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区議会質問
 
2016年第2回定例会
森とおる議員の一般質問

2016年6月23日

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、「安倍政治の暴走をストップし、区民の命と安全を守る区政に」と題し、次の5点について一般質問を行います。
第1に、区長の憲法に対する認識について
第2に、アベノミクスと高野区政について
第3に、介護予防・日常生活支援総合事業について
第4に、AEDの助成制度創設について
第5に、羽田空港の都心飛行ルート計画についてです。
 区長の明快な答弁を求めます。

 第1の質問、【区長の憲法に対する認識について】です。
 今、日本の政治は、独裁と戦争への逆流か、立憲・民主・平和の新しい政治か、という歴史的な分かれ道に立っています。安倍政権は、憲法違反の安保法制、すなわち戦争法を強行し、立憲主義と民主主義をこわす危険な道を暴走しています。同時に、この動きに対して、戦後かつてない新しい市民運動、国民運動が発展し、この運動に背中を押されて、この参議院選挙で野党共闘が大きく前進しています。これは日本の未来にとって大きな希望です。
 安倍政権は、国民多数の反対の意見も、8割の国民の「審議が不十分」という声も、9割以上の憲法学者の「憲法違反」との厳しい指摘も、いっさい無視して戦争法を強行しました。戦争法強行後も、国民の世論と運動は広がり、戦争法廃止の署名は1,200万人を超えています。戦争法には、戦闘地域での米軍等への兵站の拡大、戦乱が続いている地域での治安活動、地球上のどこでも米軍を守るための武器使用、集団的自衛権の行使という、自衛隊が海外で武力行使をする四つの仕組みが盛り込まれています。そのどれもが、憲法9条を踏みにじるものです。とくに集団的自衛権は、憲法違反の核心部分です。アメリカが、ベトナム戦争やイラク戦争のような先制攻撃の戦争に乗り出したときに、言われるままに集団的自衛権を発動して、侵略国の仲間入りをする。ここにこそ、集団的自衛権行使の最も危険な本質があります。戦争法が施行されたことによって、戦後はじめて、日本の自衛隊が海外で外国人を殺し、戦死者を出す危険が現実のものとなっています。南スーダンのPKOに派遣されている自衛隊の任務拡大、イラクやシリアでの過激組織ISに対する軍事作戦への自衛隊の参加、アフガニスタンの治安部隊を支援する軍事活動への自衛隊の参加などが、最初の殺し、殺されるケースになりかねません。戦争法は一刻も放置できません。その廃止は急務です。安倍政権は、「憲法9条のもとでは集団的自衛権を行使できない」という戦後60年余にわたる一貫した政府の憲法解釈を180度覆して戦争法を強行するという、立憲主義を破壊する禁じ手に踏み込みました。法の支配が、人の支配に代わる、まさに独裁に他なりません。この国民の批判に対し安倍首相がとった態度が明文改憲の公言です。自民党改憲案は、憲法9条2項を削除して国防軍を創設すると明記し、海外での武力行使を無条件で可能にするものです。内閣総理大臣が緊急事態を宣言すれば、内閣が立法権を行使し、国民の基本的人権を停止するなど、事実上の戒厳令を可能にしています。公益及び公の秩序の名で基本的人権を制限できる仕組みに変え、基本的人権を侵すことのできない永久の権利とする憲法97条は、丸ごと削除されています。これらは「憲法によって権力を縛る」という立憲主義を否定し、「憲法によって国民を縛る」ものに大変質させてしまうものです。憲法を憲法でなくしてしまう改憲案なのであります。

☆そこで質問します。
 こうした改憲は、憲法によって権力を縛るという立憲主義が、憲法によって国民を縛るものに変質することになります。このことについて、どのように考えますか。
 日本国憲法は、世界でも最先端といっていい先駆的な内容を持っています。憲法9条は、恒久平和主義を徹底した世界に誇る宝です。日増しに改憲するなの声は高まっています。区長は、日本国憲法を守る立場に立つべきです。改めて見解を問うものです。

 次に第2の質問、【アベノミクスと高野区政について】です。
 安倍首相は、「世界で一番、企業が活躍しやすい国をめざす」と宣言し、「大企業を応援し、大企業が儲けをあげれば、いずれは家計に回ってくる」と言ってきました。しかし、大企業は3年連続で史上最高の利益をあげましたが、働く人の実質賃金は5年連続でマイナスです。5%も下落し、年収400万円程度の労働者だと20万円もの目減りです。消費税増税路線も破綻に陥っています。8%への増税後、日本経済の6割を占める個人消費は冷え込み続けています。5月に発表されたGDP統計で、個人消費実質値は、2014年度、15年度と2年連続でマイナスとなりました。消費税を5%に引き上げた1997年度や、リーマンショックの2008年度も、個人消費はマイナスになりましたが、翌年にはプラスになりました。2年連続のマイナスは戦後初めての異常事態です。追いつめられた安倍首相は、消費税10%の2年半先送りを表明しました。これはアベノミクスの失敗、消費税大増税路線の失敗を示すものです。ところが自らの失敗を認めず、安倍首相は世界経済の危機に責任を転嫁し、アベノミクスを加速させ、消費税を増税すると、破綻済みの路線にしがみついています。アベノミクスは、大企業と株主に莫大な利益をもたらし、大企業の内部留保は300兆円を超えました。株価の上昇で、200人を超える大株主が資産を3年間で100億円以上も増やしました。アメリカのフォーブス誌が集計した、日本の富裕層の上位40人の資産総額は、この4年間で7.2兆円から15.4兆円へと2倍以上にも増えました。その一方で、金融資産ゼロの世帯は、3年間で470万世帯も増え、全世帯の35%と過去最高になりました(日銀のアンケート調査から推計)。貧困が新たな広がりをみせています。失業や病気などで所得が減れば、たちまち生活が行き詰まり、多くの国民が貧困に陥る危険と隣り合わせで暮らしています。ほんの一握りの超富裕層と、99%の国民との間の大きな格差が生じる、そして、国民の生活全体が悪化し、生活不安、社会不安が重くのしかかり、貧困が広がる。これがアベノミクスが日本社会にもたらしたものです。今、求められていることは、所得が1億円程度を超えると税率が下がる所得税を見直すことや、大企業ほど実質的な負担率が低くなっている法人税を是正し、適正な負担を求めて社会保障の財源を確保することなのであります。

☆そこで質問します。
 これまで区長は、わが党区議団の質問に対し、「アベノミクスを生み出した安倍首相の見識と実行力を高く評価する」などと、天まで持ち上げる答弁を繰り返しました。その一方で、区民生活の実態の認識について質問すると、「区内中小企業の景況は好転しておらず、企業倒産は横ばい状態。生活保護世帯は微増傾向が続いている。中小零細企業の経営状況は厳しく、区内には厳しい生活状況にある方々が少なからずいらっしゃることも十分認識している」などと答弁しました。大企業が儲けをあげても、いくら待てど暮らせど、アベノミクスの恩恵は庶民には回ってこないではありませんか。区長はアベノミクスを評価するのであれば、区民に、どのように還元されるとお考えでしょうか。具体的にお示しください。
 我々は、破綻したアベノミクスは直ちにストップし、消費税増税は延期ではなく、きっぱり中止し、住民の懐を温めて購買力を高め、福祉・社会保障を拡充してこそ景気の好循環を生み、区民に還元されるものと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、アベノミクスと歩調を合わせた区政について伺います。
 高野区長は本会議初日の招集あいさつで、「去る5月10日の国家戦略特別区域会議において、旧庁舎跡地・公会堂エリアが、東京都の都市再生プロジェクトの一つに追加をされました」と述べました。アベノミクスの3本の矢であります。豊島区を国際アートカルチャー都市にするため、その顔となる文化にぎわい拠点の創出として、旧庁舎跡地及び周辺整備に莫大な税金投入を行おうとしています。旧庁舎跡地と公会堂跡地を、東京建物とサンケイビルに76年6カ月の期間、定期借地し、地代191億円を受け取りました。旧庁舎跡地は33階建て超高層オフィス棟、公会堂跡地は新ホール棟を建設する計画です。隣に計画している新区民センターの2つのホールと合わせて、8つの劇場ホールをつくれば、にぎわいが創出されるとしています。

☆そこで質問します。
 今年度の予算特別委員会で、私が、旧庁舎跡地及び周辺整備は、いかに区民に還元されるのかと質したところ、区は、「文化芸術の拠点となる。なおかつ賑わいの創出となる。お金を落とす。観光が増えることで経済効果が生まれる。それが回りまわって様々な産業に循環していく」などという答弁がありました。
 高野区長、こうした考え方は、まさにアベノミクスと同じ発想の政策ではありませんか。見解をお聞かせください。

 次に、財政運営について伺います。
 2013年の時点では、新ホール50億円、新区民センター44億円で、周辺区道整備と中池袋公園大規模改修を含めて総額114億円だったのが、現時点では、新ホール75億円、新区民センター66億円と金額が膨らみ、総額は158億円へと、いっきに44億円も増額しました。2010年の時点では、公会堂建て替え17億円、区民センター単体の建て替え22億円で、総額39億円が示されておりましたので、当初計画と比較すると119億円もの増額です。
 この整備費用158億円には国や東京都の補助はつきません。よって全てが区の持ち出しになるのです。今年度予算委員会の私の質疑で明らかになったのは、一般財源33億円、公共施設再構築基金33億6,200万円、起債91億3,300万円でした。

☆そこで質問します。
 整備費用158億円の投入は、いったい区民にどのような影響を及ぼすとお考えでしょうか。具体的にお答えください。
 起債の償還計画について、私が予算特別委員会で問いただしたところ、区は、「今は確定していない」と答弁できませんでした。91億3,300万円の償還計画なくして、なぜ旧庁舎跡地及び周辺整備を進められるのでしょうか。あまりにも無責任ではありませんか。
 区長は、予算委員会で、私に、「ご指摘にできる限り答えるのは当然のこと」と答弁しました。直ちに償還計画を明確にすべきです。答弁を求めます。
 整備費用の投入によって後年度負担となり、あとは野となれ山となれで困るのは区民です。絶対にそうならないというのであれば、その明確な根拠をお示しください。

 第2の問題の最後は、困った区民の願いに応えた財政運営に転換することについて伺います。
 アベノミクスの下で、年金削減、医療、介護の切り下げ・負担増、生活保護の切り下げ、非正規雇用の拡大等によって区民は苦しめられています。私たち議員のところにも深刻な相談が寄せられています。「子どもを保育園に預けて、妻が仕事をしなければ家計が成り立たない。しかし認可保育園に入れなかったので、高い保育料を払わなければならず、くらしはいっこうに良くならない」とか、「特別養護老人ホームに申し込んでいるが入れない。このままでは介護をする家族の方が先に倒れてしまう」とか、他にも、「病気になった途端、働けずに収入が減り、保険料さえ払えなくなった」、「年金だけでは家賃分も払えない。もう蓄えが底をつきそう」。どれも切実な問題ばかりです。こうした区民に手を差しのべることこそが、区に求められているのです。そうであるにもかかわらず、区長は、芸術や文化を理由にして、大手ゼネコンに大盤振る舞いです。整備費用のわずかを振り向けるだけで福祉を充実することができます。例えば、認可保育園西巣鴨さくらそうの建て替えは、国や東京都の補助があり、区の負担額は約2億円で園庭のある保育園をつくることができました。特別養護老人ホームの、東池袋桑の実園と千川の杜は、国の補助はありませんが、東京都の補助、区の土地を活用し、区の負担は、それぞれ、約2億円、約2億6,000万円でつくることができました。また、高すぎて滞納者が大変多い国民健康保険料を1人当たり5,000円下げるには、数億円で実行できるのです。
 
☆そこで質問します。
 認可保育園の待機児は解消されず、特養ホーム待機者もいっこうに減りません。これらを最優先で行い、直ちに解消すべきではないでしょうか。
 毎年値上げされる国保料に区民から悲鳴が上がっています。介護問題は後ほど述べますが、こうした困っている区民の声に応えて、福祉・社会保障を充実させる財政運営に今こそ改めるべきです。いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に第3の質問、【介護予防・日常生活支援総合事業について】です。
 介護保険が2000年にスタートして17年目に入りましたが、安心の介護は実現したでしょうか。介護心中・介護殺人は表面化している事件だけで年間50件から70件と、ほぼ毎週1件の頻度で起きています。家族が要介護状態になったために仕事をやめる介護離職は年間10万人、特別養護老人ホームの入所待ちは入所者数よりも多い52万人で、介護難民が増え続けています。また介護事業所・介護施設では、昨年度からの介護報酬の引き下げで経営がいっそう厳しくなり、同時に介護労働者が集まらず深刻な人手不足となっています。こうした中、国は改定介護保険法による要支援者サービスの見直しである、介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる総合事業をスタートさせるタイムリミットを来年4月とし、本区は本年4月に総合事業をスタートさせました。総合事業は、国が「全国一律の介護保険給付から、区市町村の事業へ」という通り、これまで国の法令で基準とサービス内容、報酬単価・利用料が決められていた要支援者のホームヘルプサービス(訪問介護)とデイサービス(通所介護)を、区市町村の事業へと移行することになりました。その結果、基準、内容、単価・利用料は区市町村ごとに異なることになり、これは国が国民に保障する最低限度の生活水準、すなわちナショナルミニマムという考え方を放棄するものであります。
 わが党は、総合事業は要支援者に対する介護保険の取り上げであると指摘し、このような介護保険制度の改悪には反対してきました。しかし区は「総合事業は今までどおり国基準相当サービスで変更はありません」と回答してきました。
 では、総合事業は4月の開始後どうなっているでしょうか。
 まず基本チェックリストについてです。高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)で行う基本チェックリストは、総合事業の対象者を把握するものであり、要介護認定の申請権が侵害されかねないことから、わが党は「被保険者の要介護認定の申請権の侵害をしないように。また利用者のサービス選択権を尊重するため、チェックリストでの判定については、希望者のみとして、それ以外は要介護認定の申請受付を行うべき」と求めてきました。これに対し区も「本区では、高齢者総合相談センターが主な窓口として総合相談を行う中で、本人の利用したいサービスや介護認定申請の意向、身体の状態などを丁寧に伺い、その後の認定申請や、基本チェックリストの実施へつなげていく」「利用者のサービス選択の権利を侵害することはない」と答弁しています。ところが区民の中には、高齢者総合相談センターで「繰り返し基本チェックリストの利用を勧められた」という声があがっているのです。
 要支援であれば介護保険給付のように、食事を作ってもらったり、清掃をしてもらったりするサービスを1割負担で受けられますが、総合事業に振り分けられて、配食サービスやリボンサービスを勧められて、高い料金を支払わなければならい事態が起こることになります。
この様に要介護認定になるか、総合事業になるかは被保険者にとって大変重要な問題です。

☆そこで改めて基本チェックリストについて質問します。
 基本チェックリストの利用は強制すべきではないと考えますが、いかがですか。
 また、豊島区の「みんなでささえる介護保険」にある利用の手続きには先ほど示した区の答弁通りの説明がされていますが、実際に高齢者総合相談センターで、きちんと徹底されているのでしょうか。答弁を求めます。
 
 次に総合事業の内容について伺います。
 わが党区議団は、この間、介護関係者と懇談を行ってきました。その中でまず初めに出されたのは、「あまりにも複雑でテンポの速い見直しについていけない。区の説明ではわけがわからない」といった戸惑いの言葉でした。介護保険制度は、これまでも複雑でしたが、ベテランの介護の専門家からこのような言葉が出るとは驚きでした。介護関係者がこうした状況では、利用者の立場では、制度を把握した上でのサービス利用など到底考えられないということです。
 わが党区議団は、総合事業を実施するにあたり、現行相当サービスを守ることを強く求めてきました。本年、第一回定例会の一般質問で、わが党渡辺議員が、「質の担保や事業費の支給を現行と同額にし、事業者の経営を守り、サービスに見合った対応をすべき」といった質問に対し、区は、「ご質問の現行相当サービスに匹敵するものと考える。事業所の人員や運営基準については、今までどおり国基準相当サービスの提供基準で変更はないので、サービスの質の担保や事業費の支給も維持されるものと考えている」と答弁しました。
 ところが、懇談で介護関係者から出てきたのは、従来の相当サービスが維持されていないというものでした。要支援2のAさんは3月まで毎月8回から10回の訪問介護を受け、毎月2,790円を払ってきました。ところが総合事業の介護予防訪問事業では月8回までとなり、利用料は2,675円。その結果、今までは毎週2回利用していた訪問介護が介護予防訪問事業では、月5週になる場合は曜日を後ろにずらして、翌月に回さなければならず、それができなければ1週分を全額自己負担するか、訪問回数を減らすことになるということです。
 通所介護についても、月額包括単価から出来高単価に変更されたことで、事業所では大幅な収入減となっています。月額包括単価であれば、例えば病気等で利用者が急に休んだ場合でも、事業所への支給額は保証されていましたが、出来高単価に変更されたことで、支給額が削減され経営に大きな影響が出ているという実態が明らかになりました。また介護予防訪問事業同様に出来高単価の額は月4回までの利用料としているため、5回目は全額自己負担となります。こういう中である事業所は、5回目は無料で行っており、事業所の負担は大きいそうです。先日、私が会った区内の小規模の通所施設経営者は、「介護予防通所事業は経営が成り立たないので要支援の人は受け入れられなくなった。小規模の事業所の廃業が出ている。高齢者にとって社会参加は大事で何のための介護保険なのか。このままでは、いわゆる寝たきりの高齢者を増やすということだ」と語っていました。

☆そこで質問します。
 総合事業に移行するにあたって、事業所と利用者に十分な説明が行き届いているといえるでしょうか。現場で混乱が生じている実態をどのように把握しているのか、今後どのように対応していくつもりなのか明確にお答えください。
 総合事業に移行してまだ2カ月ですが、総合事業は利用者にとっても事業者にとっても、現行相当サービスが維持されずに低下している実態が明らかになりました。これまでの区の、わが党に対する議会答弁は偽りだったということです。この重大問題についてどのように考えているのでしょうか。お答えください。
 これまでも、ほとんどの介護事業所は厳しい経営を余儀なくされてきましたが、総合事業になり、いっそうの収入減となっています。少なくとも以前の支給額が保障されるように直ちに改善すべきです。また利用者に対しても必要なサービスが保障されるべきです。合わせて改善を求めます。

 介護問題の最後です。
 これらの介護改悪の大元にあるのが、安倍政権の社会保障費の切捨てです。骨太の方針2015では自然増分を3年間で9,000億円から1兆5,000億円も削減することを目安にしており、今以上に介護改悪を進めようとしています。そこにあるのは、次のターゲットとして要介護1・2の切捨て、軽度者の生活援助や福祉用具貸与の自己負担など利用者負担の引き上げです。かつて70歳以上は、1割だった医療費の負担は74歳まで順次、2割負担になってしまいました。そして今度は医療との均衡を口実に、介護保険も65歳から74歳までは2割負担としようとしているのです。これらを年末までに結論を出し、来年1月からの通常国会に法案を提出しようとしているのです。こんな横暴がやられたらそれこそ介護保険制度そのものが崩壊することになります。

☆そこで質問します。
 要介護1・2が、要支援同様に、総合事業へ移行されたとしたら、利用者、事業者、区に、それぞれ、どのような影響が及ぶと考えているのか、見解をお聞かせください。
 区長は、国に対して、介護保険制度を後退させないように、強く申し入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に第4の質問、【AED(自動体外式除細動器)の助成制度創設について】です。
 熊本地震から2カ月半が経過しました。活断層による最大震度7の強い揺れが繰り返し襲い、市街地から山間部までの広い範囲に被害を及ぼし、古い建物の耐震化などの必要性と共に、最新の基準による建物が大破するといった新たな課題も浮き彫りになりました。未だに多くの住民が避難生活を余儀なくされ、くらしや産業に深く影響が及んでいます。わが党は、全ての被災者がくらしと生業を取り戻すまで全力をつくします。
 この震災後、町会の防災訓練に参加しました。函館における地震もあり、いつ何時、災害が発生するかもしれないと、これまで以上に参加人数は多く、真剣そのものの訓練でした。特に印象深かったのが、AEDの講習でした。とても活発な質問が相次ぎました。
 今年度の予算特別委員会でも取り上げましたが、私は、本年2月、訪問した男性がご自宅の部屋で倒れているのを窓越しに発見しました。ご自宅には鍵がかかっており、窓には格子があったため、部屋に入ることができませんでした。私は、大声で呼びかけましたが反応がなかったため、至急、救急車と合わせてレスキュー隊を呼びました。その次に考えたのがAEDを使用することでした。近所だったこともあり豊島区AEDマップでどこにあるかは、ある程度頭に入っていたのですが、この日は土曜日だったため、銀行は開いていないし、学校もやっていないかもしれない。現場に1人しかいない状況で、取りに行って戻ってくるまでにどれくらいの時間がかかるのか、AEDが確保できても家にどうやって入るか、思案を巡らせましたが、出した結論は、現場を動かず救急隊が速やかに到着できるように誘導しようということにしました。通報後、6分ほどで救急隊は到着しましたが、大変残念なことに、この男性は死後数時間が経過していたことが確認されました。
 AEDは、突然、正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショックを行い、心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。突然心停止の最も一般的な原因である心室細動・心室頻拍の際に使用されます。突然心停止は事前の兆候や症状がなく突然発生するケースも多く、いつどこで起こるかわかりません。そうなると心臓から全身に血液を送ることができなくなり、回復しなければ死に至ります。心室細動・心室頻拍によって脳や臓器に血液が届かなくなる時間が長いほど、死亡と後遺症のリスクが高くなります。したがって、突然心停止の発症後、直ちに心肺蘇生と電気ショックを実施することが非常に重要です。
 総務省統計資料によると、救急車到着までの平均時間は約8.6分です。AED等を使用した除細動までの時間が1分経過するごとに、生存率は約7%から10%低下します。心臓が血液を送らなくなると、3から4分以上で脳の回復が困難になると言われています。救急車の到着を待っているだけではなく、傷病者の近くにいる私たち一般市民が、一刻も早くAEDを使用することが重要になります。
 消防庁の「平成27年版 救急・救助の現況」によると、一般市民がAEDを使用した傷病者は1,030人であり、その一か月後の生存者は519人、生存率で50.4%です。これは心肺蘇生を実施しなかった場合の生存率8.4%と比較して約6倍高くなっています。また、一般市民がAEDを使用した傷病者のうち、1か月後、社会復帰者は446人、復帰率は43.3%であり、心肺蘇生を実施しなかった場合の復帰率4.3%と比較して約10倍も高くなっています。
 AEDは2004年より医療従事者ではない一般市民でも使用できるようになり、病院や診療所、救急車はもちろんのこと、空港、駅、学校、公共施設等、人が多く集まるところを中心に設置されています。AEDが登場し始めた当初は1セットあたり100万円以上でしたが、今はだいぶ安価になっており、レンタルでは月額5,000円程度に下がっています。また現在では子ども用のAEDパッドが認可され、1歳以上の子どもなら使用できるAEDが増えています。
 本区においても、町会・自治会や、消防団等の防災訓練で、AEDの講習が行われており、日増しにその必要性と有効性に関心が高まり、誰もが人命救助にあたれる機器として欠かせないと大いに期待が寄せられています。いざAEDが必要となった緊急時に、24時間いつでも、すぐに取りに行ける場所に配備してほしいといった要望に、区は答えるべきです。
 私が他の自治体の助成金制度を調査したところ、多くの自治体で実施していることがわかりました。例えば、大田区の「24時間AED設置補助事業」と「AEDレンタル費用の一部助成」、兵庫県播磨町の「自治会へのAED補助事業」、新潟市の「自治会等へのAED設置事業補助金」と「イベントへのAED貸出事業」、千葉市の「行事へのAED貸出事業」等などです。これらの自治体の助成制度がAEDの普及に貢献し、住民の命を守ることにつながるのです。

☆そこで質問します。
 豊島区は、東京初のセーフコミュニティ国際認証都市であり、AEDの普及という点で、他の自治体に遅れをとってはならないと考えます。ところが現時点の本区の配備状況は地域間にばらつきが見られます。また、24時間対応できる地域は、ごく限られています。区長は、この現状をどのように認識しているのでしょうか。
 区長は、予算特別委員会において、私に「できるだけ助成金を検討する」と答弁しましたが、その後の検討状況はいかがでしょうか。
 消火器等の地域配備は進んでいますが、加えて、これからはAEDの地域配備が求められています。区の費用で地域配備を拡充することが大事だと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 最後に第5の質問、【羽田空港の都心飛行ルート計画について】です。
 国土交通省は、「人口減少や少子高齢化が進む中、日本の経済・社会を維持・発展させていくためには、今後より一層、諸外国との結びつきを深めていくことが課題だ」として、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、「羽田空港のこれから?国際線の増便のための方策と取り組みについて」という計画を進めています。これまで羽田空港では、騒音や安全性を考慮して、主に東京湾上空を使った飛行ルートで1時間あたり80便が離着陸しています。ところが、東京湾上空は大変混雑しており増便ができないため、これまで使うことのなかった都心上空を新たに飛行ルートに加えることで、1時間あたり90便に増便しようというものです。
 国交省によると、航空機が安全に離着陸するためには、風に向かって飛ぶ必要がある。そのため羽田空港では、南風と北風が多く見られるので、風向きに合わせて2通りの滑走路の使い方があるとの説明です。そこで問題となるのは、南風時の着陸です。国際線の需要が集中する午後3時から午後7時までの時間帯を都心上空の飛行ルートにしようとしているのです。
 国交省は、フェーズ1と銘打って昨年7月から9月にかけて、そしてフェーズ2として昨年12月から今年1月にかけて、各地で説明会を開きました。当初は、豊島区上空案はなく、練馬区、中野区側の上空を通過する飛行ルートであったため、豊島区では説明会は開催されませんでした。その間に寄せられた意見の中に、都心上空を使った飛行ルートに対する批判が相次いだため、国交省は、南風の好天時に高度を引き上げることによって騒音を軽減できるとして、本年4月に豊島区上空を通過する飛行ルートを新たに加えたのです。そこから、国交省が豊島区民に対して取った態度が問題です。議会に対しては、「説明に行くが議事録は取らないように。取るのであれば説明には行かない」というものでした。5月の議員協議会を中断するという普通では考えられない形で説明がありましたが、私が行った質問に対して、まともに答えようという態度ではなく、説明はしましたよという事務的なものでした。そして区民への説明については、6月に2日間、開催しただけにとどまりました。
 この計画変更で、豊島区上空を通過することになる航空機の数は、南風の好天時、午後3時から午後7時までに124機、1時間あたり31機だとされています。2分に1機以上が飛び交うものすごい数です。悪天候時であったとしても、同じ台数が豊島区に、ほど近い練馬区、中野区の上空を通過するのです。
 多くの問題が考えられます。まず騒音です。国交省によると60dBから70dB程度が示されています。私が調べたところ、トイレを流す音や、洗濯機・掃除機・テレビから1m離れた音とあり、声を大きくすれば会話ができるとありました。今現在、江戸川区では着陸時の飛行ルートになっていますが、騒音への苦情が後を絶ちません。
 そして、落下物の問題です。国交省は、過去10年間で成田空港周辺では部品13件、氷塊5件の計18件と発表しているのに対し、羽田空港周辺ではゼロとしています。東京湾に落ちれば見つかるはずがありません。都心に落ちてきたら人命に関わる重大問題になります。ましてや墜落事故が発生すれば大惨事になりますが、事故が未来永劫、絶対に起こらないと誰が言い切れるでしょうか。
 さらには大気汚染の問題です。特に影響を受けやすい新生児、高齢者、呼吸疾患や肺炎を患っている人たちへの心配が拭い去れません。国交省は、CO2排出について、運輸部門において航空機が全体に占める割合は約4.5%で、ごくわずかだと説明しています。しかしながら、自動車や鉄道などと比較すると1台当たりの排出量は突出して膨大な量であり、都心部の住民が納得できるわけがありません。
 これまで羽田空港は、都心部の騒音を抑えながら安全性を確保するため、できる限り東京湾上空の飛行ルートをとってきました。今回の都心上空を使った飛行ルート計画は、都心部の住民の安全・安心を脅かす重大問題に他なりません。

☆そこで質問します。
 住民の生活が危機にさらされることよりも、経済を優先させる計画に区民が納得できないのは当然のことと考えます。区長は、計画が区民に十分に知らされているとお考えでしょうか。
 また本計画について、どのような見解をお持ちでしょうか、お答えください。
 国交省は、この夏までに方策を決定するとしています。これほどまでに区民をないがしろにしたやり方が許されるはずがありません。区長として強く計画の再検討を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。