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区議会質問
2018年度決算 反対討論

2019年10月29日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております2018度決算、すなわち認定第1号から認定第4号、平成30年度一般会計歳入歳出決算及び3特別会計歳入歳出決算の認定に、反対の立場から討論します。

 安倍政権は10月から、消費税10%への引き上げを強行しました。内閣府が10月7日発表した8月の景気動向指数の速報値で、景気の現状を示す一致指数が前月より0・4ポイント低下し、基調判断も4カ月ぶりに「悪化」に引き下げられました。今回の景気判断は、内閣府でさえ景気が後退局面に入りつつあることを認めざるを得なくなったことを示しています。
 消費税の増税は、国民の負担をさらに増やし、消費を冷やし、景気の悪化に追い打ちをかけます。
 今決算年度の国の予算では、毎年増額を続けてきた軍事費は5兆1,911億円と、過去最大を更新、一方、社会保障費の自然増は大幅にカット。大企業向けの新たな減税措置も進めました。2019年度予算では、この傾向はさらに進み、安倍首相が政権に復帰して以来、7年連続で増え続けた軍事費は、ついに5兆2574億円と、史上最高額を更新しました。
 大企業の内部留保は400兆円を突破しました。その一方、労働者の実質賃金は年額で15万円減り、実質消費支出は20万円減りました。このように、大企業のもうけはため込みに回るばかりで、国民を潤しません。
 都政では、不要不急の大型開発を推進することでは、1メートル1億円をつぎ込む東京外環道や防災の名目で住民を追い出す特定整備路線などについて、小池知事は強行しました。都営住宅の新規建設は、石原都政以来20年間連続ゼロのまま、都民の切実な願いである小・中学校の少人数学級の前進もありません。

 豊島区はどうでしょうか。区は、一般会計決算の特徴について、1堅調な歳入増が続く一方で、深刻化する「不合理な税制改正等」 2 増加傾向にある経常的経費、3 未来へ大きく飛躍する準備を整えた決算の3点を上げています。歳入、歳出決算額が、いずれも過去3番目の規模になったと言いますが、こうした規模が、いったい区民のくらしや福祉の増進にどれだけつながったのでしょうか。
 日本共産党区議団は2018年度決算について、1、区民の需要に応えたものになっているか、2、自治体本来の役割を投げ捨て、大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めていないか、3、将来の財政運営に支障を来すことはないか、以上三つの観点で臨みました。

まず、第一の観点、区民の需要に応えたものになっているか、についてです。

最初に防災についてです。
 感震ブレーカーについて、19年度対象エリアを拡大としたといっても、火災危険度4以上の地域に限定されたままです。限定するのではなく、広く区民が助成を受けられるようにすべきであります。
 わが党が行うアンケート調査では、「避難場所の確保」が毎回、要望項目の第一位となっています。今年の予算委員会で、雑司が谷体育館を改修し2022年9月の再開後、救援センター機能を持たせることや各救援センターの個別マニュアルの作成などが表明されましたが、どちらもほとんど進んでいない、調査もしていないことが明らかになりました。災害はいつくるかわかりません。早急な対応が求められます。またさらなる救援センターの増設が必要です。
 救援センターである西部区民事務所の体育館(地域文化創造館多目的ホール)にはトイレがありません。改善を求めると、西部複合施設など西部地域の区有施設の更新が決まったときには、床なども含め内部改修について検討する、とのことでしたが、早急に検討し整備をすべきです。
 今回台風19号についての豊島区の対応については、たくさんの問題点、教訓がえられたと考えておりますので、機会をとらえて改善を求めてまいります。

次に、保育園についてです。
 18年4月は待機児ゼロを達成したといいますが、実際には隠れ待機児童がおり、昨年4月は131人、そして、今年4月は明確に基準がかわり、「居宅訪問型サービス(ベビーシッター)」の情報提供だけでは、待機児童から外すことはできず、16人の待機児童となりました。
 わが党は待機児童ゼロとともに保育の質の確保、そのための園庭の確保と保育士の待遇改善を求めてきました。区長は、「園庭にこだわっていたら待機児ゼロはできなかった」といいますが、8割の保育園に園庭がない状況になりました。今後の保育園設置について区有地の活用についての検討もあいまいです。
 保育士の給与が低い保育園が株式会社の経営する保育園が多い、という調査結果が雑誌に掲載されました。下位150社の中には、豊島区内の保育園やあるいは豊島区で保育園を経営している会社もあります。急激に保育園を増設する中で、保育士不足、とくに経験がある保育士の不足がおこっています。園長が1年でかわったり、3月に保護者から子どもへの対応に問題があり4月に話をしたら園長も職員も退職や移動でいない、など本当にひどい対応の事例を紹介しましたが、こんな中で、区立保育園の民営化はやるべきではありません。

生活保護についてです。
 安倍政権は18年10月から2020年度まで段階的に生活保護基準を引き下げます。2013年度に続く引き下げで、悲鳴が上がっています。昨年10月からは人によっては月2000円位扶助費が減らされ、ある方は、「月2000円あれば年間2万円以上になり、靴も買えるし、洋服も買える。でもそれさえ我慢しなければ」といていました。今年10月の改定では消費税分1.4%のプラスがあるものの、高齢者世帯では、0.3%の引き下げです。70代の一人暮らしで生活扶助はわずか月72000円程度になりました。生活保護世帯にはプレミアム商品券はありません。この間、食品がじわじわと値上がりし生活費は増えてい、消費税もあがるのに、扶助費がさらに下がるのです。「もうどこも削れない」と悲鳴が上がっています。
 また、昨年夏は猛暑で熱中症で死亡する方が多くいました。
 厚生労働省は、転居の際に、エアコンがない部屋には一時扶助でエアコン設置を認めていますが、すでにエアコンがついてる場合は古くても壊れていても新規には認めない姿勢です。その結果、ある方は転居の際立退料の一部で新居にエアコンを設置したが、ワーカーから「会議にかけるが認められないかもしれない」、と言われています。もし、みとめられなければ返済をすることになりますが、月7万2000円程度の扶助費から、さらに3000円とか5000円返済するのは本当に大変です。
 荒川区では、高齢者や児童のいる世帯でエアコンなどがない世帯に五万円を上限としてエアコン設置などの費用を補助する制度を作りましたが豊島区はやろうとしません。
 今年から改善されたシャワーのみの部屋に住んでいる方への入浴券支給を受けそこないかけた方の事例も紹介しました。担当ワーカーが変わったり、制度が変更になったり、あるいは利用者の状況に変化があったときに、意思疎通がうまくいってないケースが見られます。
職員の体制について厚労省の基準はケースワーカー一人当たり80ケースです。豊島区は一時期よりは改善がされたものの、相談員も入れれば一人当たり平均80ケースとなるものの、相談員を抜けば86ケースとなります。病気や高齢で困難になっている利用者の状況を考え一人ひとりの保護利用者に寄り添ってきめ細やかな対応をするには、さらに職員の増員は必要です。

☆障がい者についてです。
 2018年度障害者通所施設への日中活動系サービス事業所利用者食費負担軽減助成金わずか500万円を削ってしまいましたが、復活しようとしません。
 障がい者の高齢化とそれに伴う重症化、親の高齢化が深刻になり、要望の強かった目白福祉作業所の通所バスの運行、目白生活実修所の通所バス増便については、ようやく区が要望し指定管理者からの提案で送迎バスは対応することになりました。早急に実施を求めます。
 また、「旧区民ひろば池袋跡地グループホーム」については、度重なる入札不調などで当初開設予定だった2019年4月から2020年7月へと1年3ヵ月も延期になりました。来年の開設にむけて保護者から説明会を求める声が上がっています。理事者は11月に要綱を作るが、保護者に情報提供する機会を設けたい、と答えました。グループホームの数が少なすぎるため、保護者の中では軋轢が広がっています。区は今後のグループホーム増設の検討もしていますが、早急に具体化を求めます。

教育における私費負担についてです。義務教育は無償が原則です。
 就学援助は、入学支度金が小・中学校とも増額され支給時期も入学前と改善されてきました。しかし、クラブ活動費などの増額はまだ無理、修学旅行費、移動教室費の事前支給も、まだ検討中とのことですが、入学支度金の入学前支給と同様、要はやる気があるかどうかです。
 現在生活保護の1・2倍となっている就学援助の基準を緩和するには、予算が必要ですが、1.3倍にするには500万円、1.4倍にするには800万円を超える程度でできるのです。わが党は今定例会で特に負担が重い第3子以降の給食費補助について、条例提案をしました。予算約5000万円の事業費です。5000万円かけて給食費の負担をへらすつもりはないのか、と質問すると、理事者は、「物価の動向、値上がりする傾向にある、保護者の負担を増やさずに食育の観点から公費投入を考えている」と答弁していましたが、負担軽減すべきです。


次に民泊についてです。
 2018年度の民泊届出受理件数は、676件です。豊島区は23区の中でも届出受理件数は新宿区についで2番目です。約9割が家主不在型です。ゴミの取り扱い、騒音の苦情などが75件寄せられています。民泊ができて以来、ルールを守らない人いて困っていると苦情が絶えない事例もわが党にはよせられます。区民が迷惑や不安を感じ、住みづらくなるような訪日客誘致と受入れ施設の整備は、「住んでよし、訪れてよし」の観光政策の理念に反すると言わなければなりません。このままだと、民泊を利用する外国人の印象が悪くなります。区は、多文化共生といいますが、ルールを守ってこそ地域でも受け入れることができるのです。新宿区では、区民の生活環境を守るために条例で住宅専用地域を一定規制しています。尚且つ、民泊事業者の電話番号もホームページで公表しています。ところが、豊島区は、条例で規制もしていない、民泊事業者の電話番号を公表することさえしていません。条例の見直しについて、理事者は,これまで規制をしないでやってきたが、いろいろ問題があるので、来年度検討会を作って改正する、と答弁しましたが、問題があることははっきりしたのですから、すぐに検討を開始し、条例を改正すべきです。

次に、住宅対策についてです。
 安心住まい住宅事業については、この年、空き室があっても未修繕のために、入居ができない住宅があることがわかりました。ようやく、予算はついて改善が進みました。
 しかし、区は相変わらず公営住宅は建設しようとしません。都営住宅はここのところ、豊島区内の空き家募集がない状況でした。追及すると11月はあるというのですが、わずか5〜6戸です。
高齢者住宅つつじ園も今年も単身用空き家募集25戸に申し込み157で6.3倍です。多くの高齢者が公営住宅を求めています。
 国が進める住宅確保用配慮者のための住宅、セーフティネット住宅は豊島区では登録は70件。しかし、家賃が高く「低廉」ではありません。区が独自に実施した単身用の住宅確保要配慮者用住宅も問い合わせはあるが、この年度も実績はなし、家賃負担が高過ぎるのが実績の上がらない一番の原因です。
 住宅修繕・リフォーム資金助成事についてです。区内事業者に依頼してリフォーム修繕をする方に補助をする制度です。18年度の実績が 5件、64万3000円。19年度予算も86万3000円です。そもそも予算が少ないのですが、所得制限があり、使いづらくなっています。改善を求めると低額所得者対策として制度設計していて、変更する考えはない、と相変わらず冷たい答弁です。

商店街支援について述べます。
 10月から消費税が10%に引き上げられました。わが党は、これまで何度も区長に対して、消費税10%の引き上げに反対することを求めましたが、区長は「消費税は公平な税制」政府が万全の対策をとっているとして反対しませんでした。国は、軽減税率、ポイント還元などの対策を十二分にとった、と言います。区は、対策として国が軽減税率、ポイント還元やレジ対応の施策をすることを、セミナーの開催、チラシを作製するなど、努力したとはいいますが、わが党の調査では、ポイント還元制度に登録した店舗は、巣鴨地蔵通り商店街で18.8%です。安倍政権が「景気対策」の目玉とした、ポイント還元は登録した店舗は、都内商店街で2割程度しかないのです。10月14日儀武委員が地元の商店街などを回ったところ、「客が減った」と悲鳴があがっていたとのことです。ポイント還元も複雑で、キャッシュレス決済も含め、零細企業には恩恵がない、常連客を差別するもので、とりいれられない、と怨嗟の声が上がっています。
 区は、商店街対策として、地域のコミュニティとしての役割を果たすようにするイベントの援助、貸付制度もあるなど、いろいろやっていても、商店街や中小企業の経営は厳しいのです。
 こんな経済情勢の中で消費税10%を強行する国に対し、反対しようとせず、受け入れている区長の姿勢は認められません。

公契約条例について
 わが党は、公契約条例の制定を繰り返し、求めてきました。今定例会の一般質問でも儀武議員が求めましたが、区は「現時点において、直ちに公契約条例を制定する考えはありません」答弁。その理由として、区は、公契約条例制定の動きが広がった当時と比べ、現在の賃金水準は大幅に改善され、又、豊島区では社会保険労務士が厳格に賃金の支払い状況等を調査し、不備があれば雇用主に対して具体的に改善を求めているため、実効性は担保されているとしています。しかし、最低賃金が引き上げられたとはいえ、時給1020円では暮らしていくことができません。本区でも、非正規職員が約2000人働き、区民へ行政サービスを安定的に提供するためにも処遇改善は重要な課題です。公契約条例を制定した自治体では、賃金が下限額を下回っている場合の労働者からの申し出制度が確立されていること、違反の場合、契約解除、損害賠償請求などの罰則規定もあります。新宿区では、区長の諮問機関として労働者報酬等審議会を設置し、制定趣旨として消費税増税や東京五輪後の景気悪化に適切に対応するためとしています。本区でも、直ちに制定すべきです。

以上、区民の需要に応えたものになっていない決算です。

続いて、第2の観点、自治体本来の役割を投げ捨て、大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めていないかについて述べます。

 豊島区は、東アジア文化都市2019街づくり記念事業と銘打って大型投資を進めてきました。昨年9月は22事業で総事業費417.3億円(2018年9月)、今年3月の予算特別委員会では総事業費453億円に膨れ上がりました。維持管理経費は平年ベースで約10億円です。
今年9月事業についての資料はだされ、現在23事業となっているのは6月に突然公表されたキッズパークが付け加えられたからです。
 総事業費と維持管理経費については資料はまだ出せないということですが、理事者の答弁では、事業費総額は460億円、維持管理経費は13億円と確実にふえてつづけています。

これまでも指摘してまいりましたが、池袋西口公園を「他に類のない劇場公園」にするという区長のトップダウンで始まった事業は、当初28億円、高すぎるとわが党は指摘、いったんはリングの枚数を減らすなどして26億円に、しかし、今年になって補正予算でまた増加、建設費は29億円となったのです。
 庁舎跡地「ハレザ池袋」の新ホール、豊島区立芸術文化劇場は、当初50億円と言われましたが結局84億円とふくれあがりました。中池袋公園は、改修の必要もないのに「ハレザ池袋」と一体で整備するとして、事業費は3.9億円となりました。これらのお金があれば、区民の要望のある、国民健康保険料の負担軽減、子どもの医療費無料化、学校給食費の無償化などは実現可能なのです。
 池袋副都心移動システム(イケバス)は、総事業費が当初3億円、運行に補助金は出さないと言っていました。しかし、初期投資は、4億8,500万円余と1億8500万円も増えました。運賃と収支見込については、9月の副都心委員会で示されましたが、運賃収入と貸し切りバス、広告収入などで合計180万余の黒字になると見込んでいます。委員会でも指摘しましたが、過大な見込みになっているのではないかということです。
 これまではLRT整備構想を見据え、地理に不慣れな観光客や交通弱者を対象とする環境に配慮した新たな移動システムといっていましたが、最近は「観光目的」と明言するようになりました。時速19キロしか出ない、冷暖房もない来街者のための観光目的のバスなのです。区民の足となるコミュニティバスではありません。

さらに、池袋保健所については、ハレザ池袋の「賑わいを作るために」貴重な区民の土地はアニメイトに売却します。10月15日から造幣局跡地に移りましたが、これは仮移転で17億円かかりました。5年後、南池袋二丁目C地区の市街地再開発事業でできるビルに移転を予定しています。南池袋二丁目C地区は都市計画決定し、組合設立認可を申請しています。保留床をいくらで買い入れするのかは聞くと理事者は「わかりません」と答えますが、買い入れ価格も決まってないのに買うことだけ決まっているのが間違っています。
その他に、東池袋一丁目地区、池袋西口地区など市街地再開発事業、計画など目白押しです。

一方で、区民にかかわる施設はどうでしょうか。
儀武議員が質問しましたが、旧朝日中学校跡地に、どんな施設を作るのか地元でも大変注目されています。地域では、園庭のある認可保育園をつくってほしい、議会に陳情が約900人の署名を添えて提出されるなど、地元の7町会長の連名で、区にも要望書が提出されました。しかし、区は「園庭のある保育園をつくってほしい」という地元の要求には応えようとしません。区内では、園庭のない保育園が約8割で、将来の園児のために、のびのび遊べる園庭のある認可保育園はどうしても必要です。
さらにこの場所には、特別養護老人ホーム建設計画が発表されてから2年が経ちます。巣鴨北中学校が新校舎に移ったら、旧朝日中学校の校舎は解体し、2022年には竣工の予定でしたが計画が大幅に遅れています。その理由を聞くと、区は「介護人材、介護を取り巻く環境を精査している」ので遅れたそうです。その間、特養ホームの待機者500人を超え高止まりです。直ちに具体化をもとめると、今年度中に計画を策定すると答弁しました。区民の切実な願い、園庭のある認可保育園の建設には背を向け、特養ホームの建設も2年間遅れました。民間任せでなく、区が責任を持って建てるべきです。区は、福祉は区政の基本だと言っていますが、ハレザ池袋、西口公園、イケバスなどに多額に税金を投入し、事実上福祉が後回しになっていることは認められません。

次に自治体本来の役割を果たすうえで重要な職員にかかわる問題で三点取り上げます。
まず、子どもスキップについてです。
 学童保育の利用者が増えています。現場から「職員の欠員もあり、もっと子どもたちに寄り添いたいが、見守るだけで精一杯」という声が上がっています。学童が100人を超えると正規職員の2名と非常勤の体制となっており、150人を超える池袋本町は正規3名と非常勤です。しかし、正規一人のスキップでは、職員の研修や特に土曜日には学校の教員がいないときなど、非常勤だけの体制では現場が大変であります。すべてのスキップを正規2名体制にすべきと追及すると、理事者は「正規と非常勤のバランス」などを考えているが、必ずしも正規2名体制必要とは考えていない」と冷たい答えでした。来年から非常勤は会計任用職員となり賞与などもつき待遇が一部改善されますが、退職金はない、昇給もない、毎年更新であるなど正規職員との差は依然残ります。これまでも何度も指摘してきたように職員の欠員が18名もある状況です。これを解消するためにも不安定な非常勤ではなく、正規雇用を増やし、すべてのスキップを正規二名以上の体制にすべきです。
 本来、自治体は区民の暮らし福祉の増進のためにあるのです。非常勤なとの不安定雇用を進めれば、結局サービスの低下につながるのです。

 職員の残業についてです。
 豊島区は本決算について、未来へ大きく飛躍する準備を整えた決算と評価して、東アジア文化都市記念事業として大型開発(ハコモノ)、来街者のためのまちづくりに集中的な投資をしています。ハレザ池袋のプレオープンに間に合わせるための厳しいスケジュール、また、イベントも多く区民も職員も大量動員し、区民からは、「また、動員された」とボヤキを聞かされるのもたびたびあります。
 ワークライフバランス、女性も男性も介護や育児をしながら働けるように、というのが社会の流れです。しかし、2018年度の職員の残業については、東アジア文化都市、文化デザイン課関係が多かったのが特徴でした。月45時間以上の残業があった人の延べ数が文化デザイン課46人、東アジア文化都市推進担当課で43人、文化観光課で20人、マンガ・アニメ活用担当課で12人となりました。これについて区長も仕事量が多かったと認めましたが、合わせて職員がのびのびやっていた、などと答弁しました。トップがそういうことを言うべきではありません。残業が多くなったことに対する反省がみられません。

第七次定員管理計画は見直すことになっています。しかし、現状では保育園給食調理、清掃事業などの現業職員の「退職不補充」の姿勢がかわっていないのです。この年、総合窓口課の不適正な個人情報の取り扱い、そして東京労働局からの「偽装請負」の指摘があり、一部業務を直営に戻すなどの措置がとられました。総合窓口課では、民間委託で区職員のスキルがおちて、民間事業者なしでは業務を継続できない事態になっていることが明らかになり、その点から直営に戻し委託業務範囲の縮小が行われたのです。その反省もなく、「最小の経費で最大の効果を」「民間でできることは民間で」と今後も新たな民間委託を進める姿勢は許せません。

以上、自治体本来の役割を投げ捨て、大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めてきた決算は認められません。

次に審査の第三の観点である今後の財政運営に過大な影響をもたらすことはないのかについて述べます。
 わが党区議団は、これまで高野区長のトップダウンによる無計画な投資事業、目玉として推進している国際アートカルチャー都市や東アジア文化都市を口実した大企業のための開発優先の街づくりや投資について、将来の財政運営を左右する事態が必至という観点で批判し、見直しを求めてきました。
 老朽化する区有施設の改修、さらに学校の長寿命化計画が進めば新たな改築改修計画を作りその需要を見込まなければなりません。また区民需要に密着した特養の増設、区立住宅の改修、改築等やらなければならない投資的経費は増すことは必至です。
 区からいただいた資料では、歳出では、今後5年間公債費率4.6%から7.4%へと右肩上がりで、区債償還額も25億円から34億円と増える見込みとなっています。

 歳入にかかわる問題では、消費税増税に伴う地方消費税の清算基準の見直し、法人住民税の一部国税化など不合理な税制改正があり、増税で区が持ち出す負担も年間7億円との答弁もありました。
 さらに、国際通貨基金(IMF)は、世界経済の成長率(実質GDP成長率)は2019年に3.0%、2020年に3.4%になると見通しています。米国と中国の米中貿易摩擦などが影響し、世界経済の成長率3.0%という数値は、リーマン・ショックが起きた2008年(3.0%)以来の低水準となります。また、日韓関係の悪化などで韓国の訪日客が激減し、経済にも影響が出ています。政府が公表している経済指標が、日本経済の深刻な状況を示す中で消費税10%の強行で、消費が落ち込み、企業業績が悪化し法人税税収が落ち込むなど歳入環境が悪化する可能性があります



今後の区の財政状況を取り巻く状況を考えたとき、区長のすすめる不要不急の池袋中心の来街者のための投資を推進する余地はありません。開発事業は一度進めてしまうと後戻りできないのです。

区は「未来へ大きく飛躍する準備を整えた決算」と言いますが、このように投資事業に歳出をあてれば、将来の財政運営にも大きな影響をもたらすことが、決算審議を通じてますます明らかになりました。

以上、三つの観点に基づき審査しましたが、いずれに照らしても到底認めることはできません。よって、一般会計決算の認定に反対するものです。


続いて三特別会計について討論します。

最初に国民健康保険事業会計決算についてです。
 決算年度から「国保の広域化」が始まりました。法定外繰入は前年度比10億円も削減しました。保険料値上げは、前年比3547円、今年度は保険料がさらに上がり、一人当たり保険料は125,174円、前年度比3,186円です。年収400万円、40代夫婦で子ども2人のモデルケースでは、501,659円と収入の12.5%にもなり、子育て世代への負担は大変重いものとなったのです。短期証の発効は約5000人、資格証の発効は約2000人と正規の保険証をもらえない人が増え、安心して医療を受けることができません。事実上国民皆保険制度が空洞化しています。さらに、国と区は、一般会計からの法定外繰入は5年間で解消するとしていますが、そのことによって、保険料が約2万円も値上げになります。国保加入者の8割は年間所得が200万円以下です。もう負担の限界を超えています。本区ではありませんが、無保険の方が病院に搬送されたら、手遅れで命を失うケースもあり、資格証の発行は止めるべきです。国保は社会保障です。国と自治体で、安心して医療を受ける権利を保障するためにも保険料の引き下げを行うべきです。

次に後期高齢者医療事業会計決算について討論します。
後期高齢者医療制度で、保険料を滞納した人に対する差し押さえなどの滞納処分が増えています。これまで一けた台でしたが、決算年度は17人と前年約2倍です。
 年金収入が年80万円以下の低所得者に対して保険料を9割軽減している特例措置を決算年度から段階的に廃止しました。本則の7割軽減に引き下げられたため、保険料は3倍化。年額で平均1万3500円に跳ね上がります。区民への影響は約3500人にも及びます。そもそも、後期高齢者医療制度で特例措置を認めざるを得なかったのは、高齢者の厳しい生活実態があったからです。今でも75歳以上の一人当たり平均所得は年85万7千円にしかなりません。高齢者は長い間社会に貢献してきました。保険料を3倍も値上げすることは許せません。そのうえ、窓口負担を2倍にすることを国は検討しています。とんでもないことです。窓口負担は本来無料にすべきです。

最後に、介護保険事業会計決算についてです。

 この年もグループホームも小規模多機能も新たな建設はありませんでした。理由は「土地がない」「建築費が高くなっている」とのことです。わが党は、グループホームの利用料が高すぎることについて、これまでも何度も指摘してきました。この年新規事業として始まった「豊島区認知症高齢者グループホーム入居者向け家賃軽減実施事業者補助事業」ですが、23区では港区につぎ二番目に実施したことになります。今年度になり実績があがっています。もっと宣伝して、多くの事業者が利用して、少しでも高齢者の負担を低く抑え、必要な人が入所できるようにすべきです。
 また、選択的介護についてのべます。低所得の人はなかなか利用できません。また、本来必要なサービスであれば介護保険で給付すべきです。もうやめるべきです。
総合事業についてです、2018年度は介護予防訪問介護の給付がへった分、訪問型サービスAが増えた形になっています。訪問型サービスAは、国基準を緩和したサービスと言って3日間の研修を受けた人でもできる家事援助ですが、実際には資格を持ったヘルパーがきていると現場で聞きました。1件当たりの単価を計算してみましたが、介護予防訪問介護よりも単価は安く、つまりは事業所の受け取る報酬は低いのに、資格をもったヘルパーが実施しているということは、事業所が泣いているということです。国では今後は、要介護1と2も総合事業にいれていく議論が提案されていますが、そんなことになったら自治体の負担も重くなり、そして事業者も負担が重く、結局その被害を受けるのは区民なのですから、やめるべきです。


 以上のことから、三特別会計決算の認定に反対します。
以上、討論を終わります。御清聴ありがとうございました。