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区議会質問
 
2010年第3回定例会(9月28日) 垣内信行議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「区民の願いに応えた区政に転換せよ」と題し、
次の4点について質問します。
 第一に、国の悪政から区民を守るために区長の政治姿勢を問うとともにその具対策について
 第二に、基本計画の見直しについて
 第三に、新庁舎建設計画について
 第四に、その他として妊婦健診の助成拡充についてであります。
 区長の明快な答弁を求め、早速質問に入ります。

 まず、国の悪政から区民を守るために区長の政治姿勢を問い、あわせてその具対策について伺います。
 先に行われた参議院選挙では、政権与党の民主党が議席を大幅に後退させました。
 多くの国民が民主党政権に期待したにもかかわらず、一年もたたないうちに期待は裏切られることになったからです。沖縄・普天間の米軍基地移設、後期高齢者医療制度廃止の先送り、鳩山首相や小沢幹事長をめぐる政治と金の問題など、国民に背を向ける政治に審判が下ったのです。自公政権と同じ方向に進めば、国民から見放される、そのことは一年もたたないうちに明らかになったのです。
 とりわけ、民主党敗北の要因となったのは、菅首相が「消費税増税」を打ち出したことでした。消費税増税は、天下の悪税であり、所得の低い人ほど重くのしかかり、しかも自公政権の下では、社会保障の切り下げとあわせ、法人税減税の穴埋めにされてきました。菅首相の消費税増税公約はまさに自公政権がとってきた、財界言いなりの立場で、「国民には増税、大企業には減税」といったひどいものでした。
 さて、これだけ消費税増税について国民から、厳しい審判が下ったにもかかわらず、政府は、これに反省もなく来年度に向けて菅内閣の逆立ちした税制改正の方向が浮かび上がってきています。
 各省庁が8月末までに政府税制調査会に提出した2011年度税制改正要望数が、単純集計で合計259項目となることが財務省のまとめで明らかになっています。このうち減税要望による減収見込みは、経済産業省による法人税率〔国税〕の5%引き下げを含め1兆5600億円に達しました。
 経済産業省が大企業優遇税制の拡充を求める一方、厚生労働省は、消費税増税の方向を示しました。「社会保障に関する経費の安定財源を確保するための税制上の所要の措置」を講じることを要求し、同省は、要望書で、自公政権下による2009年度税制「改正」大綱が「消費税を含む税制抜本改革を経済状況の好転後に速やかに実施」するとしていることを指摘し、正当化しているのです。
 自公政権の税制改正の大綱をそのままにし、法人税減税と抱き合わせに消費税増税を要求していることを見ても菅内閣には国民の審判、国民の声に耳を傾けるというのは口先だけ、なんら反省がないのであります。
 そこで、消費税増税について、区長の見解について質問します。消費税が増税されることになれば、今でも生活に苦しむ区民が増えているのに、これに一層の拍車をかけることは、明らかです。これまで、区長は、消費税増税については、国の問題として、反対の意思も表明しないで「動向を見守る」と逃げの答弁に終始しています。
 「消費税増税は困る」「増税されたら暮らしていけない」これが多くの区民の声であります。「消費税増税は反対」と区民が選挙で審判を下したことを、区長はどう受け止めたのでしょうか。意思を表明しないことは無責任ということになります。区民の声に応え、区長としてきっぱり「消費税増税に反対」の立場を表明し、その立場を貫くべきですがいかがか区長の明快な答弁を求めます。
 
 国の悪政の二つ目は、後期高齢者医療制度です。
 民主党は、後期高齢者医療制度の廃止を公約に政権に就いたにもかかわらず、「新制度」をつくるまで現行制度を維持するとして公約を反故にしています。
 その「新制度」を検討している厚生労働省の高齢者医療制度改革会議が、8月20日、「中間とりまとめ」を発表しました。
 それによると、サラリーマンやサラリーマンの被扶養者の高齢者は組合健保や協会健保など被用者保険に入ります。それ以外の、大多数の高齢者は、国民健康保険に加入させ、現役世代とは「別勘定」にして、財政運営は都道府県単位で行うというものです。
 高齢者医療の財政を現役世代と「別勘定」にすれば、高齢者が増え医療費が増えるにつれて高齢者の保険料がどんどん引き上げられていきます。
 「姥捨て山」と呼ばれる後期高齢者医療制度は、保険料を2年ごとに値上する過酷な仕組みです。その大もとには、高齢者の医療財政を「別勘定」にした制度設計があります。高齢者に負担増の痛みを強いることによって医療にかかることそのものをあきらめさせ、医療費の抑制を図るという非人間的な仕組みです。
 民主党政権がつくろうとしている「新制度」も高齢者を「別勘定」にした現行制度の欠陥を引き継ぐ制度です。こんな「新制度」に移行することで、後期高齢者医療制度を廃止する公約を守ったとはいえません。「新制度」は「姥捨て山」の存続にほかなりません。わが党が提案しているように、後期高齢者医療制度を速やかに廃止して、もとの老人保険制度に戻すとともに国庫負担を抜本的に増額し、さらに高齢者の窓口の無料化や保険料の負担軽減を図っていく改革こそが求められています。
 そこで質問です。後期高齢者医療制度はまずきっぱり廃止すべきです。区長もその立場に立って国に強く要求すべきであり、「姥捨て山」の入山を広げる「新制度」は見直すよう働きかけるべきです。いかがかお答えください。
 また、後期高齢者といえば、戦前、戦後を通じ今の社会を苦労して作り上げてきた世代です。医療費は無料にして、安心して病院にもかかれ、安心して老後の生活を送ってもらうというのが本来あるべきあり方ではありませんか。東京の日の出町が実施しているように窓口負担のない制度を本区でも実施すべきです。あわせて答弁ください。
 さらに保険料の滞納を口実にした短期保険証の発行は直ちにやめるべきです。
 東京都広域連合組合が、短期保険証の発行を認めていることから、本区は、53名に発行していますが、短期証の発行の有無は、自治体の独自の判断にゆだねられており23区中9区は発行を見送っています。区長の高齢者医療に対する姿勢が問われています。いかがでしょうか。
 悪政から区民を守る三つ目は、介護保険料が年金天引きにより税金控除ができないことについてであります。
 公的な医療、介護などの保険料は、税の計算のときに、社会保険料として所得から控除できます。控除すれば課税所得が減り、所得税や住民税が安くなります。所得から控除できる社会保険料は、納税者本人の分だけでなく、生計を一にする家族の分も含みますが、介護保険料は控除できない場合があるのです。
 例えば、妻の年金から天引きされた介護保険料は「妻が払ったもの」とみなされます。そのため、実際には夫が負担していても、夫の所得から控除できません。「収入に比べて高い保険料を取られた上、控除もできないのはおかしい」と言う声が寄せられています。
 Aさん夫婦の場合、妻の介護保険料は、年間約4万6千円。ひと月数万円の年金で住民税非課税ですが、介護保険料が非課税世帯より高いのは夫が課税されているからです。
 しかも、妻の介護保険料は年金から天引きされています。65歳以上で年金が月1万5千円以上あると、介護保険料を天引きすると決められているからです。そのため、夫の所得から控除もできないという仕組みになっています。
 もし妻の介護保険料を控除できたら、夫の課税所得は4万6千円減ります。所得税は課税所得の5%、住民税は、10%なので合わせて年6900円の減税となります。
 介護保険と同じく、保険料の年金天引きが持ち込まれたのが後期高齢者医療制度ですが、世帯主が家族分もまとめて払う国民健康保険料は控除できたのに天引きになると、夫の所得から控除できなくなくなるために大問題となり、政府は苦肉の策として年金天引きの代わりに、口座振替でもよいことにしました。妻の保険料を夫の口座にすれば控除できるようになりました。しかし、介護保険料については口座振替を認めていないのです。
 実は、昨年8月末、厚生労働省は改善策をうちだし、「天引きされた後期高齢者医療制度と介護保険料は、生計を一にする配偶者その他の親族のいずれかが払ったとみなして社会保険料控除の適用を可能とする」と言うものでした。ところが、民主党は政権に就いたとたんこの改善案を引っ込めてしまいました。
  そこで質問です。
 区長として、介護保険料についても生計を一にする場合、社会保険料控除の対象となるように国に働きかけるべきです。また改善を待つまでもなく、介護保険の保険者は区長なのですから、自治体独自でも、例にあげたような世帯には、助成制度創設や救済できるような何らかの手立てを講じるべきと考えますがいかがでしょうか。
 
 次に第二の質問、基本計画の見直しについて質問します。
 現基本計画は、2006年から2015年の10ヵ年を計画期間とし、5年前の2006年3月に策定されたものです。今年度は、前期5年が経過したために、来年度からの後期5ヵ年の「計画事業」を策定するために見直しがされようとしております。
 すでにその作業は、基本構想審議会に諮問され、協議が進められております。
 基本計画というのは、区政を推進する上で、文字通り基本の基本、柱であることはいうまでもありません。最上位の計画だけに、区民の置かれている状況を正確に把握し、それに必要な施策は何か、必要な財源とその確保はどうするのかなど、あらゆる角度から見て、区民生活向上に向けた行政水準の展望を示す羅針盤となるべきものであります。
 ところが、現基本計画は、従来の基本計画から逸脱したやりかたで策定された経過があります。今から5年前に現基本計画策定の諮問を受けていた基本構想審議会で、当時の水島助役が、「新たな基本計画策定の考え方について、方針変更したい。財政の収支見通しから、施策ごとの財源の裏づけは困難。したがって基本計画は方向だけにするのか、絞込みをするのか、議論してほしい」と異例の発言を行い、各委員から批判の声があがったものの区の示したとおりの、「新たな地域経営の方針」及び「分野別の計画」として構成されたものが策定されました。
 「分野別の計画」といっても個々の施策について、区民の需要に応じて、どこまで水準を引き上げていくのかという観点ではなく、その方向性と重点化によるチョイスされた事業のみ、前期5年間の事業量と事業費が盛り込まれたものになりました。
 そして、前期5ヵ年は、原則として、「重点施策」を中心として新たな事業展開を図り、実施計画は、「行財政改革プラン」により、具体的計画にしていくというものです。さらには、財源の裏づけができないことを口実に、トップダウンによる選択と集中が盛り込まれ、ここに区長の思惑が色濃く反映された不要不急の事業が重点として盛り込まれたのです。
 わが党区議団は、当時でも1千人近く待機者となっている特別養護老人ホームの増設や不足する公営住宅、削られた福祉の復元、介護や医療の拡充など区民の要求やニーズに応えた計画ではないと批判し、この基本計画に反対したのです。
 さて、こうした基本計画によって進められたこの5年間はどうだったでしょうか。現在見直しを論議している基本構想審議会の資料に成果指標というものが示されています。
 成果指標は、基本計画で実施することとしているそれぞれの政策が期待したとおりの成果をあげることができたかどうかを判断する「ものさし」として区が自ら設定したものであります。
 資料では、それぞれの成果指標ごとに「前期達成状況」と「前期達成状況の評価」が記載されており、その状況などを踏まえて、後期5年間で達成すべき目標を「後期目標の目標値の変更」欄に記載しているものです。
 基本計画では、成果指標を60項目あげたのですが、その総括票を見て見ますと、AAAの後期目標以上となったものは9つ、AAの前期目標以上が13、Aの目標どおりが2、Bの目標に達せずが17、Cの現状(策定時)以下が15、判定不能が4となっています。
 こうしてみてみますと、5段階評価で言えば、1と2が半分以上ということになります。区が自ら設定した基本計画の政策指標は、半分以上期待通り進んでいないことがわかります。
 深刻に受け止めなければならないのは、Cの現状以下、策定時よりも後退している指標です。例えば、1−1見守りと支えあいネットワーク協力員登録者数は、策定時は、194人いて、前期目標245人、後期目標は295人としたのですが、達成状況は、155人ですので、39人が減ってしまったのです。
 今年の猛暑で、熱中症でなくなられた事件が社会問題となりました。わが党は、熱中症対策の緊急申し入れを区長に行い、明日には儀武議員がこの問題を取り上げますが、セーフティネットとか安心安全のまちづくりと区長の掛け声とは逆行して、必要とすべき見守りと支えあいのマンパーワーは後退しているのです。
 介護の問題でも、わが党がかねてから問題提起していた特別養護老人ホームは、前期目標を758人の定員に掲げましたが現状と変わらずに推移しているのです。
 そこで質問です。
 区自ら設定した成果指標が目標に達してない、あるいは、策定時よりも後退したというのは、その計画事業の進め方に問題があるのではありませんか。とくに区民のニーズに必要不可欠なものを、民間任せだったり、地域のボランティアに依存しては進まない結果が指標に現れています。やり方が間違っているのです。
 自ら計画した事業がなぜ進まなかったかをどう分析して、後期計画に生かしていくのかお答えください。また、後期の事業量と事業費については、区民需要に応じた具体的な事業計画とその事業費を明らかにすべきです。あわせて、お答えください。
  
 次に後期基本計画を裏付ける財源について伺います。
 基本計画の性格と構成についての5項目に、「時代の変化に対応した見直しの仕組みづくり」があります。その中で、「計画期間の前期が終了する5年をめどとして、必要な見直しを行うとともに、後期の計画事業の内容を明らかにします」としております。後期の事業計画の内容には、当然財源の裏づけが必要になります。前期の5年間の事業計画においては社会変化、新たな需要に加え、予想外の歳入不足などもありました。
 こうした状況を踏まえ、今後5年間の財政運営については、区はどのように分析し、見通しを立てているのか。それを後期の計画にどう反映させていくのか、また、区民の需要にこたえるための財源確保はどうするのかをお答えください。
  
 次に区民需要に応じて見直しすべき計画についてであります。
 その一つが、特別養護老人ホームの増設計画についてです。ただいまもふれたように、介護保険導入後、いっそう増加する特養ホームの待機者解消策について、われわれ日本共産党は、区が責任を持って、それも第一義的課題として取り組まければ解消できないことを機会あるごとに指摘してきました。事実、民間を誘致するといった政策では、いっこうに進まず、高野区政になってからの増設計画はことごとく失敗に終わりました。
 議会のほうも与党は、区長に気兼ねして、「建設せよといっても簡単にいかない」という態度から、最近は、増設を求めるようになってきました。
 基本計画では、130床の増設計画を前期の成果指標にたてましたが、「適地の確保が難しく施設整備が進まなかった」とし、後期目標については、上向き矢印から830と目標値を上方修正するというものです。
 上方修正した830床という目標は、現状から見て200床の増設計画になりますが、現在具体化されているのは、千川小跡地での誘致する計画のみで、あとはなんら具体的計画がありません。200床の目標は、待機者数から見ても十分とは決して言えませんが、これまでの民間誘致策を柱とした区の取り組みでは、この目標すら達成できる保障が本当にあるのでしょうか。そこで、質問です。
 830床に目標値を変更したその根拠、200人分の具体的な設置計画、設置場所、財源についてどう考えているのか答弁ください。
 
 見直すべき計画の二つ目は、保育園の待機児解消策です。
 待機児童解消については、明日の儀武議員の質問でも取り上げますので、私は、基本計画の見直しに絞って質問します。現基本計画では、策定当時、区は、新年度にはほぼ年度途中の待機児は解消できていることを口実に認可保育所の増設を基本にした待機児童解消計画は盛り込まず、施策の方向では、保育ニーズへの対応、サービスシステムの整備として、保育所の運営、一時保育事業、ファミリーサポート・センター事業、保育所の民営化といったようにこの分野においても、区の責任をなるべく軽くして、財政負担を減らす方向の計画メニューを並べました。
 われわれは、認可保育所の増設や、定員構成の見直し、施設の改修で、いつでも入所できる受け皿づくりこそ待機児童解消策であり、区民の要求に応えたものになると指摘してきました。こうした先を見通した計画が必要なのに区は、これに後ろ向きの姿勢をとってきたため、いまや社会問題となっている待機児童が本区でも深刻になったのです。
 保育計画では、「5年間で300名の待機児童解消する」としています、後期の基本計画にどう位置づけていくのか。答弁を求めます。
 
 見直すべき計画の三つ目は、新庁舎を含めた池袋副都心整備計画についてです。
 現基本計画では、新庁舎建設について分野別計画の行政サービス等の基盤整備・学校跡地の活用の項目のうちの一つに掲載されています。
 基本計画策定の際、区長の思惑から、急遽新庁舎計画が浮上し、押し込まれたのですが、ふれられているのは、新庁舎建設の検討――新庁舎の位置及び整備に必要な資金計画について検討する。また、防災、IT、環境の視点から、新庁舎の機能を高めるための研究を行うということだけで、後は、どこを見ても新庁舎建設の計画はありません。
 すなわち、基本計画では、新庁舎については建設に向けての検討や研究は行うが、旧日出小跡地に、再開発手法で、それもマンションとの合築で行うこと、今の庁舎を貸付でそれを財源にすることなど、今、区が進めている計画はなかったということです。
 新庁舎建設という区民にとっても区政にとっても一大事業が、最上位計画の基本計画にも位置づけられていないのに、検討から整備方針へ、さらに今回の整備推進計画と進められています。
 いまも指摘したように、特養ホームや保育園の増設など区民にとって最優先課題を後回しにしておき、新庁舎建設計画は区長の判断でチョイスし、後期計画では、「新庁舎整備と現庁舎地活用による新たなまちづくり」という視点で、「池袋副都心の発展のリーディングプロジェクト」と追加の政策として位置付けると審議会に提案しています。
 このような位置づけは、区民の望む街づくりから見ても、暮らしや福祉など優先すべき需要から見ても、本来あるべき基本計画からかけ離れたものになります。見直しすべきです。いかかでしょうか。答弁願います。
 また、6月の渡辺議員の一般質問に池袋副都心ガイドプランについて、区は、「未来戦略推進プランに位置づけられた『行政計画』のひとつ」と答えました。
 そしてガイドプランが目標とする、池袋副都心の将来像の実現に向かって、今後とも積極的に街づくりをすすめていくと区長は述べました。
 こうした事業を後期計画に引き続き、位置づけることで、LRTや東西デッキ構想の実現が可能と考えているのでしょうか。これまでも指摘しているようにこれらの事業は、莫大な費用がかかるだけでなく一度進めたら後戻りできなくなります。今後5年間の財政状況を勘案し、また特養ホーム待機者や保育園の待機児解消などの区民要望を前進させようとするならこんな不要不急の事業は後期計画に入る余地はないはずです。事業計画に位置づけるべきではありません。お答えください。
 
 次に第三の質問、新庁舎建設について質問します。
 先の定例区議会には、新庁舎建設に関する区民からの陳情が多数寄せられました。
 計画の撤回を求めたものについては、与党会派の多数で不採択となりましたが、区民の合意を求めた内容の陳情については、継続審査となりました。
 与党会派であっても、新庁舎については、マンションとの合築の問題、資金計画の問題、不十分な区民への説明など、進め方に疑問を持つ区民の声を無視することはできないことが浮き彫りになりました。
 一方、区長は、旧日出小跡地での再開発による新庁舎建設計画を決定する位置変更条例を次の第4回定例会に提出することを明言しています。
 区は、新庁舎整備推進計画を10月いっぱいかけて説明会を開催し、区民の理解を求めるとしています。ここで出された意見を真摯に受け止め、計画の変更も含め一つ一つクリアしていくことが区民合意に基づく新庁舎建設のあり方です。
 さて、15日に開催された副都心開発調査特別委員会で、新庁舎整備推進計画案の説明と質疑が行なわれました。質疑の冒頭、わが党の渡辺議員は、6月20日に開催された再開発組合の総会で議決した「従前資産評価基準」「権利変換基準」「損失補償基準及び損失補償基準細則」の資料が出されない問題を質しました。
 庁舎建設室長は、再開発組合が、「提供しない」理由を書いた回答文を読み上げて答えました。その趣旨は、資料要求したわが党議員が、この再開発事業に反対の立場であるから、事業の反対材料にされてはかなわんというものであります。
 再開発組合の態度は、「情報はすべて開示する」とした再開発法にも抵触するばかりか、あとでも触れますが、総会で議決された内容は、新庁舎整備推進計画を裏付ける重大な決定事項であり、区が権利として取得する面積と、追加で取得する床価格の概算のもととなるものであります。すなわち新庁舎という区民の財産が、どうなるのかを決定付ける議決ということになります。
 この責任は、区長にあります。「組合が出さないと決めたから出さない」とは、議会で議論となる材料も提出しない、まさに議会を冒涜した、議会制民主主義にも反する許しがたい態度です。そして議会に情報提供を拒むことは区民をないがしろにしていることです。
 新庁舎に関する情報は、すべて議会に区長の責任で提出すべきです。答弁を求めます。
 
 次に資金計画についてであります。
 新庁舎整備推進計画案では、整備経費について改めて示されました。これは、ただいまも触れた再開発組合で議決された概算額にもとづき権利変換の床面積、保留床の床面積とその金額が示されたものです。保留床購入費以外の必要な経費を含めると、新庁舎の整備費は約136億円。そして現庁舎地・公会堂等の解体とプラザ・別館の改修含めるとあわせて約141億円と試算しました。また、公会堂整備費と区民センター敷地に計画する健康センターを含めると、総額180億円になるとしています。
 一方、これにあてがう現庁舎地・公会堂等の資産活用については、50年の定期借地料の地代の一括受け取りが、25年分では不足するためにプラス10年分、すなわち35年分で、182億円と試算しています。
 先日の副都心特別委員会でも指摘しましたが、2年前、区民には、新庁舎も公会堂も区民センターの建替えもすべて、25年分を一括受け取りすれば、10億の黒字になり、26年目以降は、毎年貸付料が9億円入るとした、「ばら色の計画」を説明してきたのです。
 ところが、今回、区民に説明したときと同じ条件で試算すると、10億円の黒字どころか37億円の大赤字になることが明らかになりました。
 わずか2年あまりで、資金計画が大きく変動した理由の一つは、経費が増えたことです。
 庁舎本体が600平米増えて、29100平米になったこと、駐車場・駐輪場の専有部分の保留床を購入すること、屋上緑化の経費が増えたことなどです。
 さらに、はじめて示された区有財産の評価額は、85億14百万円となり、権利変換で、取得できる面積は、1万600平米に減ってしまいました。したがって保留床の購入は、駐車場をあわせると約15900平米で、約124億円となるなど、持ち出しは、14億円も増えたのです。
 二つ目の理由は、現庁舎地・公会堂等の資産活用が、地価の下落で176億円から143億円と33億円も減少してしまったことが大きな要因です。
 そこで質問です。
 区は、他人事のように、あっさりと、14億円増えたとか、33億円減ったといいますが、庁舎は区民の財産であることを忘れているのではないでしょうか。
 区の権利変換で取得できる面積と金額は、どう試算し、なぜ、このようになったのか。また短期間に10億円の黒字が、37億円の赤字になったように資金計画が大きく変わったことに対する分析と今後の見通しについてお答えください。
 また、区長は、「新庁舎は負担のない再開発の手法しかない」といっていますが、すでに資金計画の面から見ても、この計画は破綻しているではありませんか。わが党が、当初から指摘していたリスクを背負った博打的要素を持った計画であることが改めて浮き彫りになりました。大丈夫という保障もないまま進めるべきではありません。位置変更条例を第4回定例区議会に提出する根拠はすでに崩れています。いかかでしょうか。答弁を求めます。
 
 最後に第4の質問、その他として妊婦健診の助成事業について質問します。
 かねてからのわが党の要求で、2007年度まで、前期、後期の2回、そして2008年7月まで5回分まで無料だった妊婦健診の助成について、国が妊婦健康診査臨時特例交付金を予算化したことに伴い、区は、2008年8月から14回まで無料で受診できるように助成を拡充しました。また、わが党は、更なる拡充を要求するとともに里帰りして出産する方にも対象とすることや医療機関での健診だけでなく助産所での健診も対象とするように働きかけてきました。これにより、妊婦健診の実績は、2007年度まで、前期、後期で延べ2千件弱だった受診件数は、昨年度の実績では、2万3700件となりました。こうした事業は、少子化対策にも一定の成果となり、喜びの声も寄せられました。
 さて、こうして拡充された妊婦健診ですが、名称どおり国の交付金は、臨時特例交付金で、今年度末までを対象としています。来年度以降については、現在、国において検討中と聞いております。すでに全国市長会では、恒久的な財政措置として、来年度以降も継続して事業ができるよう要望しておりますが、民主党政権のもと今年度で交付金が打ち切られ、もとに戻るようなことがあれば、これは区にとっても一大事です。
 国が継続されるように要求することはもちろん、更なる拡充のために区長会としても要望すべきです。また、仮に国が助成を狭めることがあったとしても、これまでの助成回数を区として減らすわけに行きません。区として、来年度以降も現行の14回の助成は当然ですが、更なる拡充を図るべきと考えますが、区長の見解を伺います。
 
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。