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区議会質問
 
2013年第3回定例会           森とおる議員の一般質問

  私は、日本共産党豊島区議団を代表して「現庁舎地・周辺整備は白紙撤回を」と題し、次の2点について一般質問を行います。
第1に、新たな区民負担を強いる50億円の劇場ホール建設計画等について
第2に、大塚三業通り周辺の浸水対策についてです。
 区長の明快な答弁を求めます。

 それでは第1の質問、「新たな区民負担を強いる50億円の劇場ホール建設計画等について」です。
 6月13日、第2回区議会定例会初日、区長は招集あいさつで、新庁舎完成後の「現庁舎地の活用と周辺整備」について次のように述べました。
 1点目は、新公会堂について、これまで現公会堂と同規模の800席、3,000平方メートルを想定してきたが、これを拡大し、1,200席程度、約6,000平方メートルの規模で整備する方針を固めた。整備手法は、これまで同様、定期借地する民間企業が建設する施設と一体的に整備するため、新公会堂建設を委託し、完成後、区が区分所有するというもの。
 2点目は、区民センター改築後の「健康センター構想」について、大きな柱と考えていた清掃工場内にある健康診査センターの移転が難しく、見直さざるを得なくなったため、新ホールの機能を補完し、連携を取りつつ、現区民センターの機能を維持・拡充することにした。そして、現在214席ある文化ホールを400?500席のスペースに広げるというもの。
 3点目は、現庁舎周辺におけるまちづくりの魅力あるビジョンを示す必要があるとして、新ホールの外観や南北の軸となる中池袋公園前からサンシャイン通りに至る区道、そして中池袋公園について一体的かつ斬新なデザインの検討を進めており、これにより民間事業者の進出意欲が高まることを期待しているというもので、来年春に予定している、現庁舎地を民間企業に定期借地するための募集のための内容でした。

 私たちは、この話は、今、述べた区長の招集あいさつで、初めて知らされました。そこで、わが党は、急遽、内容を調査し、資料要求しました。すると、これまで17億円とされていた新公会堂の資金計画が、50億円に変更され、そのうち35億円は起債を充てるということが分かりました。新公会堂は、演劇等の興行が主体の豪華な劇場ホールになっていたのであります。

 6月25日、わが党、渡辺議員が一般質問でこの問題を取り上げました。「新庁舎建設事業で借金はしないという方針を変更したのか」という質問に対し、区長は、「公会堂建設事業は、新庁舎建設事業と別の事業であり、新庁舎建設には借金はしないというこれまでの方針に変わりは無い」と答え、また、「新たな区民サービスの低下を招く恐れがあり、無謀である」との質問に、「財政負担はさほど大きなものではない」と平然と答えたのであります。

 7月5日の議員協議会において、区は議会に初めて計画の説明をしました。引き続き、わが党は、「新庁舎建設と公会堂建設は、これまで一体の計画だったではないか」「区民サービスの低下を招かないという根拠を示せ」など、追及しました。1,200席の根拠はなく需要調査もしていない。周辺整備を含めた総投資額、年度別事業費、起債の返済計画についても、区は、第3回定例会に示すというだけで、まともな答弁をしませんでした。
 このような段階でプレス発表などとんでもないと、わが党が中止を求めたにもかかわらず、予定通り7月11日、プレス発表し、区長は自分の思いを語ったのであります。同時に、区は、民間企業誘致用に冊子「街が変わる 街を変える」を作成しました。これは、区のホームページに掲載されていますが、実際に区民の目にふれることはありません。区民への周知と言えば、8月1日号の広報としまによるわずか数行、そこには計画変更の経過や、事業費50億円など、どこにもありません。
 今定例会初日の9月20日、議員協議会で、劇場ホールを1,200席から1,355席に増やすと説明がありましたが、具体的な内容の説明は次回以降にするとのことでした。また、新区民センターと現在の生活産業プラザを上層の階で一体化し、ホールをつくり458席にすると説明がありましたが、法的にクリアしているのか、という私の質問に対して、またもや次回以降にと、答えを先送りにしてしまったのです。新区民センターの文化ホールの拡張が、現公会堂の代わりだと言っていた計画に無理が生じたためではないでしょうか。いずれにしても建築年度が違う建物の一体化は、負の遺産として将来に禍根を残すことになります。しかも、震災発生時等に危険を伴いますから絶対にやるべきではありません。
 そこで最初の質問です。
 3定に示すと約束した、周辺整備を含めた総投資額、年度別事業費、起債の返済計画は、いまだに示さず、いつ明らかにするかのかもあいまいです。いったい、いつ示すのでしょうか。改めて伺います。
 議会と区民に対し、全体像を明らかにし、十分な説明を行うところから仕切り直すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 
 わが党は、これらが政策決定にいたった経過を調査し、会議録等の資料を入手しました。これによると7月3日の政策経営会議で政策決定したとされていました。ということは、政策決定の前に、議会の招集あいさつで区長は発表したことになります。これは大問題です。
 会議録を見ると、区長から「新ホールには補助金はつかないのか」など基礎的な質問が出ていました。また、財政計画は決まっていないので3定に示すなど、議会への答弁同様に議論はようやく始まったばかりと見受けられました。しかも区民部、清掃環境部、保健福祉部、子ども家庭部等は出席しておらず、到底、全庁的な意思決定の場とは言えません。
 その5日後、7月8日、全ての部が集められ、未来戦略創出会議が開かれていました。この会議の設置要綱第2条には、「公共施設の再構築・活用に関すること」を審議するとされています。このように公共施設に関わる問題は、本来、こちらで審議した上で決定するべきものなのです。ところが、ここでは報告事項にとどまっているのです。会議録を見ると、区長が、「議員協議会では明確に答えられなかった」など、反省の弁こそありましたが、3日後のプレス発表を目前にして、「公表していくのだから後戻りはできないと認識してほしい」と締めくくられており、自分の考えを押しつけるような印象でした。区長の視線の先にあるのは、区民でも議会でもなく、プレス発表で、民間企業誘致のプレゼンを行うだけのことなのです。
 そこで質問します。
 今、述べたように、政策決定にいたる経過に間違いないでしょうか。この間の経過を時系列にしてお答えください。
 それにしても、区長は、庁内の政策決定前であるにもかかわらず、なぜ、2定の招集あいさつで公表したのでしょうか。
 これはまさに、庁内の手続きを無視した区長の独断専行ということになりますが、いかがでしょうか。明確にお答えください。
 資金計画もなく、財源の裏付けもないものが、なぜ政策決定されるのでしょうか。合わせて答弁願います。

◆次に新庁舎の資金計画について伺います。
 ここで、これまでの経過を振り返ってみます。区長はこれまで「財政状況が厳しい中、税などの財源を使うことなく、また、新たな借金をしないかたちで、移転、建て替えに取り組んでいる」と言い続けてきました。
 2008年の新庁舎「整備方針」では、旧日出小学校等の権利変換で取得できるのは、総床面積の45%のため、残りの不足分は、保留床購入費として112億円が必要とされていました。他に、引越、解体、内装、備品等、そして公会堂購入費17億円と、健康センター建設費22億円が含まれた支出合計は166億円でした。収入は、本庁舎敷地と公会堂・分庁舎敷地を合わせて民間に貸し付け、一般定期借地権50年を設定し、25年分貸付料一括受取りした場合176億円を整備費に充当するというもの。よって差し引き10億円の黒字で新庁舎が建てられ、26年目以降の25年間は、年間9億円の貸付料が入ってくるとされていました。
 2年後の2010年「新庁舎整備推進計画」では、リーマンショック等による不況の影響で、保留床購入費は124億円へと12億円の増加。さらに、屋上緑化等の支出が増えたが、公会堂整備費17億円と健康センター建設費22億円は変わらず支出合計は180億円。前回比14億円の増加となりました。一方、収入の定期借地についても、143億円と33億円もの下方修正となりました。収支合計はマイナス37億円となり、10億円の黒字だと言っていたのが、わずか2年で47億円も悪化してしまったのです。これに対し区は、定期借地の地代の一括受取り年数をさらに10年分追加して35年にすれば、収入が182億円になるから大丈夫だとしました。
 これが、区が示した最後の新庁舎建設の資金計画であり、公会堂整備と健康センター建設費を含んだまま、住民説明会を行い区民にも示したのであります。
 区は、計画を分けたかのように言います。しかしながら改めて指摘しますが、本年3月の予算特別委員会において、わが党の質問に、区長自身が「公会堂でも、現状の中では、まさに借金をしないで、できるだけ持ち出しも少なくしてやっていかなければならない」と、答弁しているのであります。
 そこで質問します。
 区長が、「新庁舎と公会堂は、別の事業であり、新庁舎建設には借金をしないという方針に変わりはない」というのであれば、いつ、どこで、どのように別の事業に分け、いつ議会に示したというのでしょうか。明確にお答えください。

 わが党は、当初より、景気や不動産市況に左右されるような資金計画はやめるべきと指摘してきました。定期借地の相手が決まる前に、建設を始めるなど、相手に足元をみられ、バナナのたたき売りになってしまうと言ってきたのです。2010年の最後の資金計画発表から、デフレ不況はますます深刻となり、地価下落は進み、さらに急激な円安等による物価高騰、来年、強行されようとしている消費税増税など、新庁舎建設の資金計画は、いっそう厳しくなっていることは明らかです。ところが区は、そのことを認めるどころか、いっさい触れようともしてきませんでした。これだけ財政が逼迫しているときに、支出を控えるどころか、35億円借金してまで50億円も出そうというのは、計画の破綻以外、何物でもありません。まさに今、「進むも地獄、退くも地獄」と言って、後から莫大な税金を投入した東池袋4丁目再開発と同じ状況になっているとしか言いようがありません。
 そこで質問します。
 改めて伺いますが、17億円の公会堂を、50億円の劇場ホールにしたのは、いったい、なぜでしょうか。
 他の公共事業費が上がっている事態の中で、50億円を超えることはないのでしょうか。明確にお答えください。
 ◆次に、区財政・区民サービスへの影響について伺います。
 区長は税金を遣わず、新庁舎を建て替えると言っています。しかしながら、旧日出小学校などの土地を民間再開発ビル建設に差し出し、現庁舎地も民間企業に50年間も貸すなどの手法は、税金同様、区民の財産を使っていることに違いはありません。
 区民に対しては、金がないと脅しては福祉、教育費といった必要なサービスを削りに削ってきました。各部署では新規・拡充事業にろくに予算がつかないため、既存事業の廃止・削減をしなければならない枠配分予算で、乾いたゾウキンを絞るやり方です。わが党が求めてきた、高齢者のおむつ補助の拡充はしない、生活保護世帯の入浴券も減らしたまま、さらに障害者の交通費のわずかばかりの予算削減をねらうなど目に余ります。児童館や区民集会室等は次々廃止され、各区が進める認可保育園新設は、わずか1か所。2か所進んでいる特養ホームのその後の計画もありません。
 今、区民の暮らしは、不安定雇用の増加や、給与削減、年金の引き下げ、そこへきて急激な円安による生活必需品や電気代のあいつぐ値上げ、高すぎる税金や各種保険料の滞納、生活保護世帯の増加など深刻な事態です。
 そこにきて、資材費高騰や、東日本大震災復興による建設従事者の不足、来年の消費税増税などが、公共事業に影響し、事業費を増額せざるを得ないという事態が起こっています。本区でも西部複合施設の入札が不調になり、今定例会に債務負担行為の補正として16億円を上乗せする議案が提出されました。その一方で、現庁舎地の活用と周辺整備計画は、劇場ホール50億円どころか、毎年の経費、周辺整備の莫大な費用が、明らかにされないまま進められているのであります。
 そこで質問します。
 わが党、小林議員が、明日取り上げますが、区民の暮らしは深刻です。特養ホームの待機者、認可保育園の待機児解消など、区が優先してやるべき課題は山積しています。今、区長がやろうとしていることは、莫大な税金投入です。区長は、資金計画の全体像も示さずに、財政負担は大きくないと言いました。そうであるならば、なぜそう言えるのか、明確に根拠を示すべきですが、いかがでしょうか。

◆続いて、現庁舎地周辺のまちづくりについて伺います。
 区長は、建築家の隈氏を区の都市政策顧問に招き入れ、「ダンベル型」の都市づくりなどと言って、新庁舎周辺と、現庁舎地周辺を2つの核として位置づけ、それぞれのにぎわいを高め連結するとしています。その中身は、区民センター建て替え、中池袋公園リニューアル、周辺区道整備等、劇場ホールと関連づけるというものです。
 当初、区民センターは、健康センターに建て替えるとして、新庁舎建設計画に22億円が盛り込まれていたことは先ほど述べました。区長は今回、清掃工場内の健診センターの移設が技術面、費用面から難しく見直さざるを得ないと言っています。その理由は、健診センターを清掃工場内に建設する際、東京都から補助金31億円が出ており、移設すると20億円を返還しなければならないからというものです。そんなことは初めから分かっていたことで、移設の話など、これまで一度も聞いたことはありません。劇場ホールと連携したビル計画に変更するため、後からのこじ付けではありませんか。
 このようにダンベル型などと言って、超高層ビルを建て、劇場ホールだけにとどまらず、区民センター建て替え、中池袋公園・周辺道路を整備することで、「にぎわい拠点の再生」とか「人を呼びよせ来外者を増やす」「街の回遊性を高める」と区長は言います。しかし、そういう街づくりを区民が望んでいると本当に考えているのでしょうか。
 そこで質問します。
 現公会堂は古く、建て替えは必要です。しかし、区民が求めるのは、いつでも安く使える本来の公会堂です。莫大な税金を投入し、人を呼び込むような劇場ホールを区民は望んでいないのです。いかがでしょうか。
 また、こうしたまちづくりは、まさにバブル期以降、全国各地で、多額の税金を投入しながら、その多くが破綻している事例と同じなのです。きっぱりやめるべきです。答弁を求めます。

▲次に、第2の質問「大塚三業通り周辺の浸水対策について」です。
 8月21日、区内において、夕方と夜中の2回、局所的な集中豪雨が発生しました。9月12日時点の被害件数は161件、その内8割が南大塚1丁目、大塚三業通り周辺に集中しました。区役所に設置されている雨量計によると、降雨量は、17時台が1時間に24ミリ、23時台は54ミリ、22時30分から10分間で22ミリを記録しました。ただし、現場近くに雨量計がないため、正確な数値ではありません。
 私が現場にかけつけたところ、道路冠水で、路上駐車していた軽自動車が1〜2メートル流されたとのこと。水が玄関など家の外から入ってくるだけでなく、風呂場などの排水溝から逆流した世帯もありました。エレベーターや車、オートバイが浸かり動かなくなった、地下室が水没したなど、排水作業に追われる世帯、流された物を探す人々、床上浸水のため家にいられなくなった人、あまりにも突然の出来事に、現場は大混乱でした。改めて自然災害の恐ろしさを目の当たりにしました。
 被害にあった皆さんは、「こんなことは初めてで、怖かった」と口々に語り、「二度と被害が起こらないよう対策してほしい」と、多くの要望が出されました。大塚三業通りの下には下水道千川幹線があり、並走する都道千川通りの下には第二千川幹線があります。現在、下水道局は老朽化している現地の下水道管を再構築中ですが、被害が発生したのです。
 区は原因を調査する一方、すぐにできる対応として、現地の雨水マスを40か所ほど、グレーチングに変更し、下水道幹線までの流れを強化したところでした。
 ところが、その矢先の9月15日、台風18号による影響で、またもや被害が出たのです。私も現場で対応中、道路冠水に直面しました。豪雨となり、しばらくすると、水がいたるところから流れ込み、道路は見えなくなりました。雨水マスは水を吸い込まず、ほとんど役に立ちません。そこで、私は待機中の下水道局職員に声をかけ、いっしょに雨水マスの蓋を2か所こじ開け、職員が中に足を入れてかき回したところ、まもなく排水されたのです。当日の被害は、区内でこの地域だけ。抜本的対策は急務です。
 そこで質問します。
 区は、下水道局と連携して、まずは、徹底した原因究明を行うべきです。
 また、現場近くに雨量計を設置し、下水道幹線に水位計を設置するなどして、現地における正確な情報を得られるようにすべきです。
 そして、下水道幹線の万全の対策はもちろんのこと、被害があった地域の私道、公道を含め、広範囲かつ面的に、緊急に再整備し、住民の命と健康、財産を守るという立場に立つべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、当日の区の対応について伺います。
 両日ともに、2度の道路冠水がありました。地域住民から「3度目の道路冠水があるかもしれない、巣鴨小学校に避難できないか」という要望に基づき、私は、区に小学校の開放を求めました。ところが、区は、開放することなく門は鉄の柵で閉ざされたままでした。また、8月21日については、現場に急行するといった対応もありませんでした。
 区は、大雨洪水警報が出なかったとか、小学校を開放しなかったのは、10分程度で雨はおさまった、降り続かないと判断したなどと言っています。しかし、今、各地で問題となっているゲリラ豪雨や、台風、竜巻被害など、その被害は予想できない事態なのです。あらゆる被害を想定して対応しなければならず、想定外だったなどとは言えないのであります。東日本大震災以降、区は、特に防災に力を入れていくと言いながら、今回の対応はあまりにも不十分だったと言わざるを得ません。
 そこで質問します。
 今回の豪雨に対する区の対応は、十分だったと言えるのでしょうか。
 また、今回の教訓を、今後、どう生かそうとしているのでしょうか、合わせて答弁を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。