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区議会質問
 

平成20年 第3回定例会(9月20日) 森とおる議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して「『住まい』は、区民のくらしの基盤」と題し、次の3点について一般質問を行います。
 第1に「真に必要な住宅対策に取りくむこと」について
 第2に「都立大塚病院を都直営のまま存続すること」について
 第3に「地上デジタル放送対応策」についてです。
 区長の明快な答弁を求めます。

 第1の質問、「真に必要な住宅対策に取りくむこと」についてです。
 失業・雇用不安、低賃金、物価高、増税等、国民のくらしの条件が、ますます悪化しています。昨日の一般質問で、わが党の渡辺議員が述べたように、政府の構造改革による庶民負担増の影響が表れています。完全失業率は、常に4%前後と高止まりしたままであり、実質消費支出は、昨年と比べてもマイナス傾向が続きます。とりわけ今年に入ってから、家計に重くのしかかっているのが、原油の高騰、食品の値上げです。先般、日銀が発表した「生活意識調査」では、物価上昇を92%の国民が実感しており、しかも1年前に比べて10%もの物価高を感じると答えています。ワーキングプアの増大などによる低収入、税金・保険料の負担増、物価高による家計へのシワ寄せが重なり、これらが三重苦となって、くらしを苦しめているのです。
 家計の中で、大きな割合を占めているものの一つが住宅費です。住宅は、豊かで文化的な生活を支える基盤となるものです。特に豊島区は借家の割合が多く、家賃が高いために、食費等の生活費を切りつめて、なんとか耐え忍んでいる区民が増えています。子育て世帯では、夫婦で一生懸命働いても、保育料や子育て費用、高い家賃等の出費がかさみ、将来のための貯蓄どころか、月々のくらしが大変で、何のために働いているのか分からないといった声が、あちこちで聞かれます。また、わずかな年金でくらしている高齢者も、相つぐ増税や負担増の影響で、条件の悪いアパートで我慢を強いられていたり、家賃を払ったら生活費がほとんど残らずに、冷暖房費どころか、お医者さんにかかる費用まで我慢して、節約したりするなど、大変深刻な状況です。そして最近、特に急増しているのが、20代の若者からの相談です。「身体を壊し、仕事を首になった為、寮を追い出されてしまった」「日雇いで仕事をしているが、毎日は仕事にありつけないのでホームレス状態」などです。いま、小林多喜二が79年前に書いた小説「蟹工船」がブームになっています。奴隷的な労働を強いる社会的仕組みに苦しむ、労働者の苦難が描かれ、それが今日、派遣労働に象徴される奴隷的な労働が新たな形で復活するもとで、困難を乗り越えて連帯して立ち上がることを励ましている姿が、若者を中心に受け入れられているのです。区は、これらの実態を直視し、住宅さえ確保できれば、生活再建に見通しが立つ区民に、手を差し伸べることが大切なことです。以下順次、質問していきます。

 住宅対策の1つめは「公共住宅の供給」についてです。
 区の関与する住宅のうち居住水準を満たし、比較的家賃の安い区営住宅、都営住宅や福祉住宅は絶対数が不足しているために空きが無く、応募倍率は大変高い状態が恒常化しています。私に区民から寄せられる相談の中には、「安い住宅さえ見つけることができれば問題は解決する」というものが大変多いのです。
 まず、公共住宅の供給の中で、区営住宅についてです。2004年に策定された豊島区住宅マスタープランでは、区営住宅の供給については、「新たな土地取得は行わないが、建替えや公有地の活用、都営住宅の移管を基本として推進する」として、「老朽化した区営住宅の建替えで戸数の増加を図り、学校跡地等の公有地を活用して建設する」と述べられています。都営住宅の区への移管については、建替えに伴い戸数を増やさない限り、増加したことにはなりません。供給促進と言うならば、新たに建設する以外ありません。住宅マスタープランの住宅供給促進計画をみると、「本プランでは、計画期間10か年を前期5年と後期5年に分け、当面、2004年度から2008年度までの前期5年についての事業量を明らかにする」として、「後期5年の事業量については、人口・世帯や住宅事情の変化、財政状況、地方分権の進展、法制度の動向等の社会経済状況、そして前期5年の進捗状況を踏まえ、前期5年が終了する時点で改めて検討し、設定する」とされております。区営住宅については、80戸を増設する計画となっていました。しかし、この5年間、区営住宅については、都からの移管もなければ、全く増設はありませんでした。
 そこで質問します。区が自ら立てた供給計画、すなわち区民に公約した80戸の増設について、1戸も増設しなかった責任について答弁を求めます。区財政が好転したというなら、区民に約束したとおり、ただちに建設に着手すべきではありませんか。また、マスタープランの後期5年については、約束した80戸の早期建設はもちろんのこと、需要に見合った計画を立てるべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に都営巣鴨母子アパートについてです。
 南大塚二丁目の都営巣鴨母子アパートの住民は、新しくできた都営住宅に転居が完了し、解体作業が始まりました。都は、この土地の利用については未定としており、何ら方針を示さず事実上放置された状態です。区においては、住宅マスタープランで、「区が建替えを実施する『建替時都営住宅移管制度』を活用し、新たな区営住宅として整備する」としておきながら、この計画を実行しようとはしません。都も区も、その無責任な態度は重大問題です。
 そこで質問します。ただちに土地を都から区に移管させ、約束どおり区営住宅として整備すべきですがいかがでしょうか。答弁を求めます。

 続いて、公共住宅の供給の中で福祉住宅についてです。
 福祉住宅は、所得の低い高齢者、障害者、ひとり親家庭にとって、重要な住宅のひとつです。区は一時期、福祉住宅の建設に力を入れてきました。住宅マスタープランでは、福祉住宅の供給については、「現在の事業規模を維持することを基本」としつつも、「区営住宅の建替えや公有地を活用した区民住宅など、他の住宅に併設するかたちで供給を図る」とされております。前期5年の計画は、わずか20戸増設です。けっして需要に見合った供給量とは言えませんが、全く増設してきませんでした。区長の責任は、これまた重大です。
 そこで質問します。福祉住宅についても、区営住宅同様、ただちに建設し大幅に増設すべきです。答弁を求めます。

 公共住宅の供給の最後は、都営住宅についてです。
 石原知事は、就任して10年目を迎えておりますが、就任以来、新規の都営住宅建設を、いっさいやめてしまいました。その結果、募集倍率は数十倍にも膨れ上がり、入居申し込みをしても当選するケースは、ごくまれという事態です。石原知事による都政は、都民のくらしそっちのけで浪費を重ね、厳しい批判の声があがっているトップダウン事業により大きなひずみを生じています。2016年オリンピック招致をテコに狙っている三環状道路など、総事業費9兆円もの大型開発や、築地市場の豊洲移転計画、新銀行東京の無駄遣い。これらを、くらし優先に転換すれば、新規都営住宅建設は十分可能です。住宅に困っている方が、入居できるよう、都営住宅を思い切って増やすことが必要です。昨年の第4回定例会で、わが党小林議員の一般質問において、区長は、「都の住宅政策審議会の委員であり、審議会で発言していきたいと考えている」と答弁しました。
 そこで質問します。区長は、この審議会において、都営住宅の増設について、どういう立場で発言をしてきたのでしょうか。昨年、特別区議会議長会は、「公営住宅への入居希望者は依然として多い」として、「公営住宅の建設促進を図られたい」という要望書を、知事に提出しました。豊島区の実情を踏まえ、区民の代表として、都営住宅の増設を、都に強力に働きかけるべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 住宅対策の2つめは「家賃補助事業」についてです。
 家賃の負担軽減策も切実な区民の願いです。区内では、世帯類型別にみると単身世帯が、数も増加率も群を抜いて高くなっています。夫婦のみの世帯は、数は多くありませんが、増加しています。ところが、夫婦と子どもの世帯などファミリー世帯が減少しており、家賃の高い豊島区では、子どもを産み、育てにくい状況が顕著です。区の施策にファミリー世帯住み替え家賃助成事業がありますが、区は財政難を理由に、2000年度以降、新規受付は休止しており、ファミリー世帯を応援する家賃支援策の拡充は、喫緊の課題です。
 そこで質問します。区長はこの間、わが党の質問に対し、子育て世帯への家賃支援策を検討すると答えていますが、いまだに実施時期や具体的な中身を明らかにしません。ただちに検討内容を明らかにし、実施すべきですが、いかがでしょうか。また、ファミリー世帯住み替え家賃助成事業については、見直しを行い、内容をさらに充実し、ただちに募集を再開すべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に高齢者等住み替え家賃助成についてです。
 この制度は、民間の賃貸住宅に居住している高齢者や、障害者、ひとり親家庭が、取り壊しにより、転居を求められている場合に、転居後の家賃の一部を助成するものであり、この制度があって助かったという方は、大変多いのです。ところが区は、都が補助を打ち切ったことを理由に、助成期間が定められていなかったのに、一方的に期間を設け、期間が過ぎれば、助成を打ち切りました。家計の三重苦が、特に影響している高齢者や障害者の住宅を奪う行為であり、いかなる理由があろうと許されるものではありません。
 そこで質問します。財政が好転したいま、補助額、補助期間、共に元に戻すべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 住宅対策の3つめは「安心住まい提供事業」についてです。
 高齢者、障害者、ひとり親家庭が、建物の取り壊し等による、立ち退きを迫られるなど、住宅の確保に緊急を要する区民に、区が借りている民間のアパートを提供する仕組みで、公営住宅、福祉住宅とともに、まさに住宅の命綱と言える、なくてはならない制度です。この安心住まい提供事業も、総数の不足、そして2人以上で住むためのファミリー向けの部屋が少ないこと、そして何より、申し込みできる基準が、立ち退き等に限定されていることで、なかなか入居することができません。区内には、わずかな年金などの収入や、貯金を取り崩しながら、足腰が徐々に衰えつつ、2階以上の階段を昇り降りしなければならない方、老朽化した建物で、風呂なし共同トイレといった悪条件のところに住まざるをえない方など、こういった区民が大勢いるのです。
 そこで質問します。区内の民間住宅の空き家の数は多く、2003年の資料では、賃貸用、売却用の空き家率は、住宅総数の約1割、16,000軒にのぼります。こういった空き家を区民のために活用し、安心住まい提供事業を、さらに増やすべきですが、いかがでしょうか。そして、立ち退きを迫られていなくても、客観的に見て建物が老朽化していることや、バリアフリーが必要な方も入居できるようにするなど、条件を緩和すべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 住宅対策の最後は「豊島区住宅マスタープラン」についてです。
 先ほども述べたとおり、現行の住宅マスタープランは、計画期間が10か年です。今年度で前期5年が終了するため、後期5年が始まる前の時点、すなわち今年度に、事業量を改めて検討し設定することとされていました。その一方で、2006年6月、国が住生活基本法を制定し、これを元に2007年3月、都は、東京都住宅マスタープランを作成しました。これは、将来的な人口減少社会の到来が見込まれていることなどを口実に、いまある既存ストックを有効に活用するものとされ、都営住宅の建替えは計画こそありますが、総数そのものを増やすことは盛り込まれず、都民の期待を裏切る中身です。この一連の流れの中で区は現在、新たな住宅マスタープランを作成中です。
 これまで歴代の、区の住宅マスタープランは、区民が納得できる計画量には程遠いとはいえ、住宅供給促進計画があり、公共住宅等の供給や、家賃補助・住宅改善事業の増加が具体的に示されていました。ところが、その低い計画すら達成されることはありませんでした。だからこそ、これまでの反省を踏まえた上で、新しい住宅マスタープランには、達成しなかった分を考慮し、さらに上乗せして、実効性のある中身にしなければなりません。ところが、現在作成中の住宅マスタープランは、国と都の間違った方向に沿った形で、必要不可欠な住宅供給促進計画の掲載すらないまま、作成が進められており、区民の願いに背を向けた内容になっています。これでは、誰のための住宅マスタープランと言えるでしょうか。区民にとって一番肝心かなめの部分が欠落した中身と言わざるを得ません。住宅マスタープランの作成は住宅対策審議会で進められています。私は委員として席上で、住宅供給促進計画の必要性を幾度となく訴えましたが、いまだに盛り込まれようとはしておりません。
 そこで質問します。これまで述べてきたように、きちんとした住宅供給促進が計画されていない以上、マスタープランとは言えません。新たな住宅マスタープランについては、これまで区民に約束した住宅供給を実行するとともに、需要に見合った供給計画を盛り込んだプランとすべきです。答弁を求めます。


 次に、第2の質問「都立大塚病院を都直営のまま存続すること」についてです。
 全国各地で、病院の廃止縮小や医師不足が進み、地域医療の崩壊が、あちこちで深刻な事態となっています。中でも公立病院は赤字が深刻であり、「産婦人科が廃業し、ベッドが足りないため、陣痛が6分間隔になっても自宅で待たされた」「高齢の方が入院しても、2週間で自宅に帰された」「救急車で搬送されても受け入れられない」など、存続さえ危ぶまれている事例が跡を絶ちません。にもかかわらず、昨年12月の総務省の公立病院改革懇談会は、「公立病院改革ガイドライン」をまとめ、経営の効率化、病院機能の再編・ネットワーク化、経営形態の見直しとされるものであり、これでは国民の命と健康を守るという、地域医療体制の充実・確保といった視点が欠落しています。この国の方向性と、まさに一体となっているのが東京都です。石原知事は就任以来、都立病院はいらない、民間にまかせればよいと無責任な態度をとってきました。2001年「都立病院改革マスタープラン」で、都立病院を半減させる統廃合計画を出し、強行してきました。その後、2006年「行財政改革実行プログラム」の中で、「都立病院は、地方独立行政法人化などを視野に入れ、新たな経営形態のあり方を検討する」と発表。これにより病院の公社化、PFI方式の導入、統合廃止を進め、残る病院は、すべて都直営から非公務員型の地方独立行政法人化し、2012年までに実行するとしていました。都は、「患者中心の医療を推進するため」と説明していますが、地方独立行政法人化が実行されることで、予算はさらに削減され、独立採算がいっそう厳しく求められます。すでに国立大学病院においては、地方独立行政法人化が進められておりますが、岐阜大学付属病院などでは、「経営危機が医療の質を直撃し、高度医療も困難になっている」と、警鐘を鳴らしています。大阪府立の5病院は、その年度決算で13億円の黒字計上となりましたが、その中身は、看護師だけで年間200名が退職するなど、実に17億円の人件費削減が行われたことによるものでした。医療の質が下がるばかりではなく、患者負担も増え、紹介状なしの急患の初診料加算や、セカンドオピニオンを、約3倍と大幅に値上げしました。
 都立病院は、社会的弱者といわれる人々も差別することなく、必要な医療が受けられる場です。その機能と財産をなくしてはならない、都立病院は都直営のままで存続してほしいと、住民運動が、それぞれの地域で発足し発展しています。大塚病院がある区内でも、存続の署名活動や、区議会への陳情が取り組まれています。都は、今年1月に、「第二次都立病院改革実行プログラム」を発表。これによると、大塚病院の地方独立行政法人化については、様々な課題があるとして、具体化されませんでしたが、「一般地方独立行政法人が、制度的に最も柔軟な経営形態である」とし、引き続き検討を進めることにしています。いまだに、大塚病院の地方独立行政法人化は、予断を許さない状況ということです。
 私は、昨年の第3回定例会一般質問で、この問題を取り上げました。区長は、「都立病院経営委員会の検討の方向性を注視するとともに、存続については積極的に働きかける」と答弁しました。その後、区は、都から求められた、「保健医療計画第四次改定」のための意見照会で、「都立病院については、その基本的な役割や責務を踏まえ、医療サービスの質の確保と経営基盤の強化策についての方針を明記されたい」と回答しています。地方独立行政法人化などによる民営化は、これまで縷々述べてきたように医療の質の確保は困難であり、低下をきたすのです。
 そこで質問します。多くの区民は、大塚病院の地方独立行政法人化などによる、民営化計画に大変な危機感を持っています。区長として、地方独立行政法人化に断固として反対し、都直営のまま存続するよう先頭に立って働きかけるべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。


 最後に、第3の質問「地上デジタル放送対応策」についてです。
 総務省は、地上デジタル放送に完全移行するのは、2011年7月24日としています。その期限まで、あと3年もありません。この日にアナログ放送を全国一斉に打ち切るために必要とされていること。ひとつは、これまでアナログ放送がカバーしていた、すべての地域にデジタル波を送ること。もうひとつは、全世帯で地デジ対応の受信体制を準備できていることが、前提でなければなりません。豊島区においては、デジタル波は、すでに届いておりますので、受信の体制が焦点になります。地デジ対応テレビは、ずいぶん安くなったと言われておりますが、それでも家電量販店で26型32型は10万円前後。安い小型でも5万円はします。デジタルチューナーでさえ2万円から3万円するのですから、まだまだ当然と言えば当然かもしれません。かかる費用はそれだけではなく、UHFアンテナの設置工事が数万円、テレビの台数に応じて分配機の取り付けが1台につき約2万円かかります。他にも電波を増幅する必要がある場合は、ブースター設置料金がかかります。そして電波塔が、現在の東京タワーから新東京タワーに、移設されるようなことになれば、アンテナの向きを調整する料金までもが必要になります。電波をアンテナで受信するのではなく、別の方法としては、ケーブルテレビに加入することも、ひとつの選択肢です。ケーブルテレビに加入するためには、最初に設置工事料金がかかり、毎月の契約料金が必要になってきます。家計の三重苦が吹き荒れる中、いずれも庶民が容易に、新たに買い揃えられるものではありません。ようやく総務省は、生活保護世帯へ、チューナーに限って現物支給することを発表しました。しかし、生活保護水準にも達しないワーキングプアと呼ばれる世帯は400万とも500万ともいわれています。年収200万円以下の労働者も1,000万人にのぼっています。このまま期限が来たからといって、アナログ放送を一斉に止めてしまっては、都心の豊島区においてさえも、テレビを観ることができなくなる多くの地デジ難民がでることが予想されます。
 また、地デジへの移行は、徐々に浸透しつつありますが、その正確な時期や、わが家のテレビは、どのような対応をすればいいのかわからないといった状況が、まだまだ多いのです。豊島区は、8月5日号の広報としまに「地上デジタル放送のお知らせ」を掲載しましたが、いたって簡単な内容であり、問い合わせ先に、区の窓口はなく、総務省の機関となっていました。
 そこで質問します。地デジ移行まで3年もありません。区としても区民への情報提供や、問い合わせ窓口設置等、責任を持って対応をしなければならない時期にきています。早急に専門の担当部署を開設すべきです。そして地デジ難民がでないように、高齢者や低所得者等への救済策の検討を始めるべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 次に、地デジとテレビ電波の受信障害の関連について質問します。
 区内においても現在、主に高層ビル等の影や乱反射で、これまでテレビ電波の受信障害が多数発生しています。この対策として、電波障害を起こした原因者が原則費用負担し、受信障害対策共同受信施設としてアンテナを設置し、障害を受けた世帯等が、このアンテナを利用して電波を受信しています。サンシャイン60も完成後にアンテナを設置し、東池袋、上池袋、池袋本町、そして板橋区にまで及ぶ、たいへん広い範囲の世帯等が、これを利用しています。総務省が把握している数だけで、同様の共同受信施設は全国で5万か所、670万世帯が利用しているとされています。特に高層ビルが林立する豊島区においては、他の自治体と比較して、その数の多さが想定されます。デジタル波は、アナログ波よりも電波障害が起きにくく、大幅に低減するといわれます。そして、東京タワーから新東京タワーへ移設されるようなことにでもなれば、これまでの電波障害の範囲が、がらりと変わることになります。そこで問題となるのは、共同受信施設を利用している住民自らが、対策を取らなければならなくなることです。また一方で、共同受信施設以外に、ケーブルテレビの設置費用や月々の利用料を、原因者が負担している世帯も28,000世帯を超えています。こちらの場合も、住民自身に利用料の負担が移ることになります。すでにサンシャインシティは、アナログ波が停止される条件に伴い、その後は、共同受信施設を撤去する動きを始めているようですが、その他の共同受信施設の今後の動向についても大変気がかりです。
 そこで質問します。区内に受信障害対策共同受信施設として、アンテナがどれだけあるのか、そのアンテナを利用している世帯等がどれだけあるのか、ただちに調査し、把握する必要があると思います。それに伴い、電波障害対策を利用している方々への救済策が必要になってくると考えますが、いかがでしょうか。また、地デジにおいても、高層ビル等の影響で電波障害が発生し、アンテナ設置できないといった事例が既に出ています。この場合、区は原因者に対策を講じるよう、少なくともこれまで同様に指導を行うべきであり、地デジの特殊性である複合電波障害により、原因者が特定できない場合も想定した対応策についても、新たに構築する必要性があると考えますが、いかがでしょうか。合わせて答弁を求めます。

 地デジ対応策の最後の質問です。
 区内にはマンションが大変多く、改修工事のための積立準備金だけでも、重い負担となっています。そこへきて、さらに地デジ対応工事が数百万円と見積もりが出て、住民の意見が、まとまらないといったケースも発生しています。これまで述べてきましたように、このまま2011年7月24日を迎えると、地デジ難民が区内に多数出てくることが、想定されます。このような事態は、何としても回避しなければなりません。これから十分に時間があれば、家電メーカーによる地デジ対応製品の開発が進み、安いテレビやチューナーが出てくるでしょう。また低所得者への対応策を構築する為にも財源の問題等、じっくりと時間をかける必要性があります。十分な対応策を待った上で地デジに移行するには3年間だけでは、あまりにも短すぎます。
 そこで質問します。地デジ化を日本同様に進める他国では、低所得者や高齢者等への補助事業を充実させています。またアメリカでは、地デジ完全移行を2006年に計画していましたが、延期して未だに実施していません。日本においても地デジ化は、慎重に進めなければなりません。区としては、総務省の推移を、ただ静観しているだけでは手遅れになりかねません。責任を持って国に対し、低所得者対策等の補助金増額を要請すべきです。そして、区内で地デジ難民を出さないために、完全移行を延期させ、十分な対応策を構築したうえで地デジに移行するよう申し入れを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

 以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。