HOME >区議会質問 >本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
第12号議案、豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例並びに30陳情第2号「豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例(仮称)(素案)」の廃案を求める陳情について、反対討論(儀武さとる)

2018/3/26

 私は、日本共産党区議団を代表しまして、ただいま議題とされています第12号議案、豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例について、可決することに反対の立場から討論を行います。尚、後ほど提案されます。30陳情第2号「豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例」の廃案を求める陳情については、不採択とすることに反対し直ちに採択することを求め、合わせて討論を行います。

 本議案は、町会活動の活性化の推進に係る基本理念を定め、町会の位置づけ、区の責務並びに町会、区民及び事業者等の役割を明らかにすることにより、区民相互がより強いつながりを持った地域社会を形成し、もって良好な地域コミュニティの実現を図るためとして、提出されたものです。
 区は、条例制定の背景として、町会はリサイクル・清掃、防犯・防災、様々な交流行事などの公共的な活動を行い、暮らしやすいまちづくりのために重要な役割を果たしているが、その活動や意義は、地域住民に十分伝わっておらず、加入率の低下、役員の担い手不足などの重い課題に苦慮しています。こうした中、平成28年11月に町会連合会から条例制定に関する強い要望が出されたことを受けて条例化を図ると説明しました。

 私どもは、町会の自主的活動に区が支援を行うことは重要なことだと考えています。問題は、町会を豊島区と協働する重要なパートナーと位置づけ、条例をつくり、すべての区民に町会活動に積極的に参加及び協力を求めていることです。以下反対理由を述べます。

 反対理由の第一は、本来、区が担う役割を住民同士の助け合い、支えあいに変えようとしているからです。
 条例の第6条、町会の役割では、区との協働活動として規則に定める区政推進活動として、「区政情報の周知」「リサイクル・清掃活動」「防災活動」「地域コミュニティの活性化を促進する活動」を行うよう努めるものとしています。
 私も、かつて議員でないとき、町会役員の経験がありますが、仕事をしながら、町会活動をするのは大変なものでした。改めて、町会・自治会役員のみなさんの日常活動に対して、敬意を表明したいと思います。防災、防犯、清掃、餅つきや新年会など様々な親睦会などの活動に取り組んで、地域のコミュニティの形成に大きな役割を発揮していただいています。

 現在の豊島区の町会加入率は、49.4%です。区民の過半数を割っています。品川区では、平成28年4月に条例を制定しましたが、2年近くになりましたが、町会加入率に変化はありません。要は条例ができても、直ちに町会加入が増えるわけではありません。
 パブリックコメントでは、「役員不足で、条例化により負担が増えるとやっていけるか不安である」などの意見が出ている様に、条例化により負担が増えるのではないか、と考える方が出てくるのは当然です。他の会派の委員からも同様な意見が出ていましたが、区は「条例化による負担増は想定していません」「現在の町会活動を明文化したものである」「町会活動を後押しするもの」と答弁しました。今回、条例第6条で区政推進活動が規定されましたが、現実は、今でも区政推進活動が多すぎるのが実態です。役員になると、役員会議、掲示板への掲示物の張替えや回覧板の回しは、月に数回あります。また、区の行事への動員、清掃・リサイクル活動に加え、80年代から防災、防犯活動は都内で先駆的にはじめられ、今では当然やるような活動になり、近時においては福祉の分野まで及びつつあり、時代のニーズに沿って変わっていくべき時期、過渡期なのではないか、と答弁もありました。
 そうであるなら、私が再度、町会の負担が増えるのではないか、と質問すると、区は「時代の変化、社会情勢の変化等によりまして、(あらたな)活動等が必要だと(中略)区と町会で協議し、改めて位置付ける」と答弁しました。町会と協議した結果、負担が増えない保証はありません。
 少子高齢化が進む中で、医療、介護の分野では、施設から在宅へ、介護保険の給付を削減し、総合事業へ、ボランティアなどで、地域で支えあう仕組みづくりが進められています。町会にはその受け皿はありません。
 私が、「条例化で町会の負担は減るのか」と質しても、区は「減らすことは考えていません」と答弁しました。条例化することで町会活動を後押しするというのであれば、区政推進活動、町会の負担を減らすべきです。

 反対理由の第二は、任意団体である町会を条例で規定し、区民、事業者に、町会活動に積極的に参加及び協力することを求めているからです。
 第7条の区民の役割では、区民は、町会活動に積極的に参加及び協力するなど、地域の一員として安全で安心なまちづくりに協力するよう努めるものとする。また、第8条の事業者の役割では、事業者等は、その事業所が所在する地域、またはその活動をする地域において行われる町会活動に協力するよう努めるものとする、と規定しています。

 いま、20代、30代の若者は、非正規労働者が半数近くになり、ダブルワークの人も少なくありません。共働き世帯が増え、二人で働いて、やっと生活を維持する家庭も増え、町会に加入はしても、「班長や組長など町会役員は二度とやりたくない」と断られるケースもあり、町会活動に参加しないのは、不安定雇用、経済的、ライフスタイルが大きく変化しているのも一因です。
 今回の条例制定の背景でも触れましたが、町会加入率の低下、高齢化と役員の担い手不足などのために、町会連合会からの要請に基づくものだとしています。私たちも、町会等の自主活動が支障なく、より活発に行われるよう支援をすることは重要だと思います。
 しかし、それは条例を制定しなければできないものではなく、住民による自主的、主体的な幅広い取り組みを支援する方向や個性豊かに多様性を認め合い、住民の自治意識を一層高める支援によって実現できると実現できると考えます。
 そもそも1942年には、町内会は大政翼賛会の下部組織となり、国民を経済的、政治的、思想的に統制するとともに国防への参加を強要する、国家施策に動員する末端組織として重要な役割を担わされたのであります。だからこそ、敗戦後に町内会の解散、禁止が行われたのであります。町内会が戦争への協力を強制的にまたは自ら進んで行うようにされたことへの反省に基づいて、現在の町会、自治会は住民が自主的に加入し、役割や目的も自らが定めて運営されているのです。
 したがって、こうした自主的な団体組織である町会や自治会に区が条例を作り、区民の役割、事業者の役割を規定し、自主的に町会活動に協力するようによびかけることは、地方自治の精神に反するものであります。

 第3に、30陳情第2号「豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例(仮称)(素案)」の廃案を求める陳情について一言触れます。
 この陳情は、「『第7条区民は、町会活動に参加及び協力するなど、地域の一員として
 安全で安心なまちづくりに協力するように努めるものとする』とあり、豊島区に住んでいるだけで入会が任意の組織である町会に『参加及び協力する』することが求められるにもかかわらず、このような重要な条例案が、町会及び住民に知らされていない」として条例の廃案を求めるものです。

 パブリックコメントでも、「町会は任意団体であり、任意団体を縛るような条例を作るべきではない」と区民の声があります。区は、条例ができたら、周知徹底すると答弁しましたが、この条例ができる前から、住民による自主的、主体的な幅広い取り組みを支援する方向性や住民の自治意識を一層高めるための支援など真剣に検討すべきです。
 議案の審議でも述べましたので、ここでは繰り返すことはしませんが、自主的な団体、組織である町会、自治会等を条例で規定し、すべての区民に町会活動に協力、参加を求めるのは、地方自治の精神に反するものであります。
 よって、第12号議案、豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例を可決することに反対します。30陳情第2号「豊島区町会活動の活性化の推進に関する条例(仮称)(素案)」の廃案を求める陳情については、不採択とせず、ただちに採択することを強く求めるものであります。
 以上で、すべての討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。