HOME >区議会質問 >本会議討論
区議会報告議員紹介政索と見解お知らせリンクご意見ホーム
区議会質問
第40号議案 豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例についての反対討論(儀武さとる)

2018/3/26

 私は、日本共産党区議団を代表しまして、ただいま議題とされています第40号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例について、可決することに反対の立場から討論を行います。尚、後ほど提案されます30陳情第4号、国民健康保険料の値下げと低所得者の負担軽減策を求める陳情について、不採択とすることに反対し、直ちに採択することを求め、合わせて討論を行います。

 第40号議案、豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例は、国民健康保険法の一部改正に伴い、第1に、国民健康保険運営協議会に関する規定を改め、来年度の国民健康保険料について、第2に、保険料の賦課額及び賦課総額に関する規定を改め、第3に、基礎賦課額、後期高齢者支援金等賦課額及び介護納付金賦課額の保険料率等の改定を行い、合わせて保険料の減額に関する規定を改めるとして提案されたものです。

 今回の条例案に反対する理由を3点述べます。
 第一に、国保料の大幅な値上げが区民のくらしに重大な影響を与えるからであります。
 来年度の保険料について、区の説明によると、基礎賦課額は所得割率が7.47%から0.15ポイント減少し、7.23%、均等割額を38,400円から600円増39,000円に引き上げ、賦課限度額も現行の54万円から4万円を引き上げ、58万円となります。後期高齢者支援金の保険料率、所得割は現行の1.96%から0.26%上昇して2.22%、均等割額は900円増の12,000円となります。介護納付金の保険料、所得割率は1.76%、均等割は据え置きです。

 その結果、一人当たり保険料は121,988円と今年度より3,547円もの大幅値上げとなります。更に、介護分保険料の所得割を現行の1.55%から0.21ポイント上昇して1.76%となり、現行の33,186円から392円の値上げで33,758円となります。
 現在、本区の国保加入者の約8割が年間所得200万円以下の低所得者です。今でも高すぎる保険料の値上げで、区民の暮らしはさらに重大な影響を受けます。
 2018年度、収入別・世帯構成別の保険料を試算したモデルケースによると、来年度の年金受給者65歳以上一人世帯、年収200万円以下の場合、保険料は85,638円で前年比1,717円の値上げです。年金は下がる一方なのに、保険料は毎年の値上げに悲鳴があがっています。 

 子育て世帯についても同様です。
 給与所得者40代夫婦と子ども2人、4人世帯で介護2名該当、年収400万円の場合、前年度より13,456円の値上げで年間498,490円にもなります。実に、年収の1割以上が国保の保険料です。その他、所得税、年金保険料、教育費や家賃の負担などもあり、負担の限界です。まさに子育て支援にも逆行するものです。

 今回、区は一般財源の法定外繰入を10億円削減しました。
 今定例会の一般質問で、わが党の小林ひろみ議員が「来年度値上げしないためには一般財源はいくら必要か」の問いに、区は「保険料の値上げ3,547円に約83,000人の被保険者を掛け合わせる金額は、およそ3億円」と答弁しました。一般財源を3億円投入すると値上げしなくともいいわけです。私が、さらに3億円上乗せして、一般財源から6億円を投入すれば、3,547円値下げすることができるのではないか、と質問すると、区は「算数の問題としては、おっしゃるとおりです」答弁しました。

 私が、一般財源の繰り入れは10億円減ったのだから、6億円投入して、保険料を引き下げるべきと、質すと、区は今回の制度改革は「財政健全化の見地から将来的には一般財源の繰り入れを解消されていくべきものであるといった方向が示されておりますので、そういった方針のもとで23区どのようにするのか見当した総合的な結果でございます」と答弁しました。つまりやらないということであります。本当に冷たい区政であります。

 第二に、保険料の大幅値上げで滞納者が増え、区は、いっそう収納強化においたてられ、区民は、事実上、医療を受けられない方が増えるからです。
 区は、制度改革で収納については、引き続き区市町村の役割で収納率が納付金に与える影響が非常に大きいので収納対策には特に力を入れていくとしています。

 先日、50代の非正規労働者のAさんは、通帳残高17,000円が差し押さえられ、区に相談に行ったら、滞納額の分割で返済計画を作らされ、17,000円は戻ってこなかったそうです。結局友人から生活費を借金して何とか凌いだとのことでした。本当に酷いことです。
 2016年度の保険料滞納者は、22,860世帯、短期証発行は2988件、資格証発行は2204件です。23区中で滞納世帯が割合で7位、短期証発行は5位、資格証発行世帯数は3位です。差し押さえは805件です。23区の中で、いずれも上位に位置しています。区民に大変冷たい区政です。

 資格証になると、医療機関を受診した際、窓口で医療費の10割全額を払わなければなりません。保険料を払えず滞納している区民が医療費10割全額を払うことができるでしょうか。当然、受診抑制になり、低所得者は安心して医療を受けることができない事態がうまれており、区民の医療を受ける権利が侵害され、国民皆保険制度が、事実上空洞化しているのであります。

 今国会で、わが党の志位委員長の質問に対して、安倍首相は「生活を困窮させる恐れがあるときは差し押さえの対象外にすることが大事」「各市町村に周知を図りたい」と答弁しています。直ちに改善すべきです。また、滋賀県の野洲市では、「滞納ありがとう条例」というものがあり、相談窓口では、生活実態をつかんで、親の介護で困っている人や、引きこもりで仕事に行けない人など親身に相談にのり、いろんな部局と連携を取り、就労支援、介護サービスを受けながら、働けるようになり、区も税収が上がるなど、市民から感謝され、信頼される関係を作り上げています。窓口でも、納付相談でもこのような立場を貫き改善すべきです。

 第三に、国保の制度改革で、今後も保険料のさらなる値上げが想定されるからです。
 4月1日から国保制度が都道府県単位化に変わります。これは東京都が区とともに国民健康保険制度の保険者として国保の運営を担うことになります。特に財政運営の責任主体が都となり、国保事業に要する費用を確保するために区から徴収する「国民健康保険事業費納付金」の額を決定し、保険給付に必要な費用を区に支払うとしています。

 今回の制度改革で一番問題なことは、法定外繰り入れの解消、削減です。先ほども触れましたが、本区では10億円もの削減です。
 法定外繰り入れは保険料の増額を引き下げるために行われていたものです。法定外繰り入れが解消・削減されれば、保険料の値上げに直結し、国民健康保険は社会保障の立場を放棄することになるのであります。
 ところが区は、この制度改革で、国保財政の安定化と健全化を図る、これが目玉になっているとしています。
 わが党が「法定外繰り入れをなくしたら、保険料はいくらになるか」と質問したら、区は「一人当たり保険料で20,800円保険料が上昇する」と答弁しました。いまでも高すぎる保険料を毎年値上げする、保険料が払いたくても払えない、生活が困窮する、生活そのものが立ち行かなくなるわけです。そのうえ、6年かけて激変緩和措置をなくしたら、20,800円の保険料の値上げです。まさに、区民のくらし、生活がなりたたない、深刻な実態がますます進んでいくのは火を見るより明らかです。

 2015年4月16日衆院本会議で、わが党の高橋千鶴子議員の質問に対して厚労省は、新制度の導入後も国保会計への公費繰り入れについては「自治体でご判断いただく」と答弁しました。この答弁に基づき、保険料負担を軽減するための一般財源の投入を豊島区も当然、継続する立場を貫くべきです。

 国保財政の安定化、健全化というなら、かつて医療費の60%を国庫負担していたのですから、計画的に元に戻すこと、都も主体的に国保財政を担うわけですから、積極的に支援を行うべきです。区民が医療を必要な時に受けられる制度にするために「国保は社会保障」「国民皆保険」の位置づけで、国や都、区はその役割を果たすべきです。
 ここで陳情について一言触れます。956人の署名とともに提出された30陳情第4号、国民健康保険料の値下げと低所得者の負担軽減策を求める陳情は、国保の都道県単位化にむけて、今年度に続き、来年度も国保料の大幅値上げが進められようとしている中で、保険料の引き下げと低所得者の負担軽減を図るため、国や都、区が、積極的な財政支援を行うことを求めるものです。先ほども述べましたが、保険料を引き下げるのは当然のことです。そのために国も都も積極的な財政支援を要求すべきです。

 安倍内閣は、来年度予算案で社会保障の自然増1300億円の削減を進めています。そんなことは直ちにやめるべきです。東京都は14億円、独自の支援を行いましたが、被保険者数で割ると、一人当たり約400円の引き下げになりますが、一歩前進ですが極めて不十分です。豊島区も、過去最大の予算規模というなら、区民の命と健康を守る立場から、一般財源からの投入を行うべきであります。 

 よって、第40号議案「豊島区国民健康保険条例の一部を改正する条例」について可決に反対します。また、30陳情第4号、国民健康保険料の値下げと低所得者の負担軽減策を求める陳情については、直ちに採択すべきことを強く求めるものであります。
 以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。