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平成21年 第3回定例会 河野たえ子議員の一般質問

 私は、日本共産党区議団を代表して「みどりをふやし、よりよい環境をもとめて」と題し、つぎの2点について一般質問をおこないます。
1)、都市化の中でみどりをふやすことについて、
2)、国民健康保険の被保険者本位の運用について、であります。


 歴史的な総選挙が終わり、長い間続いてきた自・公政治が終わりを告げました。国民は、新しい政権がくらし、福祉、環境など、今よりよくしてくれることを願っています。
 新しい政権が動き出すまえに、すでにいろいろのことが始まっています。そのひとつが、1997年の京都議定書での温室効果ガス排出削減の中期目標を「90年比25%減」にすることを明らかにしたことです。これまでの自・公政権下の政府目標「05年比15%減(90年比にすると8%減)」と比較すると天と地の違いです。それまでの自公政権目標は、先進国の目標とも大きくかけ離れており、その消極的姿勢は、各国から批判を浴びていました。 
 90年比25%削減目標は、日本共産党や環境NGOが求める30%減には及びませんが、これまでの国の姿勢を大きく転換させるものです。
 今年3月に発表した区環境基本計画では、区の温室効果ガス排出量は、京都議定書基準年比で2005年ではプラス11.9%であるので、短期目標(2012年度)は05年比11%削減、基準年比にするとたったの1%ですが、それを目指し、中期目標の2025年度、15年後には基準年比22%を減らすことになっています。目標だけではだめですが、しかし、目標を掲げ、そこに向けて課題を明確にして取り組んでいくことが、もとめられています。私は、1年前の一般質問で区「環境基本計画(案)」に対して、CO2の削減目標の設定が不十分であることを指摘しておりますが、あらためて質問する次第です。
 新しい目標との整合性は今後、区として当然図っていくと思っていますが、基本計画の目標変更について、いつ、どのように変更するのか、考えを示してください。

 さて、地球の気候を狂わしている温室効果ガスを減らすためには、区民一人一人の努力は当然必要ですが、根本的な対策が必要です。区の部門別のエネルギー消費割合は、約7割が運輸と業務部門が占めています。この部門の取り組みを強化しなければ目標を達成できません。基本計画では、「都市基盤の整備を通じたCO2の削減」を目指すとし、整備の内容は、1)、開発と一体化したCO2削減 2)、未利用エネルギーの活用 3)、交通対策の3点をあげています。
 「開発と一体化したCO2削減」とは、古いビルは、「環境配慮」がないので開発して省エネの新しいビルを建てれば、CO2を減らすことができるというものですが、新しい建物を建てるエネルギーは、新たなCO2 発生となります。本当に開発がCO2削減になるのでしょうか。私は大変疑問に思っています。
 さて、CO2削減の取り組みとともに、都会特有のヒートアイランド対策をとることは住みやすい環境をつくる上で重要な取り組みです。
 自動車交通の増大、緑地の減少、コンクリートの建物の増大などヒートアイランド現象を増大させる要因です。区内も都市化の進行・拡大によって住みにくさが増しています。

 そこで、都市化が進行する中で、みどりを増やし環境を良くすることについて、いくつかの質問を行います。
 その一は、都市計画における路線商業地域の指定についてです。
 長い間、工事がおこなわれてきた中央環状新宿線、172号都市計画道路の建設も終わりに近づいています。近隣住民にとっては、いろいろな面で迷惑を被ってきた工事です。それでも住みやすく、環境がよりよくなれば我慢のしがいもありますが。実際は、問題がいくつも噴出しています。
 現在の都市計画では、幹線道路に面した地域は、道路際から30mは、近隣商業地域に自動的になり、建ぺい率、容積率とも大幅アップします。そのために後背地、隣接地との矛盾が従前から問題になっていました。その一例が、目白通りの一かわ奥になる目白4丁目の一部地域です。ここは一種住居専用地域ですが、南側目白通り側は、新宿区で近隣商業地域であり、目白通り沿いに中高層建築物が建つと、とたんに北側の住宅は日当たりが悪くなり、良好な住宅地がじわじわと住みにくくなってきています。住み続けることができず転居した人もあります。 また、山手通りの拡幅によって、住宅地側に商業地が入り込み、広がる前までは、4階程度しか建たなかったところに13~4階が建つことになりました。近隣は一挙に日照を中心に環境が悪くなり、庭にバラや花を丹精込めて育てていた人は、花つきが悪くなったと嘆き、冬の暖房費も増えたと語っていました。
 道路が広がると自動的に近隣商業になる現在の都市計画のやり方を改め、その地域の成り立ち、これからどういう街にするのか、住民の意見を聞き決めるべきではないでしょうか。地区計画が有効であるならば、沿線すべて幅30mにするのではなく、住宅地にする地域は、「幅を狭くするなど特別な指定をする」など、従前の住宅環境を維持できるようにすべきではないでしょうか。
 そこで質問をいたします。
 これまでの区内の地区計画は、高松2丁目桐葉通りなどを除いて基本的に都市計画道路などの拡幅計画に合わせて地区計画をたててきました。172号都市計画道路の場合は、拡幅によって、拡幅分だけ近隣商業地域が住宅地にひろがり、大きい建物やマンション建設が可能になり、従前のままの環境で住み続けたい人たちとの矛盾を生んでいます。
 道路計画にもとづく「地区計画」については、後背地の住民の声も十分反映し、街の性格を生かすよう「用途の変更」は慎重に決めるべきだと考えます。区長の答弁を求めます。

 その二は、民間マンションなどの建築物に対する緑化の問題についてです。都市計画172号道路造成にあたり、地区計画をたて、建物高さは21mまでになりました。西池袋4丁目12番、西池袋中学のそばで、道路が拡幅される前は戸建て、アパートなどでしたが、ここを買収した不動産業者が地上7階、20.99m、上限よりわずか1cmしか下回っていないマンション建設を計画し進めています。西側隣地との境界は、わずか57~61cmです。その後住民の交渉によって67~71cm まで約10cm広げることができましたが、規模の大きさからみれば微々たるものです。隣接する周辺住宅は、2~3階の閑静な住宅地です。谷端川側には保護樹林である巨大なイチョウの木があります。ここはまた、「池袋モンパルナス」時代の寺田正明画伯や亡くなるまで吉井忠画伯が住んでいたところでもあり、マンションが建てばまた、ひとつモンパルナス時代の雰囲気の残る場所がなくなります。
 敷地いっぱいに建てるマンションは、隣地との間に木を植えることすらできません。
緑化について区と業者が協議し合意に達した内容は、建築面積約554u、延べ床面積約3641uに対し、地上43u、屋上部分に「へでら」を10u合計53,64uであり、敷地面積に対し7.27%にしかなりません。指導基準は6%以上だそうですが、基準が低すぎるのではないでしょうか。
 「環境基本計画」では、豊島区の緑被率は、23区中19番目と低い位置にあります。調査したH16年(2004年)の調査では、12.4%です。「基本計画」では、目標値を引き上げる数値が明らかになっておらず、大きな問題です。また、施策の方向、今後の取組で「屋上緑化、壁面緑化、敷地内緑化」などが挙げられていますが、西池袋4 丁目マンションでは、わずか7%超です。いま増加しているのは圧倒的に民間マンションですから、ここに対する緑を具体的にどう増やしていくのかが緑被率を引き上げるカギです。用途別床面積の推移でも、専用住宅や併用住宅などの経年推移はほとんど変わりませんが、共同住宅のみ、極端な右肩上がりです。つまり、マンション建設が増加しているということです。
 ここで質問をいたします。
 最初にのべたように7階40戸のマンションの緑が7%程度では、少なすぎるのではないでしょうか。屋上緑化といっても高層、超高層の建物は「風」が強く植樹は無理なのです。
 これでは緑被率の増加・向上は望めないばかりか減るばかりになってしまいます。
 マンションは、新築時に「みどりの条例」にもとづいて緑化計画書の提出、アメニティ条例による指導をおこなっていますが、建築面積の6%程度では緑被率をアップするのはむずかしいでしょう。基準を抜本的に引き上げるべきと考えますが、いかがか明確な答弁を求めます。

 その三は、南池袋2丁目市街地再開発事業、新庁舎建設計画における緑と広場の問題に関して質問します。新庁舎建設については、7月24日に開かれた第147回都市計画審議会で地区計画の決定を2名の専門委員、渡辺委員と私の4名が反対しましたが、多数決で決定いたしました。
 私も長い間、都計審の委員をやってきましたが、専門委員の先生が2名も反対したのは初めてではないかと思います。このとき、付帯意見を三項目つけましたが、そのひとつに「新庁舎整備を契機にこの地区の広場、緑が都市の良好なストックとなるよう可能な限り積極的に設計に反映されたい」という要望があります。私は、これを読んで大変むなしく感じました。こんな要望意見は、つけてもつけなくても同じです。狭いものをデザインで広くできるわけはありません。45F、165mの超高層の建物に対し、地区ひろばがたったの900uです。900uはすくなすぎます。また、広場状空地と屋上の緑化をそれぞれしますが、敷地面積に対しては29%であり、巨大な建物のボリューウムと比較すると緑は少ないのです.将来を見据え広場や緑を十分確保しないで、設計に反映しろというのはごまかしです。狭ければ木の種類や本数も制約されます。風も強く区民の憩いの場にならないのです。東池袋4丁目のエアライズタワーを見ても明らかです。こぎれいですが、風が強く緑豊かとはお世辞にも言えない場所です。
 都計審の2専門委員も「建物のボリュームが大きすぎる。美しくない」といっていましたし、「将来の街づくりに禍根を残す」とまでいっています。庁舎のみの建設であれば、ゆったりとした敷地の中に「緑の森」と広いひろばができ、都会の中のオアシス、区民の憩いの場になり、「環境都市」と呼ぶにふさわしい庁舎ができます。
 そこで質問いたします。
 日本共産党区議団は、市街地再開発事業で行う新庁舎建設には反対してきました。「金がかからない」を大義名分にし、現庁舎地など区民の財産を切り売りし、民間業者のもうけの場にするのは庁舎という公的なものと相入れないからです。先程のべたように、みどりと環境の点からいっても新庁舎建設には、ふさわしくない計画です。都計審の2委員もそこを指摘し、反対したのです。現在の計画はただちに中止すべきであります。区長の答弁を求めます。

 その四は、緑を抜本的に増やす保証は公園を造ることです。
 H13年に策定の区「みどりと広場の基本計画」で緑のネットワークという計画があります。地図上に丸の大きさで緑のあるところが記されています。大きい丸は9つ、霊園、大学が中心、中ぐらいの丸は7つ、公園と神社です。大きい丸には新江戸川公園、大塚公園、護国寺など隣接する文京区の公園まで入っています。これは、少々虫が良すぎるのではありませんか。この間、豊島区は広い土地がない、公園がつくれないので小さい児童遊園などを数多くつくってきましたが、これも管理に金がかかる、効率的でないと増やすどころか減らしています。近所の子どもを持っている親に聞いてみると、豊島区は公園が少ない、安心して遊ばせるには、板橋の動物公園とか、交通公園、ちょっと足を延ばす時は、城北中央公園とか光が丘公園へ遊びに連れていくそうです。情けない話です。区は、一方で「環境都市」をうりものにしてきました。ガーデンシティ豊島を標榜し、「庭先の身近な緑から、区の骨格となる緑と広場につながりをもち」としているのですから、もっと積極的に取り組むべきです。住民は言われなくとも、小さな庭先に木を植え、草花を育てています。しかし、のべてきたように超高層、高層のビルが増えるなかで「緑」はどんどん減ってきています。鳴り物入りでおこなった「学校を森」の植樹もそれなりの効果があると思いますが「緑の量」を増やすためには、広い土地がないから公園をつくるのは無理の発想を抜本的に変え、公園をつくることが必要です。
 また、東京に直下型地震が起きた時に、一時避難だけでなく、区民の生活再建のために一定期間スペースが必要です。新庁舎に立派な防災本部を作るだけでは駄目です。 人が多く動く地域で、いまある大きなスペースは、現在のところ造幣局です。造幣局は、稼働中ですが、「未来戦略プラン2008」では「ものづくり産業等を中心とした開発誘導」と明記しています。また、LRTの乗り換えのための公共駐車場とか取りざたされたりしています。 ここは、もともとというかいま、広域避難場所に指定されています。ここに広いひろば、公園をつくるのです。本気に青写真を作ってみたらいかがでしょうか。
 そこで質問いたします。
 先日、秩父に行ってきました。その折、秩父市がつくった「キッズパーク」で遊んできました。3歳と小1の孫が大喜びで芝生をはだしで走りまわり、「ふわふわドーム」という巨大な半円のゴムまり状の上で、汗をかきかき、ぴょんぴょんジャンプしていました。これは地元の子どもにも大好評のようでした。もちろん無料です。いくつかある遊具も単純で子どもが全身を使って遊べるものでした。そこで提案です。
 造幣局の跡地の計画を普段は、キッズパークのような公園にし、いざという時には防災用に使うという計画はいかがでしょうか。お答えください。
 
 つぎに質問の第二、国保の被保険者本位の運用について、質問いたします。
 
 先週金曜日の一般質問で医療問題について垣内議員が質問しましたので、私は国保の一部の問題についてのみ質問します。財界言いなりの自・公政権によって社会保障費毎年2200億円削減は、日本の社会保障制度を「異常な事態」にしました。国民の命が脅かされているのです。カナダ、イギリス、チェコなど先進国では医療費は原則無料です。日本の国民健康保険もすべての国民が命と健康を守ることを目的につくられました。
 しかし、医療費の増加を口実に保険料を毎年のように値上げするため、払いたくても払えない世帯が急増。滞納世帯へのペナルティ、事実上無保険の資格証明書の世帯が増えています。保険料が高くなった原因は、医療費の増加だけではありません。国の国庫負担率の引き下げが大きく影響しているのです。区の現状は、H21年3月末で短期保険証は3241世帯、資格証世帯は、3284世帯です。1~2年前までは、資格証世帯は、短期証世帯より大幅に少なかったのです。ついに逆転して資格証、つまり無保険の世帯の方が多くなってしまいました。この問題については、機会あるごとに取り上げ、これからも解消を求めてゆきます。さて、昨年日本共産党は、厚生労働省に対し働きかけ、子どものいる資格証世帯には保険証を発行するよう通達を出させ、区に対して解消を申し入れ、一定の解決をみましたが、先進国で無保険の子どもがいるなどということは許されることではありません。
 さて、今回の質問は、「一部負担金の減免」制度の利用に関しての質問です。
 
 国保法では、保険料の減免、一部負担金の減免などお金のない場合でも医療が受けられるよう幾つかの制度があります。ところが区の国保運営では、これらのセーフティネットが機能していません。保険料の免除は、H19年度6件、H20年度9件であり、一部負担金の減免は2年連続ゼロです。2000年からの地方分権一括法以後、自治体の裁量が大きくなり独自に基準を定めることができるようになりました。しかし、23区は、区長会において「生活困難」の認定を生保基準の1.15倍と低く抑え、いくつもの条件を付け、事実上受けられなくしています。
 厚労省は、本年7月、わが党の小池参議院議員の国会質問を受け、国保の一部負担金減免の積極的活用等を求めた通知を出しました。これは、医療機関の未収金に関する報告書にもとづいて出されたものですが、「未収金の原因に『生活困窮』があり、この『生活困窮』が原因の場合は、一部負担金減免制度の適切な運用」などを求めています。
 そして減免した費用の2分の1を国が負担する方向で検討したいと前の舛添厚労大臣は答えています。政府は変わりますが、この答弁をぜひ生かして、新政権も引き継いでもらいたいと思っています。
 そこで質問いたします。
 豊島区では「国民健康保険一部負担金徴収猶予および減免事務処理要綱」によって一部負担金の減免が行われていますが、2条で該当する世帯をふりわけ、第4条で「生活困窮」の規定をし、これが細かく難しいのです。「(4条の一部読み上げる)」。第5条で減免割合を「却下から10割まで」の段階に分けています。これでは、利用できないようにしているとしか思えません。区民が見てわからないような規則や要綱などは間違っています。利用件数がゼロも当然という思いです。国保の持つ精神に立ち返って困っている人が活用できるよう改めるべきだと考えますがいかがでしょうか。区長の明快な答弁を求めます。
 
 以上で私の質問を終わります。