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区議会質問
認定第1号 2017年度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号 2017年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号 2017年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号 2017年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定についての反対討論 (清水みちこ)

2018年10月29日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました認定第1号、2017年度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、2017年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、2017年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、2017年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論します。

 安倍自公政権のもとで、国民生活はより一層深刻になってきています。
 ところが10月15日に安倍首相は、来年10月に消費税10%増税を予定通り進めることを表明しました。安倍暴走政治からの転換がいよいよ必要となっています。
 今決算年度で示された国予算案では、毎年増額を続けてきた軍事費は5兆1,911億円とまたも過去最大を更新。一方、社会保障費の「自然増」は大幅にカットです。
 大企業向けの新たな減税措置も進めました。この5年間で大企業の当期純利益は2.5倍となり、内部留保は80兆円積み増しされて400兆円を突破しました。その一方、労働者の実質賃金は年額で15万円減り、実質消費支出は20万円減りました。このように、大企業のもうけは、ため込みに回るばかりで、国民を潤しません。また森友学園、加計学園など首相や昭江夫人が直接関与したといわれる事件では日本を大きく揺るがす問題となりました。
 都政では、不要不急の大型開発を推進することでは、1メートル1億円をつぎ込む東京外環道や、防災の名目で住民を追い出す特定整備路線。焦点となった築地の豊洲移転について小池知事は、「築地は守る」と約束していましたが、結局、公約を破り豊洲移転を強行しました。都立病院については、都立直営の見直し・地方独立行政法人化をふくむ経営形態のあり方検討予算が計上され、都立大塚病院の都立はずしが再燃しようとしています。都営住宅の新規建設は、石原都政以来19年間連続ゼロのまま。都民の切実な願いである小中学校の少人数学級の前進もありません。
 豊島区はどうでしょうか。
 区は、一般会計決算の特徴について、1健全で堅実な財政運営 2伸び続ける社会保障関連経費 3未来にチャレンジし続ける自治体の三点をあげています。またその中で、2017年度予算についてふれ、新規拡充事業227事業81億円を計上したが、このうち117事業、55億円を持続発展都市実現に向けて重点的に編成した。その結果、待機児童ゼロの2年連続達成をはじめ、「東アジア文化都市」国内候補都市決定、4つの公園と劇場空間の整備推進など、「子育て」「福祉」「教育」「防災」など、区民生活の基盤に軸足を置きながらも、将来の街づくりに向けて、着実に準備をすすめた決算となったと述べています。
 区民生活の基盤に軸足を置いたといいますが、今年、わが党の実施した全区民を対象にしたアンケートでは、暮らしについての設問に、「苦しくなった」との回答を寄せた方が、50%と前回よりも3ポイント増加しているように区民生活はより深刻になっていることが伺われます。

 日本共産党区議団は、2017年度決算の審査にあたり、
 第1の観点、区民の需要にこたえたものになっているか
 第2の観点、自治体本来の役割を投げ捨て大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めていないか
 第3の観点、将来の財政運営に支障をきたすことはないか
 以上、3つの観点で決算審査に臨みました。


 では、第一の観点、区民の需要にこたえたものなっているかについて述べます。

 【防災】について2点述べます。ひとつめは【救援センター】についてです。
 今年度行った、わが党区議団のアンケート調査で、区民要望のもっとも高かったのは「避難所の確保」です。これまでわが党は救援センターの増設を求めてきましたが、救援センター35カ所、収容人数25,000人、対人口比8.8%と23区ワースト1のままです。人口増とともに、近年、地震、台風など自然災害が全国各地で発生しており、救援センター増設は待ったなしです。しかし委員会審議で驚くべきことに「増設計画はない」こと、さらに各救援センターのマニュアルの整備、更新についても不十分、救援センター35ヵ所中、半数程度の現場確認、把握しかできてないことが明らかになりました。
 また救援センターの環境整備やバリアフリー化なども重要です。本定例会、垣内議員の一般質問に対し、救援センター機能を持つ「区立小中学校全体育館で来年度目途にエアコンの
 設置をすること、委員会審議でその他救援センターの西部区民事務所、みらい館大明、旧文成小学校についてもエアコン設置の検討に入っていることは一歩前進です。しかし災害はいつ起こるか分かりません。区民の命を守るために救援センター増設、合わせて現状の把握、環境整備のための学校等の改修計画を直ちに立てるべきです。

 ふたつめは、【感震ブレーカー】についてです。
 わが党の要望が実り、本決算年度?2017/9~?から事業が始まりました。しかし対象地域を池袋本町に絞った手法、条件、周知方法などから、購入した500個のほとんどが残ってしまい、今年度は予算化されていません。今年度は戸別訪問、町会の地域防災訓練で事業の説明を実施。その結果、9/25現在、簡易型の場合、池袋本町3丁目で昨年度7件だったのが300件、池袋本町4丁目では昨年度11件が19件と大幅に増えています。やはり地道で、きめ細やかな対応をしなければ広がらないということです。
 また対象地域について、区は今後「火災危険度4以上」の地域にも広げていくとしていますが、地域を限定するのではなく全区を対象とし、条件等も改めることが必要です。

 次に【区民集会室】についてです。
 区民集会室は区民の身近な活動の場ですが、施設や備品に格差がある上、何年間も改善されないままの施設があります。私が一昨年の決算特別委員会で指摘した、池袋第三集会室の机と椅子は一部交換されましたが、新旧で形が違うため片づけに手間がかかる、見た目が悪いと利用者から声がでています。また要町第一集会室は所管課任せで実態をつかんでいません。以前は大規模改修に合わせてと答弁をしていますが、その改修計画すら立っていない状態です。副区長は「私が直接現場を確認して、必要な部分は具体的に改善指示をする」と答弁しましたが、2年前に指摘をしているのに、いまだに必要な手立てを取っていないのは許せません。当該施設だけでなく早急に全体的な改善計画を作り、区民の願いに応えた区民集会室にすべきです。

 次に【子どもの貧困対策】について3点述べます。
 ひとつめは【子どもの医療費無償化】についてです。
 「子どもの医療費は無償が原則」です。これまでわが党は「子どもの医療費無償化」を18歳まで拡充するよう求めてきました。18歳まで無償化するのに1億4千万円。現在、乳幼児のみの入院食事費助成を中学生まで拡充するのにわずか280万円です。改めて拡充しない理由を質すと「現段階で必要ない。優先順位として低く考えている」という相変わらずの冷たい答弁でした。具体的な事例として、高校受験にむけての塾代負担が家計を圧迫していることや、中学生の子どもさんが医療費無償であるからこそ受診を控えることなく早期治療につながったと言う事例を取上げました。それに対する認識を質しても「確かに大変な思いをしているという認識」があるが「拡充については考えていない」「優先順位が低い」と繰り返すばかりです。子どもの医療費無償化は子どもの命に直結します。ただちに18歳までの無償化に踏み出すべきです。

 ふたつめは【就学援助】についてです。
 「義務教育は無償が原則」です。これまでわが党は教育における私費負担の軽減、中でも負担が重い入学支度金の増額と入学前支給を求めてきました。
 入学前支給は中学校ですでに昨年度から実施、小学校は来年度から予定されています。支給額は今年度から小学校が40,400円、中学校が47,400円に増額されており、さらに来年度?2019?から小学校63,100円、中学校79,500円へと大幅増額されることが委員会審議で明らかになりました。これらがわが党の主張により実施されたことは評価できます。
 しかし他の費目について増額はありません。卒業アルバム代、クラブ活動費などは支給額が低すぎて実態とかけ離れたままで増額が必要です。検討するとしていた移動教室費、修学旅行費などの事前支給については「負担が大きい」と認識しながらも、「17年校外学習費を改善した」「学校の体制も含め引き続き検討」とまったくやる気がありません。修学旅行費は中学2年次に積立、徴収が行われ、実施は中学3年次です。事後支給まで保護者が建替えするのは困難です。

 三つ目は【給食費】についてです。
 給食費は年間、小学校で約5万円から5万6千円、中学生で約6万3千円もかかります。教育委員会に「負担が重いとの認識があるのか」と質すと「就学援助で給食費の支給ある」としながらも「就学援助を受けられないボーダーの家庭などには重い」と答えざるを得ませんでした。にもかかわらず、給食費無償化には後ろ向きです。
 安倍首相は来年10月に消費税10%増税を表明、増税による食材の値上がりは必至で給食費への影響が懸念されます。区は「質は落としたくない」とは言うものの補助をするとは明言しませんでした。
 また昨年の予算特別委員会で検討するとした「多子世帯」への補助については、「検討したが、生保や就学援助で出ている。それ以外だと生活に困窮していない家庭となり、何を目的にやっているかわからなくなる。現状考えていない」と驚くべき答弁でした。「ボーダーの家庭などには重い」との認識あるのに無償化に踏み切らないのは認められません。

 【保育園】についてです。
 待機児童はゼロになったといますが、急増した認可保育園について実地検査がほとんど行われていませんでした。16年は49園中5園、17年は61園中6園です。最近も練馬区で、認可外保育園で死亡事故がおきました。全国では認可保育園でも死亡事故が起きています。職員の体制がちゃんと取れているか防災訓練は行われているかなど直ちに検査をすべきです。本来やるべき確認権限にもとづく実地検査をやらないでいたのは、検査のための基準がなかった、また、体制もないつまり職員をあてていなかったことも明らかになりました。直ちに改善すべきです。
 わが党は園庭のある認可保育園を保育の質を確保する立場から求めて参りましたが区長は、「園庭のある保育園にこだわっていては云々」と答えていたのでありますが、今回実地検査もしてこなかったこということは、つまりは保育の質その安心安全と言う点でも最低限の保証がないと言うことであります。
 さらに、旧朝日中学校跡地を利用しての保育園建設については、地元の区民や地元町会から強い要望がでていますが、区長は「朝日中跡地には近くの保育園の子どもが遊べる施設を作るということで納得してもらえたと思っている」と答弁。もともと、園庭のある保育園を作る気がないのが、問題なのです。

 【放課後児童対策、子どもスキップ】についてです。
 17年度から、子ども家庭部から、教育委員会に移りましたが、その際条例改正して子どもスキップの理念および事業を明確化し、児童の発達に応じた遊びや行事、児童の健全育成に関する情報の提供、児童に関わる各種相談、児童に関わる地域や関係諸機関との連携強化、地域における児童福祉の増進、が盛り込まれました。このような仕事ができるような体制になっているでしようか。
 この問題を取り上げて2年近く経とうとしていますが、職員に欠員がある状態が続いています。10月現在24ですから、22のスキップすべてで欠員があることになります。スクールスキップサポーターの制度を作っても、全校に配置するほど集まらない、それ以外の非常勤は一生懸命採用してもやめてしまう人が出ているからです。
 さらなる非常勤の待遇の改善とともに、どのスキップも全てせめて正規職員2名体制にすべきです。正規を増やせと質問すると部長は、切羽詰まったらと答弁しましたが、2年間も欠員が生じているのに、「切羽詰まっている」という認識がないのが、問題です。
 児童の数も増え、働く親の割合も増えているため、学童クラブの登録者数も増えています。100人を超える学童クラブも7つあります。学童クラブは児童一人当たり1.65uを確保することになっています。ところが、実際には、本来の学童クラブ専用であるコアだけでなく、一般児童も利用するセカンド、さらには学校とタイムシェアする「サード」まで、合わせた面積から学童クラブの定員を算出しています。これだと形式上、待機児がでません。しかしこれでは、体育館や校庭が使えない時には子どもスキップが子どもたちでいっぱいになっているのもうなずけます。学童クラブの条件整備とこどもの居場所拡大のために子どもスキップ以外にもいける場所の確保が必要です。

 次に【生活保護ならびに低所得者対策】です。
 区長は区民の置かれている生活状況について、二極化した格差が広がっているという認識を示しました。
 生活保護基準の引き下げは2013年度にも行われ、さらにこの10月から2020年度までに段階的に引き下げが行われます。本区では保護世帯の8割近くに影響が及びます。また最も手を差し伸べるべき母子への加算を減らすとは言語道断です。
 委員会審査で、エアコンの設置状況について保護世帯の8割程度という答弁がありました。2割ちかくはエアコンの設置がなされていない住居に住んでいるということです。今年4月からは、新規の保護世帯にはエアコン購入費助成が受けられるようになりましたが、問題は現在の受給者にどう普及するかです。
 区は、保護世帯に対し、独自の法外援護は入浴券60枚支給について復活しましたが、それ以外は実施する気がありません。
 今年の夏は、酷暑が続き熱中症による症状から病院に搬送される高齢者も多く見られました。まさに災害であります。荒川区では「熱中症対策緊急対策」として、エアコンのない一人暮らし高齢者など、上限5万円の補助を実施することを行いましたが、豊島区はやる気がありません。
 区民の命を守るために生活保護者や低所得者に対する制度拡充を求めておきます。

 【住宅対策】についてです。
 安心住まい住宅は、高齢者や一人親家庭等が、立ち退きを余儀なくされた際、受入れとなる緊急性を求められる住宅です。
 ところが提供できる空き室数53室のうち修繕済み住宅は15室で38室は未修繕となっています。中には、空き室すべて未修繕のために2,3年も放置されている住宅もあるというのです。その理由としてしかるべき予算を取っていなかった旨の答弁がありました。
 緊急性の求められる住宅なのにやるべきことをやってない典型です。
 また、安心住まい提供住宅の一部が単身用の「住宅確保要配慮者用住宅」に改修されましたが、結局これまで入居実績はゼロ。家賃負担が高すぎるのが実績の上がらない一番の原因です。低所得者向けなのに入れない住宅ではあってはなりません。
 区民の住宅居住水準の引き上げも喫緊の課題です。
 家賃が高くて、事実上生活保護では入れない住宅ばかり増えています。これを解決するためには、公営住宅の増設が必要です。今住宅マスタープランの改定が行なわれていますが公営住宅の大幅増設、家賃補助の大幅拡充などを盛込むべきです。
 今区内で再開発による巨大マンションの建設が進んでいます。この開発により、長年住んでいた人が追い出されるという事態も起きています。区長は、選ばれる街といいますが、区民生活の住宅対策費を減らし続ける決算は認められません。

 【私道排水・舗装助成】についてです。
 この年、私道排水設備・私道舗装の補助率を90%に引き上げました。
 予算3000万円に対し、1400万円余の執行、もう少し助成がふえるかと思ったがという理事者の答弁がありましたが、それほど増えなかったということです。ただでさえ、私道の共有部分は、相続関係者や近隣の合意をとるのが困難になっているのに、たとえ1割でもお金を出すとなると、それだけであきらめてしまう人がいるのです。理事者は「他区とちがって豊島区には利用条件が厳しくない」とか言ってましたが、実際に執行率が上がらないのは、ニーズに合っていないのです。100%補助にすべきです。

 次に【商店街対策】についてです。
 区内の商店街は、シャッターどおり商店街となっています。大型店舗の売り上げが区内の七割を占め、その他の街の商店街の売り上げはわずか三割ですから事態は深刻です。
 生鮮食料品を扱う肉屋さん、魚屋さん、八百屋さんなどは15年前からみてもその数は半減しています。区は、イベントや支援策を講じても地元商店街には回ってこない実態です。今、こうした現状を打開しなければ、やがて街は衰退し、商店街はなくなり、町会に加入する世帯も減り、お祭りやイベントや子どもの育成など地域コミュニティの形成は失われていきます。さらに特定整備路線は、区内の有数商店街を分断させることになります。道路ができると商店街は分断され、大きな打撃を受けることになりますが、区長はこの道路整備を快挙と言って推進してきました。
 商店街を守るどころか廃業に追い込むことをしていることは認められません。

 【特別養護老人ホーム】についてです。
 昨年度(2017)末の、待機者は606人/Aランク299人、今年度6月末は630人/Aランク315人と増加しています。わが党の粘り強い要求で、旧朝日中学校に整備が決定していますが、まだまだ足りません。今後の計画について質すと「連絡しても断られるなど、ベッドが空くケースが多い」「状況を見極めて検討する」と後ろ向きです。一方、空きベッド数は昨年度22件から37件と15件も増え、その理由として区は「ピンポイントで増えてしまった」「現在は減りつつある」としています。しかしある施設では10から12件と逆に増えており、これだけの空きベッドを抱えていたのでは、事業者の運営にも関わってきます。
 介護現場では過酷な労働にもかかわらず賃金が安く、職員がなかなか定着しない現状があります。区は区内施設の施設長会などで職員不足の情報を得ながらも、「介護の仕事相談面接会を開いている」「職員不足と空きベッドとは別」と言う認識です。しかしある施設では現に「4月に職員不足で体制が取れずに入所抑制した。現在、体制は取れたがベッドが埋まらない」状態と言います。区内増設とともに、早急に区が職員の待遇改善を含めた手当てを具体化すべきです。

 次に【障がい者施策】についてです。
 昨年10月、目白福祉作業所の親の会から「通所が困難になった利用者への対策」として通所バスについての要望が出されました。今年9月には目白生活実習所の親の会からも、バスの増便などの要望が出ています。この要望の背景には、利用者増や利用者、親の高齢化、利用者の重症化などがあります。区は「すぐに対応するのは難しい。2020年に指定管理者の更新がある。そのときに検討する」としました。しかし要望は1年前から出ており、早急な対応が不可欠にもかかわらず区は「検討」を繰り返すばかりです。その理由を問うと「財政面」「運行後の配置が難しい」というものです。
 障がい者施策は、これまで遅々として進まず、反対に今年度からわずか年間500万円の給食費補助を削り、利用者は一食当たり100円、月2千円の負担増です。またやっと具体化した旧区民ひろば池袋に整備するグループホームも二度にわたる延期、1年3か月の先送りです。これは区が旧施設の解体工事まで指定管理者に丸投げしたのが主因で、区の責任は重大です。区長は「障がい者施策は重要な施策(中略)できる限り対応していきたい」と答弁したのですから、早急に検討し、来年度に予算化すべきです。


 続いて、第二の観点、自治体本来の役割を投げ捨て大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めるものになっていないかについて述べます。

 【ハレザ池袋「旧庁舎跡地と周辺まちづくり」】について述べます。
 2014 年に新庁舎建設資金計画のため「旧庁舎跡地と周辺まちづくり」として始まったときには税金投入は114億円でした。新ホール「文化芸術ホール」は当初50億円といわれましたが、約84億円に増え、中池袋公園も2億6800万円から4億1000万円になるなど大幅に増えています。中池袋公園の経費の増加で指摘したように、「にぎわいを創る」ため、統一的なデザインにするなどといって民間の開発にあわせて費用がふくらんでいるのです。この結果、税金投入の見込み額は175億円となっています。新ホールの利用料は、平日1日130万円、区民利用で軽減しても40万と高額で、豊島区として利用する日数は年間10日、区民のための施設ではありません。建設後のランニングコストは差し引き約2億9000万円、修繕積立金6800万円をつぎ込みます。
 池袋西口公園については、これまでなんども指摘してきました。本決算年度(2017)5月に基本設計策定業務をプロポーザルで公募したときは「事業費はまったくの白紙」、9月に策定事業者が決定しても「事業費は基本計画策定後」という答弁に終始。やっと今年(2018)1月に示された概算事業費は26億8千万、飾りに過ぎないリングに8億7千万円という驚くべき額でした。わが党は「せめてリングはやめるべき」と質し、区長は「厳しく精査する」と繰り返し答弁。今年8月少しの手直しで2億2千万円減額で誤魔化しました。「まったくの白紙」から始まって、厳しく精査しても24億6千万円まで大きく膨らんだのであります。

 区長がかかげた「四つの公園」以外はどうでしょう
 一昨年?2016)決算特別委員会でわが党が提案した「公園トイレ改修、清掃プロジェクトチーム」ができ、本決算年度から3か年で区内公園等トイレ133カ所のうち85ヵ所が建替え、改修が行われているのは大きな前進です。今年8月からは公園トイレの清掃回数も増えています。公園トイレ改修について区民の期待は大きく、区に進捗状況を質すと「建築契約が滞っている。入札が不落になったりしたが今年度は業者決定しており、ほぼ見込みで進んでいる」という答弁でした。
 地域の公園はトイレの他にも老朽化が進み、区内第2の面積をもつ「谷端川緑道公園」は地域から改修を望む声が多く出ています。しかし決算資料の改修計画については「公園面積11,651uの内、歩道面積4,600u、改修を要する面積450u」「歩道全体を改修するには膨大な事業費を要するため、2019年度から5か年で破損個所を請負工事により改修」とあり、事業費は算出すらしていないことが明らかになりました。およそ計画と呼ぶにはほど遠く、地域の公園への区の姿勢を端的に示しています。
 一方、池袋を中心とした4つの公園、池袋西口公園、中池袋公園には莫大な税金を投入し、オリンピック・パラリンピック、ハレザ池袋のオープンなどのスケジュールに合わせ、ハイスピードで計画が進んでいます。区民の願いは大企業、来街者のための豪華な公園ではなく、地域で気持ちよく、安心して使える公園です。

 自治体本来の役割を果たす上で看過できない問題として【職員体制】について述べます。
 今年の予算委員会で指摘した臨時職員の健康診断について課長は来年度予算要求をしているとのことでしたが、必ず予算化するよう指摘しておきます。
 育休代替は、正規職員でなく派遣か臨時で対応していますが、これは「定数管理計画」があるせいです。一つの課で二人が育休をとることになると現場は大変と聞きます。なおかつ派遣職員では、業務経験の蓄積、人材育成は困難です。育休以外にも年度途中の職員の退職や休職もあるなか、育休代替には正規職員を充て、育休が取りやすい体制をとるべきです。
 現在の管理職の体制は、課長の兼務は事務取扱も含め15、課長心得が3人となっています。異常な事態です。管理職のなり手がいないということです。区議会の議事録の作成やインターネット中継のアップが遅れています。議会改革や広報編集など議会活動を活発化させると議会事務局の仕事は増える、しかし残業はできない、となると、今目の前の仕事をこなすのが最優先で、議事録は後回しとなっているとのことです。
 副区長の答弁では定員管理計画の「1800人は根拠がある数字か、合理的な数字化、確認すする必要がある」、また、「職員の処遇も職員団体から要望がでている。必要な対策を立てていきたい」とのことでした。これまでの定数管理や人事、人材育成に問題があったことは明らかですから、正規職員の削減方針はやめ、必要な配置と人材の育成をすべきです。

 次に【総合窓口課】についてです。
 個人情報保護の観点から、また、行政の根幹事業であることからも、戸籍や住民記録の事務は民間委託をすべきではありません。現在の事業者の離職率は28%程度とのことですが、少なくとも約3割の人が、入れ替わっているのです。多くの人に区民の個人情報がさらされているということです。
 偽装請負はあってはなりません。これについては、小林議員が一般質問で質問し、委員会でもとりあげました。法務局からは指摘がないが、10月15日労働局の職員がきてヒアリングされたとのことでした。今後、詳細を議会に報告するよう求めます。
 総合窓口課の「個人情報の不適正な取扱い」としてこの間報告があった件についてです。個人情報が漏れた可能性も否定できないのですから、この事業者に委託を続けるわけにはいかないと思っています。しかし、豊島区は「新たな事業者が引き継ぐには、7〜10か月かかる」「繁忙期には、区が公募やプロポーザルなどの書類の事務処理をする余裕がない、受託業者に引継ぎができない」として、2年間は使い続けるつもりです。これは、大変な量と質の業務を委託していること、すぐに切り替えるための職員の余裕がない、豊島区の力量が落ちている、ということです。
 副区長からは「これまでと次元の違う対応をはかることもある。」「民間委託は間違ってないが、もう一歩踏み込んだ対策を検討する」と答弁がありましたが、豊島区行政の根幹がくずれるような民間委託は撤回すべきです。
 以上、自治体本来の役割を投げ捨てるようなやり方は認められません。


 次に第三の観点、将来の財政運営に支障をきたすことはないかについて述べます。

 わが党区議団は、高野区長のトップダウンによる無計画な投資事業、目玉として推進している国際アートカルチャー都市を口実した池袋駅周辺の開発優先の街づくりについて、将来の財政運営を左右する事態となることが必至という観点で批判し、これまでも見直しを求めてきました。
 先ほど「四つの公園」で述べたように、池袋を中心とした来街者のための街づくりは異常なほどスピード感を増しています。今、オリンピック、パラリンピックに間に合わせようと東京全体が来街者のために自治体間の都市間競争が激化しています。どこの自治体でも程度はさまざまですが、区民の生活の改善は置き去りにしたまま、多額の税金投入が行われ、今後もされようとしています
 こうした投資が区民生活に影響を与えることはないのか。こうした危惧はますます深まるばかりです。
 2018年度の当初予算から5か年の財源投入を決めている事業だけでも1097億円という途轍もない額の投資を見込んでいます。加えてこれに算入されてない事業が、西部障害支援センター改修工事、旧第十中跡地活用事業、区民ひろば椎名町、旧朝日中跡地整備、私立保育所誘致、東池袋一丁目地区再開発、西池袋一丁目再開発、池袋駅西口地区再開発があげられます。
 今回、学校体育館のエアコン設置を来年度にやることが表明されました。学校の長寿命化計画による結果からは、また新たな改築改修計画が見込まれることも答弁がありました。
 さらに区民需要を考えれば、特養ホームの増設や、区立住宅の増築、老朽化した区有施設の改修、改築など、やらなければならない投資的経費は増すことは必至です。
 そういう不安の中で、区民の使えない劇場ホールの建設を進めています。池袋西口公園も人を呼び込むための整備に24億6千万円もかけます。反対があってもどんどん再開発を進めています。区民の求めるコミバスは走らせず来街者のための移動のために赤の電気バスを走らせます。
 今後の区の財政状況を取り巻く状況を考えたとき、区長のすすめる不要不急の池袋中心の来街者のための投資を推進する余地はありません。開発事業は一度進めてしまうと後戻りできないのです。
 未来のための投資事業に歳出をあてれば、結局はくらし、福祉に直結する事業は削らざるを得ないことはますます明らかです。将来の財政運営にも大きな影響をもたらす決算は認められません。

 以上のことから、第1に、区民の需要にこたえた決算になっていない。第2に、自治体本来の役割を投げ捨て大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めている。第3に、将来の財政運営に支障をきたす決算になっています。
 よって一般会計決算の認定に反対するものです。

 続いて【3特別会計】について述べます。
 最初に【国民健康保険事業会計決算】についてです。
 今年度から都道府県化が始まり、一般財源の法定外繰り入れも?昨年度比10億円減)減らしました。毎年上がり続けている保険料は、本決算年度は1人当たり118,411円、前年度比7,252円増、今年度は121,988円、3,547円増と毎年上がり続けています。国保加入者は年収200万円以下が80%、高齢者率が高いのが特徴です。そうした方々に「直近2年間で1万円を超える値上げは負担いただける額との認識か」と区に質すと「国保料の値上げが続き、加入者の負担感が強まっていることは承知している」と答弁。しかし今後6年間で法定外繰り入れを解消するのでは、さらなる負担増となり、これ以上の負担増に加入者は耐えられません。国は「一般財源の法定外繰り入れは自治体の判断」としており、区は法定外繰り入れの解消をやめ保険料の負担を軽減すべきです。
 また国保料は被用者保険の保険料に比べて高額であること、生まれたばかりの0歳の子どもにも均等割りがあります。均等割りは子育て世代(ひとり親世帯、多子世帯)に負担が重く、これまでわが党、は均等割りの軽減策を繰り返し求めてきました。本委員会でも区は「区独自の軽減策は行うことは考えていない」「国や都に対して財政措置を講じるよう要望してきた」と相変わらず冷たい答弁です。いつまでたっても動かない国や都をあてにせず、区独自の軽減策を導入すべきです。すでに独自の軽減策を行っている自治体(北海道・旭川市、東京・清瀬市)もあります。子育てしやすいまちを標榜するのであれば、区独自の軽減策を講じるべきです。

 次に【後期高齢者医療会計決算】についてです。
 今決算年度では、国において、後期高齢者医療における保険料軽減の見直しがされ、所得割の軽減の特例、および元被扶養者に対する軽減特例が廃止されることになりました。
 そのために保険料が大幅値上げとなることになりました。都の広域連合では、あまりの大幅値上げとなることから独自の軽減策を実施したことは、評価できますが、一番値上げ幅の多いケースでは、168万円の年金収入の方です。
 この層の2016年度までの保険料は、6300円でしたが、今決算では10400円、今年は13000円となりました。二年間で倍の保険料になってしまったことになります。168万円の年金生活者といえば、ひと月14万円の年金収入の人です。
 こうした値上げに対する区の認識は、制度を守るためには仕方ないという考えです。後期高齢者医療制度の該当者は、戦後、苦労されて今の社会を築いてきた人たちです。医療にかかわる保険料も医療費も無料にしてもいいくらいです。

 次に【介護保険事業会計】について述べます。
 介護の社会化を銘打って開始された「介護保険」ですが、実際には改悪で「お金がなければ介護を受けられない」「保険料払っても介護保険は使えない」となっています。
 今年4月から、すでに5つのヘルパーや通所介護の事業所が撤退しています。来月からやめる事業者もあります。要支援1や2の総合事業を受けてくれる事業所がない、と悲鳴が上がっています。介護保険から外した総合事業をすすめるため、この年始まった「訪問型サービスB」生活支援お助け隊の実績は14件7万円です。シルバー人材センターに委託をしていますが、登録者66人いても、実際に働いているのはわずか10人とのこと。また、介護保険に比べて、利用料も高いので使いにくいのです。
 豊島区が国家戦略特区としてすすめる「選択的介護」が今年8月から始まり、今後、検証が行われていくと区は言っています。現在5件の利用、さらに2件の協議がすすんでいるとのこと。時間がかかっているのはケアマネが丁寧に説明していく必要があるため、また2件の住民税非課税の方の利用がある、との答弁がありました。
 一方で厚生労働省は9月28日「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取り扱いについて」通知をだしました。この通知では8月から豊島区で実施しているようなサービス内容、またこれから来年度にむけ検討していく内容も事例として示しています。 豊島区がこれから検証しようとしている内容を、検証なしですすめようとしているのです。
 我が党は、選択的介護はお金がなければ介護が受けられないものと指摘し、反対してきました。低所得者、生活保護の利用者は使えません。安心して暮らせるために必要なサービスであるなら、本来介護保険で使えるようにすべきです。今後、選択的介護、混合介護が広まったら、サービス提供する事業者が保険外サービス利用者を優先し、その結果低所得者がはじかれる危険もあるのであります。進めるべきではありません。

 以上のことから、3特別会計決算の認定に反対いたします。

 以上、討論をおわります。ご静聴ありがとうございました。