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区議会質問
核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書 賛成討論(儀武さとる)

2018/3/26

 わたくしは、日本共産党区議団を代表して、ただいま上程されております議員提出議案第 7号「核兵器禁止条約への署名・批准を求める意見書」について、可決に賛成の立場から討論します。

 人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約が昨年7月7日、国連会議で加盟国の3分の2(122カ国)の賛成で採択されました。昨年3月に開かれた核兵器禁止条約交渉の第1会期に欠席した日本政府の席には、平和の象徴である折り鶴と「あなたがここにいてほしい」とのメッセージがおかれました。そして、7月の国連での採択後、8月9日、長崎市平和公園で開かれた平和祈念式典後に、長崎市内で安倍晋三首相と面談した被爆者団体代表は、核兵器禁止条約に日本政府が批准しない方針を示していることに強くいきどおりました。「あなたはどこの国の総理ですか」。こう発言した被爆者の思いは届かないのでしょうか。さらにこの方は安倍首相に「今こそ日本が世界の先頭に立つべきだ」とも訴えたが、明確な返答はなかったそうです。

 昨年のノーベル平和賞は核兵器禁止条約採択で尽力した国際的なNGOの連合体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が受賞しました。その授賞式では広島で被爆したサーロー節子さんが訴えました。
 「核武装国の政府の皆さんに、そして、『核の傘』なるものの下で共犯者となっている国々の政府の皆さんに申し上げたい。私たちの証言を聞き、私たちの警告を心に留めなさい。そうすれば、必ずや、あなたたちは行動することになることを知るでしょう。あなたたちは皆、人類を危機にさらしている暴力システムに欠かせない一部分なのです。私たちは皆、悪の凡庸さに気づかなければなりません。

 世界のすべての国の大統領や首相たちに懇願します。核兵器禁止条約に参加し、核による絶滅の脅威を永遠に除去してください。」と。また、「核兵器は必要悪ではなく、絶対悪。禁止条約採択を核兵器の終わりの始まりにしよう」と訴えたのです。
 広島・長崎に原爆を投下された唯一の戦争被爆国である日本、広島・長崎・ビキニと三度核兵器の被害をうけた日本、その政府は、核兵器廃絶の先頭に立つべきであります。

 3月22日開催の正副幹事長会で、意見書について、各会派の意見表明がありました。わが党の提案にのれない理由として、
 公明党は、「核兵器禁止条約成立は、大いに敬意を表したい」「しかし、核保有国と核をもたない国と意見の対立が深まってしまった。また、日本は北朝鮮の核ミサイルの脅威があり難しい。」「意見の対立をしっかり議論していく機会を設けるということを主張している」ということでした。
 都民ファーストは、「核保有している国は、すべて反対している条約。日本は、保有国と非保有国が折り合える現実的な方向で進めている」と発言。
 自民党は、「国のほうでしっかりやっている。保有国と非保有国との摩擦について議論している最中。国の動向を見据え、自民党としては無理というのが、会派の意見」と発言しました。

 今年1月16日、核兵器廃絶日本NGO連絡会の主催により、討論集会「核兵器禁止条約と日本の役割」が開催されました。この討論集会では、ベアトリス・フィンICAN事務局長から日本の政府と国会への要望が出され、政府および各政党の核兵器禁止条約に対する見解が明らかにされました。
 政府から、佐藤正久副外相(自民)が北朝鮮の脅威などを理由に「日米同盟のもとで米国の抑止力の維持は不可欠。禁止条約に参加すれば、核抑止力の正当性を損なうことになる」と政府の考えを主張したのであります。

 日本が同条約に参加することを訴えたフィン事務局長は、「『核抑止』は神話です。核兵器があることによって平和と安定はつくれない」と指摘し、「核兵器の非合法化は世界の流れになる」と強調しました。またフィン氏は、「『核抑止政策』は安定を増す政策ではありません。しかも、核兵器を使うぞと脅し、広島・長崎で起きたことが起こると脅す政策です」と語り、禁止条約の参加を重ねて求めたのです。

 「核抑止力論」を突き詰めて考えると、「いざというときには核兵器を使用するという『脅し』によって安全保障をはかろうというものであり、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こしても許されるという考え方」です。日本政府はともかくも「核兵器の非人道性」を訴えています。「非人道性」を訴えながら、唯一の戦争被爆国がこうした「核抑止力論」を続けていいのかがいま問われているのです。

 また、北朝鮮の問題については、南北首脳会談が4月末の開催で合意され、5月までに米朝首脳会談実施の方向が明らかになっています。今の動きは、破滅をもたらす戦争を絶対に回避し、軍事対軍事のエスカレートではなく、紛争の平和解決を求める国際的な世論と外交の中で生まれたものにほかなりません。
 そして、北朝鮮に核開発の放棄を迫るうえで、核兵器禁止条約が国際的な大きな力になります。北朝鮮問題の本当の意味での解決を考えても、核兵器禁止条約という道がもっとも抜本的かつ現実的な道です。この方向で国民的合意や政党間の合意が得られ、日本政府が踏み出すことが必要なのです。

 わが党は、日本政府が核保有国と非核保有国の『橋渡し』というなら条約採択に努力された国々、市民社会の声を聞き、対話をすべきと考えています。政府が「橋渡し」の役割を本気で果たすよう求めるというなら、それに同意します。ですから、わたくしは、案文について「修正があればいってほしい」と発言しましたが、自民党、公明党、都民ファーストからは全く提案はなかったのであります。

 豊島区議会は1982年に23区で初めての非核都市宣言を全会一致で可決しました。同宣言は、「豊島区及び豊島区民は、さらに他の自治体とも協力し、核兵器完全禁止・軍縮、全世界の非核武装化に向けて努力する」と述べています。今年は、原爆投下から73年目、被爆者の平均年齢も80歳を超えました。被爆の実相を語ることも困難になろうとしています。「生きている間に核兵器の廃絶を」「二度と被爆者を作らないでほしい」と願い、核兵器廃絶のため運動してきた被爆者の方々をはじめ、多くの市民の声にこたえるべきです。
 豊島区議会は、国会及び政府に対し核兵器禁止条約に調印し、批准するよう強く求めるために、改めてこの意見書に賛成し、可決することを求め、討論を終わります。
 ご清聴ありがとうございました