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区議会質問
平成28年度決算 本会議討論(儀武さとる)

2017/10/27(金)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされました認定第1号、2016年度豊島区一般会計歳入歳出決算の認定について、認定第2号、2016年度豊島区国民健康保険事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第3号、2016年度豊島区後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算の認定について、認定第4号、2016年度豊島区介護保険事業会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論します。

 決算年度は、安倍首相の経済政策「アベノミクス」自体が行き詰まり、破綻したことが、明らかになってきました。まず「トリクルダウン」政策の破綻です。安倍首相は、大企業を応援し、大企業が儲けをあげれば、いずれは家計に回ってくると言い続けましたが、大企業が史上最高の利益をあげる一方で、労働者の実質賃金は4年連続マイナス、非正規社員は増えたが正社員は3年間で23万人減りました。経済の6割を占める家計消費はマイナスが続き、「アベノミクス不況」に陥っています。
 また、「影響は一時的」として消費税税率を8%への大増税を強行してから、3年が経過しても深刻な消費の落ち込みが続き、安倍首相も、「予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いているのは事実」と見通しの誤りを認めました。
 さらに、「異次元金融緩和」路線の破綻も明確になりました。大量の資金供給に期待した投機的な動きにより、円安と株高が急激に進み、富裕層や大企業には巨額の利益が転がり込んだが、肝心の実体経済の活性化にはつながらず、国民には円安による生活必需品や資材の値上げが押しつけられました。苦し紛れに「マイナス金利」という異例の策を打ち出しましたが、それも効果を上げず、金融政策は打つ手なしとなっています。
 安倍首相は、今回の総選挙期間中、自分に都合のいい数字を並べるだけで、アベノミクスの果実を語ることができませんでした。
 軍事費は、2年連続5兆円を超え、4年連続史上最高を更新する一方、社会保障は4年連続「自然増削減」を行い、格差と貧困の拡大が一層進みました。

 都政では、小池都知事が誕生し、都政の最大問題である築地市場の豊洲移転について、移転を立ち止まって検証する立場を表明。その一方、幹線道路などの大型開発、特定整備路線は従来の路線を継承するとしました。都議選直前には、「築地を守る」「市場としての機能を確保する」と約束しましたが、豊洲新市場の地下水から環境基準の120倍のベンゼンをはじめ、猛毒のシアン化合物、ヒ素などの有害物質が検出されました。しかし、都議選後小池知事は、この事実に、ほおかむりし、土壌も地下水も環境基準以下にするという都民との約束を反故にして、早期移転の取り組みを加速すると表明しました。まさに公約違反です。
 このような国や都の動きのもとで、区政はどうでしょうか。
 昨年の第2回定例会の一般質問で森議員が「旧庁舎跡地及び周辺整備は、文化芸術の拠点となる、なおかつにぎわいの創出となる」こうした考え方は、まさにアベノミクスと同じ発想ではないかと質問したのに対して、区長は「そう評価されても一向に構わない」と答弁しました。
 いま豊島区は、持続発展都市、文化とにぎわいの創設を口実に大企業の大型開発優先の街づくりが進められています。また、住民の反対運動がある特定整備路線も強行しています。その一方、区民のくらしは、ますます深刻です。この間、何度も強調していますが、日本共産党区議団の2017年区政アンケート調査結果では、この1年で「生活が苦しくなった」が47%、変わらないが48%、良くなったという人はわずか3%でした。税金や社会保障については、住民税や健康保険料、介護保険料などの負担は、昨年と比べてどうですかとの問いには、変わらないが36%、負担が重くなったが59%にも及びました。これらの負担にどう思うかとの設問には、75%すなわち4分の3の人が、これ以上の負担は耐えられないと回答しているのであります。区民のくらしがいっそう深刻になっているのは明らかです。
 私たちに寄せられる相談も「認可保育園に入りたい」「特養ホームに入りたい」「住民税、国保料、介護保険料が高すぎる」「都営、区営住宅に入りたい」「家賃補助を」などです。今、区民の実態を直視し、くらしと福祉を守る本来の自治体の役割を果たすことが求められているのです。

 日本共産党区議団は、2016年度決算について、
 第1の観点に、深刻な区民生活を直視し、区民需要を最優先にした決算になっているかどうか
 第2の観点に、自治体本来の役割を投げ捨て、区民不在で、大企業や来街者のための街づくりや開発行っていなかったかどうか
 第3の観点に、区民生活をないがしろにし、将来に禍根を残す財政運営になっていなかったかどうかこの3つの観点で決算審査に臨みました。

 それでは、まず第1の観点、深刻な区民生活を直視し、区民需要を最優先にした決算になっているかどうかについてです。
 まず一つ目は子育てに関して4点述べます。
 一点目は保育についてです。
 今年4月、豊島区は待機児ゼロ宣言をしました。昨年1年で認可保育園が10園増え、豊島区の認可保育園は公立私立あわせて60園となりました。これは、区民の運動と日本共産党が繰り返し認可保育園の増設を求めてきた結果です。
 10月1日現在の待機児童を確認すると、区は「ゼロです」と答弁しました。一方で、隠れ待機児童は、4月の135人から236人と大幅に増えています。待機児「ゼロ」と実態の乖離があり、「おかしいではないか」と指摘すると、区は、「新定義に基づいているのでおかしくない」「待機児にカウントしない」ということです。待機児の新定義は、育児休業を延長した保護者の子どもは、親に復職の意思があれば待機児童として扱う一方、自治体が独自補助する認可外施設を利用している子や、親が求職活動を中止している子は、待機児童に含めないとするものです。区は、居宅訪問型の定員に空きがあるうちはゼロになるというのです。それは、隠れ待機児童ではなく、待機児童隠しのゴマカシです。本気で、隠れ待機児童を解消すべきです。また、認可保育施設で園庭のない保育園が26園あります。子どもが保育園でのびのびと遊び、育つためにも園庭の整備、保育士の確保と処遇改善も待ったなしの課題です。

 二点目は、子どもスキップについてです。
 今年から「子どもスキッフ」は子ども家庭部から教育委員会に移管となり、条例で、子どもの放課後対策を充実させるために子どもスキップの役割などを明確化しました。四月から学童保育の時間延長や児童数増加などにともない、大幅な定数増がありました。しかし、非常勤職員は、募集しても人が集まりません。せっかく採用してもすぐ辞めてしまい定着しません。9月現在まで8人の欠員のままです。私が、非常勤職員の待遇改善と4年更新、雇い止めの撤廃を求めましたが、区は全くやろうとしません。条例で理念と役割を位置づけましたが、区が決めた職員配置も守れず、現場と子どもに犠牲を押し付けていることは認めることができません。現在、8か所の学童クラブで常勤を2名体制にしていますが、すべての学童クラブでただちに2名体制にすべきです。また、「豊島区放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準に関する条例」で、 学童クラブの面積基準が一人1.6uと定められていますが、実際にはコアとセカンド、さらには「サード」まで含めて学童クラブの場所として定員を広げ、子どもたちを詰め込むことになっています。今、児童の数が増え、普通教室を増やさねばならない、あるいは、校庭にプレハブを建ててスキップの場所とする豊成小学校など、学校内だけで、子どもの居場所を確保することに、限界です。区は、すべての児童館を廃止しましたが、まちがいであったことは明らかです。子どもの最善の利益を確保する
 ために、学童クラブの面積基準を遵守すべきです。

 三点目は、子どもの医療費助成制度についてです。
  わが党区議団は、この問題について一貫して拡充することを求めてきました。豊島区の通院費と入院費はいずれも中学生までですが、北区は入院費については高校生まで、千代田区は両方ともに高校生まで実施しています。決算年度の医療費助成額は約9億円、高校生まで拡充することで見込まれる費用は1億4千万円、わずか15%ほど上乗せすれば実現できるのです。
  また、食事代について、豊島区は乳幼児までしか助成しておりませんが、11区が中学生まで助成しています。この状況について質問したところ、所管課は「優先順位は低いので拡充する必要はない」と答弁しました。拡充に見込まれる費用は、わずか290万円です。
  区長は、子育て支援はしっかりやっていると言いますが、子育て中の家庭の厳しい実態を全く理解していないということです。子どもが入院していることの費用の負担、精神的な負担を少しでも和らげようという姿勢が全くありません。

 四点目に、子どもの貧困対策についてです。
  教育は子どもが人間らしく生きて行くための重要な権利であり、家庭の経済力にかかわらず、全ての子どもたちに豊かに保障される必要があります。
  わが党区議団がねばり強く求めてきた小中学校の入学支度金が、来年度から増額することが決算委員会で確認されました。しかしながら、わが党の2定の一般質問に対する答弁にあった「都区財調単価の積算基礎額の算定改善の要望をする」という点については、やられてないことが明らかになりました。前進面はあるものの財源確保という視点が欠けているのであります。
  小学校の入学前支給については、500万円のシステム経費等がかかることを理由に来年度実施はできないと先送りにしようとしています。現時点で、都内3区、9市が実施を確定し、これからも増えていくことが確認されている状況で遅れを取るなどあってはなりません。来年度から実施すべきです。
  また、就学援助を受けられる対象者の拡大が求められているにもかかわらず、認定基準1.2倍を1.25倍に拡充するのに見込まれる280万円を惜しむ姿勢も理解できません。
  さらに、学校給食の助成制度を実施しているのは10区です。第3子以降を無料にした場合に必要な費用を調査研究した結果、440万円の費用が見込まれるとしながらも実行しようとはしないのであります。子どもの貧困対策がいかに不十分であるかが浮き彫りになりました。

 2つ目は福祉について3点取り上げます。
 一点目は生活保護の法外援護についてです。
 本区の生活保護受給者は10年前の2007年3900世帯が、毎年増加し今年度は6300世帯となっています。この間、安倍政権の福祉切り捨てで基準額が大幅に下げられましたが、保護世帯は増加し続けています。これが区民の置かれている状況です。このような区民に手を差し伸べるのが区の役割です。
 しかし区は「行財政改革プラン2004」で、「身の丈にあったサービス水準」として、生活保護の法外援護をばっさりと削り現在では30枚の入浴券のみです。区は復活を求めるわが党の再三の質問にも「生活保護は国が保障する最低限度の生活保障。生活扶助に入っている」と、復活を拒否し続けています。
 さて、入浴券の支給は、現在23区中13区が60枚、1区が50枚、30枚2区です。今年度の都区財調の基準財政需要額には、法外援護費?として入浴券の支給があり、想定区の計算では、大人460円×1,237人×120日×2分の1で3,412万円となっています。本区での今決算は1,668万円で、60枚券の復活は充分可能です。財調で認めているという事は23区側の要求と同時に都も必要性を認めているという事です。しかし区は「やりません」と冷たい答弁を繰り返しました。本当に福祉切り捨ての最たるものです。

 二点目は障がい者施策についてです。
 アフタースクールの会の補助金廃止についてです。
 平成29年度豊島区行政評価、事業別評価結果一覧に、「障害のある中高生の放課後等活動支援事業経費410万円を今年4月で終了」とし、評価要旨では「区立心障センターの改修に伴い事業所を移転。移転に伴い補助金交付廃止」としています。アフタースクールの会は2000年に障がい児の保護者を中心に、放課後や休日の子どもたちの療育機能や、居場所機能を持つ施設として活動を始めました。区はこの間、区の施設を提供しその使用料と同額を補助してきました。2012年4月、児童福祉法の改正に伴い、「放課後等デイサービス」事業となり、会では経営法人としてNPO法人を取得しています。
 今回、身障センターの改修に伴い、区は転居を求め、補助を廃止しました。区は廃止の理由を「同種の他施設との公平性を考え」と答弁していますが、現在、会の収入は、区の試算で一ヶ月約200万円、これで30万円の家賃や人件費等、運営は本当に大変と思います。会からの要望等に十分対応すべきです。

 三点目は特別養護老人ホームについてです。
 平成28年12月末の特養ホームの待機者数は674人(Aランク271人)です。特養入所要件を原則要介護3以上に厳格化したにもかかわらず増え続けています。区は、これまで「特養ホームを建設するための土地がない」と言って圏域外整備を検討してきました。私が、改めて富津市の竹岡健康学園、秩父市での特養ホーム整備の検討状況を確認すると、区は「杉並区と静岡県南伊豆町の自治体の連携で特要ホームを整備しても50床のうち20床の空きがあり、竹岡健康学園での圏域外整備は、区民ニーズと費用対効果の面からみると、困難である」と答弁しました。また、秩父市については、CCRC構想との関係で、条件が合えば特養ホームの建設も検討したい、と区長が昨年の第1回定例会の召集挨拶で表明しましたが、秩父市には、特養ホームの建設計画はありません。
 わが党は、繰り返し、特養ホームの区内増設を求めてきました。現在、西巣鴨地域で特養ホームの整備のために、地元と話し合いが進められています。区内整備を進めることについては、評価しますが、待機者数から見ると、まだまだ足りません。早急に介護保険事業計画に特養ホームの整備計画を位置づけるべきです

 3つ目は防災対策について2点述べます。
 一点目は救援センターについてです。
 日本共産党区議団のアンケート調査結果で、最も多かった区民要望は、「避難所の確保」1176人です。回答者の過半数55.4%を超え、前回調査の1099人、53%を2.1ポイント上回っています。現在、区の救援センターは、33箇所21699人しか収容できません。人口に対する収容人数の割合は8.7%、23区で最低です。新宿区の収容人数は68297人、20.1%、渋谷区は42086人、18.7%です。お隣の北区は、126881人、36.6%です。一桁代は本区だけです。区は、77箇所の補助救援センターを活用すると、収容人数の想定数の34,000人はカバーできますと答えました。しかし、備蓄物資もない、防災訓練をしたこともないなど、とても救援センターの代替施設にはなれません。救援センターの創設時には42か所でしたが、大幅に減らした区の責任は重大です。区民の命を守るために計画的に増やすべきです。

 二点目は、感震ブレーカー設置補助事業についてです。
 わが党は、感震ブレーカーの設置補助について、一般質問や予決算で繰り返し取り上げてきました。9月より事業が始まったことは一歩前進です。事業概要を聞くと、「不燃化特区助成対象地区」の池袋本町3丁目、4丁目を対象地域とし、木造住宅に限定するものです。助成内容は、簡易タイプは市場価格3000円程度の現品支給で500台、高性能簡易タイプは上限5000円で購入費用の2分の1助成をして50台、分電盤タイプは上限50000円で購入・設置費用の3分の2を助成するものです。申し込み状況を確認すると、問い合わせは数件あったが、申込者は「なし」とのことでした。対象地区、住宅などを限定し、ポスティングだけでは、区民が知らないのは当然であります。説明会をするなど周知を徹底すべきです。区民の生命、財産を守るために、直ちに区内全域に対象者、助成内容を拡充すべきです。

 4つ目は住宅についてです。
 決算年度に区民住宅の廃止になった戸数は、5団地80世帯です。引き続き入居が47世帯、退去が33世帯です。そのうち15歳未満の子どものいる家庭も転居を余儀なくされています。居住支援協議会を平成24年に設立し、住宅確保要配慮者に対し居住支援事業を行っていますが、実績は上がっていません。また、貧困と格差の広がる中、ダブルワークで何とか生計をたてていた若者が病気になり、家賃を滞納し保証会社から猛烈に退去を求められるなど住宅に困っている方々が沢山います。区は空き家を活用するといっていますが、実績も少なく現実はそうなっていません。それだけに、公共住宅の役割は、ますます大きくなっています。しかし、区は、区民住宅の廃止、区営住宅の新規建設はやらない、など公営住宅の撤退をすすめています。これを認めることはできません。

 5つ目は、廃プラスチックのリサイクルについてです。
  地球温暖化、都心のヒートアイランドの影響により、台風の頻発、突風や竜巻、今年7月は豊島区においてヒョウが降るという、これまでは考えられない自然災害が発生しており、温室効果ガス削減は待った無しの課題です。
  現在、豊島区はサーマルリサイクルと言って、多くの品目を廃プラスチックとして可燃ゴミといっしょに燃やしています。こうしたやり方はリサイクルとは言えないとして、わが党区議団は当初から反対してきました。今、一刻も早く資源回収してリサイクルすることが必要です。その数は9品目とされており、区の調査では、豊島区同様に燃やしている区が10区。他の区は7品目、5品目を資源回収し、リサイクルしているところがあるということがはっきりしました。
  区は、「今後について、今年度末にリサイクル審議会を立ち上げる予定で、指摘を踏まえて進めて行く」と答弁しました。美しい地球を次世代に残して行くためにも早急に実現すべきです。

 6つ目は、私道排水設備・舗装助成制度についてです。
  今年度から排水設備助成は75%から90%に、舗装助成は80%から同じく90%に、わが党区議団の拡充を求めた要望を踏まえ、一歩前進しました。しかしながら、ここまでの助成状況の進捗は、それぞれ3件、ゼロ件とほとんど増えておりません。
  過去の状況を確認すると、全額助成していた当時は、数十件から百件を超えており、差は歴然としています。こうした状況について区は、「率ではないと考える」とか「地権者間の合意形成がネックであり、国も考えているので様子見」などと答弁しました。他区を見ると多少条件に差はありますが、舗装については13区が全額助成しているのが事実であり、文京区等と比べると舗装の状態に違いがあるのは明らかです。さらに区は、「私道は一般の方が通行できない場合があるなど、公道と差を設けることが妥当」と答弁しました。しかしながら、多くの私道は、不特定多数の車や人が通行しており、そうした私道の改修を所有者に負担させるなど問題です。いつ、誰がつまずいて怪我をしてもおかしくない道路が散見されます。セーフコミュニティ国際認証都市の再認証というのであれば、なおさら早急に全額助成を実現すべきです。
 セーフコミュニティに、これまで7年間にかかった事業費は約1億4000万円、今年度は本審査と認証式実施に約1100万円の予算を計上しています。こうした費用がどのような効果を生み出したのかという質問に、「住民の意識が変化した」「安全・安心に対する大きな効果」「住み続けたい街に選ばれる」等々が述べられましたが、再認証をめざすというのであれば、一旦、立ち止まり、これまでの経過と効果をきちんと検証し、区民の声をしっかりと受け止めて再検討すべきです。

 7つ目は、マイナンバーについてです。
  昨年始まったマイナンバーカードの交付数は、8月31日現在、37867件。対人口の交付率は、わずか13%でしかありません。これは区民がカードの利便性を感じずに、他人に見せてはならない個人番号を持ち歩き情報が漏れることに危機感を抱いているからに他なりません。制度そのものを中止すべきです。
  区は、交付率を上げるために、総務省が提案した実証実験に手をあげました。これに飛びついた自治体は全国で10にも満たない数です。しかも総務省は、実証実験に対し費用を出さないというのです。国になんの文句も言わずに言われた通りにやる区の姿勢はいかがなものでしょうか。間違っています。
  現在、区では、住民票等の発行に区民カードを使った自動交付機を10か所に設置しています。マイナンバーカードを使えばコンビニエンスストアで発行できることを理由に来年12月に自動交付機を廃止しようとしています。混乱が生じることは明白です。自動交付機は存続すべきです。
 
 第1の観点の最後は教育について、区立小中学校の校庭舗装についてです。
 今年度、教育委員会は「区立小中学校の標準的な運動場整備方針」を決定しました。これは、これからの小中学校改築・改修整備にあたり、平成24年度に決定した「小学校の運動場の整備方針」を改定するとされ、小学校運動場は全天候型舗装にするという決定です。
 豊島区では、ほとんどの小学校が全天候型になっている状況の中、なぜ、あえて決定しなければならないのか、その理由が不明確です。この決定により、土系舗装5校、人工芝1校を含めた全ての小学校が校庭改修する際に、問答無用で土系舗装、人工芝等を排除するものに他なりません。
 全天候型舗装は、土系舗装と比べて費用が高く、23区を見渡しても決して多いとは言えません。しかも、区内中学校は土系舗装が良いということを認めているのです。教育委員会は、こうした事実やデメリットの部分を矮小化しており、なおかつ小学生が自然に触れるという大事な観点が欠落しているのです。校庭改修の際は、すでに全天候型舗装の学校であったとしても、その都度、児童、保護者、近隣住民、教員と協議をして、丁寧に決定することが教育委員会の大事な仕事ではありませんか。それを怠って強制的に押し付けるなどあってはならないのであります。決定は撤回すべきです。


 次に第2の観点、自治体本来の役割を投げ捨て、区民不在で、大企業や来街者のためのまちづくりや開発を行っていなかったかどうかについてです。 
 一つ目は、旧庁舎跡地と周辺整備についてです。
 今、豊島区では、「国際アートカルチャー都市」を口実に大企業による開発を進めています。区長は私の一般質問に「国際アートカルチャー都市を目指し、人と産業を惹きつけ、世界から人が訪れ楽しむことができる街づくり」を進め、2020年のオリ・パラを控え「このチャンスを活かし」「街の未来のために、ハレザ池袋の整備、東アジア文化都市事業の開催など、ハード・ソフト両面で豊島区を飛躍させていく仕掛けをしていくのは今しかない」と答弁しています。まさに旧庁舎跡地には区民のためというよりも来街者を呼ぶための、劇場ホールや新区民センターを作っているのであります。新ホールの買い取り額は、2013年の50億円から76億円に増額し、周辺区道整備と中池袋公園大規模改修を含めた、旧庁舎跡地及び周辺整備の総事業費は114億円から159億円へと45億円も膨らんでいます。これは2010年の新庁舎整備推進計画時の区民センター単体の建て替え費用22億円と、公会堂建て替え17億円の合計39億円と比べると100億円を優に超える増額です。
 区長が力を注いでいる池袋周辺の四つの公園のひとつ、中池袋公園の大規模改修経費が、予算編成時の2億9,500万円から、現時点における4億900万円へと1億1,400万円も増額しています。森議員が「なぜか」と質したところ、なんと驚くことに誰も答弁できませんでした。子育て支援、高齢者施策等の福祉にはお金を出し渋りながら、一方で大企業優先の大型開発には、湯水のように大盤振る舞いしても構わないという姿勢、街づくりは認めるわけにはいきません。

 もう一つ問題なのが「公民連携」のやり方です。
 アニメイトは30周年記念事業としてCM制作を企画し、豊島区と共同事業にしないかと持ちかけてきたとのことです。区はこれをなんと快諾し、メインキャラクター公募費430万円と制作費3,000万円の半分を税金で負担しようとしています。なぜアニメイトという大企業のCM制作に税金を投入しなければならないのでしょうか。仮に区が単独でCM制作するとしても、本来であれば一般競争入札しなければならないのに、アニメイトに随意契約するというもの。「区にゆかりのある企業だから」という答弁は全く理由になりません。それこそ国政で大問題になっている私物化、もしくは忖度が働いていると取られかねないのであります。これが、高野区政が常々力説している公民連携の実態なのであります。

 保健所の移転計画もしかりです。
 区は現在の保健所について、2年後造幣局跡地に仮移転し、6年後に現在再開発が予定されている南池袋C地区の業務ビルに転居するというものです。今定例会で区長の招集挨拶で正式に議会に報告されました。
 区は移転理由を「隣接するアニメイトの来館者も多く混雑している。保健所へ来る区民の駐輪場が不足している。保健所は築19年の建物で改修等に20億円くらいかかる」などとしています。そしてすでに2年後の仮移転に向け準備を進めています。
 区長は「仮移転を含め移転が具体的になったのは今年8月だが、一年以上前から検討してきた」としていますが、しかし現在の保健所が区民にとってなぜだめなのか、仮移転先の利便性はどう担保されるのか、跡地がどうなるのか、なぜ仮移転なのか、なぜC地区へ移転するのか、費用はいくらかかるのか、等、全く区民に知らせず、区民の声も聴こうとせず、まだ19年しか経っていない建物を放り出そうというのでしょうか。まさに一方的な計画であります。区民無視であり、区民の財産への考え方も間違っています。
 区長は「アニメイト館の隣ということで、街づくりの観点・賑わいの連続性創出という点からも移転を検討してきた」としていますが、結局、来街者のための街づくりで区民の追い出しを行うということです。直ちに再検討を行うべきです。
 区民の大切な財産である旧庁舎跡地を大企業に差し出すだけにとどまらず、大企業を誘致するために莫大な税金投入、これが実態なのであります。

 2つ目、では街づくりではどうでしょうか。
 特定都市再生緊急整備地域の指定をうけ、容積率の規制緩和、金融・税制の優遇措置、「国家戦略特区」で都市計画手続きの規制緩和など、区域内は高層マンション建設などの開発を進めています。旧庁舎跡地の8つの劇場、東西デッキ、市街地再開発事業として、池袋駅西口地区、東池袋1丁目地区、東池袋4丁目2番街区、東池袋五丁目地区、南池袋二丁目C地区、造幣局跡地整備、造幣局南地区まちづくりなど大型開発が目白押しです。そして再開発でできるマンションは一定以上の収入がある人しか入れません。
 今年9月に南池袋C地区の再開発概要の区民説明会が開催されました。C地区の計画は地上51階地下2階、高さ190m、容積率800%を2棟建築し、住宅戸数は1,450戸というものです。説明会では、日照は大塚地域まで影響し、また風害等の質問や資料要求も出されました。しかし説明した事業者は、必要であれば「事務所に取りに来るよう」等の発言でした。また、近隣の高層建物の住民からは「当初区のHPで示されていた30階建て3棟とした計画とは違うのはなぜか」の問いに事業者は「そのような計画は知らない」との答弁が繰り返されました。住民からは「これではマンション建設の説明会と同じだ」との指摘がありましたが、まさにその通りです。地域全体の街づくりをどう作るのかを住民参加の下でまず検討すべきです。南池袋B、C地区には、区民の貴重な税金が約5,000万円投入されています。まさに区の事業として行われているのです。説明会では5人の区職員が参加をしていたそうですが、紹介はなく、来ていることすらわかりませんでした。何と無責任な姿勢でしょうか。
 南池袋C地区や造幣局南地区街づくりでは、「自分たちの生活がどう保障されるのか」「高層マンションの管理費は払えない」「反対」等の声があがっています。これら住民の声を無視することは許されません。特定都市再生緊急整備地域での市街地再開発事業や共同化事業等では「公民連携」として複数の大手の不動産業者が参画しています。街づくりをディベロッパーの儲け仕事にしてはならないのであります。「街づくりは住民とともに」の原点に立つべきであります。改めて強く求めるものです。

 3つ目は高田小学校跡地活用に関して一言述べます。
 高田小跡地活用に関する検討会では、近隣住民の方を中心に住民参加の下、公園の在り方、形状、区の関わり等の検討がつづけられ、子どもたちが自由に遊べるボール広場や、緑の確保、備蓄倉庫の設置と合わせて集会室機能を持つあづまやの設置等、基本設計が決定しました。
 そして現在、高田小跡地公園の運営組織準備会に関して、NPO法人の設立が決定、去る10月5日には解体工事を含めて地域説明会が開催され、多くの近隣住民が参加されました。
 しかしNPO法人の設立に関し、また将来、区の指定管理者となった場合、事業収入をどう確保するか等が検討課題となっています。住民が積極的に公園の維持、管理に様々な形で参加できることは重要ですが、「事業収入の確保」となれば使用料の有料化などが検討されます。担当理事者の答弁でも確認されましたが、公園は区の施設であり区が責任をもって維持管理することが基本です。この立場を堅持して検討することを改めて求めます。

 第3の観点、区民生活をないがしろにし、将来に禍根を残す財政運営になっていなかったかどうかについてです。
 豊島区の2016年度決算の一般会計は、歳入は 1,282 億円、前年度比119億円の減、歳出は1,255億円、101億円の減です。これは旧庁舎関連の特殊要因がなくなったことによるものです。また3校の学校改築等で投資的経費は前年度比82億円の増、また財調基金の取崩し歳入増を原資として、特定目的基金への75億円の積立をおこない、実質収支は25億円の黒字で、財政規模は高水準としています。
 6割を超える区民が課税標準所得200万円未満であり、高齢者の生活保護受給者は増加しているのです。「区は2極化が進んでいる」と答弁した通り、まさに格差が拡大しているのであります。区長は来街者を増やし「まわりまわって区が豊かになる」と繰り返しますが、破綻したアベノミクスを転換し、厳しい生活を強いられている区民にこそ、光をあてなければならないのです。
 かつて区は、お金がないといって、福祉くらしをバッサリ削減してきました。ところが、今、財政を立て直したと言いながらも復活・拡充しようとはしません。
 2016年度の投資的経費は225億900万円でした。わが党区議団は2017年度の予算編成時、当面する5ヵ年の投資的経費の概算想定資料を請求しました。それによると¥2017年度からの5年間では856億円とされています。しかし「特養ホーム増設は進める」としながらも予算にはありません。住宅問題も深刻ですが公営住宅等の建設費もありません。また築50年以上の学校が14校ありますがこれらの改修計画も具体化していません。こうした必要な投資的経費が山積みとなっているのです。
 そうであるにもかかわらず大型開発が目白押しです。市街地再開発事業は「都市計画決定されていないから」と計上は2か所のみ。そして区は西口公園の全面改修、保健所の移転等新たな提案をしましたが、またもや予算は全く示しません。「とにかくやります」のみです。東西デッキのうち南北デッキや、再開発では今後5年間で池袋駅西口再開発等3か所以上の取り組みが行われます。投資的経費の更なる拡充は膨大なものです。
 歳入面において区は課税人口増で区民税収入が増額したと説明しています。では「いつまで続くのか」との問いに「2020年ごろまで」と答弁しました。また、新ホールと新区民センターの起債発行すなわち借金が計上されることについて問い質すと、「貯金と借金のバランスが崩れる」「負担になる」と認めたのであります。
 こうした区民生活をないがしろにし、将来に禍根を残す財政運営を認めることはできないのであります。
 以上のことから、第1に、深刻な区民生活を直視し、区民需要を最優先にした決算になっていない。第2に、自治体本来の役割を投げ捨て、区民不在で、大企業や来街者のための街づくりや開発が進められている。第3に、区民生活をないがしろにし、将来に禍根を残す財政運営になっています。
 よって、一般会計決算の認定に反対します。

 続いて、3特別会計について述べます。
 最初に、国民健康保険事業会計についてです。
 決算年度の一人当たり保険料の引き上げは4644円で後期高齢者支援分と合わせると111,189円となりました。毎年の保険料の引き上げは区民の命と健康に重大な影響を及ぼしています。ところが、国は来年度から国保の広域化を実施するとし、区は法定外繰入の削減として、2014年度から高額療養費分を毎年25%ずつ保険料への賦課を始めました。14年度は2億円、15年度は5億円、決算年度の16年度は7億1700万円が保険料に賦課されたのです。2018年度は100%賦課すると、11億4700万円となります。またもや大幅な値上げになるのは必至であります。
 国保の広域化による保険料はまだ決定されていませんが、都の試算によると2017年度ベースで、法定外繰り入れ前の一人当たり保険料は143,182円となっています。17年度ベース対15年度ベースの一人当たり保険料率の伸び率は125.38%です。区も、私の一般質問に対して「大変厳しい試算結果が出たと受け止めている」と答弁しているのであります。
 今でも払えない人が多く、決算年度である2016年度の差し押さえ件数は508件、今年度はなんと816件です。短期証は5,349件、資格証は2,345件にもなっています。区も認めている通り国保加入者の8割は年収200万円未満です。払えない保険料のため、病気になっても医者にかかれない人が多くいるということです。
 区は「法定外繰入は区の税金であり、国保加入者以外の方との負担の公平が必要」と繰り返していますが、理事者も認めている通り、国保法第一条目的には社会保障と明記されています。社会保障とは生活上の問題について貧困を予防し、貧困者を救い、生活を安定させるために国家または社会が所得を保障し、医療や介護などの社会的サービスが受けられるようにすることです。区民に一番身近な自治体こそ、「国保は福祉的要素を持つ制度」の立場の堅持が求められています。区は法定外繰り入れを継続するべきであります。

 次に、後期高齢者医療保険会計についてです。
 2018・19年度の2カ年間の保険料について、国の政令通り実施した場合、13,692円上がって10万9,184円に、また現在、都広域連合が独自に実施している保険料抑制のための4つの特別対策と国の低所得者への保険料軽減策を実施した場合でも7,554円の値上げで10万3,046円となります。
 国は低所得者の所得割軽減を縮小廃止するなど、特例措置の見直しを実施する下で、都連合も来年度以降の都独自の保険料軽減策の実施は未定としています。
 年金の引き下げ等で、高齢者の生活は大変厳しく、保険料の引き上げは深刻です。区が国や都の保険料軽減策の継続を、引き続き強く求めるよう改めて要望します。
 短期証と差し押さえ状況についてです。豊島区の今年5月の滞納率1,55%で、短期証は20件、差し押さえは10件です。北区は滞納率1,43%で短期証は52件ですが差し押さえは0です。滞納率2%を超える区でも差し押さえは0です。かつて本区でも「高齢者から保険証を奪ってはならない」として、差し押さえ等は行ってきませんでした。保険料の引き下げと合わせて、短期証、差し押さえは直ちにやめるべきです。

 次に、介護保険事業会計についてです。
 今年の5月、介護保険法の改定が行われました。利用料の見直し、介護医療院の創設、
 「自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化」「共生型サービスの強化」などです。
 制度の見直しが次から次へと行われていますが、決算年度には要支援者の訪問介護と通所介護を介護保険からはずし、市町村が主体の地域総合支援事業へ移行しました。28年度実績をみると、訪問介護は10,139件1億7千2,898千円です。総合事業移行前と比較すると、件数で376件増え、金額では630万円減っています。通所介護は10,065件 2億5千万円です。総合事業移行前と比較すると、件数で1060件増え、金額では1,364万円も減っています。つまり、介護事業所にとっては、訪問介護や通所介護事業は1436件増え、収入は1,994万円も減っているのです。今、介護の現場では、ケアマネジャーがケアプランをたてても、介護事業所は、要支援の利用者は断るケースが生まれ、利用者にしわ寄せされています。人手不足で介護サービスを提供する介護事業所の存立基盤そのものが大きく揺らいているのです。区に独自の支援策を求めても「やりません」の答弁です。
 また、所得160万円以上の人は利用料の2割負担が導入されました。2割負担となった人は、区内では2600人がいます。特養ホームの入所要件を原則要介護度3以上に厳格化した上、入所している低所得者の補足給付の縮小で90人の方が大幅な負担増となっています。 
 ところが国は、要介護1と2の新たな「保険外し」に向けた議論もすすめています。「介護離職ゼロ」どころか、介護保険制度の基盤を揺るがす改悪をおしつけることは許されません。地方自治体は住民の福祉守ることが第一の仕事です。そういう立場に立たないことは認めることができません。
 よって、以上の理由により3特別会計の認定に反対します。
 以上で討論をおわります。ご清聴ありがとうございました。