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区議会質問
第26号議案、豊島区立芸術文化劇場条例についての反対討論(小林ひろみ)

2018/3/26

 私は、日本共産党豊島区議団を代表してただいま議題となっております、第26号議案、豊島区立芸術文化劇場条例について、可決に反対の立場から討論します。

 この条例は、庁舎跡地の活用として公会堂跡地に建設される建物の中につくられるこれまで「新ホール」とか「劇場ホール」など呼ばれていたものについて、条例上に位置づけその管理、運営などについて定めるために提出されたものです。

 まず、この「芸術文化劇場」は、区民のための施設ではありません。
 条例の第一条、設置目的は「区民に良質な芸術文化を鑑賞する機会を提供し、区民の福祉を増進するとともに、芸術文化が生み出す波及効果で地域の賑わいを創出することを目的として設置する」とあるように、区民のための施設ではないのです。オペラ、タカラヅカ、バレー、歌舞伎などの公演を行い、来街者を増やすのがこの施設の目的なのです。
 委員会で指摘したのは、二点であります。
 まず、利用料金1日130万円とは、高すぎます。区民利用は入場料2000円までなら、一日40万円と軽減されるとのことですが、まだ高すぎます。さらに別途、舞台芸術の技術者が必要なら、その経費は別、だいたい3万円から5万円とのことです。他区ではたとえば、文京シビックホールでは、入場料3000円以下だと1日で27万円で借りられるのです。
 また、利用できる日も、まず2年半前に目玉の公演を入れて、その後2週間以上の公演を入れて、のこりのところから、空いているところを設備のメンテナンスと区民利用できるようにするというものです。理事者は、成人式など豊島区としての利用は年間「10日までないような想定」、区民利用も、「この大きさの施設が必要だという団体はほぼないんじゃないかと考えている」「具体的な日数は現時点ではカウントしている状況にない」と答弁したのであります。

 次に、今後の豊島区財政運営に負担をかけるものだからです。
 この「芸術文化劇場」は、民間事業者が建てた建物のうち、新ホールとして専用部分6111u、共用部分のうち2201u、合わせて8312uを、76億6800万円で買い取ることになっています。これを半分は公共施設再構築基金から、残りの半分は起債、つまり借金で賄うことになります。
 ランニングコストについては、支出は維持管理費、事業費、人件費として7億4000万円、収入が4億5000万円で差引2億9000万円程度を見込んでいます。
 また、専用部分の改修費について、長期修繕積立金として毎年6900万円も積み立てます。この建物は民間の店舗と区分所有となっているので、共用部分はどうなるのか、「賑わいづくり」のために民間に合わせて共用部分も改修することになるのではないか、と質問すると理事者は「事務所の場合は民間は、こういった積み立ては行わない」「その部分はこれから詰めていく」というものでした。「これから」などというのでは、遅すぎます。民間の部分については、大きな変更もありました。当初8つの劇場の一つは民間オフィスビルに作られる「カンファレンスホール」でしたが、事業者から「区民センターの会議室と競合することから、カンファレンスホールは企業誘致に使いたい」との申し出があったため、芸術文化劇場の1階の店舗を「サテライトスタジオ」として新たな劇場としたとのことでした。このことにみられるように、民間事業者の都合で大きく変化するのです。共用部分も民間主導で改修することになれば、ますますお金がかかります。

 この芸術文化劇場はそもそも新庁舎建設の資金計画として、2013年5月に突然区長が、庁舎跡地を高く売りつけるために、「新ホール」を整備し、区が50億円投入する、発表したのです。区長の「来街者を増やし、街を活性化させる」という考えのもとで作られたものです。
 このような施設は区民のための施設ではなく、また、今後の区財政運営に禍根を残すものであります。

 以上のことから、第26号議案、豊島区立芸術文化劇場条例の可決に反対します。
 ご清聴ありがとうございました。