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平成20年 第1回定例会(2月20日) 河野たえ子議員の一般質問

 私は、日本共産党区議団を代表して、以下の2点について一般質問をおこないます。
 1)区「環境基本条例」制定と「環境基本計画」の策定にあたって、
 2)区「地域保健福祉計画」の改定にあたって、「障害福祉計画」の拡充について
です。

 それでは、さっそく第一の「環境基本条例」の制定と「環境基本計画」についての質問に入ります。
 地球環境問題が世界でも日本でも焦眉の課題になっています。二酸化炭素などの温室効果ガスの排出による温暖化の影響は、すでに世界各国で深刻な形で表れています。
 昨年12月3日からインドネシア、バリ島で開かれた気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)は、180カ国以上の参加で開かれ、京都議定書以後の枠組み作りを今後2年間で構築するためのロードマップが採択されました。
 国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書が「温暖化が突然の回復不能な結果をもたらす可能性がある」と強く警告し、「今後20年から30年の努力と投資が重要」との最新報告をうけ、2009年までに京都議定書以後の法的拘束力のある国別削減目標と制度枠組みについて合意するための交渉の進め方を明確にすることでした。COP13にあたってEU(欧州連合)は、2020年までに日米欧の先進国全体で1990年比で30%削減、さらに50年までに60%〜80%削減という京都議定書より厳しい総量削減義務を先進国に課すことを提案しました。
 日本は、日本自身の削減目標には言及しないばかりか、EUなどが主張している統一的な削減目標に賛成せず、各国が自主的な目標を決めることで合意しました。こうした日本の動きに「日本は、議定書から離脱しているアメリカと一緒になり、議定書が掲げる二酸化炭素の総量的な削減に取り組むといわなかった」と国際NGOから批判をうけ、会議の進展に最も後ろ向きだった国に与えられる「化石賞」をうけました。
 京都議定書での数値目標(90年比)6%削減に対し、イギリスはマイナス14.8%、ドイツはマイナス18.4%と超過達成しているのに日本は、同じ6%目標で実績はプラス6.4%です。つまり12.4%もの逆行だということです。
 福田首相は、安倍前首相がG8サミットで提案した「美しい星50」を踏襲していますが、2050年までに「半減」するための中期削減目標をしめさず、個別の割り当てに反対し、自主努力による削減を主張する経団連や経済産業省の意向が強く働いているからです。日本のCO総排出量(約12億8千400万t)の5割は国内の180足らずの事業所、それも鉄鋼、製紙など大企業ががしめているのです。
 環境までも市場任せにする「ルールなき資本主義」=「新自由主義」はもうだめだということです。日本共産党は、政府に対して京都議定書の議長国として、地球環境を守る国際的な責任を果たすことを強く要求しているところです。
 東京都も「気候変動対策方針」−「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を2007年6月に策定、12月には、「実行プログラム」をつくつています。
 その考え方、方針と主な取り組みを見てみますと、大規模事業所に二酸化炭素(CO)の削減を義務づけることなどを打ち出していますが一方、2016年にオリンピックを誘致するために、圏央道など3環状道路の整備促進、都市再生で再開発を進めることにしています。これは矛盾しているのではないでしょうか。
 なぜなら今ある自然や緑を確保し、更に広げていくことこそ望まれるはずなのに、圏央道建設では、都民の反対を押し切って東京の自然に大きく寄与している高尾山の中腹にトンネルを掘り、高尾の自然を破壊しようとしているからです。また、都市間競争をあおり、超高層ビルが次々に建設されています。
 このような背景のもとで、区は、今議会に「環境基本条例案」を提出しました。
 待ったなしの「地球温暖化」対策が求められている現在、区の理念や責務、決意を区民に示す条例制定についての重要性は認めるものです。しかし、この条例の意図する「地球規模での気候変動を引き起こしている」温室効果ガスの削減を実現するには、実効ある「環境基本計画」の内容が大変重要になってきます。
 区長は、2008年度予算の編成方針に「環境」を重点の一つにあげていますが、区のこれまでの環境計画がどうなっているのかを見ると1997年(H9)8月発表の「区環境管理計画」です。しかし、すでにこの計画は2006年(H18)に終了しており、現在は計画がありません。
 2004年(H16)年に地球温暖化防止を進めるために「区地域省エネルギービジョン」をつくりました。2010年(H22年度)までの計画ですが「管理計画」との関連が明らかではありません。

 ここで第一の質問をいたします。
 なぜ、区の環境についての基本的な計画である「環境管理計画」の期間が終了することがあきらかだったのに、新たに作成するまで2年間の空白を作ったのでしょうか。本当に環境を重視しているのならば、空白は生まれなかったはずです。
 また、新たに「環境基本計画」を作るにあたって「環境管理計画」で示した指標、具体的施策がどの程度達成できたのか、できなかったとしたら、なぜなのかを明らかにする必要があります。そのことがこれから作る「基本計画」を本当に実効ある計画にするのです。「環境管理計画」の到達度について明らかにすべきと思いますが、いかがかお答えください。

 「環境管理計画」では、1990年比で計画期間終了時の2006(H18)年までに、二酸化炭素(CO)を20%削減する目標を立てました。しかし、実際は15%の増です。つまりプラス35%を減らさなければならないのです。ちなみに緑比率に言及すると「30%に向けて着実に増加する」と書かれていますが、いまは30%はおろか当時の12.5%より減って、12.4%です。
 「環境管理計画」とかぶさっている「地域省エネビジョン」は計画遂行中ですが、COの削減目標を、2002(H14)年に比べて2010(H22)年度に豊島区全体のCO排出目標4%減をめざす、としています。環境管理計画の目標値との関連性は不明で、これ自体おかしなことですが、「省エネビジョン」でCOの最終消費量を7%と推計しているのですから削減目標達成には、よほど努力しなければ達成しません。
 さて、「省エネビジョン」には、推進のために区の取組、都の取組が挙げられており、都の取り組みでは、6つの挑戦として、オフィスなどの大規模事業所のCO排出量削減の義務化をはじめ新建築物により高い省エネルギー性能の達成を義務化するなどしていますが、 これはほとんど実行されていません。都は、ここにきて3年後、つまり期間終了を目前に到達目標を明らかにしましたが、この事業をやれば削減目標が達成できるのかどうかもはっきりしません。
 区の計画は町会単位、マンション単位、商店街単位の省エネ目標の設定と取り組みなどが書かれていますが、実際にやっていないし、あと3年で実行できるのか、疑問です。
 環境問題はグローバルに考え、実行は足元からしなければなりません。地方自治体として「基本計画」策定にあたっては、本当にやりきる構えを区自身が決意し、それに見合った計画を大胆に進める必要があります。

 そこで質問いたします。
 未来戦略プラン2008では、平成20年環境都市づくり・元年として、今までと一転して文化、健康とともに都市再生の柱の一本に取り上げられました。
 しかし、ここにあげられている新庁舎の建設や池袋東口から雑司ヶ谷までのわずかな距離のLRT の建設、サンシャインシティが行う500uの緑化事業などをおこなえばCOをどれだけ削減できるのか、数字で明らかにしてください。また、開発で交通量を増やす、高層の建築物を増やすことは、COが増えることを含め環境が悪くなることです。再開発による高層ビル・高層マンションの建設は、本来はCOを減らすことと相反するのです。言葉だけの計画や、やらないよりやったほうがまし、では計画ではありません。行政計画として目標値を明確にするべきです。
 いかがか明確にお答えください。

 緑がヒートアイランド現象を和らげ、やさしい環境を創出することは論を待つまでもありません。規制緩和で高層ビルが林立し、区議会が開かれるたびに建築紛争に関する請願・陳情がたくさん出されてくる状況のもと、緑と空間を抜本的に増やす必要が強く求められています。しかし、未来戦略プラン2008で緑比率の向上では、公園面積は1万u増えることになっていますが、4年後緑比率、街路樹の本数は、右肩上がりの矢印だけで目標値が入っていません。
 先にも述べたように区の緑比率は、努力しても減ってきています。増やすための屋上緑化事業も一番多い年で13件、少ない年では6件です。これでは遅々として進まないのではないでしょうか。ほかにもいろいろな事業があることは承知の上ですが、緑を増やすためには、公園をもっと増やすことと、高層の建築物、マンションやビルの建設の際に容積に見合った緑化の義務付けをするなど抜本的に対策を強めることです。

 そこで質問を二ついたします。
 一つは、けやき公園廃止と長崎児童遊園が半減し公園面積が減ります。推進プラン2008でしめした4年計画では、公園を1万u増やす計画ですが、1万uでは緑比率はわずかしか上がりません。これからも開発などで減ることを考えれば、さらなる用地の獲得、たとえば造幣局の跡地を大型公園にするなど、思いきった計画が求められます。
 また、だいぶ前ですが、私が高層建築物に対し容積に見合った緑化の義務付けをすべきと質問をしたことがあります。その時には、検討するとの回答をいただきました。その後このことについてどうなったのかお答えください。

 区長がこれまであまり熱心でなかった環境問題、特にCOの削減に取り組むことは喜ぶべきことですが、施策の「COの削減プロジェクトの展開」で太陽エネルギー利用機器の導入は、4年間で200件を計画、今年度予算は20件を予定しています。ある区民は、屋根にソーラーをつけて温水を作りガス代を節約していましたが、家の前に26階建てのマンションが建ち効果がなくなったと聞きました。それはともかく、太陽エネルギー機器の補助金は低すぎます。すでに建っている建物に取り付けると経費は100万ぐらいかかるそうですが、補助金はたつたの5万円、新築だと経費はもっと安くなるそうですが、これでは補助金が少なすぎ実効性がありません。カーボンマイナスを本気に行うためには、補助金の引き上げを図るべきだと考えますがいかがかお答えください。

 2005年秋「東京23区清掃一部事務組合」は、廃プラサーマルリサイクル事業の実施を打ち出し、翌年には電気を売り利益を上げるために2006年10月には東京ガスと合弁会社を設立しました。
 廃プラ焼却の理由として新海面最終処分場の「延命」を掲げていますが、重量で見たとき廃プラは埋め立て総量の5~6%にすぎません。スクラップアンドビルドで産業廃棄物などが多くをしめているのです。
 区は、2007年7月に廃プラサーマルリサイクルを進めるためにモデル実施を行いました。中間報告は「測定結果はすべて規制値内」、廃プラの「焼却した影響はみられなかった」と結論づけ、今年10月から区内全域で実施することにしています。
 燃やすこと先にありきでは、COを減らすことはできません。今、するべきは発生抑制の取組み、企業責任を明確にした「拡大生産者責任制度」やデポジット制度の実現と再利用を大きな流れにすることです。そして資源になるものは再生するということです。
 区では、リサイクル品の種類は、現在8品目12分別ですが、進んだ自治体では、「捨てればごみ」にしないために34種類も分別している町があります。

 そこで質問します。
 区は、埋め立て処分量や環境負荷の低減を図ると称し、高熱で廃プラスチックを燃やす「廃プラスチックサーマルリサイクル」を区内全域で実施することにしていますが、どう考えてもこれは欺瞞です。
 サーマルリサイクルはただちに中止すべきです。また、資源リサイクルの品目数をもっと増やし徹底的に資源化を実施すべきですが、いかがかお答えください。

 次に第二の質問である「地域保健福祉計画」の改定にあたって「障害福祉計画」の拡充を求めてこの問題に入ります。
 障害者自立支援法は、2006(H18)年10月から本格実施が始まりました。4月からすでに原則1割の応益負担が始まっており、障害者(児)とその家族への負担増、施設(事業)の経営悪化など深刻な問題点が噴出しました。「障害者を自立させない支援法」と多くの人たちから批判が出され、与党も修正を言い出さざるを得ませんでした。
 そして、昨年12月与党(自民・公明)の障害者自立支援に関するプロジェクトチームが「障害者自立支援法の抜本見直し」と題する報告書をだしました。
 内容は、利用者負担の更なる軽減措置、サービスを受けるときの負担上限額の算定に所得段階を「世帯」でなく「個人単位」を基本に見直し、事業者の補助金の見直しなどです。
 どれも当然であり、障害者団体などが強く働きかけてきたことです。しかし、抜本的見直しと言いながら、肝心の「応益負担の廃止」にはふれていません。
 38歳になるN君は、福祉作業所に毎日まじめに通っています。1万円ちょっとの収入は彼にとって「僕が働いてもらったお金」と誇りに思っています。しかし、自立支援法が導入され、それ以上の利用料を母親は払わなければなりません。住まいは、夫と別れた時に息子のことを考え条件として譲り受けた3DKのマンションです。マンションの大規模改修の分担金50万円の支払いにも苦労しています。毎日の現金出費を1000円以下におさえて暮らしているそうです。障害者自立支援法は障害者が安心して暮らす権利を奪っているのです。
 そこでこの問題の第一の質問です。
 自立支援法が実施されてから2年、障害者の人権を否定し、1割の負担が暮らしを圧迫していることは、事実が明らかにしています。こんな非人間的な障害者自立支援法の撤廃を国に対して求めるべきですがいかがかお答えください。
 区は2005年3月に、2005(H17)年から2009(H21)年までを期間とした「地域保健福祉計画」を策定しました。これまで別だった障害者福祉、介護保険事業計画を含む高齢者保健福祉、地域保健医療計画などを一つの計画とし、計画期間を5年とし3年ごとの見直しを行うことにしました。障害者福祉計画は、2006年から実施が始まった自立支援法により急遽2年間の「障害福祉計画」をつくり、2009年度(H21)からは、地域保健福祉計画に取り込むことになっています。
 すでに地域保健福祉計画の審議会が構成され、昨年秋から始まっております。今ある「障害福祉計画」は、自立支援法の実施までに時間がたりず、2年計画になり、今後「検討」事業がたくさんあることやサービス提供量が少ないなど不十分なものです。
 これからの検討にあたっては、第一に「障害福祉計画」の内容の進捗状況、どこまでできたのか、出来なかったらなぜなのかを明らかにすべきです。H20年度予算案をみましたが、障害福祉の新規拡充予算はわずかで、わが党か繰り返し要求してきた「学童クラブ障害児保育の充実」1400万と福祉基盤整備費助成事業600万を外すと新拡分はたったの1007万円程度です。計画ももちろん重要ですが、計画も不十分、具体的な施策も要望にほど遠い。答弁もこれからの審議会での審議待ちという先送りは障害者とその家族の願いに背を向けることです。たくさんの質問、意見がありますがとりあえずこれだけはということを今回は取り上げます。
 そこで第2の質問をいたします。
 「障害福祉計画」重点施策の1にあげているのが、相談支援体制の充実で「様々な課題に迅速に対応できるよう福祉関連以外の部署との連携体制を構築」となっています。しかし、多くの人から聞くのは、何か聞いたりするとあっちですとか、ここではないといわれる、手続きなど何か所も行かなければならない。1か所ですむ総合窓口がほしいという声です。新宿区では1か所で済むのにともいわれました。「計画」でも相談内容によって窓口が別れ不便であることをのべ、その解決策として「利用しやすいように組織の見直しを進め」としてますが、この間どのような検討が庁内でなされたのでしょうか。
 また、障害者の意向に沿った利用計画を作成するなどケアマネジメントが重要になってきます。ケアマネジメント体制は十分確立しているのでしょうか。お答えください。

 つぎに第3の質問をします。
 重点施策の2にあげているのが自立に向けた就労支援です。障害者が一人の人間として自立するには経済的な裏づけも必要です。そのためには就労支援は大変重要です。しかし、身体、知的、精神と3つの違った障害があり、特に知的障害と精神障害者の就労が困難です。この2月現在、法での就労移行支援は24名、就労継続支援Aが19名の登録者数ですが、そのほかに区の就労支援センターから一般就労した人が、2年間で26名です。26名のうち精神障害者は1名にとどまっています。厚生労働省の意向もあり、これから精神障害者の地域移行が本格化します。精神障害者の就労の場の確保を本気で具体化しなければなりません。
 民間施設の新体系移行も現状では就労者の数を一気に増やすことは難しいでしょう。
 ジョブコーチは現在正規3名、非常勤2名で就労定着に足りているのでしょうか。また、障害者の雇用をさらに促進するために、一般企業への働きかけとともに具体的な「場」を作る必要がありますが、その計画について具体的にお答えください。

 4番目の質問は、移動支援について質問いたします。
 自立支援法によって移動支援は、相談事業とともに地域生活支援事業になりました。社会参加を進めるためには、必要な時に自由に利用できることです。しかし、利用にあたっては、要件があり、要件を満たさなければ利用できません。現在知的障害者は「通学や通所」つまり、送迎は利用できず、また「視覚障害者の通院介助」なども利用できません。
 強い要望があるのに「検討」では困るのです。社会参加を広げるために、通院、買い物など日常生活に密接な外出について制限されることがないように、ただちに要件を撤廃し自由に利用できるようにすべきですが、いかがかお答えください。

 5番目の質問は、 障害児童、生徒の放課後を過ごす場所について質問します。
 この問題も今の「計画」には記載されていますが、実際には何も手が付けられていないに等しいのです。中高生については親たちが苦労して運営している「アフタースクール」しかなく、現行の「計画」には「障害児タイムケア事業」の用語説明はありますが、説明だけでは絵に描いた餅です。ぜひ、具体化していただきたい。また、学童クラブについては、お母さんたちの強い要望で「2名枠」が撤廃されたことは喜ぶべきことですが、「スキップ」は、親の付き添いなしでは遊べません。なぜ改善できないのでしょうか。「計画」にはもちろん入れていただきたいのですが、計画待ちではなく直ちに実行していただきたいのです。誠意ある答弁を求めるものです。

 最後の質問は、グループホームおよびケアホームなどの増設です。
 子ども達が30歳代後半にもなると親は、高齢になり、世話をすることが体力的にも、経済的にも難しくなります。最初に例を挙げたN君のように身の回りのことは一通りできても、食事を作ったりはできません。障害者といえども成人になり希望すれば自立できるようにすることが必要です。また、精神障害者が社会復帰するうえでも、グループホームやケアホームの増設は待ったなしです。このような質問をすると民間誘致を図ると答えが返ってきますが、グループホームの増設は、民間任せではなく区有地の活用も含め区の責任で施設を増設しなければ需要に追い付きません。
 計画も含め考えを改めてお聞きします。

 以上で質問の全部を終わります。