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区議会質問
30陳情第12号 区民の理解を得られない都心低空飛行ルートを撤回することを求める陳情討論 (かきうち信行)

2018年10月29日

 本陳情は、羽田空港増便計画において、豊島区上空を低空で飛行し、羽田に着陸するルートは、区民の理解は全く得られていないとことから、都心低空飛行ルートを撤回するように、国に意見書提出を求めたものであります。
 陳情は代表者ほか1277名の署名が添えられ提出されました。
 国土交通省の計画案は、南風の好天時、15時から19時の間の実質3時間、約90機あまりの飛行機が千川駅近くから、東長崎、椎名町駅の間を抜けて、落合南長崎駅方面に向けて高度4000フィートから3500フィートと徐々に高度を下げて低空で豊島区西部地区を縦断して飛ぶというものです。
 私の居住する南長崎3丁目あたりの真上も通過ルートになっています。多い時は2分に一機で休みなく通過する飛行機による騒音、これまでも起きている落下物事故による被害など区民の危惧するものは全く払拭されていません。
 まさに世界の中でも最も高密都市にある東京都心・豊島区上空を低空で飛行するルートを考えること自体ありえないと思います。加えて、東京では米軍横田基地にオスプレイ5機を10月1日に配備し、数年後には、10機態勢に拡大しようとしています。オスプレイは、飛行機とヘリコプターの機能を併せ持つ新型輸送機で、アメリカや沖縄で墜落などを繰り返している欠陥機といわれています。今年2月には沖縄で、重さ13キロの部品を落す事故も起こしています。人口が密集する東京や首都圏を飛び回り、事故を起こしたら大惨事です。横田基地があるがゆえに今回の羽田増便による飛行ルート案がこのようになったとも言われています。
 いったい安倍政権は東京都民の命と安全をどう考えているのでしようか。オスプレイの配備は無論、この飛行ルートは撤回すべきであります。
 さて、区民から寄せられた本陳情は、傍聴者の見守るなか都市整備委員会で審査されました。今回は録画撮影願いもあり関心の高さがうかがわれます。
 この後、順次審査の概略について述べてまいりますが、この陳情は最終的には、自民党、公明党は不採択としましたが、わが日本共産党、民主ネット、都民ファーストの会、虹としま、無所属元気の会の賛成多数で採択され、意見書案が承認されたのであります。
 審査は、資料に基づき理事者から説明がされたのち、質疑がおこなわれました。
 質疑の概略を順に述べますと、まず自民党の松下委員からは、羽田増便に基づく経済効果や説明会のあり方について質疑がありました。
 小林弘明委員は、「経済効果はあるとしても、我々区議会議員の職責の中でも区民の命を守る、安全を守るというのは、当然、第一優先、国の対策がおろそかな中で、だったらやめてくれという陳情と思う」との趣旨をのべ採択に賛成を表明しました。
 次に私は、過去の羽田飛行ルートに関する陳情審査についてふれ、落下物の危険性と飛行ルートが変更された経過、風向きによってルートを変更する飛行ルートであって増便してもこのルートを使わなくても可能であることを質疑し、理解の得られないこの計画は撤回すべきという区民の願いに応え、国に意見書提出をすべく採択を主張しました。
 続く民主ネットの永野委員も理解を得られないのであれば撤回まで求めているような意見を地域から出していく必要があるとの旨で採択の主張。虹としまの石川委員も1277名の署名されたことは非常に重みを感じるべき旨を述べ、皆様の非常に心配、そして国に対するそういう思いが理解できることから採択としました。
 ここまでは、自民党は態度表明してなかったのですが、四会派が採択を主張したので、私は、公明党がこの陳情について採択を表明されたなら、豊島区議会として、「区民に理解の得られていないなか飛行ルートを撤回してほしい」という意見書を提出できると期待し、西山委員の質疑に注目したのであります。
 公明党の都市整備委員は高橋議員が委員長で、西山議員が委員であります。
 私の地元では、羽田飛行ルートは理解が得られていないため、「公明党は区民の立場で騒音、落下物の危険回避するために頑張っている」との声を耳にしているだけにその主張が注目されるところです。
 事実、西山委員は、「当該地域、飛行ルート上の当該地域の議員も、そのエリアにお住いの方の住民の方の今回の飛行ルートについての不安な声とか、またご意見等も私どもにも寄せられているところであります。そうした声をしっかりと私たちはうけとめて、次の方向にどう展開させていくのか、これがやっぱり私たちの仕事じゃないかというふうに深くとらえている」と発言されております。
 続いて、西山委員は公明党の要望について展開しました。
 昨年、平成29年の6月7日に、公明党豊島総支部が、羽田空港機能強化に関する要望として、石井国土交通大臣に要望活動をしたことを述べた後、その要望についての内容が順次紹介されたわけです。
 私は、西山委員の質疑を聞き、また、区民からいただいたその要望書と国土交通省の回答も合わせて拝見しました。
 委員会審査の際にも申し上げた通り、石井啓一国土交通大臣のとるべき態度は極めて重要であると思います。政治的判断が求められているからです。
 羽田空港の増便に係る飛行ルートの最終決定は、国土交通大臣であります。
 公明党から閣僚に選出されており、飛行ルート変更を含め、区民要望を反映させるのに大臣に直接要望した内容が実れば区民にはプラスになります。
 公明党総支部の総支部長は長橋桂一都議で、区議会議員も一緒に要望書を出されたのですが、要望には、本来、居住地上空を低飛行で飛行することは避けるべきですと明確に書かれております。技術の発展等を踏まえて影響を軽減するルートはさらに検討することというふうにも書かれています。
 それから居住地上空の飛行ルートを回避する方策を継続的に検討する方向を表明することも求めています。
 ところがこの要望に対する国土交通省の回答はどうでしょうか。
 関係自治体や住民の皆様のご意見を踏まえ、昨年7月に環境対策、安全対策等を内容とする環境影響等に配慮した方策をお示ししました。というもので、居住地上空を低飛行で飛行することは避けるべきですということについては、言及を避け、また影響を軽減する飛行ルートをさらに検討するということも言っていません。
 さらに飛行ルートを迂回する方向を継続的に表明してほしいとの要望にも、これに応えたものになっていません。
 したがって、公明党総支部の提出した要望書についての国土交通省の回答は、多くの区民の理解はとうてい得らないような内容なのです。
 ところが結局、西山委員は、この陳情には継続審査を主張したのです。
 私は、継続審査という主張は区民に説明がつかないのではと西山委員に疑問を投げかけたのでありますが、西山委員からは、私の疑問に対する回答も説明もないまま、採決になったわけです。
 それ以前に自民党は、継続審査を主張していました。その結果、採決では、継続審査は少数で否決されました。継続審査が否決されると、自民党は願意に沿えないと不採択。公明党も総合的な判断として至りませんので不採択と表明したのです。
 私は、多くの区民に合意が得られていない飛行ルート撤回を求めているのに自民党と一緒になって不採択とした公明党の態度は、本当にひどいと思い知らされた審査でした。
 さて、今回の委員会採択で、私たち日本共産党と民主ネット、虹としま、無所属元気の会の4会派とともに、陳情採択に同調したのは、都民ファーストの会であります。
 都民ファーストの会豊島区議団は、四人の会派ですが、都市整備委員会には、星議員が副委員長として所属し、この陳情の態度表明がされました。
 この中で、星副委員長は、私どもの会派という言葉を6回使って、発言しております。「私どもの当該会派の河原議員も何度も教室型の説明会ということで区長のほうにも申し述べている」「不安視を払拭していただきたいというのが私どもの会派の考え」そして最後には、「私どもはこの陳情については採択をさせていただきます」と締めくくりました。
 私は、かつて自民党に席を置いていた区議会議員が、小池知事を推したことから自民党から離れ都民ファースト豊島区議団という新たな会派を結成し、昨年には都議会議員もここから選出するなどを経て、これまで羽田増便飛行ルートに関する陳情に継続審査を主張していた区議が、今回この陳情について採択と結論付けたことに「区民の声は届くものだ」「政治は変わるもの」とうれしく思い、きょうの本会議での陳情採択とあわせ後程上程されます意見書可決をうれしく待ちわびておりました。
 ところが、この期待は見事に裏切られることになりそうです。
 本会議上程についてなどを決める26日の正副幹事長会・議会運営員会を目前にした25日の夕方四時を過ぎたころ、都民ファーストの会の星幹事長と河原副幹事長の2人でわが党区議団に来て、30陳情第12号 区民の理解を得られない都心低空飛行ルートを撤回することを求める陳情については、都民ファーストは、会派の意見が一致せず態度表明が分かれる旨を告げに来たのであります。
 翌日開会された正副幹事長会では、わが党の森、儀武の正副幹事長は、「会派の態度表明が分かれることは許されるものではない」「都市整備委員会での星副委員長の態度表明は会派の立場を明確に述べている」など態度が分かれるというのは議会運営や動議的責任、そして何よりも1277名も区民を裏切ることになると厳しく批判したのです。
 しかし、都民ファーストの星幹事長は、二人の議員が、この間に態度が変わってしまった旨を述べ、さまざまな言い訳に終始しながらも、会派として態度が分かれることを改めようとしないままこの本会議を迎えています。
 区議会の議決は、言うまでもなく出席議員の過半数の賛成によって決められます。都民ファーストの会四人全員の採択立場が、30陳情第12号の採択には必要不可欠です。
 そして、のちほど上程される国への意見書可決も都民ファーストの会の四人全員の賛成が必要不可欠です。
 もし、会派の意見が分かれるとか、採決に加わらないという議員が都民ファーストから出た場合、区民の願いはであった意見書も上がらず、送付されることができません。区民に対する裏切り行為となります。ましてや都民ファーストの星副委員長がたたき台をつくった意見書ではありませんか。
 私も署名しています。
 都民ファーストの星京子議員、河原弘明議員、里中郁夫議員、細川正博議員の四議員におかれては、都市整備委員会の「私どもの会派」という言葉を6回も使って採択を主張したことを遵守し、30陳情第12号 区民の理解を得られない都心低空飛行ルートを撤回することを求める陳情については、採択に賛成すること。そして、後程上程される意見書可決にも賛成し、区民を裏切ることは絶対にしないことを重ねて求め、日本共産党区議団を代表しての私の討論といたします。