HOME >区議会質問>本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
第71号議案 豊島区池袋駅周辺まちづくり推進基金条例、第72号議案 豊島区街づくり推進条例の一部を改正する条例、第73号議案 豊島区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例の反対討論 (かきうち信行)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました3議案
第71号議案 豊島区池袋駅周辺まちづくり推進基金条例
第72号議案 豊島区街づくり推進条例の一部を改正する条例

第73号議案 豊島区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例
について可決に反対の立場から討論を行います。
 まず第71号議案と72号議案について関連議案であることから合わせて討論いたします。
 2議案は、池袋駅周辺まちづくり基金の設置、管理及び処分について必要な事項を定め、特定都市再生緊急整備地域において、開発事業者が地域貢献を果たすように努力義務を定めるため提出したとしています。
 その背景と目的ですが、国、都、区、関係事業者で構成する「池袋駅周辺地域再生委員会により、「池袋駅周辺地域基盤整備方針2018」が策定され、方針では「段階的な都市再生事業をつなぐ一体的な都市基盤の事業スキームを構築する」ことがかかげられている。
 今後、事業スケジュールの異なる複数の都市再生プロジェクトが動きだすことが想定され、これらの事業連携により実現する都市基盤整備を一体的かつ効果的に実現していく必要がある。
 そこで、開発事業者による都市基盤整備への協力金を一時的にプールし、都市基盤に合わせて拠出するための基金を設置する。
 加えて、方針実現に向け、開発事業者による地域貢献や、都市基盤整備事業化に向けた基盤整備推進協議会の設置について定めるというのが両議案の目的です。
 まず71号議案では、基金を設置し、運用方針として、池袋駅周辺地域における開発事業者による都市基盤整備への協力金を積み立てる。
 そして、池袋駅周辺の都市基盤施設の整備推進のための財源として充当するものです。
 具体的には、池袋駅東西連絡通路(北デッキ・南デッキ)、池袋駅東口駅前広場、同西口駅前広場、明治通り、グリーン大通りといったものあげています。
 72号議案では、その基金の目的を果たすために、開発事業者の責務、地域貢献、基盤整備推進協議会の設置など規定するための街づくり推進条例を改正するというものであります。
 わが党区議団は、高野区長のトップダウンによる無計画な投資事業、目玉として推進している国際アートカルチャー都市を口実した池袋駅周辺の開発優先の街づくりについて、将来の財政運営を左右する事態となることが必至という観点で批判し、見直しを求めてきました。
 これまでも指摘してきたように、オリンピック、パラリンピックに間に合わせようと東京全体が来街者のために自治体間の都市間競争が激化し、区民の生活は置き去りにしたまま、本区でも多額の税金投入が行われ、今後もされようとしているからです。
 私は、一般質問でも指摘したとおり、区は、30年度の当初予算から5か年の財源投入を決めている事業だけでも1097億円という途轍もない額の投資を見込んでいます。加えてこれに算入されてない事業が、西部障害支援センター改修工事、旧第十中跡地活用事業、区民ひろば椎名町、旧朝日中跡地整備、私立保育所誘致、東池袋一丁目地区再開発、西池袋一丁目再開発、池袋駅西口地区再開発があげられます。
 今後の区の財政状況を取り巻く状況を考えたとき、区長のすすめる不要不急の池袋中心の来街者のための投資を推進する余地はないのであります。
 さて条例は、開発事業者が地域の街づくりに大きな影響を及ぼすことを自覚し、積極的に地域貢献を果たすよう努力義務を規定し、地域貢献として都市基盤施設または、公益的施設を自ら整備し、又は、整備への協力ができる旨を条例にくわえることにより開発事業者から都市基盤整備の資金を寄付金として受け入れ、これを基金に積み、必要な時に取り崩して整備の際に取り崩してあてがうという仕組みをつくろうというものです。
 開発事業者による地域貢献として例えば、人口増加に伴って保育園を開発事業に誘致するとりくみや避難広場の確保、公共施設を建設するなどの取り組みが行われている例があります。
 しかし、本条例は、こうした住民に密接した地域貢献とは、まったく無縁のものであります。
 条例の名称どおり池袋周辺の街づくりを推進するために開発事業者から基金を募り整備にあてるといいます。ではなぜ、池袋だけをあげ、基金を募り、それを区が管理し、必要な際に崩すという仕組みをつくる必要があるのか。
 ここにまさに豊島区政の大企業本位の街づくり、開発優先、開発事業者のもうけを手助けするという本質があるのであります。
 基金の取り崩すにあたっては、それぞれの都市基盤の整備にあたり、区は、この蓄えたまちづくり推進基金とこの事業に交付される国庫補助金や都市計画交付金とあわせ区民の税金を一般財源としてつぎ込むという仕組みです。
 その額は、いったいいくらになるのかを質しても、理事者はあくまで話し合いといいます。
 開発業者が都市基盤施設を整備するためにお金を出す以上、これに見合う儲けが見込まれなければ拠出するわけがありません。この点については、理事者も認めているとおり、この整備によって得られる集客量や収益については、この拠出以上に得られることを目的に開発が行われるわけです。
 その開発事業者の儲け仕事に対し、なぜ区民の血税をつぎ込まなければならないのか。区民の批判を避けるために、あたかも開発事業者の寄付金で整備したと主張するためと言わざるを得ません。
 今区民の暮らしはどうでしょうか。
 国保料があまりに高く悲鳴を上げています。猛暑でも少しでも節約しようと、エアコン使用を控えているとか、一日二食で我慢しているとか、話を聞くたびに胸が痛みます。足元を見てください。開発事業者と企業の儲けのための街づくりに一緒になって出すお金を一部でも生活に苦しむ区民に向けたらどれだけの仕事ができることでしょう。
 池袋周辺の街づくりを大企業本位にすすめるために、わざわざ基金まで作り、そこから一緒に区の税金もつぎ込むための条例案である第71号議案 豊島区池袋駅周辺まちづくり推進基金条例と第72号議案 豊島区街づくり推進条例の一部を改正する条例は到底認められるものでなく可決に反対いたします。

 続いて第73号議案 豊島区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例について討論いたします。
 本案は、南池袋二丁目C地区地区計画の都市計画決定に伴い、同地区地区整備計画の区域内における建築物の制限について定めるほか、既定の整備を図るために提出されたものであります。
 建蔽率を漢字に改めることとか、庇(ひさし)をひらがなとすることや項ずれによる改正はよしとして、問題は、南池袋二丁目C地区地区整備計画を新たに追加するということです。
 南池袋二丁目C地区は、区庁舎に隣接するエリアから副都心と連携した賑わいのある街の形成を図るためとして、市街地再開発事業の都市計画決定にあわせて地区計画を決定した地域であります。
 今回の改正条例は、まさしくこの地区計画の決定にもとづき、都市計画提案による施設計画すなわち北街区と南街区にそれぞれ地下2階 地上51階建、高さは、約190メートルと185メートルの住宅は計1450戸、店舗、事務所などの超高層ビルを二棟建設するために、それに見合わないものは、建ててはならないという建築制限条例です。
 これが可決されれば、戸建て住宅もふくめ、この地域に住む人にとっては、再開発に反対しようが、望む建築を希望しようが、ほぼ都市計画に提案された高層ビルしかたてられないためにそのマンションに住むのがいやならこの地を出て行くしかないということを建築制限条例で固めてしまうというものです。
 C地区は、現在準備組合の段階ですが、加入状況は、土地所有者45分の34、借地権者12分10合計57分の44、77.2%の加入であります。
 残りの13者は未加入であり、この再開発のやり方や地区計画に疑問をもち、同意してない方たちが多くいます。
 委員会審査で、理事者は、「南池袋二丁目C地区は、土地の合理的かつ健全な高度利用と住宅、商業、業務等の多様な都市機能の集積により、副都心と連携した賑わいのある街の形成を図る」と強調し、「一戸建てでの居住にこだわりをお持ちの方もいらっしゃる。その方たちには転出についてのお話を丁寧にさせていただいている」と発言しました。長年、区に貢献してきた住民に対し何という態度でしょうか。
 同意していない方たちは、現状のままでの住まいでいいのに、あえて開発をして高層ビルにしなくても閑静な街を守りたいという最もな主張です。切実で深刻です。
 未加入の住民は、何とか市街地再開発を見直してほしいと嘆願書も出し、区長に陳情したのですが、結局区長は、都市計画審議会に都市計画案を付議し、わが党の反対のみで決定されたのです。
 その後、区長に直接あって陳情した中、区長は、「今までより悪くなる再開発をしようと思っていない。住民が満足する感じにしないで、どんどん切り捨て、開発をすすめていくことは絶対にありえない」「A地区にもマンションが嫌いだという人もいたが、それなりの補償をしたので、全員に納得してもらった。ここの状況は違うが区はそれを受け止めていく」また、「再開発は住民の理解なくては進められない。住民の立場に立って考えながらできるだけ時間をかけてでも理解を得られるように努力する」そして、「住民への説明が十分でないと感じた。これから精力的に説明を求めていく」というコメントを残したと住民の議事録を私拝見しました。
 再開発に反対や不安を持っている人の意見も十分に聞く耳をもち、時間をかけてでも理解を得られるようにする」といった姿勢がうかがえます。
 ところが言っていることとやっていることはまったく違うではありませんか。
 委員会の質疑でも、指摘したのですが、C地区に最終的に建設されることになる「池袋保健所の導入」に関する議案について準備組合の臨時総会で賛成多数で承認されたというニュースが送られてきたのですが、「保健所の導入については全く聞いていない」と組合未加入者から怒りの声がわれわれに寄せられているように、この問題でも住民に十分な説明もなく進めているではありませんか。
 このように、区長は組合未加入者にも寄り添い、また一緒に考えながら進めていくと言いながらまったく無視したやり方を進めているといわざるを得ません。そうでないなら、建築制限をかけ、都市計画に基づく地区計画に定めた建物しか建てられないという条例改正は撤回すべきであります。
 よって第73号議案 豊島区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例については可決に反対し、住民に寄り添い、住民の本意の街づくりに転換することを重ねて求め私の討論を終わります。