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区議会質問
 
平成20年 第4回定例会(12月3日) 渡辺くみ子議員の一般質問

 私は日本共産党豊島区議団を代表し、「区民のいのちと健康を守るために」と題し、
 第一に国民健康保険について
 第二に高齢者の医療について
 第三に生活習慣病予防健診について
 第四に都立大塚病院における周産期医療と障害者・児医療について
 第五に都バス池86便の増便について
一般質問します。

 政府が進めてきた医療費抑制策で医療現場は深刻な事態となっており、いまや「医療崩壊」「医療危機」と言われるほどの大問題となっています。
 区民の医療を受ける権利を保障するのは自治体の責務です。この立場から緊急に取り組むべき問題として4点について質問します。
 第1は国民健康保険についてで、最初の質問は子どもの無保険についてです。
 10月30日付けの新聞で「全国で33000人もの中学生以下の子どもが『無保険』状態になっている」ことが一斉に報道されました。
 これは、親が国民健康保険料を払えないために国保証を取り上げられ国保被保険者資格証明書すなわち資格証が交付され「無保険」状態の子どもが多数いることを、わが党の小池晃参議院議員が国会で取り上げ、直ちに国保証を交付すること、そして同時に資格証発行の実態調査をするよう厚労省に強く求め、今年9月に厚労省は調査を実施、その結果が今回の発表です。
 また厚労省は調査を公表した同日、各保険者に「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点」として「子どものいる世帯については、よりきめ細かな配慮をすること」とし、@文書だけではなく電話催促や個別訪問し、生活保護や多重債務問題の相談窓口の周知、A養育問題がある場合などは児童福祉担当と連携する、B医療が必要な場合で保険料が払えないと申し出があった場合、「特別な事由」として短期証を発行する等とを通知しています。
 豊島区では9月15日現在、資格証交付世帯数は3002世帯、そのうち中学生以下の子どものいる世帯は39世帯、52人の子どもが無保険になっています。
 さて、区は昨年の6月の議会で、同年10月から始まった中学生までの医療費助成制度拡充に対応して、「子どもの保健の向上を図り、子育て支援を推進するため」「子どもの医療費助成制度」の対象で資格証を交付されている世帯には、6ヵ月間の短期証を世帯構成員全員にまず交付し、6ヵ月後に納付相談等事情を聴き、分納を含め個々に対応すると報告し、確認されています。
 ところが、去る11月11日に開かれた国民健康保険運営協議会で、わが党の河野議員が資格証問題について、特に「無保険」の子どもには無条件で直ちに国保証を発行するよう強く質しましたが、理事者は「区に相談に来るよう文書を出す」との答弁を繰り返すのみでした。そこで11月14日に行った区長への緊急要望の申し入れで、改めて「直ちに保険証を交付するよう」区長に求めました。席上副区長は「保険証を発行するよう指示している」と答弁しましたが国保課では「豊島区国保課国保収納整理係からのお知らせ」を出すとしています。このお知らせは、保険料を払えない「特別な事情」を裏付ける資料の提出を求め、特別の事情に該当しなければ資格証を発行するとし、しかも子どもがいる場合「必ず来庁して『届出書』を提出する」としています。結局「来なければ保険証は出さない」と言っているのと同じです。一体議会での報告はなんだったのか、こんな行政運営がなされているということは議会に嘘をついていたことになるのではありませんか。
 さらに心身の成長期にある子どもから保険証を取り上げるなどとは言語道断であり、保険者としての区の責任は重大です。そこで質問します。無保険となっている子どもたちに資格証、短期証ではなく国民健康保険証を直ちに交付すべきです。答弁をお願いします。
 次に、今述べてきたことに関連して資格証について質問します。
 豊島区では国保加入世帯数は9月15日現在で59628世帯、資格証交付世帯数は3002世帯です。今年3月現在での短期保険者数は昨年の2倍以上の7490件、差押え件数は2年間で1.7倍に増えています。ところが、保険料減免は6件のみ。
 加入者の平均所得額は125万円で、所得のない世帯は40%を超え、均等割りのみ世帯は35%となっています。しかし毎年保険料を引き上げ、さらに均等割りまで引き上げ、今年の一人当たり平均保険料は86996円、一世帯当たり12万8753円にもなっています。社会保険制度ですから保険料を払うのは当然です。しかし長期不況やリストラ、非正規雇用の広がりなどでかつてなく暮らしが困窮しているなか、「高すぎる保険料」は、払いたくても払えない世帯を増やしているのです。保険制度存続のため資格証の発行はやむを得ないと声高に言う人がいますが、資格証こそが「だれでも、どこでも保険証1枚で医療が受けられる」という、本来の国民皆保険制度の空洞化を進行させているのです。
 そもそも資格証問題が起きている最大の原因は、国保財政ひっ迫を理由に、毎年のように引き上げてきた「高すぎる保険料」であり、また97年に国保法を改悪し区市町村に対し、資格証の発行を義務化したことにあります。財政ひっ迫の原因は、07年度の国庫負担が22.06%まで削減されたように、政府が医療費抑制策で国庫負担を削減し続けていることにあります。区民にのみ負担を強いるのではなく国に国庫負担の増額を求めることこそすぐやるべきではないでしょうか。
 そこで質問します。区民の暮らしが困窮しているなか、来年度の保険料は値上げすべきではありません。答弁を求めます。
 さて豊島区の資格証の発行数は23区で板橋区、練馬区に次いで3番目です。しかし両区とも国保世帯数は10万世帯を超えており、本区と規模が近い港区では798世帯、目黒区は254世帯、新宿区は137世帯、品川区は94世帯となっており他区と比較してもダントツの発行数です。
 23区は統一の保険制度です。保険料も、医療費も同じです。保険証の交付も同じようにできるはずです。ではなぜ豊島区はこんなに資格証の発行数が多いのでしょうか。
 他区では、滞納者を訪問し区民の生活実態を把握して、とりあえず短期証を発行し生活改善にとりくむなど、極力資格証を発行しないために多くの努力をしています。ところが豊島区では、資格証を発行する前の「滞納者との接触を図る取り組み」は「豊島区国保課国保収納整理係からのお知らせ」の発行のみです。ここに区長の区民に対する姿勢が表れているのではないでしょうか。そこで質問します。区民の生活実態を把握する努力を人手を増やしてでも国保課で実施すべきです。資格証の発行は直ちにやめるべきです。答弁を求めます。
 国保問題の最後の質問は11月14日に区長に緊急申し入れを行った子ども医療費助成制度の拡充についてです。本区では粘り強い区民の要求とともに、わが党は議会において機会あるごとに子どもの医療費無料化実現に取り組んできました。そして昨年10月から中学生の入院、通院の医療費助成まで拡大し、その結果、対象数はそれまでの年間約1万人から、この一年間で2万1千人を超え、子育て世代にとって貴重な制度となっています。しかし就学児からの入院時の食事代の助成はありません。現在23区中すでに12の区が入院時食事療養負担分を助成しています。本区での昨年10月から今年9月まで一年間の子どもの入院日数は延べ2800日となっており、これを基に出した食事負担額の概算は218万円、助成総額の0.3%とわずかな金額です。この間区は、「お金の問題ではない。元気でも食事はとっている。入院しても自己負担は当然」と言っていますが、このような考え方はまちがっています。小中学生が入院するほどの病気になった時、食事は治療の一環であります。子どもの入院時の食事療養負担分の助成を直ちに実施すべきです。答弁をお願いします。

 第二は高齢者の医療についてです。
 はじめに後期高齢者医療制度についてです。
 後期高齢者医療制度は、導入後7か月たった今も、次々と問題点が噴出し、廃止を求める声は日に日に大きくなっており、今年10月末現在で廃止等を求める意見書を決議した地方議会は659議会になっています。
 制度が始まる前から批判が続出し見直しがおこなわれ、この間、国や都では保険料の軽減措置、年金天引きから普通徴収への変更など次々と制度の部分的な変更が行われてきました。しかし高齢者から「わからない」「保険料が高い」などの大きな不満の声が上がり続け、担当職員も修正と区民の対応に追われ続け、今でも一日平均40人近くの相談者が来庁しています。  
 豊島区では11月27日現在23839人が後期高齢者医療制度に加入しています。4月平均の保険料は91100円、その後特別の軽減対策後でも平均保険料は87318円となっています。都広域連合では引き続き軽減策を実施するとし、さらに国は軽減措置を若干拡充して来年度も実施するとしています。しかし高すぎます。現在でも多くの高齢者が「高すぎる」と悲鳴を上げており、この7月から10月の4ヶ月間で未納がある人は2722人。区は未納のお知らせ通知を郵送するとしていますが、このまま制度が進み政令通りの金額になったらさらに高い保険料となり、無保険者が出ることは必至です。先日都広域連合議会が開かれ、保険料減額は19名のみでしかしそのうち8名が収入減が事由となっていることが、わが党委員の質問で明らかになりました。本区では減額はゼロ、分納者は3名となっています。  
 また現在普通徴収は13073人と年金天引き者10920人を上回っています。これは年金天引きとした強制的な徴収方法に高齢者からの批判が集中し一定の条件を満たせば普通徴収への移行を認めたことと、さらに保険料の変更などが特別徴収では簡単にできないなど、保険者側の理由で普通徴収に移行した人がいるためです。このような中で、与党プロジェクトは来年度から一切の制限を設けず本人の希望があれば普通徴収が可能となる方向を打ち出しています。始まる前にも始まってからも見直しをやって、それでも高齢者の怒りがおさまらないのでまた見直し。もう小手先の見直しで解決するようなものではありません。廃止しかありません。そもそも後期高齢者医療制度は高すぎる保険料、年齢で医療給付を差別するなど本当に悪法であります。
 そこで質問します。高齢者の医療を守るため、国に対しきっぱりと廃止を求めるべきです。答弁を求めます。
 高齢者医療の2つ目の質問は65歳から74歳の保険料の年金天引きについてです。
 区は65歳から74歳の国民健康保険険料の年金天引きを、来年の10月から実施するとし準備をすすめています。対象は4000世帯です。先ほども述べた通り、後期高齢者医療制度では、保険料の年金天引きは多くの問題があり普通徴収を認める見直しを進めています。問題点が多くある年金天引きは直ちに準備を中止し、止めるべきです。答弁ください。
 高齢者医療の最後の質問は緊急要望で行ったインフルエンザの予防接種の無料化についてです。インフルエンザは症状が重く、感染力が強いので注意が必要で、特に高齢者は肺炎を合併することが多く死に至ることもあります。区は65歳以上と一定の疾患のある60歳以上の区民にインフルエンザの予防接種を進め補助制度を実施していますが自己負担2200円かかります。この間の65歳以上の接種率はほぼ5割です。高齢者は、収入が減る中で負担が増え大変です。これからインフルエンザの流行期、インフルエンザの予防接種は区全体の感染防止にもつながります。そこでわが党は今すぐ実施すべき事として高齢者のインフルエンザの予防接種の無料化を緊急要望しました。なぜ無料にしないのでしょうか。改めてインフルエンザの予防接種の無料化を直ちに実施することを求めます。答弁ください。

 第三の質問は生活保護受給者の健診についてです。 
 2006年の医療改悪で健診も特定健診、後期高齢者健診が導入され内容がかわり、また費用負担も保険財政と区の一般財政に大きな影響を及ぼすものとなりました。わが党は健診は病気の予防のため重視すべきという立場から、「少なくとも従来の健診内容を下げてはならない」、また生活保護を受けている人も等しく健診が受けられるよう求めてきました。結果、区独自検査項目が導入され国基準からみれば一定の前進があります。しかし後期高齢者健診では心電図が2年ごとになり眼底検査も無く、高齢者からは不安の声があがっています。また生活保護の方は、保険制度の一環で行われる特定健診、後期高齢者健診は受けられません。そこで主に生活保護受給者を対象としたのが生活習慣病予防健診です。この健診は30歳、35歳になる区民と40歳以上の生活保護受給者を対象とし、4月から来年3月までほぼ月2日間の指定日に保健所で受診するもので、11月5日現在、40歳以上の人は146人、この内60歳以上では111人が受診しています。区は受診者全員に栄養指導、保健指導を実施していますが、胸部レントゲン以外の心電図、眼底検査等はのぞかれ、また最寄りの医療機関では受けられない、訪問健診も無いため、高齢者からは戸惑いの声も聞かれています。特に保健所までは行かれない人、在宅で介護を受けている人は健診を受けられないという状況がうまれています。そこで質問します。従来の健診のように最寄りの医療機関で受診できるようにすべきです。また訪問健診ができるよう体制の確保の実施を求めます。答弁をお願いします。

 第四は都立大塚病院における周産期医療と障害者・児医療についてです。
 10月4日都内で脳内出血を起こした36歳の妊婦さんが8つの病院に拒否され亡くなるという痛ましい事件が起きました。多くのマスコミが、全国の病院の産婦人科医は日勤、夜勤、日勤という32時間労働を強いられている実態を取り上げ報道しています。都立墨東病院でも産科の医師不足のため32時間勤務は普通で、通常分娩と土日、祝日の救急受け入れは休止しています。
 豊島区では昨年度の母子保健手帳の交付は2,000人を超えています。区内の産婦人科標榜の医療機関は29か所で、入院できるところは都立大塚病院の40床と3診療所の29床、合わせて69床です。現在、都立大塚病院は「地域周産期母子医療センター」として地域の産科との連携もとられ、区内で普通分娩ができる病院の役割をはたしています。また全国的に産婦人科の病院が激減している中で広域の利用者も多く40床のベッド稼働率は120%を超えています。
 都は今回の経過で新たに都立大塚病院を「総合周産期母子医療センター」に指定し、6床の緊急用ベッドを設置することを2009年度中に決定するとしています。決定されれば都内10か所目の施設となります。
 都の「総合周産期母子医療センター」設置の方向は、周産期の緊急対応の拡充として歓迎されることです。また「地域周産期母子医療センター」の機能も継続されるので区民としても喜ばしいことです。しかし都立墨東病院のように地域周産の普通分娩ができなくなるのではとの不安があります。
 そこで質問します。区民が安心してお産ができるよう、今でも不足している医師不足の解消は喫緊の課題です。「総合周産期母子医療センター」設置に関しては、その機能、役割を果たせるよう、また現在の「地域の産婦人科病院」としての役割を引き続き担えるよう、医師、看護師等の大幅な増員と施設設備の拡充について特段の配慮を求めるべきです。都に強くはたらきかけるよう求めます。答弁をお願いします。
 都立大塚病院に関してもう一つの質問です。
 東京都は都立梅ヶ丘病院と都立清瀬小児病院、八王子小児病院を統合し2009年度中に府中に小児総合医療センターをつくるという計画をすすめています。その中で都立大塚病院に小児精神科外来を設置するとし、来年10月開設を目指し現在工事中です。小児精神の外来は15歳までとし、デイケアもおこなわれるとしています。
 障害児を育てている保護者の方々にとって専門の医療機関はなくてはならないものです。都立大塚病院に小児の精神科外来が開設されることは、豊島区民にとっても大きな喜びであります。わが党都議団は都立梅ヶ丘病院、都立大塚病院、(仮称)小児総合医療センターの3つの小児専門の拠点整備を提案しています。
 さて区内に住む30代のAさんは知的障害者です。小さい時から梅ヶ丘病院に通ってきました。今回都立大塚病院に小児精神の外来が開設されると聞き、親御さんは、ぜひ外来受診をと望んでいます。しかし15歳までと聞き、「もし都立梅ヶ丘病院が無くなったら大きい子どもを連れて府中までは通えない」と必死に訴えています。都立病院の統廃合計画に翻弄される障害者、児を持つ親は必死で、身近な地域で、継続して医療と療育を受けるようにすることは重要です。そこで質問します。都立大塚病院でも小児精神医療だけではなく、青年の精神医療が行えるよう態勢の拡充を含め、東京都に求めてください。答弁をお願いします。


 第五の質問は渋谷・池袋間の都バスの増便を早急に都に要求することについてです。
 今年6月14日副都心線が開業し、東京都は「渋谷・池袋間の都バス(池86)路線の乗客は6割が副都心線に移行する」として5割減便しました。その結果日中は15分から18分、夕方以降は20分以上待たされるようになり、渋谷行きの始発の池袋停留所では、毎回長い行列ができ、高齢者や障害者は座席に座れないため、さらに次のバスを待つ状態です。減便されてから5カ月たった今でも、多くの利用者から不満の声があがっています。
 渋谷・池袋間の都バスは5つの停留所がありますが、雑司が谷、目白、高田地域の住民の利用は大変高いものとなっています。日中は地域の高齢者などを中心に、朝と夕方は学生、ОLやサラリーマン、保育園通いの親子などが利用しています。ある高齢者の方は「ひと駅だけどバスがあるからスーパーに行ける」といっています。バスは大変身近で、高齢者にとっては外に出る、まさに足となっています。
 昨年、区民から2回にわたって区議会に、副都心線が開通してもバスは今まで通りに走らせてほしい、都に要望してと陳情が出されました。わが党は採択を主張しましたが、与党の皆さんは継続にしてしまい、都に意見書すら出すことができませんでした。継続にした議会の責任は重大です。
 少なくとも、新線が開通する場合、開通後一定の期間、状況を見て、削減等の検討をすべきです。それを一方的に削減した都のやり方は許せません。今、高田地域の町会長さん達は連名で署名に取り組んでいます。先日のタウンミーティングでも第五地区の区政連委員長や町会長さんから増便の要望がだされてい通りです。公共交通の確保は区の重要な責務です。区長として増便するよう東京都に強くはたらききかけることを求めます。答弁ください。

 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。