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平成20年 第1回定例会(2月19日) かきうち信行議員の一般質問

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「開発優先から、くらし・福祉第一の区政に転換を」と題し、
1、区民生活の実態について区長の認識と具体策について
2、後期高齢者医療制度の中止、見直しを求めることについて
3、来年度予算をくらし・福祉・介護など区民需要を優先させることについて
4、住民本位の街づくりについて
 以上の4点につき、一般質問を行います。区長の明快な答弁を求め早速質問に入ります。

  安倍首相の突然の政権投げ出しで誕生した福田内閣になって5か月になろうとしています。この間、参議院で否決されたテロ特措法や補正予算の再可決など民意を踏みにじったやり方は、ますます国民との矛盾を深めています。
 福田首相は今通常国会での施政方針演説で、「生活者・消費者が主役となる社会」を実現するため、「あらゆる制度を見直す」と強調しました。「国民本位」「国民の立場に立って」など、やたらと国民を持ち上げる言葉を散りばめました。
 首相は内閣の課題として社会保障の維持、少子化、非正規雇用、地方経済の低迷の対応、地球環境やエネルギー問題をあげました。いずれも財界・大企業を優先し、アメリカに追従する自民党政治によって、欧州諸国などと比べて事態をはるかに深刻にしてきた問題です。それにもかかわらず、首相は「成熟した先進国として、いままで経験したことのないこれらの問題」と降ってわいた災害のように語りました。
 生活保護を削られた母子家庭、ネットカフェで寝泊まりせざるを得ない若者、頑張ってお米を作っても時間当たり250円ほどにしかならない農家をはじめ、庶民の痛みへの目線が微塵もうかがえません。
 さて見過ごせないのは、福田首相が社会保障の安定財源として、「消費税を含む税体系の抜本的改革を早期に実現する」とのべていることであります。消費税の増税は、最悪の生活者・消費者いじめにほかなりません。
 消費税の増税は、区民生活を守る上でも絶対に許してはなりません。
 そこでまずはじめの質問です。区長は、これまで庶民増税について、わが党の質問にたいし、「国・地方の財政基盤を築くうえで避けて通れない」「政府がすすめる税制改正の必要性は理解できる」などと容認する態度をとっています。
 首相が増税に向けて抜本的見直しを早期実現したいと表明した以上、区民生活を守るために明確に反対を意思をとるべきではありませんか。明快な答弁を求めます。

 次に区民生活の実態について改めて、区長の認識と具体策について伺います。
 先日、訪問した高齢者のお宅では、「生活が苦しく一日2食にし、灯油が高いので、暖房もひかえ、寒さに震えながらの毎日をおくっている」「わずかな年金と蓄えを崩しての生活も限界」と訴えています。
 わが党区議団は、機会あるごとに、こうした区民生活の実態をあげて、区長の認識と具体的対応策を提案してきました。区長は、「地域における自立した生活を支援することを基本として、個別具体的な状況を踏まえ、真に必要な対策を講じていく」とのべています。
 しかし、区民の生活はますます悪化していることを直視すれば、いまの対応策では不十分ということではありませんか。「一日2食に切り詰めている」とか「寒さに震えながらの毎日」という区民がいることについて、私は、本当に胸が痛みました。区長、あなたは胸が痛みませんか。
 こうした生活に苦しむ区民が増えている実情についての区長の認識について改めてお答えください。

 つぎに具体的対応策についてです。
 第一に住民税の軽減実施についてです。
 わが党区議団は、老齢者控除や定率減税の廃止より、住民税の大幅な引上げで苦しむ区民を救済策として、区独自の住民税軽減の実施を求めてきました。
 区長は、住民税の軽減策の実施について、これまで拒否してきましたが、これこそ区民の求める真に必要な対策ではないでしょうか。
 早急に実施すべきと考えます。区長の見解を再度求めます。

 もう一つは、障害者控除対象者の認定要件についてであります。
 65歳以上で、一定の障害状態にある方は、身体障害者手帳などを持っていなくても、所得税・住民税の障害者控除が受けられる制度がありますが、本区における障害者控除対象の認定は、18年度実績で22件とあまりにも少なすぎます。
 06年の3定で、わが党の一般質問で、この制度の周知徹底を求めたところ、区は、「主に寝たきりの高齢者の制度である」「要介護度が高くても一律に寝たきりと言い切れるものでもないので、該当者への通知も困難」と答弁しております。現在、世田谷区では、要介護認定を受けている者、及び要支援認定を受けている者について、主治医意見書等をもとに、別に定めた基準により、障害者控除対象者の認定を行うとし、介護保険の認定通知に、このお知らせを同封するなど周知にも力を入れており、認定件数が、06年度は、645件と前年の7・5倍になっています。そこで質問ですが、高齢者の負担軽減策の一つとして、障害者控除対象者の認定要件の緩和と周知徹底についての改善を求めますが、いかがかお答えください。

 つぎに第2の質問、後期高齢者医療制度の中止、見直しについてであります。
 2月5日から3日間「医療制度改革」に関する区の住民説明会が開かれました。
 参加した方からは、「保険料がいくらになるのか」との質問が一番多く「この間、税が上がった。税制改正と言うが(自分たちにとっては)改悪だ」「年金収入は限られている。これ以上あがっては困る」と2年後の保険料の見直しまで心配する声。健診で眼底検査の廃止や心電図の削減の説明に批判の声が上がり、「75歳以上が後期高齢者とどこで決めたのか」「この制度は『年寄りは早く死ね』ということだ」との発言もありました。
 自民、公明が強行採決した後期高齢者医療制度は4月実施を前に区民に不安と怒りを与えており、全国でも怒りが吹き上がり、制度の中止・撤回、見直しを求める決議や意見書を上げた地方議会は、すでに500を超えています。
 そもそもこの制度は、第一に高すぎる保険料による高齢者の負担増。さらに2年ごとに見直され連続的に値上げしていく計画になっています。第二に診療報酬を75歳以上と若年世代とを別建てにする差別医療です。第三に年金支給額が月1万5千円の人からも保険料を一方的に天引きするなど年齢で全ての差別を持ち込むという、あまりにも非人間的で、世界に類を見ない悪法であります。
 わが党は一貫してこの事を指摘し制度そのものを中止するよう政府に強く求めてきました。
 この様な国民の批判の中で自公政権は、極わずかな人を対象とする保険料徴収の一部凍結を打ち出しました。しかし凍結は解けます。解ければ一気に負担が重くなるのです。そもそもこのような取り繕い自体が制度の破綻を示しており、一時しのぎの部分的凍結でごまかすことはできません。
 このような中で、やっと東京都が7億円を支出し、都広域連合は低所得者の保険料について、08年度と09年度に限って独自に軽減する条例改正案を決めました。これは、負担軽減を求めてきた都民の世論と運動が広域連合を動かした成果であります。軽減策は、年金収入208万円以下の約9万人が対象で、所得に応じて負担が変わる所得割分について25%、50%、75%、100%の4段階で減額するものです。本区での対象となるのは、25%減額が497人、50%減額が737人、75%減額が177人、100%減額が617人で、2028人が軽減の対象となるものです。
 しかし、低所得者対策といっても所得割がない年金収入153万円以下の人は、対象に含まれないうえ、ほとんどの人が国保料より負担増となることは変わりありません。 そこで質問します。区長として改めて制度の中止とあわせ抜本的みなおしを国に求めるべきです。答弁を求めます。
 次に、区の独自の軽減についてです。
 わが党区議団は、再三にわたり区独自の保険料の軽減制度創設を求めてきました。しかし区長は「保険料の賦課権限は広域連合にある」「区独自の軽減策はできない。今後もしない」との答弁をくりかえしてきました。
 徴収に関する事務は区の仕事となっていますが、賦課権限は広域連合にあり、区独自に減額した保険料を賦課できないとする制度自体に根本的な問題があります。しかし区民の深刻な状況を改善することは待ったなし、区政の当然の責務です。方法はいろいろ考えられるはずです。例えば区独自の減額対象となる高齢者に対し「手当」を支給し実質的に減額することも可能です。やる気の問題です。直ちに具体化すべきです。答弁を求めます。
 第3に、来年度予算を、暮らし、福祉、介護など区民需要優先に転換すべきことについて順次質問します。
 来年度予算について、区長は、事業費が28億円の増加となる2年連続の積極型予算と評価し、3年連続して特別な財源対策を全く講じることなく、しかも、起債への依存度も極力抑制したものとなっているとのべました。
 また特徴として、「文化と品格を誇れる価値ある街づくり」と「環境都市の創造」を目指し、引き続き「文化」「健康」「都市再生」「環境」に重点的に取り組むとしています。
 これまでの行財政計画は、区民に多大な影響を及ぼしてきただけに「積極型予算」というならまずは、これまで削ってきた区民サービスを実情に照らして、どこまで回復させたのか、新たな需要にどう応えるのかが焦点です。
 とくに高野区長になってからの区民サービスの削減は、総計で500以上の事業、金額では福祉で年間8億、教育で1億円もの事業を削ってきたのですから、最優先に復活、拡充すべきであります。
 ところが来年度予算はどうでしょうか。
 低所得者対策についてみてみますと、予算に反映した拡充事業は、高齢者寝具類乾燥事業、寝たきり高齢者と心身障害者の理美容費助成事業、認知症高齢者徘徊探知システム事業の4事業。また、ひとり暮らし高齢者の対策は、緊急通報システムと福祉電話貸与助成の2事業で対象をほんのわずか増やしただけで、拡充額は6事業あわせて91万7千円と雀の涙程度であります。まともに復元したものは、高齢者、障害者のおむつ関係事業くらいです。プラン2004以前に削った事業の復活はゼロ。削った福祉8億円の復元は1億円にもなりません。
 なさけない限りです。困っている区民に光をあてる、福祉の心が区長には欠落しているといわざるを得ません。
 そこで、今一度、区民の実情を直視し、ただちに実施すべき具体策について、区長の決断を求め、質問します。

 まず、必要な職員配置についてであります。
 人件費は、対前年度3億24百万円の減となる233億35百万円で、退職手当を除くと、対前年度2億54百万円の減、1.2%のマイナスです。区は、人件費抑制のため引き続き職員数を削減し、前年度に比べて、一般職員を95名も減らし、17年度から6年間で600人の人員を削減し、22年度には2000名体制を目指すとしております。
 この間の人員削減は、区民にも大きな影響を及ぼしています。
 これまで、わが党は、機会あるごとに民営化や指定管理者の導入によって、マンパワーの不足、管理不行き届きなどの事例もあげて区民サービス低下の問題点を指摘してきました。生活保護の需給者数も増えていて、ケースワーカーの担当件数も増えても「人は増やさない」、度重なる区民への通知のミス、議会への資料提供のチェックミスや文書が期日まで仕上がらないことが、つぎつぎ起きるのは、結局、人減らしの皺寄せが影響しているからです。職員の中には、仕事が終わらずに残業しようにも「早く帰れ」といわれ仕方無く自宅に持ち帰って仕事をしているいわば、「在宅サービス残業に追われる」とこぼす職員もいます。
 グループ制などと仕事の分担責任を広げてみても、いまの仕事が手一杯なのに削減ありきの机上の制度となっています。
 そこで質問です。
 定員管理計画にもとづいて毎年、職員削減をすすめるとしていますが、なぜ2000名にしなければならないのか。そもそも2000名体制に設定した根拠は何なのか。区民の需要に応え、増える仕事量に見合った職員配置はどうしても必要です。削減ありきの2000名体制の計画は改めるべきです。答弁を求めます。

 二つ目は、低所得者への支援策についてであります。
 先程も例に出した物価高、原油の値上げで悲鳴が上がっています。特にこの冬場の灯油の高騰は区民に大きな打撃となっています。一昨年まで、18リットルで700円とか800円代の灯油が今年は、倍以上に跳ね上がり、運んでもらうと2000円になってしまうというという声も寄せられました。区民が悲鳴を上げているさなかに、テロ特措法の強行でアメリカ言いなりの支援策で給油を再開したニュースを聞く度に腹が立ちます。
 政府は、この原油の高騰による支援策として生活保護者への灯油代の補助を打ち出しました。北海度や東北地方の多くの自治体では、灯油代の助成をすることに踏み出したと聞いております。本区として、低所得者対策として、灯油代の補助を実施すべきです。あわせて物価の上昇に対応するように、以前、区が独自に実施してきた法外援護としての夏期や冬季の見舞金の支給制度を復活し、生活に苦しむ区民への救済策を実施すべきです。区長の決断を求めるものであります。
 つぎに、生活保護者への入浴券についてです。
 区の行財政改革プランで削減されたものの中で、生活保護者の入浴券の削減は、高野区政の福祉についての冷酷な切り捨てのうちの一つでした。
 入浴券は、自家風呂のない生活保護者への唯一の法外援護となっているもので、年間30枚では、10日に一回にも満たない支給です。ほとんどの区、ましてや近隣区ではこの60枚の支給をしています。60枚でも決して十分とは言えませんが、本区ではどうして30枚しか支給しないのでしょうか。財政が好転しても復活しない。福祉に冷たい区長の姿勢がここに象徴されているではありませんか。
 予算に復活したのは、母子家庭への分だけもとに戻しただけ。たった27万3千円です。どうして近隣区並に戻すことをしないのでしょうか。
 区民生活を支える福祉、積極型予算というなら、ただちに60枚に戻すべきではありませんか。答弁を求めます。

 予算に関する三点目は、介護に関してであります。
 一つ目に介護保険料の激変緩和措置を恒久的なものとして制度化することであります。
 これも国による税制改悪により、介護保険料が引き上げられたことで、その軽減について区民4605人を対象に今年度実施されています。来年度も国が、これを継続することで、来年度も継続するとされていますが、これが打ち切られるとなれば、大変な負担増となってしまいます。
 激変緩和措置などというものではなく、介護保険料を抜本的に見直し、負担にならないようにすべきです。いかがでしょうか。
 二つ目は基盤整備の拡充についてであります。高い保険料だけ徴収されてもまともな介護が受けられないのではたまったものではありません。
 特養ホームの待機者数の推移は、2004年度は1082名、05年度は、敬心苑の開設で前年度より121名減になって961名ですが、今年度は直近の数字で1033名、そのうち緊急度の高いAランクは274名となっています。
 区は、待機者の増加に歯止めをかけるのは、特養ホームの増設であることを認めています。そして基本計画の重要課題であるとしながらも、今後の方向性で明らかになっているのは、民設民営、つまり民間施設を誘致するというだけです。すでに、ガン研跡地でも失敗しているにもかかわらず、向こうから転がってくるのを待っていては特養ホームは出来ません。
 区は、来年度に地域密着型として、小規模多機能型介護施設を5か所と小規模特養1か所、認知症高齢者グループホームを2か所、認知症通所施設1か所つくるとしていますが、待機者数からみて、全然足りないことは明らかです。
 今必要とされる100床程度の特養ホームは、4年後までに1か所の目標にしているだけです。財政が好転になったいま、区が責任をもって需要に見合った建設計画をつくり、実現すべきです。答弁を求めます。

 介護に関する3つ目は、在宅高齢者サービスの拡充についてであります。
 介護保険制度の改悪により、介護度の比較的低い人のベッドの取り上げ、ホームヘルプサービスの縮小などが行われ、多くの介護を受けている人やその家族から怒りが寄せられました。
 いま介護をめぐって、その負担の重さに悩み、苦しみ、そして命を奪うような事件が、報道される度に胸が痛みます。介護保険の改悪で、こうした社会問題がますます深刻になっています。
 わが党区議団は、こうした実態や怒りの声に対し、渋谷区が実施しているような介護保険対象外の居宅介護サービスを本区でも実施し、要援助高齢者などの在宅生活の支援、家族の負担軽減、さらに閉じこもりの防止および社会参加を促進するよう区長にその実施を迫ってきました。
 本区でも渋谷区のように介護サービスを実施してほしいと、区民から陳情が区議会に提出され、継続審査になっています。審査において、区の態度は冷たく「実施しない」というかたくなな姿勢を崩していません。
 区長が実施に踏み切ろうとしないことから、わが党は、今定例会に在宅高齢者生活支援サービス事業に関する条例を提出しました。是非、実現して区民の介護サービスに寄与したいものであります。
 そこで、区長にお尋ねします。
 本来なら、こうした介護サービスの拡充については、区長が率先して提案すべきであります。財政が好転しても、踏み切ろうとしないのは介護を受ける人とその家族の負担、苦しみを理解していない証拠でありませんか。一歩でも介護サービスの拡充させる考えは、区長にはないのでしょうか。区長の見解をお答えください。

 介護に関する最後の質問は、施設入所に対する区民の相談窓口の強化とその対応策についてであります。
 最近われわれに寄せられる相談の中で、介護施設の入所に関することも多くなっています。
 例を上げてみますと、脳梗塞で入院したAさん90歳は、救急車で運ばれ、幸運にも一命をとりとめ、いま病院でリハビリに専念しながらも車椅子生活を送っています。
 家族は、近くに息子夫婦がいますが、仕事で、とても退院後の在宅介護は困難です。
 入院先の病院では、医療行為は終了したことで、退院を迫られているが、その後のリハビリを含めて受け入れてくれる介護施設が少なく、3か月も4か月も待たないと入所の見込みがないので困っているという内容の相談です。
 とくに女性の場合は、受け入れる老健施設側が男性と比べ、入所が長く待たされるケースも多いとききます。
 こうした相談ケースに区は、どう対応しているかというと、「受け入れてくれる老健施設は自分で探しなさい」と施設の一覧表をわたし、家族なとが、片っ端から受け入れ施設を求めていくのです。その間にも病院からは「早く退院しなさい」「早く施設を探しなさい」とつつかれ、「もう少し置いてください」と病院に頭を下げ続けているのが実態です。
 区長、こうした事態を認識されているのでしょうか。
 そこで質問です。
 まず、施設入所について、「自分で探しなさい」というのではなく、区が情報を持っているのですから、介護者とその家族の立場にたって、受け入れ可能な施設を一緒に探すこと。そして入所できるまで親身になって相談できる窓口とその体制を整備する必要があると思いますがいかかでしょうか。

 次に第4の質問、住民本位の街づくりについて質問します。
 区の基本計画の実施計画は、行財政改革プランから未来戦略プランと名称を変え、今年度に続きプラン2008が示されました。この中では、引き続き、文化、健康、都市再生、環境を重点政策と位置付け、とくに来年度は、環境都市づくり・元年と位置付けております。
 この最重点政策は、豊島区全体を見据えた環境問題にどう取り組むかというより、むしろ池袋副都心の再生と絡めての政策になっているのが特徴です。これまで、区長は、池袋の再生について「文化」「文化」といって都市再生のテーマにしてきましたが、今度は、これに「環境」という耳ざわりのよい表現で都市再生に力を入れようとしているのがありありと解ります。
 プラン2008では、新規として新ルネサンス構想の推進が戦略プランして位置付けられ本格的に池袋を中心とした大型の都市再生事業に踏み出す方向です。
 わが党区議団は、区長がすすめようとしている構想は、都市間競争を煽り、バブルの再燃を狙う、国や財界の思惑にそったものであり、勝っても負けても過剰な資金が投入され、またいったん進めたら、後もどりできない計画で、結局、地域住民が追い出され、金持ちしか住めないまちになってしまうと警告し、批判してまいりました。
 都市再生の戦略プランでは、新ルネサンス構想をもとに新庁舎整備、東西デッキ、LRTを含む公共交通システム、道路ネットワークの整備として描かれております。街をキャンパスにと区長の思いを描き、どんどんとすすめられたら区民は、たまったものではありません。
 とくに、新庁舎建設については、区長の召集挨拶で、「再開発事業の合意形成の方向が明確になったら、すぐに次のステップに移れるよう一つひとつ準備をすすめている」といっています。「候補地の一つである」といいつつ、旧日の出小地区に事実上決定しているようではありませんか。
 LRTについては、建設費が38億から48億円。車両購入費が1車両2億円以上で4編成必要として10億円近くかかり、毎年の経費は2億円から4億円の行政支援が必要です。公共交通だと言い張りますが、池袋駅東口から雑司が谷までのわずか900メートルの距離を、誰が公共交通だと認めるでしょうか。
 東西デッキについては、区が積極的に介入する事業ではありません。区が関与することで、莫大な税金を投入するという過ちを繰り返しかねません。
 そこで質問です。
 まず、豊島区の未来を左右する構想が、区民不在で進められようとしていることについてです。新ルネサンス構想という言葉すら知らされていません。区民からの批判を避けるための密室構想はやめ、区民参加で進める「街づくり」の考え方に改めるべきです。
 また新庁舎建設のすすめ方は議会軽視、区民無視です。そして、区長が示している大型開発計画は、莫大な経費が想定される事業ばかりです。今後の財政運営でもこんな莫大な財源を投入するとなったら、必要な区民需要が圧迫されるのは明らかです。
 こんな計画は撤回すべきです。答弁を求めます。

 街づくりの質問の最後は、「マンション建設」についてであります。
 区長は、豊島区の人口が増えたといって、魅力ある街づくりが人を呼んでいるといいます。しかし、人口増を割合を見てみますと、ファミリー世帯の減少は著しく、24%までに低下、その一方で「単独世帯」の割合が高く全世帯にしめる割合は、約6割となっています。ようするに人口が増えたといっても子育ての環境がいいからでもないし、定住に魅力あるからという理由ではないのです。通勤や通学に便利ということもあって「単独世帯」が著しく増加していると言えます。
 区は、4年後に27万人、10年後に28万人の人口増を目標にかかげ、日本一の高密都市になるとしております。
 こうした個性と存在感を発揮するまちづくりが選ばれるまちになると区長は、豊島区の未来像を描いているのですが、一方で、今住んでいる住環境が脅かされていることに気付いているのでしょうか。
 区議会には、毎回のように中・高層マンションの建設を巡って、反対や是正をもとめる請願・陳情が寄せられています。私の住む地域でも、敬愛病院の移転に伴い、大手不動産によるマンション建設が計画され、その解体に伴う住民への被害、ダイオキシン検出の隠蔽など怒りが上がり、強引なマンション建設に反対の声が上がっています。
 また、椎名町駅近くの住宅街にも7階建てのワンルームマンションの建設を巡っても「なぜこんなところに7階建てが建つの」「住環境をまもって」と反対運動が始まっています。
 国の建築基準法の改悪で、狭い土地にも高い建物が建てられるように「天空率」といった規制緩和で、精々4階程度しか建たない地域に7階建てが建てられてしまうのです。
 これでは長い間地域で形成されてきた街づくり、住環境が破壊されていきます。大手不動産は、建物さえ販売すればそれでよし、住民は泣き寝入りという有様です。
 区長のいう魅力ある街づくり、人を呼ぶ街づくりといっている一方で住民被害と住環境破壊がすすんでいるのです。
 そこで質問です。大手不動産、財界の要求でつくられた都心部におけるマンション、ビルの規制緩和について歯止めをかけなければなりません。とくに住居系地域、学校の付近、昔ながらの街づくりが形成されている地域などおいては、住環境を守る政策として、独自の規制策をつくるべきです。いかがかお答えください。
 また、いまマンション建設には、近隣対策を専門にうけおっている会社が窓口になって建設を進めるケースが多くなっており、肝心の建主は説明会もこない、連絡を取っても知らん振りというケースもあり、まったく責任を果たしているとは言えないのです。
 現在、中高層マンション建設について、区の紛争防止の条例がありますが、端的にいって調整や指導にとどまっています。そこで、建主の責務と説明責任、付近住民との合意形成を義務付けたものに改正すべきと考えますが、区長の考えをお答えください。

 以上、大きく4点について質問してきました。区長の前向きな答弁を求め、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。