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区議会質問
 
平成21年 第1回定例会(2月24日) 小林ひろみ議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「深刻な区民の実態を直視し、安心して豊島区に住みつづけられる予算に切り替えよ」と題し次の3 点について一般質問を行います。

1、09年度予算案について
2、池袋副都心・グランドビジョン2009及び新庁舎建設計画について
3、高齢者の生活を支える施策について


 第一に、09年度予算案について質問します。
  昨年9月のリーマンブラザース破綻以来顕著になった日本の景気後退は、一部上場のマンション業者の破綻とか、名だたる大企業があいついで減収を発表、派遣切りや下請けへのしわ寄せをし、失業者の増加、中小企業の倒産が増えている状況などをみてもますます悪くなっています。2月16日に10月から12月のGDP(国内総生産)速報値が発表されました。12.7%減というあまりにも急激な悪化状況に、先行き不安はさらに広がり、ますます消費が冷え込み、企業収益が減り、さらなる首切りなど悪循環がすすんでいます。
  
 まじめに働いてきた派遣労働者が、仕事と住まいを同時に失う状況に、人間をもののように使い捨てにする利益第一主義の資本主義の本質が見えました。年末年始には、NPOや労働組合、ボランティアが「年越し派遣村」実行委員会を結成、その支援で命をつなぎ、新たに住まいと職を確保し、自立にむけて足を踏み出した人がいます。「派遣村」は、国を動かし、公共施設を開放させ、派遣村に集まった人が申請した236件の生活保護がすべて認められるという動きも作り出しました。社会的連帯の力が世の中を動かし始めています。
 「派遣切り」の増加は、派遣労働の自由化を進めた政治の責任が重大です。まず、無法な解雇をやめさせるために、政府が指導・監督を行なうことが必要です。これまで財界と自公政治の「構造改革路線」は減税や雇用の規制緩和で輸出大企業の応援を強め、そのしわ寄せを労働法制と福祉の改悪、増税で家計に押し付けてきました。内需拡大のためには、賃上げも雇用確保も、そして削ってきた社会保障を戻しさらに充実させ、国民の負担を軽減することが必要なのです。豊島区が自治体として、いまおきている史上空前の雇用・営業・暮らしの破壊から区民を守り、安心してくらせるようにするために、その役割をいかに果たすか、が問われています。
 
 豊島区が発表した2009年度予算案では、景気の急速な悪化に伴う財政調整交付金の大幅な減収など、大幅な減収を見込み、四年ぶりに旧中央図書館跡地の売却という特別な財源対策を講じ、その他、投資的経費のうち旧大明小など四つの大規模施設改修・建設の2年先送り、施設改修経費や経常経費の精査、国保会計繰越金の活用、さらには起債の追加で財源不足を解消したといいます。そして、区民に対するサービスの水準を低下させることなく、景気悪化の長期化に備え財政調整基金の取り崩しをおこなわないなど将来を見据えた予算となっている、これまでどおり「文化」「健康」「都市再生」「環境」に重点をおく、などとしています。
 経済情勢や区財政の見通しの先行き不安なことは詳しく述べられていますが、一方で困窮している区民生活についての言及が一切ありません。現在の経済状況は「100年に一度の危機」と言われていますが、それは区民の生活が大変になっているということです。とりわけ社会的に弱い立場の方々の不安はますます強まっております。
 今年1月日本共産党区議団は、区民アンケートを行いました。
 暮らしの状況を尋ねる質問に対し、この一、二年で「生活が苦しくなった」と答えた方が67.9%、「変わらない」31.4%、「よくなった」はわずか0.7%でした。自由記入欄には、「妻のパート収入が減った」「アパート収入が減った」「失業中。仕事がみつからない」「夫婦の年金合計150万円、40歳の長男が失業中、次男のアルバイトが月手取り14万円で生活できない」「働いている嫁が、姑を看ているが、同居者がいると受けられるサービスが制限されすぎる」「都営住宅に何度応募しても当たらない」「保育園にはいれない」「特養ホームを増やしてほしい」など生活苦の状況や就職、子育て、介護の不安がいくつも記載されており、あらためて区民生活が深刻な状況にあることが明らかになりました。
 
 そこで質問します。
 区長は、予算案にかんして区民生活の困難さ、中小企業の営業の深刻さに、一切触れておりません。これでは、区民の願いに応えた区政にはなりません。わが党は、この間区民の実態について何度か区長の認識を伺っておりますが、いつも、真正面からうけとめる答弁をいただいておりません。しかし、ここにいたって区民生活の実態を受け止めずにまともな区政執行は出来ません。あらためて、現在の経済状況が区民生活に与えている深刻な状況についての認識をうかがいます。
 また、今回、区が「経済状況を踏まえた区民生活支援策」としてあげているものは、2億2千万円余り、最大のものは中小商工業融資4000万円ですが、他区と比べて規模が小さすぎます。その他障害者タクシー券の増額や高齢者、子育て世帯への家賃補助などは、これまでの行革で削ったものの一部の復活でしかありません。このような対策で、これまで以上に深刻になっている区民生活にとって充分なものといえるのか、区民需要に応えるものになっているのか、答弁願います。
 
 次に、緊急に生活支援のために区がおこなうべき具体的な施策、最低限必要な施策について質問します。
 1月27日、日本共産党都議団と豊島区議団は池袋駅東口で、街頭労働相談を行いました。二時間に、14名の相談がありました。会社が倒産し、家賃を払えなくなってアパートを追い出されホームレスとなっていた人や職場でいじめられているパートの方、派遣をきられ雇用保険を受給しているがなかなか仕事が見つからない方など、相談は多岐にわたりました。
 このほかにも区内には、悩みや困難をかかえて困っているがどうしていいかわからない人がたくさんいます。
 確かに、豊島区にも相談窓口はあります。しかし、どうしていいか分からない人にとって、区役所まででかけるというのは敷居が高いもので、その結果ギリギリになるまで相談しないでいることもあります。豊島区役所のなかで相談をまっているのでなく、区として、出かけていって相談をうける体勢をつくり実施することにより、区民は区をより身近に感じ、「相談してみよう」という気になるのでありませんか。
 そこで質問します。
 重要なのは、区が困っている区民に対しては出かけていってでも相談にのる、という姿勢を示すことです。そのための体勢をとり、豊島区をあげて区民の暮らしや営業、命と健康を守っていくという立場にたてば、街頭相談もやれるはずです。答弁願います。
 
 具体的な施策の二つ目に住宅について質問します。
 この間、生活保護受給世帯が増えていますが、私たちのところに相談にくる方の中には、家賃さえ安くなれば、保護を受けずともやっていけるという方も多いです。派遣労働者が契約を打ち切られ同時に住むところもなくしホームレスになっていく状況や、部屋ではなく「鍵を貸すのだ」といって一日でも家賃を滞納すると鍵をとりかえて荷物も運び出してしまうゼロゼロ物件や「追い出し屋」などという「貧困ビジネス」がはびこっているのをみると、改めて「住まいは人権」という見地から政策をすすめる必要があります。
 Cさんは、75歳の一人暮らしの女性です。家賃は8万円。年金が月10万円ですから、生活費をかせぐため、まだ働いています。一昨年夏に腰をいため働けなくなったときには、貯金を取り崩して生活、心細い思いをしました。都営住宅かつつじ苑に入りたいと、40回申し込んでいますが、当たりません。冗談で「抽選漏れを集めたら優先枠とかないですか」といい、貯金がなくなったら生活保護をうけるしかないと考えています。
 都営住宅も高齢者住宅も、あきや募集は希望者が多く倍率は高くなっています。しかし、東京都は石原知事が、ここ10年間新規の都営住宅建設をまったくやっておりません。高松三丁目の都営住宅は改築され136戸から239戸に増えましたが、東京都は事業用だといって今後空き家が発生したら「地元割当をする」ということになっています。先日私がかぞえたところ、入居は120世帯程度で、まだ半分が空き家です。地元からは、「空いているなら早く入れてほしい」と声が出ています。東京都に早く地元割り当てを実施するよう強く求めるべきです。また、豊島区においても池袋本町の区営住宅、高齢者住宅の建設計画がおわれば、新規建設計画はありません。
 この間、わが党は、公営住宅の増設、家賃補助の拡充など住宅対策の充実を、機会あるごとに求めてきました。家賃補助については、09年度予算では、子育てファミリー世帯の家賃助成と、高齢者住み替え家賃助成の補助期間を3年から5年にすることが盛り込まれましたが対象者がすくなく十分とはいえません。
 
 そこで、質問します。わが党は、繰り返し、繰り返し、区営住宅など公営住宅の増設を求めてきました。しかし、区はやろうとしてきませんでした。改めてお伺いしますが、区長は区民から要望が強い公営住宅の建設をなぜやらないのでしょうか。その理由を明確にお答えください。答弁願います。
 また09年度予算案では、旧中央図書館をマンション建設など用途を制限して売却し、財源対策にあてることになっています。売却せず、この土地を使って、区営住宅や高齢者住宅を建設すべきです。答弁願います。

 職員の体制について伺います。
 豊島区は、2011年に2000名体制を実施しようとしています。民間委託、民営化や、正規職員を減らし非常勤職員におきかえるなどしてきました。非常勤職員など不安定な非正規雇用の待遇改善については、決算委員会で指摘してきたところですが、今回はあらためて職員の体制について質問します。
 
経済情勢を反映して、生活保護の相談、受給者が増えています。
 相談件数は、12月は1798件、1月は2306件、前年同月がそれぞれ1480件、1463件ですから激増しています。受給者は1月4515世帯となり、ワーカー一人当たりの担当世帯数は、昨年4月は91.7世帯だったものが、11月96.9世帯、12月98.4世帯、最新の1月には、100.3世帯になっています。年が明けたら担当する世帯が二世帯、三世帯増えていた、という状況です。相談室も一杯で、窓口でたったまま相談に応じる姿も見られます。さらなる景気悪化が言われており、生活保護も増えることは予想されます。本人の立場にたって相談にのり、適切な対応をし、また、生活保護の申請が受理された後の生活支援、介護や医療が必要なひとへの対応など、生活保護の仕事は本当に大変です。基準ではひとりのワーカーで担当するのは80世帯といわれていますが、それでも多いです。一人100件もあったら、家庭訪問も十分できないのではありませんか。わが党は、この間、生活保護を受給している高齢者の孤独死がおきている問題を取り上げ、孤独死をなくすためにも、職員をふやすべきと求めてきました。しかし、09年度は、職員体勢については、医療券の担当に派遣労働者をいれ、自立支援担当係長を設置、総数は増やさない体制になっています。生活保護というプライバシーにかかわるものを扱う部署を正規職員でなく派遣労働者でおこなうのは不適切ですし、派遣をいれるということはつまりは、職員が不足しているのです。また、生活保護受給者の就労支援については民間会社に業務委託をしています。委託なので、担当者は生活福祉課に常駐しているわけではありません。就労支援も、生活保護行政の一部であり、この社会情勢のもとでより重要になっており、不十分です。
 
 そこで質問します。
 今回提案された豊島区職員定数条例では、2053名にまで減らそうとしています。2000名体制をすすめることで、これまで述べたように区民サービスの低下につながっているのです。特に、生活福祉課をはじめ区民と直接対応する職場では、必要な職員を増員すべきです。答弁願います。
 
 第二の質問は、池袋副都心・グランドビジョン2009及び新庁舎建設計画についてです。
 区は「未来戦略推進プラン2009」(案)の中に、「池袋副都心・グランドビジョン2009」の名前で、18のリーディングプロジェクトをかかげました。プラン2009は、「基本計画」の実施計画であると位置付けられています。18のリーディングプロジェクトは、どれも多額の費用を必要とする事業です。現在明らかになりつつある東西デッキ構想では、区は、自由通路として「税金を投入してやる」と明言しています。また、現在、デパート業界の販売不振も深刻で、池袋三越が今年5月に閉店すると発表があったときは激震が走りましたし、東武デパートは、計画していた大規模改装を中止するような状況です。こんなときに、都市間競争だ、人を呼ぶまちづくりだといって、区が大型開発にのりだすことは間違いです。公共交通のなのもとに池袋駅東口に走らせるというLRTも、多額の資金がかかるもので、区民からの批判も多いのです。
 
 そこで質問します。わが党は、「大型開発をはじめてしまったら、後にひけずに多額の財政負担になる可能性がある」「大型開発優先の区政を転換せよ」とこれまでも繰り返し指摘し、転換を求めてまいりました。ましてや、現在「100年に一度の危機」というならば、「グランドビジョン2009」を行政計画として、区が音頭をとってやるべきものではありません。あらためて伺いますが、グランドビジョン2009などという大型開発はやるべきではありません。大型開発優先の姿勢は改めるべきです。答弁ください。
 
 次に、新庁舎建設計画についてです。昨年9月に区は「新庁舎整備の検討のまとめー整備方針―」を発表。「旧日出小地区を新庁舎の候補地として絞り込み、事業の実現にむけ取り組んでいく」と一方的に決定しました。この案では、再開発事業で分譲マンションと庁舎を合築し、不足する床を購入するための資金を、現庁舎地区を民間に50年の定期借地権で貸し付けて調達するというものです。
 2月3日に庁舎を建設するA地区の地区計画・市街地再開発事業等の都市計画原案が、豊島区都市計画審議会で報告され、今後、2月25日に説明会、公告・縦覧・意見募集、案の作成、さらに案について都市計画審議会への報告、公告・縦覧・意見募集、8月には都市計画審議会への付議、都市計画決定・告示、その後、スケジュールどおりにいけば、2011年に権利変換計画が決定されることとなっています。
 この案が発表されたときにも、区民から「建物の権利関係や管理が複雑になる」「マンションが売れなかったらどうするのか」と疑問や批判の声が強くでました。わが党はそれらを指摘し、この計画の撤回を求めてきました。しかし、区はやめようとしませんでした。今、急激な景気悪化で、2月5日には東証一部上場のマンション業者「日本綜合地所」が会社更生法の適用を申請しました。以前にもましてマンションの売れ行きが悪くなっています。区も区財政について、先行き不透明だといい、また、街でも誰もが、先行きどうなるかわからない、といっているにもかかわらず、区は立ち止まりもせずどんどんすすめています。
 そもそも区は、旧日出小地区案は再開発事業と現庁舎地区の貸付で、「10億円黒字になるからいい」といっていました。しかし、そうなるためには、再開発事業がうまくいくこと つまり権利変換計画がまとまることと、現庁舎地を予算どおり借りる事業者がある、ということ、その二つがタイミングよくすすむことが大前提です。ところが、10日議員協議会で新庁舎建設についての答弁で、区は「再開発と現庁舎地の貸付は別」などといいはじめました。とんでもありません。先ほど述べたように、この二つは密接な関係があり、両方がタイミングよく成立しなければ、区財政に負担がかかってくるのです。
 昨年10月の決算特別委員会で私は、旧街づくり公社の借金返済にかかわって、新保健所用地の取得にあたって旧保健所用地の売却金でまかなおうとしたが、買い手が決まらず、まちづくり公社に売却して事実上の赤字公債を発行したこと、その反省にたち今回の新庁舎建設計画のような、資金計画はやめるべきと指摘しました。
 現在の景気悪化の状況をみれば、当時よりもますます、先行き不透明になっています。
 
 そこで質問します。区は、庁舎建設計画について「区財政に極力負担をあたえない方法」「一般財源を使わない」などといってきましたが、そういう保証はなくなりました。このまますすめば、「進むも地獄、引くも地獄」になりかねません。東池袋四丁目再開発の前例があるではありませんか。直ちにこの計画は白紙に戻し、あらためて区民合意のもとに、簡素で使いやすい、「身の丈にあった」庁舎建設計画に作り直すべきです。答弁願います。

第三に、高齢者の生活をささえる施策について質問します。
 「年をとっても安心して暮らしていきたい」という当たり前の思いが、現在の制度では、なかなか実現しません。
 
 最初は、特別養護老人ホームについてです。特養ホームの待機者は08年11月末で1053人、区が緊急度が高いと認めるAランクは325名です。ところが、09年4月から始まる第四期介護保険計画では、特養ホームの建設計画は入っていません。第三期介護保険計画でも「検討」、三年たった第四期でも検討。いつまでたっても特養ホームができません。地域密着型の施設、グループホームや小規模多機能型介護施設の計画は具体的になっている、といいます。しかし、それぞれの施設には特徴があり、またサービスはよくてもグループホームは自己負担が多くて払いきれない、など、特養ホームの代わりにはなりません。これからも高齢者は増え、特養ホームの希望者は増えます。

 そこで、質問します。
 特養ホームについては、これまでは豊島区も「最重要課題」といっていたではありませんか。ところがプラン2009でも、「3年で検討」としています。
特養ホームに入りたくても入れないのでは、「保険あって介護なし」、区民への約束をやぶることにもなります。直ちに、計画をたて、建設に着手すべきです。答弁ください。
  
 次に、介護認定についてです。
 Aさんは、89歳の一人暮らしの女性です。これまでに二度、70代、80代に骨折し入院生活をしましたが、毎回大変なリハビリの努力をして退院し、現在も自宅で一人暮らしを続けています。昨年10月、区分変更の認定があり、要介護1だったのが、要支援2に変更されてしまいました。困ったのは、これまで使えた介護タクシーのサービスが使えなくなったことです。また、介護予防給付になって当初「身体介護はできない」といわれました。ご本人は、「90歳近くなって体はどんどん衰えているのに、介護度が下がるのはおかしい」「サービスがあったから元気でやってこられたのに削られて困る」といいます。この方は、06年の改悪で、要介護1のため介護ベッドが取り上げられた方です。「長生きすると制度がどんどん悪くなっていく」と怒ります。
 厚生労働省は、4月1日以降の介護認定について、審査項目を削ったり、二時判定の参考資料を減らしたりする、あたらしい要介護度認定方式を実施する予定です。モデル事業で新制度では、「要支援2」「要介護1-5」の人のそれぞれ2〜3割が現行方式より、軽度に判定される恐れのあることがわかりました。豊島区で行ったモデル事業でも70件のうち、これまでより軽度に判定される人が7件10パーセントも出ています。
 さらに4月からの新方式では、認定調査員による聞き取り調査の方法や判断基準を示した「認定調査員テキスト」に大幅な変更が加えられていることが明らかになりました。重度の寝たきり状態の人などが複数の調査項目で「自立(介助なし)」と認定されるなど、認定の軽度化に拍車がかかることが予想されます。高齢者や家族の間では、「新制度で要介護度が下がってサービスが減るのでは」と心配の声が上がっています。
 介護保険制度では、介護度が軽度になるほど限度額が減ります。前回の改悪では、要介護1以下ではベッドや車椅子が取りあげられたのはご存知のとおりです。「要支援」では施設を利用できないし、「非該当」とされると介護保険のサービス自体受けられません。
 モデル事業の審査員を務めた医師は「国は審査の簡略化・機械化しか考えていない。結果として給付の抑制になる」と批判しています。
 そこで質問します。
 これまでのべたように調査項目が削られたり、二次判定の参考資料の見直しがされたりと本人の責任ではなく基準が変えられたことにより要介護度が下がることは区民にとっては深刻な問題です。豊島区として、国に対し、このような新制度改定は実施を延期し、慎重な検討を行うよう求めるべきですが、いかがでしょうか。
 
 次に、介護報酬の改定について質問します。
  政府は「介護労働者の処遇改善、人材確保のため」として介護報酬の3パーセント引き上げを決定しました。介護保険の問題点は、サービスを増やすと保険料や利用料に跳ね返り、利用者などの負担が増えるということです。政府は保険料に跳ね返らないようにと1200億円の交付金をきめ、豊島区にも交付される予定になっています。
 今回の報酬改定で、本当に介護労働者の処遇が改善されるのでしょうか。
 問題は、政府・与党がいう介護労働者の給与「月二万円アップ」という数字が、全介護労働者にゆきわたる裏づけのないものということです。そもそも3パーセントの報酬引き上げでは足りません。この間の二度の改定、03年改定で2.3%の引き下げ、さらに06年改定で2.4%引き下げられてきました。3パーセントアップでは介護保険スタート時の報酬にも及びません。また、基本報酬の引きあげではなく一定条件を満たした事業所への加算増による引き上げが中心であり、全事業所の収入の底上げにはつながりません。さらに、加算中心の改定では、それができる大規模な事業所とできない事業所の二極化が予想されます。
 実際に介護施設の運営にかかわっている方の話を聞いてみても、「法人全体で5000万円ぐらいの増収と考えているが、そのための体制をととのえる必要があるので、給与引き上げは先延ばし」、ヘルパー事業所では「報酬アップには、研修が必要だが、小さな事業所では研修の時間を有給でやるほど余裕はない。受講料や講師費用の負担もできない」といっています。
 さらに、介護報酬があがると利用料があがります。高齢者の負担が重くなり、ひいてはサービスを抑制することが予想されます。
 
 そこで質問します。
 介護報酬の改定は、現場での矛盾や利用者家族の困難を解決するものでなければなりません。
 そのためには、加算ではなく基本報酬を5パーセント以上引き上げるよう介護報酬の再改定・改善が必要と考えますが答弁願います。
 また、介護報酬が上がれば利用料負担がふえるのは介護保険の根本的問題点です。本来、国が財源を増やして利用料の負担軽減策を実施すべきですが、いかがでしょうか。
 そして、これらについて国に対し、意見をあげるべきです。答弁を求めます。
 
 保険料について質問します。今年4月から介護保険料は下がることになりますが、まだ高すぎます。また、これまでの高すぎる保険料を滞納している方は、実際に利用しようと思ってもペナルティが課せられます。一年以上滞納すると、利用料の全額を自己負担し、あとから9割を請求することになります。2年以上滞納すると時効が成立、それ以上の保険料は納付できなくなり、滞納期間に応じた期間、利用料の3割を自己負担することになります。滞納分の保険料については、延滞金も発生し合わせて支払わねばなりません。
 介護保険料は高齢者本人に収入がなくてもかかってきます。課税世帯の子どもと同居しているような場合、住民税課税世帯として本人に収入がなくても基準額の保険料が課せられます。子どもも自分の生活に精一杯で、気がつかずに放置していて、いざ介護保険が必要になったとき、重い利用料負担と滞納分保険料の支払いに苦しんでいる人がいるのです。
 
 そこで質問します。
 まず、このようなペナルティをやめるべきです。
 さらに現在ある介護保険料の減額制度は、条件が厳しく事実上高齢者だけの世帯しか、対象になりません。たとえば同一敷地に子どもが住んで電気代だけは全部払ってもらっている、とか、なんらかの支援をうけているとダメなのです。もっと実情にあわせ、要件を緩和して、保険料を払えないでサービスを受けられない人がでないようにすべきですが、いかがでしょうか。

 介護保険外サービスの拡充についてです。
 Dさんは、要支援2と認定されています。息子家族が同一敷地に住んでいますが、生計は別です。現在は、坐骨神経痛で大変な痛みがあり、通院していますが、タクシーでの通院介助は介護保険では認められない、病院内の介助も認められない、ということで、大変困っています。その他、掃除や買い物に、ヘルパーにもきてほしいのですが、同一敷地に家族がいるということで、これもまた、利用できません。
 豊島区では、今回介護保険料が下がりますが、ここには、前回保険料を上げすぎたということと、介護予防給付が思ったより伸びなかった、つまり、様々な給付制限により、利用できなかったということがあるのです。高齢者が必要なサービスが受けられないことは問題であり、根本的に変えていく必要があると考えますが、現在の制度の下でも区独自に改善する必要があります。
 そこで質問します。
 高齢者が在宅で、安心して安全に暮らしていくためには今の介護保険制度では不十分です。わが党区議団は、介護保険では対応困難な事例を解決するため、家事援助や通院介助、散歩などを支援する介護保険外でのホームヘルプサービス事業の議案提案をしました。区はやろうとしてきませんでした。困っている人たちがいるのに、対応せず見てみぬふりをしているとは、あまりにも冷たいではありませんか。今こそ、区独自の介護保険外のホームヘルプサービス事業について実施すべきと考えますがいかがでしょうか。

 次に、高齢者の問題であるとともに障害者自立支援法にかかわることについて質問します。
 Eさんは70歳、視力がおちて、ほとんど見えなくなりました。白杖がほしいと、調べたら自費では9000円もするということがわかりました。それでは障害者手帳をと思ったら、手続きに
やはり、9000円もかかるというのです。手続きに時間がかかるだけでなく、手数料もあがり、また、65歳以上だとヘルパーのサービスなどは介護保険が優先して障害者施策は制限される、これでは、手帳をとる気がなくなります。
 2000年に介護保険が始まるまで、高齢者には、高齢者福祉でヘルパーや特養ホームなどが措置をされていました。応能負担の原則で、所得に応じた負担があり、住民税非課税ならほぼ無料で利用できました。ところが、介護保険が始まって利用料として1割負担が課せられたのです。
 障害者についても、自立支援法で応益負担、一割負担が取り入れられましたが批判が多く現在利用料については、軽減措置がとられています。しかし、障害者も65歳になると介護保険が優先され、利用料が1割負担となるのは変わりありません。国はこの間経過措置として、障害者施策による訪問サービスを利用していた低所得者の介護保険の訪問サービス利用に対し、07年6月までは100分の7、08年6月までは100分の4に軽減する措置を行い、豊島区でも実施していました。昨年7月からやめてしまいましたが、助成総額は07年度わずか540万円ほどでした。

 そこで質問します。
 障害者が高齢になったからといって障害者としてサービスが制限されたり、高齢者が障害を持った場合に障害者サービスがつかいにくい、というのはまちがっています。本人の体調や介護する家族、住居などその人の状況や希望にあわせて制度が選択できるようにすべきです。答弁ください。
 介護保険でも「利用料の1割負担は重い」と不満が出ています。障害者にとって生きていくため必要なサービスの費用について、64歳までは受けられた軽減措置が65歳になると受けられず負担が増えるというのは、本当に不当な話です。
 区独自の介護保険訪問サービスの軽減措置を復活すべきですが、いかがでしょうか。
 以上で一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。