HOME >区議会質問>第1回定例会 渡辺議員の一般質問
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 
2012年第1回定例会(2012年2月21日) 渡辺 くみ子議員の一般質問

私は日本共産党豊島区議団を代表し「区民のいのちをまもることを区政の基本にすえよ」と題し、
 第一に2012年度の予算について
 第二に新庁舎建設について、
 第三に住民優先の街づくりについて
 質問します。区長の明快な答弁を求めます。

 国民の所得は減り、貧困と格差が拡大し、長期にわたって「成長の止まった国」から抜け出せない状況が続いています。
 しかし民主党政権は小泉内閣以来の「構造改革」路線をまるごと引き継ぎ、医療、年金、介護、子育てなど社会保障のあらゆる分野の切り捨てを進めてきました。
 そして反対に大企業、大資産家には減税をばらまき、大企業の内部留保は増え続け260兆円にも及んでいます。さらにアメリカ言いなりの政治をしゃにむに進め、思いやり予算には手をつけないばかりか、沖縄県民の総意を踏みにじり普天間基地の辺野古への移設、日本の農林水産業をはじめ国のあり方を変えてしまうTPPへの参加を推進するなど、異常な政治をすすめています。
 ところが野田首相は1月24日の施政方針演説で「税と社会保障の一体改革」の名のもとで消費税10%の引き上げとさらなる年金、医療など社会保障改悪を示しました。
 消費税10%は13兆円もの大増税です。また社会保障はこれまでの改悪と合わせると年間20兆円もの国民負担増となり、これは日本の経済も財政も奈落の底に突き落とす道です。
 
 さてこのような国の異常な悪政のもとで、区民生活に直結している自治体が区民をどう守るのか、その役割がより一層求められています。その立場で質問します。
 第一の質問は2012年度予算についてです。
 2月8日に予算内示が行われました。来年度の予算は前年度より37億9800万円の減、前年度比3,7%のマイナスで3年ぶりの減少、1989年以降で4番目の減少率としています。
 昨年の10月、区は来年度の予算見通しについて、財源不足額は56億円と見込み各部局への依命通達を出しました。そしてこれらの財源不足の対策として、歳出抑制に13億円の歳出精査を行い、その中には廃止、縮小等でのスクラップ額1億600万円が含まれています。さらに義務教育施設整備基金の積み立て減が6億円とし、また歳入確保として財調基金約19億円の取り崩しを行っています。
 区はこの予算編成方針について、「景気の落ち込みを一定程度回復しつつあるが」、「先行きには」さまざまな「下振れリスク」等で、「先の見通しを持つことは困難」 しかし「福祉・健康・子育て・教育等の施策の充実」に取り組み、同時に今後も厳しい財政状況が見込まれるため、「行財政改革の姿勢をこれまで以上に徹底」していくとしました。
 
 さて、これまでの高野区長の12年間の財政運営はどうだったでしょうか。
 将来にわたり安定的かつ健全な財政基盤を構築するため、「財政健全化」をめざすとして、職員の削減、区有地の売却、民営化、財調基金の積み増しを続け、その結果、福祉関連経費は8億円、教育関連経費では1,2億円もの区民サービスを削ったのです。そのうえ国の地方行革を容認し「三位一体改革」では16億円もの補助金削減を受け入れ、さらに「景気が好転した」として125億円もの借金を前倒しし3年間で返済してきたのです。
 また、多額の税金を投入し東池袋の再開発を進め、池袋副都心には新庁舎建設を起爆剤とする大型開発にまい進してきました。
 一方、特養ホームは6年間1か所もつくらず待機者は1200人を超え、必要な介護が受けられない介護難民をつくりだし、保育園待機児は200人を超え、国民健康保険料は10年間上がり続けるなど、経済不況にあえぐ区民にさらなる打撃を与え続けたのです。
 我が党はこのような財政運営に対し、「区民に犠牲を強いて、切実な要望にも応えずに、財政危機を乗り越えた、財政再建がほぼ達成といっても胸を張ることはできない」、まず削ったサービスを復活、拡充し、区民生活を向上させるべき、また国の地方行革に反対し国や都に財源確保を求めるよう再三指摘してきました。
 しかし区長は、改選後初めての昨年6月の第2回定例会で、我が党が「今後、区民生活の向上に向けて、区長としてどういう基本姿勢で臨むのか」「切実な願いに応える区政運営に改めるつもりがあるのかどうか」と質したところ、「財政健全化に勇気を持って臨んだ。結果財政健全化はほぼ達成された」「財政健全化によって区財政が安定し、区民サービスの充実が図られてきた」と答弁しています。
 
 ところが、今回の予算案は財政の「健全化、安定化」どころか56億円もの財源不足としています。結局、区長の財政運営は間違っていたということではないでしょうか。
 そこで質問します。先の予算内示会で、我が党垣内議員が区長の責任を質したところ、部長は「いままでのやり方は間違っていない。区長に責任はない」と答弁しました。では一体だれの責任と言うのですか。明確に答弁ください。
 また区長の責任でないというなら、なぜ財政は悪化したのか、さらに区長はこの間「財政が安定化し、区民サービスも充実」と言っていましたが、では来年度の予算にこれらをどう反映させたのか。答弁を求めます。
 
 次は今後の財政運営についてです。今述べてきましたように、区長は「景気に左右されない強固な財政基盤を作る」「身の丈をふまえた健全な財政運営を」として、福祉や暮らしなど様々な区民サービスを削り、人件費の削減、事務事業の民営化、区有地の売却、無謀な借金返済を進めてきました。ところが、今度は「歳入の大きな好転を期待できない」として「行財政改革の姿勢をこれまで以上に徹底」し、歳出を抑制すると言うのです。
 そこで質問します。「景気に左右されない」「身の丈に合った財政基盤」と言って区民サービスを削りに削り、今度は“景気が悪く歳入の確保が難しい”と言ってまた同じ手法で、区民に犠牲を押し付けるのでしょうか。答弁を求めます。
 
 さて、いま高齢者の生活は貧困と格差が広がるなか、年金給付は削減されるなど厳しい生活がしいられています。そしてさらに介護保険料や後期高齢者の保険料の値上げです。こういう状況の中で高齢者の施策の拡充は待ったなしです。ところが予算案重点事業では高齢者対策は記されていません。それどころか反対に高齢者福祉課では廃止、縮小、見直しの事業が10事業となっています。
 そこで、予算の具体的な課題として、高齢者問題に絞って質問します。
 
 最初は介護保険料についてです。
 第五期介護保険事業計画で保険料が提案されました。平均5,190円で、第4期3,867円と比べると月1,323円、年間で15,877円もの引き上げです。年間所得が80万円以下の第2段階でも月2,590円、年間で31,080円となり7,879円もの値上げとなります。
 区は準備基金5億円を全額取り崩し、また今回、法改正により2012年度に限り、都は財政安定化基金の一部を取り崩し保険料の上昇緩和に充当するとし、本区では1億6千万円であう。しかしこれらを充当しても大幅な値上げとなっているのです。
 この間、我が党が区長に「国に負担増を要求するよう」求めると、「区長会等で行っている」との答弁が繰り返えされています。しかし改善されるどころか「介護給付総額が上がる」ことを理由に、保険料をどんどん引き上げているのです。
 そこで改めて質問します。国に対し、国の負担分を25%から30%に引き上げるよう区長自身が求めてください。また東京都に対しても財政安定化基金をさらに取り崩し、交付するよう求めるべきです。答弁ください。
 
 かつて特養ホームの建設や運営費を含め、国は介護福祉に関する費用の2分の1を負担していました。しかし介護保険では25%、4分の1に減らしたのです。さらに厚労省は2006年の見直しで給付費の3%枠で地域支援事業を創設し、区の施策を介護保険に回す仕組みを作りました。
 介護保険導入前の1999年度、区の高齢者の施策は31事業80億円が計上されていました。介護保険導入時の2000年度には35事業45億円、そして2009年度には32事業で8億9000万円まで下がっています。
 さらに来年度の予算で、区は介護保険の地域支援事業に新たに、紙おむつ事業経費、介護予防相談・体験会事業経費、保健福祉部分庁舎維持管理費の3事業1457万円相当を「事業内容は変わらない」として移行したのです。
 事業を介護保険に入れれば当然保険料にはねかえります。保険料が際限なく引き上げられるということです。このような介護保険の仕組み自体大きな問題ですが、同時に区の施策を次々と介護保険に移行し、区の責任を投げ捨て、さらに区民に保険料として重い負担を押し付けることは許せないことです。
 そこで質問します。国の社会保障切り捨てで厳しい生活を強いられている高齢者に対し、区の福祉を充実させることこそ第一に取り組むべきであります。区の施策については絶対に介護保険に移行せず、一般財源できちんと対応することを強く求めます。答弁ください。
 
 次に紙おむつ支給事業です。今回区は紙おむつの現物支給制度について区の施策から介護保険に移行しました。
 紙おむつ支給事業は、介護保険導入時の2000年度の対象要件は要介護3以上で、登録者は2000人を超えていました。ところがこの12年間の施策の見直しで、対象を65歳以上で要介護4以上と、85歳以上で要介護2以上とし、昨年度の登録者数は901人と半分以下となっています。人は生きている限り排泄行為は避けられません。おむつは介護する側、される側にとっても必需品です。
 Aさんの夫は介護度3ですが、頻回に失禁を繰り返すため月のおむつ代が1万円を超えています。当初は少量の失禁に対応するため布を当てたり、おむつを切って使ったりしていましたが、枚数がかさむようになり、時には洗って使用しているそうです。Aさんは「パンツ式や吸収の多い物などいろいろあるが高くて買えない」と言います。
 そこで質問します。今区民が求めているのはおむつの支給枠の拡大です。1か月6000円相当分の支給枚数は12年間も据え置きのまま、反対に対象要件を引き上げ給付総額を縮小してきたのです。区独自の施策で対象者の拡充と必要な人には支給枚数の拡充を求めます。答弁ください。
 
 次は縮小とした緊急通報システムについてです。
 今回区は、「実績に合わせた見直し」として、予算を365万円削減しました。
 我が党は緊急通報システムについて、支給要件の基準の緩和を含め拡充を求め、「慢性疾患」の基準を無くさせました。この結果、昨年末には利用者数は101件となり、前年度より倍近く増加しています。しかし利用料の軽減措置があるのは要介護3以上までと、「身体に何らかの障がいがある者」となっています。それ以外で希望する場合、月2315円の負担があります。月々わずかな年金で暮らしている高齢者にとって2000円を超える自己負担は大変きついものです。高齢者が安心して在宅生活をおくるためにも支給要件を撤廃し、対象の拡大を図るべきです。答弁を求めます。

 次に介護関連で新たに拡充を求める施策について2つ質問します。
 まずデイサービスの食事代についてです。
 一人暮らしの男性Bさんは要支援2で、週一回家事援助のヘルパーさんが掃除等の援助をしています。また近所に住む80代の姉が時々たずね食事や買物等の援助をしてくれています。なるべく引きこもらないため主治医はデイサービスの利用を勧めていますが、1日600円の食事代が「高い」と参加していません。昨年、我が党は決算委員会でも同様の問題を質し区は検討すると答弁しました。ではどのように検討したのでしょうか。
 厚労省は介護保険制度について在宅重視を打ち出しています。在宅生活を継続するためには、デイサービスは貴重な施策です。
 そこで質問します。特養ホームでは低所得者の自己負担に軽減措置があります。デイサービスでも所得の低い人に区独自の軽減制度をつくるべきです。答弁ください。

2つ目は同居家族等がいる場合の訪問介護サービス等の取扱いについてです。
 80代の男性Cさんは一人暮らしで要支援2です。一人で風呂の支度ができず生活援助を求め地域包括支援センターに相談しました。しかし「隣家に80歳代の弟夫婦がいるためできない」と断られました。同居どころか隣家でしかも80歳代の親族がいるのでダメとはどういうことでしょうか。
 我が党はこの間、この問題について具体的事例をあげ取り上げてまいりましたが、一向に改善していません。2009年には厚労省から改めて、同居家族がいることを理由に「一律に機械的に」「訪問介護の保険給付の可否について決定することがないよう」との通達が出されています。しかし地域包括やケアマネージャーにより対応はまちまちです。またある事業所は、介護報酬として申請しても査定される場合があるとして、同居親族がいる場合はすべて自費扱いをしているとのことです。
 そこで質問します。本来、介護保険は同居の家族がいようと、介護度によって必要な介護が提供されるべきものです。取扱いについて区の責任で、早急な改善を求めます。答弁ください。
 さらに転倒などで突然介護が必要となるケースに対応できる、区独自のヘルパーの派遣についてです。
 現在、社会福祉協議会でリボンサービスと困りごと援助サービスが紹介されますが、リボンサービスは1時間700円、困りごと援助サービスは30分500円と有料で、また身体介護等の援助は受けにくいと言います。
 そこで質問します。かつて区独自のヘルパー派遣事業が行われていました。緊急時への対応等のため区独自のヘルパー派遣事業の復活を求めます。答弁ください。
 
 
 予算に関する最後の質問は後期高齢者医療制度についてです。
 後期高齢者医療制度が実施をされて5年目を迎えます。民主党はかつて野党時代「お年寄りをいじめるな」の桃太郎旗を掲げ、2009年の衆議院選と2010年参議院選のマニフェストで後期高齢者医療制度の廃止と年金の拡充を提案していました。ところが政権に就いたとたん年金支給額の引き下げや、支給開始年齢の引き上げを進め、後期高齢者医療制度は廃止どころか保険料の大幅値上げを進め、マスコミからは「呼吸をするように公約違反を連発している」とまで言われています。
 さて1月31日東京都後期高齢者医療広域連合議会が開かれ2012年度と2013年度の保険料が決まりました。これによると所得割率が7,17%から8,19%に引き上げられ、また限度額を55万に円引き上げ、前期に据え置かれた均等割が2,300円増の40,100円とし、結果一人当たりの保険料は2011年度の平均保険料84527円が93258円となり、8731円10.3%と大幅な値上げです。
 今回、財源対策として区市町村による特別対策等の継続で約203億円と、財政安定化基金の活用で実質167.6億円が計上され、値上げ幅を減らしたとしています。しかし大幅な値上げです。今回の広域連合議会では、提案に対し我が党議員2名と社民党議員1名、計3名が反対する中で賛成多数で可決されました。
 そこで質問します。
 保険料を下げるため、東京都後期高齢者医療財政安定化基金を大幅に取り崩すよう強く求めること。また都に対し、保険料軽減の独自支援をはじめ、広域連合への広報費やシステム経費、区市町村への葬祭費など別枠での財政支援を拡大するよう求めるべきです。答弁を求めます。
 
 さて後期高齢者医療制度の保険料の徴収は年金からの「天引き」を基本としています。しかし年金収入の低い人などは、自分で納めます。そうしたなかで、保険料を払いきれない人も生まれ、昨年6月時点の滞納高齢者は全国で28万5000人以上にのぼります。短期保険証の交付者数は2万人以上に達すると言われています。
 後期高齢者である75歳以上の人は、何らかの疾病があり、複数の診療科の受診が必要な人も多く、現役世代の4倍から5倍の医療が必要と言われています。高齢者人口が伸びれば医療費も伸びるのは当然のことです。ところがこの制度は、75歳以上の高齢者を差別し医療費を保険料で賄う仕組みのため、保険料の値上げが避け難くなっているのです。だからこそかつての老人保健法では「国民の老後における健康の保持」を目的にし、早期治療を促進し、安心して医療が受けられるよう保障してきたのです。本来ならすぐにでも老人保健法に戻すべきで、短期証やまして差し押さえなどとんでもないことです。
 本区では2012年1月末現在、滞納者は760人、短期証の発行は22人です。区は「高額所得者や『払わない』人がいる」と言いますが、そもそも普通徴収の人は後期高齢者に移行したばかり、あるいは無年金か年金が大変低い人、保険料が2分の1以下の人ということで、低所得の人が保険料を支払うのは困難なのは明らかです。
 
 そこで質問します。
 滞納者への短期証の発行は直ちに止めるべきです。答弁ください。
 また差し押さえ件数は2010年度4件、昨年は5件となっています。差し押さえの判断は区市町村の権限です。23区でも差し押さえを行っている区は6区のみ、いかに豊島区は高齢者に冷たいかと言わざるを得ません。直ちに差し押さえは止めるべきです。答弁ください。
 
 第2に新庁舎建設について質問します。
 新庁舎の建設工事が始まりました。
 この間、我が党区議団は、一つに分譲マンションとの合築で庁舎機能は担保されるのか、将来の改修、建て替えができるのか、ランニングコストも、修繕積立金もいまだに明らかにされていない、二つ目に不動産市況に区民の財産の活用を委ねる資金計画であること、三つめに敷地内の唯一の空地である「地区広場」は防災面からみても狭すぎること、四つ目に情報の公開が全く不十分で、区民不在の計画であること等を指摘し、このような新庁舎建設に反対してきました。しかし未だに解決していません。我が党は引き続き、これらの問題について質していきます。
 
 そこで今回の質問の第一は広場空間についてです。
 去る1月20日都市計画変更の住民説明会が行われました。参加者からは都市計画の変更より、環5の1道路問題、都電東池袋方面への地下鉄からのエレベーター設置など、全体の街づくりについての質問が出されていました。また今回の震災の経験から「雑司が谷地域、南池袋地域では3つの小学校と1つの中学校が統合で無くなっている。震災時、雑司ヶ谷霊園に人は集まらなかった」として「一時の避難場所」として地区広場は狭すぎるのでないかとの質問も出ていました。
 そこで改めて広場空間について質問します。
 超高層建物の「長周期地震動」は都市型災害のもとで、区民にとっても大きな関心事になっています。
 昨年の第2回例会で「900uの地区広場は狭すぎる」と拡充を求めた私の質問に、区長は「耐震性に優れた建物の中にとどまるのが一番安全」「中池袋公園に避難した多くの人は耐震性が充分でない建物の不安から滞留したもの」として広場の拡充を拒否しました。
 耐震性が充分であっても、その時の状況で人は様々な動きをとるものです。また震災はどういう形でくるか、まさに今回の東日本大震災のように「未曾有の震災」で、原発事故は別ですが、各地で「想定外」の被害が広がりました。これらを考えても、震災直後一時的にマンション住民や来庁者、来街者等を含め近隣の多くの人が、庁舎周辺に集まることは容易に想像できることです。要は多くの人が集まるところには、広い空間をきちんと確保すべきということです。
 また広場空間は震災対策だけではなく日常的にも空間としての大きな役割があります。東池袋、南池袋地域では新たな高層ビルの建設の動きも見られる中で、また環5の1道路や日出通りに直結する周辺住民にとっても空間は必要です。
 そこで質問します。
 改めて地区広場の拡充を求めます。
 同時に庁舎周辺では再開発が進められる可能性もあります。その場合民間にゆだねるのではなく、住民参加のもと、区がきちんと関わり都市計画をたて、あくまでも住民主導で進めるべきです。そしてこれらの周辺地域に大規模公園、広場の整備を行うべきです。答弁を求めます。
 さらに今後の造幣局跡地の整備に際しても、豊島区内の空間を確保する上で、敷地の3分の1などと言わず、全地域を防災公園にするよう求めます。合わせて答弁ください。
 第2の質問は環境問題についてです。
 2月26日の工事説明会が開かれました。この中で風害の質問が複数出されました。しかし区民の不安や疑問には殆ど答えがありませんでした。なぜこういうやり方をするのでしょうか。超高層建物の風害は多くの区民が身をもって体験しています。又この間の住民説明会でも植樹だけでは改善しないとの発言もありました。
 そこで質問します。近隣住民は本当に困っています。区内にはいくつも超高層ビルがあります。机上の数字ではなく、区の責任で例えば東池袋4丁目の再開発地域に風速計を設置し、実際にどのくらいの風速になるのか、対策はどうしたら有効かなど、区がきちんと検証することを求めます。答弁ください。
 また区は新庁舎について「エコベール」を大きな特徴と強調して、「エコベールは風を和らげ、周辺環境に貢献します」としています。では周辺環境にどの程度貢献するのか、風害にどんな効果があるのか、具体的に示してください。
 さらに「エコベールは、地球環境負荷を軽減し、快適な環境づくりに寄与します」としており、この建物による環境負荷を「35%軽減」と言っています。しかし具体的にどう減るのか質してきましたが、いまだに回答がありません。改めてうかがいます。合わせて答弁を求めます。

 質問の最後、第3の質問は住民優先の街づくりについて
 震災対策を含めた分譲マンション対策について質問します。 
 東日本大震災の都市型の震災被害について仙台の視察をしました。 豊島区の55倍以上の広さ、人口100万人を超える仙台市では、津波や地震の被害が仙台市全域におよび、704名の方が亡くなり、今も26名の方が行方不明となっています。
 仙台駅中心の地域では、一見平常な生活がとりもどされているようでしたが、よくみれば街のいたる所で建物被害が見られました。3月29日付け河北新報の記事では、「市は3月22日までに、被害の大きい地域を中心に6,231棟の応急危険度判定を終え、894棟を倒壊の危険性が高い『危険』と判定」と報道しています。
 仙台では実際にいくつかのマンションを訪問し、大変な中でしたが管理組合の方との懇談もさせて頂きました。
 仙台市では東北関連の地震の経験から、2003年度から分譲マンションの耐震予備診断支援事業に取り組まれており、豊島区から見れば進んでいます。しかし、被害は様々で、さらに住民合意や国の補償制度を含め費用面でも復興の難しさをおもい知らされました。また管理組合の役割は大変重要で、管理会社に任せるのではなく、日常的に居住者が自らの問題として管理組合の活動に参加していることの大事さも学びました。
 東京では旧耐震のマンションが1万棟44万戸といわれています。このままではその被害は阪神淡路大震災とは比べ物にならないと専門家は指摘しています。
 震災が来る前に対策をとることが重要ですが、マンションの耐震化が進まない原因は@資金不足A住民合意形成の困難、B不適格住宅、C居住者の高齢化などが挙げられています。こういう状態では居住者の自助、共助だけでは解決しないということです。
 さて豊島区での分譲マンション居住人口は64%(2008年現在)と高位を示しています。区は2010年9月までに竣工した区内の分譲マンションに調査票を配布しアンケート調査を実施、昨年1月に報告書が出されました。それによると、2010年10月現在分譲マンションは937件41733戸で、その内1980年以前に建設された旧耐震基準の建物は216件となっています。これら高経年マンションでは、管理組合が組織されていない、長期修繕計画が作成されていない、特に耐震診断は15,4%と低いことなどが明らかになりました。区はこれら実態調査を受け、管理組合に関する相談、耐震診断や補強への助成、大規模改修等へアドバイスなど支援の方向性を打ち出し、来年度には管理等に関する条例を制定し、支援を具体的に進めるとしています。
 そこで質問します。
 阪神淡路大震災や仙台の状況を見ても、また「今後4年以内に大規模な地震がくる確率は70%」などとの報道がなされている点でも、マンション対策は急務です。
 区が住民の安全を守るために「支援」を推進するうえで、まずそれにふさわしい課の体制を確立すべきです。課としてきちんと独立すること、また必要な職員の体制を拡充することを求めます。答弁ください。
 さて現在区の分譲マンションの補助制度は、対象を旧耐震基準の建物とし、耐震診断費用助成として、費用の3分の1、限度額100万円と、耐震改修助成として改修費用の23%1000万円までの助成制度です。2008年から始まった耐震診断助成は昨年までの3年間で5件191戸実施されました。その内96戸は昨年実施され、区民の関心の高さが示されています。しかし耐震改修は0です。改修への相談や助成内容の拡充、貸付等様々な対応の拡充が求められます。
 ところが来年度の予算をみると都の補助事業としての特定緊急輸送道路沿道建築物耐震診断、耐震改修助成は拡充されていますが、一般の助成は昨年より削減となっています。しかし緊急輸送道路に面していない、小規模の分譲マンションも多くあります。
 そこで質問します。分譲マンションの診断費用補助制度と耐震改修助成の大幅な拡充を求めます。さらに新耐震のマンションでも大きな被害を受けている現状から、補助制度の対象に加えるべきです。また補助内容も貸付けや利子補給などあらゆる方法の検討を求めます。答弁ください。
 
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。