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区議会質問
 
2010年第4回定例会(11月30日) 小林ひろみ議員の一般質問

 私は日本共産党豊島区議団を代表して、「区民のくらしに光をあてた来年度予算にせよ」と題し、次の3点について一般質問を行います。
1 来年度予算編成にあたって、
2 医療制度改革について
3 介護保険について
です。

第一の質問 来年度予算にあたって に入ります。
 7〜9月期の国内総生産(GDP)は速報では、前期と比べた実質成長率は0・9%増となったものの、「エコカー補助金」やたばこ増税を前にした駆け込み需要、猛暑の消費刺激効果であり、今後は家計消費が一気に冷え込むことが懸念されています。
 リーマンショック以前、日本の大企業は5年連続で過去最高益を更新し、20年前の「バブル」期を上回る利益を上げました。自公政権は法人税率引き下げのほか、研究開発減税の拡充など至れり尽くせりの対策で大企業に減税の大盤振る舞いをやってきました。しかし、賃金は増えるどころか民主党政権になっても減り続け、1997年と比べると年収は60万円以上も下がって「バブル」前の水準まで落ち込んでいます。
 菅民主党内閣の補正予算は、大企業支援や大型公共事業をもりこむ一方、危機にある国民の生活と営業を救済する手立てはほとんど見当たりません。賃金を増やし、中小企業を支え、地域経済を守って家計を温める経済政策への抜本転換が求められます。
 これは、地方政治でも同じこと、今、区民がこまっている問題を解決し、区民の懐を暖める政策が必要なのです。

 区民生活はますます深刻になっています。豊島区では、生活保護世帯が増え続け、10月現在5989世帯、6863人にもなっています。就学援助の認定率も小学校では18.5%と約五人にひとり、中学校では27.2%と四人にひとりの割合です。特別養護老人ホームの待機者は今年9月末で1161名にもなっています。保育園の待機児は10月現在228名もいます。
 この間、わが党は区内各種・各層の団体と予算に関する懇談をおこなってきました。特に、福祉関係の団体と話すと、異口同音に「区は金がないといって、ほんのわずかな金額のものであっても、具体的にお金がでるものについては、予算を増やしてくれない」と悲鳴を上げています。
 自民党、民主・区民、公明党のオール与党に支えられた高野区政は、この12年間、区民に「財政難」と言ってリストラ、合理化、住民犠牲の行革を実施。区民サービスを大幅に削減し、区民に我慢を強いてきました。国の方針を先取りして、「財政健全化計画」、「新生としま改革プラン」を策定、2004年からは「行財政改革プラン」をすすめてきました。この間削減された福祉関係経費は年間ベースで8億円、教育関係経費は1億2千万円にも上ります。人件費削減を目的に、職員の削減、指定管理者の導入、保育園の民営化、児童館やことぶきの家を廃止し区民ひろばとし、また学童クラブを全児童クラブとしてスキップに統廃合する、「公共施設の再構築、区有財産の活用」で区民の財産である施設や土地を売り払ってきたのです。その上区長は突然「土地開発公社の借金125億円を三年間で前倒し返済する」と宣言し、借金返済を優先、今年第三回定例会で完済したのであります。
 また、再開発ですすめる新庁舎を起爆剤にして池袋を活性化する、さらに東西デッキやLRTに固執するなど、大型開発を優先して進めてきました。
 このように、区は「金がない」といって削り、巨額のお金をあまらせ、基金積み立てや繰り上げ返済、大型開発につかってきました。この半分でも区民福祉の増進に使えばどれほど困った区民が助かったでしょうか。
 わが党には、「新庁舎建設よりも、特養ホームや保育園をつくってほしい」「公営住宅を増やしてほしい」と切実な要求が寄せられます。こうした区民の声にこたえるべきなのです。

そこで質問します。
 区長は、「財政健全化をすすめてきた」といい、2014年には実質的な借金ゼロを目標に掲げ、いかにも区政運営がうまくいっているかのようにいいます。しかし、区民の生活はよくなるどころか、ますます悪くなっているのです。区長のいう「財政健全化」は区民生活の困難さの深刻化と引き換えに達成してきたものではありませんか。
 先ほど、区長は4戦出馬を表明しましたが、このまま区長を続けるというなら、
 これまでのやり方を転換しなければ、区民生活はよくなりません。今こそ、地方自治の本来の使命である「住民福祉の増進」を最優先に実現するという立場にたって予算編成をすべきと考えますが、いかがか答弁ください。

それでは来年度予算に盛り込むべき重要な点について、5点質問します。
 まず、特別養護老人ホームについてです。
 Aさんは80代の女性です。軽度の認知症がありますが、ディサービスを利用して在宅で過ごしてきました。ところが最近、たちあがると血圧が急に下がり意識を失うようになり、医者からは24時間目を離さないように、といわれました。区内の特養に申し込んだが、2〜3年はかかる、老人保健施設も空きがでるまで2〜3ヶ月はかかるといわれました。同居の50代の長女は専門職で働いており、今は仕事の時間を短縮するなどして、介護をつづけていますが、心身ともに疲れたといいます。
 ほかにも、80代の妻が夫を介護している老老介護の家庭や、仕方なく群馬県の病院に入院させたという方など、本当に深刻な状況です。
 現在、基本構想審議会で基本計画の後期分の策定が行われています。区は、基本計画にもりこむ新規事業について、事業量は示せるが、事業費については、いつからはじめるかとかいくらかかるかまでは示せない、それは毎年ローリングする「未来戦略推進プラン」できめていく、と説明しました。これでは前期計画とおなじ、結局区長の判断で、施策がチョイスされ、すすむものはすすむが、すすまないものはすすまないということになりかねません。
 特別養護老人ホームについては、施設整備をする高齢者福祉基盤等整備助成事業の後期事業量は「推進」となっているだけ、事業費どころか、事業量も示せていません。千川小学校跡地の計画についても、記載がないのであります。
 近隣区ではここ3年間に、新宿区が100床、北区も152床、板橋区158床、練馬区では90床と次々と特養を開設しています。ところが、豊島区では2005年4月開設された池袋敬心苑を最後に、その後は全く作ってきませんでした。計画中の千川小学校跡地の完成も早くても4年後、2014年です。その結果、待機者はここ数年1000名をこえ、そのうち区が「緊急度が高い」と認めるAランクも急増、7月末に383名だったのが、9月末には391名と400名にせまっています。

そこで質問します。
 区長が特養を作ってこなかった結果、待機者はふえつづけています。待機者ゼロをめざし、せめて区が「緊急度が高い」とみとめたAランクの人はすぐにでも入所できるようにすべきです。そのためには特養ホームが四つは必要です。基本計画の計画事業後期分には、特別養護老人ホームは千川小学校跡地を含め、せめて四箇所は増設すること、およびその事業費を明記すべきですが、いかがでしょうか。そしてただちに1〜2か所の増設について来年度予算にもりこむべきです。答弁ください。

二つ目は保育の問題です。
 保育園の待機児解消は急務です。
 12月になると、来年4月からの認可保育園入所募集が始まります。保育園に預けたいとおもつている親にとつては、四月に入所できるかどうかは、切実な問題です。産休や育休中の親は、四月に保育園に入れなければ、元の職場に戻れず、仕事を失うことになりかねないのです。また、「認証保育所は保育料が高く、なんのために働いているのかわからない。認可保育園にはいりたい」というのが、率直な意見です。
 今年10月現在の待機児は228名、ところが「保育計画」による定員の拡大や保育ママ、認証保育所の増設では150名程度の拡大にしかならず、すでに足りないのは明白です。現在の「保育計画」は待機児解消策になっていません。
 区は「待機児がおおい」ことを奇貨として、園庭のない駅ビルの認可保育園や保育料の高い認証保育所の誘致や、給食のない臨時保育所で対応していますが、多くの保護者が求めているのは、保育料が安く、園庭があり、給食もある、安心してあずけられる認可保育園なのです。また、区が計画している認可保育園設置には「民間を誘致する」といいます。しかし、豊島区で区立保育園の民営化を受けた私立保育園ではさらなる民営化はやめてほしい、といい、また同時に私立保育園はこの間の都や区の補助金カットで経営が大変だといっているのであります。「誘致」「誘致」といっても、実現する保障はありません。区が責任をもってつくらなければ、保育園は増えないし、繰り返しになりますが、認可保育園を増やさない限り根本的な待機児解消はできないのです。

質問します。
 まず、働く子育て世代を支援するため、待機児ゼロを目指すべきです。「認可保育園にはいりたい」という保護者の願いにこたえつつ、待機児解消をするには、「保育計画」を抜本的に改定し、認可保育園を増設するしかありません。そして来年度予算では、認可保育所の増設をとりいれるべきです、いかがでしょうか。

 保育の問題で、もうひとつ、子育て支援としての認証保育所等の保育料補助制度についてうかがいます。第3回定例会の子ども文教委員会で、区は、わが党区議団の議案提案をうけ、「認証保育所等の保育料補助制度については、来年度から実施する方向をきめた」と答弁しています。来年度予算編成の時期になっていますが、検討の結果はどうなっているのか、答弁ください。

三つめは、住宅についてです。
 Bさんは70代の男性です。部屋は家賃7万5千円、3階でエレベーターはありません。同居していた息子が会社の寮にはいることになり、毎月の年金だけでは生活は厳しく、家賃の安い公営住宅にはいりたい、と相談を受けました。都営住宅に申し込みましたが、あたるかどうか分かりません。少しでも安い家賃のアパートに引っ越すにしても、敷金・礼金、引越し代などかかりますが、貯金がないため払えません。社会福祉協議会に相談すると、生活福祉資金の転宅資金の貸付はできるが、返済を考えると収入が低いため、家賃は3〜4万円のところを探してもらうことになる、といわれました。今は風呂がありますが、4万円の民間アパートでは風呂付は望めません。にっちもさっちもいかないのです。
 この間の都営住宅の応募倍率は、どんどん高くなっています。また今年6月、高松三丁目の都営住宅について久しぶりに「地元割当」がおこなわれ、募集戸数5戸に対し、172件の応募がありました。間取りは2K(37u)、入居対象は二人以上ですから、決して広いとはいえませんが、家賃が高くて困っている多くの区民が申し込んだということです。
これほどまでに区民が住宅問題で困難になっているにもかかわらず、基本計画の後期の中では、前期で池袋本町二丁目区営住宅の建替えが終了したのでこれを削除するのとあわせて「区営住宅等維持管理事業」まで、計画事業からはずすのは問題です。「安心のすまいづくり」として、高優賃住宅の整備、子育てファミリー世帯への家賃助成、高齢者等すみかえ家賃助成事業はのっていますが、これだけでは不十分です。
 区は、「区民住宅の空き家が48戸もある」ので、これを解消するとして、区民住宅の在住・在勤という要件を削るための条例改正を提案しました。
 この間、区は、「義務教育終了前の子どもがいる」という条件を削り、さらに在住だけでなく在勤の人でも応募できるように要件を緩和してきました。それでも、これまでは豊島区にかかわりのある人への施策と位置づけられてきましたが、今度の条例改正で在住・在勤の条件もはずすと、全国どこからでも、さらには外国からも応募できることになるのであり、これでは区民のためというよりも、外から人を呼び込むための施策に変質してしまいます。しかし、この事業は豊島区の税金ですすめてきた事業ですから、豊島区民に寄与する形で実施をすべきです。
 区民住宅の空き家がふえているのは、家賃が高すぎるからです。わが党は、高すぎる区民住宅の家賃を下げるため、さらに家賃補助をおこなうことを求めて参りました。決算委員会では、家賃助成をすると答弁していましたが、それはどうなったのでしょうか。

そこで、質問します。
 まず、豊島区の住宅施策として、公営住宅の増設を中心におくべきです。答弁ください。また基本計画後期事業分に、区営・区立住宅の建設計画を位置付けるべきです。いかがでしょうか。
 区民住宅については、今回の条例変更は、「空き家解消」を理由に施策の目的をかえてしまうものです。区民住宅については、さらに家賃助成を行い高すぎる家賃を下げ、「家賃が高くて住み続けられない」と悲鳴をあげている多くの区民が利用できるようにすべきと考えます。答弁ください。

四つ目に、深刻になっている就職問題について質問します。
 来春卒業予定の大学生の就職内定率が10月1日時点で、前年よりも4.9ポイント低い57.6%となり、調査開始以来最悪の就職戦線になっています。高卒も昨年より3.ポイント上回ったとはいえ、40.6%にしかなりません。失業率は、5%台の高止まりのままです。
 2006年第2回定例会でわが党森議員が、若者の雇用問題をとりあげました。その後豊島区は、2008年からヤング就職応援フェスタとして、就活応援セミナーや就職面接会をハローワーク池袋や東京しごとセンター、地元中小企業と共催で開催してきました、就職面接会には昨年は参加企業13社、求職者160人が集まり、今年は18社に対し求職者は雨のためか、昨年より減り57名でしたが、その場で採用がきまった人はいなかったとのことです。
 正規の仕事が少ないこととあわせて、企業側は不況のため人件費削減が前提にあるので、即戦力となる人や経験者を求めており、なかなか採用まで至らないとか、未経験者が採用されないという傾向があります。過酷な労働で体や心を病んでしまう青年も大変増えています。単に就職説明会を開くだけでは、就職問題は解決できないのです。また、就職問題は、国や東京都の仕事、というのでは、自治体の責任は果たせません。足立区では、就労支援課を設置し、『若者サポートステーション』を開設。青年雇用対策として正社員化への支援や「ニート」「引きこもり対策」など、総合的な対策を進めています。
そこで質問します。
 豊島区としても、独自に就労支援に取り組む必要があります。その際、一人では就労に到達できない青年対策、正規雇用の拡大を目指した雇用機会の拡大、就労している青年の劣悪な労働条件の改善を視野に入れた総合的な施策が必要と考えます。いかがですか答弁願います。

五つ目に、区長が削ってきた施策の復活・充実をもとめ二点質問します。
 一つは高齢者の紙おむつ支給サービス、おむつ購入費等助成事業についてです。06年4月からは、大幅に要件を厳しくしたため、支給対象者が激減しました。わが党が指摘する中で少し改善し、65歳以上で要介護4以上、85歳以上で要介護2以上の失禁状態にある高齢者で、本人非課税の人が対象になりました。
 しかし85歳未満でも認知症で常時失禁状態の方はいますし、高齢者のみの世帯で住民税課税の夫は対象にならないが、非課税の妻は対象になるというのもおかしな話です。認知証で要介護2の夫を介護していた80歳代の女性は、「今は介護保険のお世話にはならないでやれるが、せめておむつ代だけでも補助してもらいたい」といい、やはり、80代の要介護3の夫を介護している女性は、「ディサービスに通うお金も大変。おむつ代は所得が高いからだめだといわれた」といっていました。このような老老介護の状況の人たちに対しても、もっと光をあてた暖かい施策が必要なのではありませんか。
 高齢者の紙おむつ事業については、要件を65歳以上で要介護1以上とし、所得制限はなくし、困っている区民を支援する立場で拡充すべきです。答弁ください。

もうひとつ、これも絶対に復元すべき施策は、障害者の機能回復助成受術券です。
 区は、身体障害者に、はり、きゅう、マッサージ等の受術券を99年度までは年24枚交付していました。その後枚数がへらされ、行財政改革プランで2005年からは、年6枚にまで削られ、1枚につき300円の自己負担も導入されました。以降、交付人数はふえても、利用枚数はへっています。09年度交付者数は1496名、交付枚数8642枚、そのうち利用枚数は2517枚です。利用者にきいてみると、300円の自己負担があるので使いづらいといいます。たしかに自己負担導入までは、交付枚数の半分は利用されていたのに、現在は3割程度になっています。自己負担はわずか300円というかもしれませんが、ぎりぎりの生活をしている人たちにとっては大きな負担なのです。障害者が、お金の心配なく利用できるよう受術券については、自己負担を廃止し、枚数を増やすべきです。答弁願います。

第二の質問 医療制度改革について です
 厚生労働省は10月25日の「高齢者医療制度改革会議」で、後期高齢者医療制度に代わる新制度の費用負担のあらましと、その影響の試算を明らかにしました。
 それによると10年後の年間保険料の本人負担は、新制度に移行する75歳以上が2万2千円増、健保組合では約3万円増となります。高齢者も「現役世代」も大幅な負担増です。さらに70〜74歳の窓口負担を1割から2割に倍加します。
 また、高齢者への「現役世代」からの「支援金」も増え、どの保険の加入者にとっても負担増が重くのしかかることになります。
 都政新報10月29日号では、「高齢者医療制度案 財政スキームに不満噴出、国は軽減、地方は大幅増」と題した記事が載りました。2025年度まで現行制度を維持した場合より新制度を導入したほうが、国は500億円の負担減になるのに対し、都道府県は200億円、市町村は900億円の負担増になるとのことです。
 わが党は、こんな「新制度」をつくることに反対ですし、そもそも後期高齢者医療制度は速やかに廃止して老人保健制度に戻し、国民の合意で国民が安心できる制度への改革を図るべきと考えます。

そこで質問します。
 今回のような高齢者医療「新制度」については、区民の負担増をおさえる意味からも、豊島区国民健康保険の運営からも、反対を表明すべきです。区長の見解をうかがいます。また、受診抑制をひどくする窓口負担の引き上げを撤回するよう国に強く求めるべきですが、いかがですか。お答えください。

 また、厚生労働省は、高齢者医療「新制度」を国保広域化の第1段階に位置付けており、第2段階では75歳未満加入の市町村国保も「できる限り速やかに」都道府県単位にし、運営主体を都道府県とする方向も示しました。さらに広域化の時期を「新制度」の法案に明記し来年の通常国会に法案を提出する意向です
 広域化しても医療環境がかわらなければ、医療費総額は下がりません。それどころか、先ほどものべたように、高齢者医療「新制度」で国の負担をへらせば、その分国民や地方自治体に負担がのしかかってくるのです。さらに、「国保広域化」は現在行われている市町村の一般財源投入をできなくし、歯止めのない国保料上昇を招きます。

 そこで質問します。「広域化」は後期高齢者医療制度でも明らかなように、直接サービスをうける住民の声が届きにくくなります。高齢者医療「新制度」も75歳未満の国保も、広域化によってさらなる保険料の引き上げにつながります。国のいいなりになって、このような「広域化」をすすめれば、困るのは区民です。反対すべきと考えますが、いかがか、答弁ください。

医療制度改革の二番目に国民健康保険について、伺います。
 23区特別区長会は、11月16日の区長会総会において、来年度の国保料率について暫定案を確認しました。区長会に提出された資料によると、1.前期高齢者交付金清算額は原則どおり全額を保険料に算入する、2.均等割り額は変更せずに保険料率は算定する、また高額療養費については、移行に伴う経過措置に要する費用相当額を算入する、3.旧但し書き方式への移行にともなう経過措置については旧但し書き所得が課税標準額の1.5倍を超える方すべてを対象にするというものです。また、法令により賦課限度額が介護分も含め4万円引き上げられる予定です。
 今後、暫定案をもとに、12月に国から示される予算にかかわる諸係数で積算し、来年1月には、来年度の23区の基準保険料率などを区長会として最終決定する予定ときいております。
 私は2010年第一回定例会の一般質問で、算定方式の変更で所得から控除されるのが基礎控除のみとなり、配偶者控除、障害者控除、社会保険料控除などは考慮されないため、所得が低く扶養家族の多い世帯などの保険料が引き上げられる、経過措置をしてもあがる、さらに2年間の経過措置が終わればまたあがる、そのうえ、経過措置の財源として高額療養費の一部を保険料算定の基礎に算入すれば、これまた保険料はあがる、などの問題があることを指摘してきました。とくに、賦課方式の変更は単なる値上げではなく、今後「国民健康保険の広域化」や「医療保険の一元化」にむけた準備であり、制度の根幹にかかわる問題であることから、区民とともに議論することが必要です。しかし、区は検討内容について、区民に一切知らせてきませんでした。今回、暫定案が区長会で了承されましたが、豊島区は、区民の保険料は一体いくらになるのか、どの世帯の保険料が上がるのか、どれくらいの世帯に影響があるのか、などについては、一切あきらかにしていません。

 そこで質問します。最終的に保険料が決まり、被保険者に通知が行くのは、来年6月です。4月に区長、区議選が行われますが、区民は「制度」が変わるのを知らずに投票することになります。本来、選挙で問うべき大問題を、区民になにもしらせないまますすめることは、許されません。直ちに区民に対し、来年度から賦課方式が変更になること、また一体保険料がいくらになるのか、さらには、経過措置の二年が過ぎたら保険料はいくらになるのか、などについて説明すべきです。答弁ください。

 この間国民健康保険料は毎年のようにあがり、一人当たり保険料は99年には、71140円だったものが2009年度92680円に、世帯当たりの保険料は99年に112597円だったものが2009年には132185円に大幅に値上げされてきました。国民の所得がふえるどころか、減り続けるなか、社会保険料と税金だけが、次々とあがっているのです。もうこれ以上の負担は限界です。保険料をあげれば、さらに滞納世帯が増え、医療を受けられない人がふえるだけです。
 豊島区は、23区の中でも大変資格証の発行が多いのです。多くの区民が保険証をとりあげられています。保険証を取り上げるのは、命を軽んじているということです。
 そこで質問します。豊島区の資格証発行数は加入世帯の4.7%にもなっており、異常です。23区の中には短期証の発行は多くしても資格証をださないよう努力している区もあるのにです。医療を受ける権利を奪う資格証の発行数を減らす努力をすべきです。答弁ください。

第三の質問 介護保険について伺います。
 11月19日厚生労働省は、2012年4月からの介護保険料が月平均5000円を超えかねない、軽減のための公費負担の引き上げは困難とし、国民の負担増と給付減の項目を列挙した「素案」を発表しました。高所得者や軽度者の利用料引き上げ、ケアプランの作成の利用者負担導入、40歳未満からの保険料徴収、軽度者への生活援助サービスの縮小、施設サービスでは4人部屋などの相部屋の居住費について、室料を徴収する、低所得者の食費・居住費を軽減する仕組み(補足給付)の要件に施設入所前の世帯の負担能力や資産を要件に加えるなど、負担増と給付減のメニューを論点として列挙しています。厚生労働省は、来年2011年の通常国会に関連法案を提出する方針です。
 公費負担を増やさず、財源を介護保険の利用者、家族に求めるのは本末転倒です。これらを審議した社会保障審議会介護保険部会でも、「認知症は早期発見・早期治療が大切で、軽度者への給付を外してはならない。軽度者の利用料の増額は論外」「高所得者でもかなり介護生活が厳しくなるため(利用料)引き上げは好ましくない」「(施設の相部屋の居住費を上げれば)個室に入れない低所得者が多床室にも入れなくなる」など、異論が出ています。

そこで質問します。
 豊島区は保険者として、区民に必要な介護を供給する責任があります。今回厚生労働省が示した利用者負担増・軽度者給付削減の改悪が強行されれば、介護が必要な高齢者の生活がなりたたなくなってしまいます。このような改悪メニューを撤回するよう、国に求めるべきと考えますが、答弁を求めます。

 介護保険の二番目は、介護サービスにおける制限についてです。
 自公政権は、2006年の改悪で、要介護1の方からベッドや車椅子を取り上げたり、同居家族がいる場合の生活援助のヘルパー利用を制限したりして給付を抑えてきました。それでも足りずに2009年4月1日以降の介護認定について、審査項目を削ったり、認定調査員のテキストを変更したりして、介護度が軽度に判定される方式を実施したのです。開始直後から手直しがされましたが、いまだに、「区分変更」を申請して要介護度があがる方が多くいます。
 また、地方自治体の判断による給付制限があることも問題です。たとえば、同居家族がいる場合の生活援助、散歩の同行、通院の際の院内の介助は認めないなどの制限を自治体が行う場合がありますが、国は一律の制限を禁止しています。
 介護保険課の資料によると、訪問介護にあたらない行為として、直接本人の援助に該当しない行為、日常生活の援助に該当しない行為、他の専門職により行われるべき行為、金銭管理や契約行為があげられています。そして「なお、選挙の投票は認められますが、理美容室への外出介助は認められません」とのことです。私は、人間らしく生きるには理美容室への外出も必要なことと思います。また、豊島区では、同居家族等がいる場合、院内介助の場合、散歩の同行の場合については、「適切なケアプランに基づき個々の利用者の状況に応じて認められる行為」とされていますが、先日区民の方から、「要支援では同居の家族がいると生活支援はうけられないのですか」と聞かれました。そういうことがあってはならないと考えます。

そこで質問します。
 高齢者は、要介護度が軽くても、重くても、みな等しく快適で、清潔な生活ができるようにすべきと考えます。要支援の高齢者であっても、要介護と同じく家族等が介助を行うことが困難であるなどの場合には、生活支援の訪問介護をうけられるものと考えますが、いかがか答弁ください。

 要介護認定調査について質問します。認定調査に大変時間がかかっています。この問題については、第2回定例区議会で、わが党の渡辺議員が「職員体制が不十分」としてとりあげ、区も職員を採用し、対応したと聞いています。しかし、最近でも、調査まで1カ月、認定がでるまで一カ月以上もかかっている事例があり、課長にきくと、「認定申請件数がふえている」とし「緊急の場合にはすぐに対応している」「さらに職員の採用もすすめている」とのことです。たしかに、認定申請件数は、今年4月から10月まででも昨年同期とくらべ1088件も増えております。しかしどのような理由であっても認定まで一ヶ月以上かかるのは、介護保険法に違反しています。板橋区では、認定調査は申請して1週間もすれば来るとのことです。

そこで質問します。
 介護認定調査に1ヶ月以上もかかる状況を早急に改善すべきです。そのためには、まず調査員の人数をふやすことは重要です。しかし、それだけではなく経験をつみ実務ができるようになった職員がやめずに勤められるための待遇改善についても検討すべきです。現在は非常勤であり一年契約で四回までの更新、昇給はなく、期末手当も残業手当も、育児休暇もありません。職員増員と待遇改善についてあわせて答弁願います。

 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。