HOME >区議会質問>第3回定例会 渡辺議員の一般質問
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
 

平成19年 第3回定例会(第13号 9月26日) 渡辺くみ子議員の一般質問

No.27 渡辺くみ子
 私は、日本共産党豊島区議団を代表いたしまして、「増税と医療改悪から区民のいのちとくらしを守る区政を」と題して、
第1に、増税から区民の生活を守ること、
第2に、後期高齢者医療制度と特定健診・特定保健指導について、
以上2点の質問をします。区長の答弁を求めます。
 9月12日、安倍首相は突如内閣総理大臣の職を投げ出しました。参院選で大敗しても、続投を宣言し、テロ対策特措法の延長は自分の職を賭してやるとまで言い、所信表明演説をやった直後の政権の放り出しは、一国の総理大臣として、まさに無責任の極みであります。自公政権は、構造改革で、年金、介護、医療、障害者施策、生活保護など、あらゆる社会保障の総改悪を進めてきました。社会保障への国や大企業の負担を軽減し、市場原理をテコに民間に担当させ、政府の責任を放棄し、国民には徹底して負担増と抑制、自立・自助を押し付けてきました。これらは、コムスン事件に象徴的に見られるように、大きな矛盾を生み出し、まさに憲法25条の生存権そのものを脅かすものとなっています。また、構造改革を主導する財界や大企業は、働く人のルールを奪い、リストラ・合理化を推し進め、不安定雇用・低賃金を増加させ、ワーキングプアをつくり、ネットカフェ難民を生み出し、自らは史上空前の儲けを上げているのです。そして、これらに対し、国民はさきの参院選で、貧困と格差の拡大、憲法改悪への策動、「政治とカネ」問題に、もう自公政権には政治は託せないと、厳しい審判を下したわけです。7月31日付の毎日新聞でも、「『構造改革』による生活破壊、‥‥半世紀にわたる自民党政治への歴史的審判」と指摘をされていました。ところが、安倍首相は、これらの結果を全く無視し、改革は厳しくとも続行していく、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させると、首相の座に居座り続けた挙句、ついに政権を投げ出したのです。まさにこれは、自公政権路線の破綻であります。

 では、増税から区民の生活を守ることについての具体的な質問に入ります。
 9月8日に、内閣府は、7月に行った国民生活に関する世論調査の結果を発表しました。それによりますと、日常生活に悩みや不安を感じている人は69.5%と、1981年調査開始以来2年連続、しかも過去最高となりました。反対に、不安を感じないが29%と過去最低です。項目別でも、老後の生活設計に対する不安が53.7%と一番多く、また、政府への要望は、年金・医療改革が7割でトップとなっています。
 さきの自民党総裁選の中では、構造改革路線をそのまま継承し、さらに消費税増税は避けられないと、消費税増税があたかも決まっているかのごとくの議論が行われてきました。そもそも消費税は、1989年に福祉のためと導入されました。しかし、消費税導入後の18年間を見ると、社会保障は悪くなるばかりです。19年間、国民が納めた消費税額の累計は188兆円、一方、1989年をピークとするこの間の法人3税の減収額は、159兆円に達しています。結局、消費税の大部分は大企業の減税の穴埋めに使われてきたのです。消費税は、生活困難者といわれる人にも容赦なく課税され、大金持ちほど負担が軽い、不公平税制の最たるものです。国民は深刻な貧困と格差拡大の中で、消費税増税はさらに格差拡大を招き、景気を低迷させ、多くの国民を一層苦しめるものとなります。これは、豊島区民も例外ではありません。
 そこで質問します。これ以上区民の負担を重くすることは、暮らしを破壊することになります。区長として、消費税増税にきっぱりと反対の意思を表明すべきです。答弁を求めます。
 さて、増税から区民の生活を守るための具体策について、2点質問いたします。
 第1は、区独自の住民税軽減制度の創設についてです。
 今年6月6日に区が納税通知書を送付後、税務課には8日に778件、1週間で1,771件の苦情・問合せが寄せられています。いかに区民が増税に驚き、不安を感じているかということです。8月初めに、私のところに80代のご夫婦から、「平成17年度は4,000円だった住民税が、18年度は4万1,000円、19年度は7万円に、この2年間で20倍近く上がった。区議会だよりに住民税の軽減を求める陳情が継続審査になったと書いてあったが、ぜひ軽減を実現してほしい」と訴えるはがきが来ました。また、70代の人は、「年金収入が200万円で今まで非課税だったのに、2005年度は所得税が3万円を超え、2006年度には住民税もかかり4万2,000円に、来年は非課税措置廃止の経過措置がなくなるので、どれだけ増えるのか不安」と訴えていました。
 区の資料によりますと、区民の納税義務者は約12万8,000人です。そのうち、課税標準額が200万円未満の人は約6万8,000人で、納税義務者の53%、半数を占めています。そして、この所得階層の人が住民税率5%から10%になり、一挙に倍になったのです。さらに、住民税に連動して、国民健康保険料では1万4,691人、介護保険料では4,606人が上がり、特に介護保険料では、多くの人が所得段階が2段階以上も上がっています。そして来年度、2008年度には、高齢者非課税措置廃止の激変緩和措置がなくなり、介護保険料や介護保険施設の使用料の激変緩和措置もなくなります。低所得者、特に高齢者には、今まで以上に増税と負担増が襲いかかります。その上、75歳以上には、後程述べますが、後期高齢者医療の保険料が新たにかかってきます。今すぐにでも何らかの手立てを講じなければ、住民の生活は破壊してしまいます。
 この間、我が党は、区独自の住民税軽減措置の実施を一貫して求めてきました。区は法に抵触するから実施は困難という態度に終始し、今年の予算委員会での我が党の追及で、法律上でも、区長の政策的判断で実施できることを明らかにしました。しかし、区長は拒否し続け、さきの第2回定例会で、我が党の垣内議員が改めて実施を求めましたが、ここでも区長は、高齢社会の持続可能な財政基盤の確立が何よりも重要として、またもや拒否しました。区長は、高齢社会の持続と言っていますが、今、目の前で多くの高齢者が増税で苦しんでいるのにこれを放置するということは、高齢者を見捨てるということではないでしょうか。さすがに石原都知事でさえ、都知事選の選挙前の今年3月、収入の低い人に過重な負担を与えてはいけないと、低所得者を対象として個人住民税所得割の全額軽減措置の実施を公約し、この8月には区市町村に軽減策の説明を行いました。ところが、9月8日、都知事は突然撤回してしまったのですから、公約違反以外の何物でもありません。また、定率減税廃止を率先して進め、この間の委員会では、増税は妥当と発言していた公明党までもが、先程の質問にもありましたが、区民への軽減策を区に申し入れています。これだけ区民の生活は厳しいということです。
 そこで質問します。今、まさに区民は減税を求めています。住民税の区独自の軽減制度はどうしても必要です。何としても実施すべきと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。
 救済策としての2つ目の質問は、税制改悪で区民が負担増となった施策の見直しについてです。
 第2回定例会の区民厚生委員会で、住民税の軽減を求める陳情が審査されました。この審査の際に、住民税軽減の実現を求める私の発言に対して、副区長は、税制改正に伴い影響のある76項目の施策について、給付制限の緩和等の検討を始めたことを明らかにしました。区の資料によりますと、税制改悪で影響を受ける施策は72項目となっており、そのうち、今回直接区民に影響を及ぼしているのは、国民健康保険料や介護保険料、保育料など、22項目となっています。保育料に関しては、さきの2定一般質問での我が党の要求に基づき、区は、昨年同様、保育料を据え置く方向で検討することを表明しました。しかし、その他の21項目では、例えば医療費の高額療養費自己負担限度額が増えた人は、3,900人を超え、そのうち高齢者は2,808人となっています。就学援助の判定では、何と50人もの子どもが対象から外されています。特に非課税世帯を対象とした7項目の減額制度では、4,553人が制度の対象外、あるいは負担増となっており、医療費自己負担の減額や介護サービス費の減額が受けられなくなっています。
 区民は、この間、財政難を口実にした区民サービスの切捨てで、多くの負担が課せられてきました。先日、80歳代の一人暮らしの女性が、「寝具洗いが400円になった。風呂の日も100円になったし、いろんなお金がかかるようになって大変」と訴えていました。これは、今年から寝具類洗濯乾燥事業に、契約単価の1割を利用者負担としたからです。区長は、この8年間で、おむつを取り上げ、入浴券・タクシー券の削減を行い、敬老入浴デーの有料化など、593項目の区民サービスの切捨てと負担増を進めてきました。特に700人もの高齢者からのおむつの取上げには大きな批判の声が上がり、今年度から受給要件を介護保険の所得段階4まで拡大しました。しかし、税制改悪で非課税から所得段階5になった人は2,631人います。この人たちは、税制改悪、そして区の福祉切捨てで、おむつの制度の対象から外されてしまったのです。このように、税制改悪で影響する22項目以外にも、負担増となった区民は多くいます。区が昨年度末までにため込んだ財調基金は64億円です。このごく一部を使うだけで、税制改悪で負担増となった区民への負担軽減策は実現できます。
 そこで質問します。こういう区民の暮らしの実態の中で、負担軽減策はまさに待ったなしです。直ちに実施することを強く求めます。税制改悪が影響している22項目について、給付要件の緩和など、全面見直しを求めます。答弁をお願いします。

 次に、大きな2つ目の質問、医療制度改革による後期高齢者医療制度と特定健診・特定保健指導に移ります。
 後期高齢者医療制度の質問に入る前に、既に行われている医療制度改革について触れておきます。2005年、自公政権は、医療給付費の抑制を最大の目的として、医療制度改革大綱をまとめました。そして、2006年6月に、この大綱に基づいた医療制度改革関連法案を提案、自民党・公明党のみで強行採決し、同年10月から具体的に施行されています。では、その内容はどういうものでしょうか。第1に、医療費自己負担率の引上げです。70歳以上の夫婦で年収621万円以上の現役並みの所得の高齢者の医療費の自己負担が、2割から3割負担となりました。しかも、税制改悪で年収520万円以上に引き下げられたため、現役並みの所得にされた高齢者は20万人も増えました。第2は、医療費の自己負担限度額の引上げです。現在、外来の負担額の上限は1万2,000円ですが、来年4月から、70歳から74歳の高齢者は2万4,600円となります。特に税制改悪で非課税から課税世帯となった人は、8,000円から1万2,000円となり、さらに来年からは2万4,600円になります。3年間で3倍に上がることになります。そして第3には、70歳以上で療養病床に入院した場合、食費と居住費がホテルコストとして月5万2,000円に引き上げられています。このように、既に高齢者、特に低所得者は医療が受けられない事態が生じています。ところが、来年4月から、70歳から74歳までの高齢者の医療費自己負担が1割から2割に引き上げられます。まさに高齢者を狙い撃ちにした医療費の連続負担増となっているのです。その上、もう一つ重大な問題は、介護保険料に倣って、65歳から74歳の国保加入者の国保料を年金から天引きするとしたことです。いろいろな自己負担を増やし、取るものは徹底して取る、本当にひどいやり方です。そして、一連の医療制度改悪の最大の柱である後期高齢者医療制度が来年4月から始まります。この制度は、75歳以上のすべての高齢者を現在加入している保険から脱退させ、高齢者だけの独立保険をつくる制度ですが、75歳以上の医療に制限を加える差別医療の導入など、内容が明らかになるにつれ、多くの問題が出てきています。たくさんある問題の中で、今回は3つに絞って質問します。
 まず初めに、東京都広域連合について伺います。
 この後期高齢者医療制度の運営主体、即ち保険者は、広域連合です。東京の場合は、都の62の区市町村が加盟し、一つの自治体として東京都広域連合で保険料や事業の条例を定め、運営をすることになります。しかし、東京都広域連合議員の定数は31で、加盟自治体の半分です。今期は豊島区議会で議員を出していますが、今後は議員も出せないまま決定に従わされることが当然起こります。区も議会も内容を十分知らされないまま進むということになります。そして、一番問題なのは、被保険者である区民が直接参加できず、住民の声が届きにくいということです。しかも、広域連合は議会の選出・体制も少数となっているため、住民の声が届きにくく、これは国が住民不在で進める仕組みを強制的につくったからです。
 そこで質問します。区長は、東京都後期高齢者医療広域連合協議会の委員となっています。区民の代表として、区民の声を反映させるために、あらゆる手立てを尽くすべきです。改めて、区長の姿勢についてお聞きします。いかがでしょうか。また、今、次々と問題が明らかになってきています。このまま進めれば、大きな混乱が起こることは必至です。まず凍結し、全面見直しを国に求めるべきです。答弁を求めます。
 2つ目の質問は、保険料についてです。
 国は、後期高齢者医療制度の保険料を、個人単位の賦課は広く浅く賦課できるなどとして、75歳以上のすべての高齢者から保険料を徴収する、しかも介護保険同様、1カ月1万5,000円の年金収入者からも保険料を天引きするという特別徴収としています。現在、年間収入が180万円以下の高齢者で扶養家族となっている人は、保険料はかかりません。ところが、今度は徴収対象となり、夫婦でも1人ずつ徴収されます。しかも、均等割と所得割を50対50とし、低所得者の負担が重くなる仕組みとなっています。
 さて、9月初めに、東京都広域連合から保険料の検討が発表されましたが、私は本当に驚きました。1人当たり平均の保険料は15万5,000円、この間厚生労働省が示している全国平均は7万4,400円、これの2倍に当たります。国民健康保険料と比較しても2倍近く高くなっています。保険料の試算表を見ますと、年収入が238万円の場合は11万4,000円で、介護保険料と合わせると1カ月1万5,000円近くの負担となります。年収300万円以下の場合、保険料21万円、介護保険料を4段階で試算しても1カ月2万1,000円を超す負担となります。70代後半となれば、ほとんどの人が年金のみの収入で、しかも年間200万円以下の人が多いといわれています。そういう人から国民健康保険料より高い保険料を強制的に徴収するのですから、本当にひどい制度と言わざるを得ません。
 では、なぜこんなに高い保険料となっているのでしょうか。まず、財源構成の仕組みが大きな問題です。資料によりますと、公費負担が50%で、そのうち国庫負担が12分の4、都と区が12分の1ずつ、他の50%は高齢者の保険料と他の保険者からの支援金で占めています。ここで問題なのは、国が負担分の12分の4を全額出さず、12分の1を調整交付金とし、この調整交付金12分の1を按分するとしていることです。政府は、平均的な所得水準の広域連合、平均的な所得水準より低い広域連合、平均的な所得水準より高い広域連合と分け、都の広域連合は、当然平均的な所得水準より高い広域連合に該当するから、30%しか交付しないと勝手に決めています。これではさすがに困ると、9月12日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の広域連合は、厚生労働大臣に対し、国庫負担12分の4の全額交付と、調整交付金は別枠で確保することを緊急要望として提出しています。さらに問題なのは、保険料の設定に関することです。保険料は2年ごとに改定しますが、高齢者人口の増加、医療費給付の増加など、それらがすべて保険料に跳ね返ります。これでは際限なく保険料が引き上げられるということで、この仕組みこそ問題ではないでしょうか。そして3つ目の問題は、保険料が払えなければ、資格証の発行、即ち保険証の取上げが行われるということです。保険料の普通徴収の対象者は、無年金の人と年金を担保に借金をしている人です。年金を担保に借金をしている人にとっては、年金収入そのものに保険料がかかるため、支払えない人が出ることは容易に想像できます。今、国民健康保険では、資格証のため病院にもかかれず命を落とす事件が続発して、大きな社会問題となっています。しかし、その国保でさえ、公費医療の対象者や高齢者には、資格証は発行していません。そもそも、高齢者医療制度に資格証の発行を導入すること自体が間違っています。
 そこで質問します。後期高齢者が安心して医療が受けられるようにするために、まず保険料を下げることです。保険料を下げるために、区長はあらゆる手立てを尽くすべきです。そのために、国に対し、制度の抜本的見直しと財源確保を要求すべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。また、高齢者に対して、保険証の取上げは、まさに死ねということです。東京都広域連合として保険料の減免制度をつくるよう、改善を要求すべきです。さらに、資格証の発行は区の責任となっています。区は資格証の発行をしないこと、区独自の保険料の減免制度をつくり低所得者対策を講じることは、区長の責任でできることです。明確な答弁を求めます。
 後期高齢者医療制度についての最後の質問は、高齢者の健診についてです。
 老人保健法では、早期発見により健康の保持増進を図るためとして、高齢者健診を実施してきました。ところが、国は、75歳以上の高齢者に対し健診しても効果が薄いと、実施について広域連合の判断に委ね、財源措置を一切していません。東京都広域連合では、健診をなくすことは住民の理解を得られないと存続を決定しましたが、健診内容は生活習慣病のみで、今までの高齢者健診の健診項目を大幅に減らしています。豊島区では、高齢者健診で70歳以上の受診率は60%を超えており、健康保持の意識は高齢になればなるほど高まるのは当然ですし、健診によって早期治療につながり、医療費も総体として減ります。高齢者健診は、基本検査のほかに、医師が必要と判断した場合、胸部レントゲン、心電図、聴力、脊椎検査なども行われ、肝炎ウイルス検査、女性には骨粗しょう症検査として骨塩定量検査を実施してきました。また、自治体検診の一つである胃がん検診は、昨年、70歳以上で477人が受診しており、3割は異常なし、がんの疑いは11人となっています。これこそ疾患の早期発見につながり、寝たきりを予防し、健康に老いる大きな支援となるものです。健診しても効果が薄いなどとは、本当に許せない発言です。
 そこで質問します。東京都広域連合が示している健診項目はあまりにも少な過ぎます。健診は従来どおり希望者が全員無料で受診できるよう、都広域連合に要求すべきですが、いかがでしょうか。また、豊島区では、従来どおりの高齢者の健診を引き続き無料で実施すべきです。そのためには区独自の財源を使ってでも行うべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 質問の最後は、医療改革のもう一つの柱、特定健診と特定保健指導についてです。
 第1は、健診内容についてです。
 国は、今回の改定で、今まで老人保健法で行っていた40歳から64歳までの節目健診から、対象年齢を40歳から74歳までとし、各自の加入している保険者が健診を行うとしています。また、健診内容についても、国民の医療費の約3割が生活習慣病で使われ、死因別死亡率でも6割が生活習慣病として、健診内容を生活習慣病、即ちメタボリックシンドロームに限定しました。しかし、豊島区では、今までも生活習慣病は壮年期からの予防を必要とするため、成人保健対策の一環として、節目健診を1984年から実施してきました。現在の健診項目を減らす必要はないはずです。さらに、疾患の発生には、今回強調されている生活環境だけではなく、遺伝的要因、労働環境などの外部環境要因などが当然影響します。だからこそ従来から、重点は生活習慣病に置いたとしても、健康状態全般を対象とした健診が行われてきたのです。
 節目健診は、肝炎ウイルス検査や女性に対しての骨塩定量検査も実施しています。昨年度の節目健診の受診率は、40代から50代では対象者数全体の約30%、60歳から64歳では40.6%となっており、健康保持に対する意識は高くなっています。肝炎ウイルス検査は、肝炎が大きな問題となった2002年度から導入されるようになり、受診者は健診受診者の半数を占めています。豊島区では、長年の区の取組みで、区民の健康を守る役割を担ってきました。また、今回豊島区が責任を持つのは、国民健康保険に加入している区民のみとなります。国民健康保険加入者以外の区民、保険未加入の区民、生活保護受給者の健診などについては対象から外されることになり、これまで受けていたのに、健診を希望しても受けられない区民が出てきます。
 そこで質問します。疾患の早期発見・早期治療が医療費削減につながることは、過去の様々な経験から実証されています。区は、区独自に、従来の健診項目を今までと同様に無料で実施すべきです。区独自のがん検診も継続すべきです。また、自治体は、全区民の命と健康を守る役割を持っているはずです。健診を希望する区民については、対象から外すことがないようにすべきです。そのためにも、区の独自の財源を上乗せしてでも、現行と同じような健診を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 第2の問題は、特定保健指導制度についてです。
 各保険者は、40歳以上の加入者への特定健診の実施と保健指導が義務付けられました。そして、各保険者の特定健診の受診率、特定保健指導の実施率、メタボリックシンドロームの減少率により、後期高齢者保険の拠出金を加算、あるいは減算するというペナルティが課せられる仕組みが導入されました。豊島区では、健診対象者を5万1,000人、5年後の2012年には、受診率65%で3万3,200人としています。そして、2012年にはメタボリックシンドロームの該当者及び予備軍が10%減になることを目標値に掲げています。問題なのは、特定保健指導を民間に委託するということです。受診者が一番守られなければならない、そして保険者が一番気をつけなければならないのは、個人の身体に関する情報です。区民はこれまで、医療機関は守秘義務があること、そして個々の信頼関係で健診を受け、指導を受けてきました。今度はそれを区が一方的に委託した民間の業者に提供されることになりますが、これでは個人情報の垂れ流しと同じではないでしょうか。
 今、インターネットを開くと、ビジネスチャンスと健康推進事業などの宣伝がたくさん掲載されています。お試し期間の宣伝もあります。まるで来年の4月を待っているようです。区民の健康管理がビジネスチャンスの対象となっているのです。しかも国は、保険者に対して、先程も申し述べましたが、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍が目標値よりも減少しなかった場合、ペナルティとして後期高齢者保険の拠出金、即ち、各保険者から支援金を規定より多く出させるというのです。結局、各保険者の保険料に跳ね返る仕組みとなっています。国が負担金をどんどん減らし、国民に課すなどとは、本当にひどい話です。
 そこで最後の質問をします。特定保健指導制度、市場競争につながる民間への委託はやめるべきです。そのためにも、制度全般の見直しを求めるべきです。保健指導は、保健所などを含め、区が直接責任を持って行える施設とすべきです。答弁を求めます。
 以上で質問を終わります。区民を守る立場に立った区長の答弁を期待いたします。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
  〔高野之夫区長登壇〕

No.28 区長(高野之夫)
 ただいまの渡辺くみ子議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
 まず、消費税増税に反対の意を表明すべきとのご質問にお答えいたします。
 既に政府は、平成21年度に基礎年金の国庫負担率を現在の3分の1から2分の1に引き上げる方向を打ち出しておりまして、その3兆円弱の財源を確保する選択肢として、消費税率の引上げが議論されております。しかし、年金問題に対する国民の信頼が揺らいでいる現時点では、たとえ福祉目的に限定したとしても、消費税の増税に対する国民の理解を得ることは難しいのではないかと考えております。今は、一日も早く、一連の年金問題に対する抜本的な改革案を政府が示し、国民が安心できる社会保障制度の将来展望が示されることが重要ではないかと思います。消費税のあり方については、政府が示す社会保障制度の全体像を踏まえて判断すべきことでありまして、現時点では、私の考えを申し上げることはできません。
 次に、住民税について、区独自の軽減制度を実施するべきとのご質問にお答えいたします。
 東京都が実施するとしておりました低所得者層に対する課税軽減措置を取りやめることが、去る9月7日に発表されました。3月に地方税法第6条を根拠として軽減措置を実施することが公表されて以来、本条項の解釈適用につきましては、「納税義務者に係る一定の事由に該当することを理由として一律かつ無条件に当該税負担を軽減するような措置を講じることのないよう留意すること」とする総務省通達からも、疑問があるものと考え、東京都の検討結果について注目してまいりました。この度、図らずも最終的な法律解釈論に至らずに検討が打ち切られることとなったわけでございますが、このことは、地方自治体が単独で、非課税措置の実施を初め、課税免除の措置を講じることの困難さを象徴しているようにも映ったのでございます。さらに、都が軽減措置を見送る理由として挙げております1人当たりの軽減はわずかであり、効果は限定的であること、また、一律の基準で対象を判定せざるを得ず、真に困窮していない人も軽減対象となることなどは、当初より23区サイドから指摘してきたことでございまして、ここでも、税制度として低所得者層への負担軽減を行うことの困難さが露呈されることになったと考えております。また、これまでの一連の税制改正の趣旨については、前回もお答えいたしましたように、急速に進行しております高齢社会で持続可能な財政基盤を確立することが何よりも重要であるとして、国家としての税制改正を行ったものと理解しています。したがいまして、自治体が独自にこうした税制改正の趣旨を修正することについては行うべきでないという考えに変更はございません。
 次に、税制改正に伴う負担軽減策についてのご質問にお答えいたします。
 既に調査結果をお示ししたように、老年者控除の廃止や65歳以上の非課税措置の廃止など、平成17年度以降の一連の税制改正の影響については、ほぼ、その影響の有無や範囲等についての確認を終えたところであります。最も影響が大きいのは、国民健康保険と老人保健医療の関係ですが、高額療養費の自己負担額の改定については、政令により激変緩和措置がとられており、国民健康保険料についても、住民税のフラット化に合わせ、既に特別区独自に激変緩和措置が講じられたところでございます。影響が大きな国民健康保険事業でございますが、国民健康保険法の下、23区の共通基準により事業水準の均衡を図っている制度につきまして、豊島区が独自で負担軽減策を実施することは困難であると考えております。なお、国民健康保険料については、税制改正の影響を受けやすい住民税方式を改め、所得をベースとした旧ただし書き方式を導入すべく、現在、副区長会において、検討を進めているところでございます。また、介護保険料については、次期4期の保険料改定において、できる限り保険料の増額を抑えるとともに、より累進性を高め、低所得者に配慮した保険料体系を構築したいと考えております。その他の一般施策については、税制改正による影響は大小様々でございますが、個々の事業について、負担増のレベルや軽減方法等について十分に検討いたしまして、来年度の予算編成に向け、対策の必要性を判断してまいりたいと思います。
 私からの答弁は以上でございますが、その他の質問につきましては、副区長から答弁させます。
  〔水島正彦副区長登壇〕

No.29 副区長(水島正彦)
 次に、医療制度改革による後期高齢者医療制度と特定健診・特定保健指導についてのご質問にお答えいたします。
 まず、広域連合に区民の声を反映させることについてのご質問にお答えいたします。
 広域連合は、域内住民の代表としての広域連合議会、区長及び市長で構成する協議会、さらに、いくつかの検討組織を重層的に持っております。こうした場での区民の声を、適宜広域連合へ伝え、運営に反映させるための努力を行うことは当然のことでありまして、広く関係者の意見を聞く姿勢を持ち続けてまいりたいと考えております。
 次に、制度の凍結と見直しを求めることについてのご質問にお答えします。
 ご案内のとおり、広域連合では、9月12日に、1都3県の広域連合長が連名で厚生労働大臣あてに要望書を提出するなど、様々な努力をしておるところであります。今後、広域連合とともに、国の動向を注視しつつ、対応を検討してまいりますが、現時点で、区として独自に見直しを求めていく考えはございません。今後も、区は広域連合を構成する一団体として、粛々と準備を進めてまいります。
 次に、保険料についてのご質問にお答えいたします。
 まず、保険料を下げるための制度見直し等を国に要求すべきとのことについてであります。これにつきましては、さきの要望書の中で、財政的支援等も含めて求めているところでございます。区といたしましても、その動向を注視していきたいと考えております。
 次に、広域連合及び区独自の減免制度につきましては、既に法令により低所得者世帯に配慮した均等割額減額の制度が組み込まれておりますので、広域連合及び区において独自の減免制度を設けることは考えてございません。
 次に、資格証明書につきましては、法律にその発行が定められております。広域連合は法定どおり資格証明書を発行することを予定しておりますが、区といたしましては、その発行については慎重に取り扱わねばならないと認識しておりまして、今後、発行に当たっては、弁明の機会の付与や区に審査会を設置するなど、慎重を期してまいりたいと考えております。
 次に、高齢者の健診についてのご質問にお答えいたします。
 まず、希望者が全員無料で受診できるよう広域連合へ要求すべきとのことについてであります。これにつきましては、区といたしましても、後期高齢者の生活の質を確保する観点から、その必要性については強く認識しております。したがって、実施主体であります広域連合に働きかけてまいります。
 次に、後期高齢者の健診を引き続き無料で実施すべきとのことでありますが、今後、実施主体の広域連合が受託する側の区に示す委託内容を検討いたしまして、区として対応を検討してまいります。
 次に、特定健診と特定保健指導についてのご質問にお答えいたします。
 まず、従来の健診項目を今までと同様の無料実施にすべきとのことについてであります。平成20年度から実施する特定健診は、メタボリックシンドロームに着目し、特定保健指導の対象者を見つけ出すことを目的とするものであり、従来の健診とは目的を異にするものであります。したがいまして、必要な健診項目も、実施にかかる費用も異なってまいります。一方で、これまで区民から自己負担をいただくことなく実施してまいりました節目健診・高齢者健診は、大変内容的にも充実したものであると考えておりまして、区民の皆様にも深く定着し、多くの区民にご利用いただいてまいりました。健診のレベルを落とさず、引き続き魅力ある健診としていくために、様々な課題について、現在、豊島区医師会を交えて検討しておりますが、自己負担の設定可否につきましてはいまだ結論が出ておりません。しかし、お尋ねの区独自のがん検診につきましては、予定どおり、来年度も現行同様の制度で継続してまいりたいと考えております。
 次に、健診を希望する区民に対して、現行と同様な健診を行うことについてであります。平成20年度から健診の実施が各医療保険者に義務付けられますが、国保以外の健康保険に加入している区民の方は、各医療保険者の責任の下に、その指定する健診機関に行っていただき、健診を受けていただくことが基本となります。各保険者の指定する健診機関に行けない方につきましては、医療保険者がどのように対処するのかを決めることになりますが、いまだ多くの医療保険者は、その方向性を具体的に示していない段階であります。現在、国は、各保険者の代表機関が包括的な契約を行う新たな契約形態を提案しておりまして、国保、他の保険者及び医療関係者との協議が進行中であり、区といたしましては、その動向を注視しつつ、対応を検討してまいります。また、生活保護受給者に対する健診につきましては、引き続き、保健所が実施する住民健診で対応してまいります。さらに、健康保険に加入していない方に対しましては、適切に健康保険加入を指導させていただき、その医療保険者の下で実施する健診を受けていただくこととなります。
 なお、先程来のいくつかのご質問に関し、いずれも区の独自財源を上乗せするのか、代替するのかなど、事業の成否に財政問題が深く関わってまいりますが、20年度予算編成全体の中で、その実行については判断してまいりたいと考えております。
 次に、保健指導の民間委託と制度見直しについてであります。特定保健指導は、民間委託抜きにこれを行うことは大変難しいと考えておりまして、これまでもご説明してまいりましたように、委託の方向で検討を進めております。しかし、委託に際しましては、受託事業者に対し、個人情報保護のためのデータ取扱いの制限や安全確保についての措置を講ずる義務について厳しく対応し、区の指導・監督の下に、万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、特定保健指導の内容につきましては、国がその指針で詳細を示しております。その中には、IT機器を利用した指導や支援、対応時間も含まれており、さらに特定保健指導の受診を容易にするため、土・日、祝日、夜間の時間帯設定など、区民の利便性に配慮した取組みが必要であることも謳われております。これらをすべて直接区が行うことは困難であります。したがいまして、特定保健指導は、豊島健康診査センターをどのように活用するかも含め、区民の利用しやすいものとして、効率的に実施できるよう検討してまいります。なお、制度の施行につきましては、法が定めるとおり、遅滞なく準備を進めることとし、現時点では見直しを求める考えはございません。
 以上をもちまして、渡辺くみ子議員のご質問に対する答弁を終わります。

No.30 渡辺くみ子
 再質問します。細かいことは避けます。
 基本的なところを伺いたいんですが、この間、私どもは区長に対して、住民税の区独自の軽減制度をずっと要求してきました。今回のご答弁も、前回と同様、高齢化社会が来るので財政基盤を確立するためというご答弁だったんですよね。私は、今回の質問の中で、今、目の前に多くの高齢者の人たちが困難だと、大変だと言っているんだと、この人たちをきちんと救済しないで、それでいいんでしょうかという質問をさせていただいたんです。こういう、今の区民の、特に高齢者の置かれている実態に対しての認識は、いかがなんでしょうか。

No.31 区長(高野之夫)
 ただいまの再度のご質問、目の前に困窮している人、そういう人たちを考えているのかというような趣旨だと思っております。当然、困っている方等々については十分認識はしておりますが、前回からもずっと答弁しておりますように、高齢化社会の持続可能な財政基盤を確立するというような形の中でお答えしているとおりでありまして、もちろん今おっしゃっているようなことも十分認識した上で、これからも十分考えていくというつもりでございます。

No.32 渡辺くみ子
 質問は2度ということですから、あえてもうここでしませんが、基本的には私は、認識をされていても、それに対する具体策をとらないということは、認識していないんだろうというふうに思うんです。ですから、今回の質問でも言わせていただきました、それなりにお金を黒字財政という中で貯め込んでいる部分というのはあるわけですから、私はやはりそういう一部を使ってでも区民をきちんと救済すると、そのやり方はいろいろな形があると思いますので、これというふうにあえて指摘はしませんが、やはりそういう姿勢で区政にきちんと臨んでいただきたいと、このことを再度要望しまして、質問を終わります。