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区議会質問
 

平成20年 第2回定例会(7月1日) 小林ひろみ議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「行政主導の民間大型開発をやめ、くらし・福祉優先の住み続けられる豊島区に」と題し次の3点について一般質問を行います。

1、区長の独断専行的な区政運営を正す
2、新区庁舎建設について
3、安心して介護をうけられるように
 です。

 最初に区長の独断専行的な区政運営についてです。
 
 5月15日、16日の副都心開発調査特別委員会において、「新庁舎整備の検討のまとめ−整備方針(案)−」と「都市再生緊急整備地域について」、説明され質疑が行われました。
 また、15日には、「環境モデル都市」応募についての説明会なるものが開かれました。
 6月10日、区長は記者会見をし「池袋副都心・グランドビジョン2008」(未来計画)を発表しました。

 新事業が次々と発表されています。
 新庁舎整備のまとめ(案)においては、旧日出小地区案として、9階までの中低層階が区庁舎で、その上に分譲マンションが建つ、という案が出てきました。素案では庁舎とマンションは別々の建物で、アトリウムでつなげるというものでしたから、まるっきり変わってしまったのです。
 
 環境モデル都市提案では、「LRT」と「清掃工場の廃熱利用システムの構築、都市型生ゴミ発電施設の整備」が大きな柱です。特に、LRTは新たに東口回遊線、西口回遊線、雑司が谷回遊線の三ルートとなり、「まず、池袋東地区での実現」と記載され、また架線のないタイプの車両を使うことになっています。4月にできた豊島区の「未来戦略推進プラン2008」に記載のあるものは11事業で、一部修正して記載されたものが4事業、そして12事業はプラン2008には掲載されていなかったものとなっているのです。
 
 グランドビジョンについては、議会には27日の所信表明ではじめて正式に発表されましたが、すでに10日に記者会見、25日付の広報で区民には周知済みです。
 池袋副都心における都市づくり戦略の総称を「池袋副都心・グランドビジョン」として新たにスタートさせる、文化にくわえ、「人と環境への優しさ」をコンセプトとすることで、都心部や新宿、渋谷に真似のできない、個性ある都市づくりに挑戦する、としています。新ルネサンス構想や環境モデル都市の提案などで出された16のリーディング開発なるものが記載され、中には旧日出小跡地での「新庁舎整備」と「現庁舎地の跡地活用と周辺整備」と決まったかのように出ています。

 まず、このような壮大な計画が、議会での十分な議論もなく、事実上の行政計画、既成事実としてすすんでいくことについて伺います。

 08年第一回定例区議会では、予算案と「未来戦略推進プラン2008」(案)が示され、審議されました。「プラン2008」の中には、「新ルネサンス構想」として、池袋駅周辺についての大型開発が打ち出されていました。新庁舎整備による副都心の再生(南池袋二丁目地区市街地再開発事業と現庁舎地区周辺まちづくり方針の検討)、造幣局東京支局用地の活用と周辺地区の街づくりの誘導、池袋駅東西デッキ、東池袋四丁目地区市街地再開発事業、LRTなど大型開発がふくまれており、わが党は一般質問や予算の反対討論で、問題点を指摘し反対してきました。しかし、自民、公明、民主・区民の賛成で予算は成立したのであります。
 「プラン2008」は、豊島区基本計画の実施計画、都市経営の戦略、行政経営の戦略、の3つの性格をあわせもつ計画とされています。これは議会にしめされ、今後四年の予算の見通しについても含め、議会を通過したものです。それが、わずか一ヶ月半でひっくりかえってしまったのです。
 
 環境モデル都市の提案では、その視点として温室効果ガスの大幅削減や先進性とともに、実現可能性が求められています。それでは実際に全部やったらいくらかかるのか質問しても「計算していない」という無責任なものです。それでも区長は、モデル都市に選ばれないとしても実施していく必要がある、といったのです。
 この詳細の検討は連休明けに始まったそうですが、5月15日には議会に「説明」できるほどに具体化し、21日の締め切りに間に合わせたのです。妊婦健診助成の14回への拡充については、議会には2月に表明したにもかかわらず、正式な区の発表は、7月になって補正予算が成立してから、などとしているのとは雲泥の差であります。
 職員にとっては、困っている区民の福祉向上のために働くならともかく、区長の夢のために働かされては、やる気もおきないし、ミスも増えるのではと思います。
 区長のLRTを実現したい、「環境」を目玉として大型開発をしたい、という「想い」が、いつ豊島区が取り組むべき「行政計画」になったのでしょうか、あきらかに区長の権限を逸脱しています。区政の私物化ではありませんか。
 グランドビジョン2008については、区長は東京商工会議所豊島支部、豊島区商店街連合会、千島区町会連合会など21団体、26人の方ととともに記者会見までして、それをとしまテレビが特集するなど大騒ぎです。また先ほどものべたように、6月25日号の広報としまにも掲載されました。「今後、区議会や関係機関などに説明したうえで具体化を諮っていくものが含まれている」と書いてあり、つまりは「説明したら実施する」ということで、既成事実として進んでいきます。
 日本共産党区議団として副区長に申し入れましたが、議会で正式に説明もされていないことを、広報にのせて決定事項のように扱うことはやめるべきです。
 
 そこで質問します。
 実施計画である「未来戦略推進プラン2008」の中の新ルネサンス構想でさえ、多くの区民にとっては「寝耳に水」の話であり、また本当に必要なのか、批判の多い内容です。さらに、新庁舎の上に分譲マンションがつくられるとか、LRTの東口回遊線を含む3ルートや、清掃工場の廃熱利用とか、「グランドビジョン」とか、議員にとっても「寝耳に水」の話が次々とでております。
 石原都知事が「公約だ」として独断専行的に作った新銀行東京は、1000億円もの赤字をつくり、行き詰まっています。区長もこのような議会無視、区民無視のやり方をつづけるなら、区政に大きな損害を与えかねません。
 予算審議など議会での議論を無視し、区民にまつたく説明しない、このような独断専行的なやり方を改めるべきです。区長の答弁を求めます。


 第2に、新区庁舎建設について、質問します。
 まず、進め方についてです。
 今度の「案」では、区財政は回復のきざしがみえてきたが、先行き不透明な経済状況の中では、楽観できないので、「区有財産を有効活用し、極力財政負担の少ない方法で新庁舎を建設する」と言っています。確かに建物は、古くなれば改築は必要でしょうが、本当にお金がないのであれば、あわてて庁舎を新築する必要はないと考えます。庁舎の使い勝手が悪い、防災拠点機能が不安、維持管理経費がかかる、といいますが、多くの区民にとっては年に一度か二度程度しかいかない庁舎が立派にならなくても、福祉サービスが十分なされ、区民集会室など身近な施設の使い勝手がよくなるほうがありがたいのです。防災といいますが、阪神淡路や中越沖地震を想定するなら、司令塔となる区庁舎整備よりも、一般の住宅にすんでいる人たちが家屋倒壊で下敷きにならないように、個人住宅の耐震補強工事を急いですすめることが必要ではないでしょうか。
 先日、NHKで「都会の限界集落」として豊島区池袋、池袋本町が取り上げられていました。高齢になって知り合いがなくなったり転居したり、また、近所の商店街もなくなりバスでデパートに買い物に行くので不便、結局埼玉の子どものところに同居することにしたとか、孤独死が相次いでいる状況など、本当に深刻な事態です。この間「金がない」「金がない」といって、豊島区は、福祉電話を削り、ことぶきの家でおこなっていた高齢者への電話での安否確認事業もなくしました。生活保護の風呂券を削減、高齢者のおむつ代や障害者タクシー券削減、各種団体への補助金の削減、民間委託や民営化、さらには児童館やことぶきの家を廃止し区民ひろばにし、職員を減らしてきました。豊島区内は家賃が高く「安い家賃の住宅さえあればなんとかくらせる。住み続けられるのに」という要望は大変強いのに、福祉住宅、高齢者住宅は池袋本町二丁目の区営住宅のたてかえで、わずかに増える程度で、基本的にはつくらないできました。特養ホームも増設していません。
 一方で、新庁舎整備(案)については、これまで「旧日出小地区案」と「現庁舎地区案」の「二案ある」といっていたのに、すでに旧日出小地区案を優先すると明言、ドンドン進んでいます。
 06年に整備方針(素案)の区民説明会がおこなわれ、パブリックコメントもやりました。その際たとえば、庁舎の位置については、「現庁舎地区がよい」「旧日出小地区がよい」「旧日出小地区に移転することに反対」「現庁舎地区や旧日出小地区以外の場所」との意見が出ており、区は「区民の皆様からいただいた今回のご意見を踏まえ、今後も検討の段階毎に状況をおしめしし、ご意見を聞いていきたいと考えています」としていましたが、これらの意見が一体どのように、反映されたのでしょう。
 また、区民説明会で、区民から「もう旧日出小地区案できまったのか」と質問がでると、区は「議会で3分の2以上の賛成で庁舎の位置を決める条例を可決したときにきまる」などとこたえておりますが、これはごまかしです。
 
 そこで、質問します。今回の新庁舎整備(案)では、「費用がどうか」の点や「都市再生」の観点はあっても、「区民の視点」がありません。前回の説明会での意見が反映されず、旧日出小地区案を「優先化する」としているのもその現われです。豊島区役所は区民の施設であると同時に区民の財産であり自治の拠点です。区民にとって便利で、使いやすく、将来の不安もない、という施設でなければなりません。また、区民にとっては、安心して住み続けられる、介護や医療、子育てへの施策が充実した豊島区となることが、一番大切です。そのような「区民の視点」からいって、今回の「案」の進め方、決め方は一方的すぎます。
 「優先化」などといって事実上「旧日出小地区案」一本に絞ったことを撤回すべきです。そして今、開催されている区民説明会はもちろんのこと今後も区民の意見を十分にきき、取り入れ検討すべきです。答弁願います。
 
 次に、整備計画の手法についてです。
 わが党は、これまでも、区有地を定期借地権で50年貸し付けるという事実上の売却や、再開発という民間だのみの資金計画、建設手法について問題点を指摘し、白紙撤回を求めてまいりました。
 区長はかねてより、新庁舎整備を「池袋活性化の起爆剤」と位置づけるとしてきました。そして、「都市再生緊急整備地域」の指定を受けようと進めています。
 現在の「都市再生」は、1999年2月の経済戦略会議の答申を契機に01年5月に「都市再生本部」が設置され、推進するための規制緩和や金融支援などがおこなわれてきました。
 規制緩和をすれば、開発が刺激され土地の需要も増え、地価が上昇するというのが都市再生のシナリオですが、それは地価が上がっていた時代の話で、地価が下がり続けている現状では逆効果です。また、日本の人口は2010年をピークに減少に転じると予想されており、経済もかつてのような成長は望めないのです。政府は、このような構造の中で、都市間競争、地域間競争をあおり、経済の活性化をというのですが、最終的には共倒れしてしまう可能性が大きいのです。
 都市開発法改定、国公有地売却による都市再生、工場跡地再開発、不動産証券化などさまざまな手法を使って「都市再生」がすすめられましたが、大都市の中枢部では、大企業の事務所ビルや政府中枢管理機能ばかりが栄え、都市的産業、卸・小売業、工業の衰退をもたらし、永年住んでいた人々を追い出し、街並みを変え、投機マネーが横行する街になっています。
 規制緩和で高層、超高層住宅が民間により供給されましたが、きわめて高価格、高家賃の住宅で、それは今求められている中堅サラリーマン向けの良質な住宅とは程とおいものでした。
 この「都市再生」で儲かったのはどこか、といえば、三菱地所、森ビル、三井不動産、東急不動産など大手デベロッパーです。
 豊島区でも東池袋四丁目再開発で、第一地区では6割の人が転出、借家人は9割が転出したのです。第二地区でも166軒中、転出は88軒、借家人は84軒中78軒が転出したことにも顕著にあらわれているように、住民追い出しになるのです。
 再開発事業においては独立採算制が基本で保留床の処分金がおおきなウェイトを占めます。古い建物の除去費等に税金が投入されます。豊島区でも78億円かけて中央図書館と「あうるすぽっと」がつくられたように、各地で自治体が再開発事業で床をえてホールや図書館などをつくっています。そしてまた、各地で、この「公益施設」に高い値段が付けられ、その分他の保留床や権利床を安くするなどの価格操作がされた例が露見しています。価格決定が複雑でごまかす余地があるのです。「民間」「プライバシー」をたてに公開しないこともあり、大問題です。
 緊急整備地域に指定されると、金融支援、税制の支援があるほかに、「都市計画の提案制度」での容積率のアップなどが簡単にできるようになりました。また、都市再生特別措置法により事業の認可申請から3ヶ月以内に認可の可否を決定すべき旨が定められ、現在では都市計画決定から権利変換期日まで、およそ2年以内を目安としているといわれ、開発事業者は何時本格着工できるかという目安をたてることが出来るようになったのです。
 
 さて、今回の旧日出小地区案の新庁舎整備計画については、再開発事業で民間分譲マンションと合築することに区民からも批判や疑問が次々と出されています。
 民間の分譲マンションと公的な「区庁舎」を合築するのは大問題です。過去にこのようなことをやった自治体はありません。足立区では、図書館や生涯学習センターと共同住宅を合築しましたが、共同住宅は都民住宅で東京都が大家さんです。つまり、都と区の合築であり、分譲マンションではないのです。千代田区は国の施設と区庁舎をPFIで作りましたが、千代田区議にきくと「使い勝手が悪い」と言っていました。
 区も「案」の中に、「旧日出小地区案」では「建物管理・建物更新」について「日常管理や大規模修繕・改築等がスムーズにできるよう、設備機器の分離や詳細な管理規約が必要」と書いています。民間分譲マンションでも、修繕や大規模改修、管理運営で苦労しています。庁舎と一緒になったら、もっと複雑になるでしょう。区は、庁舎は100年建設、定期借地権は50年とか70年とか、簡単にいいますが、そういう計画は無責任きわまりないのであります。
 民間との合築は、区民の財産であり独立した自治体の中枢である庁舎の建設となじまないものです。
 そこで質問します。問題が多く、区庁舎という施設となじまない、民間分譲マンションとの合築はやめ、庁舎は豊島区単独の建物とすべきですがいかがですか。答弁ください。
 
 次に、情報を公開することについてです。
 民間まかせの建築・資金管理については、景気の動向に大きく左右されます。民間事業者は利益をえるために活動しているわけですから、そういう中で、権利床の評価や保留床の評価は正しいのか、判断は困難です。区長は以前「この再開発事業地域が新庁舎整備の候補地の1つになっているだけに、区といたしましても、今後も、準備組合の了解を得ながら、個人情報に関わるもの以外はすべて公開してまいります。」と答えていますが、実際には、情報もまだ公開されておりません。このまま、すすめるとなれば、区民に十分説明したとはいえません。

 そこで質問します。
 総事業費はいくらか、権利床・保留床についての計算根拠はどうなっているのか、準備組合ではどのような話がされているのか、庁舎建設が出来なかったときのことは話されているのか、全員が賛成しているのかなど、現状について、お答えください。豊島区の庁舎建設にかかわる事項なのですから、ぜひ公開していただきたいが、いかがでしょうか。「準備組合の了解を得ながら」、といって公開しない理由にすることは許されません。
 また、保留床が売れない、とか現庁舎地区の借り手がいない、見積もりよりも安かったなど、資金計画がうまくいかなかったときには、誰がどう責任を取るのか、お答えください。うまくいかないからといって、区がさらに床を取得するような計画変更がされるなら、まさに東池袋四丁目と同じ轍を踏むことになります。明確にお答えください。

 最後に、本来の庁舎建設のあり方について質問します。
 さきほど述べたように、豊島区は先行き不透明な経済状況の中、金のかからない方法ですすめるとしています。現在の「案」では、「旧日出小地区案」なら10億円の黒字、「現庁舎地区案」なら43億円の赤字となっており、ここに目を奪われがちです。しかし、この程度の黒字は、経済情勢や建設工法・期間、さらには事業者や借主の都合など、今後の状況によってすぐにでもなくなってしまう程度のものです。今議会に提案された補正予算案でも、大塚駅南北自由通路整備事業経費が、地下埋設物があったとかで工事期間も延び、3億8500万円もふえたことをみても明らかです。
 区は、必死になって、財政調整基金に74億円もつみたて、07年度の剰余金は30億円でこの半分は財政調整基金につむことになります。それらを使って土地開発公社の借金125億円を3年という短い期間で返済する計画をつくり、補正予算にも計上しています。これだけみれば、余裕があるように見えますが、それは、この間の区民サービス削減や増税による区民負担増などでつくったものです。
 確かに、今すぐ庁舎を自己資金で建設するには足りませんが、だからといって「再開発事業」で進めることは、問題が多すぎます。区民の財産であり独立した自治体の中枢である庁舎の建設とはなじまない、このような不確定で博打のような資金計画・手法で進めれば、禍根を残すことになります。

 そこで、質問します。
 「旧日出小地区案」には、再開発事業による民間マンションとの合築、経済情勢や相手の都合などで変わってしまう不安定な資金計画など問題点がたくさんあり、庁舎建設にふさわしいやり方ではありません。
 我が党は、庁舎建設をするなら、区民の合意を得るために時間をかけ、必要な資金計画ならびに建設計画を立てることによってこそ、簡素で使いやすい、「身の丈にあった」区庁舎建設ができると考えます。区長の見解はいかがか、答弁ねがいます。
 
 
 第3の質問、安心して介護をうけられる豊島区にするためにです。

 介護保険が始まって9年目にはいりました。小泉内閣の「骨太の方針」による社会保障費の2200億円削減方針で、05年10月から施設入所利用者の食費や水光熱費の負担がふえ、06年からは「介護予防」のかけごえで要介護度の低い人から、ベッドや車椅子、ヘルパーが取り上げられました。同居の家族がいる場合の生活支援のヘルパー派遣も制限されたのです。また、3年毎に、介護報酬と保険料は見直しされ、介護報酬の引き下げと保険料の引き上げが行なわれました。特に06年4月からの保険料値上げは、税法改悪による増税とあいまって、雪だるま式の負担増となり、多くの区民から、苦情問い合わせの電話が相次ぎました。
 
 88歳の一人暮らしの男性は、年金は2ヶ月で7万円ほど、そこから、介護保険料6800円、後期高齢者医療保険料1800円をひかれています。公営住宅で家賃が安いのが唯一の救いですが、少しずつ貯金を取り崩しながら介護も受けずに生活してきました。最近になってようやく、貯金がへって、書類を何枚も出して、7月から介護保険料の減額をしてもらえることになりました。でもその方は、「医者には月一回は行くから保険料をはらうのはいいが、介護保険は利用していないのに、医療保険よりもずっと高い保険料なのはおかしい」といいます。
 他にも、「保険料が高すぎる」「年金から勝手に天引きするのは許せない」「保険料を払っているのに、ヘルパーに来てもらえない」「特養ホームに入りたいが、長く待たないと入れない」など、次から次へと不満の声が寄せられます。

 財務省は5月13日、介護保険の給付費をさらに抑制する方針を提示しました。
 「要支援1―2、要介護1―5」の7段階に認定された対象者のうち、「要介護2」以下の人を給付から外すなどすれば2兆9百億円削減できるというものです。
 これでは保険料を払っても介護保険が利用できないという「保険あって介護なし」の事態がいっそう激化し、高齢者介護が根底から破壊されかねません。
 制度の改悪後、給付費は政府の当初予算見込みすら下回ることが繰り返されています。給付費の伸び(実績)は06年度を境に急に鈍化し、横ばいになっています。06年度は当初予算6兆5千億円に対して実績が5兆9千億円で、6千億円も抑制されています。高齢者人口が増加するなかでの減少は異常です。厚労省が給付費の削減を「給付適正化」の名で旗振りするなかで、法令に照らしてもゆきすぎた利用制限をする自治体が増えており、大きな問題になっています。
 日本共産党の小池晃参院議員は、5月20日の厚労委でこの問題を取り上げ、政府に調査と改善を求めたところ、舛添要一厚労相は全国調査を約束したうえで、「介護保険の目的は、介護される人や家族が快適な状況になること。柔軟な発想が必要だ」「何でもかんでもお金の計算だけでやるのはどうか」と答弁しています。

 今もう一つ、深刻なのは介護にかかわる労働者の不足の問題です。若い人が安い時給で不安定な働き方をさせられ、夜勤もある。熱意をもって働き始めても、耐えられなくなって辞める、そうすると人手が足りなくて残った人にさらに過重な負担になり、また、辞める、という悪循環になっています。介護人材育成の専門学校の定員割れも続いています。
 「福祉は人」といわれます。高齢者の命とくらし、人権を守る制度が福祉です。その仕事にかかわる福祉労働者が劣悪な状況に置かれているのは、サービスの質にもかかわります。
 
 必要な介護が受けられなかったり、介護従事者の劣悪な労働条件が放置され、必要な人材確保もままならないというのでは、公的介護制度とはいえません。介護を受ける人の生活と権利を守るとともに、支える人も安心できる制度に改めることこそ、いま政府がやるべきことです。
介護現場の人手不足については、自民・公明政権が、介護保険法の改悪で利用者に過酷な負担増とサービスの利用制限をしいる一方で、事業所にたいする報酬を引き下げてきたことが最大の原因です。しかし、介護保険法では、単純に事業所の介護報酬を上げれば、介護給付費が増加し、保険料や利用料の負担増となって跳ねかえるしくみになっています。これを解決するためには国庫負担をふやして保険料と利用料の負担を軽減すればよいのです。こうすれば報酬を引き上げても、国民と利用者の負担を増やさず、サービスの向上と職員の待遇改善にあてられます。09年4月からの介護報酬改定が予定されています。しかし来年4月まで待ってはいられません。早期に改善する必要があります。 

 保険料や利用料が高い要因は、介護への国庫負担を50%から25%に引き下げたことにあり、国の責任は重大です。国庫負担を計画的に50%に引き上げることを目標に、直ちに30%にし、国の責任と自治体の努力とを合わせた実効ある減免制度、介護・福祉労働者の労働条件の改善、必要なサービスが受けられるようにすることなどを実現すべきと考えます。
 
 そこで、区長にお伺いしますが、まず、現在の介護現場で働く人たちの状況の認識についてお答えください。国に対し、早急に改善を求めるべきですが、いかがでしょうか。
 
 今年4月の区政連絡会で、豊島区社会福祉事業団から、「2級ヘルパー養成研修」を行なうので、ぜひお知り合いの方を紹介してほしい、との話がありました。自己負担は67,700円。資格取得後、事業団で2年働けばその間に自己負担額分の助成をする、とのことでした。職員を募集してもなかなかあつまらないので、このような制度を作ったそうです。ある町会長から「受講料が高すぎるのでもっと安くならないか」と質問がでました。しかし事業団としても区の補助もなく報酬もへり、経費削減している状況で今回の補助が精一杯で、これ以上安くするのは、難しいということでした。民間のホームヘルパー2級講座では、短期集中講座をキャンペーン価格で68,600円、さらに一定の条件があれば「教育訓練給付」がうけられ、さらに安く受講できます。
 
そこで質問します。
 豊島区として、ヘルパー資格取得などに際しての補助を区独自に実施すべきです。以前は、社会福祉協議会が低額で実施していたではありませんか。また、職員確保のために、採用時における十分な研修を有給で保障すること、そのための財政支援も豊島区がおこなうべきです。
 さらには、千代田区では、区内四施設の介護職員に時給を上乗せし、区内居住、近接区などの居住支援のための住宅費一部助成を始めました。豊島区の介護の質を向上させるために、是非豊島区でも実施すべきと考えますが、いかかが答弁願います。
 また、新宿区でも、報酬削減で特別養護老人ホームの経営が深刻な状況になっていることから、今年度から特養ホーム運営助成等(医療介護支援)として運営費の補助をしています。豊島区でも運営費の補助を再開すべきと考えますが、答弁ください。
 
 豊島区は09年4月からの介護保険事業計画を策定中です。私たち日本共産党区議団は、介護保険が始まる前から、「このままでは『保険あって介護なし』となる、施設やヘルパーなど基盤整備をすすめよ」「介護サービスを受ければうけるほど、利用料負担も保険料も引きあがる、という仕組が最大の問題点」と指摘してきました。
 そして、介護保険の区独自の減免制度創設、保険料の引き下げ、さらには豊島区独自のヘルパー派遣制度の創設を提案してきたのであります。保険料の減額制度は創設され、条件の一部緩和もされましたが、まだ不十分です。
 基金および一般財源を使えば保険料を低く抑えることができます。介護保険給付費準備基金は今年3月末現在で10億円あります。2年間で6億円も積み立てたのです。

 そこで、質問します。
 先ほど述べたように、保険料が「高すぎる」との声が根強くあります。保険料については、「保険料の上昇を抑える」というレベルでは足りません。引き下げるべきです。答弁願います。

  次に、豊島区独自の訪問介護サービスの実施についてです。
 高齢者の「自宅で最後まで人間らしく暮らしたい」という希望に対し、現在の介護保険制度は対応できていません。通院時の院内介助はダメ、同居家族がいるとヘルパーは制限される、自立した同居高齢者の食事の準備や洗濯はできない、図書館やコンサートなどの文化的な活動に参加するための介助はできない、などです。庭の草取り、窓拭きもできません。「ヘルパーを家政婦代わりに使う」という批判がありますが、実際に自宅で人間らしく暮らすには庭の草取りや窓拭きも必要です。
 私たち日本共産党区議団は、高齢者等の需要に即した介護保険対象外の訪問介護サービスを豊島区独自の財源で実施することにより、高齢者等の在宅生活の継続支援、同居家族等の介護負担の軽減、さらには高齢者等の閉じこもりの防止および社会参加を促進するための条例案を第一回定例会で提案しました。介護保険ではカバーできない部分を、介護保険外で、つまり「上乗せ」「横だし」ではなく豊島区独自の財源で、高齢者の生活実態に合わせたホームヘルプサービスを実施することが必要です。そうしてこそ住み慣れた土地で、在宅で暮らすことが出来ます。国が制度を改悪したり、実態に合わない制度であれば、区民にとって一番身近な自治体、豊島区がその改善のために力を尽くすのは当然のことです。介護保険が06年「予防重視」に改定されたといわれますが、その実態は「予防重視」を名目に給付を削っただけであることは、はっきりしています。
 そこであらためてお伺いします。豊島区独自の財源で、「上乗せ」「横だし」ではなく、介護保険外で、高齢者の生活実態に合わせたホームヘルプサービスを実施すべきですが、いかがでしょうか。
   
 基盤整備について、伺います。
 6月に、千葉県で介護に疲れたと77歳の夫が77歳の寝たきりの妻の首をしめて殺害する事件が起きました。また、年間の自殺者が10年連続して3万人を超えましたが、自殺率が高いのは50歳以上の中高年で「介護・看病疲れ」が224人いた、というデータもあります。家族介護、老老介護の困難さを示しています。
 豊島区の特養ホームの待機者は3月末で1113名、そのうち区が緊急度が高いと認めたAランクは343名、増設は待ったなしの課題です。介護保険事業計画では、特養ホームを一ヵ所つくる計画でした。豊島区は、あいかわらず「民間を誘致する」といいますが、08年度に建設費補助の予算は組まれているものの、具体策はありません。
 豊島区は、旧中央図書館の土地を売却する予定ですが、地域からは「売却せず」特養ホームや区営住宅を作ってほしいと声があがっていたではありませんか。
 
 改めて、お伺いします。第一回定例会で「区有地の活用もあわせ前向きに検討してまいりたい」との答弁がありましたが、その後の検討状況はいかがか。待っている人が1000人もいるのです。区民需要にこたえるため、直ちに具体的に計画を明らかにすべきです。答弁ください。
 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。