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区議会質問
 
2012年第2回定例会(2012年6月26日) 小林 ひろみ議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して「区民の声を聴き、住みつづけられる区政に」と題し、一般質問を行います。

第一に、防災・震災対策について
第二に、西部地域複合施設について
第三に、安心して医療がうけられるようにするために
 であります。

第一に 防災・震災対策についてです。
 東日本大震災の被災地は、いまだ復興していません。長期にわたる避難生活に対する物心両面の支援と、雇用の維持・拡充と雇用創出は急務です。大企業が震災を口実にリストラをするなどは論外であり、ためこんだ内部留保を雇用確保に使うよう政府が指導的役割を果たさねばなりません。消費税増税で被災者に負担をふやすなどもってのほかです。
 原発事故は収束には程遠い状況であり、原因究明もまだ、免震事務棟の建設など政府自ら必要とした対策もされていないのに、大飯原発の再稼働を決定しました。全国から「再稼働反対」の声が広がっています。
 大震災後、多くの人が「経済効率最優先ではだめ」「人と人とのつながりや人間そのものを大切にしよう」と考え始めています。ところが、今、マスコミが、民主党、自民党などの「既成政党」の対抗勢力として盛んに持ち上げているのが橋下大阪市長です。橋下市長と大阪維新の会は徹底した競争原理を教育などあらゆるところに持ち込んでいます。民主党も限りなく自民党にすりより、新自由主義を大々的にとりいれ、アメリカと大企業の利益最優先になっています。

 今議会の区長の招集あいさつや、この間の様々な行事での区長のあいさつでは、「区政施行80周年記念」と「セーフコミュニティの認証取得」の話ばかりです。安全安心をことさら強調するのは、安全安心でないからです。現実の区民の生活実態とほどとおいのです。
 商店街は活性化どころか、衰退の一途をたどっています。最近も南長崎のライフや西池袋の東武など大手スーパーが次々出店する一方、池袋本町では古くからの地元スーパーの閉店がつづいています。ここで消費税が増税になったら、中小零細業者は、ますます深刻な状況になります。
 今年は国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料とも値上げとなり、区民から悲鳴が上がっており、年少扶養控除の廃止で税金が高くなった、という苦情も多数よせられています。
 区長は、「都市間競争に勝つ」「魅力あるまちが新たなエネルギーを生み出す」「来街者が来ることがポリシー」といい、新庁舎建設を起爆剤に、池袋副都心を中心とした大型開発をいっそう進めようとしています。しかし、財政が逼迫しているという状況の時に、まずやるべきは、区民の命と生活を守ることです。

 まず、豊島区有施設の耐震補強について伺います。
 6月14日の議員協議会において、区の建物の耐震補強、橋梁の補強計画についての説明がありました。かねてよりわが党が指摘していた心身障害者福祉センターの新館については、「福祉救援センターとしての機能を確保するため」来年度耐震補強工事を行うことと、あわせて2016年度に仮移転と大規模改修するとの計画が示されました。もっと早くやるべきです。子どもたちのいる高松第一保育園の耐震補強はBランクでいいとはいえません。Aランクまでもっていくべきです。区民ひろば池袋や区民センターについてどうするか最終的な結論がないのも問題です。
 巣鴨の保健福祉部分庁舎、千早地域文化創造館、図書館などは改修せずにおくことになっています。とくに問題なのは、統廃合で閉校になった学校の校舎や体育館です。旧高田小、旧千川小、旧第十中の体育館、校舎は、今年度中に施設開放事業を中止し、近隣の学校開放の利用を促すとしています。豊島区は廃校後の体育館や校庭、校舎について、暫定利用として登録団体への貸し出し、つまり施設開放事業を行ってきました。「どうせ壊すのだから」と必要な修繕、補強もせずにきたのであります。スポーツ施設がすくなく、あっても利用料が高い豊島区で、区民のスポーツ活動を支えてきたのが学校開放と施設開放です。廃校施設の体育館ではバスケットやバレーボール、バトミントン、フットサルなど、校舎では太極拳や演劇、子育て支援などの団体が利用してきました。公園が少なく、また公園ではボール遊びが自由にできないことから、施設開放は自由に子どもたちが遊べる場所としても、有意義につかわれてきました。
 区は、これらの団体に今後どこで活動しろというのでしょうか。簡単に「近隣学校開放の利用を促す」といいますが、実際には学校施設は現在つかっている団体があり、調整は困難な状況です。千早、要町の地域では千川小、第十中が使えなくなるだけではありません。後でものべますが、旧平和小(現西部区民事務所)の体育館は、西部地域複合施設の建設にあたり、雨漏りの改修をしたあと資材置き場や工事事務所として使うため、今年10月から、2015年までつかえなくなると聞いています。このままでは、旧千川小や旧平和小で行われてきた地域住民主体によるコミュニティ活動もできなくなり、結局解散せざるを得ないところに追い込まれてしまいます。
 旧千川小体育館の土地利用については、これから「地元区民等と積極的に協議をおこなっていく」ことになっていますし、旧十中の跡地利用計画も2016年度に基本設計を行うというものであり、工事までにはまだまだ時間がかかります。

 そこで質問します。
 この間、豊島区は「金がない」といって、施設の改修をやりませんでした。
 セーフコミュニティだ、安全・安心だというなら区民が利用する施設についても安全でなければなりません。豊島区には、区民に対して安全な建物を利用させる責任があります。今回、耐震診断をした結果、区民センターや保育園など耐震性に問題のある施設を区民につかわせてきたことについて、区の責任はいかがか、答弁ください。
 まず、保育園については急いで十分な耐震性を確保すべきです。また区民センターについても、早期に耐震補強をすべきと考えます。答弁ください。
 また、閉校した学校の体育館は、区民の健康づくりや地域コミュニティづくりに役立ってきました。耐震補強すれば、引き続き使えますし、震災時には、避難所や物資の保管場所としても活用できます。旧千川小や旧十中の体育館も朝日中学校のように、耐震補強すべきです。いかがでしょうか。

 次に 「木密地域不燃化10年プロジェクト」についてです。
 東京都防災会議は4月18日、東京湾北部でマグニチュード(M)7・3の大地震が発生した場合、都内の死者が従来の想定を5割上回る9641人になるとの推計結果を公表しました。都民の防災への関心は高まっています。
 東京都は木密地域の改善を一段と加速するとして、昨年「木密地域不燃化10年プロジェクト」をうちだしていますが、問題があります。
 問題点の一つ目は、東京都がこのプロジェクトの事業費を示していないことです。プロジェクトの目標は、整備地域は約7000haの不燃領域率を2020年度までに70%に引きあげ、延焼遮断帯となる主要な都市計画道路の整備を2020年度までに100%達成するとしています。これらの整備のため必要な予算はいったいどれだけかかるのか、わかりません。都政新報によると石原知事は昨年11月「私権がありそういうものをカバーしつくすだけの行政力、権限があるわけでもないし、財政力があるわけでもない」と語ったそうです。特別な支援の具体的内容も不明で、これからです。
 問題点の二つ目は、住民が追い出されずにすむ仕組みがないことです。
 このプロジェクトは、延焼遮断帯を形成する主要な都市計画道路の整備に取り組むと言いますが、地域住民の合意なくして強行することは許されません。都は、関係権利者に対し、生活再建等のための特別の支援策を実施する、検討中のメニューとして都有地・都営住宅の活用をあげています。しかし、わが党都議団の質問に、都が新たに都営住宅を建設することは考えていないとしています。結局、建て替え資金のない高齢者、低所得者や賃貸人は住み続けることはできず、追い出され地域コミュニティが破壊されてしまいます。
 問題点の三つ目は、不燃化特区制度に指定されるためには、コア事業を実施しなければならないことです。コア事業とは不燃化特区内で、不燃化をすすめる核となり波及効果が期待できる事業で、都市計画事業など強制力のある手法活用が基本とされています。
 先行実施においては、コア事業は区主導で行うのが基本であるとなっており、豊島区が独自に事業を行わなければなりません。副都心委員会で、部長は、「この事業で、区のさらなる負担はない」と答弁していましたが、そんなことはないはずです。
 本格実施の中では、都が実施する都市計画道路の整備に合わせて不燃化促進事業を実施するとともに沿道での地区計画の策定や残地を活用した沿道街づくりを行う場合もコア事業に該当するとあります。つまり都市計画道路整備をすすめるために不燃化特区を使うということです。

 問題点の四つ目は、内容が区民にはなにも知らされていないことです。
 池袋本町地区では、昨年の第四回定例会で、「都市計画道路補助73号線の早期整備と周辺まちづくりについての請願」が、わが党のみ反対で採択されました。その後、私は何人かの本町在住の方に、「73号を進めてほしいという請願がでて採択された」と話すと、みなさん「知らなかった」といい「我が家はまともにぶつかっている。反対だ」という人もいました。また、本町では現在、震災復興まちづくり訓練がおこなわれています。5月26日は「まち歩きと地図づくり」がおこなわれましたが、ある方から「『道が狭い』との声がいくつもあがった。しかし大きな道路を作ると町が壊れてしまうのが心配だ」という声をききました。
 73号以外にも今回「特定整備路線」の対象区間となるとおもわれる道路、補助82号、補助172号などの計画地の区民もこの事業について、まったく知らされていません。都市計画道路については現在第三次事業化計画がおこなわれ、15年度までは新たな道路の着手は行われないと認識しているのです。
 それが、「特定整備路線に指定されれば10年後には100%整備するのが目標だ」という話ですから、区民がきいたらびっくりします。

 そこで質問します。
 まず、不燃化特区先行実施地区に東池袋四・五丁目地区を対象として応募するとのことですが、一体どのようなコア事業を考えているのか、豊島区としての財政負担は本当にないのか、お答えください。
 また、これまでの道路建設では結局住民が住み慣れた場所をはなれてしまっています。地域コミュニティが破壊されます。これを防ぐには、東京都に対して単なる従前居住者対策だけではなく、都が責任をもつて都営住宅を作るしかありません。東京都がやらないなら、豊島区が区有地をつかって区営住宅をつくるべきですが、いかがでしょうか。
 さらに、今年6月には「特定整備路線」の「対象区間」が公表されます。区長は、招集あいさつで、「区内で対象となるすべての路線について候補区間に指定されるよう、すでに東京都に積極的に働きかけを行っております」と述べました。14年度から路線の指定、事業実施となっていますが、指定にあたって区民への周知は重要です。単に、「きめこまかく粘り強く対応する」だけでは、区民の理解は得られません。区民にしらせず、住み続けるための支援策もはっきりしない、この「プロジェクト」は撤回するよう都に申し入れるとともに、豊島区は手を挙げるべきではないということです。答弁ください。

 防災・震災対策の最後は、今すぐやるべき具体的な防災対策の拡充について3点質問します。
 わが党は、予算特別委員会で、12年度の防災予算について、新規拡充の木造耐震改修補助は削減しても「緊急輸送道路沿道建築物耐震診断・改修 助成」を拡充したとして新規拡充事業として示すなど不十分であると、指摘しました。
 また、わが党は、六月一日区長に対し、「区民生活を守るための緊急申し入れ」を行い、その中で、防災対策や放射能対策の拡充をもとめたところ、区長から「検討する」旨の答えがありました。

 最初に耐震補強などの防災施策についてです。
 家具転倒防止器具設置などを補助する減災対策器具設置事業は、新規予算100万円はすでに使い切り、有料の取り付けサービスをあっせんする状況で、わが党が防災・震災対策特別委で、「補正予算をつけてでもやるべき」と指摘。部長が補正予算を検討すると答弁したあと、特別委員会の総意として要望することになりました。補正予算では160万円計上されています。
 また、木造住宅耐震診断助成は予算は40件分ですが、すでに20件の申し込みがあり、昨年度実績の31件を大幅にこえることが予想されます。改修についての補助、民間住宅耐震改修助成も10件分のところ、すでに4件の申し込みがありました。耐震シェルター設置助成は予算3件分ですが、すでに3件の申し込みです。
 まだ、2012年度始まったばかりでこの状況です。予算の見積もりが甘かったのです。東日本大震災の経験と最近の情勢により、せっかく区民の関心がたかくなったのですから、この機会にぜひ耐震補強をすすめるべきです。予算がないから、待ってくださいとなってはなりません。耐震補強工事をするときに、助成の要件として接道条件などがあり、実際には補助がうけられない場合もあります。新宿区では、建物の一部が道路にはみ出した場合や道路に接していない建物でも、建替え時には建築基準法を遵守するとの確認書を提出することを条件に、通常の半分ではありますが、補助金を出すことにしました。10、11年度に4地区を対象に個別に訪問し無料で耐震診断をおこなうモデル事業を実施した結果、申し込みの半数以上が事業の対象外だったことから、「安全な街をつくることを優先する」立場から、助成することにしたそうです。

 そこで質問します。
 減災対策器具設置事業については対象者がまだまだいるはずです。これをふくめ、耐震の補助関係の予算の大幅増額を求めます。また、木造建物の耐震については豊島区でも助成要件の緩和をすべきです。いかがか、答弁ください。

 次に学校・保育園の給食食材の放射性物質対策です。
 12年度予算では新規拡充事業として、学校と保育園給食の放射性物質検査経費を計上しました。しかし、区は、4月1日から新基準値が設定されるので、その後の放射能汚染の出方などを見ながら検討するとしており実施していません。としま放射能から子どもを守る会の申入れには、学校運営課、保育園課とも検査の予定はないが、震災対策推進本部の方で、測定の必要があると判断されれば測定できるようになっている、と答えています。
 東京都は、放射能対策には消極的ですが、わが党都議団や都民の強い要望に応え、「安全・安心のための学校給食環境整備事業」として、東京都が測定機を購入、23区と多摩の2箇所で給食食材をもちこみ、測定する事業を始めまた。この事業には6月までの参加は7区、2 学期からはさらに4区が予定されて、計11区が測定します。杉並区は測定器を購入して実施していたり、渋谷区、北区などは独自に委託して測定しています。
 そこで質問します。豊島区でも学校、保育園の給食食材の測定をやるべきです。答弁ください。

 この項目の最後に都立施設の放射線量測定と除染についてです。
 東京都は都立の施設での測定や除染に消極的です。先日も日本共産党都議団の調査で、葛飾区の都立公園で2万ベクレルの場所が発見されたと報道されました。ようやく都も測定することになりましたが、都はもっと積極的に測定除染をすべきです。わが党都議団の調査によると、都教育委員会は、「区市町村から学校に依頼があり、学校から都教委に相談があった場合、区市町村による測定を認める」との判断をしており、立川市や練馬区で測定が行われています。豊島区にも、都立文京高校、千早高校、豊島高校、大塚ろう学校があり、特に大塚ろう学校は幼稚部と小学部で小さな子どもたちが通っています。直ちに測定と除染をすべきです。
 そこで質問します。都に対し、豊島区内の都立施設の放射線量測定及び除染をするよう強く求めるべきです。答弁ください。東京都がやらないなら、豊島区として区内の都立学校の放射線量測定をおこない、豊島区のガイドラインに沿って対策をとるべきと考えますが、いかがか答弁ください。

次に、第二の質問、西部地区複合施設について伺います。
 豊島区は、西部地域複合施設の建設を新庁舎にあわせて2014年度末に完成させるとして、すすめています。この施設は、旧平和小(現西部区民事務所)に、地域文化創造館や図書館、西部保健福祉センター、健康相談所、区民ひろば、西部区民事務所、マンガミュージアムなどを合築し、体育館はそのまま残し地域文化創造館の体育館として運営するとしています。また、大型バスが駐車可能な駐車場が整備されます。
 わが党は、かねてより合築することの問題点や長崎健康相談所の機能が削られること、またミュージアム機能に重きをおきすぎていること、さらには資金計画も問題が多いと指摘してきました。
 今年2月に基本設計の地域説明会がおこなわれました。たくさんの質問が出て、住民の関心の高さを示しました。5月には、住民が主体となって説明会を開いたところ、40名余集まり、中には、「このような計画があることを知らなかった」という声もでたのです。
 そこで、この時点で明らかにすべき点について質問します。

 まず、建物について伺います。
 区は、合築すれば施設が一か所になって利用者にとって便利になるといいます。しかし、いままでより遠くなり不便になる人もいるのです。また、これまで校庭では子どもたちが野球などをやっていましたが、複合施設ができれば使えなくなります。区は代替施設として、南長崎中央公園をあげますが、多目的広場では野球はできないし、何より遠すぎます。区民のための施設なら、大型バスの駐車場はいらないから、コミュニティバスがほしいという声がでるのは当然のことです。
 さらに問題なのが建物の形状です。基本設計業務の選定委員会の「審査経過および審査講評」という文書の中に、今回の設計について、「アピール力が選定委員から高い評価を受けた」「一方、技術面・コスト面を不安視する意見が出され、また曲面空間の展示のあり方についての課題、1階に集約された行政及び公民館機能の窮屈さの課題も提起され」、議論がされたこと、そして「今後の設計段階での検証および対応で、十分克服できるものと委員会は最終判断をおこなった」とかかれています。今年1月の区議会施設用地委員会でも、委員から曲線のデザインで建設によけいに金がかかるのではないか、四角い机、棚などを使うので使い勝手はどうか、維持管理に金がかかるのではないか、などの質問が出ました。そこでは理事者は、「あまり無駄はでない」「ランニングコストは、設備の問題なので今後も設計者と検討していく」といい、また、形について、「内部は事務室はなるべく四角く作った」とか、「図書館やミュージアムは曲線になじむ」などといっています。しかし、丸い建物の中を四角い部屋にすればむだが出てきます。また費用については、備品は予算の範囲であつらえるので大丈夫だという答えですが、特注品になれば高くなるのではありませんか。
 今回の設計事務所は大変有名な建築家ですが、いくつかの自治体で、使い勝手やデザインの奇抜さなどで、市民から疑問がだされたことがあります。2008年に新築された福生市役所の庁舎はよく似た曲線的なデザインですが、新築後半年で事務スペースが狭すぎるなど使い勝手の悪さを理由に1100万円つかって改修、その後も建物の雨漏りなどが続いています。

 そこで質問します。丸いデザインによる施設の使い勝手の悪さは本当に克服できるのか、無駄なスペースができるのではないか、雨漏りは大丈夫なのか、維持管理がたいへんではないのか、経費が高くつくのではないか、と区民からは疑問の声がだされています。みてくれがよくても、使い勝手の悪い施設をつくっては、不便になり不利益をこうむるのは区民です。あらためて、区民のもつ疑問にどうこたえるのか、また、選定委員会で議論になった点について実際にどのような詳細検討や対応がなさ れたのか、具体的にお答えください。

 次に体育館についてです。
 防災・震災対策の質問でのべたように、体育館を工事期間中に工事事務所などとしてつかうとしています。豊島区はスポーツ施設や空き地がすくなく、廃校となった学校の校庭や体育館では、地域住民や卒業生の協力で区民や子どもたちのための開放事業がおこなわれてきたのです。また現在は開放事業として利用料がやすく抑えられていますが、地域文化創造館の体育館にすれば値上げされることは容易に想像できます。2年間も活動せずに、さらに利用料もあがればひきつづき活動ができるのか、心配です。本来、建設工事にかかる工事事務所の設置や資材置き場などは工事会社が調達するものです。また敷地内では、駐車場になる予定の場所などあいている場所もあるではありませんか。

 そこで、質問します。現在使っている区民に対し、区は簡単に「近隣の学校の利用をうながす」などといいますが、実際には利用は困難です。このままでは地域住民の活動の場も、子どもたちの遊び場もなくなってしまいます。体育館を工事事務所などとしてつかうことはやめ、引き続き開放事業がおこなえるよう見直すべきと考えます。答弁ください。

 西部地域複合施設の質問の最後に資金計画について伺います。
 区は、概算事業費として、総額44億5000万円必要だとしています。基本計画によると、施設建設(設計・解体含む)に37億1000万円、(仮称)芸術文化資料館内装等に4億5000万円、移転関係費に4000万円、初度調弁等に2億5000万円となっています。その財源として、図書館と地域文化創造館の跡地売却で7億円余、国の補助金が5億円、公共施設再構築基金から9億円と見積もっていますが、それでも20億円は借金することになります。
 区民の財産である区有地を「資産活用」といって売却することが、前提となっていますが、考え方がまちがっています。ただでさえ、豊島区は緑地や空き地がすくなく、防災面でも環境面でも拡充が必要であり、さきほどのべたように、旧平和小の校庭部分がつかえなくなれば、少年野球も子どものボール遊びもできなくなってしまいます。売る土地があるなら区民のためにつかうべきです。
 ミュージアム機能については、建設費や運営費も含めて、さらに検討が必要と考えます。
 現在、長引く不況、区税や財調の減額、さらにはヨーロッパの財政危機など、今後の区財政の状況が不透明なときであり、建設事業をすすめるかどうか、は慎重に決断する必要があります。建設事業は、ひとたび着工したら途中でやめることができなくなるのです。

 そこで質問します。    
 経済情勢や社会情勢からみて豊島区が新たに土地を取得するのは困難です。資産活用だといって、大切な区民の財産である土地を売却することはやめるべきです。答弁ください。
 また、財政状況が不透明なこの時期に、区有地売却を前提にしたうえ20億円も借金しなければならないような資金計画で本当に大丈夫かと、区民から不安の声があがっています。これまで述べてきたように、今、本当にこの西部地域複合施設をこのまますすめてよいのか、疑問ばかりです。急いで、建設をすすめず、もう一度利用者、地域住民らと話し合い、区民の声を聴き、設計変更も含めて検討しなおすべきです。いかがでしょうか。

 第三に 安心して医療がうけられるようにするために、区がやるべきことについて質問します。
 まず、国民健康保険料について伺います。
 2010年国民健康保険法が改定され、都道府県知事に「広域化等支援方針」を策定させ、市町村国保の「財政改善」「収納率向上」などを指導する仕組みが導入されました。さらに2011年国保料の「所得割」の計算方式を統一するため地方税法と国保法施行令が改定され、13年度には、すべての市町村国保の「所得割」が「旧ただし書き方式」に一本化される見通しです。23区はこれにさきがけ、「旧但し書き方式」への変更を11年度から実施しています。広域化への準備です。広域化は、自治体独自の一般会計からの繰り入れをできなくするものです。すでに、2010年の法改正をうけ、「県単位化」を先行してすすめている埼玉県では、「給付費が増えているのに一般会計繰り入れで国保税をすえおいているところがある」とか「もっとも多い繰り入れをしている自治体の国保税は県平均の半分」などのデータがだされ、県がそれぞれの自治体に指導するなど一般財源繰り入れできないようにする動きが進んでいます。広域化で、一般会計からの繰り入れをやめさせ純粋に支払われた保険料の範囲で医療サービスをおさえる、つまり負担と給付を一体化させることで、保険料の値上げがいやなら医療サービスをがまんしろ、お金があれば保険外でサービスをつかえ、ということになります。そして間違いなくさらなる保険料の値上げになります。
 民主党の公約である「後期高齢者医療の廃止」のかわりに2010年にだされた新たな高齢者医療制度案も、国保の広域化のながれをすすめるものですが、全国知事会の反発をうけ、棚上げになっていました。6月15日、消費税増税をめぐる自民党、公明党、民主党の三党合意のなかで、民主党はマニフェストに掲げた「最低保障年金創設」と『後期高齢者医療制度の廃止』を投げ捨てました。

 さきほどのべたように、23区は2011年度から「旧但し書き」方式に変更しました。障害者控除や配偶者控除、寡婦控除といった控除をうけていた世帯は控除されなくなったため、保険料が高くなりました。経過措置として軽減策をおこなっていますが、それでも値上げになった世帯が多くあります。Aさんは65歳、収入がへって、国民健康保険料を滞納し、2年前から分納しています。ところが2010年度年間41000円だった保険料が、昨年11年度は90980円と倍以上になったのです。ますます払えなくなりました。
 保険料軽減の経過措置は2年ということになっていますので、このままでは経過措置はなくなります。
 資料によれば、12年度の保険料は65歳以上の年金受給者の二人世帯で年収200万円の場合、年間104,317円ですが、経過措置があったので29998円さがり、74319円となりました。65歳未満の二人世帯で給与収入が200万円の場合、年間197600円、経過措置があったので39851円さがり157749円になったのです。これでも高すぎますが、経過措置が無くなったら、大幅値上げとなります。理事者はこの間、経過措置をどうするかについては、2013年度の保険料率算定のときに、議論をすると考えている、と答えています。このまま、経過措置がなくなれば、区民の保険料は跳ね上がり、困るのは区民です。
 そこで質問します。来年度保険料について、区長会、事務方でこれから検討が始まります。最低でも「保険料の軽減のための経過措置」を継続すべきです。いかがですか。答弁ください。

 次に眼科検診について質問します。
 最近あいついで、知り合いが「緑内障」と診断されました。一人は40代後半、もう一人は50台前半です。幸いにも早期に発見でき、現在治療中です。緑内障は、日本の失明原因の第1位を占めており、40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の患者がいて、しかも緑内障に気づかずに過ごしている人が大勢いるとのことです。最近は「緑内障=失明」という概念は古くなりつつあり、早期発見・早期治療によって失明の危険性を少しでも減らすことができる病気であることは間違いないそうです。緑内障と同様、加齢黄斑変性症も中高年に起こる代表的な目の病気で、やはり自覚症状のないまま進行し最悪の場合失明します。23区では、北区、中野区、板橋区、練馬区などで眼科検診が行われています。北区では、40歳、45歳、と五歳刻みの対象者に眼科検診の受診券をおくっており、費用は無料です。
 そこで質問します。
 わが党は、区民が健康で長生きするために、かつては節目検診の充実、最近では、がん検診の充実を求めてきました。あらたな検診として、他区でも実施している眼科検診を豊島区でも実施すべきと考えますがいかがでしようか。