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区議会質問
第23号議案、豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例について反対討論(儀武さとる)

2018/3/26

 私は、日本共産党区議団を代表しまして、ただいま議題とされています第23号議案、「豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例について、可決することに反対の立場から討論を行います。
 本議案は、急増する訪日外国人観光旅客のニーズや大都市部で宿泊需要に対応するため、民泊サービスの活用を図ることが重要とされているが、実態としては、すでに民泊営業が行われていて、区民の不安や困惑を感じている方もいるという現状があるため、民泊サービスの活用に当たっては、公衆衛生の確保や地域住民とのトラブルの防止に留意したルールづくり、無許可で旅館業法を営む違法民泊への対応が急務となっており、法の施行を受けて条例を制定するものです。

 この条例に反対する理由は、この条例の制定では、区民の生活環境を守ることが不十分だからです。
 条例の第1条では、この条例は、住宅宿泊事業法に基づき住宅宿泊事業に係る届出手続き及び住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する必要な事項を定めることにより、住宅事業に起因する生活環境の悪化を防止することを目的とする、としています。

 民泊は国内外で市民の生活環境を守る立場から規制の方向・流れとなっています。私の地元でも、空き家が、ある日突然民泊になり、深夜、早朝に大きなキャリーバックを引き、大きな音を立てて出入りするようになり、何とかならないか、と相談を受けたこともあります。今回の条例では、条件を整えて届出をすれば、豊島区内どこでも静謐な住宅地でも、管理人が常駐していなくても、365日のうちの180日間、「民泊」が営業できることになります。
 わが党の森議員が一般質問で、法律では条例で区域や・期間を制限することを認めていることから、住居専用地域での全面禁止やその地域以外にも日数制限などが必要だと質問すると、区は「法が付与した住宅宿泊事業を営む権利は、営業権と考えられ、合理的な理由のない過度な制限は、訴訟リスクを被ると考えられます」と答弁しました。委員会では改めて、私が「東京23区では大田区や新宿区を含め18区が何らかの規制をかけているが、訴訟リスクを被ると考えるのか」と、質問すると、区は「認識は変わらない」と述べました。区民の生活環境を守る立場から、「住居専用地域だけでも制限すべきではないか」再度質しても、区は「住宅地と商業地の割合がほぼ半々であること、苦情の3分の2は商業地からのものであり、住居専用地域だけを制限すべき合理的な理由がないために、闇民泊を防ぐためにも区内全域に法の網をかけて健全化を図ることに主眼を置き、区域制限は設けない」と答弁を繰り返すのみでした。訴訟リスクの可能性などを口実に、区民の生活環境を守ることより、宿泊事業者の経済的自由、営業の自由を優先する考えを明確に示しました。
 パブリックコメントでも「このルールでは基礎的自治体として、住民のための行政を行っていないと考えます。区長は住民のことをもっと考えてほしい」と厳しい意見など16件が何らかの規制を求めるものでした。区民の生活環境を守り、安全で安心なまちづくりをすすめるためにも、保育園や小中学校、住宅専用地域、マンションも含め面的に規制し、区民の願いに応えるべきです。

 なぜ、豊島区はこれほどまでに「規制」することを拒否するのでしょうか。豊島区が区民の生活環境の悪化防止や区民の日々の生活の改善より経済発展を優先する姿勢だからです。

 現在、豊島区には旅館・ホテルなどの施設は年間、290万人を受け入れられるのですが、今後新たにできるのが1日2200人、合計13000人分ぐらいの宿泊施設になり、年間365日で470万人の規模となるのですが、オリパラのときには600万人の外国人が訪れるので足りないので民泊を活用するとしています。
 私が、「民泊の実態調査をすべき」と質問すると、区は「実態がなかなかつかめないのが現状」「厚生労働省の全国調査では、大都市圏リストから調べてみると1.8%が旅館等の許可を得ていたので、豊島区に換算すると、約400件の闇民泊が存在するのではないか」と答弁しました。この条例でどれだけ「闇民泊」をなくせるのでしょうか。
 また、空き家を民泊に活用する例が多くみられますが、本来空き家は、改正住宅セーフティネット法で位置づけられている住宅確保要配慮者のために区が、積極的な支援をおこなうべきです。そのことを質すと、区は「最終的な活用の用途は、所有者、管理者が決めていただく」と答弁するにとどまりました。民泊でなく、区がもっと独自の支援も行い、住宅確保要配慮者のために空き家を活用すべきです。

 ここ数年、日本に観光・ビジネスで訪れる外国人が増え、16年度には2000万人を超えました。日本の文化や歴史などの魅力が広がり、訪れる外国人が増えることは歓迎すべきです。また訪日客が何度でも訪れてみたいと思うような日本の魅力を広げる取り組みを進めることは必要なことです。
 しかし、安倍政権は、"観光"を"成長戦略"の柱の一つに位置づけ、大企業の利益を最優先する新自由主義的な経済対策に組み込みました。訪日外国人客を20年4000万人、30 年6000 万人にするという目標を掲げ、16年の経済対策では、訪日外国人客の受入れのための観光インフラ整備を前面に打ち出し、住民や地域を置き去りにした大規模開発事業や特定大資本を優遇する規制緩和を推し進めています。
 政府が訪日外国人客を受入れのため首都圏空港の収容能力を拡大するとして、羽田空港や成田空港の増便・新滑走路建設を計画しています。羽田空港の国際線を混雑する昼間時間帯に増便するため、現在の海上ルートから住宅市街地を通過する都心上空ルートに変更する。成田空港では、夜間飛行制限を緩和し、深夜に航空機を飛ばせない時間を7時間から4時間半に短縮するというものです。いずれも、直下の住民に騒音被害、航空機の墜落、落下物の危険など安全と生活環境の悪化を押し付け、犠牲を強いることになります。また、両空港の増便は、地方再生に役立つどころか首都圏一極集中を加速するだけです。  
 こうした、地域住民が迷惑や不安を感じ、住みづらくなるような訪日客誘致と受入れ施設の整備は、「住んでよし、訪れてよし」の観光政策の理念に反すると言わなければなりません。
 豊島区の条例は、アベノミクス、政府の成長戦略を受け入れるだけで、区民の生活環境を守る立場に立っていないと言わざるを得ません。
 以上のことから。第23号議案、豊島区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例について、可決することに反対します。
 これで討論をおわります。ご清聴ありがとうございました。

 

観光は、大企業の利益を優先する成長戦略でなく、住民・地域、観光客を優先する政策へ転換します
「住んでよし、訪れてよし」の理念にそった観光政策を
 安倍政権の観光政策は、成長戦略として、訪日外国人客の目標の達成を優先させ、受入れ施設の整備を迫るやり方です。これでは、観光地域と住民、地方自治体や観光業界に無理を強いることになりかねません。すでに、有数の観光地である京都では、観光客が増え過ぎ、交通混乱や人気スポットの混雑、違法民泊施設の増加などによるトラブルも多発し、観光客の不満だけでなく、地元住民とのあつれきが生まれています。このままでは、京都の街並みが一変し、良さが消失してしまうと危惧する声も上がっています。
1.近隣住民へ届けで、をする7日前までに、商号、名称または指名、連絡先、事業開始日等について書面で周知し、その旨を区に報告させる
2.区は事業の届けがあったとき、事業者の名称や連絡先、近隣住民への周知を実施した日時等を公表する。
3.廃棄物の適正な処理をおこなう
4.苦情が発生した際の記録を3年間保存する
5.住居専用地域では、金曜日の正午から月曜日の正午までに事業を限定する。
6.建物や土地を提供するものは、その建物や土地で住宅宿泊事業を行っていいかどうかを賃貸借契約書に記載するよう努める。
 ・経済発展より生活環境悪化防止を
 ・生活環境の悪化を防ぐ立場から豊島区でも全面禁止区域を
 ・実態把握、
 ・トラブル規制強化
 ・豊島区内の空き家を民泊で活用するより、改正住宅セーフティネット法で位置づけられた住宅確保要配慮者のために活用すべき
 ・国や都の予算はどうなっているか。
 ・今後の課題
 ・規則、ガイドライン
 ・近隣住民の説明範囲
 ・条例の改善 3年を待たず改善すべき
今後の課題
 ・全面禁止区域の設定
 ・制限区域の設定
 ・実態調査の実施、
 ・相談窓口の明確化、
 ・職員体制の強化、