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区議会質問
 
2011年第3回定例会(9月22日) 森とおる議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して「区民のいのちとくらしを守るために」と題し、次の4点について一般質問を行います。

1 「消費税増税に反対すること」について
2 「区民需要にこたえる財政運営」について
3 「生活保護制度」について
4 「中小業者支援策」について

◆第1の質問、消費税に反対することについてです。
 今月、野田内閣が発足しました。野田首相は復興増税の具体化の検討を行うと共に、社会保障と税の一体改革にもとづく消費税増税法案を、2012年の通常国会に提出することを所信表明演説で表明し、10%に増税しようとしています。今、区民がおかれている状況は、景気悪化と歴代政府による社会保障の切り捨てや、相つぐ庶民負担増により、きわめて深刻です。「収入が上がらないのに今年の国民健康保険料が2倍以上になった」という自営業者。「会社が倒産し、寮をだされたため、収入を失うと同時に住まいまで失った」という若者。「親の収入が減ったために学費を払えない」という学生。「生活費がなく猛暑でもエアコンを我慢している」といった高齢者。若者から高齢者までの各階層がこのようななか、消費税が増税されたら日本経済に決定的な打撃となることは火を見るよりも明らかです。とりわけ被災者に対し、さらに負担を押しつけるものです。
 そこで質問します。区長はこの間、国の問題だとして、反対を表明してきませんでした。ここで、きっぱり消費税増税反対の意思表示をすべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

◆次に第2の質問、区民需要にこたえる財政運営についてです。
 今定例会では、2010年度決算の審査が行われます。区は、一般会計決算で
1.財源対策を講じての黒字決算
2.負の遺産の解消
3.進む財政の硬直化
以上、3つの特徴をあげています。
 区は、予算編成時には、景気悪化による区民税の減収、都区財政調整交付金の減収を見込み、財源不足を生じているとして、厳しい区財政であると強調していました。ところが年度途中には、土地開発公社の長期債務の残高、33億5千万円の全額繰上償還を行ったにもかかわらず、実質収支は15億円の黒字です。
 これまで高野区政は、財政難を口実に徹底したリストラ、合理化、区民犠牲を押しつけてきました。区民の財産である施設や土地を売却し、保育園民営化や指定管理者制度導入や窓口業務委託等と一体で進める職員削減。児童館、ことぶきの家の廃止。修学旅行や移動教室の助成費カット。生活保護世帯の入浴券、障害者タクシー券、寝たきり高齢者のおむつを削減してきました。さらに、特別養護老人ホームは、この6年間1か所も建設されることなく待機者は1200人を超えました。認可保育所にいたっては、増やすどころか1か所減らしてしまい、待機児童は4月時点で171人まで増加してしまいました。区民からは、「夫の仕事が激減し働きに出たいが、保育所が空いていない」「いくつも特別養護老人ホームに申し込んでいるが、いっこうに入れず、家族介護はもう限界」などの切実な声が後を絶ちません。このように区民にはお金がないと言っては我慢を押しつけ、区民の切実な要求に背を向け続けてきたのです。
 区長は、この状況で「財政健全化はほぼ達成された」「将来の区民負担も軽減された」と言います。わが党は、財政健全化したと言うならば、福祉や営業、教育など、あらゆる分野において削ったサービスを、まず復活・拡充させてから言うべきであると、区長の姿勢を質してきたのであります。
 そこで質問します。前回定例会において、区長はわが党の一般質問に対し、「区民福祉の水準は、改革当時とは形、姿は変わっているが、格段に充実している」と答弁しました。緊急通報システムは慢性疾患がなくても利用できるようになりました。ところが月2315円の自己負担が付いたため、8月までの申請はわずか12件だけです。半分に削った生活保護世帯の入浴券は母子家庭のみ復活などわずかばかりです。その上、特養ホームの待機者、保育園の待機児は増え続けているではありませんか。これで格段に充実したなど臆面もなくよく言えたものです。格段に充実したとは一体何を指して言っているのでしょうか。お答えください。
 また区長は、2014年度には、実質的借金ゼロをめざすとしていますが、今定例会の招集あいさつでは、「24年度の予算編成を目前にした今後の財政運営には、非常に厳しいかじ取りが必要になるものと認識している」と言いました。この状況で、どのようにして3年後に達成しようとしているのでしょうか。先ほど述べたように、これまで以上に区民サービスを削り、区民犠牲を押し付けなければ達成できるものではありませんが、とんでもないことです。今こそ、区民の切実な願いに応えた財政運営に直ちに改めるべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 続いて、区民の切実な声に応える財政運営にするために、看過できない問題として新庁舎計画の資金計画について取りあげます。
 新庁舎計画について、わが党区議団は、民間分譲マンションとの合築で庁舎機能が担保されるのか。建物、敷地等の区分所有者間の管理、修繕、建替えに必要な管理規約がないまま建設が進められること。区分所有により区の土地が、わずか6分の1になってしまうこと。東日本大震災発生により超高層マンション購入が控えられるという影響が出ていることなどを再三指摘し反対してきました。そして資金計画についても多くの問題を抱えています。
 区は、区財政への負担をおさえた新庁舎整備であると計画を進めています。3年前、「新庁舎整備の検討のまとめ」では、「10億円の黒字」と言っていたのに、その2年後の「推進計画」では、「37億円の赤字」と、わずか2年の間に47億円もの財政負担が生じました。また、計画の財源である現庁舎地等を50年間、定期借地し、25年分を一括受け取りするとしていましたが、その期間の延長もあるとしています。さらに年間の賃料は、9億円から7億3000万円と1億7000万円も下がりました。土地の価格、不動産市況に大きく左右される不安定な資金計画です。しかも肝心の定期借地の公募すら始まっておらず、全く財源の保証のないまま机上の空論で進められており、到底常識では考えられない計画です。このままでは、庁舎は完成したが、財源は確保できなかったということになりかねません。先週の副都心開発調査特別委員会で、わが党が、経済状況が厳しい中で、借りたいという企業はあるのかと質したところ、区長は、資産価値のある土地であり、相手がいなければ池袋全体が沈没する。25年の一括受け取りが35年になるかもしれないができる、大丈夫というような答弁をしました。
 そこで質問します。このようにあいまいで不透明な資金計画では、結局、見込んでいた収入が得られず、区民に負担を強いることになります。区長は大丈夫だと言うならば、その根拠を明確に示すべきですが、いかがでしょうか。
 今月21日の新聞各紙は1面で基準地価が、また下落したと報道しました。東京圏は住宅地、商業地ともに全国平均よりも下落が拡大しました。昨年、区が発表した資金計画が、現時点でどうなっているのか、いくらで借り手がつくのか、不安はつのるばかりです。区は、資金計画について、繰り返し調査し、その都度公表し、区民の納得を得なければなりません。この点を指摘すると「地価の調査をするには専門機関に依頼しなければならない、金がかかる」として、調査は来年度行うと答えました。しかし、今後の区財政は厳しいと言っているのに、将来の区財政を左右する資金計画をあいまいにしたまま進めることは許されません。区民にただちに現時点の資金計画を公表すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 景気や土地の価格、不動産市況に左右される不安定な資金計画であり、区民の財産である現庁舎地を投げ捨てるようなものです。このように、区財政に多大な影響が及び、将来に禍根を残すような計画はやめるべきです。答弁を求めます。

 以下、区民需要にこたえる財政運営に転換し、直ちに実現すべき緊急策について具体的に2点、取りあげます。
●1つ目は、特別養護老人ホームの増設についてです。
 妻の介護をしている男性は、小規模多機能型居宅介護施設を利用しながら自宅で老老介護を続けていましたが、認知症が進んだため限界になり、高い費用を払って埼玉の病院に入院させなければならなくなりました。毎週3回、1日3時間かけて見舞いに行っていますが、「いつまで続けられるか分からない、早く近くの特養ホームに入れるようにしてほしい」と訴えます。また、介護老人保健施設を3か月ほどで移動しながら特養ホーム入所を待っている人もいます。これではまともな介護保険制度とは言えません。高すぎる保険料と利用料、必要な介護のとりあげ、介護労働者の過酷な労働条件と低賃金、中でも深刻な施設不足と待機者の急増により、家族介護の現場に耐えがたい苦しみを負わせています。
 特養ホームの待機者は、今年6月末時点で1242人、その内Aランク待機者は438人と増えつづけています。にもかかわらず区長は、この6年もの間、1か所も建設せずに待機者を放置し続けてきました。わが党区議団は、これまでも重ねて特養ホームの増設を求めてきました。その結果、ようやく、区は後期の基本計画に「2015年までに200床を整備したい」と示しました。しかし、区自ら緊急度が高いと判断しているAランクの待機者が438人もいるではありませんか。区は、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設の整備を推進すると言います。しかし、これらの施設を利用している方でさえ、特養ホーム入所を希望しており、それぞれの機能や性格は違うのです。せめてAランク待機者を解消する計画に改めるべきです。だれもが安心して老後を過ごせる社会は、世代を超えた区民の願いです。
 そこで質問します。第二回定例会の一般質問で、わが党が、民間誘致の手法では、ことごとく建設できなかったことを指摘した所、区は「質の高いサービスの提供、安定的な経営を確保できる社会福祉法人が多数育ってきている」と答弁しました。であるならば、それはどのような法人なのか、具体的に示すべきですが、いかがでしょうか。
千川小学校跡地と旧中央図書館用地と2か所の土地が確保できていながら、計画はいっこうに進みません。しかも計画が具体化してから民間事業者を公募すると言いますが、それではいつまでたっても建設は進みません。一刻も早く待機者を解消するためには、やはり、区が自ら建設すべきですが、いかがでしょうか。
 また、400人以上のAランク待機者を解消するには、200床整備では不足です。区は、グループホームや小規模多機能型居宅介護施設の整備を推進すると言いますが、こちらも開設が進んでいるとはいえません。しかも、先程述べたように位置づけが違うのです。特養ホーム待機者解消策とは切り離すべきであります。今、述べたように200床で足らないのは明白な事実です。200床を上乗せし400床とする計画にすべきです。答弁を求めます。

●実現すべき緊急策の2つ目は、国民健康保険についてです。
 6月、区役所から届いた国民健康保険料の通知を見て、値上げに驚きと怒りの声が広がっています。「なぜ所得が増えないのに保険料が値上げになるのか」という当然のものです。夫婦で自営業を営みながら3人の子育て中の方は、国保料が2倍以上、月額4万円を超えました。「これまでもやりくりが大変だったのに国保料の値上げは本当に困る」と訴えます。
これまでは、扶養家族や障害者、社会保険料など各種控除を反映した住民税方式だったものが、今年度から基礎控除のみを差し引いた所得を算定基礎とする旧ただし書き方式に変更したことによるものです。経過措置をとりましたが2年限りです。この変更により最も問題なのは、住民税非課税なので、これまでは均等割のみだった世帯に、新たに所得割が賦課された世帯が1766世帯もあることです。住民税非課税世帯という最も収入の少ない世帯に影響が出たのです。これまでも、高すぎる国保料に滞納者が急増していることが社会問題となっていましたが、ますます追い討ちをかけることになります。国保料を払えなければ保険証の取りあげが、今回の値上げでますます増えます。
 そこで質問します。今回の国保料の値上げは、生活に困っている区民に大打撃を与えるものです。第二回定例会一般質問でわが党渡辺議員が資格証発行の中止と、区独自の国保料助成制度の創設を求めたのに対し、区長は冷たく拒否しました。区長は、住民税非課税世帯に、新たに所得割りが賦課されている実態をどのように考えているのでしょうか。区長が決断すれば直ちに実現できるのです。せめて住民税非課税世帯で、新たに所得割が賦課された世帯の所得割分を助成すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

◆次に第3の質問、生活保護制度についてです。
 生活保護受給世帯が急増し、全国の受給者が200万人を超えました。その背景には、歴代政府による社会保障改悪とあいまって、長引く不況とリーマンショック、そして倒産、リストラ、派遣切りの横行で、雇用がない状況が続いていることがあげられます。本区における受給者は、昨年度月平均で6833人にのぼり、10年間で倍増しています。区は、「豊島区における生活保護行政の現状と方向性について」をまとめました。その中に、「単身高齢者の被保護人員が増え、東日本大震災に伴う経済状況の悪化により就業できない困窮者が増加するなど、生活保護への影響が懸念される」とあります。今後ますます経済が冷え込み、雇用悪化、年金支給額の引き下げなどがすすめば、生活保護受給者が増えることになります。今、必要なことは誰もが困ったときに、最後のセーフティネットとして生活保護制度の強化が必要になっているのです。ところが、これに逆行して制度改悪の議論が急ピッチで進められています。
 国と地方が負担する生活保護予算の増加を背景に、指定都市市長会が昨年10月、生活保護制度改革を提案し、厚生労働省と非公開・密室で制度改悪の協議を今年5月末から始めました。これに並行して厚労省は、社会保障審議会生活保護基準部会を設置し、4月から検証を開始しました。議論されている中身の問題点の1つは、保護期間を限定する有期制を導入しようとしていることです。これは、働ける稼働年齢層の受給者に対し、「期間を設定した集中的かつ強力な就労支援を実施する」としながら、就労に至らない場合は、3年から5年ごとに保護廃止を検討するというとんでもないものです。今の雇用状況で、有期制が導入され生活保護が打ち切られたら、後にはセーフティネットはなく、死につながりかねないということです。もう1つは、医療費の一部自己負担です。もしも導入されたら、医療費の捻出が困難になり治療できず、症状が悪化し自立から遠ざかる悪循環になります。このような議論は、まさに生存権を保証した憲法25条違反です。
 生活保護の事業費は、現在、国が4分の3、残りを地方自治体が負担しています。この負担分が地方自治体に重くのしかかっていることが問題なのです。この負担を受給者に押しつけようと、厚労省と指定都市市長会が密室会議を行うなど本末転倒です。地方自治体の責務として、生活保護受給者激増という原因をつくった国に対して負担を求めることが筋ではないでしょうか。
 そこで質問します。区長は、国と指定都市市長会が非公開・密室で生活保護制度改悪を進めている動きについて、どのような見解を持っているのでしょうか。
 このようなやり方は間違いです。地方自治体の長として、生活保護制度改悪反対を表明すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 歴代政府による悪政が被保護世帯を増加させていることが原因です。にもかかわらず、地方自治体に財政負担を強いる仕組みが根本的に間違っているのです。区長は、豊島区として国に対し、全額負担するよう強く申し入れをすべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

●生活保護の2つ目は、ケースワーカーの増員についてです。
 「まさか自分が生活保護になるとは思ってもいなかった」「仕事が見つかるまでの短期間のつもりが、採用してくれる会社は1社もなかった」とか、「倉庫などのハードなアルバイトばかりで病気の再発が心配」など、不安を抱える受給者が増えています。金銭的な面から人間関係が疎遠になり自信を失い、精神的な疾患になった人も増えています。このように、様々な問題を抱え、増え続ける受給者に対して、区は一人一人きめ細かい対応をしなければなりません。ところが、生活福祉課の職員数が大幅に不足しています。本区の今年8月における被保護世帯数は6115世帯。それに対し、ケースワーカーは60名です。ケースワーカー1人当たり100世帯以上を受け持っていることになります。社会福祉法第16条により、被保護世帯80世帯に対し、1人の配置が標準数とされており、これに照らすと17名が不足していることになります。このことは、ケースワーカーの業務、訪問活動などに、はっきり影響が出ています。現場からも、「全てに目が行き届かない。忙しすぎて肉体的にも精神的にもきつい」などの声があがっています。
 先ほど取りあげた「生活保護行政の現状と方向性について」を見ると、さまざまな角度から分析した結果が示されています。しかし、肝心のケースワーカーについては、これまでの人員数の推移という分析はありません。
 そこで質問します。今後も受給者の増加が見込まれます。一人一人が多種多様な問題を抱えている受給者に対応するために、ケースワーカーの大幅増員計画を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、配属されたばかりの新人職員に研修などの学習機会を増やすべきです。答弁を求めます。

●生活保護の3つ目は、自立支援策についてです。
 8月、総務省が発表した完全失業率は4.7%と2か月連続で悪化し、有効求人倍率は0.64倍です。今、受給者がハローワークで仕事を見つけるのは極めて困難です。受給者の中には、長期間、就労できずに、前向きな考え方ができなくなったり諦めたりして、意欲を失っているなど様々なケースがあり、それぞれに見合った粘り強い対応が必要です。このような受給者に、人とふれ合い、周りから自分が必要だということを実感できるように意欲を喚起することが重要です。また、履歴書の書き方や、面接の受け方など、就労に向けた懇切丁寧なアドバイスも大事なことです。現在、区が行っている自立支援策は、生活福祉課に自立支援担当係を設置し非常勤職員を雇ったり、事業委託などで進めたりしています。
 そこで質問します。長期にわたり自立支援センターや簡易宿泊所生活を続けている受給者が見受けられますが、本人が希望し、お金の管理等に問題なければ、早急にアパートで自立した生活ができるようにし、意欲を引き出すことが大事であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、区が実施している支援策については、非常勤や事業委託ではなく、経験のある区職員により、いっそうの強化をはかるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 今の雇用状況では、ハローワークに行っても、簡単に仕事が見つかるものではありません。区内企業などと連携し、区が雇用創出に積極的に取り組むことが必要と考えます。そうすることによって、区内の経済活性化にも貢献できるものと考えます。答弁を求めます。

◆次に第4の質問、中小業者支援策についてです。
●1つ目は、住宅リフォーム助成についてです。
 区内の雇用を担い、地域経済を支える中小業者の経営が危機に瀕しています。バブル経済崩壊以降、東日本大震災発生まで打撃の連続です。そこへ急激な円高が追い打ちをかけ、大手企業が仕事を取るために激しい価格競争になっています。中小業者は、「これまで必死に踏みとどまってきたが、もう耐えられない」と、苦境に立たされており、中でも中小建設業者は、経済の疲弊が深刻で「仕事がほしい」と、切実な要求を強めています。新築住宅着工件数は大幅に減少している一方で、設備の改善、バリアフリーや断熱、特に耐震などの住宅リフォームへの要求が高まっています。このように住宅リフォーム需要をすくいあげ、区内の中小建設業者への仕事に結びつけるため、住宅リフォーム助成は、区民からも建設業者からも求められています。秋田県では、屋根・外壁の張り替えや塗装、水回りの改修、太陽光発電・給湯機器の設置などを対象に助成しており、助成金額に対する経済波及効果を24倍と推定しています。岩手県宮古市では、使いやすい制度にするために工夫を凝らし、総工費20万円以上の住宅リフォームに対して、一律10万円の補助金を支給しています。市内業者に施工を依頼することを条件とし、畳替えやクロス、障子の張り替え、窓や壁の断熱工事など幅広い工事を保証対象としています。この影響は雇用にも反映しており、建築・土木技術者などの求人倍率が半年の間に倍以上にのびたとされています。各県区市町村に制度導入が広がっており、区民からは是非豊島区でも実現してほしいと言う声が高まっています。わが党は、中小業者支援策の一つとして、再三にわたり、この問題を議会で取りあげてきました。本年の第一回定例会一般質問の答弁では、「緊急経済対策の一つとして、2年程度これを行い、当面の区発注工事の追加に代わる経済振興策にすることも必要なのではないかと考えており、夏頃までには実施の当否を固める」とありました。しかし、実施されたのは耐震改修助成のわずかばかりの拡充にとどまり、しかも耐震改修に限定されているため、住宅リフォーム助成には、ほど遠いもの。緊急経済対策に期待した区民は、肩すかしを食わされました。その後は、これまで通り「住宅マスタープラン重点プロジェクト推進事業の中での検討結果で判断する」というもので、いっこうに前に進みません。
 そこで質問します。区は、新たな助成制度を検討するとしていながらも、「空き家対策のための調査結果を出す」とか、「借家のバリアフリー化の促進を含める」などと言い訳ばかりで結論を先送りにしています。しかし、こうしている間にも中小業者は、廃業、倒産が目の前に迫り、危機に瀕しているのです。緊急支援策は待ったなしです。直ちに住宅リフォーム助成を実施すべきであると考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

●中小業者支援策の2つ目は、公契約条例についてです。
 自治体が、公共工事、公共調達や業務委託を発注する際に、受託する事業者との間でむすぶ公契約は、入札による競争激化により、落札価格が大幅に下がり、それが下請け業者の請負単価や労働者の賃金引き下げに直結しています。下請け労働者からは、「仕事がない」「あっても賃金が安くて生活できない」など、多くの悲痛な声が上がっています。とにかく仕事をとの思いから、公共工事、業務委託を低価格で入札せざるを得なくなり、その結果、官製ワーキングプアがつくられる構図が広がっています。低価格の入札の影響は、これにとどまらず、工事の仕上がりや事業の運営内容にもあらわれてきます。区民にとっても、「安かろう悪かろう」では困るのです。今、公契約における適正な価格・単価の確保と、中小業者の受注機会の拡大は切実な課題になっています。世界では、ILO公契約条約94号「公契約における労働条項に関する条約」が59か国で批准されていますが、日本政府は「賃金などの労働条件は労使で決められているので、国が介入するのは適切ではない」として世界の流れから取り残されてきました。この間、千葉県野田市と川崎市で条例がつくられ、相模原市、多摩市、国分寺市、日野市、吹田市など各地に同様の動きが広がっています。地方自治体として、地域に根ざした地域産業政策として、地域資源を大事にしたまちづくり、仕事おこしに役割を発揮することが求められています。それと同時に発注者である区の公的責任も問われています。ところが区は、この間、「労働条件は企業内の労使間の問題であり、公共契約であっても労働条件に関与することは適切ではない」と言ってきました。これは、公共事業の現場で過酷な労働条件下におかれている区内労働者の実態を見ようともしない無責任な態度です。
 そこで質問します。
 公共事業で官製ワーキングプアをつくってはなりません。公契約における契約内容の適正化をはかり、労働者の賃金をきちんと確保することが求められています。ただちに公契約条例を制定し、区として公的責任を果たすべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。