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区議会質問
 
2015年第2回定例会
清水みちこ議員の一般質問

2015年6月24日

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、「だれもが安心して子育てのできる豊島区政を」と題して、次の四点について一般質問いたします。
第一に子どもの医療費無料化の拡充について
第二に教育における私費負担の軽減について
第三に住宅対策について
第四に国民健康保険課の窓口対応について
 です。区長ならびに教育長の明快な答弁を求めます。

 4月26日に投開票された豊島区議会議員選挙で、わが日本共産党は6名の区議候補全員が当選し、私は10期40年の長きに渡り区民のいのち、福祉のために尽力してきた、河野たえ子前区議から議席を引継ぐことができました。私もだれもが安心して住み続けられる豊島区政にするため、全力を尽くす決意です。
 私はこの12年間、豊島区でシングルマザーとして子育てをし、非正規で働くなかで、格差と貧困を身をもって経験してきました。心身の健康が壊れるほど働いても貧困から抜け出せず、自分の貧困が子どもの将来にまで連鎖していく苦しみと、自己責任論だけで切りすてられることに対する怒りは計り知れませんでした。いま、シングルマザーだけではなく、子育て世代全体に格差と貧困が広がり、「子どもの貧困」が深刻な問題となっています。
 安倍政権の「アベノミクス」はさらに格差と貧困に拍車をかけ、「生涯ハケン、正社員ゼロ」を狙う労働者派遣法の改悪、日本の若者、子どもたちが海外で殺し殺される「戦争立法」を、国民無視で押し進めようとしています。安倍政権があらゆる分野で暴走を続ける中で、いまこそ自治体は「住民福祉の増進」という本来の役割に立ち返るべきときです。

 そこでまず第一の質問、子どもの医療費無料化の拡充についてです。豊島区では、子どもの医療費無料化については、通院、入院ともに現在中学3年生までが対象に実施されています。
 東京都内では、千代田区と日の出町(ヒノデマチ)で、通院、入院とも高校生までが対象となっており、隣の北区では、入院した場合、同様に高校3年生まで対象としています。
 私がこの一年余りの間、区議予定候補として活動し、地域のみなさんと対話を重ねる中で、子育て世代の切実な願いとして多く寄せられたのが、高校生までの医療費の無料化です。
 あるお母さんは、「年の近い子どもが3人いて、成長すればするほどお金がかかります。医療費はいつも予定できない出費で、いきなりその場で必要となるから大変です。でもお金がかかるから、病院へ行くなとは言えない。せめて高校生まで無料になればどれだけ助かるかわかりません。」と話していました。別のお母さんは、「本当はダメだと分かっていますが、もしも高校生のお兄ちゃんが風邪をひいても、下の小学生の妹がもらってきた薬を飲ませるかもしれません。高い国保の保険料を払っているのに、医療機関の窓口と薬局でもお金を払っていたらやっていけません。でも大きなケガや病気をしたときは子どもとお金、両方の心配をしないといけない。」と訴えてこられました。
 また、私が当選した直後に、あるお父さんから、「早く高校生まで医療費無料にしてほしい。いつまでも待っていたら、うちの子は大人になってしまう。」と言われました。まさに待ったなしの状況です。
 そこで質問です。この制度の拡充は、子育て支援の柱の一つです。子育て支援課の試算では通院、入院時の医療費および食事療養費すべて高校生まで拡充した場合の年間予算は約1億円です。
 去る6月11日、わが党区議団は区長に対し「区民生活を守るための申入れ」を行いました。その席で私は直接区長に、これほど要望が高いのになぜ制度を拡充しないのか、とたずねたところ、区長は何も答えず、子ども家庭部長は、「23区では高校生まで無料化をしているのはひとつ位しかない。スタンダードではないからだ。」と大変冷たい答えでした。しかし、区長は、昨年、次期区長選への出馬表明のなかで、「少子・高齢化社会に対応する『女性に優しく、子育てもしやすいまちづくりの推進』等々への対応が、その方向性を誤ることは許されない」、「区民目線からぶれることなく、区民の皆様の幸せを引き続き追求してまいりたい」と述べました。その言葉通りまさにいま、長年の子育て世代の切実な願いにこたえ、高校生までの医療費無料化の拡充に踏み切るべき時です。答弁を求めます。

 次に第二の質問、教育における私費負担の軽減についてです。
 その第一は、就学援助の拡充についてです。「子どもの貧困」が深刻化しています。安倍政権の「アベノミクス」のもとで格差と貧困はひろがるばかりで、就学援助を受ける家庭が年々増えています。豊島区では2014年度、小学校では16.8%、中学校では28.95%と実に3割近くの家庭が就学援助を受けています。
 昨年2014年、第三回定例会の一般質問で、わが党の儀武さとる議員はクラブ活動費についても援助費目に加えるようにと主張し、今年度からクラブ活動費が新たに援助費目となりました。一歩前進ですが、まだまだ不十分です。
 ひとつめは、支給額についてです。義務教育の中でも、中学入学時にかかる費用は大きく、就学援助の入学支度金だけでは補うことはできません。区立A中学では、入学前に準備する標準服、体操服、上履き、指定カバンなどの費用だけで、68,000円、区立B中学では指定カバンがなく、標準服、体操服、上履きなどで63,000円となっています。それに対して、中学の入学支度金は26,860円で、その半分も補うことができません。あまりに高額なため少しでも負担を減らそうと、保護者の中には、知り合いに使用しなくなった標準服や体操服を譲ってもらい、体操服は刺繍ネームを解き、有料でネームを入れなおしてもらう方もいらっしゃると聞きます。しかし、周りの同級生が新品を身に着ける中で、そうした体操服を着る子どもの気持ちはいかばかりかと胸が痛みます。
 そこで質問します。入学支度金を含めて、就学援助の支給額を実情に見合うように拡充すべきです。いかがですか。答弁を求めます。
 ふたつめは支給時期についてです。就学援助は通常4月に申請し、7月中旬決定、8月上旬に第一回目の支給です。しかし、金額の大きい入学支度金を8月上旬の支給まで保護者が立て替えるのは困難です。「子どもの貧困」の大元となっている一つに保護者の非正規雇用があります。非正規雇用は賃金が低い上に多くが時給制で、実働時間しか給料は支給されません。ボーナスもなく、交通費や社会保険料も自己負担の場合も多くあります。その中で、入学準備にあたる2月、3月の給料は、1月の正月休みや2月は28日ないし29日までしかなく実働時間が減るのに、交通費、社会保険料はいつも通りというダブルパンチで、収入が大幅に減る時期と重なります。その時期に入学準備に7万円近いお金を準備することは非常に困難です。また給食費も4〜6月分は一旦保護者が支払い、支給決定後に払い戻されることになっていますが、保護者には大きな負担です。
 そこで質問です。支給時期について、入学にあたる年には、前倒しで申請、支給が受けられるようにすべきと提案しますが、いかがでしょうか。区は住民税が確定する6月にならないと就学援助の認定ができないと言っています。しかし、給食費については、隣の板橋区では「仮認定」制度があります。前年度に就学援助の認定がされていれば、本認定がでるまでの分を「仮認定」という形で支給されるため、給食費などの立替をしないですむというものです。また、栃木県日光市では「入学資金貸付制度」が導入され、大変喜ばれています。貸付開始日は1月下旬から3月上旬で、貸付金額は、小学校入学時は上限5万円、中学校入学時は上限10万円、就学援助に認定されれば、就学援助費と貸付金が相殺されるようになっています。このように方法はいくらでもあります。要はやる気があるかどうかです。
 義務教育は無償が原則です。保護者の負担を減らし、子どもたちが安心して学校生活が送れるようにするため制度を拡充すべきです。答弁を求めます。

 私費負担軽減の第二は、就学援助を受けていない家庭への軽減についてです。就学援助を受けていない家庭でも、教育における私費負担は家計を圧迫しています。
 ひとつめは、修学旅行の交通費補助についてです。こどもたちが楽しみにしている修学旅行も私費負担が大きくなっています。たとえば、区立C中学校の修学旅行費用は、60,000円。ゆうちょ銀行からの一括引落と分割があり、一括の場合は、59,406円で、594円安くなり、分割の場合は毎月5,000円の12回払いです。区立D小学校6年の立科林間学校の費用は19,000円で、現金で一括集金されます。あるお母さんは、「うちは上の子の修学旅行と、下の子の立科が重なってしまい、合わせて80,000円もかかります。集金以外にもおこづかいや着替えなどの細々とした準備にもお金がかかって本当に苦しい。高すぎます。」と嘆いていました。今のままでは家庭によっては修学旅行費が払えずに、参加を諦める場合もでてきかねません。
 そこで質問です。区は2000年まで修学旅行の交通費を一人当たり一律7,500円補助していました。しかし、財政難を理由に2001年から廃止してしまったのです。子育て世代の教育の私費負担の軽減と、子どもたちが安心して修学旅行に参加できるようにするために、区は修学旅行の交通費補助を復活すべきと考えますが、いかがですか。
 ふたつめは給食費についてです。2015年度の給食費はひと月あたり、小学1,2年で4,476円、小学3,4年生で4,817円、小学5,6年生で5,152円、中学生では5,703円で、二か月に一度、ゆうちょ銀行口座から引き落とされます。就学援助が受けられれば給食費は支給されますが、豊島区の就学援助の認定基準は、生活保護基準の1.2倍と低く、基準外となる家庭の負担は大変重いものとなっています。
 そこで質問です。豊島区「食育推進プラン」には「学校における食育活動は、給食の時間をはじめ、各教科や総合的な学習の時間等、学校の教育活動全体を通じて推進することが重要」とあります。給食は食育という学校教育の一環であり、義務教育は無償が原則です。保護者の大きな負担となっている給食費を無料化すべきと考えます。すでに、兵庫県相生市(アイオイシ)、栃木県大田原市(オオタワラシ)、山口県和木町(ワキチョウ)、北海道三笠市、茨城県大子町(ダイゴマチ)、埼玉県小鹿野町(オガノマチ)、埼玉県滑川町(ナメガワマチ)などが給食費無料としており、大変喜ばれていますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 第三に住宅対策についてです。豊島区は家賃が高く、新規でも住み替えでも住まいを探すのに大変な費用と労力がかかります。私は12年前、豊島区に転入しました。当時、離婚直後で生まれたばかりの子どもを抱え、公営住宅に入居したいと区の住宅課に相談に行きましたが、窓口の対応は「都営も区営も募集はわずかなのに希望者が多くて、いつ入れるか分からない。今は民間の賃貸で安くていい物件があるから、民間で探したほうがいいですよ。」と大変冷たいものでした。それから12年もたつのに、現状はどうでしょうか。豊島区は地価が高く、マイホームを持つのは夢のまた夢です。それでも家賃さえ安ければ、安心して豊島区に住み続けることができます。しかし、石原、猪瀬、舛添と続いた都政は、都営住宅の新規建設は行わず、区もこの間、区営住宅の新規建設は行ってきませんでした。2014年から2018年の後期計画はゼロ、区民住宅からも撤退で実質的な後退です。
 そこで質問です。区民が求めているのは良質で低廉な家賃の公営住宅です。だからこそ、わずかな募集に応募が殺到し、宝くじに当たるより難しいとまで言われているのではありませんか。これほどまでに需要があるのに、区長はどうして公営住宅をつくろうとしないのでしょうか。区長の見解をお聞かせください。
 また住まいは人権です。最低限の生活を営む保障のひとつとして、公営住宅がどうしても必要です。今からでも住宅マスタープランを変更し、区が責任をもって区営住宅の建設、高齢者、障害者、ひとり親のための福祉住宅の建設を盛り込むべきです。答弁をもとめます。
 次に家賃助成についてです。現在、子育て世代には、子育てファミリー世帯家賃助成があるものの、金額も少なく、区は本年度から5年間だった期間を拡充し、子どもが15才になるまで助成するといいますが、4年目からはいきなり金額が2分の1になってしまい、決して大幅な拡充とは言えません。制度としても住み替え、転居が前提となっているため対象が限られ、大変使いにくいものとなっています。新宿区では、転入、転居を伴わなくても受けられる民間住宅家賃助成制度があり、学生及び勤労単身者と、子育てファミリー世帯とが対象です。学生及び勤労単身者向けは、助成額が月額10,000円、期間は最長3年間、2014年度は、30世帯の募集に対して268世帯の応募で8.93倍の倍率。子育てファミリー世帯向けは、助成額が月額30,000円、期間は最長5年間、50世帯の募集に対して303世帯の応募で6.06倍の倍率となっています。
 他にも新宿区には子育てファミリー世帯居住支援として、礼金、仲介手数料の合計と引越代実費を最大56万円助成する転入助成制度、転居前後の家賃差額を月額25,000円と引越代実費20万円まで助成する転居助成制度があります。
 そこで質問です。安心して子育てができ、住み続けられる豊島区にするためには、住み替え、転居を伴わないファミリー世帯への家賃助成と、住替え、転居の場合はそれにかかる経費や実費の助成が必要です。またファミリー世帯以外にも、低収入の若年層、新婚世帯などへの家賃助成も創設すべきと考えます。答弁を求めます。

 第四に、国民健康保険課の窓口対応についてです。
 ひとつめは、保険料の納入相談の対応についてです。昨日のわが党、渡辺くみ子議員の一般質問で、いまや国民健康保険料はあまりにも高くなり、加入者の負担限度をはるかに超えるものとなっていることが明らかになりました。私もかつてパート収入の一割近い保険料が払いきれずに、納入相談にいきました。相談窓口で「短期証だと子どもが差別されることもある。無理をしてでも、まとめて払ったほうがいいですよ」と言われました。こんなことで子どもが差別されるのかとショックで呆然としていると「そんな顔をしなくても、死ぬまでに払ってくれたらいいですよ」と言われたことがあります。払いたくても払えないから相談に来ているのに、一番の弱みをついて支払いを迫るのは問題です。このような対応をされれば、それがトラウマになり、もう二度と納入相談に行きたくないと思うのが当然です。
 そこで質問です。高すぎる保険料の引き下げとともに、過酷な徴収に重点をおいた窓口相談を改め、ひとりひとりの区民に寄り添い、その人の生活全体をみて、よりよい解決策をともに探していけるような相談をすべきと考えますが、いかがですか。
 二つ目は、窓口の民間委託についてです。4月1日、旧庁舎に国民健康保険の保険者証の切換えに来庁した区民の方から、「受付番号札を取ってから保険者証を受け取るのに2時間以上もかかった。いったい、どうなっているのか」との訴えがありました。その方のお話では、窓口は業務委託をしているのか、年度初めで大混雑しているのに奥の職員が対応に出て来ることもなく、窓口の委託職員も自分の持ち場をこなしているだけで、区民を長時間待たせているという感覚がまったくない、と大変、ご立腹でした。私も新庁舎に移転後の5月半ばに国民健康保険の加入手続きをしましたが、同様に1時間半近く待たされました。結局、未来戦略推進プラン2015で「最高レベルの区民サービス」と謳った新庁舎に移転しても、待ち時間は一向に解消されていないということです。原因は、区職員と委託職員で窓口業務を分断し、手続きを慢性的に長時間化する窓口の民間委託であることは明らかです。
 また私が国保加入手続きをした際に、もうひとつ驚いたことは個人情報保護に対する配慮のなさでした。保険料の口座引落手続きがキャッシュカードだけでできるとの説明を受け手続きをしました。クレジットカードで買物をする時のように、暗証番号を入力するのですが、オープンスペースの窓口にも関わらず数字のテンキーには目隠し用のカバーも何もついていませんでした。後日、国民健康保険課長に、すぐにでもカバーを付けるべきと指摘したところ、庁舎内の他部署でも同様のシステムを導入しているので、カバーを付けるかどうかは協議してからになるとのことでした。庁舎内で他にも同じシステムを導入しているというのなら、なおさら早急に対応が必要です。現在は、カバーをつける方向で調整中と聞きましたが、システムを導入してから、これまで窓口の委託業者および現場の委託職員から、改善を求める声はなかったのでしょうか。声があったにも関わらず区が対応しなかったのであれば、それこそ大問題です。
 そもそもキャッシュカードの暗証番号以外にも、区民の大切な個人情報を扱う窓口業務を委託業者に丸投げしていたのでは、区民の個人情報を保護することは到底できません。
 そこで質問です。区職員と委託職員を分断し、窓口業務の非効率化を生み出すとともに、区民の個人情報保護の観点からも、国民健康保険課の窓口業務の民間委託はやめるべきです。いかがですか。答弁を求めます。

 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。