、3項に自衛隊の存在を書き込むといいます。
 歴代自民党政権は、9条の規定に反し、自衛隊を世界有数の巨大な軍隊として増強してきました。しかも、安倍政権に至っては、集団的自衛権の行使について、「9条のもとでは許されない」としてきた、歴代政権の憲法解釈さえ180度覆し、戦争法の強行によって実行可能にしました。それでも9条があるために、安倍首相は、「集団的自衛権は、憲法上の制約があって限定的な行使になっている」と認めざるを得ません。その制約を突破するために持ち出されたのが3項明記なのであります。1項、2項と矛盾する自衛隊の存在を、3項に明記するということは、9条そのものを空文化させる危険があるということです。
 戦争する国づくりに暴走する安倍政権は、安保法制すなわち戦争法では、ついに自衛隊の海外での武力行使を可能にしてしまいました。こんな政権が9条に手をつけたら、とめどもない軍拡と海外派兵の拡大になることは、火を見るよりも明らかです。4月のNHK世論調査では、9条改憲「必要ない57%」、「必要ある25%」と、国民の意思表示は明確です。
 わが党は、昨年の1定で、区長の憲法尊重擁護義務に対する認識と改憲策動に反対すべきと、渡辺議員が質問しました。これに対し、区長は、憲法遵守の立場にたって区政運営を進めていると答えました。
 しかし、憲法改正については、安倍首相が、「国民的な議論と理解の深まりが必要」と述べているとのことで、現時点では反対を表明するという考えはないと言いました。

 ☆そこで質問します。
 安倍首相は、国民的な議論と理解の深まりもないままに、2020年という期日まであげて、新しい憲法を施行される年にしたいと言っていることは、看過できない重大問題であります。
 豊島区は、平和憲法に基づき、23区で最初に非核都市宣言を行いました。今年は、宣言 35周年として、広島の平和記念式典に中学生を派遣することを決めました。
 これまでもアメリカなどが行った核実験に反対し、平和行政、平和教育を進めています。
 安倍首相のねらう9条改憲は、区民の平和への願い、豊島区の平和行政を真っ向から踏みにじるものではありませんか。それでも区長は、平和憲法を改悪しようという安倍首相を擁護するのでしょうか。平和を求める区民の声にこたえ、今こそ憲法改悪に反対を表明すべきときです。明確にお答えください。


 ●次に、都政に関する区長の政治的見解の2つめに、築地市場の豊洲移転問題について質問します。
 都議選が今週、始まります。その大争点の1つが築地市場の豊洲移転問題です。この問題の大元は、2001年、石原都知事が、築地市場の現在地再整備計画を放棄し、豊洲に移転する計画を強引に決定したことに起因します。日本共産党都議団は、16年にわたって市場移転計画の闇をあばき、警鐘を鳴らしてきました。そして昨年、施設の地下に、都が土壌汚染対策として実施したと説明してきた、盛り土工事が行われていなかった事実を突き止めたのであります。
 さて、小池知事が先日の都議会で、「かつての都知事が、市場業者や都民に約束した、豊洲市場の無害化は達成できていない」と公式に認め、謝罪しました。これは、豊洲移転計画の破綻を認めた重大な言明です。
 それでもなお自民党は、豊洲市場への早期移転を主張し、公明党も移転推進の旗を振っています。しかし、都知事の言明によって、自民党が主張する「豊洲は科学的・法的に安全」論は完全に崩れ去りました。豊洲市場は、東京ガス工場跡地です。土地と地下水が大規模に汚染されています。地震などが起きたら、有毒なガスが地上に出てくる危険もあるとされています。よって、食品を扱う市場にしてはならない場所なのです。
 東京都の土壌汚染対策は完全に失敗し、4月の検査では、環境基準の100倍を超えるベンゼンが検出され、有害物質を環境基準以下にするという「無害化」は、果たされませんでした。

 ☆そこで質問します。
 築地市場の水産仲卸業者の8割近くが移転に反対し、青果の仲卸組合も、食の安全・安心が確保できなければ「移転は反対」と声明を出しています。国会では、農林水産大臣が、「市場用地とすることは想定し得ない」と答弁しています。築地市場は、全国に向けて生鮮食料品を供給しています。区内のお店や、家庭の食卓に並ぶ魚介類のほとんどは、築地から卸されたものであり、区内学校に給食の食材を卸している魚屋さんは、「築地だからこそ、子どもたちに安全で良質な魚を提供できる」「豊洲になったら、安全性はもちろんのこと、施設や立地からしてこれまでのようにはいかない」と語っています。
 移転については、きっぱり中止し、築地での再整備こそ区民の食の安全・安心を守ることになります。世界に誇る築地ブランドを未来の世代に引きつぐ事が必要です。区長の見解を求めます。


◆次に第2の質問、区民の命と暮らしを守る諸課題についてです。
 わが党区議団は、現在、区政アンケートを行っています。すでに2千通を超える回答が寄せられています。途中経過の集計をしたところ、この1年で暮らしが「苦しくなった」が47%、「良くなった」はわずか2%でした。また、住民税、健康保険・介護保険料などの負担が「重くなった」は60%、「これ以上の負担は耐えられない」は74%と圧倒的に多くなっています。まさに区民が置かれている厳しい実態が明らかになりました。この結果をもって、先日、わが党区議団は、区長に対し、区民生活を守るための緊急申し入れを行いました。

 ●まず1つめの質問は、国民健康保険制度についてです。
 今月、区は、今年度の国保料決定通知書を郵送していますが、またしても大幅値上です。年収200万円の給与所得65歳未満の3人世帯では、年間保険料は241,482円、昨年度より14,255円もの値上げです。どうやって生活しろというのでしょうか。区は、値上げの理由を、加入者が減ったこと、医療費が増加したこと、そして広域化に向け高額療養費の法定外繰り入れ分の75%を賦課総額に算入したなどと説明しています。
 国民健康保険制度は、第1条の目的で、「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と明記しています。1962年の社会保障制度審議会勧告で政府は、「制度を維持するには相当額の国庫負担が必要である」と宣言し、国庫負担の投入で、財政安定化と負担緩和を図ることが原則として進められてきました。ところが自民党政権は、それまでの定率国庫負担は、給付費の約60%だったものを、1984年の国保法改悪で50%に引き下げて以来、国の責任を後退させ続け、今や20%台にまで落ち込ませ、加入者の貧困化の中でも見直そうとはしません。それどころか、歴代政権は国保料を上げ続け、滞納者を締め上げ、保険証の取り上げを義務化しました。その結果、滞納世帯は300万を超え、正規の保険証を持たない世帯は、約120万にものぼります。
 こうして住民の命と健康を守るはずの国保が、過重な保険料負担で住民を苦しめ、無慈悲な保険証の取り上げや、問答無用の差し押さえで貧困に追い打ちをかけるという異常事態が、拡大しているのであります。
 安倍政権は、2014年「医療・介護総合法」、2015年「医療保険改革法」など、公的医療・介護制度の根幹に手をつけるような法改悪を強行してきました。これらは2018年度から本格始動することが定められており、その一つが国保の都道府県化、いわゆる広域化です。
 広域化では、東京都が保険者となり、区が国保行政を統括・監督する仕組みとなります。国保料は、都が、区にどれだけ交付金を割り当てるかに左右され、区が、都に納める納付金は、それぞれの区の医療費水準、被保険者の所得水準、被保険者数を指標にして、都が算定することになります。これらの算定に基づき、区は納付金の100%納付を義務付けられ、これまで以上に保険料の収納対策が強化され、滞納者への保険証の取り上げや、差し押さえなどが厳しくなることは明白です。さらに広域化では、都が標準保険料率を示し、区はこれを元に国保料を決定することを要求されます。これまでに、いくつかの道府県が仮算定値を公表していますが、どこでも保険料の大幅な引き上げとなり激震が走りました。結局、広域化の目的は、「国保財政の赤字」すなわち財源不足を、保険料引き上げで穴埋めするというものに他ならないのであります。

 ☆そこで国保の広域化について具体的に4点質問します。
 第1に、国保の広域化に関して、都はいまだに試算した「納付金」「標準保険料率」をはじめ、準備内容を区民に示していません。あまりにも区民無視であります。直ちに明らかにするよう都に求めるべきです。お答えください。

 第2に、自治体独自の一般会計からの法定外繰り入れ「削減、解消」に関してです。
 厚労省は、昨年4月、都道府県が作成する「国保運営方針」のガイドラインを策定し、現在実施されている自治体独自の一般会計からの法定外繰り入れのうち、「決算補填目的」の繰り入れで、「保険者の判断によるもの」については、「削減、解消」を打ち出しました。
 わが党都議団は、この間、「決算補填目的」の法定外繰り入れの「削減、解消」が、国保料にどのような影響があるのか調査を行いました。その結果、2015年度の決算ベースで換算した場合、「決算補填目的」の「保険者の判断によるもの」の「解消」で、一人当たり2万9,326円の負担増となることが明らかになりました。
 そこで質問します。
 豊島区での「決算補填目的」の繰り入れはいくらなのか、そのうち「保険者の判断によるもの」の繰り入れはいくらなのか、繰り入れが「削減、解消」された場合、国保料の負担増がいくらになるのか、お答えください。

 第3に、区独自の保険料軽減策の実施についてです。
 国が進める広域化は、るる述べてきたように、今でも高すぎる国保料が、更に大幅に引き上がることは明らかです。2015年4月の国会で、わが党の質問に対し、厚労省は、「新制度に移行後も、国保会計への公費繰り入れについては、自治体で判断いただく」と答えています。国保加入の区民の生活実態を直視し、国保料軽減策を講じることは待ったなしです。区独自の国保料軽減策の具体化を強く求めます。また、同時に都に対し国保運営方針などで繰り入れ抑制をしないよう強く求めるべきです。お答えください。
 最後に、広域化による国保料の値上げは断固阻止しなければなりません。改めて国、都に対して財源措置を講じるよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 先日行った区長申し入れの際、高野区長は、23区の区長の考え方はバラバラだと言いました。区長会がそのような状態では、国保制度の後退に拍車をかけるようなものです。高野区長がリーダーシップをとって、区民のための制度改革を行うべきと考えます。合わせて答弁を求めます。


 ●第2の質問の2つめは、介護保険制度についてです。
 区は、昨年度から要支援1と2の訪問介護と、通所介護を介護保険給付から外し、総合事業に移行しました。Oさんは、夫が長期入院中のため、現在一人暮らしです。自宅にお風呂がないので、銭湯に通っていましたが、近くの銭湯が廃業したため、遠くの銭湯に行かざるを得ません。そうこうするうちに、夫の看病の疲れや高齢による足腰の衰えで、かかりつけの医者からは、銭湯は危ないので控えるようにと言われています。現在、要支援1で、通所の入浴サービスを利用していますが、利用限度額が低いために、週1回しか入浴できません。Oさんは要介護認定の申請をした時よりも、心身の状態が変化しているため、区分変更申請をしようと、高齢者総合相談センターに相談したところ、近くのスポーツセンターに登録したら安くて広いお風呂があるよと言われ、区分変更申請を受け付けてもらえなかったと、がっかりしていました。
 本来、介護とは、人それぞれ、その時の必要に応じて対応すべきものです。介護保険制度導入時「介護の社会化」と大宣伝をしたにもかかわらず、17年経過した今、給付抑制を前面にした介護保険制度は、区民から介護を奪うものでしかありません。
 さて、この間、わが党が一貫して指摘している区分変更に関して取り上げます。区分変更の結果が、例えば要介護から要支援に変更された場合、結果が出るまで1?2ヶ月かかり、この暫定期間中に要介護の給付を受けた場合、その費用は全額自己負担になってしまいます。総合事業か、保険給付の対象かに分けたことで、これまでできていた仕組みを、できないように改悪してしまったために発生している問題です。

 ☆そこで質問します。
 昨年2定で、私の一般質問に区は、総合事業になっても、「今まで通り国基準相当サービスで変更はありません」と偽り、今年1定で、渡辺議員には、「国が示したガイドプランに沿っている」と開き直りました。この問題については、いくつもの介護事業所から、「区のやり方はおかしい」と批判の声が上がっています。なぜ区は、困っている区民に手を差し伸べようとせず、国の言いなりになっているのでしょうか。総合事業でも保険給付の対象であろうとも、暫定期間の費用は給付するのが当然です。区は、制度を一方的に変更し、給付の枠組みが変わったからと、区民に負担を押し付けることは許されないことであります。まずは、国に対し区民の実態に即して意見を示すべきです。そして当面の間、区が費用を負担すべきです。答弁を求めます。

 介護保険制度の2つめは、特別養護老人ホームの区内増設についてです。
 2015年、10年ぶりに2か所の区内特養の建設で、定員数はそれまでの630人から836人となり、地域の方々から喜びの声が寄せられています。今定例会の区長の招集挨拶にあったとおり、養浩荘の建て替えで10床増えることになりました。しかし今年3月末時点の特養待機者は663人、そのうちAランクは272人と、相変わらず多いままです。わが党は再三にわたり特養ホーム増設を求めていますが、区は土地がない、財政難で新たな用地取得は考えていないと繰り返します。また、CCRC構想で区外建設を進めようとしていますが、区民の批判は多く、住み慣れた豊島区を離れたくない、住み続けたいという声は、区のアンケート結果を見ても圧倒的です。

 ☆そこで質問します。
 今年度の新規拡充事業として、わが党が要求してきた区内特養建設に関して、「区有地を中心に整備候補地の調査及び整備シミュレーションを行う予算」として、特別養護老人ホーム整備推進調査事業費100万円が予算化されました。現在、予算が具体的にどう執行されているのか、お答えください。
 区内の特養ホームは10施設、定員数は752人です。新たな特養ホームの整備を推進するには、まとまった土地が必要です。この間、都有地などを使った再開発によるマンション建設やホテル建設など、区民の意向を無視して進められていますが、区有地を含め公有地はたくさんあります。ただちに区内特養ホーム建設計画に着手すべきです。答弁を求めます。


 ●第2の質問の3つめは、子育て支援策についてです。
 ・まず、保育園待機児童解消策についてです。
 区は、本年4月の待機児童ゼロ宣言をしました。これはわが党が求めてきた認可保育所の増設が進んできた成果です。しかしながら待機児童ゼロと言っても、その定義は今年3月の厚生労働省基準に基づくものであり、希望しても入れなかった「隠れ待機児童」は135人もいます。区は今後も、隠れ待機児童がゼロになるように、そして年度途中や年度末であったとしても待機児童が出ないように施策を進める必要があるのです。
 そうした中で、小池都知事は、政府の国家戦略特区の会議で、待機児童対策としてオフィスビルなどの事務室を、保育室に転用しやすくするために、規制緩和を提案しています。建築基準法では、保育室の床面積に対して一定以上の大きさの窓が必要とあり、窓のない事務室などは保育室にすることはできません。そこで都は、窓のない事務室などを含め、隣り合った複数の部屋を1部屋とみなした上で、転用できるようにすることなどを求めているのです。子どもたちが日の当たらない場所で一日を過ごすなど、とんでもないことです。また窓は、採光のためだけではなく、通風、換気、眺望、避難路等の役割もあるのです。数が増えればいいというものではありません。区長も申し入れた際「保育の質も大事」と言い、招集挨拶でも、「質の高い保育環境の整備に取り組む」としています。
 こうした中、解決すべき課題は、職員配置基準や施設面積基準などの改善です。これらは国際的にも非常に貧しいレベルであるにもかかわらず、待機児童解消を名目に、子どもの健やかな育ちを度外視し、さらには命と安全を脅かしているのが、国の規制緩和です。今まさに問われているのは、どんな環境で育てられるべきなのかであり、主体的にあそびや生活が保障される環境こそが、子どもの発達につながるものと考えます。保育士資格がなくてもいいだとか、園庭がなくてもいい、外が見える窓がなかったり、地下室でもいいなどの効率性優先ではありません。優先すべきは、子どもが健やかに育つための環境づくりなのであります。

 ☆そこで質問します。
 今後の待機児童解消策は、引き続き認可保育所の増設で行うことが大事です。また、地域型保育施設も認可保育所と同様に区の責任で指導、監督する必要がありますが、いかがでしょうか。
 また、窓のない保育室などの規制緩和をするのは間違いです。区長の考えを伺います。そして、専用の園庭のある区立認可保育所を増設すべきです。
 この間、上池袋には認可保育所が増えていません。増設を民間任せにしてしまっているからです。上池袋2丁目の郵政宿舎跡地を、昨年、区は購入する意思を示しましたが、その後、日本郵便は売却方針をやめて、土地の全てを保育所として自主運営する方針に転換してしまいました。しかしながら地元住民の願いは、保育所を含めた複合施設なのです。この願いに応え、日本郵便と改めて売買の交渉をすべきと考えます。
 さらに保育士の配置数も含めた待遇改善に取り組むべきですが、いかがでしょうか。
 なお、区立保育園においては、オムツを保護者に持ち帰らせています。これは改善すべきです。答弁を求めます。


 ・次に、子育て支援策の2つめ、就学援助の拡充について質問します。
 就学援助は、憲法26条の「教育を受ける権利」「義務教育無償の原則」に基づく制度です。学校教育法19条は、「経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童・生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない」としています。文科省によると2013年度に就学援助を受けた児童・生徒は153万9,680人、率にして15.68%、約6人に1人が受けています。本区において昨年度は、1,870人、率にして18%と全国を上回る結果が出ており、区民を取り巻く状況と、子どもたちが置かれている実態は、大変厳しいということが明らかです。
 わが党は、入学支度金の入学前支給と増額を強く求めてきました。希望に胸躍る新入学の春、制服や通学カバン、体操服など出費がかさみます。頼りになるのが就学援助制度の入学支度金です。この問題にわが党、清水議員は粘り強く取り組んできました。その結果、これまで8月に支給されていた中学の入学支度金が、今年から入学前の3月支給になったことは大いに評価いたします。中学に入学する生徒の保護者から「支給が早くなって嬉しい。助かります」という声が寄せられました。しかしながら、「支給が早くなったことはありがたいが、本音をいうと入学準備にはお金がかかるので、外食を減らし、兄弟には小さくなった上履きを我慢して履いてもらっている。生活が厳しい」とも語っていました。これは支給額があまりにも少なすぎて、実態に見合っていないということです。
 生活保護法第6条2項に規定する「要保護者」、この中で、生活保護を受けている小中学生は教育扶助が支給されます。「要保護者のもう一つは、生活保護世帯と同水準」の小中学生で、区市町村の就学援助に、国は2分の1を補助しています。それとは別に、区市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると規定し、教育委員会が認めた「準要保護者」の就学援助に対する国庫補助は、小泉内閣による三位一体改革によって2005年度に廃止され、一般財源化されました。
 本年3月31日、文科省は、「平成29年度要保護児童生徒援助費補助金について」として、生活保護世帯と同水準の要保護者の小中学生への就学援助の入学準備金に対する通知を、都道府県教育委員会に出しました。これにより、今年度から制度が拡充されることになりました。1つは、国の補助単価を約2倍に引き上げたことです。支給額は増額となり、小学生が20,470円から40,600円に、中学生は23,550円から47,400円に、すなわち生活保護の教育扶助と同額になりました。これにより区が実施している準要保護者の入学支度金の額は、これまでは要保護者に対する国の制度を上回っていましたが、今回、下回って逆転してしまったのであります。
 2つめは、支給時期について、中学校は入学前でも可能であることを明示し、また小学校については交付要綱を改正し、交付対象に「就学予定者」を追加しました。これによって中学校への入学前のみならず、小学校入学前の時期に支給できることが明確になったのであります。報道によると今年4月現在、来春実施を含め、少なくとも158の区市町村の小中学校で実施されることになっています。
 これらは、「支給額が実態と乖離している」「お金がかかる時期に支給してほしい」という多くの保護者の声、それぞれの地域で教育費用の負担軽減を求めたねばり強い運動、わが党が国会や地方議会で取り上げてきた結果の制度拡充です。 
 
 ☆そこで質問します。
 入学支度金の増額が必要です。そのためには、まず国に対し、廃止した準要保護者に対する補助の復活を求めるべきと考えます。
 今年3月の予算特別委員会で、わが党清水議員が、要保護世帯の支給額増額に伴い、準要保護世帯の増額を求めたのに対し、区は、「準要保護世帯まで適用するかどうかと言うのは検討中」、「この数字が出てきたのが1月末頃で(中略)各自治体は予算が終わった段階」と答弁していました。それに対しわが党は、「補正を組んででも、予備費を使ってでも(中略)予算を組むべき」と強く求めました。
 ところが、今定例会の補正予算には、入学支度金増額は計上されておりません。すでに文京区や狛江市、小金井市、府中市など、増額を決定しています。本区においても遅れをとることなく直ちに増額すべきですが、いかがでしょうか。
 支給時期についても、同じく予算特別委員会で、「中学校だけでなく小学校でも実施すべき」と質問したのに対し、区は、「先行して実施している自治体の研究をして検討中」と答弁しました。文科省通知で小学校入学前の時期に支給できることは明確になったのであります。本区においても来年から実施すべきです。お答えください。
 また現行は、4月までに申請できなければ入学支度金を受け取ることができません。制度を知らなかったり事情があって申請できなかったりする家庭への配慮が必要です。申請時期を延長するなど改善策が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 子どもの貧困問題を解消するための1つの方策として、就学援助を受けられる対象者の拡大が必要です。認定基準を引き上げるべきと考えます。合わせて答弁を求めます。


◆次に第3の質問、安全・安心のまちづくりについてです。
 これまで述べてきたように、安倍政権による社会保障削減のもと、区民の命と暮らしを守るために区がやるべき諸課題は山積しています。ところが、区が血道をあげているのが、アベノミクスを推進する大型開発です。
 ●1つめは、池袋駅周辺の大型開発について質問します。
 安倍政権のもと、大規模開発が相次いでいます。総事業費が9兆円を超えるリニア中央新幹線、1m1億円、東名高速以南も合わせると4兆円の外環道建設、羽田・成田空港の拡張、オリンピック・パラリンピックを控えた東京大改造といわれる大規模再開発ラッシュによる象徴が、東京駅前に三菱地所が進める高さ390m、日本一の超高層ビル計画などなどです。これらはアベノミクスの第二の矢、財政出動で公共事業予算を大幅に増額し、国土強靭化計画法を制定するなどして大規模開発事業を加速しているのです。これらは、国際競争力の強化、コンパクトシティなど様々な口実を設けて進められていますが、最近は観光、とりわけ訪日外国人客の誘致すなわちインバウンドを成長戦略の柱の一つと位置づけ、訪日客を2020年に4千万人、2030年に6千万人にするといった莫大な目標を掲げています。それに伴うのが、羽田空港増便による飛行ルート変更や、民泊、ライドシェアなどの規制緩和なのであります。
 東京大改造の名の下に、多くの開発事業が民間都市再生整備事業などに指定され、税制優遇や規制緩和措置の支援を受け、超高層ビル・マンションの乱立が進められています。都市再生特別措置法にもとづく、都市再生緊急整備地域・特定都市再生緊急整備地域は、70以上の地域にのぼります。民間都市再生整備事業は、この5年間だけで50件が認定され、固定資産税減免などで143億円もの減税優遇を受けています。また、用途規制、容積率制限等の既存の都市計画規制を撤廃し、ゼロベースで新たな都市計画を決定できることになります。さらに、都市計画手続きにおいて、格段のスピードアップが図られることになりました。普通、約2年8ヶ月かかる都市計画手続きを、約6ヶ月に短縮できるもので、これは開発時間リスクの軽減への配慮です。事業者にとって「時は金なり」であり、どれもこれも至れり尽くせりの大盤振る舞いです。

 ☆そこで質問します。
 区の新庁舎建設や旧庁舎跡地の開発など、池袋駅周辺のまちづくりによる大型開発、それが「公民連携」の実態なのであります。特定都市再生緊急整備地域、国家戦略特区、アジアヘッドクォーター特区の指定を受け、大型開発の多くが、国や都、そして区の補助を受けて進められようとしています。庁舎跡地活用事業、池袋西口再開発、東池袋一丁目地区、南池袋二丁目C地区、東池袋四丁目2番街区、東池袋五丁目地区、池袋駅東西デッキ等、まさに多額の税金を使った大型開発であり、これによって民間デベロッパーが最大限の利益を生み出す仕組みに他なりません。
 日本は、今後50年間で3割もの人口が減少していくとされ、年金、医療、介護、福祉、教育などを含めた社会保障制度の存続が脅かされようとしている中で、このようなまちづくりが、どうして必要と言えるでしょうか。
 私は、議会や都市計画審議会等で、人口が減少していく中で、これからのまちづくりの発想は、大きく転換する必要があると、繰り返し発言してきました。人口が減ると、マンションであれば多くの住民がいなくなります。再開発によるマンション建設は二千戸をくだらないと言いますが、将来にわたり誰が住み続けると言うのでしょうか。また、商業施設や事業所であれば経営が破綻などすれば、それこそ負の遺産となるのであります。お答えください。
 また、負の遺産となりかねない大型開発や超高層ビル、マンションに多額の税金を投入することが、区民にとってどのようなメリットがあるというのでしょうか。多くのあき家対策が、課題となっているのに、こうした街づくりは矛盾しています。民間デベロッパーの儲け仕事によるマンション建設は、区民の住宅対策にもなりません。
 今こそ必要としているのは、良質で、安価な住宅を区民に提供することではありませんか。
 区営住宅の増設、家賃補助の拡充こそ、区民が求めているのであり、まちづくりの基本です。いかがでしょうか。答弁を求めるものです。


 ●次に、まちづくりの質問の2つめは、コミュニティバスの実現についてです。
 これまで私は再三、コミバス実現を求めて議会に臨んできました。わが党が、現在行っている区政アンケートでもコミバスを必要とする区民が本当に多い事が明らかです。
 この間の経過を振り返ってみます。区民から議会に対しても、コミバスの運行を求める請願や陳情が提出され、幾度も審査されてきました。2014年、2定の都市整備委員会の請願・陳情審査において、都市整備部長が「今回の論議をステップとしまして、コミバスのあり方について抜本的に検討をしていく、経費については2015年度当初予算にお願いをしていく」と答弁し、区が予定していた検討を1年前倒しして、1,500万円の予算が計上されました。この予算に、請願・陳情者をはじめとする多くの区民から、「豊島区でも、いよいよコミバス運行が実現する」と期待が高まりました。
 区は予算を執行し、2015年度に、区民の交通行動や公共交通に対する考え方を把握するためとして、区民アンケートと主要施設へのヒアリング等、基礎となる調査を実施するとともに各種データの収集と分析を行いました。この結果をベースにして、区は「健常者から障がい者等、交通弱者に至るまでバリアなく外出機会を創出できる交通環境の実現に向け、あらゆる交通手段のあり方について、まちづくりの視点を広く取り入れながら、地域交通政策とする」としていたのです。
 そのアンケートの集計結果が、昨年4月の副都心開発調査特別委員会に報告されました。その中で、@乗合バス、A乗合タクシー、B定路線の予約型乗合タクシー、C自宅近くまで送迎する予約型乗合タクシー、この4つのうちどのサービスであれば使ってみようと思うかという問いに対する回答は、@の乗合バスすなわちコミバスを1番多い293人が望んでいるという結果が出ました。2番目はCの自宅近くまで送迎する予約型乗合タクシーが173人、3番目はAの乗合タクシー、4番目がBの定路線の予約型乗合タクシーでした。区民は、コミバス運行実現を一番望んでいるという、歴然たる結果が出たのであります。ところが区が取り上げたのは、なんと2番目の自宅近くまで送迎する予約型乗合タクシーでした。
 これは、昨年度から志木市が実施したデマンド交通を参考にしています。既存のタクシーを活用し、自宅から、市が定めた共通乗降場までの料金に補助を出すというものです。利用するには登録が必要で、高齢者、障がい者、要介護等認定者、妊婦、未就学児などで、誰もが使えるというものではありません。日曜祝日、午後5時以降などや、タクシーが混み合っている際は利用ができないとしています。また実証実験の際は、定額300円だった利用料金が、本格実施時には距離に応じて、300円、500円、1,000円となりました。コミバスとは程遠い中身です。

 ☆そこで質問です。
 2015年度に区が行ったアンケート結果で、区民は1番にコミバス実現を望んでいることが明確であるにもかかわらず、コミバス計画を実行することなく、2番のデマンドタクシーを進めてきたのはなぜでしょうか。区自らが実施したアンケートをないがしろにし、区民の声をも無視するものに他ならないと考えますが、いかがでしょうか。
 23区はタクシーの初乗り料金が引き下がりました。また志木市と違い多くのタクシー会社がひしめき合っているなど条件の違いがあります。こうした中で、どうやって、デマンドタクシーを実現していこうとしているのか、お答えください。

 次に、このデマンドタクシーとは別に、新たに区が今年度予算に計上したのが街中の気軽な移動手段だとして「BRT(バス移動システム)」の導入です。これは、わが党が一貫して反対している路面電車LRT整備構想を見据え、そのルートを基本に走らせようというものです。ところが、その後の区の説明では、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに間に合うように考えていたが、バスの需要が高く、生産が間に合わないということが分かった」というお粗末な計画でした。
 そこで断念すればいいものの、代わりに出してきたのが「低速電動バスEV」です。これは、16人しか乗れず、最高速度19キロしか出ず、1回の充電で40キロの距離しか走ることはできません。群馬県桐生市が主体となって、土日・祝日のみ運行しているもので、公共交通ではなく観光目的の乗り物です。これが池袋を走るとなれば、これまで区民から、「LRTは上野のお猿の電車」と揶揄されていたのが、まさにその通りになってしまいます。

 ☆そこで質問します。
 低速電動バス計画の公表は唐突感が否めません。どのような経緯で計画を策定したのでしょうか。わが党以外からも反対の意見が出ている中で、予算計上もせずに、当初のBRTの予算を使い推し進めるやり方は問題があると考えますが、いかがでしょうか。
 窓もなく雨の日や夏の暑い日や冬の寒い日はどうするのでしょうか。スピードが遅すぎること、乗員の安全面に問題が見受けられることを、どのように考えているのでしょうか。そうした検証もままならない中で、2019年度に運行開始するなど、あまりにも強行すぎます。私は断念すべきと考えます。
 今、高齢化が進みつつある中で、区民が切に求めているのは、コミバス実現です。わが党が調査した結果、23区で18区が運行しています。区は道路が狭いことを理由の一つにしていますが、他区でも同様ではありませんか。
 この間、わが党は区民と区内道路を調査しました。交通不便地域においてコミバスが安全に通行できる道路は、たくさんありました。真剣な検討こそ必要です。
 5月の副都心開発調査特別委員会において、私が行った低速電動バスの質疑で、区長は、「大塚や長崎にも走らせる」と答えましたが、そうであるならば、それこそコミバスを導入したらいいではありませんか。なぜそこまで否定するのか理解できません。BRT導入の予算をコミバスに振り向け、直ちに計画を実行すべきと考えます。答弁を求めます。


 ●次に、まちづくりの質問の3つめは、羽田空港の増便に伴う都心飛行ルート計画についてです。
 国交省は、「人口減少社会を迎えた日本で、これからも豊かな生活を実現していくためには、羽田空港の国際線の増便が欠かせない。しかし、深夜・早朝時間帯を除いてフル稼働しており、ヒトやモノが行き交う時間帯において、これ以上、国際線を増やすことができない」として、飛行ルート変更計画を進めています。これまで羽田空港では、騒音や安全性を考慮して、陸地を避け、できる限り東京湾上空を飛行するように配慮されてきました。ところが、東京湾上空は大変混雑しており、これ以上、増便ができないため、これまで使うことのなかった都心上空を飛行ルートに加えることで、増便しようというものです。これは、これまでの都心住民への配慮を根本から覆すものです。
 計画では、南風の好天時、午後3時から7時までの時間帯を都心上空の着陸ルートに加えることで、豊島区の住宅密集地の約1,000メートル上空を124機、1時間あたり31機、2分に1機が飛ぶことになります。悪天候時であったとしても、豊島区に近い上空を飛ぶことになります。
 国交省は、豊島区の騒音は60?70dB程度としています。騒音は、健康や子どもの発達にも影響をもたらします。WHO世界保健機関は、1日平均で65?70dBの騒音は、心筋梗塞などの心疾患を増加させるとしています。また騒音が、子どもの読解力や長期記憶力の低下につながるといった研究もあります。
 航空機からの落下物も懸念されます。成田空港では開港以来、分かっているだけで158件が確認されています。この問題を特集したNHKニュースで、成田市の農家の方が、「騒音は我慢していたが、ビニールハウスに航空機のバネ、重さは500グラムが落ちてきた。他にも自宅周辺で、部品や氷が落ちてきたため、引越しを考えている」と語っていました。2008年5月には千葉県香取市で、エアコンのパネル約12キロが、畑に落ちた記録があります。また、国交省の調査では、飛行を終えた航空機から機体カバー等の部品が無くなっていたケースが国内だけの航空会社で8年間に437件も確認されています。そのうち重さが1キロ以上、または面積が1,000?以上のものが64件だったということです。成田空港では、海の上で車輪を出すようにして落下物は減ってきたものの、過去10年間では、部品13件、氷の塊5件ありました。しかも、羽田空港の新ルートは、都心上空で車輪を出すことになるのです。
 排出される大気汚染物質は、国連の航空専門機関でも規制の検討が行われ、航空機の排気ガスにより、PM2.5や、さらに細かいナノ粒子が、航空機から排出されるとしています。国交省は、地域への影響は限定的としていますが、具体的にどれだけの影響があるのか、健康被害の危険性についても明らかにしようとしていません。なんと無責任なことでしょう。
 それだけではありません。天候の変化や、空港の混雑状況に応じた必要不可欠なゴーアラウンド、着陸のやり直しの経路も一向に示そうとしません。
 こうした中、先月末、東京新聞など、各紙が次のような記事を掲載しました。「都心上空を通過する新ルートは、2機が同時に着陸できる飛行方式が採用されるが、この方式は国際的な安全基準が確立されていないことが政府関係者への取材で分かった。国は本年度中に安全性の検証をした上で、新方式のための基準を策定する方針。ただ、国の検証結果次第ではルートが変更となる可能性もある」というものです。これは、新ルートに関して、安全基準が確立されていないまま国が強行してきたことを証明するものであり、住民や自治体に対して全ての情報を開示せずに隠し事をしてきたことに他なりません。影響を受ける地元住民からは、「信頼関係の基本が失われてしまった」と憤りの声が上がりました。

 ☆そこで質問します。
 政府関係者が、安全基準が確立されていないことを認めましたが、国のこうした隠蔽体質に憤りの声が上がるのは当然のことと考えます。こうした事実について区は、どのように認識していますか。私は、ただちに国に全ての情報を開示するよう求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 続いて、各区の対応状況について述べます。今回、一般質問を行うにあたり、私は、新ルートによって上空通過を余儀なくされようとしている各区が、どのような見解・態度を示しているのか、ホームページ等をチェックするなどして調査してみました。
・大田区「区民生活への影響が懸念される」「国に地域からの声も重く受け止め、適切に対応するように求めた」
・品川区「目標年次2020年を見直しする予定はあるのか」「国の責任で国が誠意を持って区民に直接説明することを求めた」
・港区「港区への影響に関する連絡会議を設置した」「国に実験飛行をして騒音測定、地元住民の騒音体験などの機会の提供を求めた」
・目黒区「国にこれまでの墜落事故の内容と発生頻度、事故発生時の区民への影響について資料の提示を求めた」
・渋谷区「国に区民が不安に感じている騒音の影響や、落下物等の安全対策について説明を求めている」
・新宿区「国に対して、唯一無二ということではなく、今後、関係区市と十分な協議を行った上で、関係区市の意見を反映することを意見として提出した」
・中野区「国に対し、情報を住民の方々に丁寧に説明することなどを要請している」
・練馬区「国へ、説明会の実施により集約した住民の意見を早急に明示することを要請している」
・板橋区「平成22年の羽田空港の機能拡張に伴い、航空機が板橋区の上空を通過する回数が増え、区民の苦情が増えている」「従来のオープン型説明会ではなく、対面による教室型の説明会を開催することの意見・要望を行っている」
 等々、各区とも独自に資料を作成して掲載したり、意見を述べたり、住民の立場に立った姿勢を明らかにするなどして、この問題に取り組んでいることがよくわかります。

☆そこで質問します。
 昨年、2定の私の一般質問に、区は、「引き続き、区民に対するしっかりとした情報提供と丁寧な説明を、国に今後も強く求めていく」「特に安全管理については、区民の安全・安心を守る立場から、より徹底した取り組みを強く要望していく」と答弁しました。しかしながら、豊島区のホームページをみる限り、国交省が開示している情報を要約しているだけです。今、述べた各区のような独自の意見・態度表明は全くありません。これでは区民の立場に立った姿勢が微塵も感じられませんが、なぜこのような情報発信しかできないのでしょうか。改めるべきと考えます。
 都心飛行ルートは、これまで羽田空港がとってきた騒音・安全対策に逆行する事態ですが、現時点における見解を改めてお聞かせください。
 この計画の情報が徐々に広がりつつあります。区民からは不安や反対の意見が日増しに高まっています。これらの声を区としてどのように受け止めますか。
 騒音、健康被害や落下物による重大事故が起こりうる可能性が回避できない以上、区として計画に明確に反対の態度をとるべきです。合わせて答弁を求めます。


◆最後に、第4の質問、マイナンバー制度についてです。
 2013年に国会で可決成立した、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、通称マイナンバー法に基づき、2015年10月に付番が行われ、マイナンバーと氏名、住所、生年月日、性別が一体に記載された「通知カード」が、全国民に送付されました。2016年1月からは、希望者に対し、顔写真やICチップの入った「マイナンバーカード」の交付が行われています。
 そもそも国民の税・社会保障情報を一元的に管理する「共通番号」の導入を進めてきたのは財界でした。日本経団連は2000年代から、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、「この人は負担に比べて給付が厚すぎる」などと決めつけて、医療、介護、福祉などの給付を削減していくことを提言してきました。社会保障を自己責任の制度に後退させ、「負担に見合った給付」の名で、徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担や大企業の税・保険料負担を削減していくことが、政府・財界の最大のねらいです。
 本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにしなければなりません。プライバシーを守る権利は、憲法によって保障された人権の一つです。特に現代の高度の発達した情報化社会では、国家や企業などに無数の情報が蓄積されており、本人の知らないところでやり取りされた個人情報が、本人に不利益な使い方をされる恐れがあります。そのため、どんな個人情報が集められているかを知り、不当に使われないよう関与する権利、自己情報コントロール権、情報の自己決定権も、プライバシー権として認めるべきだと考えるようになっています。マイナンバーは、それまでにあった住基ネットなどとは比較にならない大量の個人情報を蓄積し、税、医療、年金、福祉、介護、労働保険、災害補償などあらゆる分野の情報を、1つの番号に紐づけしていくことがねらわれています。
 政府は、「マイナンバー情報は一元管理されるのではなく、分散管理のままだから、どこから漏れても芋づる式に他機関の個人情報が漏れることはない」と説明しています。しかし、生涯同じ番号を使う限り、漏れた情報が蓄積されていけば、膨大なデータベースが作られる可能性が常にあるということです。1つの番号で名寄せできる情報が多いほど、詐欺やなりすましなどの犯罪に利用される恐れも高まります。実際、アメリカでは社会保障番号の流出、不正使用による被害が全米で年間20万件を超えると報告されています。同様の制度がある韓国でも、2006年に700万人の番号が流出して、情報が売買され大問題となりました。イギリスでは、2006年に導入を決めた「国民IDカード法」が、人権侵害や膨大な費用の浪費の恐れがあるとして、政権交代後の2011年に廃止されました。
 また、マイナンバー制度には、巨大なITハコモノ利権という側面もあります。制度導入のために必要な基幹システムの構築、カード発行経費、広告費用として3,400億円以上の税金が投入されました。制度スタート後も制度の維持費として、毎年、数百億円がかかっていくことが見込まれています。さらに自治体にとっても、システム改修を始めとして、さまざまな業務の増大がありますが、カード交付の一部を除き、それらの費用への国の補助はありません。自治体の費用負担も相当の額にのぼることが明らかです。その市場は1兆円とも3兆円とも言われています。マイナンバー制度が続く限り、一部の企業が大儲けし、国民には負担がのしかかり続けるのです。わが党はこのような制度には断固反対です。
 政府は、マイナンバーカードの普及を促しますが、希望者数は頭打ちです。2016年度末までに3,000万枚の発行を見込みましたが、3分の1にも届かず、国内人口の8%程度と低迷しています。これは、国民が制度の利便性を感じず、むしろ、他人に見せてはならない個人番号と顔写真などが1つになったカードを持ち歩くことへの不安が大きいことの反映と言えます。それでも安倍政権は、テコ入ればかりに熱心です。総務省が500万枚の追加発行をするために何百億円もかけ、厚労省も医療分野で利用するために何百億円もつぎ込みます。一昨年、125万件の個人情報が漏れて大問題になった日本年金機構でも、1月からマイナンバーが使われるようになったことも大いに問題です。

 ☆そこで質問します。
 住民税の徴収事務をめぐり、地方自治体が事業所に、従業員のマイナンバーを知らせるやり方にも、従業員、事業所の双方から情報漏洩のリスクを指摘する声が上がっています。給料から住民税を天引きするために、区市町村は事業者へ従業員の税額が記された、「特別徴収税額の決定通知書」を郵送します。これまでは氏名、住所、税額が記入されていましたが、マイナンバー制度を普及させるために総務省が書式を変更し、今年から番号記載欄が設けられました。
 従業員がマイナンバーの開示を拒んだ場合でも、特に罰則はなく、申告はできるし、自治体としても受理するという運用になっています。総務省の通達による「特別徴収税額の決定通知書」へ、マイナンバーを記載し郵送するなどというやり方は、重大な個人情報の漏洩につながりかねません。区として、国に、このようなやり方は改めるように意見すべきではありませんか。
 今回、区は「決定通知書」に、頭8桁の番号を非表示にして、下4桁の番号を表示して郵送しました。これは開示を拒む従業員の意思を踏みにじる行為に他ならないと考えます。「決定通知書」にマイナンバーを記載しなければならないという義務は法律上ありません。総務省のやり方に反旗をひるがえすような形で、マイナンバーを記載しない自治体が23区にも出てきたことは当然のことと考えます。区においても、きっぱりやめるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 マイナンバーカードの利用拡大についてです。区は、4月の行財政改革調査特別委員会において、総務省が行うマイナンバーカード活用の実証実験に手を上げ、都内で初めてだと説明し、今定例会に補正予算を計上しました。これは区の行事に参加すればポイントを付与し、お買い物に使えるようにするというものが含まれています。こうしたやり方は行事に参加できる方、できない方にとって不公平であり、ポイントで区民を釣るような行為は到底理解できません。やめるべきです。
 また、今後、図書館カード、区民ひろばカード、体育館カード等に広げようとしていますが、マイナンバーカードを常に持ち歩くことを前提にしています。これは、個人番号を他人に見られても構わないというもので、個人情報保護の観点に反するものに他なりません。マイナンバーについては慎重に取り扱うべきです。このような計画は改めるべきです。答弁を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。