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区議会質問
 
平成21年 第4回定例会(12月1日) 小林ひろみ議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「 区民生活を支える来年度予算編成にするために 」と題し次の3点について一般質問を行います。
1 来年度予算編成に取り組む姿勢について
2 低所得者、障害者施策などの充実について
3 池袋を中心とした再開発について
です。

 新政権発足後も国民の暮らしは深刻さを増しています。厚生労働省は10月20日全国民のなかでの低所得者の割合や経済格差を示す「相対的貧困率」を初めて発表しました。06年は15.7%という高い数字で、OECDの中でもワースト四位です。9月の失業率は、5.3%でホンの少し(0.2)さがったとはいえ、失業者数は前月より2万人増えて363万人にもなっています。大学生、高校生の就職内定率も低く、「卒業即失業か」という悲しい現実が目の前に迫っています。以前は高齢や病気で仕事ができない、貯金がそこをついたから生活保護をという相談が多かったのですが、今は「働きたいが仕事がない」という若い人がふえています。中小企業も「仕事が欲しい」と悲鳴を上げています。
 また、年金ぐらしのお年寄りも大変です。10月からは、年金から国民健康保険料や住民税を天引きすることが始まりました。後期高齢者医療制度が廃止されなければ、来年4月から保険料を値上げする方向で検討しています。年金の手取りが減るということです。
 ますます悪化する雇用情勢、中小企業の経営や生活の危機、これまでの社会保障の切り捨てによる高齢者や障害者の生活苦など、あらゆる分野で事態の打開が求められています。
 新政権の下で生活保護の母子加算復活など国民の願いに応える政策が出されていますが、反面緊急課題である後期高齢者医療制度廃止や労働者派遣法抜本改正では、先送りや後退しかねない動きが生まれています。国の来年度予算は概算要求で95兆円となり、政府は約3兆円削減を目指して行政刷新会議で事業仕分けをおこないました。これについては、項目選定や仕分け人の選定、生活関連予算が乱暴な議論の中で削減されるなど効率優先ばかりであり、疑問の声もあがっています。地方自治体にとつては、今後、国や東京都の予算編成の動向により補助金などがどうなるか未定のところもあります。しかし、住民に一番身近な自治体、豊島区に求められているのは、区民が安心して住み続けられる、住民の命と健康、くらしを守る予算編成であります。日本共産党は、国政でも豊島区政でも、建設的野党として、国民にとっていいものには賛成、悪いものには反対、問題点は指摘し改善させる具体的な提案をしていきたいと考えます。
 
 第一に来年度予算編成にとりくむ姿勢についてです。
 わが党は、これまでも「区民の困難な生活実態をみて、くらし福祉に重点をおくべき」と指摘、区長の認識をただしてきました。区長は、今年2月の私の質問に答えて「中小企業や商店街の売り上げ減少、雇用環境の悪化による失業や家計収入の減少で緊急に支援が必要な世帯の増加傾向、収入の限られた高齢者世帯や、様々な経済負担を抱える子育て世帯など、厳しい状況に置かれているものと認識し」、「さらに影響が深刻化することを大変心配し」ている、「状況によっては、区としての支援策をさらに強化していかなければならないと認識しております。」としていました。その後どうだったでしょうか。今年度になって、補正予算で組まれたもののうち、不況対策、雇用対策、生活支援といえるものはプレミア付区内共通商品券発行経費の補助を除けば、国の緊急雇用創出事業にともなうもの、つまり全額国庫補助がついたものばかりです。国の制度を活用するのはいいのですが、結局短期間雇用ばかりでありますし、国の補助がなければやらないということです。「区としての支援策」はないといっていいのです。
 高野区政は区民に一番切実な福祉関係経費は年間8億円削ってきましたが、復活したのはわずか1億2700万円でしかありません。わが党が、けずられた生活保護世帯の風呂券の枚数を元に戻せと求めても、区営住宅・福祉住宅、特別養護老人ホームの建設などを求めても、冷たく拒否してきたのです。その一方で、今年になってからも、巨額の基金積立と借金返済は優先してきました。
 また区長は、わが党の垣内議員が「国の社会保障切捨てを容認してきた態度を改め、国や都にたいし、きっぱりものをいうべきだ」と質問したことに対し、「これまでも必要に応じて様々な機会に、国あるいは東京都に対して、要望意見を上げて参りました。」とか、「今後とも必要に応じて、要望意見を上げてまいります。」と答えていながら、後期高齢者医療制度については、「直ちに国に廃止を求める考えはない」、高齢者の医療費無料化については「国や都に求める考えはない」、生活保護の老齢加算の復活については、「区として国に働きかけを行なう考えはない」と冷たく拒否してきました。
 
 そこで質問します。
 区長は今年2月に、私の一般質問に対し、不況や失業などによる収入減少になった世帯や、高齢者、子育て世代など「厳しい状況に置かれているものと認識している」と答弁しましたが、その後区独自にはなんの手立ても取っていません。そのときよりも状況はさらに悪化しているのに、手をこまねいてみているだけではありませんか。「厳しい」と口ではいっても対応しないのは、区民に対する背信行為です。その姿勢をあらため、少なくとも削った福祉は元にもどすべきと考えます。いかがか明確にお答えください。
 
 次に職員体制について伺います。
 豊島区はこれまで、国や都の路線方針に従い、財政難を口実にリストラ、合理化、住民犠牲の行革を実施してきました。「財政健全化計画」、「新生としま改革プラン」「行財政改革プラン2004」「行財政改革プラン2005」、07年度からは「未来戦略推進プラン」と名前を変え、職員削減、民営化、民間との協同を進めてきたのです。定員管理計画にそって「平成22年度(2010年4月1日現在)2000人体制に固執しています。児童館やことぶきの家を廃止し区民ひろばとする、また学童クラブを全児童クラブとしスキップに統廃合する、さらに現業職員の退職不補充、民間委託、民営化、職員の非常勤化などを進めてきました。09年3月末は、正規が115人退職したのに、4月の新規採用はわずか30人です。職員が慢性的にたりない状態です。正規職員が全体に占める割合は78.7%となり、非常勤が21.3%、実に二割以上となる異常な事態になっています。
 
 無理な職員の削減が様々な面で区民サービスを低下させていますが今回は特に緊急を要する生活保護と保育について具体的に取り上げます。
 生活保護の現場での人手不足は恒常的になっているにも関わらず、区はなかなか職員を増そうとしません。せん。相談件数もふえ、受給世帯数も、今年1月以降毎月100件ずつ増えています。
 現場では、職員が足りず、ケースワーカーの担当件数も4月には一人当たり101件だったものが、10月には112件にまでふえ、さらに大変な事態になっています。区民は、生活に困窮し切羽詰って相談にきたのに、相談者が多いとか相談室がたりないといって、長時間またされる、ひどいときには翌日きてくれといわれ、必要なサービスが受けられないのです。職員は、必要な訪問もままならないし、また保護費の支給日を二日にふやしていますが、それでも支給日には朝から人でいっぱいになります。生活保護の申請があれば、職員は住むところがない人には、宿所を探し、治療が必要な人に入院が必要な人には手続きをし、記録をする。さらに、宿泊所からアパートに移る人の相談にのるなど自立を援助したり、保護世帯の安否確認など、やることがたくさんあります。このうえ指導監督責任を求められても、もう限界だという声がでています。
 また、精神障害者に対応する職員については、非常勤で二名を確保することにしていますが、現在1名しか確保できていません。精神障害者もふえているなか、常時専門的な対応が必要です。それには雇用条件の改善、さらには正規職員としての採用もする必要があります。
 わが党は、かねてより生活福祉課の職員の増員を求めてきました。今年4月から3名のワーカーを増やした、といいますが、焼け石に水です。また生活福祉課は、すでに、職場は過密状態となっており、自立支援係は2階で飛び地状態です。職員をふやしたくても、机を置く場所がない状況ですから、あらたなスペースの確保も必要です。
 
 そこで質問します。
 年末にむけ、ますます相談や生活保護受給者がふえることが予想されます。
 区長は今でもこんなに大変な現場の事態を本当にご存知なのでしょうか。第三回定例会のかきうち議員の質問に答え、職員が十分な職務を行えない現状にあることをみとめ、人員とスペースの確保、組織態勢の強化をすすめるとは答えていますが、それならすぐにでも生活福祉課のスペースと職員の確保をしなければならないはずです。具体的にお答えください。
 
 保育園の職員体制について、伺います。待機児解消については詳しくは明日、儀武議員が質問します。一番問題なのは、6年間正規の保育士を採用していないことです。来年も新規採用はなく、育休代替に「任期付保育士」という短期雇用の保育士を採用して乗り切ろうとしています。一方、これまで障害児対応をはじめとして正規保育士の補助をしてきた非常勤の保育士(エンゼルサポーター)を廃止し解雇しようとしています。非常勤職員は不安定な待遇ながら現場ではかかせない存在として豊島区の保育を支えてきたのに、区の都合で一方的に「廃止する」などとは許されません。また、「任期付保育士」を採用する一方で、非常勤を解雇するというやり方は、解雇のための法的な条件をも満たしておらず、雇い主の責任が問われます。そもそも民間企業の派遣ぎり、雇い止めが横行しているのをやめさせる立場にある行政自らが、解雇するなどとんでもありません。
 豊島区は90年代には区立保育園を廃止し、そして高野区長になってからは、強引な民営化で保育定数を削減してきました。その結果が現在の保育園待機児になっていることは間違いありません。そして、本気で保育園待機児を解消する気があるなら、民間まかせではなく区として認可保育園を増設し、そのための正規の保育士を採用せざるを得ないはずです。実際、文京区などでは保育士の採用をしています。

 質問します。保育士については即刻、新規採用をすべきです。11月現在200名をこえた待機児解消に本腰がはいっていないのは、保育園をつくれば職員を増やさねばならないのに、「2000名体制」があって、何がなんでも職員はふやせない、という区の方針があるからではありませんか。そんなことで保育園に入れないのでは困っている区民は納得できません。「なんとかしてほしい」という切実な区民の声にこたえ、保育士を採用、増員して、待機児を解消する方向へ踏み出すべきです。答弁ください。また、これまで豊島区の保育行政を、になってきた非常勤の職員をやといどめにすることは、許されません。待遇改善をおこなうとともに、引き続き雇用することをもとめます。

 以上二つの特徴的な職場を取り上げましたが、これだけでなくどこの職場でも新人が入ってこない、若手がいない、活気がなくなる、仕事のノウハウや技術の継承が出来ない、など大きな問題です。職員の残業も増え、有給休暇の取得率も下がっています。
 区が、現場の状況や社会の変化に伴う仕事量にかかわりなく、財政難を口実に民営化や民間委託、職員体制の効率化をすればできるときめた「2000名」という数字に固執するところに一番の問題があります。2000年に移管された清掃事業を除けば、すでに2000名以下の体制になっているのです。
 
 そこで質問します。
 来年度からの人員管理計画を策定中ときいております。先ほど述べたように生活福祉課や保育園など切実な区民需要の多いところで矛盾がふきだしています。無理な人員削減をおこなった2000名体制を反省し、区民需要を考慮し、必要な職員を確保する立場でのぞむべきです。「削減ありき」ではなく区民サービス向上を第一とした、職員体制をとるべきです。答弁願います。


第二に 来年度予算のなかで、特に必要な低所得者、障害者施策の充実について質問します。
 さきほど述べたように、景気の悪化はますます進み、区民生活も困難になってきているなか、低所得者、障害者など弱い立場の人に光をあてた政治がますます必要になってきています。ところが、この間一番削られてきたのが低所得者、障害者の分野です。
 
 今年9月に豊島区がだした「区財政の推移と現状」のなかで、「逓増する扶助費と繰り出し金が区財政を圧迫する要因」と書いています。福祉をやったから区財政を圧迫するかのようですが、そうではありません。国が社会保障費を切り捨ててきたのが、一番の原因なのです。
 自民党政治は、新自由主義の考え方のもと、国の仕事は国防と外交だけとし、それ以外の仕事は地方自治体におしつけて、その際、仕事はわたすが財源はわたさない、という姿勢に終始し、地方に出すべき様々な国庫負担金を縮小してきました。国民健康保険の国庫負担は84年に45%だったものが引き下げられてきたのです。最近では、三位一体の改革で2004年度から公立保育所運営費の国庫補助が、2005年度から就学援助の準要保護者の国庫補助が廃止され、一般財源化されました。
 とくに、生活保護については、1950年生活保護法が制定されたときには国庫補助率は80%でしたが、1989年から75%に引き下げられてしまいました。生活保護世帯が増えると地方自治体の負担がふえ財政を圧迫するため、「申請」をうけつけないなどの違法行為の原因の一つになっています。その上、豊島区は財政難を口実に生活保護にならないための様々な施策、応急小口や生業資金、見舞金などを削り、さらには生活保護の法外援護まで切り捨ててきたのです。
 そして国が派遣労働を自由化し、はたらく貧困層(ワーキングプア)をつくり、一方で年金、医療、介護などの社会保障を切り捨ててきたことが、生活保護を増やしているのです。
 
 そこで質問します。
 景気悪化で、税収は増えない一方で、区民生活を支えるための福祉や教育の需要は増大します。とくに、今の生活保護の増加は大きな原因は国の政治の失敗です。国に対し、生活保護については全額国庫負担とするよう強く求めるべきですが、いかがですか。答弁ください。

 次に生活保護世帯、低所得世帯への対策、とくに子どもに関することについて伺います。
 10月4日NHKスペシャルが「しのびよる貧困―子どもを救えるか」の特集をおこない、子どもの貧困をとりあげました。この間の自公政治の構造改革路線による規制緩和、社会保障削減の結果、一番よわい子どもが貧困にさらされているのです。
「子どもの貧困」(岩波新書)などの著書がある国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩(あや)さんは、子どもの貧困を解消するのは、「弱者救済というより、将来を担う人材育成の投資と考え、負担と給付の在り方について抜本的な議論をする必要がある」としています。
  
 そこで質問します。豊島区でも、児童虐待が増加し、就学援助も増えています。区長、教育長は豊島区における子どもの貧困の実態について、どう把握しているのでしょうか。答弁願います。
 
 具体的に、低所得世帯の子どもにたいする施策の充実について二点伺います。
 一つは、生活保護の法外援護の復活についてです。国のくらしと福祉、教育などの施策に不十分なところがあれば、自治体独自の上乗せをして住民の命と暮らしを守っていくのが区の仕事です。すべての子どもが基本的な医療、衣食住、教育を受けられるようにすべきです。ところが、行財政改革プラン2004で入浴券とともに削られたのが、子どものための、入学祝い品の支給(文具券)、学童服・運動衣代の支給、修学旅行支度金などです。これらは、まさに自治体が独自にうわのせしていた部分です。生活保護は、ぎりぎりの生活費でしかありません。だからこそ、このような法外援護がなされていたのであります。
 
 そこで、質問します。
 生活保護は、最低限の生活費です。成長にあわせて必要な子どもの体操着も中学生で学校指定のものとなれば上下で5〜6000円はします。入学準備金も中学校は46,100円以内ですから、学校によっては指定の標準服やかばんを買ったらおわりで、体操着までまわらない金額です。豊島区として上乗せは必要です。復活を求めます。答弁ください。

 もう一つは就学援助です。
 日本国憲法では、「義務教育は無償とする」と謳っているのに、保護者の私費負担は高止まりのまま、当然のように請求されています。
 豊島区では、就学援助の基準は生活保護の1.2倍とされています。これについては23区はほぼ同水準ですが、教育関係補助費としては墨田区で眼鏡購入費や運動着代を支給したり、台東区では私立幼稚園保護者補助を行っています。さきほど中学校の標準服の話をしましたが、就学援助をうける場合には入学支度金の費目ででるのは、26,120円です。「義務教育にかかる経費の補助」という位置づけですが、標準服以外にも、その他体操着や上履き、かばんなど学校指定でどうしても必要なものがありますが、少なすぎます。標準服の金額にも満たない額です。さらにこれらは入学前にそろえなければならないのに、就学援助のお金が振り込まれるのは8月になります。就学援助 はお金がなくて、申請するのに、これでは実態に合っていません。
 
 そこで質問します。
 まず、就学援助の金額を実態にあわせ引き上げるべきです。答弁ください。
 また、入学支度金については四ヶ月も後にならないと振り込まれないのでは実態に合いません。制度を変えるべきですが、すぐにはできないというなら、貸付制度を作るなどして、使いやすくすべきですが、いかがでしようか、答弁ください。

                  
 続いて障害者にかかわる問題についてとりあげます。
 障害者自立支援法については、利用すればするほど負担が重くなる応益負担を廃止し、施設運営については報酬単価の引き上げや、日額払いから月額払い制に戻すことが求められていることは、何度も取り上げてまいりました。今回は、市区町村が実施する地域生活支援事業について、質問します。
 地域生活支援事業は、地域の実情にあわせて実施し、その費用の2分の1を国が、4分の1を都が支援をすることになっています。豊島区では、相談事業、コミュニケーション支援事業、日常生活用具給付事業、移動支援事業、地域活動支援センター機能強化事業などが行われています。
豊島区としては、日常生活用具給付は3%負担、移動支援事業は月20時間まで無料、40時間までは3%負担などを除き、 利用者負担なしで実施をしています。
 そこで質問します。
 移動支援事業は、自立生活及び余暇活動などの社会参加のための移動支援ということになっており、通勤通学に使えないとか、障害児がスキップを利用することに使えないとかで、障害者の方にはとても不満があります。この制度については、自治体独自に実情にあわせていけることが、いいところです。豊島区障害福祉計画のなかでも「利用者などから寄せられているさまざまな要望に対して、今後、諸条件などを勘案しながら、検討をすすめていく」とあります。検討状況をうかがいます。また具体的になにが、問題になっていて拡大が出来ないのか、お答えください。
 
 障害者施策の二つ目は、地域活動支援センターについてです。
 豊島区の精神障害者の共同作業所は、すべて法内施設に移行しました。09年度は自立支援給付については報酬が5%程度アップしました。しかし、地域活動支援センターV型への補助は、今年は増えませんでした。福祉施設はどこも、給与が安く、人手不足で大変です。
 そこで質問します。
 豊島区では歴史的に精神障害については民間の作業所が大きな役割を果たしてきました。地域活動支援センターの補助金の増額を求めます。いかがですか。
 またこれらの事業をおこなっている地域生活支援事業は、本来国が2分の1、都が4分の1を補助することになっていますが、実際にはそれぞれ68%程度しか補助していません。国・都に対し、補助をきちんとだすように強く求めるべきです。答弁ください。


 第三に池袋を中心とした再開発について伺います。
 豊島区は、池袋を中心とした再開発について、2004年4月に池袋副都心再生プランを策定した後、新庁舎建設や東西デッキ構想、LRT構想、独立行政法人造幣局周辺などを、都市再生をリードするプロジェクトとして、区民にもわかりやすいまちづくりのガイドラインが必要となったとして新ルネサンス構想を発表、2008年4月の戦略プラン2008に盛り込んだのです。その後、民間との協同などとして、6月に池袋副都心グランドビジョンとして発表、今年も戦略プラン2009に盛り込み進めています。
 11月13日の豊島副都心開発調査特別委員会で、池袋副都心整備ガイドプラン、池袋副都心地区都市交通戦略、新庁舎計画について、報告がありました。
 池袋副都心整備ガイドプランは、「都市再生をすすめるためには、目標に向かって公民が連携を図りながら行動する戦略が重要」「その戦略がガイドプラン」などと説明されました。池袋副都心地区都市交通戦略は、池袋副都心整備ガイドプランと連携し、そこで示された将来像を実現するために必要な交通施策とその実施計画を検討するものと説明されました。
 どちらも、具体的な事業をつくるわけではない、事業は個別の計画でやる、ということで、曖昧模糊としています。
 
 副都心委員会質疑の中でも、理事者はLRTについては「構想は変わってない」「今も検討している」といい、LRTをすすめるために「交通戦略」があるともしています。
 ふりかえれば、今年5月の副都心委員会で「池袋LRT整備構想策定調査」について報告があり、数々の問題点が指摘され、実現困難なことが明らかになりました。決算特別委員会でもLRTについてはわが党だけが質問し理事者は「LRTにこだわらない」と答弁するなど、LRT事業はもう中止の方向へむかうべきだったのであります。しかし、「交通戦略」のなかで、「参考」の「魅力ある公共交通のイメージ」としてあげられ、検討が続けられることになっているのです。
 
 また、ガイドプランと「交通戦略」のなかには、交通結節点の強化という形で東西自由通路つまり、池袋東西デッキの記載があります。池袋駅東西デッキの話は、過去にも何度もでてきては消えてきたもので、その際「一体誰が費用を負担するのか」がいつも問題になり、実現しなかったものです。
 
 LRTにしても東西デッキにしても、区民から批判が強いものなのに、それが、新ルネサンス構想、そして民間との協働だといってグランドビジョンという形になり、さらに今度は、池袋副都心整備ガイドプランとして、きれいな絵にしてどんどんすすんでいくのであります。
 お金の面からみても、今年度予算では、ガイドプランに1880万円、LRTを含む交通戦略調査に1560万円が計上されています。
 これまで、わずか200万円でできる高齢者の安否確認のためのハローテレホン事業は復活しない。2000万円でできる生活保護世帯のふろ券は復活しない、その一方で毎年、これだけのお金が「絵を描く」ために、使われているのです。また優秀な職員が、そのために張り付いているのです。
 
 豊島区は、この間新庁舎建設を「池袋再開発の起爆剤」と位置づけ、7月に都市計画審議会で再開発事業などについて決定され、今後準備組合から組合設立へ、事業計画の策定、権利変換へとすすんでいくことになっています。現在地権者のなかからも反対者がでているにもかかわらず、区はしゃにむに進めようとしています。すでに豊島区は準備組合に対し10月16日組合設立の同意書を提出、先日の豊島副都心開発調査特別委員会で、理事者は「全員の同意が得られるよう努力する」と言うものの、それは権利変換までに同意を得られればいい、というもので、結局どんどんすすめることになります。
 資金計画については、今後政権交代による補助金がどうなるのか不明なこと、また、現庁舎地を50年の定期借地権で貸付け賃料で区庁舎の不足分を保留床を購入するというやり方など非常に不確実、不安定な計画です。板橋区は財政調整交付金がへるので本庁舎の改修を延期すると表明しています。その他、再開発手法は住民追い出しになること、分譲マンションとの合築による維持管理の困難さなど、いくつも問題点を、わが党は指摘してきました。しかし、一顧だにせず区は一瀉千里にすすめているのです。
 
 そこで質問します。
 なぜ、池袋副都心整備ガイドプランなどを作るのでしょうか。今述べたように、ガイドプランというのは、新庁舎建設を起爆剤にして、「東西デッキ」と「LRT」をなにがなんでも作っていくためのものではありませんか。
 あらためて伺います。いったい何のために池袋副都心整備ガイドプランを策定するのか、明確にお答えください。
 また、なぜ都市計画審議会にかけているのでしょうか。答弁を求めます。
 
 
 もう一つ問題なのは、池袋副都心整備ガイドプランが、区民には一切説明されていないことです。今後の手続きを見ると、12月25日に再度、都市計画審議会を開き、答申をつくり、そのあとようやくパブリックコメントを行い、3月に策定するとしています。
 これまでの様々な都市計画をつくるときには、都市計画審議会で案を作り、区民に公開して住民説明会もするなどして意見を聞き、そしてまた都市計画審議会で決定する、と手順を踏んできたはずです。今回はなぜ、一切区民に対する説明がないのか、そして区民に意見を聞くのがあとまわしになっているのか。こんな非民主的なやり方は認められません。答弁ください。