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区議会質問

2021年10月22日

2020年度決算 反対討論

儀武さとる

私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました認定第1号、2020年度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、2020年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、2020年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、2020年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論します。

 さて、安倍政権をついだ菅(スガ)政権が発足し、一年足らずで岸田政権が発足、歴史上まれにみる短期間での解散、総選挙となりました
コロナ対策での失敗への反省もなく、格差を広げたアベノミクスを評価し引きつぐ、さらには森友加計学園問題の真相究明にも背を向ける、この政権を退陣させ、そして、野党共闘で新しい政権をつくり希望の持てる政治をつくることが大事です。

 菅政権になってから、政府は後期高齢者医療制度の窓口負担の二倍化や病床削減すれば消費税を財源として補助するなどの法律を強行しました。さらに都政で小池都知事は、都立病院や公社病院の独立行政法人化のための定款を今年第三回定例会に提案、自民党、公明党、都民ファーストなどが賛成し進めています。新型コロナウイルス感染症への対応に公的医療機関が大きな役割を果たしていたのに、都立病院などへの支出を削減し医療を後退させる独立行政法人化をすすめたことは本当に許せません。

 豊島区は、2020年度一般会計決算の特徴について
1.新型コロナウィルス感染症に注力し、過去最大となった決算
2.新型コロナウィルス感染症による区財政への影響を極力抑えた決算
3.SDGsを推進するとともに、都市ブランドを高める集中投資を活かしていく決算
としています。

 過去最大になった大きな理由は、7号まで補正予算を組んで新型コロナウィルス対策をおこなったことは言うまでもありません。しかし、新型コロナウィルス感染症対策327億円のうち特別定額給付金296億円など財源が国庫補助や都補助が大部分です。総括質疑の中であきらかにしたように、実際には一般財源はわずか2億円であります。その一方で「実質収支は38億6200万円で過去10年で最高となった」ということは、決算剰余金が38億円余と莫大になったということです。つまり、やるべきことをやっていなかったのです。
 わが党はこの間、深刻な区民生活を支援するための提案を随時行い、今年3月の2021年度予算審議の際には、中小企業の家賃補助、国保料の均等割り軽減、低所得者のエアコン設置補助、介護事業者への支援金、保育所学校などの職員のPCR検査補助、子ども医療費助成の高校生までの拡充、児童扶養手当を条件としないひとり親などへの支援金、学校給食費の無償化、就学援助の拡充など16項目の増額を含む予算組替え動議を提案しました。この組替え動議に必要な財源は約40億円、そのうち中小企業の家賃補助は最大30億円と見込んでおり、これを板橋区並みに10億円とすれば、約20億円でできる規模の組替え動議でありました。38億円もあまるなら2020年度に十分できたということです。

 この間のコロナ感染症の拡大で区民の生活は深刻です。クリーニング屋の方は「売り上げが半分になったら支援金が出るというが、そんなに減ったら営業は続けられない。近所でも廃業した」と言っています。ひとり親の貧困の問題は、これはどうしても非常勤や派遣といった不安定な雇用で働かざるをえないことが大きな原因です。今、若い人たちが街頭相談会やフードバンクなどに来られているのは、真っ先に雇用を断たれるのが不安定雇用の人で、ネットカフェや住み込みで働いていた人が路上に放り出されているのです。介護や医療、保育についても、もともと、ギリギリでやっていたところにコロナが来て、目に見えるようになったのです。あきらかになったのは、これまでの「新自由主義による政治」「アベノミクス」「自己責任を押し付ける政治」で広がっていた格差と貧困がますます広がったこと、そして、今こそ「公助」が必要だということです。

日本共産党区議団は、2020年度決算について
第1に、深刻な区民生活を直視し、区民需要を最優先にした決算になっていたか?
第2に、大企業と来街者のためのまちづくりを優先し区民が置き去りにされていなかったか?
第3に、自治体本来の役割を果たすうえでひずみが起きていないか、 
以上、3つの観点で審査に臨みました。

第一の観点、深刻な区民生活を直視し、区民需要を最優先にした決算になっていたかについて述べます。

最初に、中小企業支援についてです。
 2019年10月、消費税10%の強行で消費が落ち込んでいる中で、新型コロナウィルス感染症の流行で区内の中小業者、商店街はダブルパンチを受け深刻です。新型コロナウィルス感染症対策緊急資金は、補正予算で5億6千2百万円計上しましたが、執行額は、2億八百万です。執行率は37.1%で低いです。無利子、信用保証料無料で、当面の運転資金で助かっても、コロナの収束も見通せない中で、いつまでも借金に頼るわけにはいきません。直接的な支援が必要です。国は、緊急事態宣言を4回発令しましたが、持続化給付金、家賃支援給付金は1回だけです。自粛と補償はセットでやるべきです。お隣の文京区は、区内中小企業の事業継続を支援するため、人件費、土地・建物の賃貸料などに最大30万円を補助します。新宿区、板橋区など隣接区も実施しています。本区も独自支援を求めると、副区長は「実施しません」と、冷たい答弁をしました。

●次に、新型コロナウィルス感染症対策についてです。
日本共産党豊島区議団は、新型コロナウィルス感染症対策について、13次の申し入れを行いました。ワクチン接種の速やかな実施とともに、PCR検査の大規模な実施、自粛と補償はセットにすることなどを求めてきました。区の対応は、保育などの子ども関連施設職員、障害・介護施設職員のPCR検査の拡充を行ったものの、全体としては不十分なものでした。8月13日の週の第5波のピークの際、陽性者療養状況を確認すると、陽性者合計1,293人の内訳は、療養先調整中が983人、自宅療養中が104人、宿泊施設療養が23人、入院中は183人、8割以上の区民が医療機関に入院できず、在宅等で療養を余儀なくされました。医療機関も保健所も逼迫し、在宅療養者に電話で連絡を取るのが3日になったこともありましたが、全庁を挙げた支援で改善されたとのことでした。感染者が減少した今こそ、ワクチンの接種とPCR検査を、いつでもだれでも無料で検査を受けられるようにすべきです。

●次に、住宅についてです。
 私の一般質問で、公営住宅の補完として家賃助成を国の施策として、新たに制度化することを国に求めたことに対して、区は「新たな家賃助成制度の創設を要望することはありません」「国の制度である住宅セーフティネットで対応します」と答弁しました。本当に冷たい答弁です。しかし、コロナ禍のもとで、住居確保給付金の新規申請者は、5000人から8000人と、高止まりです。一時的な制度ですから、収入が元に戻らなければ、住み慣れたところから、転居を余儀なくされます。また、国の制度である住宅セーフティネットは、専用住宅は9月まで5戸だったものが、2戸増え、合計7戸になった答弁しましたが、安心住まい提供事業は、今年度6戸減らしました。住宅リフォーム資金助成事業は、申請希望者が多いにもかかわらず、予算をほとんど増やさず、流転用額で対応しています。10月に区民から、申請の相談をしたら、予算を全額執行したので、来年、申請して欲しい、と言われました、と相談されました。補正予算を組んででも直ちに執行すべきです。SDGsの視点から、誰もが安心して住み続けられる豊島区にするためには、「住まいは人権」の立場から住宅困窮者対策を本気で進める必要があります。

●次に、防災・災害時要援護者名簿についてです。
 日本でも気候変動の被害は、異常な豪雨、台風など深刻となっています。また、10月7日、千葉県北西部を震源とする地震があり、足立区や埼玉県川口市などで震度5強の強い揺れがありました。自然災害は、いつ発生しても不思議ではありません。2021年5月改正の災害対策基本法により、避難行動要支援者ごとに、避難支援等を実施するための計画、つまり個別避難計画を作成するよう努めなければならない、となりました。

災害時要援護者名簿6,178人は、6月に民生委員232人に、7月上旬に129町会に配布されています。受け取った町会役員もどう活用したらいいのか、困惑しています。
避難行動要支援者の3,522人ついては、区は、保健福祉部と連携して個別避難計画を概ね5年ほどで作成するとしていますが、名簿を地域に下ろしても受け皿はありません。予算もつけ、防災課職員を増員し、地域の町会役員などと一緒に対象者を訪問なするなど実態調査をすべきです。

●次に、生活保護についてです。
繰り返し求めてきたエアコンのない生活保護利用者のエアコン設置補助については、ようやく21年度の補正2号で1200万円余り計上され議決されました。国が設置補助をしていない、2018年度以前に申請した利用者でエアコンがない世帯について補助するものです。予算は135世帯分計上したが、これまでのところ設置済が12件、今後も予定はあるものの、不要という世帯が60件、家屋の状況で設置ができない世帯が20件となっており、申請が少ないとのことでした。

 今回の区の補助は、「エアコンがない世帯」が対象で、委員会で紹介した事例のように、親子で暮らす二人世帯で二部屋のうち、一つにエアコンがある場合にもう一部屋に設置する場合は対象ではありません。また、修繕や買い替えは認められていません。予算が余ることははっきりしているので、ぜひ拡大をと求めましたが、「現在のところ考えていない」と冷たい答弁でした。この間、生活保護費は2015年からと、2018年からの二度にわたり段階的に削減されてきました。昨年はコロナ禍のもとで、引き下げが行われたのです。余裕のない生活保護費からエアコン設置費や電気代など払うのは厳しいのです。
●次に、高齢者対策・介護についてです。
 長年わが党が指摘をしてきた、要介護度の区分変更申請において作成する暫定プランとその結果が違ったときに、利用料が10割全額自己負担になるという問題は、今年4月から改善をされたとのことでした。改善は当然のことです。
新型コロナの影響もあり要支援の認定が増えています。しかし、総合事業のヘルパーを探すのが困難になっています。課長のいうとおり、コロナ禍の前から人材不足なのですが、特に総合事業のヘルパー派遣をする事業者が少ないのは、総合事業では介護報酬が少ないからです。いくら養成講座をしても、また「生活支援お助け隊」も登録は66人いても実際に働いているひとは、わずか15人。安上りの介護では、うまくいかないのです。

 新型コロナ感染症がある中で頑張っている介護事業所に対する支援が必要です。この年、豊島区は介護事業所1事業所10万円の支援金を出しましたが、他区では50万円というところや、従事者への直接支援を行った自治体もあり、豊島区はあまりにも少なすぎます。介護事業所への家賃補助、従事者への直接補助、さらには再度の支援金支給が必要ですが、やる気がありません。

●次に、教育における私費負担の軽減についてです。 
これまでわが党は教育における私費負担の軽減を求め、第3子以降の給食費補助の条例提案などを行ってきました。この年は、新型コロナによる休校で給食がなくなったり、移動教室、修学旅行も休止・変更があった特殊な理由で、一人当たりの負担は減っています。しかし、義務教育は無償が原則です。少しでも軽減に取り組むべきと、他区でも様々な給食費補助を行っていることを示し改善を求めましたが、この年度から始めた給食の食材費補助をのべるのみでした。また、就学援助についても、生活保護基準の68次で対応している、これでやれば1.4倍の計算となる、23区標準だと言って、改善しようとしないのは認められません。

●次に、一人親家庭への支援についてです。
当該年度、行われた給付金は国も東京都も区も、公的年金の受給や家計の急変などについては条件が軽減されたところもありましたが、基本的に児童扶養手当受給が条件です。離婚が条件、所得制限、同居に成人男性がいる場合など児童扶養手当を受給できない方がいます。理事者は「一人親の中でも、真に困窮した方に支援をする」と言いましたが、児童扶養手当受給できない世帯が様々な支援制度から外されてしまうことは、格差を作ることになります。

●次に、保育についてです。
 今定例会の一般質問で小林ひろみ議員が難病・障害をもつ子どもの保育施策の利用について取り上げました。委員会では、過去に区立園で全盲の子どもを受け入れてその保育実践を広げた事例を紹介しました。今、インクルーシブということが言われていますが、豊島区の保育園ではこれまでも先進的に進められてきたのです。あらためて、「障害児の保育受け入れ幅が広がって途中退園などしなくていいような支援体制ができることが一番です。」という質問への回答を求めると、これまでもやってきたという答弁でした。
 豊島区は、区立保育園の民営化を進めています。第二回定例会でわが党清水議員が区立保育園の民営化を一般質問で取り上げましたが、この際豊島区は「民営化でサービスが良くなる」と答弁していました。それでは、公立園ではサービスは良くないのか、そんなことはないはずです。公立保育園の役割を問うと「地域の子育て施設の中核」との答弁でした。そうであれば、ますます公助、公がやらなければらないこと大きいのであり、医療的ケア児の対応のこともあります。
 そもそも、子ども子育て新システム、子ども子育て支援制度は、公的な責任を放棄し、株式会社の参入も認め、民営化、民間頼みを進めるものでした。今、やるべきことは民営化でなく公的な保育にこそ力を入れていくべきです。
 以上述べてきましたが、深刻な区民生活を直視し、区民需要を最優先した決算になっていないことであります。

 第2の観点、大企業と来街者のためのまちづくりを優先し区民が置き去りにされていなかったか?についてです。

●最初に、市街地再開発事業についてです。
 決算年度の投資的経費は、令和元年度に比べて大幅に減りましたが、市街地再開発事業を見ますと東池袋一丁目地区市街地再開発事業に4億400万円、東池袋四丁目 2 番街区地区市街地再開発事業に4億8500万円、南池袋二丁目 C 地区市街地再開発事業に6億6610万円、合計で15億円余の税金投入であります。東池袋1丁目市街地再開発事業では、CO?排出が従前の3.4倍にもなります。この点を指摘した私の一般質問に対しての答弁では、「1u当たりのCO?排出量は3分の2に軽減されます」と答弁しましたが、CO?削減は総量をいかに減らすかが問われているのであります。しかも、池袋駅西口など開発が目白押しです。

また、南池袋二丁目C地区の計画規模はでは53階と50階のマンション建設で、事業予算は1,100億円の再開発事業です。 そしてこの事業には、わが党は反対していますが、保健所を入れる計画となっています。今のところ、保健所の保留床購入費は四十数億円、それ以外にも内装費など設計中でまだわからないとの答弁です。こんな無責任な計画はありません。更にこの市街地再開発事業では、住み慣れた土地を住民から奪い、住民が行先も決まらないのに立ち退きを強要され、住民はやむを得ず裁判をせざるを得ません。
多額の税金を使い、区民を追い出す再開発事業は認められません。

次に、イケバスについてです。
イケバスの決算年度の予算は2億100万円、執行額1億4千4百万円、執行率71.6%です。執行率が低いのは、停留所上屋デザイン等の繰延計画変更及びイベント・状況調査等の未実施による委託費の残。負担金の実績残です。決算年度も今年度もコロナの影響で、イケバスのアンケート調査は行っていませんし、評価委員会を開催し評価することもできません。
 ところが、区は「イケバスの存在自体が街の魅力を高める」と答えるのみです。まちの価値をあげて、人を呼び込むまちづくりは、コロナの感染拡大で、その脆弱性があきらかになりました。自治体のまちづくりは、区民のくらし福祉をまもり、高齢者など交通弱者の外出機会を保障するため、区民の要望が高いコミュニティバスを導入すべきです。

●次に、文化についてです。
コロナ禍のもとで、文化・芸術などが日常生活の中で潤いをもたらし、人間が生きていくうえで、なくてはならないものだ、と改めて痛感させられました。この年、様々なイベントが中止になりましたが、新しく始まったのが、文化の日です。記念事業の中には、文化団体への感染症対策費補助もありましたが、イケバスを使ったアトカルツアーは、その後今年も継続して行われており、事実上イケバス事業への補助となっています。この年、新ホールには1億7000万円の維持管理経費がかかりましたが、新型コロナ感染症対策として観客を半分しかいれられないので、その分の利用料減額補助も行われました。一方、区民が使う区民センター、イケビス、地域文化創造館には、軽減制度は作ったものの、「これまでよりも大きな部屋を使うことになった場合に減額する」という制度のため、区民から事実上、軽減制度は「利用できない」との声が出ているのです。

 ●最後に、公園について です。
大事な行政計画である「みどりの基本計画」の計画期間は2020年度まででしたが、この年新型コロナウィルス感染症により計画策定できず、これから策定し2023年度から実施としています。

この空白の2年間については、これまでの計画を遵守しつつ、みどりの保全などに取り組むとのことですが、区長が進めてきた4つの公園では改修に30億円かけた池袋西口公園と4億円かけた中池袋公園ではみどりよりも、すでに「賑わい」最優先になっています。

この年、イケ・サンパークが開園し、コロナ第三波の始まるなかの12月にファーマーズマーケットが行われました。わが党は、当時、職員を動員すべきでない、また、コロナ禍の中感染拡大が心配されると指摘してきました。イケ・サンパークの指定管理については、自主事業として実施することになっていたファーマーズマーケットを「共催」にしたことで、特別協定し、指定管理料を500万円増で維持管理経費は1億1300万円になりました。その結果、2021年度はファーマーズマーケットの予算として7000万円が生活産業課の事業として計上されました。東アジア文化都市記念23事業の維持管理経費とは別だということです。

一方で、身近な公園の改善は遅々として進みません。谷端川緑道公園の改修は、接続する道路が狭くて業者に発注しても受けてくれる業者がないので、区職員が直営で改修しているため、計画では2027年までかかることになっています。区長もさすがに今回は「全部一遍にはできない」とは言わず、検討するとのことですが、あまりにも差がありすぎます。
 以上述べてきましたが、大企業と来街者のためのまちづくり優先し区民が置き去りにされたのであります。

次に第3の観点、自治体本来の役割を果たすうえでひずみが起きていないかに、ついて述べます。

●先ず、職員についてです。
 定員管理計画については、一般質問でも取り上げました。正式に、正規職員を増やしていく方向を確認しました。特に、現業職についても「災害とか最低限区としてやることがあるので、そこはきちんと確保していく」ということで、一定の職員を確保することが確認されました。区民にとって必要なところ、豊島区が行政としていざというときに区民からの要望に応えられる職員体制になるよう、引き続き要望します。

 生活福祉課・西部生活福祉課の職員体制について、4月当初からケースワーカー一人当たり担当世帯が国の基準の80世帯超えていることは問題です。さらに年度途中で職員が退職や病欠、育児休暇をとると、担当件数が増えることになります。生活保護行政は、国民の健康的で文化的な最低限度の生活を保障する仕事であり、区民と直接対応する場所です。毎年のように指摘していますが、改善されません。

 残業の状況についての資料、ひと月45時間を超えた残業をした職員の延べ人数の資料を毎年いただいています。保健所に残業が増えたことは、新型コロナ感染症の対策を行ったためとはっきりしています。しかし、文化商工部にも残業者が多いのは問題です。残業を減らすための対策についての資料も毎年いただいておりますが、対応策は毎年同じです。副区長は、「仕事のやり方を考えていく」と答弁しましたが、仕事が多いか、対応する職員が少ないか、のどちらかなのですから、早急な対応を求めます。

●次に、まちづくりについてです。
 わが党区議団は、これまで高野区長のトップダウンによる投資事業、国際アートカルチャー都市や東アジア文化都市の名による大企業のための街づくりや投資は、将来の財政運営を左右することが必至であり、これまでも見直しを求めてきました。

 老朽化した学校改築や区有施設の建替え、区民要望の強い特別養護老人ホームや障害者グループホーム、公的な住宅については先送りになってきました。旧朝日中学校跡地については、特別養護老人ホーム、区民ひろばなどの整備をすることとなっており、当初計画なら特養ホームは2022年にオープンする予定でした。しかし、9月15日の議員協議会で、豊島通勤寮の改築のための仮施設としての貸し付けや今後は学校の建替え仮校舎とすることも検討するとのことでした。学校長寿命化計画も第三回定例会に報告する予定が第四回定例会へと延期されたのです。朝日中跡地の仮校舎などの計画はまだ決定ではありませんが、そうなったら、区民ひろばや特養ホームはどうなるのか、副区長は「特養ホームは必要なので場所を変えても作る」と答弁しましたが、これでさらに先延ばしになったことは明らかです。

 区長はこの予算を審議した20年第一回定例会、所信表明で「稼げる自治体」をかかげ、また、予算委員会が始まったときに「SDGs未来都市」を言い出しました。外から人を呼び込む街づくり力を入れ、池袋を中心とした大型開発、新ホールや四つの公園とイケバス、さらには大塚駅北口のリングなどを進め、多額の税金をつぎ込み、住民追い出しの市街地再開発事業や特定整備路線を進めてきました。

 総括質疑の中で、質問で「かつて区長が、池袋のまちづくりへの投資が回りまわって税収を上げる」といっていたが、この考え方はかわらないのか問うと、副区長は、この10年扶助費が100億円ふえたが、経常収支比率が70%台だったのは、税収が下支えしていたから、豊島区に住む人が増え、また、お住いの皆さんの所得が増えたことを背景に福祉的施策を充実した、と述べました。しかし、古いアパートが建て替えになり、そこに長年住んでいた高齢者、低所得者は、あたらしいアパートは家賃が高くて払えない、高齢だからと一階に住みたいといっても見つからない、豊島区には高齢者や低所得者が住み続けられなくなっています。

 「稼げる自治体」といっても、公園に作ったカフェ等の収入に比べて、はるかに多い額のイベント経費や舞台の維持管理経費がかかっています。
イケバスについても、さき程述べたように、人を呼び込む街づくりがコロナ感染でインバウンド需要が見込めなくなり、その脆弱性が明らかになっても、「まちの魅力を高める」といってやめようとはしません。
 区は、決算の特徴については、「3 .SDGsを推進するとともに、都市ブランドを高める集中投資を活かしていく決算」と言いますが、これが自治体としてのひずみを作っています。
以上、3つの観点から、一般会計決算の認定に反対するものです。


次に3特別会計についてです

●先ず、国民健康保険事業会計について述べます。
 資格証、短期証については、「新型コロナ感染症の影響により」、「区が特に必要と認めた世帯」に発行するとして、これまでの運用が変更されました。その結果、今年9月末時点で、短期証はゼロになったとのことは、評価します。必要な人が必要な医療を受けられるようにするためには、当然のことです。
 新型コロナウイルス感染症について保険料の減免や傷病手当金が国庫補助もあり実施されました。しかし、傷病手当については、給与所得の人が対象で、フリーランス・自営業は対象外となることから実績は大変少なく、改善が必要です。

 また、この年保険料について、均等割りが上がったことで低所得者の保険料が上がることになりました。特に、介護分がおおはばにあがったことで、4人世帯で大人二人が40歳以上で子どもが二人というモデル世帯の保険料は年収400万円で50万7787円と6128円アップしました。来年度は、国の制度として就学前の子どもの均等割りが半額になります。これに必要な予算は計算上わずか2700万円で、つまりさらに2700万円あれば均等割りを全額無料にすることができるのですが、これについては「やる」とは言いませんでした。
社会保険に比べて、国民健康保険は、低所得者が多く加入しているにも関わらず、保険料は高い、また傷病手当も貧弱です。 国民健康保険事業会計決算の認定に反対します。

●次に、後期高齢者医療事業会計についてです。
 後期高齢者医療制度は、国民を年齢で区切り、高齢者を別枠の医療保険に強制的に囲い込んで、負担増と差別医療を押しつける稀代の悪法です。
 2008年の制度導入時、低所得者の保険料を軽減する措置、すなわち「特例軽減」を導入しましたが、安倍政権は、その「特例軽減」を打ち切り、保険料を値上げする改悪を、2017年度から実行に移しています。そのうえ、「高齢者医療費2倍化法」が自民、公明両党等の賛成多数で可決・成立しました。区内で影響を受ける方は、6000人もいます。今でも窓口負担は、通院の頻度が高い高齢者に重くのしかかっているのに2倍化されれば、さらに受診抑制がかかるのは必至です。認めることができません。
よって、後期高齢者医療事業会計決算の認定に反対します。

●最後に、介護保険事業会計についてです
 介護保険導入20年たちましたが、人材不足と経営難が深刻です。単純に介護報酬を引き上げると介護保険料や利用料に跳ね返り、負担が増えます。そうならないためには、介護報酬とは別に、待遇改善のための補助をすべきです。
 この間、介護保険には総合支援事業が導入され、特養入所者対象を介護1から3以上に引き上げ、利用者負担は応益1割から2割、3割負担を導入してきました。さらに今年8月からは補足給付の改悪で施設利用の食費が値上げされるなど制度全般が改悪され続けています。 委員会審査で、1500人以上の低所得者の方が、負担増になることが明らかになりました。介護保険導入の際、「介護の社会化」と言われましたが、実際は、家族介護が前提で、保険料や利用料の負担増など「保険あって介護なし」の状況がますます進んでいます。
よって、介護保険事業会計決算の認定に反対します。

 以上の理由から3特別会計決算の認定に反対いたします。

 以上で私の討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。