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区議会質問
29陳情第3号「都営住宅の新規建設を」実施させる意見書の提出を求める陳情討論 (かきうち信行)

 私は、日本共産党豊島区議団を代表して、ただいま議題とされております29陳情第3号「都営住宅の新規建設を」実施させる意見書の提出を求める陳情について都市整備委員会審査における「不採択」とすることに反対し、直ちに「採択」することを求め討論を行います。
 本陳情は、都営住宅の新規建設を早急に再開するよう東京都に意見書提出を求め提出されたものであります。
 陳情にあるように、公営住宅入居の要求は、依然として高く、多くの区民から「東京に安心して住み続けたい」という切実な声がだされております。
 「住宅に困窮する低所得者に対して、低廉な家賃の住宅を提供する」という公営住宅の役割が、今ほど大きくなっているときはありません。
 都営住宅総戸数抑制政策のもとで、都営住宅新規建設は、17年間一戸も建設されていません。
 その結果、都営住宅の応募状況は、高い倍率で推移しています。
 世帯向けの平均倍率は、直近の数字では、2015年度5月で1450戸の募集に対し、40316人の申し込みで27、8倍。11月募集では1500戸に対し、39289人の申し込みで26、2倍です。
 単身者向けでは、同年度の募集で、8月募集で58、5倍、2月では57、1倍となっています。
 豊島区ではどうでしょうか。豊島区では、都営住宅は、わずか総数1345戸に過ぎません。そのため空き家募集も余りありません。ですから27年11月に行われた募集で、高松3丁目第4アパートでは、一戸の募集に249人が申し込みました。これが最近の最高倍率ですが、どこの住宅もほとんど空き家募集はなく一戸ないし二戸程度に大勢が応募して毎回高い倍率になっているのです。
 いかに都営住宅の増設が求められているかを示しています。
 自民党政権は、「自分の家は自分で」という持家政策が中心のため、日本の公営住宅建設はあまり進んできませんでした。
 とくに所得の低い人は、家は持てず、居住水準に満たない住宅にすまなければならない状況に置かれ、豊島区のように都営住宅など公営住宅が少ない区は、なおさらでした。
 ところが、東京都は、都営住宅の維持管理経費がかかることや収入超過者や一度入居すると世代継承ができることなどを理由に公営住宅法の見直しを契機に新規の住宅建設を抑制し、都営住宅は既存住宅の建て替えを基本として、新たな住宅は造らない方針を決めてしまったわけです。

 さて、陳情を審査した都市整備委員会では、自民党は、池田議員、村上宇一議員が委員でありますが、池田委員は、維持経費もかかり、入れた人は恩恵を受けるが入れなかった人は受けられないというのは、今の時代にはなじまないので、住宅建設を進めるのはすすめるのはいかがという論でした。
 この発想は、「住まいは人権」という考えを逸脱した議論といわざるを得ません。また、民間に空き家が発生しているから公営住宅の必要性がないというのは、これもおかしな論で、空き家が発生しているところに低廉で良質な住宅に入れているでしょうか。
 まさに公営住宅不要という発想から不採択を主張したのであります。
 私が驚いたのは、公明党と民主ネットのとった態度であります。
 民主ネットは、村上典子議員が委員であります。質疑の後、村上委員は、「私どもの会派といたしましては、今、都営住宅の新規建設ですので、今の段階で新規というのは、ほかの施策をすすめることを優先すべきと思いまして、この陳情に関しては不採択という立場をとらせていただきます」と主張しました。
 民主ネットは、現在、民進党、社民党、生活者ネットで会派を結成しているのですが、都営住宅の新規建設の政策について、それぞれの党がどういう立場なのか、私なりに調べても定かではないのですが、前々回の都知事選挙では、当時の泉谷剛民主党都議、社民党、そして自主投票を決めた生活者ネットの多くは、われわれ日本共産党とともに宇都宮健児さんを支援して戦ったことを覚えています。
 宇都宮さんは、都の住宅政策を転換し、都営住宅の新規建設に踏み出す政策を打ち出し共感が寄せられました。こうした選挙政策を共通課題として宇都宮候補を支援したのではないのでしょうか。
 都営住宅の新規建設を掲げた候補を支援しながら、一方でそれを求める陳情は不採択にすることはつじつまが合いません。
 公明党はどうでしょうか。公明党は、木下議員が委員長で、高橋議員が委員となっています。高橋委員は、質疑の中で、空き家対策の課題に触れ、その検討のなかで、真に都営住宅の新規建設だけでいいのかというのは非常に議論がある旨を述べ、しっかり議論を深めていく必要を強調して、結論では、「私どもは、この陳情に対しては、不採択という立場でお願いいたします」と結びました。
 では公明党の東京都における住宅政策はどうでしょうか。
 2020年に向けた実行プランに関する都議会公明党の政策提言を、小池知事あてに昨年12月6日に公明党都議団の幹事長名で行っています。
 これには、東京都住宅局の復活とあわせて、都営住宅の入居倍率の高止まり状態の改善を求め、管理戸数の現状維持の方針を変え既存住宅戸数以下の建て替えの仕組みだけでなく、新規建設や建て替え時の住戸数の増加にも取り組むように求めています。
 さらに翌日の12月7日の都議会本会議において、地元豊島区選出の長橋都議が代表質問に立ち、「都営住宅の管理戸数の上限を変えない方針を金科玉条とする限り、高齢者に門戸を広げれば若者の入居チャンスが減り、若者に門戸を広げれば高齢者の申し込み倍率は一層上昇するというジレンマに陥ってしまいます」と述べた上で、「今後、建て替え時以外での新規建設や建て替え時の住戸数の増加に積極的に取り組むことを強く求めておきます」と主張しているのであります。
 明らかに都営住宅の新規建設を求めた代表質問であります。
 都議会の公明党は、長橋都議も含め、都営住宅の新規建設を求めているのに、なぜ豊島区議会の公明党が、新規増設を求めた陳情を不採択という態度をとるのでしょうか。
 誰が見ても正反対の主張ですから理解できませんし、同じ政党でありながら許しがたい態度であります。
 委員会で私は、こうした事実をしめして反論をもとめても全く反論もなしに不採択としたのであります。
 都民ファースト豊島区議団の星副委員長と社民党石川委員は、当初継続審査を主張しましたが、継続審査が否決されると、都民ファーストは不採択の態度をとりました。
 石川委員は、継続が否決ということで非常に悩んでいると発言しましたが、最後は私と立場を一にして陳情は採択する態度をとりました。小林弘明委員は不採択としました。
 今回の陳情審査で、各党、各会派の都営住宅の新規建設に対する政策の考えが浮き彫りになりましたが、区民の願いに応えず都営住宅の増設を拒むことをわが党は、区民に知らせ、増設に踏み出すための今後も運動を進めてまいります。
 以上、住民の願いに応え、都営住宅の増設は喫緊の課題であり、都に求めることは不可欠であります。よって29陳情第3号「都営住宅の新規建設を」実施させる意見書の提出を採択すること重ねて求め討論を終わります。