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区議会質問
 

平成19年 第2回定例会(第 8号 6月20日) 儀武ぎぶさとる議員の一般質問

No.24 儀武さとる
 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、「介護保険の改善、廃プラ焼却計画の撤回を求める」と題して、一般質問を行います。
第1に、高齢者福祉、介護保険の緊急に改善すべきことについて、
第2に、巣鴨豊寿園の存続について、
第3に、廃プラスチックサーマルリサイクル実施方針の撤回を求めることについて

であります。区長の明快な答弁をお願いいたします。

 5月25日、東部区民事務所で行われた区民と区長の対話集会で、冒頭、区長は30分程、史上最悪の財政状況から出発して2期8年で財政健全化をほぼ達成したと実績を強調しましたが、区民から出た意見は、児童館を存続すべき、学童クラブの非常勤職員がくるくる代わって困る、学童クラブに108人も詰め込まれ、連絡ノートも特別なことがない限り記載がない、子どもの状況がよくわからない、銭湯がなくなり、高齢者がタクシーを使って遠くにある銭湯に行かざるを得ない、区は老人福祉センターのお風呂をなくし高齢者は困っている、復活してほしい、プラスチックを燃やすのはやめてほしいなど、区民の生活実感は、区長の実績宣伝とは裏腹に大変厳しい意見が次々と飛び出したのです。
 自民・公明政権の下で、定率減税の半減・廃止による増税と年金、医療、介護など連続改悪による負担増で、区民の暮らしはますます苦しくなっています。本来、国の悪政から区民の暮らし、福祉を守るべき区政が、追い討ちをかけるように福祉、教育など区民サービスを500項目以上も削りに削って、160億円もため込む一方、東池袋四丁目の再開発事業に莫大な税金を注ぎ込み、大型開発を優先する区政を進めた結果、区民の暮らしは一層深刻です。区民から、これ以上の負担には耐えられないと悲鳴が上がっています。区民の声をどう区政に反映させるか、まさに、今、そこが問われているのです。区長は、今こそ区民の意見に耳を傾けて、区民の暮らし、福祉、子育てなどを最優先する区政に転換すべきです。
 そこで、第1に、高齢者福祉、介護保険の緊急に改善すべきことについて質問をします。
 今、社会問題となっているコムスンの問題について一言触れます。介護業界最大手のコムスンは、実態のないヘルパー届け出、介護報酬の不正請求、処分逃れなど、あまりにもひどい実態が次々と明らかになっています。これは、公的サービスへ株式会社を参入させる規制緩和を行い、公的介護を後退させ、介護、福祉を営利企業に委ねた結果であり、起こるべくして起きたことです。今回の事態は、まさに我が党が指摘したとおりになりました。国の責任は重大です。コムスンのサービスを受けている6万人を超える高齢者が介護不安にさらされていますが、豊島区内でも、3事業所、約150人がサービスを受けています。利用者には区が責任を持って、安心して介護が受け続けられるように早急に対応すべきです。
 では質問に入ります。まず、介護の基盤整備の拡充についてであります。
 特別養護老人ホームの入所待ちは、厚生労働省の発表で、昨年3月で38万5,000人にも上ります。さらに、昨年6月、自民、公明の与党で強行成立させた医療改悪法で、38万床ある療養病床を、2012年3月末までに23万床も削減し、15万床にする計画です。今でさえ医療難民、介護難民という言葉がマスコミをにぎわしていますが、医療改悪法が具体化されると6万人が医療・介護難民に追い込まれると、日本医師会が昨年10月に緊急調査を行い明らかにしています。
 今後、医療と介護の施設不足は深刻な問題になることは必至です。豊島区内でも、癌研病院の移転、橋本病院、恭和記念病院、敬愛病院などの廃止が相次いでいます。介護3施設の基盤整備も遅れに遅れています。豊島区の特養ホーム待機者は、2007年4月現在、998人です。そのうちAランク待機者は237人です。Aランクなどと区が勝手にランク付けをしていますが、本来、入所希望者は全員特養ホームに入れるようにするのが介護保険制度の役割です。介護保険料を強制的に徴収して、必要とする介護サービスを受けられないのでは、まさに契約違反です。百歩譲って、少なくともAランクとされた待機者がすぐにでも入所できるように特養ホームの建設計画を立てるのは、区の責任ではないでしょうか。今まで、区は、特養ホームの建設については民間施設を誘致するとしていましたが、癌研跡地などへの誘致を失敗してきました。民間頼みでは基盤整備が進まないことは明白です。
 そこで質問します。第1回定例会で、我が党の垣内議員の質問に対して、区長は、29人以下のユニット型の小規模特養ホーム1カ所、認知症の高齢者のグループホーム2カ所、小規模多機能型介護施設を3カ所など、合わせて7カ所の介護施設を整備する計画であります、これに加えて、小規模多機能型介護施設2カ所を含む地域密着型介護施設を3から4カ所を追加、整備する方向で現在検討しておりますと答弁いたしました。では、検討結果がどうなっているのか、進捗状況について詳しくお答えください。また、区長は、懸案となっています100床規模の広域ユニット型特養ホームの整備については、区として引き続きの重要課題と捉えていますと答弁いたしました。区長選挙での区長のマニフェストを見ますと、「弱者を守る「安心ネットワーク」を強化」「特養ホームや老人保健施設の建設計画達成」を掲げています。自らのマニフェストに責任を持つのは当然ではないでしょうか。現在の整備計画が進んだとしても、特養ホームの待機者数を解消できないのは明らかです。区長は、重要な課題として捉えているのなら、100床規模も含めて、Aランクとされた待機者が直ちに入所できる特養ホームの建設を強力に進めるべきです。明確な答弁を求めます。
 次に、介護保険料の減額制度の拡充についてです。
 昨年は、定率減税の半減による住民税の増税、非課税限度額の廃止、介護保険料の31%の値上げなどで負担が大幅に増えました。これまで介護保険制度は、給料や年金から保険料を容赦なく徴収する一方、基盤整備は遅れており、低所得者には利用料の負担が重いなど、保険あって介護なしと指摘されてきました。今回の改悪で、一層の負担増に加えて、介護度の低い高齢者から介護サービスを取り上げる制度に変わっています。まさに、保険料だけ取り立てて介護は受けさせない制度へと、介護保険は重大な変質を始めています。その責任は、自民、公明に加えて民主党も賛成して成立した改悪介護保険法にあることは言うまでもありません。介護保険料が高過ぎて年金がなくなると、区民の悲鳴をよく聞きます。現在、区の介護保険料の基準額は、年間で5万2,359円、月額で4,363円です。基準額が5万2,359円ですと、大多数の国民年金受給者の1カ月分が介護保険料として消えてなくなるのです。
 これまで、我が党は、保険料が払えずに介護が受けられない状態をつくってはならないと、保険料の減免制度を求め実現してきました。2005年度の実績は111件、毎年100件前後の対象者で推移してきました。しかし、2006年度は43件です。しかも昨年、介護保険料減額制度の申請要件である収入金額、預貯金の基準が緩和されたので、減額制度を利用する人が増えると思ったら、逆に減っているのです。区は、所得段階第2段階の方が第1段階と同じ保険料になり、第2段階の方は既に減額されているので申請する必要がないためと説明しています。しかし、昨年から保険料の引上げと区分変更が行われ、そして公的年金控除の縮小、老齢者非課税措置の廃止で、保険料の負担が大幅に増えました。さらに今年は定率減税全廃で、保険料の区分が上がり、また負担増が強いられています。豊島区で、非課税から課税に移行した世帯は、昨年の7月1日現在、3,606件となっています。今年の第1回定例会での我が党の質問に、区は2年間の激変緩和措置をとったとしていますが、住民税非課税世帯を対象とする3段階から5段階となった人は、3段階と比較すると1.44倍に上がります。激変緩和措置がなくなる来年度は1.67倍に上がります。
 そこで質問します。多くの区民が今までと収入が変わらないのに保険料負担が増えています。先程も述べたように、減額制度の利用者が毎年100件前後で推移してきましたが、昨年実績が43件だったということは、制度として役立っていないということであります。減額制度の申請要件を緩和し、保険料所得段階を第4段階まで制度の拡大を図るべきです。答弁を求めます。
 次に、介護サービスの削減についてです。昨年の4月から改悪介護保険法が全面施行され、今まで介護保険で利用してきた介護ベッド、車椅子、ヘルパーやデイサービスなどを高齢者から無慈悲に取り上げています。
 最初に、ヘルパーの取上げについてであります。西巣鴨に在住のAさん、介護度1、83歳は、週1回、買い物、掃除をヘルパーに依頼していたが、50代の息子と同居しているので、ヘルパー利用を打ち切られました。息子と同居しているから高齢者からヘルパーを取り上げることは、あまりにも乱暴なやり方です。これまでヘルパーの家事援助があったからこそ、何とか生活を保ってきたのです。息子と同居しているとはいえ、息子は仕事が忙しく、時には残業をしなければならないときもあり、ヘルパーの家事援助はどうしても必要です。このような事例は枚挙に暇がありません。
 そこで質問します。介護予防を口実にヘルパーを取り上げられ困っている高齢者が多数います。ヘルパーの家事援助があってこそ人間らしい生活を送れてきたのです。サービスを切り捨てられた高齢者を救済するため、区独自にヘルパーを派遣すべきではありませんか。いかがですか。答弁を求めます。
 次に、電動ベッドと電動車椅子についてであります。巣鴨在住のKさん、介護度1、67歳は、昨年10月から電動ベッドと電動車椅子を取り上げられ、日常生活が大変不便で困っています。医療機関を利用するときや商店街で買い物をするときなど、誰にも気兼ねすることなく1人でできたことができなくなり、今では、行動範囲も制限され外出する機会も減ったと話しています。年間5万4,000円も保険料を払っているのにべッドや車椅子を取り上げ、介護保険が使えないとはけしからんと怒っています。
 そこで質問します。電動車椅子は、足腰が弱っている人や荷物を持てない人が社会参加をする上でなくてはならないものです。バリアフリーが大きな流れになっていますが、これに逆行するものです。本来は介護保険で給付をするのが当然ですが、従来の介護保険程度の負担で必要なサービスを使えるように、区が独自に補助をすべきではないでしょうか。お答えください。

 第2に、巣鴨豊寿園の存続についてであります。
 区は、2004年10月、公共施設の再構築・区有財産の活用実施プラン(素案)で、巣鴨豊寿園を2007年度で廃止し、施設を返却するとしています。昨年の第3回定例会に区民から巣鴨豊寿園の存続を求める陳情が提出され、その審議の中で、菊かおる園の隣地に建築が可能かどうか検討する、それまでは、つまり代替施設が建設されるまで、廃止はしないということです。巣鴨豊寿園は、高齢者在宅サービスセンターとして、この地域にどうしても必要な施設です。利用定員25人、利用実績は2005年度で1日平均23.3人、延べで7,139人が利用し、稼働率は93%です。巣鴨在住89歳の女性の方は、豊寿園で詩吟をすると皆が喜ぶ、私も呆けないし、楽しいから頑張って行くんだと話しています。
 そこで質問します。巣鴨豊寿園は、白山通りから北区側の巣鴨、西巣鴨、駒込地域などの利用者が多く、この地域になくてはならない唯一の施設であります。巣鴨豊寿園だからこそ歩いて行けるのです。廃止計画を撤回し、巣鴨豊寿園を存続すべきです。答弁を求めます。

 第3に、廃プラスチックサーマルリサイクル実施方針の撤回を求めることについてであります。
 豊島区は、廃プラスチックサーマルリサイクル実施方針を作成し、来月の7月から約3%の地域、駒込一丁目、目白五丁目を試行モデル、10月からは10%の地域で本格モデルを実施し、モデル実施結果を検証した後に、本格実施を2008年10月から区内全域で行うとしています。これは、2005年の10月の区長会で、23区の廃プラサーマルは、2008年度を本格実施の時期と定めるとする決定を忠実に実行するものです。この計画は、最終処分場の延命を大義名分にし、廃プラスチックを焼却、その熱エネルギー利用で電気を生み出すサーマルリサイクル事業を行う合弁会社を昨年10月に東京ガスと清掃一部事務組合(以下「清掃一組」という。)が設立し、その電気を小売りし収益を上げるとともに、清掃工場の管理・運営を任せるものです。実施方針では、廃プラ焼却の大義名分として最終処分場の延命を掲げ、一般廃棄物で埋立処分される容積の約60%を廃プラが占めることを殊さら強調しています。
 ごみが清掃工場で焼却された後の灰や圧縮処理されたプラスチックごみなどは、現在、東京湾に埋められています。その最終処分場の延命のためには、容積が嵩高いプラスチックを燃やすしかないというのです。しかし、最終処分場の延命を言うなら、最終処分場の全体の中で廃プラの割合を見なくてはなりません。特別区助役会の検討文書「最終処分場の延命及び確保」(2005年9月)に掲載された数字を見ると、廃プラは重量比で最終処分場の全体の中のわずか5、6%程度に過ぎません。清掃一組が強調している容積比でも、最終処分場の全体の中の一般廃棄物は20%しか占めていません。つまり、最終処分場の全体に占める廃プラは、容積比で見ても10%程度でしかなく、それ以外の約90%は河川や港湾の浚渫土と産業廃棄物などであります。最終処分場の延命問題は、東京のごみ問題にとって重要な課題であることは間違いありませんが、埋立処分の実績から見て、東京の都市づくり全体の中で検討されていくべきであり、最終処分場を管理・運営する東京都の責任が大きいのです。
 では、廃プラ焼却の本当のねらいはどこにあるのか。それは、大企業、国、自治体が廃プラの再利用負担から免れることにあります。ペットボトルを含め、現在でも廃プラの再利用に事業者は450億円程度負担していますが、自治体は、分別・運搬・処理経費のために、それを何倍も上回る負担をしています。廃プラは増え続けており、今後本格的に廃プラの再利用を行うためには事業者負担だけで1,000億円を超えるのではないかと予測されています。国と大企業が進める大量生産・大量消費路線により発生し拡大する廃プラ問題を安易に焼却して解決しようとするところに、今回の計画の真のねらいがあります。
 各家庭では、これまで不燃ごみとして分別していた廃プラを可燃ごみとして排出することになります。これは、分別して資源回収に協力するという住民の熱意に水を差し、どうせ燃やすのだからと、ごみの排出抑制の意識を弱めることになりかねません。自治体も住民も、焼却主義の流れに放り込まれることになります。ごみ問題解決の基本は、生産者の責任を製品が廃棄された後の処理まで拡大する拡大生産者責任を明確にした発生源抑制を強化するとともに、住民の参加と協力の下で、ごみを多分別回収し、リサイクルの軌道に乗せ、ごみの減量を図っていくことにあります。現に、横浜市では、廃プラを家庭ごみに混ぜて収集していたものを15分別収集に切り替え、5年間で33%のごみ減量に成功し、06年2月から2つの焼却工場を閉鎖しています。
 そこで質問します。廃プラを安易に焼却することは、ごみ問題解決の基本からの逸脱であり、逆行するものであります。また、合弁会社の設立は、清掃工場の管理・運営を新会社に丸投げするためでもあります。計画では、最終的に21の清掃工場の業務を委託することになります。これがごみ行政における公的責任を後退させ、住民の命と安全を脅かすことになります。これは23区のごみ行政を根本から歪め、変質させるものです。豊島区は、パイロットプランといって23区の中でも先駆的に分別収集を行い、現在8品目12分別の資源回収を行っていますが、どうせ燃やすのだからと何でも可燃ごみに出すことになり、分別して資源回収に協力するという区民の努力に水を差すものであります。第1に、この問題について、区長の見解を求めます。第2に、豊島区の廃プラスチックサーマルリサイクル実施方針は撤回すべきです。答弁を求めます。
 5月11日、巣鴨・西巣鴨地域の第一区政連が開催され、豊島区は、廃プラスチックサーマルリサイクルを進めるために、7月から試行モデル(区内約3%)として、駒込一丁目の資源回収、ごみの分け方や収集回数などが変わると課長より説明がされました。他の議題もたくさんあったせいか、特に質疑はありませんでしたが、各町会長の反応は、うちの資源回収は何曜日だとか、口々に話をし、課長の説明とかみ合いませんでした。プラスチックを燃やすと、ダイオキシンや発がん性物質の発生、地球温暖化の原因となる二酸化炭素も発生するなど、環境破壊と生命、健康に対する不安感を訴える区民は少なくありません。
 そこで質問します。区は、5月5日付広報で、7月から一部の地域でモデル事業が始まりますと告知していますが、区民は、いつ、どこで、誰が決定したのか知りません。豊島区は独自のごみの分別収集を貫くべきです。区は区民への説明責任を果たしていないのは明らかです。区民に情報を公開し、区民の声が反映するようにすべきです。答弁を求めます。
 サーマルリサイクル事業の推進と時を同じくして、本区での家庭ごみの収集・運搬の有料化が打ち出されていましたが、我が党は反対です。有料化計画をきっぱりと断念すべきです。答弁を求めます。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
  〔高野之夫区長登壇〕

No.25 区長(高野之夫)
 ただいまの儀武さとる議員のご質問に対しましてお答え申し上げます。
 廃プラスチックサーセルリサイクル実施方針についてのご質問にお答えいたします。
 まず、分別して資源回収に協力するという区民の努力に水を差すとのご質問にお答えいたします。ごみの排出と資源回収については、まずできる限り発生抑制を行い、次に再使用・再生利用を進めるのが基本でありまして、これまで8品目12分別という多品目分別の方式をとってまいりました。このうち、プラスチック類については、ペットボトル、トレイ、ボトルタイプの容器の資源回収を行っており、こうした努力を決して無駄にすることなく、循環型社会の進展を目指し、積極的な取組みを進めてまいりたいと考えております。ごみの組成調査によれば、本来資源として回収されるべきものが可燃・不燃ごみの中に約35%も含まれているのが現状であり、この状況を是正・改善していく必要があるわけであります。こうした観点から、廃プラスチックサーマルリサイクルの導入に当たりましては、豊島区が今まで進めてきた先駆的な8品目12分別の資源回収を堅持し、そしてこれをさらに充実・徹底させるために、回収回数を週1回でありましたものを週2回に倍増して、新資源回収事業を立ち上げ、可燃ごみの約10%、不燃ごみの約15%を資源回収に誘導いたしまして、区民の努力が生かされるシステムにしたいと考えております。
 次に、廃プラスチックサーマルリサイクル実施方針を撤回せよとのご質問にお答えいたします。この実施方針は、これまでの清掃リサイクル事業を基盤といたしまして、環境面や経費面に配慮しながら、廃プラスチックサーマルリサイクルを契機として、資源回収を充実させ、ごみの減量を期すものであり、モデル実施により、新たな分別・収集システムに円滑に移行できるよう策定したものでございます。また、廃プラスチックサーマルリサイクルの実施は、中間処理の改善、不燃ごみの中継処理のあり方など、23区と清掃一組とが一体となって取り組むものでもあります。したがって、撤回の考えはございません。
 次に、モデル実施の説明責任についてのご質問にお答えいたします。モデル実施につきましては、本年1月に策定いたしました実施案において、実施地域の条件も含めて明らかにしておりまして、議会や区政連絡会等で説明するとともに、パブリックコメントを実施いたしまして、広く意見をお聞きしたところであり、これらの意見を踏まえて、実施案でお示しした日程に従いまして、豊島区として実施方針を策定し、モデル実施地域等を指定いたしました。実施方針につきましても、議会や区政連絡会に説明するとともに、現在、7月から開始する試行モデル実施地域で説明会を行っております。今後、10月から開始する本格モデル実施地域では、20回程度の説明会を実施するとともに、来年4月には、モデル実施の実証確認の結果、その後の予定等について、各地において説明会を開催し、本格実施前に区民のご意見をお聞きできるようにしたいと考えております。
 次に、家庭ごみの有料化についてのご質問にお答えいたします。
 家庭ごみの有料化につきましては、平成17年9月にリサイクル・清掃審議会から、最終処分場の延命化や環境負荷の低減に向けて、さらなるごみ減量が必要であり、ごみ減量の有効な手段として家庭ごみの有料化を導入することが必要であるとの提言をいただいております。また、国においても、平成17年2月に環境省の中央環境審議会から、一般廃棄物処理における有料化は、ごみ排出量に応じた負担の公平化が図れること、住民の意識改革につながり、一般廃棄物の発生抑制等に有効な手段と考えられ、現に一定の減量効果が確認されていることから、国が方向性を明確に示した上で、地域の実情を踏まえつつ、有料化の導入を推進すべきとの意見が具申されております。このように、家庭ごみの有料化は、大幅なごみ減量の切り札ともいえますが、導入の前提として、不法投棄防止の視点からの戸別収集の実施、料金システムの考え方の整理、そして区民の理解の促進等の条件整備が必要であると考えております。したがって、直ちに有料化することは考えておりませんが、今後、様々な面での条件整備を図るなど、ごみの大幅な削減に向けた取組みをしていかなければならないと考えております。
 私からの答弁は以上でございますけれども、その他の質問に対しましては、副区長から答弁させます。
  〔水島正彦副区長登壇〕
  
No.26 副区長(水島正彦)
 私からは、まず、福祉基盤整備の検討結果と進捗状況についてのご質問にお答えいたします。
 現在、本区では、第3期介護保険事業計画に基づき、中・重度の要介護高齢者を対象とした地域密着型介護施設の整備に努めております。昨年度民間法人を誘致した認知症グループホーム2カ所、小規模多機能型介護施設1カ所につきましては、現在建築中で、今年度開設される予定です。本年度は、小規模多機能型居宅介護施設3カ所、小規模特別養護老人ホーム1カ所、認知症高齢者グループホーム2カ所、認知症対応型通所介護施設1カ所、計7カ所の施設整備が目標となっておりまして、その実現を図るため、所要の予算措置を講じております。また、このほか、小規模多機能型介護施設2カ所、認知症対応型通所介護施設2カ所の計4カ所については、保健福祉基盤整備支援基金を活用して整備いたします。本年度の進捗状況についてですが、本年4月から5月にかけ民間法人の募集をしましたが、残念ながら1法人の応募しかない状況でございます。応募が少ない理由は、都市部では人件費・用地費等が高いために、設定された介護報酬では施設運営が極めて厳しいという状況にあるのかと考えます。このため、区有財産の活用や助成内容を再検討するなど、抜本的な見直しを図り、民間法人が進出しやすい環境の整備に努めてまいります。
 次に、特養ホームの建設を強力に進めるべきとのご質問にお答えいたします。
 特養ホームの増設は重要な課題と認識し、これまで様々な機会を捉えて社会福祉法人立の誘致に努めてまいりました。しかしながら、いまだに実現しておりません。そうした状況下にあるときに、東京都はこれまでの社会福祉法人による特養ホーム建設のための用地取得に対する補助制度を平成20年度に工事着手した分までで廃止する方針を打ち出しました。そのため、これまでのような土地・建物を民間が用意して施設整備を図る手法はますます困難になってきており、区有地の活用を視野に整備する方法を考えていく必要がございます。この場合でも施設の建築、運営主体は社会福祉法人を考えておりますが、いずれにしましても、特養ホームの整備に向けて必要な手立てを講じて対応してまいりたいと考えております。
 次に、介護保険料の減額制度の申請要件を緩和し保険料所得段階を4段階まで拡大すべきとのご質問にお答えいたします。
 介護保険法では、介護保険料は3年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないとされており、減額制度につきましても3年ごとの保険料改定時に決定したものであり、制度上、期の途中で申請要件を緩和することはできません。しかしながら、第4期につきましては、被保険者数や給付費の動向を見ながら、全体の保険料設定の中で、減額制度の条件を緩和することが可能かどうか慎重に検討していきたいと考えております。
 次に、区独自のヘルパー派遣についてのご質問にお答えいたします。
 介護保険制度の改革の背景としては、サービス利用者が急速に拡大し、制度が定着してきたこと、制度の定着とともに、介護保険の総費用が急速に増大していること、2015年には、団塊の世代が高齢期に達し、認知症や1人暮らしの高齢者が増加すると見込まれること、こうした新たな課題への対応が必要なことから給付の精査がされたものです。今回の改正では、同居家族がいる場合で、その家族にも障害や疾病等があり介護利用者のための家事ができないなど、特別な事情がない限り、生活援助サービスは利用できなくなりました。区は独自に、介護保険対象者以外の特定高齢者の生活支援型ホームヘルプサービス事業を行っておりますが、同居家族がいる場合の取扱いは介護保険と同様にしております。したがいまして、特別な事情のない限り、ご指摘のようなケースに対する区独自のヘルパー対象拡大は考えておりません。
 次に、電動車椅子への区独自の補助についてのご質問にお答えいたします。
 福祉用具貸与は、日常生活の自立を助けるものですが、電動車椅子は、利用者の運動能力や筋力の低下による廃用症候群が懸念されるため、要介護1の方は原則として利用できません。しかし、要介護1の方でも、ケースによってはケアマネジャーや区と相談しつつ利用可能となることもございます。したがいまして、一律の制度としての区独自の補助については考えておりません。
 次に、巣鴨豊寿園の廃止計画を撤廃し存続すべきとのご質問にお答えいたします。
 巣鴨豊寿園につきましては、平成15年10月にまとめた公共施設の再構築案で、借上施設については、極力、区有施設に移転するという方針を出し、平成16年10月に出した公共施設再構築の活用実施プラン(5カ年)(素案)において、巣鴨豊寿園については、平成19年度に廃止し、その後施設を返却するとしております。しかし、当初移転先として考えておりました癌研跡地への移転計画が実現せず、また菊かおる園への移転も検討しましたが、課題も多く平成19年度の廃止は見送ったところでございます。今後、移転先としての適地や代替施設が確保されるまでの間は存続せざるを得ないと考えております。
 以上をもちまして、儀武さとる議員のご質問に対する答弁を終わります。