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区議会質問

2020年3月17日

第28号議案 豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例についての反対討論
2陳情第5号 国民健康保険慮の負担を軽くする陳情の採択を求める討論

渡辺くみ子

 私は、日本共産党豊島区議団を代表しまして、ただいま議題とされています第28号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例について、可決することに反対の立場から討論を行います。尚、後ほど提案されます2陳情第5号「国民健康保険料の負担を軽くする陳情」について、不採択とすることに反対し、直ちに採択することを求め、合わせて討論を行います。

 第28号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例は、特別区国民健康保険事業の調整に関する共通基準の改正と国民健康保健法施行令の一部の改正に伴い、来年度の国民健康保険料の改定を行うというものです。
 では来年度の保険料がどうなるのか。
 まず基礎賦課額は所得割率が7.25%から0.11ポイント削減し7.14%に、均等割額は今年度と同様で39,900円、賦課限度額は61万円から63万円となります。後期高齢者支援金の保険料率では所得割率は現行の2,24%から2,29%と0,05ポイントの引き上げ、均等割額は600円増の12,900円に、付加限度額は昨年度同様19万円です。その結果、特別区の一人当たり険料は126,202円と今年度より1,028円の値上げとなります。また本区での参考値では、一人当たり保険料は119,979円で今年度より1,473円下がる計算となっています。
 介護納付金の保険料はどうでしょうか。均等割は据え置き、所得割率が1.74%から1,96%と0,2ポイントの引き上げ、付加限度額は16万円から17万円と引き上げられ、一人当たり保険料は35,703円となり今年度より2,720円の増額となります。

 今回の保険料改定案で区民への影響はどうでしょうか。
 この間のわが党の質問でも本区の国保加入者の約8割が年間所得200万円以下の低所得者という事はあきらかになっています。にもかかわらず保険料は毎年上げ続けられており、資料でもこの5年間で一人当たり保険料は15,016円もの値上げとなっています。
 収入別・世帯構成別の保険料を試算したモデルケースでも年収200万円以下の65歳以上年金受給者一人世帯では、今年度の保険料85,638円が86,561円と198円の値上げです。
 また子育て世帯では、給与所得者65歳未満4人世帯で介護非該当、年収400万円の場合、前年度より1,002円の値上げで年間430,919円、年収の1割以上が国保の保険料となります。委員会でも確認しましたが、今回の改定での歳入予算への影響額は1億5千7百6万円。結局この分が保険料の上がった部分です。

 昨年10月〜12月の国内総生産は?7,1%となり、消費税大増税による大打撃が明らかになっています。そのうえ新型コロナウイルス感染症による景気悪化で区民の生活は大変深刻なものとなっています。今回の国保料値上げはさらなる負担を区民に強いるもので、高すぎる保険料を払えず、滞納せざるを得ない人が増えるのは当然です。

 では区の対応はどうか。
 今回の保険料値上げ案では、先ほども言いましたが基礎分で所得割が引き下げられました。後期高齢者支援金分では所得割、均等割りが上げられ、介護納付金では所得割が引き上げられました。65歳以上単身世帯で年収900万円のモデルケースでは、基礎分の所得割が0,11ポイント減で本年度より3,399円と減額となっており、おしなべて所得の高い人は今年度より減額となっています。本来高すぎる保険料ですから、引き下げられることに問題があると言っているのではありません。しかし低所得の人たちはすべて保険料が引き上げとなっているのです。
 さらに均等割りの引き上げは、所得者の収入が変わらないのに子どもが一人増えれば基礎分と後期高齢者支援均分で保険料が52,800円も増えることになります。
 なぜこのようなやり方を続けるのか。
 区は、「社会保険制度は応能負担だが、国保制度は応益、すなわち、子どもや高齢者は医療にかかる機会が多くその分は負担していただく」とし、「負担していただく分は子育てや高齢者の支援策でカバーする」と答弁しています。
 しかし高すぎる保険料が払えず、資格証になれば子どもや高齢者は病気になっても応益すなわち医療が受けられなくなるという事ではありませんか。まさに本末転倒であります。
 委員会で2019年6月現在資格証は1,729世帯で、区は短期証、資格証の発行件数は7,5%で、23区でも多いという認識を示しました。これが本区の国保加入者への対応の実態ではないでしょうか。
 さらに委員会でも発言しましたが、給与を差し押さえされ、手持ち金300円という方から相談を受けました。区は「相談に来てほしい。来ないから差し押さえた」と説明しましたが、実態を聞けば「時給月給のため時間休をとれば給料は減る。何度も相談に来ることはできなかった」とのこと。さらに「差し押さえされ、次の収入は一週間後でそれまで300円でどうするか」私は「一週間の生活のため、とりあえず1万円だけ戻して」と言いましたが、区は「手続き的に間に合わない」と言い、他の施策は示されませんでした。ひどすぎます。
 今後の対応について区は「債権回収と生活再建を両立させる方向で業務に励むという事をやっていきたい」と答弁しましたが、そもそも、厚労省は被保険者の生存権を脅かす差し押さえはやってはならないとの基準を示しています。安倍政権下で非正規雇用が拡大される中、区民の置かれている実態への認識も合わせて求めるものです。


 では何故毎年上げるのでしょうか。要因は医療費の増加だけではありません。
 2018年度から国保制度の広域化が始まりました。
 これに伴い保険料率算定における特別区の基本的考え方として、国保事業費納付金を来年度は96%として4%は納付しない激変緩和措置をとるとしています。結局、毎年1%ずつ納付金が増え、今後4年間で激変緩和措置が無くなり納付金100%を納めるという事です。納付額が増えれば、保険料に跳ね返るという事です。
 法定外繰入も無くすとしています。この間の資料をみますと、2016年度一人当たり保険料は111,189円でしたが、法定外繰入をしない場合の試算では142,779円と3万1,590円もの値上がりとなっています。国保加入者は低所得者や高齢者が多いことは周知のとおりで、医療費は当然増加しています。法定外繰入を無くすことは際限なく保険料を上げることとなるのは誰が考えてもわかることです。
 私は毎回、国保の審査で取り上げてきましたが、国民健康保険制度は法律で示されている通り社会保障制度です。
 旧国保法は相互扶助の精神が強調されていましたが、1958年(昭和33年)に作られた新国保法はその第一条の目的に「この法律は国民健康保険事業の健全な運営を確保し、社会保障及び国民保険の向上に寄与する」と明記されています。
 かつてはこの立場から、国は国保財源に42%を投入していました。ところが1984年の法改定で国庫負担を大幅に削減し、更に今回、国保の広域化で法定外繰入を無くすとしているのです。これでは国民健康保険制度自体が崩壊することは明らかです。
 今こそ、国保法第一条に立ち返り国庫負担を増額するよう国に強く求めることと合わせ、区としても法定外繰入をきちんと存続することを強く求めます。
 以上の理由で第28号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例には反対するものです。

 最後に陳情についてです。
 2陳情第5号「国民健康保険料の負担を軽くする陳情」は、「国民健康保険料が年々上がり、現在3割に及ぶ加入者が滞納せざるを得ない状況で、さらに消費税10と合わせて区民の負担は増しています」として@に国へ、均等割りの廃止、国庫負担の増額、自治体独自の国保会計への法定外繰入に圧力をかけないこと、Aに東京都に2024年以降も国保会計に財政支出の継続を、Bに豊島区独自に均等割りの負担軽減制度の施策を求め739名の署名とともに提出されたものです。
 委員会審査で区から「国保制度の構造的問題が現在の保険料などに影響しており、国に対しては全国市長会で、また都に対しても特別区としてきめ細かい措置を講じるよう要望書を上げている」との報告がありました。しかし均等割りへの区独自対応については「区として同一所得、同一世帯では同じ保険料であるべき、また23区統一保険料方式なので区独自の対策はとれない」と答弁しました。先ほども指摘しましたが均等割りの負担が区民にとっては大きいもので、わが党は当然、軽減措置は必要と考え採択を主張しました。しかし他会派の方々は不採択としました。それであればせめて、区民の医療を受ける権利を守るため、国や東京都への意見書の提出を豊島区議会として行う事を提案しましたがこれも反対されました。わが党は、陳情を採択し、国と東京都に意見書を提出することを改めて強く求めるものです。
 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。