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区議会質問

2019年10月29日

学校給食費補助金条例 賛成討論

清水 みちこ

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております議員提出議案第13号、豊島区学校給食費補助金条例について、直ちに可決すべき立場から討論を行います。
 本案は、豊島区立の小学校、中学校等に在籍している児童生徒が3人以上いる保護者に対し、第3子以降の子どもについて、学校給食費を助成することにより、保護者の経済的負担の軽減を図り、子育て支援に資するもので、2021年4月1日から施行しようとするものです。予算は5,000万円程度と見込んでいます。
 本年第一回定例会においても、日本共産党区議団は同様の学校給食費補助金条例を提案しましたが、自民党、公明党、都民ファーストなどの反対で否決となってしまいました。

 いま、全国では給食費無償化の流れは確実に進んでいます。文部科学省の2018年7月の全国調査では、全国1740の自治体のうち、24.4%が無償化を実施、一部無償化・一部補助を含めると29.1%が実施しています。
 政府は一時期無償化の方向性を示しましたが、この10月からの保育・幼児教育の無償化の中で給食を実費負担としたことから、学校給食も同じ方向へ進めようとしています。
 しかし、自治体独自の無償化はさらに広がりをみせているのです。全国では兵庫県明石市、山梨県富士吉田市などが、23区では文京区、葛飾区、品川区などに続き、世田谷区が今年10月から全額補助対象を拡大。お隣の北区は来年10月から所得制限無しに第2子を半額、第3子以降を無償化するとしています。
 景気回復の実感のない中、10月から消費税10%への引き上げが強行され、子育て世代の経済的負担はさらに大きくなっています。
 委員会審査の理事者答弁にあったように、豊島区立の学校で給食費を含めた私費負担は、小学校は年間6万から10万、中学校は10万から16万円、学齢期の子どもが3人いれば30万円を超える多額の負担になり、そのうち給食費だけで15〜16万円もかかります。また、給食費の単価も他区に比べ高くなっています。
 区は「現場から負担が重いとの声は出ていない」「未納率は低い」としています。しかし、私のもとへは保護者から「子どもにお金の心配をかけるのは辛い」、「子どもを最優先にお金をやりくりしている」との声が繰り返し届いているのです。

 憲法26条は「義務教育は、これを無償とする」と定めていますが、現在無料なのは授業料と教科書だけです。すべての子どものすこやかな成長のために学校給食の無償化をはじめとした義務教育の完全無償化が必要です。
 政府はすでに68年前の1951年、日本共産党参院議員の質問に対して、義務教育の無償を「できるだけ早く広範囲に実現」したいとして、学用品、学校給食費などの無償も考えていると答弁しています。昨年12月には、参議院・文教科学委員会でわが党の吉良よし子議員が、51年当時の認識を政府が継承していることを確認し「国の責任で学校給食の無料化を」と求めました。
 私もこの立場から、あらゆる機会を捉え無償化を求めてきました。先の第2回定例会の一般質問でも「10月からの消費税増税で食品は8%据置きでも運搬費、人件費などの税率が上がれば価格に跳ね返る」ことを指摘、無償化を求めましたが、区は「負担の原則どおり、保護者に負担をお願いするもの」と相変わらずの冷たい答弁でした。
 「義務教育は無償」は憲法で定められており、給食費は国が全面的に無償化すべきです。しかし、国が実施しようとしないなか、全面無償化ではなく、まずは第一歩として子育て世代のうち負担が重い多子世帯について、今、他区でもおこなっている補助を始めようと、今回改めて提案したものです。

 (立憲としまの)さくま一生委員は「経済的にも精神的にも教育に格差をつくってはならない」「全面無償化の過程」とし、(無所属の会の)ふるぼう知生委員は「全面無償化を主張してきた」「本来、国が全国統一でやるべきことだが、国に刺激を与えていくことになる」等と、2会派とも賛成していただくことができました。いまこそ、区議会として学校給食無償化への第一歩を踏み出すべきです。

 一方、自民党、公明党、都民ファースト・民主の会は、10月1日、子ども文教委員会の前日に「学校給食の推進と食育の充実」についての要望書を3会派で区長へ提出したとして、主張を展開しました。
 公明党は「食育の充実と食育の観点での補助を、現状維持が難しいと聞いている、負担増がないように」とし、自民党は「学校給食法に保護者負担が定められている。国がすべきことで、国の議論をまちたい」、都民ファースト・民主の会は「政策の目的が曖昧。自治体間競争は望ましくない、公平性が担保できない」と、またもや可決に反対したのです。
 わが党も「学校給食の推進と食育の充実」も必要、食育の観点からの補助も大いにやっていただきと考えています。しかし、そもそも「義務教育は無償」と憲法で定められているのです。これでは給食費無償化への第一歩がいつまでたっても踏み出せないばかりか、子育て世代の切実な願いに背を向け続ける、本当に冷たい態度と言わざるをえません。

 以上、議員提出議案第13号、豊島区学校給食費補助金条例は直ちに可決し、多子世帯の経済的負担を少しでも軽減し、子育て支援をすすめるべきことを重ねて述べて、討論を終わります。御清聴ありがとうございました。