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区議会質問
第94号議案「池袋西口公園改修整備工事請負契約」 (清水みちこ)

2018年12月10日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第94号議案「池袋西口公園改修整備工事請負契約」について、可決に反対の立場から討論を行います。
 本議案は、池袋西口公園改修整備工事を随意契約で23億803万5,600円(税込)で大成建設株式会社と契約するものです。

 本改修整備は池袋西口公園を「国際アート・カルチャー都市」の実現、2019年の「ハレザ池袋」の新ホールオープンと同時に、「他に類のない劇場公園」に整備する、新たな賑わいをつくるなどとして、公園本来の役割を大きく変えてしまうものです。
 昨年5月、突然示されたこの事業は2019年11月のリニューアルオープンに向けた全体スケジュールだけが明確である一方、事業費、財源、維持管理経費等を一切明らかにせず始まりました。区民への説明責任、区民合意もなく、議会への報告より記者発表を優先させるなど議会軽視のやり方で、多額の税金を投入しようとする事業をどんどん進めてきました。
 今年1月、やっと示された基本計画概算工事費は26億8千万円、リング状のモニュメントに8億7千万円という驚くべき額でした。これまでの公園整備と比べて、あまりにも高すぎます。わが党の指摘に区長は「厳しく精査していく」と繰り返し答弁しました。
 その結果である実施設計での概算工事費が9月に示されましたが、工事費は24億6千万円でした。その内訳をみると、リングはフィンを一枚減らすなどで8億7千万円から5億8千万円に2億9千万円減額したといいますが、舞台関連は設計変更などで2億8千万円から6億1千万円へと3億3千万円もの増額です。
 結局、リングの工事費を削っても、他の部分の工事費が増えていたのでは、「厳しく精査」したとは到底言えません。
 当初よりわが党はこうした区の姿勢は無計画、無責任であることを指摘、事業の見直しを強く求めてきました。以下、反対の理由を3点述べます。

☆第一の反対理由は、「四つの公園構想」、「ハレザ池袋」の新ホールオープンに合わせるなど、賑わいづくりのためだと言って、工事費が巨額になっていることです。
 先ほど述べたように9月に示された実施設計概算工事費は24億6千万円ですが、本議案の契約金額は23億円余となっています。委員会審査で金額が異なる理由を質すと、彫刻移設、ステージ解体等の先行工事8千万円と、照明・音響等の舞台備品7千万円の合わせて1億5千万円が本契約には含まれていないと答弁がありました。すべて合わせると実施設計の金額24億6千万円で工事費が安くなったわけではありません。
 また11月20日の議員協議会で私が「これ以上、工事費が高くなることがないのか」と質したのに対し、齋藤副区長は「地下から何か出てくるとか不測のことがない限りありません」「予定価格の中で努力していく」と答弁しました。しかし委員会審議で再度、質したところ、公園計画特命担当課長は「これだけ大きな工事(中略)その可能性は正直ございます」と答弁しました。この工事だけでないとしながらも、地下に地下鉄の軌道がある関係では、山どめ工法の変更や地下鉄の躯体に観測機をつけるなども起こり得るとしました。地下鉄の軌道と舞台地下部分との距離は近く、平均で3メートル、一番近いところで2メートルしか離れていないということも委員会審査で明らかになりました。ましてやリングは鉄骨とアルミでかなりの重量があります。リングによって工事費だけでなく、工事のリスクはさらに増えるのです。
 他にも議員協議会で齊藤副区長の答弁に「難しい業務なのでスーパーゼネコン」でなければとありました。改めて委員会審査でその理由について質すと「一番困難なところはこのパーゴラ」と答弁、つまりはリングということです。工事費が巨額であるとともに、工事発注をスーパーゼネコンにせざるを得ないのは、このリングがあるからです。いまからでもきっぱりとやめるべきです。

 そもそも基本計画や設計の段階から工事費まで、これまで示された数字で積算してみると、基本計画策定はプローポーザル公募で三菱地所設計とランドスケーププラスの共同企業体に959万円で契約。基本設計、実施設計も引き続き同社で随意契約を結び、トータルで8,960万円。本工事の工事監理は三菱地所で8,690万円、合わせて1億8609万円です。三菱地所は池袋西口再開発の事業協力者であります。基本計画と設計は三菱地所、本体工事は大成建設で、総額は26億4,600万円にもなります。まさに大企業による、大企業のための公園改修ではありませんか。

 完成後の経費も問題です。維持管理経費については、9月の副都心委員会で示された数字は年間4,790万円ですが、電気代は実績の数字で増額を想定していること、新規の警備費用についても変動の可能性があるとされ、管理・運営の委託料も別途発生します。委託について、ステージ等管理、大型ビジョン運営を「みらい文化財団」と想定していますが、委託料は調整中とのことでいまだ示されていません。工事費も維持管理経費も「賑わいづくり」のための劇場公園にしたため、どんどん膨らんでいったのではありませんか。

☆第2の反対理由は、スケジュールありきで、区民合意もなく、議会軽視で進めるやり方だからです。
 いまでも池袋西口公園は週末や祝祭日はほとんどイベントが行われており、高齢者から「イベントばかりで人が多いのでなるべく通らないようにう回している」「人が多くて改札まで行くのが大変」等と言った声が出ています。
 委員会で稼働率等について問うと、「現在は年間150日の稼働」「改修後は概ね200日を想定」との答弁がありました。
 しかしイベント等で日常的に人が集まることを想定していては、「公園」として公共性が担保されなくなり、散歩や休憩などの憩いの場所、遊びや運動を楽しむための場所ではなくなります。また当公園は池袋駅西口に直結し、災害時には重要な避難場所となります。その場所に日常的に大勢の人を集めていたのでは避難場所としての機能を果たせません。
 わが党区議団が今年行った「区民アンケート」には2423通の回答が寄せられました。その中の「区政でやってほしいことはなんですか」という質問に対し一番多かったのが「避難場所の確保」で1,503件。また「区は池袋西口公園を26億8,000万円かけて整備する計画ですが、どう考えますか」という質問には、賛成17%に対して、反対55%、分からない20%でした。アンケート結果からも、今回の改修整備は区民の求めるものではなく、到底、区民の理解を得ることはできません。
 また使用料についても現在の平日15万円、土日20万円を下回らない額でと言いますが、いまだ調整中とのことで示されていません。来年の第一回定例会に条例を上程するといいますが、本契約議案のように直前にならないと示せないと言うのでは議会軽視につながります。
 近隣住民からも、改修後の騒音、振動や審査基準などに対する懸念の声が出ていると聞いています。池袋駅西口は駅前と住宅地が近接しており、近隣住民の日常生活に対する影響、ご懸念、ご心配は計り知れないものがあります。改修整備に関する説明会も今年3月に基本計画説明会を2回開いただけです。このまま近隣住民への十分な説明と合意形成を取る努力をすることなく、スケジュールありきで工事契約を結び、工事を進めるべきではありません。
 委員会で、これまでの経過を見ても工期が非常にタイトであること、スケジュールありきではないかと指摘すると、区長は「期限を切って大きな開発が同時進行で竣工している」「同時にやることがさらに街の魅力がひきだせる」とし、「無理の無理の無理はまったくするつもりはない」と答弁しました。
 しかし、近隣住民の意見を聞かず、住民合意を置き去りにして進めていく区のやり方は区民無視にほかなりません。このまま契約してしまえば、区民の様々な意見、声は切り捨てられ、スケジュールありきでどんどん進められていくのです。区民との合意形成ができる前に本工事契約をすべきではありません。

☆第3の反対理由は、契約が極めて不透明だからです。
 本契約は一般競争入札ではなく、随意契約となっています。その理由として「10/25に入札予定だったが、9/28時点で希望申請なく不調。履行期限である2019年10月31日までに工事を完了させるためには再度入札を行う時間的余裕がないため随意契約を締結する」としています。
 その随意契約の相手方は「大成建設株式会社」です。リニア新幹線工事をめぐる談合事件で起訴されたスーパーゼネン4社のうちの1社です。
 委員会審議で本契約と談合事件による指名停止期間との経緯を質しました。今年3/23、リニア新幹線談合による大手4社が起訴され、4/26〜10/26までの6か月間の指名停止期間でした。先にも述べましたが、本契約は9/28に入札不調となっています。
 改めて、指名停止解除前から交渉していないかを質すと、区が随意契約の見積依頼をしたのが10/19、まさに指名停止期間中であります。区は「契約の時には指名停止があける」「やむをえない時は指名停止期間中でも見積もり依頼はできる」「法的に問題ない」と開き直りました。しかし法的に問題がなければそれでよいと言うことではありません。区としての姿勢が問われる問題なのです。
 「法的に問題がない」「やむをえない時」と言うのは結局、なんとしても来年10月末まで、ハレザ池袋と同時オープンでという、区側の理由であって、広く理解を得られるものでは到底ありません。
 本契約については他党からも「大手ゼネコンでさえ交渉に難航したのは金額面、工期に問題があった」「10カ月で全部仕上げていくことにかなり無理がある」、「随意契約になって競争契約と違って高くなっていることはないのか」「積算根拠を示してほしい」などの懸念の声がでました。
 本契約は来年10月末までと期限を切ったこと、さらにスーパーゼネコンでないとできない工事であることが費用を膨らませ、契約も随意契約にせざるをえなくなった要因です。区民無視、議会軽視でさらに進めることは絶対にあってはなりません。

 よって、第94号議案「池袋西口公園改修整備工事請負契約」について、可決に反対するものです。以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。