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区議会質問
「31陳情第7号辺野古新基地建設の即時中止と、普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書の採択を求める陳情」及び「元陳情第2号辺野古新基地建設の即時中止と、普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書の採択を求める陳情」並びに「元陳情第5号米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書に関する陳情」、「議員提出議案第10号米軍普天間飛行場の辺野古移設の促進を求める意見書」についての討論(儀武さとる)

2019年7月8日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題となっております「31陳情第7号辺野古新基地建設の即時中止と、普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書の採択を求める陳情」及び「元陳情第2号辺野古新基地建設の即時中止と、普天間基地の沖縄県外・国外移転について、国民的議論により、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書の採択を求める陳情」については、不採択とすることに反対し、ただちに採択することを求める立場から、「元陳情第5号米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書に関する陳情」については採択に反対し、ただちに不採択とすべき立場から討論をします。合わせて後ほど議題とされます「議員提出議案第10号米軍普天間飛行場の辺野古移設の促進を求める意見書」について、可決に反対の立場から討論します。

 まず31陳情第7号及び元陳情第2号についてです。この二つの陳情は、記書きの1.辺野古の新規建設を直ちに中止し、普天間基地を運用停止にすること。2.全国の市民が、責任をもって、米軍基地が必要か否か、普天間基地の代替施設が日本国内に必要か否か当事者意識を持った国民的議論を行うこと。3.国民的議論において普天間基地の代替施設が国内に必要だという結論になるのなら、沖縄の歴史及び米軍基地の偏在に鑑み、民主主義及び憲法の規定に基づき、一地域への一方的な押し付けとならないよう、公正で民主的な手続きにより解決すること。意見書提出を国に求めるものです。

 沖縄県の米海兵隊普天間基地に代わる新基地建設計画をめぐり、名護市辺野古沿岸の埋め立ての賛否を問う県民投票が2月24日に行われました。「反対」が7割強に及び、玉城デニー氏が昨年9月の県知事選で獲得した史上最多の票も大きく超えるという歴史的な結果です。県民の「埋め立て反対」の民意は動かしがたい確固たるものです。

 新基地建設について県民はこれまで知事選や国政選挙などで重ねて反対の意思を表明してきました。県民投票では新基地建設での埋め立ての是非という単独の論点で県民の民意が初めて問われ、「辺野古ノー」の圧倒的な民意が明確に示されました。
 しかも県内41市町村全てで「反対」が「賛成」を大差で上回りました。普天間基地を抱える宜野湾市でも、新基地建設先の名護市でも、昨年の市長選では自民党が推す候補が当選しましたが、県民投票では両市とも「反対」が圧倒的多数を占めました。新基地反対は文字通り、「オール沖縄」の意思です。

 安倍首相が県民投票の結果を受けてもなお新基地建設に固執していることは許されません。「普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」というのが口実ですが、「辺野古が唯一」と言い続けたからこそ普天間基地の固定化が続いてしまったのではありませんか、辺野古の埋め立て海域はマヨネーズ並みの超軟弱地盤であります。

 当初想定していなかった大浦湾側の軟弱地盤の地盤改良工事は、7・7万本の砂杭(すなぐい)を打ち込む難工事となり、国内の最大施工実績の深さ65メートルを超える70〜90メートルの地点もあり、膨大な費用と時間がかかると指摘されています。
 地盤改良に使う砂は651万立方メートルと、沖縄県の砂利採取量の数年分に相当する膨大な量が必要で、県外から搬入する場合、さらに輸送費がかさむことになります。
 沖縄県は、地盤改良工事の費用は約1500億円、新基地完成までの総工費は最大2兆6500億円と試算しています。
 安倍政権は新基地建設を進めるにあたり、「丁寧に説明をして、地元の理解、協力を得たい」と繰り返しながら、これからかかる工事費用も工期も明らかにせず、まともに説明しないまま見通しのない工事を強行しています。
 安倍政権は、県に地盤改良のための設計変更を申請する予定ですが、「オール沖縄」の玉城デニー知事の県政が申請を認めないことは確実です。工事を中止し、無駄な税金の支出をやめるべきです。

 私は、2015年9月1日から4日まで、「辺野古・高江激励訪問ツアー」に巣鴨、駒込地域のみなさんと12名で参加しました。訪問先は、炎天下の下で座り込みを続ける辺野古・高江をはじめ、普天間基地、嘉手納基地、南部戦跡、平和記念公園、平和の礎、「集団自決」があった渡嘉敷島での聞き取り調査などです。参加者は、「沖縄の米軍基地の現状を、実際に見ることで、認識を深めることができた」「激励するつもりでしたが逆に自分が激励された」「国道58号線沿いは、延々と基地が続き、基地の中に沖縄がある」などと感想がだされました。私は、辺野古新基地建設中止、高江のヘリパッド建設中止を、オール沖縄、オールジャパンの連帯の輪をひろげ、なんとしてでも実現するために決意を新たにしました。
 新基地建設を阻止することは「沖縄、そして日本の未来を切り開く」たたかいです。私ども日本共産党は、新基地建設を断固拒否する玉城デニー知事を支え、沖縄に連帯するたたかいを今後も大いに発展させていく決意です。

 現在、オール沖縄、「建白書」市民と野党共闘の政策協定には、辺野古新基地建設反対、普天間基地は即時停止、撤去で一致をしています。野党共闘に参加している5政党、会派は立憲民主党、国民民主党、社民党、日本共産党、社会保障を立て直す国民会議で、沖縄の基地問題にとどまらず、消費税10%増税反対、安倍改憲ノー、原発の再稼働反対など豊かな13の政策協定を結んでいます。

 基地問題の運動の到達点から陳情をみると、記書きの1と2については賛成、3については、100%同意できるものではありませんが、民主主義と憲法の規定を厳格に守る姿勢には賛成できます。
 よって、31陳情第7号と元陳情第2号については、私は採択を主張したのであります。

 一方、「元陳情第5号米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書に関する陳情」は、「国等関係機関に対し、米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書を提出すること」を求めるものです。

 沖縄の米軍基地は、約20万人が犠牲になった凄惨な沖縄戦でほとんどの県民が収容所に入れられ、その間に米軍が県民の土地を強制接収し、普天間基地など広大な基地を建設したこと、その後も住民が住んでいる土地も「銃剣とブルドーザー」で強制接収し、新しい基地を造ったのです。
 戦後74年、今度は日本政府によって、「銃剣とブルドーザー」をほうふつとさせる行為で美しい辺野古の海を埋め立て、普天間基地にはない軍港や弾薬庫などの機能強化が図られ、耐用年数200年ともいわれる最新鋭の基地が建設されようとしています。
 辺野古の海を埋め立てて建設されようとしている海兵隊の新基地は、普天間基地の単なる「移設」などという生やさしい代物ではありません。
 第一に、滑走路は、普天間基地は1本ですが、辺野古の新基地では1800メートルの滑走路が2本となります。
 第二に、新基地には、300メートル近い埠頭を持つ軍港が建設され、いま佐世保に駐留している世界最強の強襲揚陸艦などが接岸できるようになります。さらに約110メートルのタンカーが接岸できる燃料桟橋も建設されます。空だけでなく海でも、海兵隊の「殴り込み」の一大拠点が築かれるのです。
 第三に、普天間基地では軍用機の弾薬を直接積むことができず、嘉手納基地にまで行って積む必要がありますが、辺野古の新基地では広大な弾薬搭載エリアが建設されます。
 第四に、こうして造られた新基地は、大規模改造が進められているキャンプ・シュワブや辺野古弾薬庫と完全に一体で運用されることになります。一体で運用される基地の面積は、現在の普天間基地の約5倍、嘉手納基地の約1・2倍に相当します。
 第五に、さらに、キャンプ・ハンセン、高江など北部訓練場、伊江島飛行場などとも連動して、海兵隊の基地機能は飛躍的に強化することになります。
 先ほども述べたように、安倍首相が県民投票の結果を受けてもなお新基地建設に固執していることは許されません。「普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」というのが口実ですが、「辺野古が唯一」と言い続けたからこそ普天間基地の固定化が続いてしまっているのです。
 よって、私は不採択と主張したのであります。

 委員会審査では、31陳情第7号「辺野古新基地建設の即時中止等を求める陳情」及び「元陳情第2号辺野古新基地建設の即時中止等を求める陳情」については、自民党、公明党が不採択、都民ファーストの会・民主が継続を主張し、継続が否決されると退席しました。立憲民主党と日本共産党は採択を主張。採決の結果、不採択となりました。国民民主党は、国政では、市民と野党共闘の政策で、沖縄の基地問題について、辺野古新基地建設反対、普天間基地は即時閉鎖、撤去で一致しています。区政では、なぜ賛成できないのでしょうか。改めて採択を求めるものであります。

 「元陳情第5号米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書に関する陳情」については、自民党、公明党が採択を主張、都民ファーストの会・民主は継続を主張し、継続が否決されると退席しました。立憲民主党、日本共産党は不採択を主張しましたが、採決の結果、採択となりました。これまで、県民投票、国政選挙、県知事選挙で何度も、辺野古新基地建設反対、普天間基地は即時閉鎖、撤去の民意を示しましたが、安倍政権は一顧だにせず、土砂の投入を強行してきました。民主主義、地方自治を否定するもので、断じて許すことができません。豊島区議会史上に汚点を残すものと言わざるを得ません。
 よって、「元陳情第5号米軍普天間飛行場の辺野古移設を促進する意見書に関する陳情」は、採択に反対し、ただちに不採択とすべきです。

 この陳情が採択されたことによって、後ほど議題とされます議員提出議案第10号米軍普天間飛行場の辺野古移設の促進を求める意見書が提案されますが、可決に反対の立場であります。
 この意見書は、「豊島区議会は、国会及び政府に対し、我が国の安全保障を確保しつつ、沖縄の負担軽減策について最大限取り組むとともに、宜野湾市民の安全な生活を確実に守るため、米軍普天間飛行場の辺野古移設を確実にすすめることを求める。」ものです。
 意見書の「我が国の安全保障を確保しつつ」とは、沖縄に海兵隊がいることで、「抑止力機能をはたし、日本は平和と安定を手に入れることができる」というものです。
 しかし、海兵隊は平和のための「抑止力」ではなく、「殴り込み」を任務とする「侵略力」です。ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争など、世界中でアメリカが引き起こす無法な戦争で、つねに先陣を切って「殴り込み」の任務を果たしてきたのが、沖縄の海兵隊です。

 そして、海兵隊と在沖米軍が、沖縄県民にもたらしてきたものは、県民の記憶に共通して刻まれている痛ましい事故・事件であります。6歳の少女が乱暴され殺されて海岸に打ち捨てられた1955年の「由美子ちゃん事件」。小学校に米軍機が墜落して多数の犠牲者を出した1959年の「宮森小学校事件」。米軍の大型トラックが横断歩道を渡っていた少年をひき殺した1963年の「国場君事件」。米軍機から落下傘で落とされたトレーラーに、少女が自宅の前で押しつぶされて亡くなった1965年の「隆子ちゃん事件」。島ぐるみの怒りが沸騰した1995年の少女暴行事件。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件。これらは、決して忘れることができない痛みの歴史であります。美しい辺野古の海を埋め立てて造る新基地は、耐用年数200年ともいわれる最新鋭の基地が建設されようとしています。
 私たちの住む北東アジアには、さまざまな緊張や紛争の火種があります。しかしそれに対して、「抑止力」増強の名で、もっぱら軍事で構えたらどうなるでしょうか。「軍事対軍事」の悪循環に陥ってしまいます。どんな問題も、平和的な外交交渉によって解決する、憲法9条の精神に立った平和の外交戦略こそ必要ではないでしょうか。沖縄にはそういう平和な交易によって栄えてきた伝統があるではありませんか。沖縄からこそ9条の精神を発信することが大切ではないでしょうか。
 基地に頼らない産業・経済を目指してこそ、沖縄の未来は開けるのであります。

 よって、議員提出議案第10号米軍普天間飛行場の辺野古移設の促進を求める意見書について、可決に反対し、否決することを求め討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。