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区議会質問
 
2013年第4回定例会         河野たえ子議員の一般質問

 私は、日本共産党区議団を代表して、「子どもとおとしよりに安全と安心を」と題して、以下の 項目について一般質問をおこないます。
第一は、待機児解消と保育の「質」確保について
第二は、高齢者の「住まい」と「特養ホーム」について
第三は、西部地域複合施設について、であります。
 それでは、順次のべていきます。

第一は、保育園の待機児解消と保育の質の確保についての質問です。
 そのうちの一つは、早急な待機児解消対策についてです。この数年、わが豊島区でも保育園の待機児解消が至上命題とされてきました。しかし、一向に解決に向かっていません。逆に増えています。なぜでしょうか。区立保育園を増設しないからです。私は、50年前に豊島区に転居してきました、働いていたので長男を保育園に預けようとしましたが、当時は、区立4か所私立9か所しか保育園がなく、入所できず、生きがいを感じていた仕事を辞めざるを得ませんでした。今の待機児問題は、50年前と変わらない状況だということです。       
 私が地域のお母さんたちと、はじめて取り組んだのは「保育園作れ」の運動でした。そして1975年区議会議員に初当選、議会で初めておこなった質問も保育園の増設問題でした。その後、保育園の増設が進み、1981年には32か所まで増え、多くの区民に喜ばれました。しかし、1996年区は財政悪化を理由に「行財政調査臨時報告書」で区立保育園5園廃止を提案。これを聞いたお母さんたちは、指定された4園を中心に大きな運動をおこし、5万余名の廃止反対署名をつけた陳情を区議会に提出しました。翌97年第3回定例会で、区の廃止条例提案がなされ、今もそうですが、この切実な区民の願いである請願・陳情を自民、公明、区民クラブの皆さんは、不採択にしてしまいました。当時ですら4〜5歳児はともかく1〜2歳児は申し込んでも入所できない子どもがいたのです。いまの待機児問題の大もとはここに根差しているのです。いま、4園があれば事情は変わっていたはずです。政治というのは先見の明が必要であり、自治体の第一義的な仕事である福祉、教育を金がないといって、切り捨ててはならないということです。
 さて、区は、待機児解消のため、保育計画をたてました。しかし、子どもと親のことを考えて、本気に取り組んでいるとはとても思えません。今年の待機児数は、新定義で210名、旧定義で507名です。区が解消策に位置付けている認証保育所は、4か所から9か所へ、預けている子どもの数は、110名から287名へと大幅にふえています。高い保育料でもやむにやまれず預けているのです。保育環境も良いとは言えません。我が家のそばの認証もビルの一階、狭いところです。先日見学したいわゆるスマート保育という小規模保育所も幹線道路沿いのビルで、もとは信用金庫の支店があった場所で、一種のワンフロアです。保育制度は児童福祉法に「国及び地方自治体は、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」とかかれ、親の就労と子どもの福祉、発達保障を定めています。どこでもいいから預かればよいというものではありません。区は子どもをよい環境で保育する義務があるのです。都会の子どもの多くは住まいもマンションなど共同住宅が多いのです。隣や下の階の人に気兼ねし、迷惑をかけないように言われながらすごしています。子どもは、大きな声でワーッと叫びながら全身を使って遊ぶのが大好きです。あるお母さんは園庭のある保育園でのびのびと過ごさせてやりたいといっていました。
 区はなぜ、区立保育園を建てないのでしょうか。その理由に「待機児は区内全域に散らばっている」ので、どこかに1か所作っても、解消に役立たないとかいっているようですか、それは違います。過去に増設することで入園児の数を増やしてきたことからみても、そんな理由は、へ理屈です。区立を建設しないのは、本気に待機児解消に取り組んでいないのと同じです。いま、国は子ども・子育て支援法で国や自治体の「保育の責任」を放棄しようとしています。それをよいことに手を付けないのでしょうか。
 そこで質問いたします。
 区長、まず区立保育園を必要だと考えているか、どうか、明確にお答えください。また、早急に保育園を建設すべきです。が、これから建てるとすれば開所まで2年はかかります。そこで緊急策としての提案ですが、廃止した4園のうち「茜の里」になった旧池4と巣鴨第2は別にして、現在、東西の子ども支援センターにしている旧千早第二と旧西巣鴨第一をもとの保育園として活用するのはいかがでしようか。使っている子ども支援センターは、他の区有施設に移すことになりますが、少なくとも保育園として造られた施設は少し手を入れれば、保育園として十分使えます。いかがかお答えください。

 二つめは、保育の「質」について質問します。
大塚駅ビル5階に区待望の「認可」保育園が開設されました。時間にせかされている父母にとって駅中で便利、助かるのですが、果たして、子どもたちにとって、どうなのか、と思われることがあります。一つは外遊びです。園庭は5階にありますが、ボール遊びは禁止とのこと、もちろん運動会はできません。園庭としての価値は半分です。もうひとつは、給食です。保育園の特徴に4〜5歳児の給食はバイキングと写真入りで商業新聞も取り上げています。行事食でたまにやるならともかく、毎日幼児がバイキング食、私は驚きました。保育園は、カロリー、栄養素、塩分などその年齢に必要な量と種類を調理し出す 、好き嫌いなく「味」や「たべる」ことを体で教えていく、つまり、食育です。極端な偏食などがあれば家庭への指導も必要になります。バイキングで選ぶときに職員が指導するとのことですが、それでも「それでよいのか」という疑問が残ります。
 そこで質問いたします。
 認可保育園といえども民間保育園の運営は都の指導に属しますが、区民の子どもを預けているのですから改善を求める必要があります。「りとるぱんぷきんず」の5階の園庭に網を張ってボール遊びができるようにすることや給食の拡充、職員増員などについて、区は、
 責任を持って指導・改善求めてほしいのです。どの子にも豊かな保育を保障するために。いかがかお答えください。

 三つめは、保育園のアレルギー児対策問題についてです。
 食物アレルギーの子が増えています。最近も学校給食の誤食で、命を落とす事故がありました。現在、各保育園では、アレルギー児に対して、職員の努力対応でやっていますが、除去食の違う子どもが複数以上いると、代替食の調理はもとより、食器、なべなどの調理器具まで別に取り扱うなど、煩雑で困難を強いられています。もともと調理は、人の手をどれだけかけるかでおいしい料理ができるのです。ここを軽視したものはどんなに高級材料を使ってもおいしい料理はできません。ましてアレルギー除去食は神経を使う必要があります。現在、区のアレルギー児対策加算は、お粗末なことに代替食材料費のみです。
 そこで質問いたします。
 アレルギーの子どもに安全な給食を提供するためには、食材料費だけでなく、栄養士の配置、調理員の増員などが絶対不可欠です。事故が起きてからでは遅いのです。これこそ区長の言う安心・安全だと思うのですが。保育園で代替食や除去食を安全に提供ができるように食材料費だけでなく、人件費の加算をつけるべきだと考えます。いかがかお答えください。

つぎに、第二の高齢者の「住まい」と「特養ホーム」についての質問に入ります。
 最初は、区の福祉住宅と位置づけられている高齢者住宅「つつじ苑」の増設について質問いたします。 
 いま、区内2か所に介護サービス付き高齢者住宅、通称サつき住宅といっている高齢者専用マンションが、来年完成を目指して建築中だそうです。介護サービス付きといっても、建物のバリアフリー化とケア・マネジャーの常駐が条件です。しかし、家賃を聞いてびっくり、21万とか22万円台です。いったいどのくらいの所得の人が入居するのでしょうか。これだけの家賃を負担できる人は相当なお金持ちです。もともとこの制度は、国の施策ですが、都は、猪瀬知事になって、都の補助額分を増やし、それまでの計画戸数6千戸から1万戸へと供給促進を図りました。入居資格は「自立した生活がおくれる高齢者」となっています。
 大金持ちはともかく、大多数の高齢者は、毎日の暮らしの節約に心を砕きながらくらしています。そこへ年金の引き下げ、来年の消費税増税です。2年ごとの契約更新におびえ、家賃さえもう少し安いところがあれば生活保護を受けないですむという人たちも少なからずいます。また、住んでいる古いアパートの立ち退きを迫られただけで心が不安定になった人もいます。高齢者の収入とライフステージに見合った「住まい」が切実に求められているし、それを提供するのが自治体の仕事です。これこそ究極の「安心」です。また、いま、必要以上に「在宅」が強調されていますが、それはともかく、体力、機能に見合ったバリアフリーの住宅が「在宅」に必要なのは事実です。
 そこで、区内の高齢者の住宅事情をみてみると、安い家賃に見合った老朽アパートで狭いとか、急な外階段を上った2階とか、バリアだらけで介護保険を利用するような状態になったら困るところに、住んでいる高齢者が沢山います。みんな安心して暮らせるすまいを切実に求めています。ところが、区の高齢者住宅の取り組みは大変不十分です。多くの高齢者が入りたいと思っている高齢者住宅、つつじ苑の増設の取り組みを強めるべきです。毎年の募集倍率は、単身で昨年度、13倍、世帯用戸数は、少ないので実に22倍です。なぜもっと建てないのでしょうか。わが党は、予・決算など機会あるごとに取り上げ、拡充を求めてきました。区の資料によれば、借り上げ方式ならば、1戸当たり82万円でできるのです。なんで50億だ、141億だといっているお金の一部を使って建てないのでしょうか。区民の安心・安全が前進するのです。
 ここで質問します。
 つつじ苑は、1991年に16戸借り上げで、始まってから直接区が建設したものも含め現在15か所253戸あります。しかし、2010年池袋本町の都営住宅の移管に伴う建て替えで作った13戸のつつじ苑を除くと、1999年に10戸の借り上げをして以来、建設も借り上げも行われていません。1999年というのは高野区政が誕生した年です。加藤区政を継承するといって当選したのに、すっぱりやめてしまいました。区民の「安心安全」を声高に言うなら、生活の基礎である高齢者住宅を拡充すべきです。現代は、衣食はなんとかなりますが、住は個人の力では、特に低所得者には、困難な問題なのです。ここに力を入れるのが政治の仕事、住民の福祉をささえる自治体の本来の仕事です。
 区長、高齢者住宅「つつじ苑」の増設に、積極的に取り組むべきですが、いかがかお答えください。

 つぎに、特養ホームの増設の件についてお聞きします。
 誰でも人の世話にはなりたくないと思っています。もちろん、個人差はありますが、70歳を過ぎればいつ、病気などをきっかけに援助や介護が必要になるかわかりません。そして、年とともにその量がふえていくのです。先ほどのべた「介護サービス付き」住宅に入居している人は、自立できなくなったとき一体どうなるのでしょうか。
 区内の認知症対応のグループホームは少しずつ増えて12施設、140 名の定員になりましたが、そのうち生活保護受給者は、たったの2名です。グループホームの部屋代はおおよそ7〜9万円台ですから、施設の計らいで減額しているのです。介護サービス付き住宅より負担が少ないとはいえ入所するには、それなりの財政的な裏付けが必要だということです。区内には、圧倒的に年金だけで暮らしている高齢者や働いていた時の蓄えで細々と暮らしている高齢者が多いのです。貧しくとも真面目に働いてきた人に、人生の最後を人間として尊厳を持って、終わらせるための場所として特養ホームは、必要不可欠の施設です。
 区の高齢者人口のうち、一人暮らし高齢者は、65歳以上、20,462名、75歳以上は、11,703名もいます。一人暮らしということは、いわずもがなですが、病気になればもちろんですが、体力、気力が落ちてくれば介助、介護が即必要になります。通所や在宅サービスを使って、がんばっていても、限界になるときが必ず来ます。家族がいても必要になるときがあります。 介護度5の母親を60歳代の子ども夫婦が介護している例では、息子はがんで治療中、妻も乳がんの手術をし、腱鞘炎など病気をもちながらの介護です。特養に申し込みをしていますが、介護者がいるのでなかなか入所できません。彼女は「いつまでもつか」と思いながら毎日介護をしているといいます。ベッドが足りず虐待で入所が必要な場合、ショートスティで対応している施設や実際に介護者が倒れ、少々強引に入所させた例など、絶対的に特養のベッド数が足りません。
 区は、今年特養入所の申込とランクづけのやり方をかえ、入所申し込み人数を抑えました。その結果の数字は、それまでの待機者数1235名、そのうちAランクが492名、ところが今年6月では、619名になりました。Aランクも187名ですから、区から見たら「効果抜群」です。こんな姑息なやり方で、区民の需要をおさえるとは驚きました。 決算委員会での討論で、建設中の千川小跡地と旧中央図書館跡地にできる特養ホームで194床できる、Aランクが187名なので「トントン」だと答弁があったそうですが、今でもAランク含め入所希望者は619名います。Aランクだけが入所対象者ではありません。百歩譲ってAランク優先としても、完成までに、さらにAランクが増えることは必定です。
 そこで質問します。
 前回、わが党の特養ホーム増設を求める一般質問への答弁に、現在、計画中の2か所の特養が完成、入所した後にその後の計画をたてると答弁しました。しかし、2年後開所の千川小跡地と中央図書館跡地の2か所の特養ホームに、今待機している人、Aランクはもちろん、すべての人が入れるわけではありません。なぜ2年後なのでしょうか。一人暮らし高齢者数や高齢者の置かれている切羽詰まった、状況をみれば、2年後にたてるなどと悠長なことは言えないはずです。ただちに増設計画に着手すべきです。いかがかお答えください。

第3の質問は、西部地域複合施設建設に関しての質問です。
 8月29日におこなった西部地域複合施設の入札が不調に終わり、第三回定例会で再入札をするために、債務負担額16億4千7百万円を増やす補正予算を急ぎ可決し、11月18日再入札が行われましたが、またもや不調に終わりました。あちこちの公共建築で最近入札の不調が起きています。葛飾区の北斎美術館もそうでした。都の豊洲新市場も区と同日の18日、不調になりました。これからの公共施設の建設に大きな影響がでるでしょう。
 それはともかく、もともと、西部地域複合施設は、地域住民が本当に望んでいる施設と違っているということです。
 区は、「未来戦略推進プラン」をだし、「公共施設の再構築・区有財産の活用で」地域施設の老朽化にともない、改修に金がかかることや人件費の削減を目的に、長崎健康相談所、西部区民事務所、千早図書館、千早地域創造館、西部保健福祉センター・要児童館(区民ひろば)を入れた施設を計画しました。同時に勤労福祉会館にある郷土資料館を移すとともにまんが文化などミュージアム機能を強化した(仮称)文化資料館にし、これが主たる施設になりました。また、建物の形状、卵型の設計や敷地に対しての嵩の大きさ、なども区民から疑問が上がっていました。ここは、もともと学校だったので子どもが走ったり、ボールを蹴ったりするスペースがありましたが、新しい施設は隙間もありません。また、閑静な住宅街であるにもかかわらず、大型バスを駐車出来るようにする、つまり外から人を呼ぶ施設であることに対する批判もでていました。
 資金計画の説明では、当初、工事費に約33億、総額で44億5千万円と説明され、説明会に来ていた区民は「区は金がないといっていたが、そんなに余裕があるのか」と驚いていました。しかし、財源に図書館と地域創造館の跡地を「有効活用」し、7億4千万円で、売却する計画には反対が強く、公園など緑地にして周辺環境を守ってほしいとの要望も出ていました。当初の財政規模案の44億5千万円でさえ、住民は、これでいいのかと疑問と不安を感じていたのです。ところが、約1・4倍、総額61億円にしたというのですから、びっくりです。さらに、再度の入札に応募した大成建設は工事価格に47億円もの額を付けたというのですから、このまま、建設を進めてはいけません。

 そこで質問します。
 当初の建設費予定価格23億円で不調になり、2回目は予定価格を32億6千万円にしても落札できませんでした。聞くところによれば、再入札に唯一応募した大成建設は、47億円ということでした。当初予定価格の2倍です。2回目の区の予定価格は「建材や労賃の値上がりなど工事費の高騰」を反映しています。それより大幅に高いということは、卵型の設計だからではないでしょうか。もともと基本設計業務プロポーザルでは技術面・コスト面で不安視する意見が出されていたのです。「卵型」の建物でなくても、もっとシンプルで機能的、合理的な建物で良いという住民の声を生かすべきです。建設計画をただちに凍結し、改めて再検討すべきと考えますが、いかがかお答えください。

 二つめの質問は、入札の失敗を含めこの間の経過、対応について地域住民説明会を開催し、報告をすべきということです。
 区の工事は、入札が基本で行われてきましたが、こんな高額な補正を行ったのは、初めてではないでしょうか。それでもダメだったのです。また、あちこちで公共工事の入札が失敗しており、異常事態ともいうべき状況です。2011年に西部地域複合施設の基本計画に関する説明会が行われ、本来ならこの11月に工事説明会が開かれることになっていました。11月22日開かれた第4回定例会の区長の所信表明では、「近隣住民、関係者の皆様への説明会」を実施するとしています。が、範囲を狭めることなく、幅広く地域住民への説明・報告会を開催することを求めるものです。いかがかお答えください。

 以上で私のすべての質問を終わります。