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区議会質問
 

平成19年 第4回定例会(11月27日) 渡辺くみ子議員の一般質問

No.27 渡辺くみ子
 私は日本共産党豊島区議団を代表しまして、次々と問題点が明らかになってきた後期高齢者医療制度について、「高齢者が安心して医療が受けられる制度を」と題し、最低限、区が取り組むべきこと
 第一に後期高齢者医療制度の保険料について
 第二に資格証について
 第三に葬祭事業の実施について
 第四に高齢者健診の無料化と内容の拡充について
 の四点を質問します。区民の健康と命を守る立場に立った答弁を求めます。

 さて、「後期高齢者医療制度」の中身が知られてくるなかで、区民から驚きと不安、そして怒りと批判の声が大きくわき起こっています。
 11月15日付けの全国市議会旬報では9月定例会の意見書・決議では「『後期高齢者医療制度の見直し』が最多」と報道しており、「後期高齢者医療制度」は「高齢者の負担増となる点も多く、制度の円滑な運営が危ぶまれている」とし「意見書では、高齢者が安心して医療がうけられるように、高齢者の生活実態に即した保険料の設定、制度内容の周知徹底、低所得者に対する保険料の軽減免措置、広域連合が行う保健事業への財政支援、などとなっている」としています。
 また東京都後期高齢者医療広域連合長、都広域連合議会正副議長、区長会、市長会、町村会はこの間、政府や東京都に対して、財政支援を求め数度の申し入れを行ってきました。また日本医師会は「後期高齢者医療制度」の全面的な見直しを求める見解を発表しています。「後期高齢者医療制度」はいかに問題が多いかということです。
 このような国民の声を背景に、自民・公明の政権与党も、現行制度で健保の扶養家族の人から新たに保険料を徴収することを半年延期し、その後の半年を9割軽減とする、また70〜74歳の医療費窓口負担を二倍に上げることを1年程度延期するなど、医療改悪の一部「凍結」を言い出さざるを得なくなりました。このことはこの制度そのものの破綻を政府自ら認めたものであります。
 今こそ一部凍結などではなく「後期高齢者医療制度」そものもを中止し、根本的に見直すべきです。
 ある地方新聞の社説では、一部「凍結」について「高齢者にとっては朗報に違いない」「参院選で与党が惨敗し、地方や弱者に配慮する政策の必要論が急浮上した。このため福田首相の指示で負担増の凍結を検討していた」しかし「あくまで暫定的な措置であり、期限がきれたらどうなるのか見えてこないが、国民の反発を受けての一時しのぎではなく、制度改正の是非を含めて再検討する姿勢が要るのではないか」と指摘し、医療費の負担増は「生活の厳しい『高齢弱者』へは慎重でなければならない」、高齢者の医療費負担は「社会保障のあり方を問うこと」であり、「国家財政の建て直しの進め方にもつながる大きな問題」としています。
 先日、私は77歳の方からビラを見せられ、「保険料はかからないのですか」と聞かれました。ビラには「高齢者医療費負担増凍結。公明党の主張を大きく反映」と大きな字で書かれており、一見、高齢者の保険料がみな凍結になったかのように見えました。しかしよくみると、「・・75歳以上の一部の方に保険料の負担をお願いする新制度。保険料は半年全額免除、その後半年も9割軽減します」となっており、健保の扶養家族の人への一部「凍結」の中味です。対象者はごく一部。ほとんどの高齢者は負担増となる中で、「高齢者医療費負担増凍結」などとは、まさに「ごまかし」であります。そもそも一部「凍結」自体が、小手先の修正ではないでしょうか。

 本当に今、高齢者は、所得税・住民税の増税、国保料・介護保険料の値上げ、医療費の窓口負担引き上げなど、あいつぐ負担増に悲鳴をあげています。こういう中での「後期高齢者医療制度」はさらに追い討ちをかけるものとなっています。
 人は誰も年をとります。若い頃は元気でも、高齢になれば、いろいろな病気が出てきます。
 「国民皆保険」が確立している国のなかで、年齢で被保険者を切り離し、保険料や医療内容に格差をつけている国はありません。まさに世界で類を見ない最悪の制度です。
 しかも政府は、高齢者への医療を抑制することは、「現役世代のため」などと言っていますが、この制度がもっとも“威力”を発揮するのは「団塊の世代」が「後期高齢者」となった時です。そうなっても国の財政負担が増えないよう、国民負担増と給付抑制の仕組みをつくろうというのが「後期高齢者医療制度」の最大の狙いです。いまの高齢者はもちろん、将来、高齢者となるすべての国民から、医療を奪いとる最大の改悪です。

 都後期高齢者医療広域連合では今年8月に75歳以上の3000人を対象とした「後期高齢者医療制度に関する意向調査」を実施しています。回収は1,627人で回収率は54,2%となっていますが、これによると健康と回答した人は29.4%で70%の人が病気あるいは健康に不安を感じており、84,4%が治療を受けていると答えています。
 この状況を見ても、高齢者が安心して医療を受けられる状況の確保は広域連合の構成員としてもまた自治体の長としても区長には大きな責任があります。都広域連合として財源確保は急務であります。
 この間の、都広域連合や区長会等が政府に対し、国庫負担金は調整交付金を含めないこと、また調整交付金の全額支給や、物価水準の高い「特殊性」に対し特別調整交付金の支給を求めてきました。しかし政府は、調整交付金を当初の30%から58%と若干の増額はしたものの、国庫負担金や調整交付金のあり方を変えていません。豊島区議会では先の定例会最終日に、制度の抜本的見直しと、国庫負担の引き上げを求め、全会派一致で政府への意見書を提出しています。
 そこでまず質問します。
 第三回定例会で「制度の凍結と見直しを国に求めよ」との私の質問に対して、副区長は「国の動きを注視しつつ、対応を検討する。区独自では見直しを求める考えは無い」と答弁しました。しかし「国の動きを注視しつつ」などと悠長なことを言っているときではありません。荒川区などいくつかの自治体の首長は明確な意志表示をしています。
 07年1月現在で豊島区の75歳以上の後期高齢者は22,658人です。これらの区民に対して、命を守ることに最大限取り組むことが今求められています。
 今こそ区長として「制度の抜本的な見直し」と「大幅な財政支援」を国に直ちに求めるべきです。答弁を求めます。

 次に「後期高齢者医療制度」に対する区独自に取り組むべき施策について順次質問します。
 東京都広域連合は、11月20日に開かれた広域連合議会に保険料等の条例案を提案、わが党委員のみ反対、賛成多数で可決され、一人当たり平均年保険料102,900円、葬祭事業は行わない、保険事業は各区市町村に委託し自己負担を500円とするなどが決まりました。
 私は広域連合議会を傍聴しました。三鷹市選出の日本共産党の岩田議員は、一般質問、陳情への賛成討論、条例案への反対討論等をおこない、「制度実施は中止し全面見直しを」「国や都に財政支援を求めよ」など主張し条例の可決に反対しました。傍聴席は高齢者の方などでいっぱいで、真剣に聴き入っていました。

 さて条例は可決されました。悪い制度のもとでも、少しでも区民の命をまもるために改善が求められています。そこで区が最低限実施すべき点について質問します。
 第一の質問は、高すぎる保険料への減免制度の実施についてです。
 先に示したように都後期高齢者医療広域連合は一人当たり年平均保険料102,900円と決定しました。これは厚生労働省が示した年74,400円の1.38倍になっており、47都道府県の中でも最高額です。
 しかも現行の国民健康保料との比較では23区で年金収入388万円以下の高齢者のすべてが増額になります。75歳になったら収入も変わらないのに保険料があがる。特に年金収入200万円以下の低所得者には重い負担となりますが、本区では年金収入200万円以下の高齢者は75%をしめています。このような高齢者にどうして保険料を今より多く払えなどと言えるのでしょうか。
 先に示した意向調査でも、「保険料はこのままでよい」とする回答が60%をこえており、下げるべき、と負担すべきでないをあわせると8割をこえています。上げるべきとしたのは、わずか4,4%です。しかし実際には大半が引き上げとなり、年収400万円以上の収入の人が国保より下がります。
 しかも保険料は個人の収入に賦課し、減額制度の基準は世帯単位としています。知れば知るほど怒りがわいてきます。
 区長会・市長会・町村長会では、国からの普通調整交付金の減額のなかで、東京都への財政支援を85億円要望しています。このうち15億円の補助金があれば年収245万円までの人が所得割り減額をうけられるとしています。都民の医療を守るのは都の大きな役割です。
 そこで質問します。いま区民の医療を保障するためには、都の財政支援の確保は必要不可欠です。都に対しての大幅な財政支援を、区としても独自に求めるべきです。さらに区独自の軽減策もどうしても必要です。これを直ちに実施すべきと思いますがいかがですか。答弁を求めます。

 第二の問題は資格証の発行に関してです。
年金が月1万5,000円未満の人、無年金の人、年金を担保に借金をしている人などは「窓口納付」となりますが、保険料を滞納したら、保険証をとりあげられ資格証を発行するとしています。しかし現行の老人保健制度では、高齢者は、国の公費負担医療を受けている被爆者や障害者と同じく、保険証とりあげを禁止しています。これは高齢者は医療を奪われたらただちに命にかかわるからです。自治体では「発行しない」と明言しているところもあります。
 広域連合の説明では、貯金や生命保険なども含め、生活状況を十分審査し、審査会等合議体で慎重に対応するとしています。また「資格証を発行しないよう」求めた前回の私の質問に、副区長は「発行は慎重を期する」と答弁しました。
 しかし国保では、わが党の指摘に区は毎回「発行は慎重」との答弁を繰り返してきましたが、23区でもダントツ発行件数が多くなったままではありませんか。資格証は絶対に発行すべきではありません。答弁を求めます。

 第三は葬祭事業についてです。
都広域連合は、「各団体の国保の葬祭事業について現行の給付水準が異なること」、そして「保険料を下げるため」との理由で、葬祭事業を後期高齢者医療制度からはずし、各自治体の政策判断としました。
 よく高齢者から「せめて自分の葬式代だけは残したい」と言われます。これが高齢者の最後の願いなどとは、本当に悲しくなります。後期高齢者医療制度は75歳以上の大半の区民が強制加入させられ、死ぬまで保険料は強制的に徴収されるのです。「その後は知らない」などとはあまりにも冷たい仕打ちです。
 しかも「高齢者の医療の確保に関する法律」の86条では、「被保険者の死亡に関しては、条令の定めるところにより、葬祭被の支給または葬祭の給付をおこなうものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部または一部を行わないことができる」としており、圧倒的な広域連合では20,000円から50,000円の支給を計画しています。
 国保の給付額は現行7万円と低い金額ですが、一応制度はあります。74歳までに亡くなれば葬祭費が給付され、75歳過ぎれば“だめ”などとは本当におかしなものです。そもそも給付が、すべて保険料に跳ね返るという仕組み自体に最大の問題があるのです。
 葬祭事業を後期高齢者医療制度で実施しないのであれば、最低でも国保同様の内容で区独自に実施することを求めます。答弁を求めます。

 最後の質問、第四は保険事業、健診についてです。
 先に示した意向調査では91.3%の人が健康に気をつけていると言い、85.6%の人が健診を受け続けたいと答えています。そして75%の人が健診の効果は「安心感がもてた」と答えています。豊島区でも豊島区健診センターの資料によると、75歳以上の70%の人が健診を受けており、高齢者にとって健康の保持と疾患の早期発見は切実な願いであるということです。
 今回、区に委託された健診内容は、国保の特定健診を基本とし、胸部レントゲン、がん検診、骨粗しょう症など従来の健診項目は各自治体独自に実施となっていますが、内容は具体化していません。
 また、これまでの高齢者健診では対象者全員に受診券を送っていました。ところが、こんどは、お知らせの文書を送付し従来のがん検診などのように希望者は「受診券」を取りに来る方法を考えているとしていますが、これでは受診率は大幅に下がります。
 そこで質問します。
 区は、後期高齢者の生活の質の確保の観点から、健診の必要性を認めています。今回受託内容をみると現行との差が生じていますが、健診の必要性を踏まえ、いままでどおりの内容、方法で実施すべきです。答弁を求めます。

 次に500円の自己負担に関してです。
 広域連合は「受診、未受診者の公平を図るため」自己負担をつけたと説明しました。本来健診を希望する人が安心して受診できる環境を作るのが自治体の役割です。自己負担導入には何の道理もありません。保険料が上がり、反対に給付水準が大幅に下がることこそ大きな問題です。そもそも早期発見、早期治療こそ医療費抑制につながります。区では無料で実施すべきです。答弁を求めます。

 以上、高齢者が人間らしく生きられる区政実現を求め、質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。