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区議会質問
 
2017年第1回定例会
小林ひろみ議員の一般質問
2017年2月21日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「自治体本来の役割をはたし、命と暮らしを守る区政に」と題して質問を行います。
 第一に、2017年度予算について
 第二に、保育と子育て支援について
 第三に、国民健康保険について
 第四に、その他として職員の労働条件の改善についての四点について質問します。

 国会で審議中の17年度予算案は、軍事費を5年連続で増額して5兆円を突破、医療や介護など社会保障の予算は高齢化などによる「自然増」まで大幅に削減する一方、歳出の35%以上を国債で賄う異常な“借金漬け”の予算です。個人消費は冷え込んだまま。5年目に入った「アベノミクス」の破綻は明らかです。日本経済の立て直しのためにも「アベノミクス」を中止し、国民の暮らし優先の経済に切りかえることが不可欠です。
 区民の暮らしは深刻です。生活保護は高齢者世帯を中心に増えています。70代の母親と40代の息子の世帯から相談を受けました。息子の仕事は不安定雇用で収入が安定しない、母親の年金と貯金で高い家賃を払い暮らしている、更新料1か月分が高くて払えないが生活保護は受けたくないので都営住宅に入りたい、と何度も言ってました。精神障がい者Bさん33歳、障害基礎年金2級(2ヵ月で13万円)を受給、時給1050円週3回のアルバイトで月10万円程度の給料とあわせ、6万5000円の家賃を払ってなんとか生活してきました。ところが、昨年10月に年金が支給停止となり、そのことでうつ状態が悪化、アルバイトもやめざるを得ず、生活保護を受給することになりまた。生活保護を受けているCさん、大家さんから建て替えのために立ち退きを迫られています。すでに3か月移転先を探していますが見つからず会うたびに「5万3000円で生活保護で入れる物件は、みつからない」となげいています。Dさんは64歳、生活保護を受け風呂なしのアパートに住んでいます。近所の銭湯が次々休廃業し、今は板橋区の銭湯に。「年30枚の風呂券では月2回分にしからない」と悲鳴が上がっています。そのほかにも、保険料が高すぎる、子育てにお金がかかる、医療費が高い、介護が大変……これらの声にこたえる区政が求められています。

 第一の質問は、2017年度予算についてです。
 2017年度当初予算規模は、一般会計で1167億円、2校の学校改築の完了にともなう投資的経費が減り前年度比51億円マイナスとなったものの、過去二番目に大きいものになっています。区長は、この予算案を1持続発展都市にむけ確かな布石となる予算、2財政健全化をさらに進め安定した財政運営を確立した予算、3公民連携を進め新たな公共へと発展する予算と特徴づけています。
 本予算には、日本共産党区議団が求めてきた、認可保育園の増設など前進面はあります。一方で、公営住宅の新設や家賃補助の拡充はなく区民住宅は次々廃止、生活保護受給世帯の法外援護拡充などはなし、子どもの医療費無料化の高校生までの拡充や学校給食費の無料化など子育て世代への経済的負担軽減策もありません。
 
 そこで質問します。
 第四回定例会でわが党の質問に、区長は「苦しい生活実態にある区民の声を直接きく機会はそうたびたびあるわけではありませんが、私の胸にはしっかり届いております」と答えています。区長は今度の予算案で、先ほどのべたような声をどう反映したのでしょうか、そして困っている区民の生活がよくなると考えているのか。答弁ください。

 次に、来年度予算の各分野別に区長の政治姿勢を伺います。
 一つ目は基金の問題について伺います。
 財政調整基金の残高は現在262億8200万円、今議会に提案された補正第10号で63億円を取り崩し、毎年20億円程度の決算剰余金がでるのでそれを積み立てると2017年度末には221億円と見込んでいます。
 
 そこで質問します。
 未来戦略推進プラン2017をみると、いまだに財調基金の目標は「平成32年度(前期目標)数年間の景気悪化に耐えうる積立額120億円以上」になっています。120億円と220億円ではおおきな差があります。さらには、区長は今後も「基金に積み立てる」方針で17年度も「毎年20億円程度の剰余金」をすべて積み立てることを見込んでいます。当初予算の編成でも「基金を使わない」ことを「健全で安定した財政運営」としています。しかし、これはお金はあっても区民のために使わない、という姿勢ではありませんか。必要な施策実現に使ってこそ「生きたお金の使い方」になるのです。いかがか答弁ください。

 分野別の二つ目は、子育てに係る負担軽減についてです。
 社会全体で子育て支援をする、これは少子化や子どもの貧困の問題への対応として大変重要なことです。この間、わが党は子どもの医療費無料制度の高校生までの拡充について、議案提案も行い、一般質問、予算決算委員会で求めてまいりました。また、学校給食の無償化についても一般質問で繰り返し求めてまいりました。しかし区長はこれらの施策についてはかたくなに拒否しています。
 わが党はこの二つの施策については、実際の区民からの声も紹介して子育ての経済的負担を軽減する観点から必要であると提案してきました。生活が困難な家庭には給食費については就学援助があり、また医療費についてもひとり親家庭には18歳まで無料の制度があります。しかし、格差と貧困がひろがり、超富裕層がますます富み、国民全体の所得が低下するなかで中間層が疲弊し、貧困層が増大する――これが現在の日本社会の姿であり、この解決のためには、絶対的な貧困層だけでなく「疲弊した中間層」をも含む支援が必要です。また、本当に困っている人はなかなか声を上げられないものであります。だからこそ子育てしている世帯全体を対象とした負担軽減策が必要なのです。
 学校給食の無償化については「学校給食法第11条等により、材料費は保護者負担が原則」という考え方があります。しかし、この規定は1954年施行されたものであり、当時と今では国の財政状況などが大きく異なっています。また、区長は、実施している他の自治体は子育て世代の人口流出を防ぎ、移住者をふやすことを目的として実施しているので人口が増加している豊島区とは違う、と答弁しています。しかし、埼玉県滑川町では、増加している子育て世代への最も有効な子育て支援策として18歳までの医療費無料化と給食費無料化を実施しています。

 そこで質問します。
 以前区長は、高校生の医療費は一番負担が少ない、とか、他区の状況から見ても、ここまで拡大している区はない、とか、何を優先していくかという中では、高校生までの拡大は、現在では必要ないのではないか、といって拡大を拒否してきました。今も同じなのかどうか、お答えください。
 また、区長は学校給食の無償化について「必要ない」という立場なのかどうか、答弁願います。
 
 分野別の三つ目は住宅施策についてです。
 「住まいは人権」です。憲法13条は、個人の尊厳と生命・自由・幸福追求の権利を規定し、25条では健康で文化的な最低限の生活を営む権利をすべての国民の権利として保証しています。「住まい」は人間らしい生活を営む場であると同時に、すべての生活面を支える基盤です。ところが2006年3月制定された「住生活基本法」は、「住生活の安定の確保及び向上」を基本目的にしながら、肝心の居住者、国民の住生活に関する権利規定がまったく登場しないのです。しかも、「住宅建設計画法」と同法に基づく「住宅建設計画」も廃止されたため、公共住宅の供給に関する政府目標もなくなりました。そのため、政府は住宅に関する公的責任を大きく後退させ、公営住宅、公団(UR都市機構)住宅の新規建設を行わないばかりか大きく削減しています。2016年に改定された「住生活基本計画」では、住生活の安定の確保に最大の課題である住居費負担について全く記載がありません。先の第4回定例会で、区民住宅廃止条例を審議した都市整備委員会では、豊島区の理事者も住居費の負担について数字をもっていませんでした。そういう観点が国にもないし、豊島区にもなくなっているのです。
 この間の豊島区の住宅政策は後退に次ぐ後退、縮小に次ぐ縮小で、「住みたい」と思っても住み続けられなくなっています。その典型例が中堅ファミリー世帯向けの「区民住宅」の廃止です。期間満了により今年3月末までに15団地が廃止され、17年度はさらに8団地が廃止になる予定です。未来戦略推進プラン2015で新規拡充事業として区民住宅の継続入居支援事業(家賃助成)を始めた時は、17年度予算は870万円と見込んでいましたが、実際には380万円しか組んでいません。ついでに言えば家賃補助では、子育てファミリー世帯への家賃助成事業の予算はわずかですが減額、高齢者世帯等住み替え家賃助成事業は今年度と同額です。サービス付き高齢者向け住宅については14年度から事業者を募集していますが、家賃や本人負担金が高く、事業者も手をあけないので、登録しているのはわずか2棟だけです。
 区は区営住宅や福祉住宅の増設は拒否し、「公営住宅よりも既存の賃貸住宅の利活用や供給のあり方に移行すべきもの」と言ってきました。この点では居住支援協議会は頑張っていますがなかなか実績は上がらず、「リノベーションまちづくり」もうまくいっていません。
 都営住宅については、ようやく最近は、東京都議会でもわが党だけでなく他党からも新規建設や戸数の増加を求める声が上がり、都営住宅の新規建設が必要だという認識は広がりつつあります。区民の声をきいていればそうなるのは当然です。また、豊島区住宅基本条例では、第二条で「区は、安全で快適な住宅及び良好な住環境を確保することが、安定した区民生活にとって欠くことのできない基礎的な条件であることを確認し、すべての区民がその人間性を尊重され、安心して住み続けられるとともに、豊かな地域社会を形成できることを目標とした住宅政策を総合的に推進するものとする、第9条には「区は第一条の目的を達成するため、区営住宅、区立住宅及び区が借り上げる良質な民間住宅の供給を促進し、かつ入居管理の適正化のための施策を推進しなければならない」とあります。

 そこで質問します。
 この間の豊島区の住宅施策の後退は、住み続けたいという区民の願いにも、豊島区住宅基本条例の理念にも反しているのではありませんか。区長は条例にあるとおり、「すべての区民がその人間性を尊重され、安心して住みつづけられる、住宅政策をすすめる」という立場に立ち、豊島区自ら公営住宅を増やすことに足を踏み出すべきです。ファミリー世帯や高齢者、低所得者への家賃補助の拡充をするとともに、東京都に対しては都営住宅新設を要求すべきです。いかが答弁ください。

 分野別の四つ目に大型開発・道路計画について伺います
 先日ある方から「高野区長は箱モノばかり作っている。納得できないので、東北と熊本に寄付、ふるさと納税した」と言われました。豊島区で、ふるさと納税がふえているのには、このような理由もあるのです。
 17年度予算案には市街地再開発として東池袋五丁目地区市街地再開発(2億2880万円)、東池袋四丁目2番街区地区市街地再開発(1億5432万円)がもりこまれており、今後3年間で35億円となります。また池袋駅東西デッキ整備事業は17年度予算では西武本社ビル建設に関連しビックリガードに係る部分についてなど1億6400万円が計上されています。2019年度には、区長が「国際アートカルチャー都市」の目玉としている新ホール、新区民センターに関する経費も133億円がみこまれています。さらに区長は、所信表明で国際アートカルチャー都市の「空間戦略」の主要事業としての「池袋駅東西デッキ整備とBRT」として、東西デッキや庁舎跡地周辺の開発、さらには環五の1の地下道路など人や車の新たな道路計画や交通計画を立案しなければならない案件が目白押し、LRTの検討もある、新たにBRTについても取り組むと、表明しました。
 
 そこで質問します。
 わが党は東西デッキについても、LRTについても、結局区民需要を圧迫することになりかねないと指摘してきました。しかし、区長はあくまでこれらに固執しています。過去には事業費の試算を出したことがありますが、最近は一切示さずにすすめています。さらに区長の思い付きのように、次々と提案がなされ、今回、あらたにBRTと呼ばれるバス輸送システムの導入をオリンピックまでに運行できないか取り組む、といいますが、議会には、具体的に何をするのか、いくらかかるのかは示されておりません。改めて伺いますが、これらの施策をこのまま進めていっても区財政に影響がないという保証はいったいどこにあるのか、答弁ください。

 道路計画として特定整備路線について伺います。東京都は2020年のオリンピックまでに整備するとして「防災」を口実にした28本の特定整備路線を進めています、そのうち7本が豊島区内であります。巣鴨の補助81号と池袋本町の補助73号・82号については、明確に「道路に反対」の住民が「測量お断り」などのポスターをはるなど反対運動をつづけています。東京都の説明があまりにもひどく納得できない、代替地もなく残地を買い取ってくれるかも不明、住み続けられない、道路ができれば静かな町が破壊されるなどの理由です。実際に区内の特定整備路線は、用地取得は進んでいません。昨年4月現在長崎の補助172号が1%、巣鴨の81号線で2%、池袋本町も73号は3%、82号は4%、一番進んでいる南池袋で46%、補助26号千早側で32%です。そもそも、70年前に決めた計画をそのまますすめようというところに大問題がありますが、その上、実は1946年に「決めた」といわれる事実にも疑問が呈されています。戦災復興院が1946年に告示し、都市計画決定したとする道路は、主務大臣の決定を示す文書がありません。しかも東京都庁に原図をおいて縦覧に供すと告示されているのに、東京都はその原図はないとしています。法律や憲法に違反しているのではないかという問題であり、北区や板橋区では住民が裁判をしています。
 そこで質問します。
 これら特定整備路線について、計画決定時の原簿・原図が保存されておらず、法的根拠がないことについて、豊島区としてどのように認識しているのか、お答えください。
 
 特定整備路線については、これまで長い間建設が進まなかった道路を、わずか7年、2020年までに建設しようということ自体が間違っていたのです。都市計画道路建設には20年、30年と長い時間がかかってきました。そう簡単に立ち退きなどできないからです。また、計画線上に住んでいた人の多くが区域外に移転を余儀なくされ、道路で街が分断され、高い建物の日陰となったり、自動車の交通量も増え騒音や振動に悩まされるなど、残った住民の生活も大きくかわります。道路建設とそれにともなうまちづくりには、住民の十分な話し合いと納得がなければならないのです。強行するべきではありません。
 そこで質問します。
 今予算の中には、特定整備路線整備に伴う児童遊園等の撤去530万円、道路工事事務所を更地返還し新資材置き場の整備に7300万円が組まれています。ほとんど進んでいないのに、何も率先して豊島区が返還し、児童遊園を廃止してしまう必要があるのか、このような予算は削除・撤回すべきと考えますが、答弁ください。

 第二に 保育と子育て支援について質問します。
 区は17年度末の待機児童ゼロを目指しています。これまで待機児童は4月が最少で、入れない子どもがだんだん増えてくるというのが通例です。年度当初でなく来年度末での認可保育園待機児が本当にゼロとなるならば、まさに「いつでも入れる保育園」に一歩近づくことになります。
 今年4月の認可保育施設への入所申し込み数は1736名、第一次選考で内定は1288、保留が448名(転園希望含む)います。第一希望の施設として認可保育園を選んでいる人が圧倒的に多く1706名となっています。地域型保育施設(小規模保育や保育ママ)を第一希望としているのは、わずか29名、という数字を見ても、保護者の希望は「認可保育園に入りたい」というものです。
 
 そこで質問します。今年4月現在の待機児童数の見込みについてお答えください。2018年3月末にゼロにするという待機児の定義は待機児童対策も含めた新定義なのか、あるいは認可保育園を希望してもはいれないといういわゆる隠れ待機児童もなくすものなのか、答弁願います。
 真の待機児童ゼロを実現するためには、認可保育園のさらなる増設が必要です。しかし、池袋西口の豊島都税事務所の空きスペースの活用とは、規制緩和で地下空間を活用することになるのではありませんか。そういう保育園ではなく、この間指摘してきたように高松第一保育園跡地の利用や民有地を買い上げたりして、園庭のある質の高い保育園を増やすべきです。答弁ください。

 認可保育園が急速に増えています。施設を増やすためには場所を確保することと合わせてそこで働く職員、保育士の確保も重要です。子どもの健やかな育ちと安全を保証するためにも、その待遇改善が必要です。保育士不足の原因は資格を持つ人が足りないからではなく、待遇改善が進まないため大量の潜在保育士が生まれているのです。この間、国が保育予算を低く抑え、東京都も公私の保育園の賃金格差を是正するために行っていた補助を廃止してしまい、東京の保育士の賃金が全産業の平均より15万円も低いのです。今、社会福祉法人も株式会社も保育士の確保に困っています。新たに民営化を引き受ける法人を探すよりも、豊島区として区立の保育園を増やさなければならないのです。
 
 そこで質問します。
 豊島区内の認可保育園は今年4月に60園となり、うち21は公立(うち2つは公設民営)、私立保育園39園のうち、社会福祉法人が20、株式会社が19という構成になります。現在豊島区は「平成33年度以降に区立保育園の3園民営化を予定」しています。しかし、民営化を決めた時と状況が変わっています。さらに区立の保育園を作らねばならない時期でもあります。保育園の民営化計画について検討しなおすべきです。答弁ください。

第三に 国民健康保険についてです。
 17年度の一人当たり保険料は11万8441円になり前年度比7252円の値上げとなります。ここ5年間では金額・率とも最大の値上げ幅となります。
 国の政令改正で低所得者の均等割りの5割・2割軽減の対象を増やしますがそれでも、年収900万円の給与世帯の一部以外は低所得世帯も含めて軒並み値上げ、たとえば年収300万円の年金2人世帯では、現在22万2936円の保険料が1万4685円も引き上げられ、23万7621円にもなります。
 保険料の値上がりの大きな理由は二点あり、一点は前期高齢者の割合が増え、調剤医療費も増えることで、医療分の賦課総額が増額する、もう一点は特別区として実施していた高額療養費の一般財源からの繰り入れを16年度の33%から25%に引き下げたことです。
 高額療養費の一般財源からの繰り入れは「国保広域化」にむけ18年度全額廃止する計画で、当初16%とする予定でしたが、区長会で総会では意見がわかれ、正副会長の協議で参入率を100分の75にとどめ25%になったとのことです。減額をへらしてもここまで値上がりしたのであり、18年度に全額廃止すると大幅な値上げとなります。昨年12月26日に区長会として厚生労働省に緊急要望を実施、「国保広域化」を前提にしつつも、定率国庫負担割合の引き上げ等国庫負担の充実、低所得者層への一層の負担軽減、子育て世代の経済的負担軽減を目的とした区市町村の補助制度に対する財政措置、高額医薬品の低価格化やジェネリックなど医療費抑制にむけた措置、国保広域化の際の激変緩和措置の実施と安定運営に向けた財政措置を求めました。
 
 そこで質問します。
 区長は、今回の保険料改定について区長会総会でどのような立場をとったのでしょうか。また、高すぎる保険料はあらためて引き下げるよう求めます。
 特別区長会の要望は、国保広域化を前提にしつつも、このまま「国保の広域化」を進めると国民健康保険という制度が成り立たないことを示しているのではありませんか。区長はこの要望が通らなければ「国保広域化」などは無理という見解なのか、伺います。
 また、18年度から「国保広域化」をすることを前提に、東京都と市区町村での「協議」が行われています。しかし、その情報が公開されていません。保険料はいったいどうなるのか、それ以外にも、これまで行ってきた23区統一保険料はどうなるのか、都区財政調整交付金への影響はないのか、などなど疑問はあります。わが党は、「国保広域化」で各区が一般財源の投入をしなくなれば保険料が大幅に上がる、と指摘してきました。広域化になっても自治事務として一般財源を投入し、保険料を低くおさえるべきと考えます。答弁ください。
 
 昨年第三回定例会でわが党儀武議員が国民健康保険制度について「社会保障という認識があるか」との質問に、区は「国民健康保険は、その皆保険制度を下支えする最も基幹的な社会保障制度であると認識しています」と答弁しています。高齢者や農業、零細な自営業などが加入する制度です。ところが収入がなくても保険料を課せられるという仕組みになっています。被用者保険では、その時点の収入に応じた保険料となり被用者が半分を負担することに比べて、国民健康保険は、収入がへっても前年度の収入をもとに計算された保険料を払わねばならず、また軽減あるとはいえ均等割りの保険料があり、その結果ひとり親や多子世帯の負担が多くなっています。憲法25条生存権を保障する社会保障、それを下支えする制度です。これらの問題点を少しでも改善をしていく必要があります。
 そこで質問です。
 東大和市では、多子世帯の負担軽減として同一世帯に18歳以下の加入者が3人以上いる場合3人目からは均等割りを無料にする施策を行っています。均等割り負担軽減の措置をすべきですが、いかかでしょうか。23区統一保険料ということでできない、などというのではなく、たとえばその負担軽減の補助金制度をつくるなど検討すべきですがいかがですか、答弁ください。

 第四に職員の労働条件の改善についてです。
 まずは超過勤務の解消についてです。昨年の決算委員会で、相次ぐミスと職員の残業時間の問題について指摘をしてまいりました。相次ぐミスは、区民の信頼を損なうとともに、その対応のためにさらに業務がふえ、残業を招くという悪循環になり、区民サービスを低下させます。この間の法改正や新しいシステムの導入、制度や仕組みがかわり仕事が増える、国から新たな仕事が下りてくる、区民要求にこたえ対応をするなどのために、仕事量は増えています。しかし、定員管理計画や未来戦略推進プランで人件費削減、職員削減が言われている中で、残業がふえる、あるいは増えた仕事を民間委託や民営化する、出先機関がなくなって現場がわからなくなる、職場に余裕がなく、仕事のノウハウの蓄積や引継ぎができなくなる、それがミスにつながり、対応のためにさらに仕事が増える、そんな悪循環を断ち切らなければなりません。
 ところが先の定例会でのわが党の一般質問に対し、区長は、この間の事務処理ミスは「職員個々人の知識や意識の不足、マニュアル化等によるシステムへの依存、組織として事務処理ミスを予防するマネジメント機能の不全などが主な要因であり、職員定数の削減のみによるものではないと考えている」としています。そして、昨年9月には「イクボス宣言」、今年1月には全庁19時一斉消灯など、働き方について人目を引く施策を打ち出していますが、これで本当に改善できるのでしょうか。
 昨年9月に政策経営部長名と総務部長名で「超過勤務時間の削減について」の通知が出されました。「超過勤務縮減のための新ルール」には、「定時に帰る仕事の組み立てを」「事前の届け出は午後5時までに」「超過勤務の内容と成果は、上司に報告を」「休暇の予定はOUTLOOKで明確に」「恒常的な超過勤務は、全職員で対応を」とあり、基本的に職員の自己責任と管理職のマネージメントに解決をゆだねています。そして、「19時消灯」です。職場からは、「業務量に見合う人がいない」「現場の実態を掴んでいない」「今もすべての超過勤務を申請しているわけではない」との声が出ていると聞いています。若い女性社員が長時間過密労働とパワハラで過労死自殺した「電通」がやはり10時消灯を行ったが、結局、内部では残業が続いていたなどの例もあります。わが党区議団は、今年1月この問題について緊急に区長に申し入れ、現場の実態を解決せずに形だけ進めれば、結局サービス残業や「ふろしき残業になる」と指摘しました。
 
 そこで質問します。
 残業を解消するには、職員や管理職の自己責任を追及したり、19時消灯など形式的な制限をするだけではうまくいきません。まずは仕事量に見合った職員の増員が必要であり、さらには有給休暇や育児休暇を当たり前にとれる、チームワークが取れる人間関係を作れなければなりません。そのためには、勤務成績で給与に差をつけることをやめ、現場の本音が言えるような職場にすることが必要です。いかがですか。また、区長の肝いりで始めた豊島区役所本庁舎の土日開庁ですが、特に四階福祉フロア―は利用者も少ないため、中止すべきです。答弁ください。
 
 次に非正規雇用待遇の改善についてです。豊島区で働く職員は現在正規職員1970人に対して非常勤は520名、臨時職員は1000人以上が働いています。これまで取り上げた子どもスキップだけではなく、介護認定、図書館、保育園などで責任ある立場で働いています。豊島区の非常勤制度は定期昇給、一時金、退職金がなく、人件費は正規の3分の1程度です。さらに問題なのは、どんなにベテランであろうが仕事ができようが1年ごとの契約で4回更新限度があり、5年目には採用試験を受けなければならないことです。
 23区では更新限度を撤廃している区が16区、撤廃理由は「区で働き育てた職員の流出を防ぎたい」「人材確保のために更新限度はなくした」などというものです。
 このまま豊島区が更新限度を設定し続ければ、良い人材は安定した職場にうつっていくことを止められません。豊島区では、非常勤職員も10年以上の経験をもつベテラン職員が増えてきています。ただでさえ、昇給もない、期末手当もない、そのような中で専門性を生かし、豊島区で働き続けてもらうには、更新限度の撤廃は必須です。
 また、地方自治体の臨時・非常勤職員の労働条件については、先般総務省の有識者研究会から「非常勤にも手当支給を」という旨の報告書がだされました。同一労働同一賃金から言えば当然のことです。
 そこで質問します。
 非常勤職員の4回更新限度はただちに撤廃し、安心して働きつづられる職場にすべきと考えますがいかがですか、また、非常勤職員の定期昇給、一時金、退職金の創設、また臨時職員の交通費の支給など労働条件の改善を求めます。
  以上で質問をおわります。