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区議会質問
31陳情第3号、10月の消費税10%引き上げ中止を求める意見書提出の陳情(討論)(儀武さとる)

2019年3月22日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております31陳情第3号、10月の消費税10%引き上げ中止を求める意見書提出の陳情について、不採択することに反対し、ただちに採択することを求め討論を行います。
 この陳情は、区内の商店街や地域経済に与える影響を鑑みると、消費税10%増税を強行すると、くらしも経済もより深刻な事態になることが予測されるので消費税10%増税の中止を求めるものです。

 わが党は、消費税は低所得者に税の負担率が重い不公平税制であり、消費税そのものに反対ですが、現在の経済情勢で増税を強行したら、区民のくらしも経済もますます立ち行かなくなるので、消費税10%の中止を求めるものであります。以下、採択すべき理由を3点述べます。

 第一に、消費税10%引き上げの根拠≠ェ、総崩れした、からです。
 安倍政権は、消費税引き上げの根拠は、「景気回復の温かい風が吹いている」とか、「社会保障に充てる」とか、「賃金・雇用状況が改善した」から、と言っていましたが、その根拠はすべて崩れてしまいました。

 今の景気をみる際に一番要になるのは、家計消費です。経済の6割を占める消費がどうなっているか、総務省の「家計調査」によると、家計消費という日本経済の6割を占める土台が、2014年4月の8%増税を契機に実質家計消費支出がどんどん落ちて、5年連続家計消費がマイナスで、増税前に比べて、1世帯当たり25万円減っています。また、GDPベースでも約3兆円マイナスです。
 つまり、増税の打撃を回復していない。回復していないところに増税を強行したら、消費が冷え込んで、経済全体に深刻な影響を及ぼすことは必至です。

 また、消費税が導入されて30年になりますが、この間の消費税税収は、372兆円、大企業の法人税は291兆円の減収です。実に消費税税収のうち8割が法人税減税の穴埋めに使われたのが実際です。社会保障の拡充どころか、毎年のように、医療、介護、年金などの改悪や生活保護基準の引き下げが行われたではありませんか。社会保障のためというのはウソであり、言語道断です。

 さらに、安倍首相は「所得環境は着実に改善している」と言いましたが、厚生労働省の毎月勤労統計は不正調査により、2018年の賃金上昇率が実態よりもかさ上げされていたことが大問題となっております。政府の公表値は、調査対象を変えて伸び率が過大になったものです。「共通の事業所」で比較すると6月を除いてすべてマイナスです。実質賃金は、年間平均でマイナス0.5%の結果が出ています。2012年から18年までの平均実質賃金の推移は、実質賃金は、2014年の消費税8%への増税を契機に大きく落ち込んで、10万円以上も落ち込んだままです。ですから、賃金が上がったからという根拠は成り立たないので消費税10%は中止すべきです。

 第二に、区民のくらし、地域経済に深刻な打撃を与えるからです。
 地蔵通り商店街の、とある洋品店の主は、現在でも、お客さんは沢山来るけど、財布の紐が固くて、売り上げにつながらない、この上、消費税が10%になったら、消費はもっと落ち込み、商売にならない、と訴えています。また、「売り上げの少ない店などキャッシュレス決済に対応できない店がでてくる」「カード会社に払う手数料が心配」「キャッシュレスになると商品が売れても、現金がすぐに入ってこなくなる」などの不安と戸惑いの声も広がっています。

 安倍政権は、消費税増税以上の特別な「景気対策」を実施すると言いますが、それなら、10%増税をやらなければ良いのです。安倍政権が行おうとしている、消費税増税に対する「景気対策」なるものが、前代未聞の異常で奇々怪々なものになったことへの強い批判が広がっています。
 とくに「ポイント還元」は、複数税率とセットになることで、買う商品、買う場所、買い方によって、税率が5段階にもなり、混乱、負担、不公平をもたらすとしています。還元の規模が来年度予算で組んだのが1800億円ですから焼け石に水です。しかも9カ月で終わる期限限定です。

 昨年12月、日本スーパーマーケット協会など流通3団体は、「ポイント還元」の見直しを求める異例の意見書を政府に提出しています。意見書では、「一般の消費者にとっては極めて分かりづらい制度となり、日々の買い物において必要のない混乱が生じるのではないか」、「事業者間の競争環境に大きな影響を与え、かえって過当な競争を招き込む」などの強い懸念が表明されています。

「ポイント還元」は、混乱、負担、不公平をもたらし、中小小売業者からも国民からも総スカンの天下の愚策は絶対に認められません。

 第三に、財源をどう確保するか、についてです。 
 アベノミクスで大儲けしている大企業に、儲けに相応しい税を負担してもらい、株の売買で大儲けしている富裕層にヨーロッパ並みの証券課税を強化することです。
 まず、大企業に対する優遇税制をただすことです
 法人税の実質負担率が、中小企業は18%、大企業は10%です。研究開発減税など大企業しか使えない優遇税制があるため、実質には中小企業よりも負担が低い、ですから、これをせめて中小企業並みに負担をしてもらうと、約4兆円がでてきます。

 二つ目に、所得1億円を超えますと、逆に税の負担率が下がってしまいます
 株取引にかかる税金が一律20%と低く、大株主になればなるほど税負担率が下がるという逆転がおこっています。この不公平税制をただす。さらに、下げすぎた所得税・住民税の最高税率は、現在の55%を元の65%にもどすことで3兆円の財源を確保します。大企業と富裕層に対する優遇税制をただして合計7兆円の財源を生み出すことができます。

 委員会審査で、都民ファーストの会としまは、当初、継続審査を主張しましたが、継続審査が否決されると、不採択としました。自民党は、社会保障のためには消費税10%増税は必要との立場から不採択、公明党は、高齢化が進み社会保障費が毎年1兆円増える、その財源確保をどうするのか、消費税10%の中止を求めるからには、代わりの財源を具体的に示すべきだと発言しました。

 しかし、先ほども述べましたが、財源については、全く心配をする必要はありません。わが党は、社会保障の財源については、消費税に頼らない別の道があることを提案しています。消費税に頼っていたら、経済成長はできません。消費を壊し、内需を壊して、経済成長ができなければ財政健全化もできない。ですから、消費税に頼る道はもうやめて、頼らない別の道を行くべきです。
 応能負担の原則に基づいて抜本的な税制改革をやり、富裕層や大企業には応分の負担をしてもらう。そして歳出の無駄はカットする。そういう本当の税財政改革をやって消費税に頼らないで、経済も成長するし、財政の健全化も図ることができます。
 消費税増税は生活困窮者をますます苦境に追い込み、社会保障の財源として、最も相応しくない税制であります。消費税10%は、直ちに中止すべきです。

 よって、31陳情第3号、10月の消費税10%引き上げ中止を求める意見書提出の陳情について、不採択とすることに反対し、直ちに採択することを求めるものです。
 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。