HOME >区議会質問>第32回定例会 儀武議員の一般質問
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区議会質問
 
2016年第3例会
儀武さとる議員の一般質問

2016年9月14日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して「社会保障の拡充で、安心して住み続けられる区政へ」と題し、一般質問を行います。
第一に、後期高齢者医療について
第二に、国民健康保険について
第三に、防災対策について
第四に、公契約条例についてであります。
 区長の明快な答弁をお願い致します

第一に、後期高齢者医療についてです。
 安倍首相は、参議院の選挙中は「社会保障の充実に全力を尽くす」と繰り返し発言をしていましたが、選挙後は、医療、介護などの社会保障改悪案を次々打ち出しています。
 医療では、75歳以上の窓口負担を1割から2割に倍増する負担増計画です。介護では、「要介護1、2と認定された人について、訪問介護の生活援助や福祉用具などのサービスを保険給付外にすることです。生活保護では、復活した母子加算を再び切り捨てようとしています。選挙期間中は社会保障に力を入れるかのような発言を繰り返し、選挙が終わった途端に改悪を後出しするやり方は、まさに国民を「だまし討ち」する暴挙あり、絶対に容認することができません。 
 
 社会保障の全面的改悪が行われようとしていますが、今回は、医療について質問を行います。安倍内閣は後期高齢者医療制度について第一に75歳以上の窓口負担を1割から2割に倍増、第二に保険料の特例軽減を2017年度から廃止する計画を明らかにしました。実施されれば低所得者保険料が2倍〜10倍に急増します。
 後期高齢者医療の保険料は、低所得者には特例軽減があり、制度導入時の2008年度から、夫婦世帯で夫の年金収入が年間168万円以下の人などを対象に、年金が年80万円以下の人が9割軽減、80万円から168万円以下の人が8.5割軽減に、加えて高齢者になるまで被扶養者だった人も9割軽減が行われています。この軽減特例が廃止されれば、2014年度実績で865万人、加入者の半数以上が影響を受けると言われています。こうした負担増について、日本医師会は、「後期高齢者の年金収入はそれほど多くない。あまり負担を高くするのは反対だ」、労働組合の連合は「本来必要なセーフティネット機能を弱体化させてはならない」、さらに全国市長会でも「高齢者の所得格差がある。低所得者への配慮は十分検討すべき」と表明しています。
 後期高齢者医療の2016年度と2017年度の保険料は引き上げられましたが、一人当たりの平均保険料は初めて前期よりマイナスとなりました。東京都広域連合でも‐1,4%で、区は、これは高齢者の収入が下がっているからと説明しています。
 これまで、保険料改定の度ごとに大幅値上げが行われてきましたが、47都道府県の広域連合の2014年度の決算は、単年度で801億円の黒字です。医療費を過大に見込み、保険料を取りすぎた結果で、これまでの繰越金を加味すると5,374億円の黒字です。ですから、窓口負担の倍増や特例軽減を廃止する必要は全くありません。
 窓口負担の2割と低所得者の特例軽減の廃止による保険料の大幅負担増は、受診抑制、医療崩壊にいっそう拍車をかけるものであり、高齢者は長生きをしないで、早く死ねといわんばかりです。「世代間の公平」を繰り返し、高齢者に負担増を強いていますが、年齢が高くなるにつれて医療費は増えますが、収入は減ります。「公平」という理屈は成り立ちません。
 そこで質問します。
 区長は区民の命と健康を守る立場に立ち、後期高齢者医療の改悪に反対を表明すべきです。答弁を求めます。 
 また、繰越金の活用、国庫負担の拡充により、国と都に保険料を減額することを強力に要請すべきです。答弁を求めます。
 
 第二の質問は国民健康保険(国保)についてです。
 国保の第一の質問は「国保は社会保障」いう認識についてです。
今年は「税金が払えない、国保料が払えない」「生活ができない」という相談が相次いでいます。69歳のAさんは仕事量が減り月12万円前後の収入で、4万円の家賃を払うと生活が目いっぱい。それでも持病があるため国保料は払い続けましたが、税金は滞納していました。先日、給料が振り込まれた途端差し押さえられ、「食べることもできない」と悲痛な声で相談が寄せられました。これらは国保料も同様で、区民の生活実態は大変深刻です。改めて国保制度についての国の規定を述べます。国保は国保法第一条で「社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と、社会保障であることが明記されている唯一の社会保険です。国民皆保険体制となっている公的医療保険の中で、国保は皆保険体制を下支えする役割を担っています。それは、国保以外の公的医療保険の対象とならない人々が、すべて国保に加入することになっているからです。そのため、他の公的医療保険に比べて高齢者の加入率が高く、無職の方の加入者が多いという特徴があります。当然のことながら、負担能力も高くありません。
 昭和33年国保が新法で出直す際、社会保障審議会は2度にわたり政府に勧告しました。低所得者が多く企業主の保険料の負担がない国保は、社会保険の形はとるが、社会福祉、医療保障として国は対応すること。医療保障制度は所得に関係なく一定水準の医療給付を行うのが目的で、その責任は国家にあること、そしてその証として国庫補助金をきちんと出すこと、等を指摘しておりこれが国保の基本的なあり方であります。
 わが党は機会あるごとに「国保は社会保障制度という認識を持っているか」を質してきました。区は「社会保障制度であると」を繰り返していますが、一方で「国保制度を安定的に運営することが求められる保険者として、給付の公平化を図るためにも、負担を求めることはやむを得ないもの」と負担の公平を強調しています。
 滞納相談の際、区から「生活が厳しくても保険料を納めている人もいる」「国保は加入者による助け合いの制度なので保険料を納めてください」と、言われたと相談者から聞いています。本当に社会保障としての認識があるなら、こんなひどいことは言えないはずです。病気は、自己責任や助け合いでは解決できないからこそ、先人たちが工夫して積み上げてきた仕組みが医療保障であり、社会保障として医療保障の仕組みを整備することで、誰もが安心して医療にかかることができます。そのために公的医療保険として、歴史的に整備されてきたのが国保です。
 そこで質問します。
 本来、社会保障の財源は、国と自治体が大半の責任を負うべきです。被保険者に値上げを押し付けることは、社会保障の公的責任を放棄するものと言わざるを得ません。区民の生活に一番身近にいる区長こそ、国保は社会保障という認識をきちんと持つべきです。答弁を求めます。
 また、「高すぎる保険料」により滞納者を生み、区民の暮らしを困窮させ、医療を受ける権利を侵害しています。国保料を引き下げるために一般財源からの繰り入れを行ってでも、保険料の引き下げを行うべきです。答弁を求めます。
 さらに、わが党は、国保料を引き下げるためには、繰り返し国庫負担の大幅増額を求めてきましたが、増えるどころか減っているではありませんか、本気になって、国庫負担増額を求めるべきです。答弁を求めます。

 国保の2つ目の質問は国保滞納者への差し押さえ・滞納処分についてです
 本区の国保加入世帯は、2016年3月末時点63,385世帯で、そのうち所得が200万円以下の世帯は、48,985世帯と約8割を占めています。所得のない世帯についてみると24,429世帯もあり、国保加入世帯の約4割にも上ります。経済基盤の弱い世帯が国保に加入しているにもかかわらず、今年度、一人当たりの平均保険料は111,189円、前年度より4,644円と大幅な値上げをおこないました。国保料を払いたくても払えない滞納世帯数は29,374世帯、2014年度から滞納世帯数に、資格喪失世帯数も含むようになり、世帯割合は前年対比で28.01%から36.75%となり、実に3世帯のうち1世帯が滞納する深刻な事態です。滞納処分状況は、2015年5月31日現在では、短期証は3,951人、資格証は2,539人となっています。差し押さえ件数、681件、金額は8,526万円となっています。差押え件数で報奨金として支給される東京都特別調整交付金は、2014年実績で3,300万円にもなっています。都が自治体に特別調整交付金を交付して、差し押さえを推奨しているのは大問題です。
 そこで質問します。
 国保は社会保障ですから、資格証明書の発行、差し押さえをすることは絶対にあってはなりません。国民皆保険制度を事実上、空洞化させ医療を受ける権利をうばう短期保険証、資格証の発行と差し押さえは止めるべきです。答弁を求めます。
 また、東京都が特別調整交付金をつかって差し押さえを推奨することは、絶対に許せません。ただちに止めるよう東京都に強く申し入れるべきです。あわせて答弁を求めます。

 国保の最後の質問は広域化についてです。
 国保広域化導入について、昨年の一定でわが党の「直ちに撤廃を国に申し入れること」の質問に対して、区長は、「だれもが安心して医療を受けることができる国民皆保険を実現し、また、将来にわたり医療保険制度を維持可能なものとしていくためには、制度改革を続けていくことは重要」として「国保制度の広域化について撤廃を国に申し入れる意向はない」と答弁しました。
 しかし、今回の法「改正」は国保の構造的な問題を解決するためにおこなうものではありません。一言でいうと「国保を医療費の適正化(削減)の道具にするため」であります。2014年に成立した医療介護総合確保法で地域医療構想を策定することが義務付けられました。この地域医療構想で都道府県ごとの医療供給体制の枠組みを決め、医療費の大きなシェアを持つ国保を同時に都道府県化単位とすることで、医療供給体制と医療費支払いをリンクさせる、つまり、国保財政の運営責任を都道府県が負うことで「効率的な医療供給体制」=「医療費抑制」を進める仕組みをつくりあげることが目的となっているのです。
 また、23区では保険料を低く抑えるために各区が法定外繰入として、一般財源から高額療養費分を負担してきました。広域化導入に向けて、自治体独自の保険料軽減策を「政令基準に合わせる」としやめさせ、区民に保険料の値上げを押し付けているのです。この間、委員会で私が「広域化で保険料は下がるのか」と聞くと「下がるかどうかわからない」との答弁が繰り返し行われてきました。これほど無責任な答弁はありません。区民の医療を保障する国保制度が、「高すぎる保険料」のため医療を受けられない区民を生み出していることは事実です。にもかかわらず、「保険料は下がるかどうかわからない」「しかし進める」などとは言語道断です。
 地域医療構想と医療費適正化計画の推進で、都道府県に医療費抑制の役割をもたせ、都道府県はその競争に駆り立てられます。ですから国保の広域化は、国保が憲法25条の生存権に基づく社会保障制度としての位置づけはありませんし、保険料が引き下げられる保障はありません。
 そこで質問します。
 改めて、お聞きしますが、国保の広域化で、保険料は下がりますか、答弁を求めます。また、今こそ、社会保障の立場に立ち、国保法を遵守し、保険料引き上げにつながる国保の広域化に反対すべきです。答弁を求めます。
 
 第三に、防災対策についてです。
 近年、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など大震災が続いています。東日本大震災から5年が経過しますが、災害公営住宅は岩手県、宮城県、福島県の3件の建設目標に対して、これまで完成したのは、2016年2月現在、15253戸で、完成率は51%です。遅々として進んでいません。熊本県の復興はこれからです。震災復興の課題に直面しながら、迫りくる巨大地震の対応の準備も必要です。30年以内に東海地震87%、東南海70%、南海60%、首都直下・南関東70%の発生確率ですから、一刻の猶予もありません。
 4月に発生した熊本地震でも、建物が倒壊し公共施設等に住民が殺到、車上避難者も含めると、掌握できないほど集中したと報道されました。住宅被害をどう減らすかは喫緊な課題です。

一つ目に、耐震補強についてです。
 2014年3月に閣議決定された「首都直下地震緊急対策推進基本計画」(以下「基本計画」という)は、あらゆる対策の大前提として、国、地方公共団体は建築物の耐震化の取り組みを強力に推進するとしています。阪神大震災で圧迫死が8割を超えたのは、建物の倒壊が救助を困難にしたからです。熊本地震でも約7割が圧迫死です。建物の耐震化を本格的に進める必要があります。豊島区の住宅総戸数は、165,300戸、新耐震基準を満たしている住戸は145,500戸、耐震化率は88%、旧耐震基準は35,700戸です。これまで、区はイベントなどで、ブースを設け、耐震診断、耐震改修を進めてきましたが、実績は上がっていません。耐震化を進めることは、居住者だけでなく、建物倒壊による火災の発生を防ぎ、地域の皆さんの命や財産を守るためにも大事です。助成制度があっても知らない区民もいます。ぜひ、知らせていくことが大事です。
 そこで質問します。
 旧耐震基準の対象者にダイレクトメールで案内状を送付し、高齢者の方には、親族にも参加してもらうなど建築物耐震化助成事業の出前事業(説明、相談会)を開催し促進を図るべきです。そのためにも防災危機管理課と建築課の体制を強化すべきです。答弁を求めます。
 二つ目に、感震ブレカーについてです。
 「基本計画」は、被害を最小限に抑えるための出火防止対策や初期消火と常備消防の体制強化も掲げ、感震ブレーカーの設置も強調しています。倒れた家屋から出火すると、燃え上がるまで発見できず、初期消火も困難です。横浜市や足立区に続いて、台東区、目黒区などで助成を始めています。豊島区でも実施すべきです。答弁を求めます。

 三つ目に、耐震シェルター設置についてです。
 経済的な理由から住宅全体の耐震補強は、無理だという方には、家屋が倒壊しても一部屋の空間やベッドを確保し、生命を守ることができる「耐震シェルター」もあります。工期も短く、住宅に手を入れなくも設置が可能です。本区も30万円を上限とし、対象経費の9割を補助する助成制度がありますが、対象の要件が厳しく、年間所得が200万円以下の世帯のうち65歳未満の方がいない世帯となっており、3年連続実績がありません。23区を調べてみると、品川、目黒、世田谷、足立などが10/10全額補助をしています。また、品川区では、単独で行っている事業・品川シェルターがあります。対象者の要件は、年間世帯所得が600万円未満であること、補助限度額は上限50万円です。毎年、実績もあります。東日本大地震の翌年の実績は、品川シェルター8件、耐震シェルターも4件です。
 そこで質問します。
 高齢者の命と安全を守るため、本区も耐震シェルターの対象要件を緩和し、補助率も拡充すべきです。
 また、国や都が耐震シェルターに対する補助を2015年で廃止したことで、耐震シェルター事業から撤退する区も出ています。本区は、この事業を継続するとともに国や都に対して事業の復活を求めるべきです。答弁を求めます。

四つ目に、家具転倒防止についてです。
 東日本大震災が発生した日、駒込在住の80代の女性から家具が倒れたので、助けてほしいと電話あり、駆けつけて見ると、近隣住民の手を借りて家具を元に戻した、とのことでした。幸いにしてテーブルの下に潜り込み怪我もなく無事でしたのでホットしたことを記憶しています。大きな地震での負傷原因は、30〜50%が家具類の転倒・落下によるものとの報告もあります。東京都防災会議の被害想定によると、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が冬の夕方(18時)に発生した場合、都内全域で約54,500人が家具類の転倒・落下により負傷すると想定されています。家具転倒防止器具の設置は区民の安全を守るうえで有効です。かつてはやっていましたが、今後は自助で設置するものだとして、家具転倒防止器具助成を2013年度に廃止しました。
そこで質問します。
 今年の予算特別委員会で、復活を求める質問に対して、区は「家具転倒防止金具の取りつけの設置については、引き続き防災用品としてあっせんを通じて普及を図っていきます」と冷たい答弁を繰り返ししました。自助と強調されても、所得の低い一人暮らしの高齢者は、食べるだけで精いっぱいで、その以外の出費ができないという方は沢山います。区民の命と安全を守るために、家具転倒防止助成を復活すべきです。答弁を求めます。

五つ目に、保育園職員の備蓄物資についてです。
 区立保育園は福祉避難所となっています。小中学校には、生徒や教職員の食料などの備蓄物資がありますが、区立保育園には、園児の3日分の備蓄物資はあるものの、職員の備蓄物資はありません。私が委員会で確認すると、区は本庁舎の備蓄倉庫から車で備蓄物資を搬入するということです。道路の寸断、交通渋滞も予想されます。職員も、園児の安全確保、緊急対応などで大変な状況が想定されます。保育士の食料など備蓄物資を保育園内に確保すべきと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。

 第四に、公契約条例についてです。
 公契約条例は、公共工事・公共サービスなどを民間事業者に発注して実行する際に、低賃金を背景とするダンピング受注を排除し、@公務・公共サービスの品質確保、A事業所相互間と労働者相互間の公正競争を実現することを目的としています。全国では39の自治体に広がり、東京では、渋谷、足立、千代田、世田谷、江戸川、多摩市、国分寺市で実施し、新宿、杉並、台東区では「要綱に基づく指針」で公契約の適正化をめざしています。
また、現在、大田、荒川、葛飾区で公契約条例の検討を行っています。
 公契約条例を実施した区では、「賃金に見合う?腕のいい労働者≠ェ集まるため工期も短縮でき、仕上がりもいい」「賃金の下限が定められているため、交通費などの余分な出費を避ける傾向が生まれ、地元への発注が広がる」「適正賃金が支払われていて仕事への誇りが生まれ、やりがいを感じるようになり労働者のモチベーションがアップする」などの効果が生まれ、住民も行政も業者も労働者からも喜ばれています。
 本区では、すでに民間委託、指定管理者、業務委託などを導入し、区民の生活や権利、安全を守る大切な仕事、公的サービスを担っています。公共工事と違って民間委託や指定管理者には人件費の算出基準がありません。事業者などは競争入札で、落札するためには、前回・前年度実績を下げるか、サービスの拡大をせざるを得ません。清掃している労働者から「何年も賃金は上がっていない」と声が寄せられました。委託費の大半を占める労働者の賃金が引き下げられるか、サービス拡大のため長時間労働など労働条件が悪くなり、官製ワーキング・プアが広がっているのです。
 わが党は、これまで公契約条例の制定を繰り返し求めてきましたが、区は「労働基準法等の関係法令に反しない限り、労使間で取り決められるべき」として、背を向けてきました。しかし、個々の労使間の取り決めに任せたから、賃金が下がり、労働条件が悪化し、ワーキング・プアが拡大したのでありませんか。
 そこで質問します。
 公契約条例の制定を求めるわが党の質問に対して、区は「労働者への適正な賃金支払いなど、労働条件の確保、労働環境整備を受注者に要請していくことは区の責務である」答弁しました。そこで今こそ、労働条件を確保し、労働者のモチベーションを上げるためにも公契約条例の制定をすべきです。答弁を求めます。
 以上で、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。