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区議会質問
平成29年度予算反対討論(清水みちこ)

2017年3月27日

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております、第27号議案平成29年度豊島区一般会計予算、並びに、第28号議案 国民健康保険事業会計予算、第29号議案 後期高齢者医療事業会計予算、第30号議案 介護保険事業会計予算の3特別会計予算に反対の立場から討論します。

 2017年度政府予算案で、軍事費は、安倍政権が発足して5年連続の増額で、総額は5兆1000億円台と当初予算では過去最大の規模に達しました。一方、年金や医療、介護など社会保障費は、金額では32兆4000億円余りと最大ですが、高齢者が増えていることなどに伴う"自然増"の予算を削減しています。安倍政権は概算要求で6400億円と見積もった予算増さえ、5000億円に抑えるとして1400億円もカットしました。70歳以上の高齢者の高額療養費の改悪、75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料軽減措置の縮減など、患者や国民の負担が増やされています。安倍政権は消費税の増税見送りを理由に、低所得者への介護保険料の減額や低年金者対策の給付などの実施を先延ばししており、消費税頼みは破綻が明らかです。
 東京都政においては、来年度予算案で保育園の待機児解消目標を引き上げ保育士給与の引き上げをするなど福祉、教育などで、わが党が求めていた施策をはじめ都民要求を反映した施策の前進があったことは評価しますが、安倍内閣が、介護、医療、年金などの社会保障を次つぎに切り捨て、深刻化している国保料などの負担増などに対して、都民生活を守る対策が打ち出されていません。住民生活を破壊し、住民の強い反対がある道路である特定整備路線をはじめ、不要不急の幹線道路計画は継続されており、こうした大型開発の抜本的見直しをすすめることが求められます。
 築地市場の豊洲移転は、当初から都民や市場業者の強い疑問や批判が上がっていたものです。その声を無視して計画を強行し、深刻な事態を引き起こした石原都政をはじめ3代の知事、自民・公明など与党の責任は重大です
 豊島区はどうでしょうか。
 区長は、常に「行政の基本は教育と福祉であると考える」といっています。
 そして、区長はわが党の一般質問に対し、来年度予算では「新規拡充227事業、80億9000万円のうち福祉、子育て、教育に限ると85事業、51億8000万円を予算化、事業費の7割を占める」と答弁していますが、そのうち、臨時福祉給付金は7億4779万円、これが約7分の1を占めております。これは、全額国庫負担であり、やるのは当然のものです。また、区が待機児童ゼロのために実施する保育所の新設などの助成も当然の経費です。
 一方で、17年度予算では、子どもの医療費無料化の18歳までの拡大や、給食費の無料化はやらない、国民健康保険料は大幅値上げ、公営住宅等の増設はやらないし、家賃補助の新規拡充もない、住宅施策でいえば、区民住宅の廃止により、その管理費は3億3533万円も減らされています。
 この点について、委員会総括質疑でわが党が改めて質問したのに対し、理事者は「各家庭や個人には事情があり国がやるもの、区は公共にお金を使う」「公共の概念は、これまでより広くなっている」「社会的弱者、姿の見えない弱者も支援しているので安心してほしい」と答弁したのであります。

日本共産党区議団は、今予算審議にあたり
第一に区民の需要にこたえる予算になっているか
第二に自治体本来の役割を投げ捨て大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進めていないか。
第三に将来の財政運営に支障をきたすことはないか。
の点から予算審議にあたってまいりました。


 では第一に、区民の需要に応える予算になっていない、ことについて述べます。

 はじめに、子どもの貧困対策についてです。
 そのひとつめは、【生活保護の法外援護】についてです。
 奨学金の支給について昨年の決算特別委員会で、支給額が2000年から据置き、低すぎて実態に見合わないと指摘し増額を求めました。これに対して児童扶養手当受給非課税世帯については、高校入学者が5万円から6万円に増額、在学者には2万円の支給が新設と、一歩前進しました。しかし、まだまだ実態とかけ離れていることに変わりなく、さらなる増額が必要です。また20年近く据え置かれたままの要保護世帯についても増額すべきです。
 さらに2005年から廃止した夏季健全育成費、学童服費などの法外援護についても復活すべきです。区は基金が枯渇する、他区でも法外援護を廃止している、時代の流れだと答弁しました
 しかしこの間、物価の上昇、消費税大増税など、区民の生活を取り巻く状況は厳しさを増すばかりです。子どもの貧困対策からも、生活援護の法外援護の復活をすべきです。

 次に【教育における私費負担の軽減について】です。
 第一に就学援助について、3点述べます。
 ひとつめは入学支度金の支給時期についてです。中学校の入学支度金について、私が求めてきた入学前支給が今春より実施となったことは、大きな前進です。しかし、同様に保護者負担の重い小学校の入学支度金については、従前のまま4月申請、8月支給です。区は、前年度実績がない、保護者の前年度所得の確認が煩雑としながらも、すでに実施している他自治体の研究をするとの答弁でした。検討の上、早急な実施を求めます。
 ふたつめは、移動教室費、修学旅行費などです。入学支度金と同様、負担が重いのに事後支給であったこれらについても、支給額の増額と事前支給への改善を求めてきました。本予算案では支給額は実費相当額へ増額。支給時期についても、17年度より事前支給できるよう、事務詳細を調整中とのことで一歩前進ですが、早急に実施できるよう望みます。
 みっつ目は費目別支給額についてです。支給額については実態とかけ離れていると指摘し、これまで増額を求めてきました。移動教室費など、一部改善されたものはありますが、入学支度金、クラブ活動費などは増額無く、実態からかけ離れたままです。
 入学支度金については、すでに要保護世帯は、国庫補助単価が上がっているのですから、補正予算を組む、予備費を使うなどして予算化すべきです。
 さらに決算委員会で指摘した「クラブ活動費」についても増額無く、年間1,230円では到底足りません。他の費目と合わせて実態に見合うよう増額すべきです。

 第2に就学援助を受けていない家庭の私費負担の軽減について、2点述べます。
 ひとつめは保護者の私費負担軽減と修学旅行の交通費補助(7,500円)の復活などについて述べます。17年度よりこれまでなかった林間学校の宿泊費補助が新設され、移動教室・林間学校の補助が、交通費は全額、宿泊費は半額に統一されたことは一歩前進です。
 しかし中学校・修学旅行の交通費補助の復活はなく、修学旅行費は全額保護者負担です。修学旅行費は16年度は平均で62235円。過去3年間で毎年2000円前後値上がりしており、ある区立中学校では来年度から65000円の積立と言われ驚いているという保護者の声もでています。交通費補助の復活をはじめ、修学旅行費についても保護者の負担軽減を早急に図るべきです。

 ふたつめは給食費についてです。給食費無償化について、わが党はこれまで何度も要望してきましたが、区は保護者負担が原則と冷たい答弁を繰り返しています。
 予算委員会で私が、保護者負担が重すぎる、少しでも保護者の負担軽減になることを検討しているのかと質したのに対し、区は原材料費負担がこれ以上増えないような方法を研究・検討しているのとの答弁でした。
 また多子世帯に対しては、様々な私費負担が重くのしかかってくることについて、区の認識を質したところ、多子世帯の負担は認識している。何らかの補助制度をつくるよう、他区(葛飾区の第3子以降の補助など)の調査、研究をしているとの答弁でした。であるならば本来、来年度予算に盛り込むべきで、いつまでも検討ばかりするのではなく、早急に実現しなければ区民要望に応えた予算とは言えません。

【子どもの医療費】についてです。
 わが党は子どもの医療費無料化については、これまでも更なる拡充を求め、一般質問や議案提案権を使って18歳まで拡充を提案してきました。これに対し区は「統計によれば、乳幼児や小・中学生に比べて医療費に係る子育て世帯の負担は少ない」などとして実現しようとしません。子どもの医療費については18歳まで拡充するのに、わずか約1億円でできるのですから、早急に拡充すべきです。
 また私が委員会で取上げたように、インフルエンザで高熱を出した急病の子どもが、紹介状のない大学病院にかかった場合、5400円も請求された事例を取上げました。これでは家庭の経済状態によって受診を控えざるをえないケースも考えられ、まさに子どもの命に係わる大問題です。国の制度改悪から住民福祉を守るのが自治体本来のあり方です。自治体本来の役割を果たしていない予算と言わざるをえません。

【保育園】についてです。
 わが党は待機児童解消のためには、認可保育園の増設が必要だと求めてまいりました。今年4月の待機児童は最大で80、ゼロになる可能性もあるといいますが、これには待機児童対策としての居宅訪問型保育事業が含まれています。保育園は単に子供を預かるということではなく、集団保育として子どもの成長を保障し、保護者の子育てを支援する施策なのです。入所申し込みの第一希望が認可保育園である保護者が圧倒的多数です。小手先の待機児童対策ではなく、隠れ待機児童もなくし、認可保育園に入所を希望する児童がすべて入所できるようにすべきです。来年度予算では2018年4月の待機児童ゼロにむけて、13園の認可保育園新設が含まれていることは評価しますが、すべて民間誘致で進める姿勢です。また、園庭のある保育園を作るために、区有地である旧高松第一保育園の活用を求めても、拒否。区立の保育園は増やすどころか、民営化計画を進めようとするのでは、保育の質は保てません。

【特別養護老人ホーム】
 特養待機者は、昨年(2016)6月で653人(Aランク239人)、9月で673人(Aランク251人)、12月で674人(Aランク271人)と増え続けています。
 本予算案の新規、重点事業「特別養護老人ホーム整備推進調査事業」について区は、区内に特養を整備するため、区有地で整備候補地を選定し、調査及び整備シミュレーションを行うとしています。区内増設の方向性を打ち出したことは評価できますが、まだ何も具体化していません。
 その一方で区民のおかれている状況はますます厳しくなっています。介護保険制度改悪で、2015年から補足給付が見直され、配偶者が課税されている場合は補足給付の対象外となってしまいました。2015年の介護保険制度改悪までは、1カ月の利用料6〜7万円であったのが、区の答弁では、制度改悪後はユニット型個室で利用料が約12万5千円と、なんと2倍であることがわかりました。いまや入りたいのに入れない、ではなく、入りたいのに利用料が高すぎて申込すら諦めざるをえなくなっています。「隠れ待機児童」ならぬ「隠れ特養待機者」がいるのです。本区でも区独自の利用料負担軽減策を検討すべきです。また他区とも共同し、東京都に負担軽減策の実施を求めるべきです。しかし、いずれも区は冷たく拒否したのです。

【障がい者施策】についてです。
 予算書をみますと障害者福祉費で「新規」は「地域活動支援センター財務分析等調査委託経費」の27万円だけです。決算特別委員会でとりあげた、地域活動支援センター三型の補助は拡充されていません。また、障がい者の雇用の場を行政が積極的に確保をすべきです。豊島区の単純な事務作業を委託するなどの姿勢は評価しますが、区有施設を提供しての障がい者雇用を進めるべきです。

【生活保護】についてです。
 保護受給世帯は、保護費そのものが、最低限の生活を保障するために給付されているものです。したがって借金や貸付をすれば保護費から返済をすることになるため、あってはならないはずです。
 今回、かきうち議員が委員会で取り上げたケースは、立ち退きを迫られた受給者が転居先での暖房がないため、ケースワーカーが社会福祉協議会の生活福祉資金の貸付を指導。そのため受給者は、保護費から毎月返済をすることになっただけでなく、お金が下りるまでに約一ヶ月もかかり、その間は寒さを我慢しながら生活せざるを得ない、ということになりました。
 しかし保護受給世帯の転居先に、暖房設備がなく、その購入資金がない場合は、一時扶助があり、エアコン購入は、44,400円を限度にでるのです。
 その一時扶助で暖房設備を買えば、転居先で寒さに凍えることはなかったのに、貸付を指示したことは大問題です。福祉のお金を切り詰めよう、切り詰めようということが、こういう事態をまねいたことは明らかであります。
 
【住宅対策】についてです。
 住宅対策については来年度、新規・拡充事業がありません。逆に区民住宅(ソシエ)が借上げ期間満了による廃止で110戸の減、管理経費が3億3500万円余の大幅減となっています。しかしこの大幅減分は一切、住宅対策に使われていないことが委員会審議で明らかになりました。区民の願いは低廉な家賃の良質な公営住宅です。公営住宅は建設費の区負担は、区有地であれば、区営住宅は12戸で8,700万円、福祉住宅は10戸で820万円、100戸でも8,200万円あればできるのです。
 福祉住宅、つつじ苑の倍率は16年度は単身者用5.9倍、家族用4.6倍と高い倍率で、区民需要の高さがわかります。
 委員会ではつつじ苑の登録順位制について質しましたが、もともとこれだけ区民需要が高い福祉住宅、公営住宅の数が絶対的に足りないのが一番の原因であり問題なのです。公営住宅は毎回、あまりにも倍率が高いため、申し込む前に諦めてしまうケースも多いと聞きます。改めて公営住宅の増設を求めるものです。
 つぎに家賃助成制度の拡充と、新たな家賃助成制度の創設についてです。本予算案でも家賃助成制度の拡充、創設はありません。区は国の17年度予算案で「新たな住宅セーフテイネットの枠組み」が審議中であり、国の動向を見てからと及び腰です。しかし厳しい生活を送っている区民のために公営住宅の増設、家賃助成制度の拡充・創設などが早急に必要です。大幅に減らした区民住宅の予算は、そうした住宅対策に使うべきです。

【住宅修繕リフォーム資金助成事業】についてです。
 この事業は区民の住宅改修について「社会的弱者に対して工事代金の一部を助成する」事業ですが、同時に施工業者を区内の中小零細業者としており、中小企業支援策の一つでもあります。かつて、住宅リフォーム助成事業は年間500万円の予算で多くの区民や区内業者に活用され、喜ばれたものです。ところがそれを廃止した後、なかなか復活せず、モデル事業を経て、事業費が削減され年間68万円余、利用者も公営住宅層を対象とする所得制限などがあり、15年度は実績ゼロとなかなか利用されてきませんでした。ようやく16年度は現在のところ5件の実績となっています。17年度予算は68万3000円のまま、予算が増えていません。区長は検討するといいましたが、東西デッキの先行実施と言って西武鉄道には3年間で総事業費の3分の2である12億円を出すのに、中小零細には年間わずか68万円。中小企業や低所得者に冷たい予算です。

【防災】についてです。
 豊島区の救援センターの収容人数の人口に対する比率は0.08であり、いまだに23区で最低です。学校の改築などで救援センター受入有効面積は増え、収容人数も増えましたが、一方で人口が増加したため、比率は増えていないのです。
 救援センター以外の補助・福祉救援センターの改善・拡充については、資料によると区立保育園について「乳幼児を含む世帯を対象とした福祉救援センターへの変更を検討している」とのことです。検討が始まったことは一歩前進ですが、詳細についてはこれから検討しなければならないことばかりです。

 次に【踏み切りの安全対策】についてです。
 西武池袋線、池袋−椎名町間で2月に死亡事故がありました。手押し車の車輪が、レールと路面のすき間に引っ掛かり、転倒した可能性があるとのことです。区内には西武線だけでなく、東武東上線やJRの踏切があります。挟まらないような対策をとるよう関係機関に求めることが必要です。
 また豊島区は池袋本町と上池袋をつなぐ、通称「どんどん橋」堀之内人道橋を撤去し、その代わりに2009年(平成21年)に「堀之内踏切立体横断施設計画」を作りましたが、一向に進んでいません。理事者は、「補助82号がアンダーパスになる、どうなるか見極めたい」「立体施設は大掛かりの工事になる、費用対効果があるのかを勘案する」などと答弁しました。
 しかし、特定整備路線補助82号は昨年4月の用地取得率はわずか4%で、一体いつできるのか、わかりません。そもそもアンダーパスという構造は、これまでの生活道路を物理的に寸断し、通り抜けができなくなるなど、地域のコミュニティも分断することになるのです。防災にとって重要な、地域コミュニティを破壊するような道路整備は、真の防災にはなりません。いつできるかわからない。また、まち壊しをすすめる道路建設に頼った「踏切の解消」ではなく、「どんどん橋」を撤去してしまった区が、責任をもって代替施設を建設すべきです。


【商店街対策】についてです。
 区内の商店街は、シャッター通り商店街となっています。規制緩和により、大手のデパートや大型家電量販店の進出により、こうした大型店舗の売り上げが区内の七割を占めています。その他の街の商店街の売り上げは、わずか三割ですから、事態は深刻です。
 大型店舗では、時間も深夜まで営業し、販売品目も何でもありという緩和条件では街の商店はたまりません。イベント支援や商品券も消費にはつながりますが、地元商店街には回ってこないのが実態です。まさにお手上げという状況です。
 今、こうした現状を打開しなければ、やがて街は衰退し、商店街はなくなり、町会に加入する世帯も減り、お祭りやイベント、子どもの育成など、地域コミュニティの形成は失われていきます。区長は、商店街の衰退に歯止めをかけることは喫緊の課題といっていますが、街づくりについて言えば、衰退を加速するような開発を推進しているではありませんか。
 また従来の施策に加え、新たな視点を取り入れるとして、時代の変化や消費者のニーズを取り入れた様々な施策の展開を支援することで、商店街の発展、活性化に結び付けたいといいますが、予算化されたものは、本当にこれで商店街は発展していくのか疑問です。
 規制緩和により、商店街の売り上げが減少していることは明らかであり、区も認めているのですから、区独自の規制や、進んだ自治体の施策も取り入れた対策を講じることを求めておきます。

【区民集会室】についてです。
 本予算案では、区民集会室管理運営経費が8778万5千円。今年度(2017)より約2千万円の大幅減となっています。これは大規模改修を行わないための減です。
 予算委員会で理事者に「所管課として予算要求は叶ったという認識か」と質したのに対し、「その通りである」との答弁でした。しかし、決算委員会で指摘した池袋第三集会室要町第一集会室などの改善について予算化されていません。決算時に区は「各所管課で情報共有を図り、全体像を掌握する」と答弁したのに、連絡会が一度開かれただけで、全体像の掌握、具体的な予算化がまったくなされていません。区民から新たに要望のあった東部区民事務所の集会室についても、認識はあっても今後の大規模改修に合わせてやっていくと従前の答弁に終始し、区民要望に応えようとしない区の姿勢を端的に表しています。
 早急に区民集会室を一元的に管理する課と全体的な改善計画を作り、区民の願いに応えた区民集会室に改善すべきです。

 以上、区民の需要に応える予算になっているかどうかについて述べてまいりましたが、いずれも需要に応える予算とはなっていません。


 続いて、第二に、自治体本来の役割を投げ捨て、大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進める予算になっていることについて述べます。

 はじめに【BRTバス輸送システムの導入】についてです。
 区は、オリンピック、パラリンピックを控え、池袋副都心交通戦略推進事業にこれまでのLRTに加え、BRT導入を検討するとして新規拡充事業3650万円の予算を計上しました。
 そもそもBRTというのは、鉄道に代わる輸送手段であり、日本では被災地で鉄道の復旧の代わりに活用されたりするものですが、区長が目玉にしようというものは、これまで検討を進めてきた、いわゆるLRTの代わりに走らせようとするものであります。
 交通手段というより四つの公園を結ぶ回遊で、池袋を訪れた来街者や観光客、外国人にも池袋の魅力を知ってもらう観光目的のバスで、それも池袋の限られた地域のわずか2.6キロの区間を走らせるものです。
 初期投資だけで約2〜3億円もかかり、詳細はこれから検討しようとしていますが、区の事業として位置づけるとしたら、「無駄遣いの典型」であります。
 コミバスを地域に走らせてほしい、というのが区民の声なのに、その検討は具体化せずほおって置いて、来街者のためのバスを検討する、というのは逆立ちしています。直ちに中止すべきことを求めます。

 次に【池袋駅東西デッキ整備事業】についてです。
 来年度予算では、「2017年目玉プロジェクト(7)公民連携で生み出す「としまの力」として、「西武鉄道と連携、南デッキの一部を先行整備」とされています。
 「南デッキの一部」として整備されるのは、びっくりガードの上空部分の616uで、整備事業費概算は18億円。完成時期は2019年秋となっています。これに対し「周辺の防災性の強化及び回遊性向上をはかる公共的な観点から、事業主体である西武鉄道株式会社に対し、事業費の一部を補助する」として、国、区、西武鉄道が3分の1ずつ負担する、つまり国と区が12億円を補助するということです。17年度は1億6400万円が計上されています。
 区は、「これにより、びっくりガードのバリアフリー化がはかられるとともに、災害時にはビル敷地と合わせ2000?の広場が、退避経路、一時待機場所として活用されます。」としています。しかし、びっくりガードのバリアフリー化と言っても、東口と西口をつなぐわけではなく一部であり、デッキは線路の上の人工地盤で、地上からわざわざ上に上がって避難するのでしょうか。今回の整備は西武鉄道池袋ビルの建替えに合わせたものだとしていますが、将来の南デッキや北デッキについてはまだ具体化されていませんので、事業費も未定といいます。一体いくらかかるか、わからない施策を進めるべきではありません。


【公園トイレの改修】についてです。
 決算でわが党が指摘した公園トイレの改修について、区長は「プロジェクトチーム」をつくってやる、と言ってきました。過去に行財政改革で「公園のトイレを廃止する」という提案があったことがあります。その時は地域の方々やわが党が反対して残させることになりました。やはり公共トイレは必要であり、だれもが使いやすく清潔にすべきということです。
 しかし問題は、民間活力の導入、特に包括連携協定により、「協定に基づく地域協働事業の一つとして、民間事業者によるトイレ改修を採用する」ということです。コカ・コーラと協定を結び、トイレの現物を寄付してもらう。そして、これまで豊島区は区立公園に自動販売機は置かなかったのですが、これを変更し「便益施設として、設置許可をする」というのです。設置許可はコカ・コーラ以外の会社にも出すとのことで、一社に独占的に権利を与えることはないようですが、それでも「これまでの方針を変更し、自動販売機を置いて企業が収益を上げることができるようにする」のですから、大きな方針転換です。これまで豊島区では環境や空き缶、ペットボトルなどの問題などから、「区立公園に自動販売機はおかない」としてきたのであります。企業はもうからないことに手は出しません。
 また、「なぜコカ・コーラなのか」「いつどこで決まったのか」ということについて理事者は明確な答弁ができませんでした。政経部長は「昨年秋ごろから検討してきた」「何月何日に決定したということは申し上げられません」と答弁しましたが、決定プロセスが不透明なのは問題です。
 今回の公園トイレ改修も「新しい公民連携」の目玉としてあげられています。東西デッキといい、トイレ改修と言い、豊島区が今進めようとしているのは、名だたる大企業と手を組む話ばかりであります。公民の「民」は市民ではなく「民間企業・大企業」と手を組み、多額の税金を投入したり、公有地を民間のもうけに差し出すことではありませんか。


 自治体本来の役割を果たす上で看過できない問題として【職員体制】について述べます。
 東西区民事務所の職員について、「マイナンバーにともなう時限的措置」で人をつけた、期限がきたから減らすのだと言います。しかし、月1500枚程度のマイナンバーカードの発行手続きなどマイナンバーにかかる仕事はまだあり、人口も増えているのに、職員をへらすのは道理がありません。
 17年度の職員数は、今年度と比べ正規職員がほぼ同数、再任用職員が10名程度減る見込みです。その一方「その他の非常勤職員」が44名増と大幅に増える見込みです。区民ひろば指導員や子どもスキップの指導員など、時間延長など区民サービス改善にともなう職員増です。一番増えるのが、子どもスキップ指導員です。現在のところ必要数からみて14名不足、人材派遣にも募集をかけているとのことです。しかし、人材派遣であっても、報酬や労働条件など雇用条件は同じであり、集まる保証はありません。本来は、正規職員でやるべきところをやらないのが間違っているのです。
 一方で、文化デザイン課非常勤職員について、5回目の更新を行わない、「雇止め」が通知されました。豊島区の非常勤制度は定期昇給、一時金、退職金がなく、人件費は正規の3分の1程度です。委員会答弁でもあったように、豊島区の非常勤職員は女性が多い、つまりは女性が不安定で低賃金におかれているということです。さらに問題なのは、どんなにベテランであろうが仕事ができようが1年ごとの契約で4回更新限度があり、5年目には改めて採用試験を受けなければならないことです。
 今回のように本人に落ち度がなくても雇止めにするとは、許せません。新規採用にとってもマイナスとなりますし、そんな職場では働く意欲もなくなり、ほかに正規の職や条件のいい職があれば、そちらに流れてしまい、せっかく育てた人材を失うことになります。これまでも指摘してきましたが、子どもスキップでもやめていく職員も多く、現場は苦労しています。それは結局区民サービスの低下につながります。それでも四回更新限度を撤廃しようといないのは、間違っています。

 以上、述べてまいりましたが、いずれも自治体本来の役割を投げ捨て、大企業本位のまちづくりや無駄な開発を進める予算となっているのであります。


 第3に、将来の財政運営に支障をきたす予算になっていることについてです。

 わが党区議団は、破綻寸前に陥った際の財政建て直しは、区民サービスを後退させず、借金については区民に犠牲を及ぼすような無謀な返済は避けること。国や都に対しては、毅然とした態度で、削減された財源を確保すること。無駄な不要不急の事業はやるべきでないと指摘してきました。
 しかし、区は、財政難を口実にした行革で区民サービスを削り、国や都にはいうべき事を言わず唯々諾々と従い、国保の国庫補助削減や超過負担、都区財調の配分など区に対する財源削減については仕方なしという態度をとってきました。
 財政が好転しても区民サービスを元に戻さず、借金返済を優先してきたのであります。
 こうした過去の間違った財政運営を繰り返してはなりません。
 これまで述べてきたように本予算は、区民需要に十分応えていないばかりか、公民連携といって自治体本来の役割を逸脱して街づくりや開発を進めています。
 いわゆる都市間競争をあおりバブルの再燃を狙ったアベノミクス路線に追随しているのです。こうした路線は、大企業と一緒に開発を優先させ、オリンピックを口実にした整備や来街者のための街づくりや開発事業に税金をつぎ込むやり方です。
 そのために基金を蓄え、起債を起こす手法で自治体の財政運営を行うのです。本区もまさにこの路線にのって様々な事業を進めていることは明らかであります。
 16年度決算では、剰余金は29億5000万円にもなりました。特養ホームの増設計画はない、子どもの医療費助成の拡充はしない、公営住宅は作らない、法外援護は不十分、困っている区民がいるのに、やるべきことをやらずにためたお金です。
 区長は財調基金については、「年度間調整だけでなく、投資的な経費にも使う」「将来的に必要なものに投資する」とも答弁していました。
 今後5年間で969億円と見込まれている投資的経費のうち、一番多額なのは新ホールや新区民センターなど旧庁舎跡地周辺整備です。
 新ホールの購入経費が76億6800万円と決まり、半分は起債、半分は基金で当てるという財源計画とすることになりました。
 基金は、公共施設再構築基金をあてがうことにしていますが、新ホールの購入には、数千万円足りない状況から、財政調整基金からの積み替えで、基金残高は、2016年度補正では91億円となりました。
 これは、やるべきことをしないで財調基金を膨らませ、今度は公共施設基金に積み替え、来街者のための劇場ホールに投入するためです。つまり区民の暮らし、福祉を削って区民のためでないホール購入につぎ込むということではありませんか。
 今後、他の投資的経費についても公共施設の再構築基金の必要額を精査して、しかるべき時期にまとまった額の財政調整基金の積み替えを検討しているとも言います。
 区長は、東西デッキ計画の推進やLRTとかBRTなどの新たな投資をうちだしています。将来負担の公平性の観点ということで起債もする考えです。
 今は、非常に低い額での公債費が推移しているので将来負担にならないというのですが、区長が検討といって進めるものは、莫大な投資が必要な事業です。公民一体といっても事業が成り立たなければ民は撤退します。
 街がきれいになり、魅力ある街づくりを否定するものではありませんが、今足元を見れば区民の暮らしは大変であり、支援が必要なときです。
 ところが、区長は、基金を使い、借金してまでも不要、不急、計画性のない投資を進めようとしています。将来の財政運営に支障をきたす予算は改めるべきです。

 本予算には、待機児解消のための認可保育園増設の予算や、認証保育所保育料負担軽減事業の拡充(差額の全額助成)、学校トイレ改修、公園トイレ改修事業、感震ブレーカーの設置補助など、我が党の主張も盛り込まれていますが、これまで述べてきた理由で、第27号議案一般会計予算については反対します。


 つぎに3特別会計について述べます。

 まず、第28号議案【国民健康保険事業会計予算】についてです。
 来年度(17年度)の一人当たり保険料は118,441円となり、前年度比7,252円の値上げとなります。ここ5年間では金額、率とも最大の値上げ幅となります。
 例えば年収300万円の年金二人世帯では、現在22万2936円の保険料が23万7621円になり、なんと1万4685円もの引き上げです。
 一人当たり保険料は15年度から17年度のわずか3か年で、なんと15,338円(15年度前年比3,442円、16年度前年比4,644円の上げ幅)値上げされました。さらに18年度、一人当たり保険料はさらに上がり、高額療養費の一般財源からの繰り入れを廃止すると、区独自の試算で上げ幅は1万円を超え、まさに天井知らずです。このように毎年の値上げ、社会保障切り捨て、相次ぐ負担増で区民の暮らしは限界です。

 国民健康保険は国保法第一条で「社会保障」であることが明記されている唯一の社会保険です。区もわが党の一般質問に「国保は国民皆保険を下支えする基幹的な社会保障制度である」と答えています。本来、社会保障の財源は国と自治体がその大半を負うもので、被保険者だけに負担を押し付けるのは社会保障の公的責任を放棄していると言わざるを得ません。国と自治体が住民の命と健康を守るために、国庫負担の増額、区の一般財源を投入し、負担軽減すべきです。

 次に第29号議案【後期高齢者医療会計予算】についてです。
 昨年暮れの国の社会保障制度改革推進本部において、後期高齢者医療における保険料軽減の見直しがされ、所得割の軽減の特例、および元被扶養者に対する軽減特例が廃止されることになりました。
 そのために保険料の大幅値上げとなることになります。モデルケースでは、一番値上げ幅の多い階層は、単身世帯年金収入211万円の人は、これまでの保険料60,200円が2018年度で86,500円と、26,300円の値上げとなります。
 値上げ率でいえば、元被扶養者のケースでは、173万円の年金収入の方は、これまでの保険料4,200円が、来年度には12,700円、2018年度には21,200円と、なんとこれまでの保険料の5倍になります。こんな保険料の値上げは聞いたことがありません。173万円の年金生活者といえば、ひと月14万円の年金収入の人です。
 こうした値上げに対する区の認識は、制度を守るためには仕方ないという考えです。
 しかし、この後期高齢者医療制度の該当者は、戦後、苦労されて今の社会を築いてきた人たちです。医療にかかわる保険料も医療費も無料にしてもいいくらいです。ぜひ検討すべきことを申し上げておきます。

 最後に第30号議案【介護保険事業会計予算】についてです。
 介護保険は、「介護の社会化」を銘打って開始されました。しかし、実際には改悪に次ぐ改悪で、ますます「保険あって介護なし」「お金がなければ介護を受けられない」制度になっています。
 昨年4月、豊島区は要支援1と2について総合事業を導入しました。これによって、たとえばデイサービスの利用回数が制限されたり、手続きや制度の仕組みが複雑で、要支援1と2を事業からはずす事業所も出てきています。区も、事業者の減収を認めています。
 実際に、総合事業と介護保険の関係がわかりにくく、現場から苦情が出ています。
 例えば要支援2の方で、必要なサービスが受けられず医師のアドバイスもあって要介護度の変更申請をした場合の取扱いです。区分変更の結果が出るまで、正確には介護保険の申請になるのですが、暫定利用のケアプランの扱いについて、自己負担が生じる場合があります。一般質問に対し区は「暫定プランの運用については国のガイドラインに沿う事を本区の基本的な考え方としています。」「適正にケアマネジメントを運用することはもとより、利用者に自己負担が発生する場合もあることを含め、丁寧な説明を行うよう指導している」とのことでした。しかし、実際に負担が生じる区民はたまったものではありません。現場ではケアマネージャーが苦労しています。
 国の制度改悪で、利用者も事業者も困難になっているのです。区として補助事業を行うなり、あるいは、独自のホームヘルプサービスなどをすべきと問うと、やらないとの答えです。事業者の減収対策として、17年度は「選択的介護」モデル事業をと言いますが、まさにお金がなければ、いいサービスが受けられない状況になりかねないものであり、すすめるべきではありません。


 以上、第27号議案平成29年度豊島区一般会計予算、並びに、第28号議案 国民健康保険事業会計予算、第29号議案 後期高齢者医療事業会計予算、第30号議案 介護保険事業会計予算の3特別会計予算に反対するものです。
 これで討論を終わります。御清聴ありがとうございました。